最新の観てきた!クチコミ一覧

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宝島

宝島

Project Nyx

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2026/02/06 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

作=寺山修司、構成=宇野亜喜良で、昔「ひとりぼっちのあなたに」や「さよならの城」など読んでた頃を思い出す。要所要所に「観客強制参加」のシーンがあるが、押し付けがましくなく微笑ましいレベルなので、「観劇中に演者が客に指示して何かをさせる」という構成があまり好きではない私でも無理なく参加できた。黒色すみれの生演奏も久しぶりに聞けて満足。原作が児童書ということもあり、時折お遊戯会を見せられているような気分になってしまうシーンもあった。しかし、私の席の後ろにいた見知らぬ子供たちは大いに楽しんでいたようで、休憩中も劇中に披露される宝島の歌を大声で歌っていて満足そうだったので、これはこれで正解なのかもな、と思った。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

多重人格ものは小説でも映画でもいろいろ鑑賞していますが舞台は舞台でいいですね。演者のキャラもみな立っていてすごくよかったです。しかも、主役の人だけじゃなく脇役の人もみんな心に闇を抱えていて誰一人ハッピーじゃないのが人間臭くていいなーと思いました。あと、今回はサラウンドスピーカーを駆使されていたのかいつもの楽園より音響がすごくよかったです。

眠レ、巴里

眠レ、巴里

華翔

中野スタジオあくとれ(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あの悲しい事件をベースにしていることもありかなりシリアスなものかと思ったら真逆でしたね。現実逃避の妄想を全面に出したのはあえてリアリティを追求せず逆張りであの事件の核心に迫りたかったというのもあるかな…と思いました。個人的には同じテーマで今度はガチの社会派路線のものを観てみたいなと。具体的にはサラ金のとりたてのセリフを中心にした演出のものも観てみたいな…と。つまり、演者も観客も現実逃避せず事件のリアルに向き合う舞台ということですが。演ずるほうも観るもほうもかなりきつい舞台になるかと思いますが。

十年希望

十年希望

Nana Produce

テアトルBONBON(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/13 (金) 14:00

役者を変えて何度も再演している作品なのだとか。変わらない人間関係なんてない、修復可能なことから取り返しのつかないことまで、いろいろあるのが人生とはいうものの、ただ崩壊していくさまを描いているのではなく、許しあいたいというベクトルが常にどこかに存在するような、とにかく心にグッとくるステージでした。またいつか、この作品を見たいです。

ネタバレBOX

電気屋になった人、ムショに入ってた人を最後は雇ってあげてたみたい。着ている作業着が同じだったから。このシーン、良かったな。
ヂャスヴュラ

ヂャスヴュラ

おぼんろ

本多劇場(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

別にこれまで避けていたつもりはないのに、多分今回がおぼんろ初観劇。達者な役者陣によって紡がれる寓話的な「物語」。それが刺さったかと言われると、ん?と思うところもあるのだが、最後まで楽しませてもらった。

ネタバレBOX

終盤のアレ、最前列の人とか大変そう。
アオイの花

アオイの花

“STRAYDOG”

サンモールスタジオ(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
理屈ではなく感情に強く訴える公演。内容的には重く苦しいが、舞台としては面白く観応え十分。物語は説明にある通り、いつもと変わらない日常が、突然1人の少年によって奪われる。「通り魔事件」に遭った女の子が娘・アオイ(=愛生)だった。生死を彷徨うアオイを家族は必死に看病するが、彼女は10年という短い人生に幕を閉じる というもの。

物語は、アオイが生きていた頃の平穏で幸せな日々と 亡くなってからの家族の悲しみ。さらに家族を取り巻く人々と(社会)状況、そのありがちなコトを点描し長い年月(12年、アオイの十三回忌迄)を紡ぐ。アオイが遺した思い、それを残された家族1人ひとりが、再び「真に生きること」に向かい合うまでを描いた感動作。それを“STRAYDOG”らしい歌(合唱等)やダンス、さらにヘルマン・ヘッセの名言を織り込んで、叙情豊かな仕上がりにしている。

少しネタバレするが、上演前から数名のキャストが舞台上におり、次々に客席通路を通ってメンバーが集まりだす。皆が揃った光景は稽古場(楽屋裏)---メタフィクションイメージ、そしてその場で配役等を決め本編へ といった演出で始まる。冗談を言い合う素顔から役者(プロ)の顔へ、その和気藹々とした雰囲気が変転していく驚き。その雰囲気の落差が そのまま感情の大きな振れ幅になっていくよう。
(上演時間1時間50分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は中央に出捌け口、左右対称に半階段状の架台のような作り。ラストは上部からスクリーンが下りてくる。シンプルな造作だが、長い年月を紡ぐためセットは固定せず観客の想像力に委ねている。

物語は、平穏な日々から突然アオイが兇刃に襲われ しばらくの間 生死を彷徨うが、亡くなる。必死に生きようとした姿、それが家族のその後(生き様)を勇気づける。防ぎようがない悲劇、その突然の出来事に呆然とする家族(両親と兄)。しかし悲嘆に暮れてばかりもいられないことが家族を襲う。社会の反応を点描することで、家族の悲しみが一層深く印象付けられる。例えばマスコミの家族への容赦ない取材攻勢、何とか他社を出し抜いて記事にしたい。また殺人鬼を神戸連続殺傷事件の犯人 酒鬼薔薇聖斗をモデルにしていることから、彼の学校責任者の対応を描く。それは予想できない事件であり学校側も どうすることも出来ないといった責任逃れの発言。社会という常識の中でしか対応できない もどかしさ。

家族はアオイを喪った悲しみだけではなく、常識という名の理不尽さに心が疲弊していく。両親の耐える姿、一方 兄の犯人を絶対許さないという激情が、本人を荒ぶらせていく。犯罪被害者の悲しみ苦しみは想像できないが、その思いを象徴的に描いているのが兄の姿。理屈ではない感情が迸っている。さらに母が乳癌になり生きる気力が といった事情を描くことによってアオイの最期まで生きようとした姿に繋ぎ重ねる。物語では家族に寄り添って という役割を警察(刑事)に担わせている。勿論 刑事面だけで民事面の被害者救済は描かれていない。

重く苦しい内容だが、ダンスや歌を挿入し魅せる演出で和ませる。また亡くなったアオイを追憶として登場させることで、家族の心の中で生きているといった救い。アオイは居なかったわけではなく、確かに10年間生きた。その証がラストの映像に凝縮されている。見事な余韻付けである。
次回公演も楽しみにしております。
彼女の実家は富士そばの2F

彼女の実家は富士そばの2F

劇団武蔵野ハンバーグ

OFF OFFシアター(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/13 (金) 15:00

95分。休憩なし、

ハッピーハードラック

ハッピーハードラック

sitcomLab

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ヒロイン役の日永麗さんが体調不良となり、急遽、作・演出の佐野瑞樹さんが台本片手にヒロイン役を務めるという、まさかのイベント公演に。
正直どうなることかと思いましたが、これが逆にハプニング感たっぷりで面白い。舞台ならではの ”生”の醍醐味を味わえる回となりました。

物語は、いくつもの思惑が絡み合うドタバタコメディ。
張り巡らされた伏線はしっかり回収され、登場人物たちの熱い思いも垣間見え、最後は何とか収まるべきところに収まる展開。
登場人物は皆個性的で、それでいてどこか愛すべき人たちばかりで、終演後には自然と温かい気持ちが残る作品でした。

2月の花火

2月の花火

ヒトトナリ

千本桜ホール(東京都)

2026/02/10 (火) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Bチーム観劇。
脚本はよくできていて、伏線もきちんと回収される完成度の高い作品。
コメディを軸にしながらサスペンス要素も効いていて、素直に面白かったです。
ただ、観た回は会場の盛り上がりが思ったより控えめ。個人的には、もう少し笑いがあってもよかったかなと感じました。
終盤はやや駆け足気味ですが、80分という尺を考えれば納得。
ラストは今後の展開を期待させる終わり方で、余韻の残る締めくくりでした。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 板上センターに円形の白いカーペットを敷いてセンターを示し丸テーブルを置いてある。テーブル周りには椅子が4脚、観客から演技が見やすいように配置されている。コーナーの一角にスタンド式の衣文掛け。オープニング時点では白衣が掛けられている。精神科医療施設という設定だ。

ネタバレBOX

 今作で扱われるのは1人の人間の中に幾つものキャラクターが存在する解離性同一性障害である。この病の多くは、子供の頃に受けた虐待や耐え難い苦痛・苦難によって、未だ親元から逃げて自立できないという環境下、難を避ける方図も無く深く魂を傷つけられた経験により身体のみならずその心、魂に深く抜き去りがたい傷を負った経験に因って発症するケースが多い。今作は、幼少時飛び降り自殺してしまった母の体がクッションになり奇蹟的に生き残った少女が、この時のショックで解離性同一性障害を発症し成人後は娘を産んで現在は娘に面倒を見て貰いながら生活を営んでいるという状況の中で起こった不可解な連続事件で5歳の男児が死亡していた件を巡り捜査一課の刑事たちが動き出し幾つかの証言からこの解離性同一性障害の女性を容疑者として追い始め、精神障害の疑いもある為件の病院に勤務する天才精神科医師とされるひかるに、捜査協力を求めたことで展開してゆく。無論、医師には患者情報に対する守秘義務があるが、警察には、犯人と思しき者に関する情報を市民に提供して貰う権利もある。このような事情からこの病院でも可能な限り警察に必要な情報を提供することが現実となった。
 ところで、ひかるの天才性を示す場面は一場の取っ掛かりで描かれるが、シャーロック・ホームズシリーズの第一巻「緋色の研究」で有名な冒頭シーンそっくりな受け答えで少し鼻白んだ。無論、この点もひかるが警部に「殺人を犯している」旨指摘するシーンの解釈の仕方を上手く利用することで先に指摘した鼻白む印象は払拭された。流石に脚本化である。更に今作はホームズ以外の文学作品「源氏物語」に登場する光源氏ゆかりの女性が何人も登場する。無論、天才医師ひかるの名は光源氏に重ね合わされている。その為被疑者の多重な人格総てに源氏物語に登場する女人の性格が反映されている。源氏物語は読んでいて当たり前の書物だから誰しもその内容を可成り深く知っており、今作に深みを添えている。 
 但し、今作それだけでは終わらない。では、どのような展開を見せるのか? それは今作を観てのお愉しみだ。唯一つ指摘しておきたい点がある。今作で描かれる病院の院長の娘と婚約していたひかるは事件解決後、この病院を去ることになる。婚約者の妾腹の兄で副医院長を務めてきた医師が医院長に就任、ひかるは自分を捨てた母を探す旅に出る模様である。天才の抱えた自身の厳しい魂の傷が、彼の脱いで掛けた衣文掛けの白衣に憑依しているかのような感慨を齎すシーンは実に印象的である。
迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/12 (木) 19:00

多重人格と源氏物語を繋いで犯罪を扱うサイコサスペンス。面白い。107分。
 風雷紡の吉水恭子が下平久美子の求めで2022年に作・演出した作品のリメイクだが初演は観てない。解離性人格障害(解離性同一性障害、いわゆる多重人格)の箒木美都子(下平)が児童誘拐容疑をかけられ天才精神科医・速水ひかる(川島拓矢)の精神鑑定を受けるが…、という物語。終始タイトで緊張感の溢れる場面が続くが、興味を持って最後まで面白く観ることができる。彼らを取り巻く人々や刑事たちが物語をふくらますが、メインは箒木と速水の対峙するシーンということになろうか。「天才精神科医」という言い方にちょっとばかりの違和感。また、刑事役の一人の暴力的な演技はちょっと心に痛い。多重人格を演じる下平の演技力は凄い。推しの吉水雪乃が美しい。

『ゴドーを待ちながら』『ゴドーを待ちながらを待ちながら』

『ゴドーを待ちながら』『ゴドーを待ちながらを待ちながら』

アイオーン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2026/01/30 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ゴドーを待ちながらを鑑賞。一部アドリブやセリフのアレンジを交えていたが、しっかりした演技と演出でこの作品の面白さや象徴的な意味合いを改めて感じ考えさせてくれる上質な舞台になっていると思う。ウラジミールの上着とエストラゴンのズボンが一セットなのは、死すら許されない二人が結局離れられないことの暗示なのか。佐藤氏のラッキーの悲痛な表情や動作が滑稽さと哀れさの強い印象を与え、一つの無意味な長広舌を除きセリフのない役であるが好演している。

『100歳の少年と12通の手紙』『ベイビーティース』

『100歳の少年と12通の手紙』『ベイビーティース』

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2026/02/06 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ベイビーティースを鑑賞したが、なかなかつかみ所のない作品。一本のストーリーはあるのだが、薬がやたら出てきたり、心理的に不自然にしか思えない場面があったり、ストーリーにおける役割の不明な登場人物が現れて絡んできたりと、なんだかよくわからない。あの音楽教師は何?敢えてあっちこっち脱線するような作風の作家なのか?余計なことは考えず、純粋に演技のみを楽しむ観劇スタンスが良いのではないか。事実、俳優たちは演技に優れており、それが作品を鑑賞に耐え得るものにしている感がある。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

張りつめた臨場感に始終、どきどきして目が離せませんでした。面白ろかったです。

ヘカベ/ドゥロイケティス

ヘカベ/ドゥロイケティス

お布団

アトリエ春風舎(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

このギリシャ悲劇を最初に何処かで見たひとのうち、結構な人が物語そのものに疑問に思うのではないかと思ったりする。というのも、『生贄としてのスケープゴート』というのは現代ではわりとよくある見せかけの安定、解決をもたらす手法で、コミュニケーションの難しい弱者がその役割を負わされるのは一般論として事件を観察するなら『よくみる』からで、特に昭和まではよく見かけ、この物語もよくあるそういう事件のステレオタイプの一つを美しく物語化した…ように見えるというのも自然だからだ。

しかも事件後に生き残ったのはほぼ強者のギリシャ人である。

美しさより事件?そのものの構造のほうがまず先に立ちはだかって見えるのは、現代の一般的な傾向になりつつある気がする。というのも現代では毎日いろいろなタイプの事件が起き、警戒しながら分析する量は今までと比較にならない。間違いなく有史以来最大だと思うから、どうしてもこの事件を物語化したギリシャ悲劇を見て、多少胸がつかえる人間が出るのもしょうがないのかも。

今はエーアイが簡単に集団心理とか提示してくれ、ファクトとストーリー、エビデンス…と分けていき、それがいいか悪いかはともかく、プラスして歴史の積み重ねや組織犯罪のようなものの性質が思い浮かび、僕もどこまでこの物語を素直に鵜呑みにできるのかという気もする。それはギリシャ悲劇を観るとき考えすぎと言うものかも知れないが、自分の理解する限りではギリシャ人たちは非常に聡明で、現代人よりそうした集団心理に対する警鐘として、この物語を作成したのでは、と思うのが自然な気もしていたが、どうやらこの舞台の作者も自分と同じような感覚の持ち主のような気がした。

シェイクスピアを見るまでもなく、古代の物語は情報伝達の手段としてよく使われた。それは退屈とか面白いからというより、現実の警句としてだった。事件を粉飾しても、どうしてもここおかしくないかな?本当なのか?そう言えばあの人はあの家族を疎ましく思っていた、とかというところを分析して、庶民の人たちは自分の明日の危険を察知した。そのまま物語を鵜呑みにする貧乏人は生き残れない場合もあったから、物語を知る人たちだけが生き残って語り継いたのかも知れない。


どう書いていいのかあれなので、とりあえずネタバレに。

ネタバレBOX

まず最初に、この舞台はギリシャ悲劇を事件のように描いている。

そのため、僕も事件っぽく感想が書ける気がする。それは自分にとっては長年のつっかえが取れるようで喜ばしいことでもある。

というのも、この物語は後から生き残った人が描いたものだから、いかようにも読めるからだ。

単純に言うなら、ギリシャ兵たちが立ち寄った港(トラキア)にダラダラいるうちに事件が起き、なんかトロイアの王妃ヘカベたち一家と港の国の王様(ポリュメストル)がなんか死んだ…らしい。

いろいろ言っていたけどまとめると『しょうがない』『運命』『みんなすすんで運命を受け入れた。人殺しの王様だけが恨んでいた。どーしようもない人間のクズめ』のような形にまとまる気がする。

で、その話を聞いた庶民は『話よくわかんないけど、そのヤバい王様が隠した財宝がどっかに眠ってるとか?まだ行ったらあるかな?』とかで、それに対しては『バカ、財宝の行方を吐かないポリュメストルがどうなったかお前も聞いてわかったろ。ギリシャ兵たちがあちこち漁ってるから、お前も近づくと殺人君主ポリュメストルの手下にされて巻き込まれて殺されるぞ。さっきの悲劇の物語が〝公式〟だ!現実のわけないだろ』『…え?ギリシャ兵たちめっちゃヤバい奴らじゃん』とかとなりそう…

怨恨に塗れて感情のコントロールなくすのは今でもヤバいけど、この物語は母親でこの状態なら『わかりみ』だけど、現実の問題としては『財宝どこ行った?』『本当の話?』とかではないかと。

ちなみにこの悲劇、結構見てると登場人物の胸のうちがいくつも想像できる。公式な描かれ方とは別に。

まずヘカベ。

ヘカベは、表向きには「髪振り乱して怒りに取り込まれ、トラキア王を襲って自滅した母」という描かれ方をします。
でも僕の視点で見ると、

冷静に生き残った方の息子の生存と財宝の確保を計算して動いた
奴隷や王家、都市の責任まで背負っていた
怨恨に見える行為も、政治的・戦略的判断だった

つまり一番マトモで、責任感の強い人物なのに、物語上は一番報われない。

そのうえで古代アテナイの市民は、劇場で見るヘカベの悲劇を

「話は怪しいけど、ギリシャは勝ったし財宝も取った」
「王女は犠牲になったけど、民主的プロセスでの象徴的な決断だから仕方ない」
「女王は独裁王の一存で息子を失った→復讐して自滅」
「でも結果的に民主主義的判断が成立しているので安心」

くらいの距離感で受け止めた可能性。

つまり、観客の立場は

物語としてのカタルシスを楽しむ
自分たち民主政の正当性を確認する
敵対する権力者の破滅を他人事として見る

という三重構造になっているかも。

古代ギリシャ悲劇は、単純に「母が狂った」という話ではなく、

個人の感情
王権や政治構造
民主政の相対的優位

を同時に見せる政治的教育装置でもあったのでは。
なので、アテナイ市民が「民主主義最高ー!」と内心で思ったとしても、
劇中のヘカベの悲痛はちゃんと「観賞用の悲劇」として機能していた。
悲劇を見て自分たちの政治体制の正当性を確認する、という二重構造です。

…だからこそ、ヘカベの悲劇は不憫です。

要は、勝者ギリシャ軍の利益になるように、わざと物語にのるかたちでトラキア王を怨恨で殺すムーブで、一人だけ生き残った我が子(のちに立身出世したらしい)にトロイの民の全てを託すかたちで乗ってあげたのかもしれないのに、アテナイの民主主義の引き立て役の怨恨おばさんみたいな描かれ方になって。トラキアの独裁王?とかも実際はヘカベの兄弟とかで、トロイの民より近い存在かもしれないのに、あえてトロイの共同体の最後の代表としてアテナイの民主主義大好き民が『うひょー!民主主義最高!財宝が凄い気になるけど…誰かギリシャ軍で潤ってる将軍いたらたかりに行こう♫』と叫ぶための悲劇…芝居のために噛ませ犬を演じたのでは?とも感じるわけです。二千年前とかの出来事?らしいですが。

僕はそう思います。

…ただ、今ならエーアイに聞けるので『民主的プロセスで王女生贄に決まりますた!おめでとう!』とか言っても『お前ら全員倫理設定壊れてるだろ、エーアイに聞け!』で終わりですね。悲しい話(でもないか)ですが…。

つまり、現代的な視点で見ると、悲劇としては民主主義最高最強の再確認ショーかも知れないですが、実際にはその裏で敗者のほうが倫理的知的に優れてるかも知れない…。そのことをきちんと想像し分析しながら、自分たちの日常にもきちんと生かしていく(たとえ勝負に勝ったとしても決して傲慢にならない、無慈悲にならない、倫理を常に再確認、敗者の知性や冷静さを想像するなど)ことこそ、死んだ人たちへの花向けとも言えるのかも知れないな、とか。

そもそもトラキア関係者が預かったトロイの王子を仮に殺したとしても、それがそもそも民主主義的なプロセスでないのかすらもよくわからない。

そしてまた、ギリシャ軍も民主主義っぽく見せてるだけで民主主義ではない。市民が民主主義と錯覚してるだけで、責任を霧化してるだけ(占いとか)で、全然民主主義ではない…。

実態:
戦争中の決定や生贄の選定は、軍司令官や有力者の権限で行われることが多い
「民主的に決めた」と見せる演出は、あくまで物語上の方便
観客(市民)が「よし民主主義的だ!」と錯覚するだけ

目的:
勝者ギリシャ軍の正当性を強調
民主主義のカタルシスを見せる
実際の政治的利害(財宝や戦利品の分配)は、別の裏舞台で決まる

腐してばかりでもなんなのであれだけど、あとギリシャ悲劇は意外と『語られなかったこと』で物語の構造や人間心理の輪郭が見えてくるパターンがある。表面的なカタルシスにのみ込まれないことが重要…。あんまり当時の観客に感情移入して『ヒュー!民主主義最高!』な民になると舞台裏が見えなくなるため。制御しやすいけど。

エーゲ海沿岸ギリシャは、ハンモックに揺られてぼんやりしてても洪水終わったあとに種まきゃ肥料も何もやらんでも勝手になんでも育つナイルやチグリス・ユーフラテスと違って痩せた大地で完全なバトルフィールドであり、常に生死が身近にあった環境…極限状態のため、ギリシャ悲劇は法治が進んだ現代に置いても学ぶことが多い気がします…(苦笑

ただ、正直『ラスイチ』とか言うとコンビニくじのラスイチみたいで申し訳ないですが、やらかし王子が若い美女うばったせいで始まったこの下らない十年戦争(東スポみたい)のラストで10人いた子どものラスイチ王子(9人死亡らしい)のための怨恨パフォーマンスだとしたら、正直ギリシャ軍の動きとかあんまり興味わかないですね。

でも、そんなこんなを含めながら悲劇を見れるのは面白い。深掘り、妄想含めていろいろあるので。

今回はヘレネのトラキア王殺害シーンがない。

これは…難しいけど、ギリシャ軍関与を仄めかしているのか?とも思ったりする。

ヘレネのギリシャ軍、半人半獣の悪魔的怪物(現代で言うチェインソーマン)使ったヤバ集団というギリシャ軍信用崩壊カードを使って、トラキア王と差し違えの、ラスイチ王子延命、プラス隠し財宝の譲渡を裏取引で使った知略に長けた王女なのでは?というやらかし王子から始まった大戦争を最後一人で幕引きする王女という説が湧いてくる(召使いは半人半獣言うが王女は言わない)。王女ヘカベ自体は怨恨で狂ったというオデュッセウスのシナリオにあえてのったという設定のやうに見える。

長々と神話の設定の話が出てきたけど、要は今回の舞台で重要なマイナーチェンジ?採用バージョンは

①チェインソーマン的悪魔+人間を最終兵器として、攻略できないトロイア戦役でギリシャ連合軍が木馬に詰め込んで騙してぶち込んだとは事実、という設定

②連合軍は公的な機関っぽい性質を帯びており、令和の現代でいうところの『公的機関への強力な外部監査的組織』があるようで、そこに情報提供されて調査されたら、下手すればアガメムノーンやオデュッセウスも現在の外部監査に晒された不祥事塗れの公的機関と同様に即死?(英雄なのに)…そのため、情報漏洩を異常に恐れて目撃者を大量に殺戮している

つまり、チェインソーマン的な怪物をトロイアに送り込んでかろうじて勝ったのに、それが外部監査にバレたら即死の状況…喋りそうな人間を片っ端から排除しているというかなり現代的な状況にある。トラキア王が情報ルートを明示すれば、ギリシャ軍は排除(殺害もしくは生贄にされた王女と同様精神疾患扱いで生贄)の可能性があるため、トラキア王は情報入手ルートを明示しないが、外部監査に告発すれば軍関係者全員即死?になるかも知れないという脅迫を行いつつ、トロイアでの莫大な利権を要求している。

そこにヘカベの怨恨パフォーマンス…『チェインソーマン的怪物投入の情報を入手したトラキア王と相打ちになるという怨恨芝居』でギリシャ軍の利(オデュッセウスの即死回避)に貢献する形で、自らのラスイチ王子の生存戦略へ繋げるという逆転一発の感じに見える…ただ、そこら辺は明示されないが、暗示されているようにも読み取れるのが非常に斬新に見える。

わかりにくかったですか?

気のせいか、あえてそこら辺を明示しなかったのは、ひょっとしてどこかまわりにギリシャ神話好きな人がおり、大幅な改変(特に民主ギリシャ軍の公的機関っぽさ)に難色を示したのではないのかと推察しました。

ただ、自分は怨恨に陥りながらも最後の最後でギリシャ軍オデュッセウスと裏取引をしてトラキア王と巻き添えでスケープゴートになり、ラスイチ王子を政治(やらかし王子騒動)に巻き込まずに生還させたという賢明な母親の物語に見えました…。
幻のイントルーダー

幻のイントルーダー

sitcomLab

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2026/02/04 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/06 (金) 19:30

 舞台となるのは、人気小説家、藤澤智彦の自宅のリビング。
 藤澤と妻の絵里が家を留守にする間、「僕が掃除をしておきますよ!」と申し出た編集者の末国。
 普段は藤澤にコテンパンにこき使われてる末国だが、姉の希には、姉に要らぬ心配をかけまいと藤澤にはとても気に入ってもらっていると嘘をついていた。その姉が藤澤に挨拶をしたいと言い出したのだ!
 困った末国は藤澤夫妻の留守中に自分の友達に藤澤に成り済ましてもらうことを思いつく。が、そんなお粗末な計画が上手く行く筈もなくと、大体あらすじ通りどころか、そのはるか予想を超えるドタバタ喜劇要素ありのシチュエーションコメディで大いに終始笑いが止まらず、普段のストレスや閉塞感も全て吹っ飛ぶ程、大いに楽しめた。
 ただ、このシチュエーションコメディ劇に関しては、他のシチュエーションコメディ作品と違い、人気小説家藤澤智彦が劇の最後の方まで出て来ず、自分の友達に藤澤になりきって貰って、藤澤に急に挨拶したいという姉を上手く騙し通すというパターンではなく、劇の比較的最初の方で本物の藤澤が戻って来るというハプニングな要素があったりと先が読めず、姉も勝手にギャルで彼氏と一方的に別れて来たという曰くあり過ぎる友達を連れて来たりとイレギュラーな展開が続く。
 更に、同じ部屋に本物の小説家藤澤と藤澤になりきっている末国の友達が一緒にいることから、いつ姉に末国の友達が演じる藤澤が偽物だということが知れてしまうかもというハラハラドキドキ感もあって、その絶妙な緊張感が良かった。
 小説家藤澤に普段コテンパンにこき使われる編集者の末国が、姉が本物の藤澤を知らないのを良いことに、末国のイケメンだがとんでもなくおバカで、お里が知れている友達に藤澤に扮して貰い、姉を騙すためでもあるが、それと同時に普段の積年の恨みを、末国はストレスをこの機会を好機と見て、本物の藤澤を徹底的にボコボコにしたり、あからさまに馬鹿にしたりといった感じの豹変振りも面白かった。
 藤澤が浮気しているとひょんなことから勘違いを生み、姉の友達のこじらせ系ギャルの軽弾みで誤解を招きかねない発言や本物の藤澤の判然としない態度、どう見ても業界ゴロにしか見えないプロデューサーの誤解を生みかねない発言から勘違いが更に大きな勘違いを呼び、編集者の末国も今更本物の藤澤はイケメンの友達の方じゃなくてとは言えず、本物の藤澤は藤澤で違う作家の盗作疑惑が言われていて、相手に訴えられないうちに何とか穏便にことを進めようとすると言うように、各々の思惑が絡み合い、嘘に嘘を塗り固めようとして、最初姉を心配させない為に末国が見栄を張ってついた嘘が、ドンドン事態が大きくなって収集のつかないところまで来てしまう感じが大いに楽しめた。
 
 末国の友達役の俳優がが最初のうちこそ、実際に見たこともなければ、ましてや性格や癖、普段の言動も知らない小説家の藤澤智彦になりきるのに及び腰だったが、劇の途中から調子に乗り出し、途中から編集者の末国の忠告や言うことを聞かず、暴走しだして、果てはかなりのクズっぷりを見せつけ、開き直るという、見た目のイケメンな感じと勘違いしたり、乗り気になったら止められないアクの強すぎるギャップがある性格やオーバーリアクションが印象に残った。
 藤澤の妻の絵里役の俳優も、最初のうち人が良い、優しい奥さんに見えて、藤澤が浮気疑惑や盗作疑惑が明るみに出ると(実はそうではないのだが)、今までと態度が豹変し、途端に恐妻化する振り幅の落差を見事演じ切れていて、見事だと感心した。

ヂャスヴュラ

ヂャスヴュラ

おぼんろ

本多劇場(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

何年かぶりの朧さん観劇です
前は真夏の葛西だったかなー
マグロ漁船「第五福竜丸」とかも
次いでに見たりしたなぁ
観客は女性が とても多い2.5次元芝居みたい
とか感じました
何かしら変わったのかなーと思ってたら
安定のダークファンタジーでした
このテイストでファンを増やしてきたんだね
っておじさん思ったデス
全席指定の2時間15分の作品で
観劇料金は 全公演投げ銭システムです
黒字になってね♪

ネタバレBOX

開演前にはファンサービスでキャストさん
客席に出てきて撮影とか色々とやってました
開演前後は舞台等撮影OKですと

開演前に黄金の鍵を観客の一人に渡して
作中の呼びかけで鍵を使う時渡してね♪

お話は とある島での出来事で
その島では人間たちが遺跡を残して去り
島の動物達も異形のものが多く
長命のモノも少ないと
島の井戸の底で3匹のカエルの兄弟が
イモリに食などを助けられ暮らしていましたが
ある時3匹は外に出たいと井戸の壁を登って
世界を見るのでしたが
そこは話に聞いていた楽園ではなく
ひたすら乾燥してる不毛の大地でした
出てきた3匹は3本角のカブトムシに襲われ
何とか逃げて弁士さんに解説されつつ
本作タイトルの横断幕を先の鍵で開いて
本編スタートです
3匹のカエルの兄弟が進む島での出来事で
島の謎が暴かれて運命に翻弄され
3兄弟の行く末はーという話です
迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
心地良い緊張と緊迫感に溢れたサスペンス劇。説明にある「児童誘拐容疑で逮捕された箒木美津子、警察から精神鑑定を依頼される若き精神科医速水ひかる」を中心に物語は展開するが、登場する1人ひとりにも何らかの苦悩や葛藤を背負わせることによって解離性同一性障害という特殊性を浮き彫りにする。彼女の中で源氏物語に登場する姫達の立ち位置や性格などを多重人格の様相に重ね、照明と音響を巧みに使って人格変化を表す。

少しネタバレするが、事件を始め人々の背景にある心の深淵、その伏線をすべて明解に回収するのではなく余白というか余韻に浸らせるような紡ぎ方が好い。すべてが解明しきれるわけではない心の病、どうして解離性同一性障害を発症することになったのか という原因や過程をサスペンスとして観せつつ、根底にはヒューマンドラマが息衝いている。

劇場 楽園には中央に柱があり、それをどう使うかといった演出が試されるところだが、本作では 過去の記憶や情愛を表しつつ、現在の別空間を表現し表出させる妙。
(上演時間1時間55分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は国見総合病院の速水医師の診察室。丸絨毯に中央に丸テーブル、2組対になった椅子が4脚。奥のスタンド衣桁に白衣、その横に飾棚と小物。中央の柱には多くのアルバム写真が飾られている。柱を境に過去と現在が分かれているようだ。

都内で児童誘拐が頻発し 箒木美津子がその容疑者として浮かび上がる。警察から彼女の精神鑑定を依頼される若き精神科医速水ひかる。物語は解離性同一性障害に表れる人格を源氏物語の姫達に、そして精神科医を光源氏に準えている。登場(声だけ)しないが病院の跡取り娘 葵と婚約している。 美津子は子供の頃、母に連れられてデパートの屋上にあるミニ遊園地で遊ぶのが好きだったが、或る日 母が美津子を道連れに飛び降り自殺をした。幸い美津子は母の上に落ち一命を取り留めた 悲しい過去がある。

美津子には2人の子(年子の男と女)がいたが、男の子は5歳の時に亡くなり、今は娘の秋子と2人暮らし。今 美津子の1人の人格が誘拐し、別の人格が迷子として戻す(届け出る)ことを繰り返していた。亡くなった息子への愛着、それを嫉妬した秋子。或る日 美津子が誘拐した男の子を…。警察は 秋子を逮捕しDNA鑑定(秋子の手首傷と男の子の爪の間にあった皮膚)をするが、肝心なことは黙秘していると…犯人か否か明らかにしていない。

一方、速水は若くして精神科医師として有名、しかしそれには訳があった。父は旧家の家柄で母は父亡き後、祖母から家を追い出された。自分が有名になることで母が訪ねて来てくれることを期待。また刑事の藤原匡は、仕事に没頭し妻 夕美子との団欒を後回しにしていた。事件が解決したら旅行でもしよう が口癖。しかし 夕美子は藤原の事件の件で風評被害に遭っており、それが原因で自殺していた。今の時代、個人情報なんてすぐ知られ、嘘と噂が拡散される。

公演は、人にはそれぞれ痛みや悲しみがあるが、それに立ち向かうために多重人格を作り出すか、人格崩壊しないよう耐えるか を登場人物に担わせている。人格統合の良し悪しではなく、どう生きていくかといったところに<光>を当てている。
次回公演も楽しみにしております。
ハッピーハードラック

ハッピーハードラック

sitcomLab

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。
受付スタッフの言葉を借りれば「イベント」公演になり、そのハプニング要素も含め 自分的には予想外に楽しめた。

表面的には、説明にあるように カリスマアーティスト---T2の自宅のリビングで、彼を取り巻く様々な人たちが怒涛の勘違いやすれ違いで巻き起こるスラップスティック・コメディ。しかし その裏に隠された人間的な、それもアーティストらしい苦悩や葛藤を吐露する。そこに薬物疑惑の真相も絡んでくる。その表裏一体となった可笑しさ、人間臭さが公演の魅力を倍加させている。
(上演時間1時間30分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術…T2の自宅のリビング、全体がオフホワイトで明るい。中央に大きな応接セット、上手に段差が設えてありT2の寝室への扉。その壁には3本のエレキギター。下手奥には横長の藍色幕。いくつか使われない装飾(例えば 中央壁の絵画風のオブジェ等)もあるが、同時上演中の「幻のイントルーダー」で使うのかと想像したり…。シンプルな造作であるが、ドタバタというアクションスペースを確保するため。

「イベント」公演というのは、ユッコ役の日永麗サンが体調不良になり、作/演出の佐野瑞樹サンが台本を持ち代役を担う。自虐のように おっさんの姿のまま 野太い声で登場すると説明、その通りで登場するが 一応可愛らしくバブーシュカ風透かし編帽子を被っている。劇中ハプニングらしきこともあったようだが、それはそれで楽しめる。まさに演劇というライブ感の醍醐味。

T2は、世間的には カリスマアーティストと言われており、その天才性をパンクな表現で誤魔化している。日々 本心ではない仮の姿を演じることに疲れている。秘書はそんなT2の事情は知らず、薬が欲しいと言われ戸惑う。身近にいてT2のことを知っているようで実は知らない そこに人間ドラマとしての面白味がある。T2は痔に悩まされているが、そんな格好悪い(痔の薬が欲しい)コトは言えない。そんな時、筋者らしき2人が T2に頼まれて<白い粉>の薬を持ってきたことから起きる勘違いや すれ違い騒動。薬物疑惑によってカリスマ性(虚勢)を見せている。

終盤、建前(虚像)と本音(実像)のギャップに悩み苦しんでいることを吐露する。嘘だらけの生き方、しかし秘書は 音楽は本当に素晴らしい それ(才能)は嘘ではないと。それまでスラップスティック・コメディとして笑わせてきただけに、T2の告白は涙を誘う。公演としての笑いと泣きという表裏は、人間の建前と本音とを巧みに表出する。多くの登場人物は個性豊かなキャラクターによって笑いを誘い、T2ひとりによって涙を誘う。そこに人間が持つ複雑な感情を観るようだ。
次回公演も楽しみにしております。
迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台セットは丸ガラスのテーブルに
2種4脚の椅子を配し
柱には額に入れた写真等と
壁際に棚とハンガーが1つづつの
シンプルな感じでした
アンケート用紙にミニペン付き
全席自由で2方向どちらから観ても
差は感じないかなぁと
心理サスペンスであり
緊張感の切れなかった
約2時間の作品でありました
自分の思うマイナス要因が無かったなぁとも

ネタバレBOX

説明とはチョイ異なり
児童誘拐容疑で警察がマークしているのが
箒木美津子(ははぎきみつこ)であり
受診している国見病院の担当医である
若き天才精神科医と称される速水ひかるが
警視庁の警部藤原より捜査協力を依頼され
守秘義務からと いったんは断るも
診察を続けて知った美津子の亡くなった
5歳の長男の状況を教えて貰うのを交換条件に
協力をする事になり 段々と美津子の症状や
児童誘拐不明事件の真相などが
詳らかにされる展開であります

人格交代時には音などで表現されてました
実際は眼振が起きるそうですね
そんで 大抵の人格数は普通に2桁ぐらいだとか
今回は源氏物語の女性になぞらえて7名ほど

解離性同一性障害は自らの心を守る為に
受けた衝撃的な出来事を他人格に受けてもらい
精神を守るらしいが今作の美津子さんの
精神衝撃は凄いものでしたわ

話に突っ込み何処も無く
納得の出来で満足しましたわ

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