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シホウドウセキ

シホウドウセキ

日本のラジオ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/07 (土)

『シホウドウセキ』のチケット発売と同時に申し込んで、コンビニエンスストアでの支払いを忘れていて、他の観劇の予定を調べていた時にそれに気付き再度申し込んだ。『シホウドウセキ』は会話劇で、座席が両面の対面式の座席配置。事前に俳優の方の座るポジションが明かされていたので、早めに並んで、安東信助さんの背中越しに岡野康弘さんが見える席に座るつもりだった。受付順に入場だと勝手に思っていたのだが、チケットの申し込み順で、遅れをとったチケットだった ので、入場は40番目の手前ぐらいだった。目指す席は諦めていたのだけど、空いていた。アカシ→アンドウ · ライン上のサカキの後ろの席が。観客の好みのばらつきに感謝だった。 

でも位置などは何も関係なかった。その劇の内容の濃さに座る位置などは容易に侵食されたのだった。

『シホウドウセキ』四方同席、警察庁、千葉県警、議員秘書と、4つの暴力団の幹部達が、秘密裡に会議を行い、シノギを回避しようとする濃密な95分だった。日本のラジオの薄気味悪い、狂気を帯びたいつもの劇ではなく、固定した配置での会話劇、作/演出の屋代秀樹さんの戯曲は緻密で交錯しても整理されていて、官暴共にそれぞれの組織のしがらみを抱えた、狂暴さが見えるけど、それでいて面白味を抱える、ゴリゴリザラザラした会話を楽しめました。

moment et eternite [瞬間と永遠]

moment et eternite [瞬間と永遠]

劇団ろうそくだんす

北千住BUoY(東京都)

2025/06/06 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 「Le moment et l’éternité」傑作である。殊に脚本が素晴らしい。社会人劇団だという。大変だろうが、皆さん力を合わせ、健康に留意しつつ今後の活躍にも期待している。

ネタバレBOX

 物語は岩手県盛岡の農家長男として1967年3月3日に生まれた息子・浅沼健太郎が父の強要する農業ではなくファッションデザイナーを目指して上京し全く実体験・実経験の無い世界にそれ故にやみくもに飛び込んだ。これが結果的には僥倖を齎した。当時はまだ珍しかったデザイナーズブランド・éternelを立ち上げ成功していたファッションデザイナー・金森十和子の下で働くことになる。物語が変動の激しいファッション業界の、それも才能の容赦ない弱肉強食現場、デザイナー事務所に焦点を絞り而も関係する中枢をその本質を抽出し枢要な要素として自然と感じるほど巧みに溶け込ませ展開させる構想力・構成力は大したものである。また、健太郎(後、デザイナーとしての名は深海水生)の純粋で初心なキャラ設定も実に良い。まるで何も描かれていなかったキャンパスの如き存在だからこそ、彼の変容がドラスティックな社会の変容と過不足なく照応し展開しているのだ。
 今作で最も優れている点の1つは、我々の生きているこの地、この時と作品で描かれている内容とが紛れもなく地続きであると観客に感じさせる点である。当パンの説明を読むと社会人劇団だという。多くの社会人劇団で優れていると感じる劇団は大抵自分達が普段社会で味わっている現状から脱却し、別の世界を描こうと飛翔している場合が多いように思う。一方、一応演劇中心(時には映像なども)で、兎に角、生活の中枢を表現そのものに置くことを志している人々は、様々な演劇論や表現法に則って作品を創っている。この何れもが作品が社会を映す鏡というより、社会の中である位置を占める何かであることが多い。それは例えば喜劇であり、風刺であり、冒険譚であり、サスペンスであり・・・といった具合だ。然し今作はファッション業界を描く作品中に、自然災害やインフレ、スタグフレーション、バブルなどの経済的局面と人々、業界の好不況の有様が過不足なく見事なバランスで取り込まれ恰も当時を生き直してでもいるような錯覚に観客を陥らせる。また、変化の激しいファッション業界では描かれている時代に地殻変動のように大きな変動が幾度も襲った。その央(ただなか)で所謂オートクチュールは単に職人技というより芸術家としてのデザイナーをも生み出していた。この表現する者同士の才能の弱肉強食は一歩間違えば終わり。即ちオートクチュール作家としての死を迎える厳しいものであり、これは総てのアーティストに共通のセレクションの形である。この鬩ぎ合いが同時並行的に進むのだ。この緊張感も堪らない! 本物を求める以上必ず通らねばならぬこの道の果てに今作の、そして今作の作家の見出したものは、チェーホフのそれに近い。その内実を今後どのように膨らましてゆくか? 楽しみにしている。
Shake&Speare!!Stage 宮川彬良×木村龍之介 『ナツユメ』

Shake&Speare!!Stage 宮川彬良×木村龍之介 『ナツユメ』

株式会社トゥービー

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2025/06/06 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/06 (金) 15:00

宮川彬良(音楽/生演奏) X 木村龍之介(脚本/演出)
シェイクスピアの『夏の夜の夢(松岡和子訳)』をベースに、生演奏に乗せた楽しく面白い、現代性も加わった、たっぷりシェイクスピアの音楽劇でした。
白石加代子さんが AIアバターでティターニアを演じられ、というのかAIアバターが演じ、9人の俳優の内、ハーミアを演じた安住の地の日下七海さんのみが存じ上げている演者でしたが、皆さん歌が上手い。
上演が遊び心がたっぷりでずう〜〜っと魅入っていました!
上演中も撮影して構わない、トイレもご自由にとのことでしたが、平素はタブーの行動なので撮影しませんでしたが、記憶に残っているので良しとします!

僕は肉が食べたくて裸(ラ)

僕は肉が食べたくて裸(ラ)

南京豆NAMENAME

新宿シアタートップス(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/01 (日)公演終了

実演鑑賞

遅くなったが観たからには書かないわけにいかない。うーん、訳わからない、というのが正直な感想。皆さんの「観てきた!」コメントを読んでそういう事だったのかと納得するような体たらく。芝居全体が独特の空気感をまとっていて、私などは一歩も踏み込めない感じがした。すべての台詞が目の前をただ通り過ぎていき、こちらに届かない。(私が拒否していたのかも)世代の隔たりによる感性の違いと言ってしまえばそれまでだが。何とも釈然としない。

舞台『霧』

舞台『霧』

宮下貴浩×私オム produce

シアターサンモール(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/05 (木) 18:00

価格8,000円

06月05日〈木〉18時公演を鑑賞。

就職して社会人に。
結婚して家庭を持ち、子供が生まれて…
一般的には、これ、順風満帆の人生。
でもその一方で、本当にやりたかったこと=夢を諦めていませんか?

そういうテーマの作品です。

51際の私には、突き刺さるテーマです。
というのもここ最近、自分の残りの人生について、意識して考えるようになったからです。
だから、今回、どうしても観たいと思いました。
とてもよかったです。

ネタバレBOX

主人公は2人兄弟の兄。
早くに両親が亡くなり、苦労の末に大学を卒業。
しかし弟が大病を患い、治療費は兄が負担することに。
兄は結婚して家庭を持ち、子供も生まれる。
何かと入用で治療費もかかることから、さらなる収入を求めて夜の世界へ。
しかし売掛金をめぐるトラブルから、収入どころか借金を抱えることに…。

一日一日をようやく乗り越えながら生活する中で、
ミュージシャンという若い頃の夢はとっくに諦めた…はずだった。

ところが…かつてのバンド仲間が現れ、もういちど一緒に組もうと持ちかけられる。
彼は音楽の世界で大成功を収めていた。
フィッシュボウル

フィッシュボウル

マチルダアパルトマン

水性(東京都)

2025/05/29 (木) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/06 (金) 19:30

赤い金魚チーム 観劇
黒い金魚とは雰囲気が違うよね?
などと一緒に行った友人たちと話ができる楽しさよ♬
強さとか、弱さとか、人が違うと同じ脚本でも違って見える。
同じになる方がおかしいと思う。
同じになると、これは「作られた」ものとなり、あの雰囲気にはならないよね。
現実と非現実の境界線なんて無いのかもしれない。
と思わせられました。

ガマ

ガマ

劇団チョコレートケーキ

吉祥寺シアター(東京都)

2025/05/31 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/03 (火) 19:00

それぞれの立場、思い、それぞれの夢…。
あの暗いガマの中で出会ったものたちの物語が観るものの心を震わせる。
教育の恐ろしさや、地元民の想いとか…
戦争はよくないし、良いことが無い!!って思うよね。

ガマ

ガマ

劇団チョコレートケーキ

吉祥寺シアター(東京都)

2025/05/31 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/08 (日) 14:00

沖縄戦と言っても教科書とニュースでしか知らない私たちをがつんと打ちのめす。
ノーテンキな令和の日常を根底から揺るがす緊張感MAXの台詞を浴びて、
初めて私たちは戦争を「情報」ではなく「疑似体験」する。
こんなことが出来るのはやっぱり芝居、それもチョコレートケーキの圧倒的な力だ。

ネタバレBOX

全編ガマの薄暗い空間で展開する。
敵の攻撃を逃れてこのガマに逃げ込んだ6人の、ここまでの経緯が少しずつ語られる。

戦時下における教育の賜物のようなひめゆりの少女、
少女に助けられた、部下を全員死なせてしまった少佐、
助からないとはいえ負傷した教え子を置いて逃げた教師、
そして二人の脱走兵と、
彼らの道案内をして来た住民の老人。

全員が死んだ人間を思い、生きている自分に負い目をもって息を殺している。
そして死ぬチャンスを待っているように見える。
それでいて心のどこかに生きることへの渇望が蠢いている。

印象的だったのは、人間に価値観を植え付ける教育の力だ。
ひめゆりの少女が、傷つき死んでいく兵隊を山ほど見ても尚、天皇陛下のために死ぬと言い、
そうすれば沖縄県民は立派な日本人として認められるのだと言う、
その頑なまでの訴えに”死ぬことを怖れぬ国民は使い易い”という怖ろしい目的を見る思いがした。
純粋なだけにお国の教育を疑うことが出来ずにもがくひめゆりの少女を演じた
清水緑さんの迫真の台詞が素晴らしかった。

「白旗を挙げた者を攻撃はしない、捕虜を傷つけることもしない」と皆を説得するのは
病気で妻を、3人の息子を戦争で亡くした孤独な老人知念さんだ。
脱走兵と知りつつ騙されてやる優しさ、頑な少女の心を解きほぐす素朴で力強い言葉、
自責の念に駆られる者には「それでも生きるのさ、命は宝だから」と諭す温かさ。
キャストを知っているからそれと判るが、久々に拝見した大和田獏さんは
イメージを覆す見事な老人ぶりで、柔らかさと信念の強さがあって素晴らしく魅力的。
台詞はどれも朴訥で、声高に相手を変心させようとはしないのに、
やさしい言葉で「それでも生きて欲しいのだ」と心を尽くす姿にボロ泣きした。

字面で読んだり映像を見ただけの情報から、一気にあの時代のあの空間へ引きずり込まれた。
全編ガマの中の限られた空間が舞台で薄暗く、その分集中して時空を遡ることが出来る。
ラストで白旗を掲げた6人がガマから外へ出るシーン、その時初めて
強いライトが全員の顔をはっきりと正面から照らす。
恐れと、不安と、だが知念老人のことばを信じて明るい方へ向いた表情が力強かった。

外へ出た時、どこか「戦時下体験テーマパーク」から出て来たような錯覚を覚えた。
戦う体験ではなく、戦いたくない側の壮絶な体験だった。


うず 螺旋とリズム

うず 螺旋とリズム

大駱駝艦

座・高円寺1(東京都)

2025/06/05 (木) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

大駱駝艦さんは今回で3回目、千秋楽にお邪魔しました
身体表現のみなので、見る側がどう受け取るかによって評価が割れる舞台だと思います。

個人的に今回の公演とは全く関係ないところなんですけれど
2週間ほど前に同じ劇場で、物凄い公演見てしまったからか??
なんだかなって感じは否めないステージでした

今回で3回目でしたが
回を追うごとに…という感想になって来ておりまして
今回で大駱駝艦さんの公演は卒業でいいかなという感想です

しかし今回最前列の席で拝見出来たのですが
2週前の公演最前列だったらなと失礼な事を思ってしまいました。。。
ごめんなさい

六道追分(ろくどうおいわけ)~第四期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第四期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/05/28 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/06/08 (日) 14:00

 今回は、片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」第33回ロングラン本公演『六道追分』第四期を観に行った。剣チームの公演で、他に龍チームの公演もあるのだが、私が観た回の次の回の公演が、第四期公演において本当の意味での千秋楽公演だったので、私は千秋楽公演ではなかったものの、千秋楽を夜の回に控えた、14:00の公演だったこともあってか、全体的に役者にも磨きがかかっており、役者がアドリブをぶっ込んでも、他の役者が即応できているといった感じで、大きなミスやケアレスミスもなく、緊張し過ぎず、程良い緊迫感も時々作り出していて、そのバランス感と言い、劇全体としても完成度の高い仕上がりになっていると感じた。
 また、第三期の章衛門役の俳優の喉が枯れていて大丈夫かと思って、劇中ところどころ劇に集中云々以前に、俳優個人の体調を心配してしまったが、今回は、少なくとも剣チームに関しては、役者全員が健康上の問題はなく、万全の状態でこの舞台に望んでいるのを見て、前回以上に集中して観ることができた。
 
 一期目から始まったロングラン本公演『六道追分』は、今回の四期目に至っても良い意味で、劇の内容も、終わらせ方も変わっていなかった。
 但し、細かい部分での所作や動き、役者のアドリブなどは一期目の時以上に柔軟に役者が対応できるようになり(但し同じ役者じゃないが)、磨きがかかっている気がした。
 
 この第四期をもって、座長の山田拓未さんがロングラン本公演『六道追分』に出演するのが最後だというのもあって、山田さん演じる鬼アザミ一味の頭領鬼アザミ清吉をいつも以上に着目して見ていたが、良い意味で今までと変わらず、お菊との茶屋での喧嘩の場面でも、威圧感があったり、居丈高というより、どこか温厚で優しくて、気さくな素顔が演技の端々に現れていて、勿論無意識に素が出ている可能性もあるが、人として共感を持てた。決してハッピーエンドとは言えない切ない結末なだけに、多少なりとも共感が得られる等身大で人間味溢れる感じの清吉に、せめてもの救いを感じた。
 そう考えると、この清吉を違う役者が演じるとまた違った清吉像が出来上がるのかもと考えると、無論山田拓未さんではない役者による清吉も1回は観ているが、もっと観てみたいし、興味深く感じた。
 また、余談だが、女優や中高生ぐらいの子どもが清吉役を演じたら、どんな化学反応が起きるのか、個人的に気になった。

 今回お菊役を演じた二宮響子さんは、二期目の龍チームの公演の際に石井陽菜さんに匹敵するか、それ以上に茶屋での清吉との喧嘩や宿屋で意地を張り合う場面において、啖呵を切ったり、威圧感、高圧感、切れた具合の凄みに尋常ならざる迫力と緊張感があり、清吉役の山田さんを圧倒しており、観ている私まで硬直する程の恐さと迫力、緊張感があった。
 良い意味で今までのお菊役以上に、存在感があり、今までお菊を演じてこられた女優さんたち以上に花魁の中でも最上位の花魁の役が似合っていた。肝の座り方、美人で艶があり、和装が似合う感じといい、二宮響子さんがお菊役として、どこか堂々とした足取りで周りを圧倒する感じといい、余りにもはまり役過ぎた。
 今まで、このロングラン本公演『六道追分』の山田拓未さんが出る公演の際、W主演のお菊役の女優さんはどこか(必ずしも身長差があるとは限らないが)山田さんと疑似親子のような関係性に見えやすい感じになっていたが、今回は対等というか、二宮さん演じるお菊に圧倒されていて、新鮮だった。
 これからも、役者が変わるごとに清吉やお菊のイメージもどんどんその役者の個性やアクの強さ、存在感などによって更新されていくのが楽しみで仕方なくなった。(勿論、他の役の役者にも要注目だが)
 今回は、七越、松山、花里の花魁役の女優さんたちが、今まで以上に存在感があり、また一期目〜今回の四期目に至るまでの中で、四期目剣チームの七越、松山、花里役を演じる女優さんたちが特に大人の色気というか艶があって、花魁役を演じる女優さん3人全員花魁衣装が似合うと言うことはなかなかないことだったので、驚愕した。
 しかも、今まで花魁役を現役の有名アイドルが演じることがあまりなかったので、剣チーム花魁花里役を有名アイドルグループの現役メンバー「アイオケ」の草凪美海さんが演じられていたことを、終演後に買った第四期のパンフレットに書かれており、意外に思った。
 但し、事前に女優さんが普段どんな活動しているかとか、別段調べず行って、劇場で観た段階だと、草凪美海さんが良い意味で大人の色気というか艶やかに見えた。花魁役が似合って見えた。そして後で、パンフレットを買って、「アイオケ」という有名グループにいるような人が、小劇場演劇に出て下さって、それも前のほうの席が舞台と距離が近いような劇場で上演されている劇に出て下さっていると言うことに感動し、感慨深くなった。

 今回の剣チームお琴役を、お琴役としては初めてのアイドルグループ「RiKKYY」の現役メンバーの長瀬友起さんが演じられていると、後でパンフレットを見て知って、どうりで劇中観た際に、お琴役にしては、あまりに可愛く、輝いて見えた訳だと、良い意味で納得がいった。

 今回の剣チーム尼さん念念役の白須慶子さんは一期目剣チーム念念役の吉田真綸さんとやや性格付けを被せてきたが、大きく違ったのは吉田さんがアイドルじみた雰囲気で、小悪魔っぽく、あざとくて憎めない感じのSキャラだとしたら、今回の白須さん演じる念念は普通に穏やかな尼さんに見えるドSというような違いがあって、面白かった。
 但し、吉田さんも、今回の白須さんもギャップ萌ということでは、不思議なことに共通していた。
 そしてどことなく蓮舫氏に似ている白須さん演じる今回の念念は、今まででかなりリアルにいそうな生真面目で、堅物で質素な感じの僧侶な雰囲気と裏腹に、馬鹿力で調子の良く、人の話を聞かなかったり、念念が説法してる時に柏餅を食べたりと食い意地も張った、でもどこか憎みきれない加藤拓也さん演じる珍念の腕を捻じりあげたり、珍念の首を、手に持っている数珠で締め上げたりと一期目剣チーム念念役の吉田さん以上の過激差ぐあいが面白く、それでいて普段清吉たちに説法する際は、何処か姉御肌な感じの温度差が面白かった。

 一期目剣チーム遣り手役を演じた太田有美佳さんは、当時は今年の誕生日がまだ来てなかったので、31歳と、この後に続く期の遣り手役の人たちの中で1番若かったのだが、今回遣り手役の剣チームの関口恵那さんは、その太田さんよりも若く、更に今年の誕生日がまだ来てないので、今は27歳とパンフレットで知って、驚いた。
 しかし、観た時点で関口さんは遣り手を演るには若すぎる感じもしたが、ドスの効いた、相手を威圧し、今まで見た遣り手の中で一見怖くて近づき難い、言葉の端々からも高圧的で、演じた本人がそう思っていたかどうかは別として、非常に命令的でパワハラ気質、ドSな感じが自然と滲み出ていて、存在感があって、改めて遣り手という役柄上最低でも30代くらいになっていないと、というイメージというか、勝手な既成概念をぶち壊してくれ、いくら若くても、年齢なんかは、演じ方次第、個性やアクの強さ、存在感の滲み出す感じ次第で、いかようにもカヴァーすることができると感じ、恐れ入った。
 また関口恵那さん演じる遣り手はどことなくしっかりしていて、自我を持ち、強く艶やかさもあって、ただの嫌な遣り手とか、守銭奴といった感じではなく、与力の徳蔵や九次といった上級役人に対しても、媚び諂うと言うでもなく、キツく、毅然と立ち居振る舞っているように見える態度が、良い意味で非常に現代的な解釈をしており、とても共感できた。
 そしてまた今回の剣チーム遣り手役の関口恵那さんが、今までの遣り手一若いと言うだけでなく、今までの遣り手一、衣装も今までと比べると目立っていたのが新鮮だった。
 それにカラコンをしているのも、良い意味で、関口さん演じる遣り手を際立たせていた。
 そして、どこか今どきのSMの女王様な感じが滲み出ていて、一期目〜四期目までの遣り手役一、今までの中では一番印象に残った。
 今まで遣り手役の人で、W主演の主役や金襴豪華で艶やかな花魁たちの役の人たちが霞みかねないほどの存在感と、遣り手役にしては地味じゃなく、どちらかというと派手な感じで、食い込んでくるのは新しみがあって良かった。
 例え、主役じゃなくても、これぐらいの存在感と、派手さは欲しいと、次の遣り手役の人にも大きな期待を抱かずにはいられなくなった。

 今回の剣チーム同心共蔵役の伊藤清之さんは、今時な爽やかで純朴で、世間知らずな雰囲気の俳優だったので、アドリブほとんど無し、小ネタも殆どなしのほぼ台本通りだとしても、屈託のない笑顔と真っ直ぐ純粋で可愛らしい顔に癒やされ、細かいことなんてどうでも良くなって、全て受け入れられる気がした。
 先輩同心章衛門役の剣チームの田中しげ美さんが共蔵役の伊藤清之さんとのやり取りで、恐らくアドリブであり、田中さんの本音でもあるんじゃないかと思える「君のその真っ直ぐで素直で汚れがない感じを見ていると、俺つい意地悪したくなっちゃうんだよねぇ」と言うような発言も面白かった。
 また、今までの章衛門役と違って、髪を後ろで束ねている感じが印象的だった。忍者や浪人といった役も似合いそうだと感じた。

四期目与力の徳蔵役の小林一誠さんは、どちらかというと良い意味で、堅い役職の人というより、遊び上手、世渡り上手で、吉原遊廓等で豪勢に遊ぶ商家の大旦那とかにいそうな雰囲気の人といった感じで、与力の徳蔵といった感じはしなかった。
 そういう意味で、優しくイケオジで、良い声をした与力の徳蔵演じる小林さんと、剣チーム与力の九次役を演じる今どき感のない、私の高校の英語の中年男性教師に似ている濃いいイケメン山西貴大さんの熱血で、猪突猛進で、無骨で生真面目で、エリート気質な性格とのまさに水と油なバディの組み合わせが新鮮で、面白かった。
 また、山西さん演じる与力?同心のトップ?の九次は、今まで演じられてきた九次の中で、その濃いい見た目に反して、闇感がある感じじゃなく、嫌な感じも色濃くさせず、ワイルドな感じもせず、熱血で生真面目でエリート気質で、どこか真っ直ぐで、猪突猛進なところが、全く違う新たな九次像を創出していて、新鮮だった。

 宿屋の女将、茶屋の女中役が今までの安定の川手ふきのさんから、今回の剣チームでは野村祥代さんが演じられていたので、どうなることかと思ったが意外と合っていた。
 図々しく、出たがりで、漫画みたいに誇張された感じで、アドリブもちょこちょこ入れ込んでくる川手さんとは違って、野村さん演じる宿屋の女将、茶屋の女中は無駄に出しゃばったり、アドリブを急にぶっ込んで来ることもないが、良い意味で、格好も含め、地味で本当にその辺にいる宿屋の女将や茶屋の女中な感じに見えた。

背理的ナントカ論

背理的ナントカ論

名古屋大学劇団新生

名古屋大学全学教育棟A館A27教室(愛知県)

2025/06/07 (土) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/08 (日) 11:00

面白かったです。
先日、観させていただいた
名城大学劇団「獅子」さんの
『アンドロイドはアイを知る』に通ずるものがあったかも。
どちらも素晴らしい作品でした。
こちらは、おそらくは全人類が滅び、
ロボットだけが生き残った近未来のお話で
改めて生きるってどういうことかと考えさせてくれる脚本。
神は何のために自ら似せて人を創り
人は何のために人に似せたロボットを創ったのか・・・
ただ、生きて死ぬだけなら人もロボットも同じこと。
学ぶことで”感情”すら手に入れたロボットは
やがて人に取って代わる存在に成りえるのか・・・
世の中はまがい物で出来ていると自ら語る演劇ロボットは、
いったい誰のため、何の意義を見出して
これからも演じ続けていくのでしょうか?

moment et eternite [瞬間と永遠]

moment et eternite [瞬間と永遠]

劇団ろうそくだんす

北千住BUoY(東京都)

2025/06/06 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

これは見事!バブルの時代のファッションデザイナーの半生記、グッときましたね。丁寧なストーリー展開で、映像も2面を使った舞台設定も良い。ちょうど自分が大学生だった頃と被っていて、懐かしいエピソードも多数あり、ファッションに疎い自分には色々と勉強になりました。

棟梁ソルネス

棟梁ソルネス

kondaba

大内木工所跡地(大阪府)

2025/06/06 (金) ~ 2025/06/09 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

人形劇+朗読劇+異質空間のコンプレックス演劇
雨も降り、当然空調も無い蒸し暑空間で、ライトがあたる役者からは汗が…
人生の栄枯盛衰への葛藤を中心に、人生のプロセスや代表たる者の身勝手さ等々を絡ます展開なんだが、いまひとつ
旧維新派(過去関西では3本の指に入る、舞台美術に定評が有る劇団)のメンバーで構成され(シネ・ヌーヴォも旧維新派が運営)ているので、期待し過ぎた面は有ったが…
僕には刺さらなかった

愛一輪 バカの花

愛一輪 バカの花

動物電気

駅前劇場(東京都)

2025/06/07 (土) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/06/08 (日) 14:30

座席1階

「動物電気」を初鑑賞。既に30年のキャリアがある老舗劇団である。驚いたのは、客席はまさに老若男女、きわめて幅広い。古くからのファンもいれば、自分と同じように初めて見るおじさん・おばさんたちも。中には子どもを連れた家族連れも何組かいる。

近年のコメ不足や物価高騰など、時事ネタを混ぜたコントでスタート。これはひょっとしていつものパターンなのだろうか。これから登場する俳優さんたちがコントに参加し、冒頭から客席のあちこちで笑いが漏れる。本編はその後。サウナのシーンから始まる。客席最前列にはビニールシートとタオルが配られて俳優の水浴びから身を守るのだが、考えてみれば腰巻きタオルだけで水浴びをする俳優さんも大変だ。
とある温泉旅館に宿泊した大金持ち家族を狙う窃盗団の物語。愛あり裏切りありで面白いが、冒頭のサウナシーンじゃないけど結構際どい場面もある。子どもに見せていいのかな(笑)
ネタは昭和のものが多く、おじさん・おばさんたちでないとわからないギャグや音楽もあったと思われる。
主宰の政岡泰志は「お客を笑わせているのでなく、笑われるのでもなく、一緒に笑っている、そんな芝居を目指す」と言っていた。今作ではそのようなシーンが随所に見られた。舞台と客席の一風変わった一体感というか、この劇団の魅力と言えるのだろう。
また、これも常連さんには当たり前の場面なのかもしれないが、劇中に換気を兼ねたインターミッションがある。客席全員に起立を求め、伸びをしたり、体操をしたり、深呼吸をしたり。上演時間は2時間弱だが、とてもいいアイデアだ。

昭和から騒ぎ

昭和から騒ぎ

シス・カンパニー

世田谷パブリックシアター(東京都)

2025/05/25 (日) ~ 2025/06/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/07 (土) 17:00

2度目の観劇。やはり面白いし、良くできている。(108分)
 2度目なので、ちょっと冷静に観ていたのだが、とても良く出来た戯曲だと思う。展開はシェイクスピアのオリジナルを活かしつつも、8人の登場人物それぞれに「見せ場」を作るあたりが巧い。特に、脇のどん平(松島庄汰)の話す場面で照明がちょっと落ちて、ダークな雰囲気を出すあたりの巧さが凄いと思う。8人それぞれに見事さがあるのだが、峯村と山崎の巧さが光る。それにしても、舞台は3作目の松本の初々しさがステキ。

メイクコンタクト

メイクコンタクト

劇団ZERO-ICH

雑遊(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。
全力で宇宙人との交信を試みる姿が可笑しくて、気付くと口元が緩んでいました。
役者さん達のパワー溢れる演技に、こちらも元気を貰いました。
主役のスクタは勿論、魅力的な仲間達なので、今度は実際に宇宙人と遭うストーリーも観てみたいなぁと思いました。
とても楽しい時間でした!

メイクコンタクト

メイクコンタクト

劇団ZERO-ICH

雑遊(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

宇宙人ミチョパの声が可愛くて、話も面白くてあっという間の90分でした。
大人が本気で遊んでいるようで見ていて元気が出ました!

悪童日記

悪童日記

サファリ・P

ロームシアター京都ノースホール(京都府)

2025/06/06 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

とても酷い物語を客観で書いた日記で表現した作品。
明るい平台の上と、見ることができないその下にある暗闇。
日々の出来事が淡々と連なって乾いた物語となる。
難しくはないが恐ろしい世界。

短篇集『異能ヶ丘』

短篇集『異能ヶ丘』

中野劇団

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2024/09/14 (土) ~ 2024/09/16 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い短編作品!
1話事に頭を切り替えるのが大変、
どの作品も笑いに包まれていました。
いっぱい色々な作品が観れてお得な気分^_^

moment et eternite [瞬間と永遠]

moment et eternite [瞬間と永遠]

劇団ろうそくだんす

北千住BUoY(東京都)

2025/06/06 (金) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしい!!役者の演技も良いですが、舞台構成が良い!熱気あるバブル期を、はたまた自分の人生を、あの時代特有の儚さを、舞台観劇とともに反芻する有意義な時間となりました。他の作品も観たいです。

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