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雨が空から降れば

雨が空から降れば

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/13 (木) 14:00

座席1階

 昭和を生きた人なら口ずさむことができるだろう小室等さんの歌「雨が空から降れば」は、元々は別役実さんの戯曲の劇中歌だったという。その戯曲とは別に、1997年に別役さんが曲と同名の戯曲を文学座に書き下ろした。Pカンパニー代表の林次樹さんは別役作品に没頭して芝居の道に入ったという(パンフレット)が、この戯曲を2016年に上演している。今回は別役さんの追悼公演としてコロナ禍、緊急事態宣言の中をいつもの池袋の劇場で上演した。
 別役さんの不条理劇の中でも分かりやすい展開だけに、面白さ抜群である。流しの葬儀屋という発想がまず、ものすごい。何といっても最初のシーンがすごい。
 別役作品にはおなじみの笠のついた電球がぶら下がる「電柱」に、首をくくるロープがついている。そこに棺桶など葬儀一式のアイテムをリヤカーに積んだ葬儀屋が通りかかる。葬儀屋は死んだ人を探していて、別の葬儀屋との縄張り争いがあるというのも強烈な発想だ。
 ほかの別役作品がそうであるように、物語は次々と意外な方に転がっていく。生きていても仕方がないから死ぬのか、死んでもどうしようもないから生きるのか。電柱がある街角に続いて舞台は病院に移るが、縄張り争いをしている葬儀屋が院内を徘徊して「お客さん」を奪い合っている。医者は「あんたらは霊安室にいなさい」と命令するところなど、場面ごとにシュール感があふれる。
 「死を笑う」というのは当然、不謹慎ではあるのだが、ここで笑うのは死だけではなくその裏返しである生をも笑う。人間が心の中に隠している、いや、隠しきれない嫌味な部分を容赦なくさらけ出し、舞台は笑いに変えていく。
 別役作品だからか客席は高齢者が多かったが、若者が見ても絶対面白い。別役さんの追悼芝居はほかの劇団も行うであろうが、Pカンパニーのこの舞台はぜひ見ておきたい。一度見たらやめられないような「中毒性」がこの芝居にはある。見ないと損するかも。

夜から夜まで

夜から夜まで

劇団競泳水着

駅前劇場(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

コロナを自然な感じで取り入れてグダグダっとした大人の恋愛群像劇。
このグダグダっとした感じが飾らない普通の人間らしくて好きでした。
私のような恋愛経験値が低い人間でも、楽しむことができました。
魔法の言葉、さびしいを使っていこうかな。

切なくもあり、笑いもあって良かった
5年ぶりの本公演ということで気合が入った作品でした

ネタバレBOX

デリヘルの電話のやり取りがが生々しくて面白かった。


結婚式場でのやり取りで怒鳴るシーンは、
あえてマスクをつけてから大声を出していたけど、
あれは演出なのだろうか?飛沫防止のため?
意外と怒っていても冷静だったのかな?
ライライライ!

ライライライ!

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/05/12 (水) 14:00

座席D列3番

価格3円

実体験に重なり ウルウル(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)でした
感謝です

ジュニアミュージカル 劇団Little★Star-team Spica-vol.2「銀河鉄道の夜」

ジュニアミュージカル 劇団Little★Star-team Spica-vol.2「銀河鉄道の夜」

劇団Little★Star

堺市立西文化会館・ウェスティホール(大阪府)

2019/03/23 (土) ~ 2019/03/23 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

前回公演『READY GO!』に感激し、楽しみにしてた『RUKIO』が延期…

で、team Spica前回公演『銀河鉄道の夜』を奥様と2人で配信観劇。

40年前に原作読んだが、丁寧なエピソード表現にほーっ!
子供向け明るめ演出にへーっ!
春休み特別企画1000円は超お得!

谷底ガーデン

谷底ガーデン

劇団ルービック◇キューブ

STAGE+PLUS(大阪府)

2021/04/17 (土) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

配信観劇
山室のおっちゃんの死。生前の約束通り温室を引き継ぐ筈が…
温室は弁当&手芸&スナック兼業、警察に睨まれ、トラブルの嵐!
ハートフルドタバタコメディ+犯人は誰だ?!
登場人物が皆優しく、笑って笑って、心穏やかに!
面白かった。

ライライライ!

ライライライ!

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2021/05/12 (水) ~ 2021/05/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

当日パンフを見ないまま見てしまって、目を通しておいたほうが良かったのかなと終演後に見たのですが、見ても分からなかったですね・・・というお話でしたが、だんだん分かっていくのが面白かったです。

ネタバレBOX

チラシの印象やヤクザが結婚相談所を始めるというオープニングから、もっとドタバタになるのかなと思っていたのですが、認知症になってしまったお父さんを巡るお話で最後は泣いてしまいました。マスクのせいで聞こえにくいセリフもありましたがいいことにします。
ナイト・クラブ

ナイト・クラブ

黄色団

大阪市立芸術創造館(大阪府)

2021/04/16 (金) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千秋楽を観劇。
劇団の4つのオムニバス公演?!

■演劇部
高校演劇の大会が…、人は案外良く見てるよね。

■社員の彼女
社員の仕事は大変で、楽なアルバイトは…

■女難と幼馴染み
結婚だけが幸せじゃ…、再開した幼馴染みからの猛烈アプローチは…

■修理工場の男女
楽しさ寂しさは人其々、幸せって何だろう?
での寂しさは辛いよね…

4つのオムニバス、家族や友、様々な感情が!
故郷の友を思いだしつつ、不義理な自分が悲しすぎる。

お後がよろしくありますように

お後がよろしくありますように

大人の麦茶

ザ・スズナリ(東京都)

2021/04/14 (水) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

映像鑑賞

医療従事者です。配信を見ました。

ネタバレBOX

ほぼ毎日、陽性患者と接してる人間からすると、あまりに新型コロナウイルスに対しての認識が自分とは違いすぎて正直最後まで見れませんでした。私たちが陽性者や濃厚接触者にどれだけ神経使って接してるのかなど全く分かってないと感じ、フィクションだと思っても楽しめなかったです。
職場と家の往復だけの生活のなかで久しぶりの観劇と楽しみにしていただけに、Twitterなどで他の方のレビュー見て一般の方はこの内容で楽しいと思えることがショックでした。
最後まで見れば感想は変わるかもですが、自分の毎日の仕事を否定された気がして続きを見る気が起きなかったです。
医療従事者や身近に感染で亡くなった方がいるような方には楽しめない作品だと思います。
ビルマの竪琴

ビルマの竪琴

劇団文化座

俳優座劇場(東京都)

2021/04/15 (木) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

映像で鑑賞。劇場に行かれず大そう悔んだが映像配信と聞いて一も二もなく視聴券購入。時間のある日曜夜ゆったりと鑑賞した。
小説も読まず映画も観ていなかった自分には、シンプルな物語素材と構成による本作は新鮮で、シンプルである事の強さに感じ入った。歌われる唱歌もシンプルな旋律のものばかりだが素朴に琴線を叩いて来る強さがある。
演劇のカテゴリー的には新劇の範疇になろう演目、冒頭流れるインストの旋律だけの音楽が、一気に「現代」の時間へと物語を引き寄せた。
舞台はニッパの葉で織った小屋と、薄茶けた兵隊服、背後は恐らく映写でもって和紙を刷毛で汚したような肌合いに、遠く高山の頂き付近と見える稜線がさっと墨で描かれ、全体で見事に調和した絵となり自然の広大さも感じさせる。既に終戦と間もなく知らされる時期、兵士らは長引く駐屯の殺伐を合唱で和ませている・・やや浮世離れした閉じた世界と、外界との対照がいい。
水島上等兵という特異な一人の存在の投げかけるものを、受け止める余地が隊員たちにある。これらの人間像は「戦後文学」(と言われるカテゴリー)の中で、あるいは現実の日本人においても一つのモデルであり、平和憲法を頂く日本の戦後レジーム(安倍が用いたネガティブな意味でなく)の平和思想を象徴するようにも思う。
水島は「目にしてきたもの」を心の内に秘め持つようだが、具体的なエピソードとしては語らず思想の問題として孤独に乗り越えようとし、仏教へ傾斜する。そして彼を遠い人のように眺める凡人らは、しかしビルマに残るという水島を「忘れない」という決意をする。
戦争の惨禍に見合う決意を、今描くとするなら、「水島を忘れない」ではなく「水島が何をどう見たか」を忘れないと言わせたい。だが捕虜生活を終えた兵士らには彼を忘れないという宣言が精一杯の良心の発露であったと想像する。
戦争はそれが終わった時、生存者に様々な恩恵も与えた。だが日本はその恩恵を使い果たしてしまった。

アンティゴネ

アンティゴネ

SPAC・静岡県舞台芸術センター

駿府城公園(静岡県)

2021/05/02 (日) ~ 2021/05/05 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

丸一年お預けを食ったSPAC訪問。休日の小旅行を兼ねた久々の観劇にほくほく。目当ての『アンティゴネ』は2019年NY公演からの凱旋上演が1年越しで実現した舞台(とは前説で知った。何しろ昨年はそれどころではなかった)。
夕刻辿り着いた広大な駿府城公園内の特設舞台は、西向きの客席の前に横広に広がるステージを挟んだ向かいに荘厳な高い壁(足場に網を張ったもの)がそびえ、薄い残照に骨組みが透けている。目の前のステージは全面に水が張られ、下手、中央、上手に石が組まれ、クリーム色の布をまとった者らが火をともしたガラスの器を手にうごめいている。衣裳は一枚物のドレスにターバン、顔の下半分に薄布を垂らした形で、顔が見えないのはもどかしかったが、本編に入って(話者=スピーカーでない方の)演者=ムーバーはいつの間にかマスクを取り素顔を見せていた。アンティゴネの演者を初め若手の新人と見ていたら、終盤漸く美加里氏と認め、驚いた。

開演の合図は鳴り物。団扇太鼓等を手に上手・下手奥からプールサイドの畔を通って6名が道化よろしく登場、観客に向かってフレンドリーに「アンティゴネ」をかみ砕いて概説。だがラスト手前までをほぼほぼ説明し、「さてどうなる事やら」で去ったので、ごっそり省略して終盤をどんな上演に?と見ると、物語はやはり最初からやられていた。

宮城總によるギリシャ悲劇演出の肝は、音楽にあった。もっとも宮城舞台の殆どに棚川女史の打楽器主体の音楽は欠かせないので、言うなれば我々の耳馴染みのある「和」の音を橋掛かりに、翻案されていた。それが明白になるのは吉植氏が日本の盆踊り風の音頭で謡いをやった時。開演時の火入り器の縁をなぞって音を出す導入から、筏を漕いで出る僧侶、彼がラストに水面に流す燈籠と、「弔い」を介在して和洋を取り結ぶ舞台となっていた。

この物語での「悪役」である王クレオンは、アンティゴネ、及びイスメネの二人の兄の死(差し違えによる)に際し、国家への貢献と叛逆それぞれに報いる扱いをする。即ち弟エテオクレスには天に送る弔いを、逆賊の兄ポリュネイケスは遺体を放置し、弔った者を死罪にするとのお触れを出す。見せしめの処置である。これについてクレオンは政道に従ったのみと自らの哲学を語る場面がある。
だがアンティゴネはお触れに背き、兄ポリュネイケスを土に埋葬し、三度水を垂らす正式な儀式で天に送る。妹イスメネは姉の身を案じ、自分も死んではならない、姉が行くなら自分も行くと説得しようとするが、アンティゴネは決意揺るがず妹をこれに加担してはならぬと制止する。
王の死とその息子兄弟の死により王位を継承する事となったクレオンは、アンティゴネら兄妹の叔父に当たる人物だが、アンティゴネはクレオンの息子、ハイモンの許婚でもある。アンティゴネの所行により、クレオンは息子の許婚を処刑せざるを得ない巡り合わせとなるが、父は「政策の一貫性」にこだわり、庶民の間にアンティゴネの所行を賛美する声もあると聞いても曲げようとしない。
この父に対するハイモンの説得場面が「歌う」ギリシャ悲劇のリズムを逸して、現代的な高速台詞での議論となる。政策の失敗を認めないためだけに「政策の一貫性」にひたすらこだわり続ける様は、日本の現政府の態度そのものだが、その愚かしさをこの場面はあぶり出す。弁の立つ議員とそれに答えようとする大臣が居れば、このようであろう国会質疑を見る感覚である。

ハイモンの必死の説得の後、クレオンはアンティゴネを洞穴に閉じ込める(これは餓死に導く死罪に当るのか本人の努力次第で生き延びる余地がある措置なのか不明)。ただ物語は、アンティゴネの自死とその後を追ったハイモンの自害が「事件」としてもたらされ、王は初めて悔い己を死をもって罰せよと天に叫ぶ。(二人の死がまとめて事件として伝えられるので、ハイモンの死だけが予期しなかった事件なのか、アンティゴネの死も事件の範疇なのか不明、作者はうまくぼかしている?)
クレオン「気づくの遅いよ」と、突っ込みが入りそうになる。
じつは解決法は簡単で、現代の我々ならこう整理する。
アンティゴネの「弔い」は肉親の情愛からのもので「個」に属し、クレオンの処置は国家としての処置であってそれはそれで成り立つ。個人は弔い、国家は死者に罰を与えた、で終われば良い。つまり「奴を弔った者は死罪」が余計なんである。
逆賊を他者が弔うならそれは政治的な叛逆の姿勢の表明になるが、肉親が弔っても世人の理解も得られる(王への叛逆とは考えない)。お触れの出し方がまずかったんでしょ、で収まってしまうと言えば収まる。

それでもこのお話、見始めて暫くは、以前新国立研修所の『アンチゴーヌ』を観て今一つであった事を思い出したが、時間を追うごとに普遍性の土台をもって迫ってきた。

ネタバレBOX

アンティゴネの哲学とクレオンの哲学、この二つは一見、政治論としてはどちらが正しいとも言えない気がする。

だが、「死者は弔われるべきだ」とのアンティゴネの思想は、生前その者が何をしようと、生を全うした者に敬意を払うべきだ、と翻訳できるだろうか。
ポリュネイケスが叛逆した「国家」とはその時点での国家でありポリュネイケスは本来あるべき国家を望む故にその時点での国家に叛逆したのかも知れない。(その辺の事情は出て来ないが、死者を冒涜するだけの正邪の確かな審判など人間には出来ない、との含意は認め得る。)
この点でのアンティゴネの(直感的な)正しさに対置されるクレオンの思想は、実は対置するようなものではなく、他者の言葉をもはや聞き入れない自己絶対化に陥った愚者の「行為」であり、議論の成立しない関係とみるのが正解ではないか。

ありきたりな結論ではあるが、これを今に振り向けると、国会の議論がこのサンプルになり、これを我々は追認しているのではないか。
つまり・・野党が「議論に値する相手だ」との想定で与党へ質疑を試み、時に「共同して」成立させてきた法案が、どれも不正解に思える。問題を解決するどころか山積する問題を積み上げた政権には、クレオンに対するハイモンのように「対決」こそ必要なんでないの?という事だ。
「政治」に参与している実績を積みたいためだろうか、野党は愚か者を「相手にしている」。これでは公明党と同じ、「最悪の法案を通されるよりは少しでもマシなものにする事で貢献する」の論理に埋もれてしまい、「野党も与党も違いが判らない」状態にまたぞろ近づくだけではないか。
コロナ特措法、デジタル法案、問題ありの法案になぜ賛成してしまうのか。それは議論する相手でもないクレオンに対決せず、譲歩を引き出すためだと(傍から見れば)政権にすり寄り、ありもしないメリットを得ようとしているからではないか。。私には自民側が譲歩できる余地を残し、野党に「参加意識」「やってる感」を与え、ガス抜きしてるだけでないかと思える。まんまと手玉に取られている。

話がだ~いぶ逸れたが、古今東西人の過ちというものは変わらぬ。そして人々は「見えて」いても、無力。だから物語を見ようとする。自分を持ちこたえようとする。
堕天使は薄い本を閉じて

堕天使は薄い本を閉じて

E-Stage Topia

上野ストアハウス(東京都)

2021/04/29 (木) ~ 2021/05/09 (日)公演終了

映像鑑賞

鑑賞日2021/05/09 (日) 13:00

価格3,000円

チーム内回り千穐楽を配信で観劇。
ぶっとんだ内容を大真面目にやることに意義がある。
セリフに含まれる大量の駅名の全てを把握しきれないところはもどかしい。ちょいちょい差し挟まれるので、台本が欲しいくらいである

舞台『菅生ゼミ休講のお知らせ-再々演-』

舞台『菅生ゼミ休講のお知らせ-再々演-』

【菅生ゼミ休講のお知らせ】製作委員会

新宿スターフィールド(東京都)

2021/03/31 (水) ~ 2021/04/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演。Cチームを観劇。
再再演ということで題名に「3期」がつきました。持田さんは再演の前回では桃瀬役でしたが、今回は青木役。まったく違う性格、どちらも良かったですが、青木役のほうが合っているように思いました。
今回の桃瀬役は花梨さん。いわゆる不思議ちゃんの役、予想通り、ぴったりでした。
Cチームは計6公演で、1,2,3,6回目の計4公演を観劇しました。毎回楽しかったです。

ネタバレBOX

演者の皆さんは靴裏に絵の具をつけて演技します。基本的に各自を象徴する色で、青木役は青、黄田役は黄色、という感じです。
床に敷かれた大きな2枚の布には、演目が進むにつれて靴によってさまざまな色が付けられていきます。赤、黄、橙、緑、青、桃、紫の7色かな。
茶色と黒は特別で、最後の仕上げのときにだけ使われました。茶色は木の根元の土を表現、黒は全体のサイン「Sugaizemi」の文字として。
そして2枚の布をつなげて、ひとつの絵が完成します。公演ごとにできあがる作品はお見事でした。
青と紫の手形は、蝶を表現していると解釈しました。

電気のビリビリペンのシーン、1回くらい本物でやって欲しかったです。盛り上がったと思います。
みんなが手をつないで電気ショックを受けるシーン。電気が波のように伝わってショックを受ける演技でしたが、残念ながら不自然でした。本当に電気ならば同時なので。これも1回本物でやったら良かったと思います。とても盛り上がったに違いありません。

Cチーム2回目の公演だったと思いますが、桃瀬役の花梨さん「名古屋でネイルサロン」に対して紫水役の詩えりさん「なんで神戸?」という、変なところがありました。台本では神戸ですが、なぜかこの回だけ名古屋と。
お月さまの悪戯

お月さまの悪戯

劇団CANプロ

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2021/04/23 (金) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

設定や展開には工夫を凝らし、興味を持たせようと努めていたが、何となく予定調和でインパクトが弱い。たしかに観劇後は優しく心地よい気分になる。しかし、観念ではなく、もう少し感情が全(前)面に溢れてもよかったと思う。

(上演時間1時間20分)

ネタバレBOX

物語は養護施設で育った女性を中心に、4月に起きたある「奇跡」について描かれる。舞台は茨城県土浦市にある ごはん処「こじま」の2階。ここに養護施設で育った渡辺希望と青木恵子が住んでいる。養護施設で働いていたこの店の女将・小島里香が施設退所年齢になった2人を自宅に住まわせ10年近くが経っている。希望は文通をしており、その相手が藤田奈緒という自分と同世代の女性。そして近々会うことになっていたが…。

2019年4月上旬から5月初旬の約1か月弱の物語(カレンダー有)。今時のコミュニケーション手段として”文通”は少し古いように感じたが、そこがこの物語の肝。時間を遡行させるような展開であり、後々、文通相手との因果律がみえてくる。概観として、背景にある養護施設育ち、そこでの境遇と今現在の生活環境への連続性というか影響が見えてこない。かろうじて施設育ちの自分(希望)が幸せな結婚生活を営めるのか、彼氏からのプロポーズを素直に喜べないといった悩みが見えること。一方、同じ施設育ちの恵子は窃盗癖があり、それが施設の時から直らないという性癖を時間の流れに取り込んでいる。さらに性癖を克服しようと…。彼女たちと2人を温かく見守る女将、そして謎の文通相手・奈緒、この女性4人の会話は、途中から結末が分かってしまい、パラレルワールド的な展開が透けて見えてしまう。設定と展開に工夫を凝らし、親・子の問題(養護施設-ネグレクト、女将の思い-不妊治療等の台詞)に迫ろうとしている。が、表面上-言葉だけで物語全体からその思いが伝わらない。そこにこの公演への もどかしさを感じた。

気になったのが演技。何となく演じていますといった不自然さ。特に顔(表情)の変化はワザとらしい。
タイトル「お月さまの悪戯」は、4月の”ピンクムーン”がある奇跡を起こすという意らしいが、もう少し時間軸を長くし「親から捨てられた子」「不妊治療しても子宝に恵まれない親」という両観点から語るのではなく、どちらかに重きを置いたほうが物語としては分かり易かった。
次回公演を楽しみにしております。
ドップラー

ドップラー

KOKOO

シアター風姿花伝(東京都)

2021/04/20 (火) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

変幻自在、サプライズ満載なストーリー。お伽噺「浦島太郎」、寓話「ウサギとカメ」、神話「パンドラの箱」、アポロ(有人月面着陸)計画等、色々な物語を想起させつつ、破綻と成立の境界を行ったり来たりする危うさ。それがなんとも不思議な魅力を放つ。一級のエンターテイメント作品とまではいかないが、それでも新たな旋風を巻き起こすような予感?がする。
上演時間2時間(途中休憩10分)

ネタバレBOX

上手側に階段を設え、舞台上にあるのはドラム式洗濯機1台のみ。あとは小道具としての弁当箱。大きく空間を確保するのはキャストが走り回る、そのスペースを確保することと同時に、壮大な宇宙空間の演出を意図しているのであろうか。キャストは総じて若く、大声、走り回るといった演技が印象的だ。

物語は、お伽噺、寓話、神話、さらには世界的な関心事など虚実綯交ぜにし、それぞれのモチーフを断片的に繋ぎ、さらにコント的な場面を挿入し笑いを誘う。一見 無関係なシーンが次々と放り込まれハチャメチャな感じがする。縦横無尽に展開する物語はどう回収し収斂していくのか疑問が残る。にも拘わらず いつの間にか一本の線(本筋)の上にいる。過去と現在もしくは未来という時間の流れ、そこに人間の性格や生き様を上手く絡め、表層的には破綻しそうな話が重なっていく。何故か重層的に展開しているような錯覚に陥る。その訳が分からないマジックワールド的なものが魅力かもしれない。

題名「ドップラー」は「遅れて共鳴が来る」ということらしい。それを2人の青年(1人は足も生き方も早く、もう1人は鈍く不器用な人生を歩んでいる)の生き方に象徴させる。人生、早いか遅いか(何をもって比較するかは曖昧)の競争ではないといった教訓的なことを、お伽噺や寓話等に準えて描く。

が、実は本来担うべき人間が、何らかのアクシデントで全うできなく足踏みしている間に、周回遅れで追いついてきた人間が取って代わる。いや そうせざるを得ないという状況に追い込まれる。注目され後に引けない国家的なプロジェクト-宇宙計画。しかし、そこには不整備なロケットへの搭乗という秘密が隠されている。遅れてきた人が衆人環視の中で搭乗せざるを得ない状況に追い込まれる。周りの英雄視扱いとは逆に自己犠牲へ、いつの間にか周りの思惑に踊らされる不条理。物語は、決してジグソーパズルのようにピースがキッチリ収まらないが、そこが伸び代と言える。粗削りだが勢いのある公演、自分は好きである。

次回公演も楽しみにしております。
6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3

6団体プロデュース『1つの部屋のいくつかの生活』#3

オフィス上の空

吉祥寺シアター(東京都)

2021/04/09 (金) ~ 2021/04/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

同じ舞台美術で6団体が競演する企画。
【青組】観劇。
前半:Pityman
後半:こわっぱちゃん家

上演時間2時間-各1時間、途中休憩10分)

ネタバレBOX

共通セットは、舞台中央に踊り場のある2階への階段と2階部ドア、舞台上手・下手側にあるドア。中央階段の階下(1階)にはソファ。舞台の色彩は、階段上部(中央)が黄(緑)、上手側が赤、下手側が青という3色、組み分けの意味があるのだろうか?

Pityman 「そんなこと話してる場合じゃない」
 同じソファをめぐってオムニバス風に引っ越し業者、思いを語る若者、別れそうな夫婦と3つのエピソード。これらのエピソードを包み込むような物語が、今のコロナ禍における演劇公演そのもののあり様を描く。
 公演を観に来た男が、劇場入り口の検温で引っ掛かり中に入れない。そこで先の3話が次々と展開していく。時間を経てまた検温をするが、それでも劇場関係者は何らかの理由を付けて中へ入らせない。一方、劇はソファが外に出せないをコミカルに描いていく。この入る出せないといった、真逆のような行為を「劇中劇」仕立てとして面白可笑しく観せる。シンプルな舞台セットにも関わらず、奇知に富み世相をしっかり皮肉る世界観は秀逸だ。

こわっぱちゃん家 「Picnicへのご案内」
 どちらかと言えば王道的な観せ方(作品)。子供叱るな来た道だもの年寄り笑うな行く道だもの、といった言葉を思い浮かべる。若者が楽しく過ごす近未来のシェアハウス、しかし いつか各人に訪れる"ピクニック"とは? 20歳代の若者男女4人が元気いっぱい楽しそうに暮らしている。しかし若者に見えるのは外見だけ、実際は後期高齢者が入所している老人ホーム。
 ある日、シェアハウスの管理人が1人の住人にピクニツクへの招待状(手紙)を持参する。そこから状況、雰囲気が一変する。今まで同じ空間・時間を過ごしてきた仲間、その仲間との別れ、それは世代に関係なく一抹の寂しさが残る。このシェアハウスでのピクニックは別の意味合いのある別れが…。まさしく近未来のシュールな物語。

2団体ごとの競演といったスタイルだが、特徴を挙げるとすれば Pitymanは脚本の独創性、こわっぱちゃん家 は演出の奇抜さといった違いを思わせる。同じ舞台セットでこれだけ違う物語を紡げる、やはり演劇の幅広さ奥深さを感じることができる好企画。次回公演(企画)も楽しみにしております。
引き結び

引き結び

ViStar PRODUCE

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/04/21 (水) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

公演は「紬」と「結」の2チーム。自分は「結」(大千穐楽)を観劇したが、終演後の挨拶で主宰・星宏美さんが落涙、それにつられて自分も涙腺が緩む。
さて芝居は、コロナ禍の状況を物語に重ねるような、そこにこの公演(演劇に対する思い)の真骨頂をみる。
(上演時間1時間50分)

ネタバレBOX

舞台セットはシンプルで、下手側に机とパソコンが置かれているのみ。正面には色とりどりの三角形をした羽目(硝子?)板のような造作。舞台がシンプルゆえに、逆に人物描写の深掘りが求められる。

梗概…物語は某劇団の公演中の受付。そこに現れたのが星乃美桜(星宏美)。入団希望者としてやってきた美桜は、劇団主宰者・佐藤慶大や主演女優兼制作の北郷春(中山ヤスカ)の養成所時代の恩師の娘。一方、父の星乃真咲は、娘が弱視というハンディを負っていることから、女優になるのは難しいと反対する。しかし、美桜の決意の固さと彼女の母親で元女優の故・星乃いぶきの事を思う劇団員達の理解や協力もあって劇団員として舞台に上がることになるが…。

美桜は弱視で、その世界(視野)は5円玉の穴から見るようなものだと表現している。先がボヤけ見難さは、まさにコロナ禍における先行き不透明で不安な状況そのもの。美桜がどう生き世間とどう関わっていくのか、別の観方をすれば、コロナ禍においてこの状態とどう向き合い、その状況と関わっていくのか。まさに今の状況に通じる重要なテーマが横たわる。その危うい状況を誰かのせいにするわけではなく、何かを成し遂げるためには自分で障害(物語では弱視を障がいと表現)を乗り越えようと努力する。

「演劇」は、稽古から本番まですべて人との関りで進んでいく。それが当たり前だと思うが、状況は一変する。今は劇場での実演、ライブ配信、アーカイブ配信など色々な手段を通して観客と関わる。本公演も上演するまでには相当な困難(感極まって星さんの涙)があったと思われるが、それでも舞台という芸術の必要性を訴える、そんな気概を思わせる内容であった。舞台は毎回異なる、その公演を行う者、それを観ようとする者、まさに一期一会、それこそがタイトルの”引き結び”ではなかろうか。

次回公演も楽しみにしております。
INDESINENCE 

INDESINENCE 

LUCKUP

赤坂RED/THEATER(東京都)

2021/03/24 (水) ~ 2021/03/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

サスペンスミステリーの王道のような公演。その進行・展開は女子大生が探偵役、それもシャーロック・ホームズとワトソンのような関係で担い、謎解きに挑む。物語は作り込んだ舞台セット、そこに集まった人々の性格・立場や挙動を説明しつつ、観客自身も推理し謎解きしていく面白さへ誘う。
(上演時間1時間50分)

ネタバレBOX

舞台は五弁(イツビラ)重工株式会社の常務の別荘。左右対称に2階への階段があり、2階も廊下があり繋がっている。階下はリビングルームで豪華な調度品、中央に応接セットが置かれている。この1階から左右どちらかの階段を上り回廊のように戻ってくることができる。2階での会話は、遺産相続人にしてみれば他の者を見下す または卑下するような物言いであり、探偵役(女子大生)からすれば、屋敷内の出来事を俯瞰し推理する、そんな位置取りになる。

梗概…常務・金森重鐘(登場しない)が亡くなった。彼は、遺産相続に関する遺言を、山奥の湖畔に立つ別荘「緋桜館」で公開するとして、自分の家族をそこに集めるように指示を出していた。遺産相続の条件は、権利を有する7人(妻や娘や孫、妾の子など)が全会一致で相続人を選ぶこと。しかし話し合いは難航を極めた。外は雨が降り土砂崩れにより、街へと出る唯一の道が塞がれ、車も使用出来ない。湖は霧に包まれ、小舟で助けを求めに出るのも不可能になる。備蓄はあったが、閉じ込められた人々は次第に疑心暗鬼になっていく。そして偶然?、この山奥で道に迷った女子大生が別荘で天候の回復を待つことに…。

女子大生2人がシャーロック・ホームズとワトソン役に扮し、それとなく事件(遺産相続)に関わっていく。冒頭からの人物紹介は、身内の中での立場、個々人の性格等を丁寧に行う。これは推理劇としての定番であり、その後の展開を観客にも推理させ興味をもたせる。人物及び現場の観察を徹底的に行い 得た手掛かり-物的証拠に関する科学的知見、過去犯罪事例の知識など-を分析し、事件現場で何が起きたかを推測する。観客も喜びそうな"アブダクション"を使う。この観せ方は上手い。

推理劇としてはあまり複雑にせず、どちらかと言えば何故この地-別荘で遺産相続の話し合いをさせたのか。確かに途中までは相続人の間における陰湿・陰謀など虚々実々の駆け引きが観えたが、そのうち、この地における埋蔵(金)という壮大な話題に取って代わる。金などの相続財産よりも土地という埋蔵(莫大)財産へ私欲が蠢く。まさに人間の欲望は尽きない。が、物語は故人の(過去)想いと土地伝説・伝承? を絡め、集められた遺族の人間模様に話の重点が移行し話の内容や雰囲気が変容していく。そして大団円という結末へ、少し拍子抜けといった感もある。もちろん遺産相続に係る絵図を描いたのは別者というオチもあるが…。
次回公演も楽しみにしております。
方丈の海

方丈の海

方丈の海2021プロジェクト

座・高円寺1(東京都)

2021/03/12 (金) ~ 2021/03/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2011年3月11日の東日本大震災、その出来事を10年後の2021年3月に東京・高円寺で上演する。故石川裕人が黙示録的に描いた遺作、10年ひと昔前と言われるが、決して忘れてはならないと思わせる。被災地域に住んでいないため、日常的には何ら(直接)暮らしに影響を受けることもなく、ともすれば忘れてしまいがち。かと言って毎日意識するといったことは難しい、いや出来ないといったほうが正直だ。日々の暮らしに影響を及ぼす被災地の人々との意識のギャップは埋められない。それでも地続き、記憶にとどめ”何かを”といった思いを巡らせる。
(上演時間2時間)

ネタバレBOX

舞台セットは、この港町にある映画館がやや上手側にあり、下手側は奇妙なオブジェと出入口。
舞台は東北の港町。⼩さな⼊り江に漁港があり、半農半漁のこの町に200⼈くらいが住んでいた。しかし、あの⼤津波で町は全滅し、1館あった映画館(岡⽥劇場)だけが残った。館主の岡⽥英⼀は津波で⽣き残ったが目を傷めてしまった。岡⽥家族(⽗・⺟・1人息⼦)はバラックと化した映画館で今も暮らしている。そこに同居する震災で⽣き残った漁師の兄妹。

東⽇本⼤震災から 10 年。ひっそりと暮らすこの家族のもとに、遺骨を探す三陸の男、半⿂⼈カイコーを連れた興⾏師、地上げを企む不動産屋と秘書、謎の⽼婆、記憶をなくした伝説のサーファー、精霊(コロス)などが現れる。穏やかな日常を切り裂くように持ち上がった土地買収問題。なぜこの地を買い上げようとしているのか…。

たびたび現れる精霊(コロス)は、東日本大震災で亡くなった人々(亡霊)かと思って観ていたが、アフタートークで、生きていた先祖を表現していると。時代を経ても地続き、そこでの(先祖も含め)暮らしを表現しているらしい。震災があろうがなかろうが生活の場であり、なかなかこの地を離れることが出来ない。事実あった出来事を、特異・特徴ある人々を登場させ、敢えて現実的(リアル)にせず喧噪的に紡ぐ。ノンフィクションでありながら、何故か賑々しい人々によってフィクションの様相をみせる。その演出の柔軟性に驚かされる。しかし、底流には醒めた視点で「時間を記録」し「人々の記憶に留める」ような強靭さがあるのだ。

東日本大震災の黙示録的な本作は、時間を超越しドキュメンタリー要素を垣間見せる、”力作”。舞台終盤、第三暁丸が微かな希望をのせて 10 年ぶりに船出する、は明日への希望と活力を意味する。
次回公演も楽しみにしております。
お後がよろしくありますように

お後がよろしくありますように

大人の麦茶

ザ・スズナリ(東京都)

2021/04/14 (水) ~ 2021/04/25 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

ほのぼのチラシで名のみ知る劇団を「配信」で観劇。舞台は舞台として、まず劇団の持ち味を知りたい自分は「いつもと少し違ってた」らしいレビューも参考に探ってみる。若手のインディペンデント色の強い劇団と勝手に想像していたのだが、俳優が割と容姿的に粒揃いでハードボイルドやっていたのは意外。その意味で(年齢の問題でなく)「若手」という印象ではない。後で調べてみると15年前あたりに第十二回公演とあるので実は20年選手、紀伊國屋ホールでやってたりしたと知れば益々印象は変わる。
「カッコ良さ」を演出する石澤氏のギター生演奏は今回の趣向でなく、過去からお馴染みのものらしく、チラシが醸すほのぼのイメージはほぼ消えた。

ネタバレBOX

舞台の方は「探偵」「裏社会」をコロナの現在を時代設定にうまくフィクション化していたが、ストーリー的に突っ込みどころは多々ある。ただそこを脇へ置いて見ている自分がいる。何を見ているかと言えば、役者の放つ魅力?というよりやはり容姿力だったように振り返る(今の)自分がいる。ぶすが泣いても石投げられるが美少女の涙はそのストーリーに入りたいと男に思わせるというベタなアレであるが、作者は役者陣を当て込んで作劇をしている模様。
新型コロナの世情ならではのエピソードが考えられているのは特徴と言える。夫が職場で事故に遭っても濃厚接触者なので搬送先の病院に入れない、と訴えに来た妻(看護師)に、「探偵」グループは妻を女性弁護士に変装させ「非合法に」夫に合わせる措置を取る。そこには過剰な警戒が人権を損ねている現状への批判的眼差しがある。
ただ、「go-toも五輪もやめちまえ」と言う台詞は少々芸がなく感じる。

go-toも五輪も利権の産物であるのは共通であるが、経済政策としてのgo-toは、実施を前倒しした事、県境を越えさせた事は全くの「コロナ無視」。その事をもって利権性が露呈した。が、産業へのテコ入れは必要だ。
五輪については運営のまずさをもっと反省すべきだが五輪そのものに罪はない。「コロナ拡大イベント」にならない開催方法が探られて良く、「どうせ利権だ」と全否定すべきでないと個人的には思う。
否定論の理由の一つに日本人のワクチン接種率の低さが挙げられているが、6万人の選手と関係者分のワクチン接種で「感染イベント化」は防止できるのでは?と思う。 (接触する人の片方が「隔離人口」に含まれていればそこでは感染は起きない、という単純な理屈が忘れられている。)
欧米に比べて2桁も低い感染率の日本の現状で大騒ぎしてるのは、殆ど医療体制の問題だ。この医療体制・検査体制の問題に殆ど手が付けらておらず、しかもそれへの批判が見られない事は、私には人々が「本気」でこの病気を克服しようとは考えていない証ではないかと思える。病気より、自分が「悪」の側に認定される事の方を恐れている・・?

大きい話になるが、感染弱者(重症化しやすい人)を「感染から保護する」という観点が語られないのももどかしい。
もっとも日本の高齢者は人口の三分の一近いので「隔離」という言葉のイメージにはそぐわないが、感染弱者の行動の自由を確保するために、未来を担う若者が貴重な「行動」「体験」の機会を奪われ、全体の活動を制限することで経済は停滞し、結果日本全体を損ねている事が、このコロナ禍下の「厳しい現実」でもある。(1年余で1万人超のコロナ死者数は、交通事故死3千人やインフルエンザの数千人より多いが、元々高かった自殺者2.1万人は減少傾向から上昇に転じた)。
これが「感染防止」という価値最優先社会の帰結だとすればどうだろう。。
経済についても、停滞にコロナが追い打ちをかけている今、根本策に踏み出す時ではないか、と考える所だ。
たとえばオンラインであれオフラインであれ、回せる経済を回すには、人々がその場その場で泉から汲んだ水(=モノ・金・サービス)を経済の回路に注ぎ込むあらゆる機会を可能にする事だ。それには手近な所に泉があり、そこに色んな所から水が流れている事。大元の供給者は政府である。「格差の固定化」にこだわる狭量な人間を無視できるなら、「サービス使用権(通貨)」を全体(個人や個人に近い単位である中小企業)に振りまく政策が最も有効ではないかと考える所以である。

関連して、感染弱者(重症化しやすい人)は「出歩かない」事で身を守る選択肢が与えられるべきで、個人が「出歩く」選択をして感染すればそれは自己責任だ、という考えに到達できるかがカギだと思う。
この論は「医療逼迫」への処方箋ではないが、逆に、医療現場は過重な労働を強いられない自由がある、と考えるべきだ。
残る問題は行政の領域になる。お上頼み、ではなく私たちが真摯にそれを求めて行く必要がある。行政は医療の受け皿を縮小してきた方針を見直し、再編を試みるべきだが、この時、各個病院・施設が馴染みある働き方や地位を保証されてきた過去と決別し、公共機関としての使命の下に(消防士と同じく)再編に応じる覚悟ができるか、ここは大きな障壁になる。
医師会を票田に持つ自民党に抜本的な改革は無理、だからどうでもいい時短要請、緊急事態宣言(言葉だけは仰々しい)しかやれていない、との勘繰りにも合理性がある。

ただし、検査体制の方は「増やす」という話なので進められるのではないかと考えるが、これが一向に進まないのはお金を渋っているからだろう。民間の検査機関を含めれば隣国や欧米諸国と遜色ない検査数の分母が用意できるのに、やらないのは無料PCR検査に民間を絡めると業者に払う金が要るから、という単純な話。「お金の使いどころ」で五輪を批判するのは大いに賛成だ。(そもそも復興五輪だったのに五輪の恩恵がないばかりか被災者に優しくない政策ばかりやって来た。)
検査の話、歯科医や薬剤師にも技術を習得させ、検査拡大しようという話が出ているが政府は相手にもしていないようだ。「本気」でコロナと対峙しようとしていないのが判る。
なぜ検査拡大が必要か。発症前感染者(最も感染力が強い)を把捉するためだ。これができないから感染防止は一向に進まない。

でもこの状況はあの原発事故を起こしてさえ原発利権構造を解体できなかった日本では、自然な光景なのだろう。従前のあり方が「成功」だと思い込んでいる日本人に、従前の形を手放す勇気などなく、ゆでがえるのように凋落の時を待つしかできない。

・・・つまり、「五輪」は汚れた利権構造の象徴だが、これを叩くだけではコロナ状況の根本問題は解決しない。
以上、「少々芸がない」、と書いた理由。
ボイルド・シュリンプ&クラブ

ボイルド・シュリンプ&クラブ

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/04/29 (木) ~ 2021/05/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

やっぱり生で見なくちゃ!!と思った2時間ちょっと。アフターイベントも楽しかったです。

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