満足度★★★★
鑑賞日2021/01/29 (金)
温泉ドラゴンのシライケイタがトム・プロジェクトに書き下ろした新作で、実話ベースの作品だが、私は知らなかった物語で面白い。観るべし!
戦前から終戦後に活躍した渡辺はま子(島田歌穂)が1999年の大晦日に横浜の公園で少女と話しているシーンから始まり、人生を回想して最も印象に残ったこととして語るモンテンルパへの関わり、という話を始める。モンテンルパとは、フィリピンのマニラ近郊の都市で、戦後、日本人の戦犯が100名以上入れられた刑務所があるという。教悔師としてモンテンルパにいた多賀尾(大和田獏)が戦犯に寄り添う。そこでの戦犯の生活や冤罪疑惑を聞いた渡辺が、減刑や帰還に向けて努力する。この2人を軸にして、さまざまな人々の努力と苦難を一定程度史実に基いて展開されるのだが、シライは物語に普遍性を持たせることも忘れていないあたりが見事だ。淡々と事実を積み上げる形の芝居だが、終盤の展開は見事でエンディングは美しい。後でいろいろと調べて分かったことがいろいろあり、興味深い作品だと思った。