MASKED HEROES 公演情報 藤原たまえプロデュース「MASKED HEROES」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    4短編。共通しているテーマは、”人間の建前と本音”、それをブラックユーモアとして描いている。役者は新型コロナウイルスを意識してマスクをしているが、その姿は物語に納得性のある演出にしている。とは言え表情が観えないのは、やはり少し残念。
    【上演時間1時間25分】

    ネタバレBOX

    舞台セットはいくつかの箱馬があるだけ。その組み合わせで状況を巧みに観せる。全体を通してコロナ禍を思わせる演出だが、底流には人の本音と建前が透けて見える。そしてどんな状況下にあっても逞しく生きようとする人の生き様を描いている。それは特別なことではなく、当日パンフで藤原珠恵女史が「内容はヒーローものではございません.」「世間では演劇なんて必要ないという意見もあるけれども、私たちだって少なからず誰かのヒーローなんです。きっと。」と書いている。
    自分も演劇は、音楽や映画と同様、文化だと思っている。それを守り発展させることが必要ではないだろうか。その意味では、公演を行うには厳しい状況下において、相当の決断をもって行ったと推察する。

    物語は4話…どれも珠玉作。
    1.「仮面家族」は、家族でも本音と建前を使い分け生活する。マスクと仮面という外見で比喩させた観せ方。家族内で祖父と孫娘のヒーロー対決ごっこがマンガ風で滑稽だが、何故かシュールに思えてしまう。
    2.「こんな時にナン」は、地球滅亡が迫りくる或る日、職場で悪さを働くOL2人の会話劇。コロナ禍で三密を避けると言いながら、濃密な会話劇を繰り広げる。危機的な状況にも関わらず目先の悪事に没頭する、そこに何故か生きる逞しさを覚える。
    3.「整形」は、まさしくタイトル通りの逃避行人生を送る女の傲慢とその末路。結婚詐欺という犯罪、それを繰り返すために…。因果応報という王道的な作品。
    4.「一室、三軒分離通話」は、一見遠隔地における会話かと思えば、一室でも三密を避けるために分離通話するという今状況下を反映した設定。同時にコロナ以前も相手が眼前にいるにも関わらず直接会話することなく、スマホ等の媒体を通じて意思を通わせようとする。何となくシャイ、不器用な人間関係が見えるようだ。

    どの作品もエッジあるもの。そう思わせるのは脚本はもちろんだが、役者陣の熱演ではないだろうか(もちろん体温のことではない)。稽古も思うようにできない条件下で、1時間25分、しっかり楽しませてもらった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2020/07/01 18:31

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