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空が飛べると想ってみる。『NOISY&SILENT GRAY』

空が飛べると想ってみる。『NOISY&SILENT GRAY』

Oi-SCALE

ギャラリー十二社ハイデ (東京都)

2026/03/20 (金) ~ 2026/03/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

築80年ほどのまるで一般家屋のようなギャラリーの四畳半(?)の二室を演者が往き来しながら語り紡ぐ物語。
冒頭、開演告知に続いて事故で脚を骨折して入院している小学生の話が語られたかと思えば観客/参加者への問いかけ的な語りとなり、さらに服飾専門学校志望の姪に新宿を案内する男の話などが語られ、その合間にメタ要素や楽屋落ち的な部分(笑)も挟むのは好みだしいかにもここらしい。
さらにトリプルキャストを全て観たので1回目に音で聴くだけだった部分を目視できたり、微妙な違い(どころか人物の性別が違ったりもする(!))に気付いたり、語られる物語の繋がりを確認できたりと面白さが3倍どころか3乗。
なお、林さんによると全員女性キャストのAチームが本来の脚本通りだそうでこれを最後に観たのは「答え合わせ」的な?

ブン/ダン

ブン/ダン

劇団チャリT企画

新宿シアタートップス(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/05/23 (土) 14:00

座席1階

タイトルを見て、早割を予約した。想像していたのは、アメリカ社会の分断や、アメリカにべったりの総理を抱える日本の分断社会の物語だったが、分断は分断でも、少し趣が違った。先人が書いている通り、「ふざけた社会派」を自認するチャリT企画にしてはふざけたところはなく、ストレートな社会派劇である。

舞台はあるシェアハウスで、リビングルームの掲示板に、本作のチラシにもなっているデザインが描かれている。物語のカギを握るこのイラストは当初は謎に包まれているが、その上に張られたチラシのポスター「戦争反対」も絡んで、何をデザインしたのかが明らかにされていく。
シェアハウスは、ノンポリで人のよさそうなおじさんによって運営されている。掃除のおばさんもいるが、彼らが高校生くらいであった時に起きた、政治的な課題をめぐる行政による教育への介入のエピソードも語られる。住人たちは全員が若者で、この世代間の意識の「分断」もあるのだと、劇場を出た後に気づいた。

AIによる武器が出てきたり、近未来の世の中の様子が描かれているが、世界の兵器産業の隆盛やアメリカが介入したことによる中東情勢の悪化にどっぷり浸っていると、あまり違和感を感じない。つまり、これは現在進行形の物語なのだ。今、起こりえる物語を楢原は描こうとしているのだと分かる。

チャリTの舞台が連発する社会を皮肉った笑いを期待しているとやや肩透かしかもしれないが、今作はストレートに客席にメッセージが投げかけられる。本来は触れられるべきでない人の内心が侵される恐怖が、雄弁に描かれている。

ネタバレBOX

劇作家自身は意図していなかったかもしれないが、自民党による日本国旗損壊罪の法律が現実味を増している今の上演はめちゃくちゃタイムリーである。この法案は高市総理の念願であるそうだが、こうした政治的動きを読み切って今作を書いたとすれば、劇作家の洞察力には脱帽するしかない。その点では、★5つをつけてもいい舞台だと思う。
EVITA

EVITA

Tokyo International Players

シアターサンモール(東京都)

2026/05/21 (木) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/05/23 (土) 13:00

145分。休憩実質20分、10分押しを含む。(55-休20-60)英語、字幕なし。

花待つ鏡の向こう側

花待つ鏡の向こう側

四宮由佳プロデュース

サンモールスタジオ(東京都)

2026/05/19 (火) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

繊細でかつ丁寧に描かれていて心が動かされました。面白ろかったです。

裏緑特技悲喜話(うらみどりとくぎひきばなし)​  ​

裏緑特技悲喜話(うらみどりとくぎひきばなし)​ ​

爍綽と

浅草九劇(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/05/22 (金) 19:00

面白かった。アフタートークも含めて。なんか勢いもあってハラハラドキドキ。マンが本物のヒーローに見えてきたのも終盤なところも面白い!
それぞれの関係とか憧れとか…。うまいなぁ~と思う事沢山。だけどアフタートークも面白くてあれ?今まで何観てたんだっけ?的な 笑
佐久間麻由さんの主宰力(プロユースなど)には大拍手。また次回を楽しみにしています。

ネタバレBOX

ネームセンスも笑えた。高尾くんは絶対にカメラとは言わず「キャメラ」っていうよね。とクスクスしていました。私の脳裏には木村大作監督が浮かんでいました。また、日野さんのキャップ、すぐに円谷監督!!ってわかりましたよ。八王子さんの携帯電話設定面白い。ハーネス付けて飛ぶシーンやあれこれのシーンも本当にやってのけてスゴッ。映画好き特撮好きって素敵!!公演台本もゲットしたのでまた楽しみます。
ブン/ダン

ブン/ダン

劇団チャリT企画

新宿シアタートップス(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

劇団チャリT企画『ブン/ダン』を観劇。

あらすじ:
 テラダハウスはオーナが常駐している寮で、学生や社会人らが入居している。寮内の掲示板には各々の宣伝や写真、戦争反対のデモに行こう!など、勝手気ままなチラシが貼られているが、学生寮でもないので規制はされていない。
 ある日、入居者から戦争反対を掲げることに、戦争ハラスメントを感じてしまうので、チラシを外して欲しいという要望が出てくる。
困ってしまったオーナーは、皆で議論をしようすると、不在にしていた入居者が、テルアビブにいると連絡がくる。
 社会に敏感な入居者が多いからか、国家から監視され始め、寮の電話は盗聴され、スパイが潜んでいるらしい?と互いに疑心暗鬼になってしまうのである……。

感想:
 物語は寮内だけで行われ、卑屈になりそうだが、外へ外へ向かいながら、群像劇として進んでいく。
オーナー、学生、社会人、清掃員と様々な世代が交わり、仲睦まじい出会いから、戦争に異議を唱え始めると皆の関係が崩れ始め、寮内があっという間に分断してしまう展開は、小さな社会での分断イコール世界で起こっている分断と捉えられ、否が応でも世界の今を鑑みてしまう。
 設定は現在の話だが、監視ロボットが寮を包囲したり、デモで女学生が圧死してしまう(樺美智子を彷彿させる)など、時代を超越してしまう表現には唸ってしまう。
清掃員が若い頃を振り返り、何もしてこなかった自分を嘆きながら、学生運動の声が響き渡るラストには魂の叫びさえも感じられる。
70年代の政治演劇の過激さはないが、ライトコメディーという形に変えながらも、時代に追随しようとする作家の心意気はいつも頼もしいのである。
花待つ鏡の向こう側

花待つ鏡の向こう側

四宮由佳プロデュース

サンモールスタジオ(東京都)

2026/05/19 (火) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

途中までは作品になかなか入り込めなかったですが、終盤あたりから急展開して、深い意味や強いメッセージが明らかになってきたところから、急激に面白くなりました。役者さんも魅力的でした。

正義の血が騒ぐ

正義の血が騒ぐ

ライオン・パーマ

テアトルBONBON(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

平日の昼間にもかかわらず,開場前に整理券番号は20を超え,上演時に会場は満席。やはりライオンパーマさんの芝居の面白さは一度でもライオンパーマさんの芝居を観た人には十分に伝わっているのだろう。今回の新作,刑事もの,ハードでありカッコイイ芝居である。最初から最後まで目は離せない。個人的に自分が観たライオンパーマさんの芝居の中でも上位に位置付けられるだろう。役者さんは皆であるが,特に草野智博さんはいい味を出している。絶対おススメ!

ネタバレBOX

前半のシーンで撒かれたいくつもの伏線が後半にはどんどん繋がっていく。個人的にライオンパーマさんの一番は「歌姫・・・」ではあるが,今作のような終わり方もとても好み。
Marriage Hunting

Marriage Hunting

月刊「根本宗子」

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2026/05/19 (火) ~ 2026/05/23 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

期待値高まってハードルが上がってたけど
最高に面白かった!
2倍速のスピードのセリフ
キュートでオシャレな衣装や小物
シーン展開は気持ちいい
全てがセンスあり過ぎ!

テンポが良く爽快で上質なお芝居‼️
もう圧巻の55分間!

そしてアフタートークのゲストはダウ9000の蓮見さんのと話も興味深くて面白かった!

観劇後思わず多くの人に見てもらいたくて呟いた!

この作品を関西の役者さんでも観て見たいと思った!

チョークで描く夢

チョークで描く夢

トム・プロジェクト

シアターX(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初演のトラッシュマスターズのは観ていて、大変な傑作だと思いました。
今作も素晴らしかったです。
2部構成3時間だったのを、2時間ちょっとに再構成。
基本、1部を拡張で、2部で描いたテーマは1部に織り込まれてます。
登場人物も絞られて、エピソードも強いもの濃く並べた感じで。
結果、映画的に感じたな。映画になって欲しい気もする。
初演の2部構成。一人二役は、とても演劇的な形でテーマにも響くもので、歴史や積み重ねを感じるものでしたが。
今作は、より没入感があるかも。
障がい者雇用、差別、ハラスメント。こういったテーマ性。
難しくも暗くもないよ。人間の生きざまとして、真情が熱情がほとばしる。
泣かされたし見入ったし、自分の生き方として色々と考えさせられました。

ブン/ダン

ブン/ダン

劇団チャリT企画

新宿シアタートップス(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

一貫したドタバタ劇やコメディと思っていたが、今現在の日本に鋭く切り込んだ社会派劇であったとは。観劇中笑うよりも頷く事の多かったこの作品、この団体さん今回初見でしたが、今後も追いかけてみたいものですね。

東京物語(京都公演)

東京物語(京都公演)

チームラヴ・ガン

THEATRE E9 KYOTO(京都府)

2026/05/22 (金) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

京都初日拝見
基本2人芝居 男2人だが1人は女形(オカマ)
2人で 母親に会う為 仲間に会う為 の目的で脱獄から始まる
脚本家もアフタートークも観たことある人が
内容は置いておいて 楽しめました✨

音楽演劇「光かもしれない」

音楽演劇「光かもしれない」

エリア51

スタジオ空洞(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

飲食も撮影もOKな、出演者も含めてよい意味で自由な演劇でした。
演技を楽しむも良し、演奏を楽しむも良し、後ろに控えた出演者のわちゃわちゃを楽しむも良し、色んな楽しみ方ができるなと思いました!

ネタバレBOX

会場のスタジオ空洞を物語の中に取り込みつつ、SF+メタ要素で、演者と奏者、物語と現実、それぞれが混ざり合って一体感を生み出していて、とても魅力を感じました!
アンドガール

アンドガール

ド・パールシム

小劇場 楽園(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2026/05/22 (金) 19:00

110分。休憩なし。

第三の証言

第三の証言

劇団青年座

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2026/05/21 (木) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

灰色に塗り潰された壁。赤錆びた鉄骨が頭上を斜めに貫いている。JCRのP箱とビールケースをグレーに塗り潰した物が並んでいる。それを椅子代わりに。途中、その上にベニヤ板を渡してテーブル代わりにも。
『コラボレーターズ』のようなサイレント喜劇演出やフラッシュモブがブリッジに流れる。同じ演出家かと思ったら違ってた。西田茉莉さんの無表情ダンスや岡本大樹氏のリズミカルなマイムが印象に残る。『スリラー』のような漫画的な恐怖表現。マクシム・ゴーリキーの『どん底』っぽい場面や不条理系のディストピア工場の描写。

主人公・石塚雄大(ゆうた)氏はせいやっぽい。

社長・工場長的役割の横堀悦夫氏は石橋蓮司っぽいと思っていたが今作では緒形拳似。
その妻、ひがし由貴さんは精神を病んでいる。鼻が高い。

伊東潤氏は塚田僚一っぽい。
彼との結婚を控えた佐原良砂(つかさ)さん。

戦争で松田周氏は大事なものを作らない人生観を身に付ける。西野亮廣っぽかった。
彼を密かに想う尾島春香さんは小保方晴子寄せ。

会社の不正を告発して辞めていった豊田茂氏は大鶴義丹、なべおさみ系だが今作では朝倉未来似。

屈折した母親・万善香織さんは鼻に特徴。
手拍子が鳴ると勝手に踊り出してしまう知的障害者の娘・西田茉莉(まつり)さんは今後要注目の存在かも。

刑事の加門良氏の貫禄。
電報配達夫と刑事の岡本大樹氏はコンテンポラリー・ダンスのようなマイムが鮮やか。

ビスケット工場に入社したばかりの石塚雄大氏。知的障害者の西田茉莉さんと首吊ごっこをしている。西田茉莉さんは何を聞かれても「ハァイ」と元気よく答えてくれる。石塚雄大氏は工場のあちこちに鼠の死骸を発見。ビスケットの原料である粉を食べた様子。これは毒物じゃないのか?工場の人達に伝えて回るが誰も相手にしてくれない。到頭、警察に通報する。

謎のビスケット工場。本当の社長は電報で指示を出すのみで誰なのかも分からない。横堀悦夫氏は指示通りに動くのみ。高額な給与で従業員は疑問を飲み込み口には出さない。

俺達は一体、本当は何をやっているのか?

ネタバレBOX

再演を繰り返す内に改稿を重ね、パンフを読むとどうやら1958年の王子製紙争議をモデルにしたらしい。ストライキを起こした組合に対して会社側が主導して第二組合を結成させた事件。二つの労組の内ゲバで分裂、弱体化。全ては会社側の思うがままに。
もう一つのモデルは1952年のビルマ(現ミャンマー)からの輸入米の三分の一がカビに汚染され変色していた事件=黄変米騒動。毒性のあるカビた米を配給する政府に対し、激しい抗議活動が起きた。

時代はずれるが自分は水俣病とチッソの話のようにも思えた。不正を告発して無職になった豊田茂氏は会社に戻して欲しくて惨めに何度も頭を下げるが相手にされず野垂れ死ぬ。正義の為に動いた石塚雄大氏はそれが何の意味もなかったことを知り絶望して首を吊る。ぶらんぶらん揺れるロープが壁に当たる音で規則的に踊り出す西田茉莉さんで幕。

万善香織さんの歪んだ人生観。知的障害者の娘が白い目で見られれば見られる程、自分達の存在を実感出来るという倒錯。今作は皆、倒錯している。

青年座と自分は相性が悪い。5本観ているが、満足したのは『ズベズダー荒野より宙へ‐』だけ。いろいろ詰め込んでいるがいつもスッキリ決まらない。観せ方が下手。最大公約数を狙えば味は薄まる。皆に60点の作品なんか記憶に残らない。ある連中にだけ120点のガチガチの作品を望む。

全てが上の計算通りだったという『マトリックス リローデッド』感は面白かった。

死よりも尚美しいもの、それは死んだ後に存在する完全なる自由。自由を指し示す為にイエス・キリストは在ったのだ。それを知った人間は全ての価値観から自由になれる。
時計のこども Child of Time

時計のこども Child of Time

キューブ

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2026/05/15 (金) ~ 2026/05/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

音楽は良いんだけど、話はいま一つかな。
リーディングとミュージカルって合わないような気がしたけどやっぱり合ってなかった。制作途中のプロトタイプって感じ

ハラス

ハラス

劇団美辞女

ウッディシアター中目黒(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/05/22 (金) 14:30

100分。休憩なし。

泰山木の木の下で

泰山木の木の下で

劇団民藝

三越劇場(東京都)

2026/05/16 (土) ~ 2026/05/22 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

日色ともゑのハナ婆さんが良いですね。
小山祐士の戯曲の世界観にぐいぐいと引き込まれた

正義の血が騒ぐ

正義の血が騒ぐ

ライオン・パーマ

テアトルBONBON(東京都)

2026/05/20 (水) ~ 2026/05/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 今回は刑事物、尺は休憩無しの130分。(追記2026.5.23)

ネタバレBOX

 物語は物騒なことで知られるある街で迷宮入りしていた殺人事件をきっかけとして展開する。この街に東京からやって来た八神という刑事が居た。彼は着任早々、アイビーという名の喫茶店を探しに掛かった。何でも珈琲が矢鱈に旨いと評判の店ということであった、然し探してみると旨いと評判の割に見付け難かった。それもその筈、この店のマスターは1年前に惨殺され顔の見分けがつかない程傷つけられた状態で発見されたまま、事件が迷宮化していたという経緯があり、この街自体がカポネ時代のシカゴのように警察と犯罪グループが結託し共謀しているという節があったからである。このような街にありがちな怪しい風俗店、闇医者かと勘繰りたくなる唯一の医師は、事件の鑑定医も兼ねており、刑事絡みでは情報屋や情報屋へネタを売る提供者もおり、元ネタをバラす人物も存在していた。
 更なる問題は、八神がやってきた原因の殺人事件には収まりきらなかったことだ。迷宮化している事件はこの1件だけでは無かったのである。而も、アイビーに辿り着いた八神が出会った現在のマスターも元刑事、殺された前任者も元刑事であった。それだけではない。アイビーに出入りする客たちにも刑事や怪しい人物たちが居る。他に貸花をしている花屋には行方知れずの父を探している娘が出入りしており、迷宮入りしている事件ファイルに父に関わる記録が無いか確認したがってもいた。更に所轄には極めて真っ当な刑事や若手の優秀な刑事も居て各々、生き方のスタンスが違うから必然的に事件に対する向き合い方も異なる。これら諸条件が組んずほぐれつ明らかになって行く経緯の複雑さと可成り意想外な結末への収斂が見所だ。

御名残五月大歌舞伎

御名残五月大歌舞伎

松竹

大阪松竹座(大阪府)

2026/05/02 (土) ~ 2026/05/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「仁左衛門の盛綱」


 大阪松竹座のさよなら公演の夜の部は仁左衛門の「盛綱陣屋」で幕を開ける。

ネタバレBOX

 豊臣方と徳川方に袂を分かった真田信幸・幸村兄弟を近江源氏の佐々木盛綱・高綱兄弟に当てはめ敵味方を超えた兄弟愛を描いた時代物の大作である。盛綱(仁左衛門)の一子小三郎(秀乃介)が高綱の一子小四郎(種太郎)を生け捕りにする。母の微妙(魁春)に小四郎を討ってほしいと申し出た盛綱だったが、そこへ高綱討ち死にの知らせが届く。やがて陣屋にやってきた北條時政(歌六)のもと高綱の首実検が行われるが、それが偽首とわかったうえで小四郎は切腹するのだった。

 仁左衛門の盛綱は前半で見せた敵対する兄への厳しい口調と、後半で我が身を犠牲にして切腹した小四郎に見せる気遣いが対照的でドラマティックである。特に瀕死の小四郎の顔を下から覗き込むところが情愛したたるばかりだった。

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