
ワンマン・ショー
八角家
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/01/28 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★
劇場で観劇しました。
重層的な筋立てで難解な芝居。
役者さんの演技はよいと思います。
ただ、どっちかと言えば映像であっちこっち見返しながら、見たいかも。

少女都市からの呼び声
劇団唐組
駅前劇場(東京都)
2021/01/20 (水) ~ 2021/01/24 (日)公演終了
満足度★★★★
公演を知ったのは公演中日の事であったが、唐組初?の劇場公演(駅前)にして僅か5日間という「らしくない」公演はやはり見ておきたく、千秋楽当日キャンセル待ちで滑り込んだ。
「少女都市」は20年以上前の新宿梁山泊公演と、数年前唐ゼミ又は梁山泊で観ていたが、今回はコロナ対応で圧縮したのか「あれ?こんな短かったっけ?」休憩無し1時間半弱で終わった。
「普通に見れた」芝居であったが、恐らく多くの観客の期待する解放感(屋台崩しがその頂点)「町に接している」緊張感が無い中での上演という「チャレンジ」は、コロナ禍下のイレギュラーなのか今後への一歩なのか・・(当然私は前者であって欲しいが)。
評としては、劇場向け芝居の「細やかさ」が、野外の醍醐味(雑駁さ)を埋め合わせたかは微妙である(観劇料をやや安に設定した所に劇団の自意識がしのばれる)。が、劇団の健在を確認できたのは嬉しい。
他には、出演数も少なめ。コロス的俳優4,5名は見たところ新顔であった。
今回は特徴ある風貌の大鶴美仁音が主役を務めた。天然ぽさが武器だが細やかな陰影を持つ表現者への脱皮のこれが一歩となるだろうか。

正義の人びと
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/29 (金) 14:00
座席B列18番
オフィス再生の上演を観てから3年後、俳優座上演を観る。
オフィス再生での上演では、主人公ヤネクが、最初の大公暗殺の失敗から、自らの正義と倫理との狭間で苦しむ中、「正義」の議論は、彼を取り巻くレジスタンス達の応酬として展開する。渦中のヤネクは苦悩こそすれ、ただただ無力で、懊悩するばかりだ。そして、自我を打ち消す棟に無機化して、大公暗殺に出向く。そこに誕生したのは、新たな英雄であり、もはや無垢に帰した屍のような人物だ。彼は思考を停止したかが故に無謬であり、何者にも咎められることはない。レジスタンスの同志たちは、彼の英雄性をいかに賞揚するかに専心し始める。「正義の人」とは何か?倫理の立脚点としての存在を問い詰めるような演出だった。
それに比して、俳優座の演出は、「正義」とは何か、むしろ意味論、価値論的に徹底して突き詰めようとする。ただ、いうまでもなく「正義」は相対的な思考軸の在り様でしかない。
レジスタンス達には、大公暗殺は「正義」だが、同行した甥姪を巻き添えにすることは「正義」ではないとする者。否、甥姪をも犠牲にして大公暗殺を優先するのが「正義」だという者。そして各自の「正義」たる主張は、みるみるうちに多種多様化し混とんとしてくる。
そう、レジスタンス各々の御旗になる「正義」の主張は、愛、憎悪、期待、同情、信頼、
失望、欲求などなど、あらゆる感情に還元され溶解されていく。
大公妃においては、夫大公にこそ正義はあるが、甥姪の道徳観・人民観に「正義」はないという。「正義」とは
どちらも妥協なきがゆえに、ただただ感嘆すべきドラマ性と演出。

モンテンルパ
トム・プロジェクト
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2021/01/23 (土) ~ 2021/01/30 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/29 (金)
温泉ドラゴンのシライケイタがトム・プロジェクトに書き下ろした新作で、実話ベースの作品だが、私は知らなかった物語で面白い。観るべし!
戦前から終戦後に活躍した渡辺はま子(島田歌穂)が1999年の大晦日に横浜の公園で少女と話しているシーンから始まり、人生を回想して最も印象に残ったこととして語るモンテンルパへの関わり、という話を始める。モンテンルパとは、フィリピンのマニラ近郊の都市で、戦後、日本人の戦犯が100名以上入れられた刑務所があるという。教悔師としてモンテンルパにいた多賀尾(大和田獏)が戦犯に寄り添う。そこでの戦犯の生活や冤罪疑惑を聞いた渡辺が、減刑や帰還に向けて努力する。この2人を軸にして、さまざまな人々の努力と苦難を一定程度史実に基いて展開されるのだが、シライは物語に普遍性を持たせることも忘れていないあたりが見事だ。淡々と事実を積み上げる形の芝居だが、終盤の展開は見事でエンディングは美しい。後でいろいろと調べて分かったことがいろいろあり、興味深い作品だと思った。

お伽草子
アートプロジェクト集団「鞦韆舘」
藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)
2021/01/16 (土) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
小屋内はとても寒く、アクターの息も白くなっていて可哀想でした。寒さのせいか、途中退出者もいました。今後観劇する人は寒さ対策必須。内容は満足🍴🈵😆。環境も大切だと思いました❗

シェアの法則
劇団青年座
ザ・ポケット(東京都)
2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2021/01/28 (木) 18:00
シェアハウスを舞台にした「いい話」だった。観るべし!
劇団「日穏」の主宰である岩瀬晶子が青年座に書き下ろした新作。日穏は私のお気に入り劇団の一つだが、岩瀬の書く脚本は緻密で無駄がない良さがあると思っている。本作もその特徴が発揮されている。
とある町にあるシェアハウス「トゥルペンハウス」は、大家のキヨコ(登場しない)の意向で周辺の同業よりかなり安い家賃で、ワケアリ系の入居者が多い感じ。今日も朝から住人たちが細かい「あるある」事件を起こすが、実はそのキヨコが骨折し入院し、夫の秀夫が乗り込んで来たため、会計士の秀夫(山本龍二)は儲けにならないシェアハウスを儲かる状況にするために家賃の値上げを言い出す…、というような展開。序盤で細かいエピソードを提示し、家賃の値上げという事件を通して、さまざまな展開を経て、伏線を回収してエンディング、という岩瀬の脚本がまず良い。加えて、青年座のような伝統のある劇団の特徴として幅広い年齢の役者が出演できるという利点も活きて山本・岩井富子らのベテランから高校生役まで、役に見合った役者が生き生きと演じる様子は観ていて安心できる。
おそらく観ている観客のほとんどが、こうなってほしい、と思うエンディングにほぼなるというあたり、ベタと言えばベタである。だが、ベタであることで安心できる舞台というものもあるということを改めて確認できる芝居もあるのだと思う。ベタにはベタなりの良さがあるのである。また、カーテンコールでの岩井の喜びようを観ていて、演じる側も嬉しい舞台がある、という当たり前のことにも気づかされたのも収穫だった。

シェアの法則
劇団青年座
ザ・ポケット(東京都)
2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
予約フォームから当日精算で予約した時に、希望の席があればということで記入したのでしたが、わざわざ電話での確認をいただきまして助かりました。
一見、相場よりだいぶ安いシェアハウスで楽しく暮らしている人々でしたが・・・。
チラシの写真に並ぶ様々なカップがいろんな人がいることを象徴しているようでした。
パンフレットにあった岩瀬晶子さんの「地球は大きなシェアハウス」という言葉にうなづきました。

トスカ
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2021/01/23 (土) ~ 2021/02/03 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
METライブビューイングも含めて4回目のトスカ。4年前の新国立は、これが生のオペラ初体験だったせいか、何かなじめなかったが、今やほれ込んだ。非常によくできているオペラ。主役のトスカが1幕では嫉妬深い、面倒くさくて、うまく警察に泳がされるコマッタ女なのに、2幕で強い女に変貌し、3幕で悲劇的な死を迎える。悪役スカルピアがトスカを追い詰めた結果、彼女を変化させるわけだが、スカルピアが光る。色男カヴァラドッシは、正義感なんだけれど、この二人の間では少々影が薄い。
今回はテノールがよかった。ソプラノ、バスはもちろん。
ただ、急に仕事が入って、2幕までしか見られず。でも、その分、3幕の映像を家で見たり、モチーフを後で復習したり、全部見られなかった不全感にはメリットもあった。

アチャラカ
オフィスワンダーランド・(一社)演劇集団ワンダーランド
劇場MOMO(東京都)
2021/01/28 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
「私の青空」の歌が要所要所で歌われ、カーテンコールは大合唱。井上ひさし芝居を思い出し、それだけでも見た甲斐があった。劇音を、キーボード、ドラムス、サックス、バイオリンの四人の生バンドでやるのも贅沢。BGMとしてサックスが時折、やはり井上芝居で聴いた曲をやる。調べると、三文オペラノ「マック・ザ・ナイフ」。「夢の裂け目」のラストで使っていた。これも耳に馴染む曲で、良かった。実はアームストロングなど何人もがカバーして、ジャズのスタンダードなのだそうだ。
戦争末期、若いエノケンの人気に怯え嫉妬する、人気に翳りのロッパの話である。でも、舞台の見所は、「喜劇など不謹慎」という憲兵と婦人会役員を、部隊に巻き込んでしまう劇中劇と、戦後の焼け跡で、ほとんど人のいない野外で演じる「はりきり忠臣蔵」のコミカルな討ち入り、立ち回り。
憲兵の弾圧や焼け跡が、コロナ禍の自粛・緊急事態宣言や観客のいなかったりすくなかったりする劇場に重なって見えた。2013年の初演?の再演なので意図したのではないようだが、意外な普遍性に驚いた。
1945年3月に娯楽の緩和令が出て、喜劇などの上演も許されたという。本当だったらすごい。知らなかった。戦局が悪化し、苦難ばかりだから、政府・軍部も笑いの必要を察したからということらしい。

アチャラカ 昭和の喜劇人・古川ロッパ、ハリキる
オフィスワンダーランド・(一社)演劇集団ワンダーランド
紀伊國屋ホール(東京都)
2013/09/05 (木) ~ 2013/09/08 (日)公演終了
満足度★★★★
2021年の中野MOMOでの公演を観た。「私の青空」の歌が要所要所で歌われ、カーテンコールは大合唱。井上ひさし芝居を思い出し、それだけでも見た甲斐があった。劇音を、キーボード、ドラムス、サックス、バイオリンの四人の生バンドでやるのも贅沢。BGMとしてサックスが時折、やはり井上芝居で聴いた曲をやる。調べると、三文オペラノ「マック・ザ・ナイフ」。「夢の裂け目」のラストで使っていた。これも耳に馴染む曲で、良かった。実はアームストロングなど何人もがカバーして、ジャズのスタンダードなのだそうだ。
戦争末期、若いエノケンの人気に怯え嫉妬する、人気に翳りのロッパの話である。でも、舞台の見所は、「喜劇など不謹慎」という憲兵と婦人会役員を、部隊に巻き込んでしまう劇中劇と、戦後の焼け跡で、ほとんど人のいない野外で演じる「はりきり忠臣蔵」のコミカルな討ち入り、立ち回り。
憲兵の弾圧や焼け跡が、コロナ禍の自粛・緊急事態宣言や観客のいなかったりすくなかったりする劇場に重なって見えた。2013年の初演?の再演なので意図したのではないようだが、意外な普遍性に驚いた。
1945年3月に娯楽の緩和令が出て、喜劇などの上演も許されたという。本当だったらすごい。知らなかった。戦局が悪化し、苦難ばかりだから、政府・軍部も笑いの必要を察したからということらしい。

東京原子核クラブ
アイオーン / ぴあ / オフィス・マキノ
本多劇場(東京都)
2021/01/10 (日) ~ 2021/01/17 (日)公演終了
満足度★★★★
マキノノゾミの代表作を初めて舞台で見られてよかった。朝永振一郎(舞台は友田)をモデルにした群像劇。前半は、今一つ舞台の人々の悩みと騒動にのれなかったが、後半の戦争激化から敗戦後までは引き込まれ、時間を忘れた。
二幕の冒頭、研究仲間が「友田さんは神様です。人間が神様をやっかんでも仕方ない。ボクは自分のできることをやります」と、サバサバというのにまず共感した。
葬儀が父親かと思ったら、実は犬のガロアだったというシークエンスも見事。巧みな勘違いのコントで思い切り笑えた。
戦局が進むにつれ、出征の見送り、原爆研究の葛藤も迫るものがあり、原爆投下の閃光と真っ暗で大轟音が長く続くのには、肉体的に実感としてゾッとした。そしてカラッと明るくなった戦後。「土足!」のギャグは文庫版の戯曲にはないが、最後に繰り返されることで、気持ちいいエンディングだった。
浅野雅博(仁科芳雄にあたる、西田)、平体まひろ(下宿屋の娘)が、要所要所で芝居の緩急をよくつけていた。平体の「前の友田さんの方が好きでした」のセリフは、意外と厳しい口調でドキとした。霧矢大夢も、シスターになってからのギャグと外見のずれが絶妙だった。餞別の十字架のお金をちゃっかり要求するところは笑えた。主演の水田航生が知的な科学者に見えないのがちょっと残念。

ワンマン・ショー
八角家
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/01/28 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2021/01/28 (木)
価格3,500円
28日18時開演回を拝見(110分)。
(こういう表現が相応しいかは自信がないが)いかにも「不条理劇でござい!」な性格設定の登場人物達が、複雑に交錯する時間軸のはざまで彷徨する、一筋縄ではいかない、なかなかに歯応えのある作品。
上演中、ずっとモヤモヤしながら観ていたが、クライマックスまで来て漸く「あっ、そういうことかぁ!」と膝を打てた。
終演時、客席の拍手がワンテンポ遅れたところからすると、他の観客にも難解な作品だったか。

正義の人びと
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/28 (木) 14:00
座席1階
カミュの古典を実力派の劇団が上演。カミュといえば降ってわいた新型コロナで「ペスト」がバカ売れする社会現象が起きたが、この戯曲は、人民の平和と安寧のために圧制者を殺害するテロは正義か、という現代でも通用する命題をめぐって暗殺者集団が大論争を繰り広げる。
舞台は暗殺前と暗殺後の2幕。翻訳に苦労したという難解なカミュの思想なのだが、役者たちの緊迫感に力を得て、客席の視線は緩むことがない。
今風に言えば、北朝鮮国民を貧困と飢餓、不自由から解放するために首領様を暗殺するのは正義かという話である。今回の舞台では二幕で、殺害された大公の妻が暗殺者に面会し、愛する夫を殺害された自分の思いをぶつける場面がある。首領様にも家族がいて(もっとも、この人は家族であっても粛正する人なのだが)果たしてその家族の安寧を破壊するのは人民のためとはいっても正義なのだろうか、と考える。
もう一つ、絞首刑になる暗殺者と恋仲の同志の女性が、恋人の処刑(死)に対して、それが自分の愛を貫くうえでも価値あるものだと半狂乱のように自分を納得させるような場面がある。主義のために死ねるか、社会をただすために愛を犠牲にできるのか。そういうことを考えなくても済む現代日本に住んでいるのは、よかったと思う。ただ、いつそういう世の中になるかもしれない、という不安は感じているわけだが。
このような戯曲を見た後は、酒場で少し議論したくなる感じだが、今はそれが一番してはいけないこと。そういう意味では不自由な世の中なのである。

Shazai !
A.R.P
小劇場B1(東京都)
2021/01/19 (火) ~ 2021/01/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
コメディと聞いて行ったのでしたが、やはり謝罪は笑って済まされないようで。笑えるところもありましたが、何ともシニカル。でもオーナーさんが宗旨替えできて良かったです。この際ですから地下室からもっと眺めの良い部屋で行うことにしたら、さらに良いのではないでしょうか?

正義の人びと
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
後半、暗い牢獄の中、上側の四角い穴から光が差し込む美しい場面で行われる対話シーンが印象深い。
5Fの稽古場での公演に慣れていたので、1Fの比較的大きな劇場での公演ではやや聞き取りにくさを感じた。

正義の人びと
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2021/01/22 (金) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★★
戦後社会に生きる若者に大きな課題を突き付けた政治劇(1949)だが、すっかり忘れていた。民藝が上演して(1969年)安保世代には忘れられない影響を及ぼした作品を、俳優座が上演する。劇場(民藝は都市センターだったか?)はかつては青年の熱気であふれていたが今はコロナの一席沖の客席を埋めるのは老年の観客だ。若者は演劇勉強中の青年が売れなかった空席にパラパラといる。革命に自らの命を懸けて挺身しなければ、と若者が社会変革への運動への参加の意味を痛切に求めた時代はわが国では遠くなっている。
この作品は鈴木、つか、佐藤に始まる小劇場運動にも、清水、斎藤以下の劇作家にも、蜷川、渡辺、などの演出家にも大きな影響を与えた。坂手、鐘下はもちろん、現代の古川、長田、中津留らも、戯曲は読んでいるに違いない。現代演劇のメインストリームの一つである。だが、大劇団公演で舞台を観たのはずいぶん久しぶりだ。
サルトルもカミユも芝居はうまい。これはロシアの専制政治の主の大公を爆弾で暗殺すると決めた社会主義政党の暗殺実行グループの暗殺前と、暗殺後の二幕である。暗殺グループのメンバーも色分けがよく出来ていて、その中で、暗殺をめぐってさまざまな立場が論じられる。社会の不正をただすための殺人は正義か、という事がメインになるが、中国全体主義や、イスラム至上主義からトランプのQアノンまで、今も解が得られていない問題を社会正義とその実行をめぐって、議論が沸騰する。対比されているのは人間の愛で、二幕では捕らえられ死刑宣告を受けた爆弾投擲者(斎藤隆介)のまえに殺された大公の妃(若井なおみ)が現れ、自分の大公への愛はどうなるのだと、迫る。投擲者の恋人で運動家でもあるドーラ(荒木真有美)は、絞首刑になる恋人と同化して民衆への愛が達成できるという。議論は原理的ですっきりはしているが、実用的ではない。
今見れば、サスペンス・ロマンのような作りで、よく出来ているので飽きないで見られる。ことに一幕二場あたりまでは流れもよく緊張が持続する。
一日二公演の夜の部を見たので、さすがに二幕も後半になると俳優陣に疲れが見えたが、議論が主になる大量のセリフをこなしたのはさすが俳優座である。この劇団の俳優は立ち姿がいいのも自慢してもいいところで、あまり見たことがない主演女優の荒木真由美ももう四十歳近いベテランだろうが、セリフも動きも実に無駄がなくきれいだ。斎藤隆介も役をよく受け止めている。
五十年ぶりに見た舞台には感無量とでも言うところだが、考えさせられるところは多かった。とても「見てきた感想」では書ききれない。そこはお預けにするが、今の時代、お預けできるだけまだ、社会の状況は切迫していないともいえるし、もうこの段階は過ぎているともいえる。いや、単にこちらが老いたのであろう。

第6回30GP
火曜日のゲキジョウ
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2021/01/19 (火) ~ 2021/01/27 (水)公演終了
満足度★★★★★
決勝戦第一ラウンドを観てきました。予選ラウンド第2試合を観たかったのですが、一歩が踏み出せず後悔。敗者復活戦でこの組み合わせが決まって迷わず予約しました。
先攻の空宙空地さんが終わって、涙がどどっと出ているところに、余韻にひたる間もなく後攻の江本真里子さんが始まってあせりました。先攻後攻も影響ありますね。
2つのお芝居に出てくる女性3人、それぞれ抱えているものがあり、さびしさやしんどさが伝わってきたけれど、出会いに救われて前に進む姿、元気が出ました。
結果はドローとなり、投票した観客10数名?の方々は票の重さを感じられたと思います。私も責任重大でドキドキしました。

眠れない夜なんてない
青年団
吉祥寺シアター(東京都)
2021/01/15 (金) ~ 2021/02/01 (月)公演終了
満足度★★★★
転換なし、音楽なし、セミパブリックスペースで様々な人々がすれ違いながら、その世界が見えてくる。平田オリザのスタイルが貫かれている。音楽については、舞台設定の時代(1988年の昭和天皇のご病気時代)に流行った歌のカセットと、初老の男たちが歌う懐かしの軍歌(!)、「ハイマオの歌」はある。
考えてみれば、平田氏は海外の日本人を書くのが好きだ。「ソウル市民」からそうだったし、新・旧「冒険王」はイスタンブールのバックパッカー宿にたむろする日韓の若者たちだった。「その森の奥」はマダガスカルの研究所。これらは、日本人以外も出てきて、いわば国際性があるが、今回は外国なのに、日本人だけの「老後マンション」で、日本論がいっそう前面に感じられる。
「日本がどこまでも追いかけてくる」とか「帰りたくない」とか、嫌うことも含めて、「日本」をつねに意識している人たち。
2008年初演時の設定を大きく変え、1988年の天皇重態の「自粛」に時代を置き、今のコロナの感染予防の自粛・制限と重ねている。これは見事な設定である。

モンテンルパ
トム・プロジェクト
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2021/01/23 (土) ~ 2021/01/30 (土)公演終了
満足度★★★★★
死刑判決などを受けたBC級戦犯108人の生死という、重い課題を描き、心に迫る感動的舞台だった。まず、14人が死刑執行される場面での、絞首台の踏み板が落ちる、ドーン、ドーンという音に全身を揺さぶられ、冷や汗が出た。
「あ>、モンテンルパの夜は更けて」を歌って、助命嘆願に奔走した渡辺はま子(島田歌穂)、フィリピンの刑務所の過酷な状況を見て「日本人戦犯たちを導く、いたわるというより、自分が同じ苦難に飛び込まなければ」と、刑務所で同じ食事をしながら、死刑囚たちの恩赦をローマ法王に嘆願書を送り続けた教誨僧の加賀尾(大和田獏)の努力、願いが描かれていく。ついには、はま子のモ刑務所慰問が実現するところは、歌もしっかり聞かせて、よかった。
そして、加賀野のキリノ大統領(真山章志)への面会が実現する。この場面が圧巻。真山さんの大統領の威厳と人間性を体した演技に圧倒された。
キリノ大統領に渡したオルゴールから、「あ>…」のメロディーが流れ出しただけで、涙が込み上げた。108人の命を握るキリノ大統領の、罪の償いの必要と、復讐の連鎖を止めたい思いに引き裂かれる心。戦争中に妻と子供3人を殺した日本軍の残虐行為への抑えがたい恨みを吐き出す。
大変見ごたえのある舞台だった。

眠れない夜なんてない
青年団
吉祥寺シアター(東京都)
2021/01/15 (金) ~ 2021/02/01 (月)公演終了