もしもリモート演劇を生で観れたら
teamキーチェーン
インディペンデントシアターOji(東京都)
2020/06/28 (日) ~ 2020/06/30 (火)公演終了
満足度★★★
[Bチーム]観劇
ネタバレBOX
とある劇団がリモート会議を行い、戦隊物のお芝居をリモートで行うことを決め、練習して本番を迎えるという話。
練習と本番はかぶってしまい時間の無駄です。
あいうえお演劇というお稽古は、感嘆詞でやり過ごせるア行は少なくとも省くべきでした。そもそも即興が面白いものを生み出すとは思えません。
劇場上部から階段を伝って外部にまで続く太い送風管が、劇場のなみなみなる決意を表していました。
第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2020/06/13 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
第14回シアターX国際舞台芸術祭2020 9日目 2020.7.4 14時半
本日も3組の出演。(追記7月8日0時半 全体評価5つ☆)
ネタバレBOX
Ⅰ:小谷ちず子さんのダンス「わたく史」白い衣装に白の長い紗をたぐねて被り、上手客席側に左体側を観客に向け、膝を曲げ足先は床からやや浮く状態で丸めた体をそのままの状態で保っている。音響等は一切無い。この無音が緊張感を持続させ、舞台に集中させて良い演出になっている。かなり長時間この状態にあるが、足を衣から少し出し、足指を曲げたり伸ばしたりを暫く繰り返している。無論、羽化を現していよう。自分が小学2年の初夏、近くに自分の通う小学校より大きいかも知れない程の屋敷があったのだが、門を越えて書生に怒られないようその広く大きな門に繋がるアプローチで良く遊んでいた。偶々、そこに生えていた木の根元近くに蝉の蛹が上って来るのに気付いた。蛹の背を割り這い出した蝉は、浅葱色というのだろうか、黄緑のような淡い色で、羽はヒグラシやトンボの羽のように透き通っているが、蛹から出てきたばかりの時には未だクシャクシャだった。その体、目や頭、胴体や羽が徐々に堅牢になり、変色してゆく間に数十分は経ったような気がする。そんな時間の中で、殆ど動かず、只木に止まってクシャクシャだった羽を伸ばし、体色を徐々に変え、目の色も変わって頼りなげな印象を齎す弱弱しいものから逞しさを感じさせるものに変え、羽も遂には茶色になって馴染のアブラゼミとなった時には命の不思議、変容の凄さにいたく感銘を受けた。当時既に、アブラゼミの幼虫が土中でどの程度の期間を過ごすかと成虫になってからの寿命は当然知っていたから、猶更感慨を深くしたのであろう。
ところで羽化後には当然生存競争が待っている。その葛藤がこの後のダンスで描かれるが、ラストには音響が入り、最初の形(今回は卵を意味していて体は観客席に真正面から向き合っているが)に戻って終演。最後だけ音楽が入ったのは、新たな生命誕生へのオマージュであり、体が正面に向いているのは生まれ、これから己がミクロコスモスとして生きて宇宙・マクロコスモスと対峙する関係性を現していると解した。
それにしても、今シリーズで毎回感心しているのは、照明の凄さである。表現する人達の意図を実に深く、而も想像力の遠く迄キチンと計測してそれより一回り大きく深い闇と光の芸術を作り出しているのだ。この照明なしにこれだけの舞台体験はできない。華5つ☆
Ⅱ:山田いづみさんのダンス「ケラ鳴く道のいろは歌」
台の上に腹這いになって手足をばたつかせる、ユーモラスなダンスで始まった今作、御本人のキャラクターも愉快な方のようで如何にも大阪の方らしい雰囲気が良く出ている。ケラという虫は、子供の頃。時々捕まえて、昆虫のモグラというイメージを持っている。その少し紡錘形の体は流石に土を掘るのに合理的だし、体毛のようなものは全部後ろへ流れるように付いていてすべすべし、堀った土を背後にしてゆく際、摩擦抵抗が少ないことが明らかであり、この点でもモグラに良く似ている。テリトリーはどれくらいか知らないが、モグラの場合、1匹で2㎞四方程度、土堀は大変な作業だからエネルギーを大量に消費する。従ってモグラは大食漢でこの程度の縄張りが無いと生きて行けない。だから、ケラも可成り大きなテリトリーを持っているだろうと想像している。が言葉としては、虫けらという単語にケラが入っていることもあってか、ゾンザイに扱われがちなのかも知れない。それが、大阪人。山田さんがケラを選んだ理由かも知れない。それも謎多き“いろは歌”と絡めている点が興味深い。何れにせよ、虫もヒトも生きとし生ける者総てが生存競争の渦中にあるが、人間だけがセーフティーネットを持っていると思っている。然し本当にそうか? と尋ねるならば、相当に怪しいのではないか? 蟻も蜂も集団社会を作るし巣は大変な大きさである。アフリカに住んでいた頃、蟻塚がたくさんあったが、1つの塚の高さは3m以上、蟻のサイズから見たら、バベルの塔みたいなものだろう。塚の中には女王の産卵室、食料貯蔵庫をはじめ社会生活を営むに必要充分な場所や役割に応じた身体分化が生じている。(女王蟻、羽を持つ雄蟻、兵隊蟻、働き蟻など)蜂もほぼ同様で卵から孵った幼虫が暮らす房室もある。何れにせよ、蜂の子は人間にも食べられてしまうし、蜂蜜は人間に収奪され続けている。さて、そんなに人間は偉いのか? という素朴な疑問も聞こえてきそうな諧謔とグレイなユーモアに彩られ、ちょっとスラップスティックな作品。諧謔精神に敬意を表して華4つ☆
Ⅲ:Dance Monster 絵本「どこかにある誰も知らない小さな国のお話」
男性が上に羽織っている長めの羽織かチョッキのような衣装が中々素敵。タイトルから何となくブータンを思い出してしまう、原作者の田崎麻衣子さんが癌闘病中に初稿を書き、当時西表に居た八つさんに原稿を送ってきた、ということだ。その後退院した田崎さんはアメリカで暮らして居たが既に亡くなられた。亡くなるまでに八つさんと連絡し合い絵本は現在の形になったそうだが、初め今作を拝見した際には、随分無責任な作品だとも思った。然し癌治療薬の副作用で朦朧とした状態で書かれた初稿のことを思えば致し方あるまい。生きることは瞬間・瞬間死んでゆくことと同義である。そんな生と死の分割し得ぬ不分明を男女のダンスパフォーマンスと後半は、この絵本を動画化した作品をホリゾントに映しながらの上演形態で表現した。生きることは生の堆積? それとも死の堆積? 或は分かち難い双方のミルフィーユ? 華4つ☆
第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2020/06/13 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
第14回シアターX国際舞台芸術祭2020 10日目 2020.7.5 14時半
本日も3組の出演である。10日目の原稿が先に上がってしまった。次回公演は7月7日19時開演。
ネタバレBOX
I:堀ゆかりさんと別所るみ子さんのダンスユニット・Y&Rが演ずるのは「水・光・身体」という作品。タイトルから直ぐ分かるように命に纏わる諸関係(始原の生命と誕生に寄与した水、光、エネルギーなどと化学反応、アミノ酸複合体から体を構成するようになる生命誌等々)が優雅なダンスで表現される。ダンサーの動きの中で交差する眼差しに意を用いている所に極めて女性的で繊細な表現が感じられる点もグー。用いられた音響器具は、チベットのティンシャや波音などを出す小型の装置。衣装も2人揃った素敵なデザインでダンスを更に優雅に見せるのに役立っていた。ところで、自分もかつて極めて質の高いティンシャを持っていたのだが、今回使われたものは恐らく銀の含有量が少ないか真鍮製なのであろう。自分の持っていたそれに比べると響きが余り良くなかったのが残念だが、現在では良質な物は殆ど入手できまいから仕方ない。5つ☆
Ⅱ:足立 七瀬さんによるソロダンス。タイトルは「選んで、いる。」日本人には珍しく、選択ということを正面に据えているので驚いて帰宅後、当パンを読んでみると(自分は作品を拝見する前には基本的に一切、当パンは見ないことにしている。刷り込みをしたくないからだ。推理作品などで予め見ることを要求される場合は別であるが)略歴を拝見して納得がいった。フランス人の振付家の関わる国際ダンスワークショップのオーディションに受かって「Harakiri」という作品に参加していたのだ。解剖学なども用いながら踊る身体を追求しているとのことはある。極めて優雅な動きから日常的にさえ見えるような動き迄、洗練、日頃の何気ない動作まで織り込んで“選択”の幅を広げているが、暗転させて明転に移行する際、必然性を感じない部分もあった。この辺りをもう少し詰めて欲しい。更に欲を言うなら、選んだつもりが選ばされているという資本主義の中で暮らす我らの姿をも描ければ。華4つ☆
Ⅲ:シニアの演劇ユニット・夢桟敷によるミュージカル風演劇作品『Question・・・いのち愛づる姫から』は、生物学者の中村桂子さんの著書「いのち愛づる姫―ものみな一つの細胞から」をベースにした作品だ。原初我々の遠い祖先であるバクテリアの類からミトコンドリア、ボルボックス、海月や魚を経て陸に上がった生物の産む卵も受精するまでは1個の卵細胞である。始原の生命を単細胞から始め、個々の生き物の始まりを矢張り細胞分裂する以前の一つの細胞から始めている所にミソがあろう。個体発生は系統発生を繰り返すという良く知られた事実をも思い起こさせる、本質的でありながら極めて分かり易い摂理である。
シニアといっても平均年齢は可成り高いので、かむ方がいらしたのは残念であったが、どういう訳か偉く楽しい作品であった。つらつらその訳を考えているうち、若い頃に読んだリルケの一節を思い出した。それはこんなフレーズだった。
“若者とは既にして恐るべき老人なのだ。それを意識した上で、それを意識した上で若さを装うのだ!”という一節である。自分と同じことを考えた詩人が居たのだ! と二十歳を越えたばかりの自分は、少しだけ安心した。当然、その頃の自分は生意気を絵に描いて壁に貼り付けたようなガキであったから可成り鼻もちならないガキであったろう。と同時に急に勉強をし始めて知識を吸収することに忙しく、要するに自分のオリジナリティーの乏しいことは散々意識させられていたから、己自身を単に先人が積み上げてきたことのコピ―としか思えず耐え難い老いを内側に抱えていたのである。
だがこの劇団の演者には、このような意味での老いが無い。皆さん自ら楽しみ己の人生で培ってらしたことを体中から溢れださせるように活き活きと創っていらっしゃる。これこそが、この楽しさの源泉なのだと感じさせられた。素敵である。5つ☆
エギング☆ロック【延期→2021年7月!】
遊気舎
KAVCシアター(兵庫県)
2020/07/02 (木) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
延期は残念ですが、いつの日かこの作品が安心して観れる日が来る事を願って止みませんm(_ _)m
太陽
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2016/05/06 (金) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
MilKyway【映像配信公演】
salty rock
配信アプリ検討中(東京都)
2020/07/03 (金) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/07/04 (土)
価格1,500円
salty rock 18th stage「MilKyway」より、7月3日配信の第一弾(2本)を視聴(第二弾と合わせて、料金は1500円のコースを選択)。
ネタバレBOX
配信1本目の「虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)2020(36’34”)」は、何度か拝見したことのある演目。故に、コロナ禍の影響で映像配信となった今回公演の改編部分にウン・ウンと頷きながらの視聴となった。
画像の質や編集が「だいたい、こんなもんやろなぁ」との予想より、はるかに上をいっていた点
出ずっぱりの松本真菜実さんの、ヒロインと等身大の空気感に好感を抱いた。
配信二本目の「なめとこ山の熊(35’51”)」はお初な演目。
題名や出囃子・衣装、そして昭和の名人噺家のような石戸貞義さんの佇まいのせいで、当初は落語の人情噺かと思っていた(実は、これまた、宮沢賢治の作品)。
視ている側が心配になる程の、あいにくの雨の中での収録だったが、それがかえって、石戸さんの熱演を一層引き立てる役割を果たしていた。
瑞々しい新緑の風景の下での一人芝居、ちょいとばかし感動モノの映像だった。
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
久しぶりの観劇。やはり舞台は実際に観るのがいいですね。内容は現在の状況をとらえた4作のオムニバス。コメディ、シリアス、感動要素満載でどれも楽しめました。自分が子供を持つ身なので、4作目はホロッのしちゃいましたね。とてもいい作品でした。また来月ですね。期待です。
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★
コロナ禍を逆手に取った短編4本立て。3ヶ月ちょっとぶりの下北沢での観劇でしたが、実に楽しかったです。
第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2020/06/13 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
第14回シアターX国際舞台芸術祭2020 8日目 2020.7.2 19時
8日目、丁度6,7月公演の折り返し点だ。(次回公演は7月4日14時半の開演)
ネタバレBOX
外国からの参加者はCOVID-19の影響で来日は9月の予定だからにゃ。今回も3組が登場。Ⅰ:白野 利和さん、アベ レイさんお2人のパフォーマンス。タイトルは「隣の迷宮2」オープニングで白野さんが登場すると「どうします? 何も決まってないんですよ。ゲネでやったこともうっちゃって」舞台の上に放り出された状態で何をどうしていいか分からないという状況を説明しながらぐるぐる舞台上を歩き回る、極めて示唆的なオープニングだ。そこへレイさんが言葉と音声の間のような表現をしつつ舞ったり弧を描いたりしつつ飛びこんでくる。レイさんによれば、生きることに予行演習は無い。ぶっつけ本番の連続である。仮に予定を組んでいてもぶっつけ本番で何が起こるか分からない時空に身を晒す点では変わらない。それが生きることであるなら、それは迷宮ではないか? と捉えている。つまり今作は、己の迷宮を迷宮として客体化する為に、演じられたと言って過言ではあるまい。だが、そうは言っても2人が時折、交差する中で何やら口をまあるく開けて向かい合ってみたり、何やら鳥が羽を広げるようにも見える動作をしてみたり、意味と無意味が微妙に絡み合うシーンには、サルトルのいう自己投棄を身体化して見せればこうなったと思わせるような形に近い何かを感じた。当然、自由の問題も絡むし、生死の問題も絡む実に面白く、かなり哲学的な作品であった。華5つ☆
Ⅱ:評論を多く書いている四方田 犬彦さん準備中の新詩集「離火」から数編を選んで朗読すると共に5月14日に亡くなられた財部 鳥子さんを偲んで彼女の長詩の一部分をも読む。四方田さんの新詩集タイトルは音から判断すると鬼才絶と言われた中唐期の詩人・李賀の名に重ねたと見ることができる。27歳で夭折したが、亡くなる前母に「天帝が白玉の高楼を建て祝いの詩を李賀に作らせようとお召しになった」と語ったとされ、“白玉楼中の人となる”という成句はこの逸話から生まれたとされる。
何れにせよ会場からアフタートークの際に彼のプロフィールに関して出た質問:比較文学とは? に、ホメーロスの有名な叙事詩「オデュッセイア」に出てくるトロイア戦争からの帰途、ローレライを長とするセイレーンの棲む海域に差し掛かる前後の話を持ち出し、船乗りが恐れて近づかぬこの海域に入り、その歌聲を聴けば、余りの美しさに虜となり自ら海に身を投げて藻屑となると伝わる歌とセイレーンの美しさを是非自分は見聴きしたいと願ったオデュッセウスはマストに自分の体をきつく縛り付けさせ、部下には、耳に蝋で耳栓をさせて魔の海に入った。セイレーンの歌声が聞こえると流石のオデュッセウスも縄を解けと大声を出しジタバタしたが船員たちは耳栓をしているから一切聞こえないし、危険海域を出て安全な海域に出るまでは絶対に縄をほどくな、と厳命されていたから解かなかった。そして安全な海域に出た時初めて彼の縄を解いたのであるが、その縄を解くという単語がアナライズというギリシャ語の初出だと説明し、そこから錯綜した状況なり物なりを解きほぐす、というようなことが原義だと話した。そして芸術とは、それを鑑賞する者も下手をすると命を取られかねない或は根本的な価値の転換を迫られるほどのものではないか? との卓見を述べた。然し乍ら彼の詩作品には、このような卓見は残念乍ら反映されていないように感じた。彼は大変な知識量を持つ人だが、それが却ってペダントリーとなって鼻に衝く気がするのである。
無論知的に武装して箍を外すことは詩の重要な手法の1つではあるが、余りにもぺダンティックになってしまうと例えばRimbaudの有名な一節、s’opérer vivant de la poésie,・・・(生きながら詩に手術され・・・)のような生々しいリアリティーには遠く及ばない。即ち詩行として極めて弱くなってしまうのである。卓見に敬意を表して華4つ☆
Ⅲ:シアターXアートマイム塾(作・演:JIDAIさん、出演;松沢玲子さん、沢村誠一さん、時任律さん、阿部邦子さん、橋元大和さん)
ポーランドのステファン・ニジャウコフスキが作り上げたアートマイムという手法でのマイム。その本質は瞬間、瞬間舞台上に存在することにあるという。どうやらE=MC²という相対性理論の根本原理の各項目を移項することによって成立するそれぞれの式ということらしい。エネルギーと光速そして質量の相関関係を肉体に落とし込み以て身体化するということであると理解した。音楽とのコラボがグー。当初、原初の生命体例えば単細胞生物やプランクトンなどが海中や水の中を漂うような動き、或いは羊水の中で系統発生を繰り返した我らの初期胎児期の揺れる夢の如き動きから進化して両生類である蛙になり、更に進化して爬虫類になり更に・・・といった進化の過程に於けるRNAやDNAの揺らめきとも取れるというような極めて興味深いマイムであった。5つ☆
第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2020/06/13 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
7日目の構成は、参考上映のTV番組、IDTF実行委員10名による“いきもの絵巻『宝船』”上演、アートカンファレンスだ。
ネタバレBOX
今回のテーマは以前にも記した通り、堤中納言物語に記された “『蟲愛ずる姫』とBIOhistory”だから当然生命の始原から現代人へ至る進化と様々な微生物、ウィルスなどとの共存・共生に至るまでの史的過程及び遺伝子構造の変化・変遷、プラスになるにせよマイナスになるにせよウィルスと生命相互の関係性・諸変化が、COVID-19蔓延拡大の地球村に於いて如何なる作用を我々に齎し、未だ不明な部分の多いSARS-Cov2に対して我らは如何様に対処するのか? 或は自然免疫を得る迄多くの犠牲を耐え忍んで待つのか? ということを含めて当にmemento mori(メメントモリ/死を思え)、即ち実存哲学に自ら進んで入る条件の中に居る。人間というのは愚かな生き物であるから、普段自分自身の死を前提として考えることは殆ど無い。結果猶更愚かなことばかりしている。ここは、一つ学校で教えられたような規格に嵌った阿保な考え方や教条はうっちゃって、自由に考える訓練をしたいものである。但し、それには条件がある。死を前提に考えるのは、真理や普遍性を知る為であり、自死する為ではない。よって論理の前提に選ぶべき要素はファクト、現場での徹底的、実証的観察を統合する科学的・合理的思考だ。即ちファクトと実証的観察によって得たデータのみを用いて演繹・帰納法し合理的な解を導き出すことである。東京アラートなどという字義通りナンセンスなことをやっている暇は無い。SARS-Cov2はRNAしか持たず、誤った転写を起こしやすい。而も様々な抗生物質や薬品が彼らの突然変異をより早めるというデータが出ている。既にゲノムレベルでは、埼玉型、東京型、大阪型は異なっているという。無責任なばかりか己の言っていることの意味することすら理解できない安倍首相は、ワクチンはかなり早く出来る、などと訳の分からないことを宣うが、さに非ず。それどころか、仮にワクチンがかなり早く出来上がったとしてもサイトカインストームの危険がある為、下手をするとワクチンを打ったが為に症状が悪化してしまうケースが在り得るとして研究者たちは如何に対処すべきかを必死に考え追及しているのだ。エーザイが治験を始めるようだが。政府のやっていること、殆どの自治体のやっていることはトロ過ぎて話にならないし、官僚共は不作為といういつもの手で責任逃れをするばかり、当てにできる訳が無い。だから、我々民間で考え、対処する他ないのである。そういえば、東京でアラート解除後107名の感染者が出た、と聞いて驚いている人々が多数居ることに、矢張りと感じると同時に自分は少しショックを受けた。余りにも予測通りだったからである。
さて出演者の職業は、コンダクター、生物学者、エッセイスト・通訳・翻訳家、著述・フォトアーティスト、演出家、役者、芸術監督、ダンサー等々多彩だ。参考上映として芥川賞作家でベルリン在住の多和田 葉子さんにインタビューした番組が映された。『宝船』上演後は、多和田さんがインタビュー番組の質問に答えて言った、「コロナ・テスト」というフレーズをタイトルとしたアートカンファレンス。この現象をどう捉えるか? との視座で出演者、観客との間で活発な論議が交わされた。大切なことは、このカンファレンスでも、事実をベースに語る生物学者と、それ以外の様々な言辞や為政者が何の合理性も科学的根拠もなく垂れ流している言辞をベースにした判断とが交錯することによって、今我々の暮らす社会が良く見えてきたことである。
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★
「mask」をテーマにした短編集。当然、ウィルスや花粉などを防ぐ用途に使う“アレ”がお披露目されるが、それだけではない。時事的でありエッジが効いているが、劇団の豊かな発想もオンパレードとなっており、本質を楽しめる。
ただし、欠点を指摘しなければならない。それは表情を読み取れないことだ。このことは感染症法予防の対策をして上演する未来の演劇において、やや重い課題だと思う。つまり「ニューノーマル」を「ニューノーマル」にしてはいけないのだ。今回は時節柄、文化と離ればなれにさせられた観客の「今」にトキめいたが、こうした試みは奇をてらっているから価値が生じるのであって、持続することはない。そのことは表現者も理解している。
第2話の物語における女性社員のやりとりには笑ってしまった。緊迫感のある現場、それでも変わらない ふとした一コマが、滑稽さを増幅させている。
死と乙女 ~とあるアイドルの葛藤詰将棋編~
三栄町LIVE
三栄町LIVE STAGE(旧:フラワースタジオ) (東京都)
2020/06/08 (月) ~ 2020/06/21 (日)公演終了
満足度★
将棋の芝居はラビット番長で良く観ていたが、アイドルとどう絡むのか・・・全くわからなかった♪
盤面を見ると不自然な桂馬・・・普通に移動出来る盤面では無い・・・かと言って後から打つ様な場所でもない♪
何か特別な意味があるのかと思っていたが、全く意味なし・・・♪
まあ将棋は置いておいてアイドルの方・・・グループなのだから同じ色系もしくは個人色が普通だと思うのだが・・・センターの玉将が白で他は黒・・・そして死神も黒・・・何がなにやら・・・♪
解除後の観劇一発目がこれでは情けない・・・♪
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
今回のコロナでの特別な演出だったのだろう・・・ピリピリする位伝わってきた・・・♪
久しぶりに思い切り笑った♪
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★
4短編。共通しているテーマは、”人間の建前と本音”、それをブラックユーモアとして描いている。役者は新型コロナウイルスを意識してマスクをしているが、その姿は物語に納得性のある演出にしている。とは言え表情が観えないのは、やはり少し残念。
【上演時間1時間25分】
ネタバレBOX
舞台セットはいくつかの箱馬があるだけ。その組み合わせで状況を巧みに観せる。全体を通してコロナ禍を思わせる演出だが、底流には人の本音と建前が透けて見える。そしてどんな状況下にあっても逞しく生きようとする人の生き様を描いている。それは特別なことではなく、当日パンフで藤原珠恵女史が「内容はヒーローものではございません.」「世間では演劇なんて必要ないという意見もあるけれども、私たちだって少なからず誰かのヒーローなんです。きっと。」と書いている。
自分も演劇は、音楽や映画と同様、文化だと思っている。それを守り発展させることが必要ではないだろうか。その意味では、公演を行うには厳しい状況下において、相当の決断をもって行ったと推察する。
物語は4話…どれも珠玉作。
1.「仮面家族」は、家族でも本音と建前を使い分け生活する。マスクと仮面という外見で比喩させた観せ方。家族内で祖父と孫娘のヒーロー対決ごっこがマンガ風で滑稽だが、何故かシュールに思えてしまう。
2.「こんな時にナン」は、地球滅亡が迫りくる或る日、職場で悪さを働くOL2人の会話劇。コロナ禍で三密を避けると言いながら、濃密な会話劇を繰り広げる。危機的な状況にも関わらず目先の悪事に没頭する、そこに何故か生きる逞しさを覚える。
3.「整形」は、まさしくタイトル通りの逃避行人生を送る女の傲慢とその末路。結婚詐欺という犯罪、それを繰り返すために…。因果応報という王道的な作品。
4.「一室、三軒分離通話」は、一見遠隔地における会話かと思えば、一室でも三密を避けるために分離通話するという今状況下を反映した設定。同時にコロナ以前も相手が眼前にいるにも関わらず直接会話することなく、スマホ等の媒体を通じて意思を通わせようとする。何となくシャイ、不器用な人間関係が見えるようだ。
どの作品もエッジあるもの。そう思わせるのは脚本はもちろんだが、役者陣の熱演ではないだろうか(もちろん体温のことではない)。稽古も思うようにできない条件下で、1時間25分、しっかり楽しませてもらった。
次回公演も楽しみにしております。
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
このところ耳の調子が悪いのに加えて、役者さんはマスクをしていて大丈夫かなと思いつつの開演でしたが、さすが役者さんですね。ちゃんと聞き取れました。一部マスクが二重になっているところもあったにも関わらず、支障はありませんでした。
短編4編。笑えたり怖かったりで楽しめました。
当パンの挨拶にもありましたが、舞台の向こうとこちら、お互いがHEROESでありたいです。
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
オープニングから今ならではの内容であっという間に終わってしまいました。
オンラインでの観劇はしていましたがやはり舞台は生で見るのが一番!と感じさせてくれて本当に感謝です。
久々に楽しい時間を過ごさせてくれてありがとうございました。
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
マスクをしたままの演技、苦しくて大変だったと、思います。私達のために、本当にありがとうございました。久しぶりのお芝居、すごーく楽しめ、満足でした。
笑ったくち、ふつうのくち、アイデア、最高。
3番目の、医者と患者の作品がとくに面白かった。オチが最高。
全作品、それぞれいい脚本だった。それぞれ味わいがある。
1つだけ残念だったのは、沢山笑ったけど、しらけたところが、少しあった。
でも、こんな時期に、公演していただいただけで、感謝、感謝です。ありがとうございました。
MASKED HEROES
藤原たまえプロデュース
小劇場B1(東京都)
2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
この時期こんなふうに劇場で観劇出来てそれだけで感激でした。
マスクがテーマ(?)の四作品。バラエティーショー的。上演の順番に妙があった。
最後の男三人の野郎芝居に笑ったし和んだし、その前のミステリーもよかったし、その前の二人芝居もよかった。最初の家族芝居のナンセンスな感じもよかったです。
ミキシングレディオ2020
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2020/06/25 (木) ~ 2020/07/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
観客にどうすれば伝わり、より安全な舞台が届けられるか考えられて、こうして久しぶりに演劇を見れる事に感謝と喜び。
役者さんはフェイスフィールドを付けての演技だがDJのあれだけのセリフも気にならず入ってきた。
スカッとしない世の中で、元気になれるとても面白い舞台。改めて人生に舞台演劇は必要だと感じた。
カーテンコールでの役者さんたちもとてもいい顔だった。