エドヒガン 公演情報 ゆく道きた道「エドヒガン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    過去(1966年)と現在(2026年)を交錯しながら、嘗ての成瀬家(床下)を掘り起こし 埋蔵金を探し当てようとするが…。説明には、戦後の没落で屋敷を売るしかない成瀬家にとって、埋蔵金は最後の希望だったが とあるが今は郷土資料館になっていることから手放したことは明白。なぜ埋蔵金ハンター・成瀬はな が、結婚引退から久々に復帰したのかが肝。そこにシニア劇団らしい切実さが窺える。

    成瀬はな は埋蔵金ハンターとして有名らしく協力者が多勢いる。物語は 実家を掘り起こすため地元へ帰ってきており、高校の同窓会のような賑やかさ。学生の頃から人気者、そして言い出したら聞かないタイプという人柄を早いうちに明らかにする。少し分かり難いのが、成瀬家の没落の理由というか原因が釈然としなかった。施政を揶揄するため地続きとして過去を批判的に描いたのであろうか。

    時々 台詞の間が長くなること、他の人が被せるように話す(「オーバーラッピング・ダイアローグ」とは違うと思う)こともあり、台詞を忘れちゃったの と心配する(←杞憂だった)場面もあったが、全体的に ゆったり ほんわかと紡いでいく。勿論 今の立場や思惑から激論することもあるが、そこは気心の知れた仲のようで…。そこに この演劇ユニットの『咲き誇る経験、輝く舞台』のコンセプトが重なって見えるような。

    少しネタバレするが、ラストシーンかと思っていたら、暗転後 さらにワンシーン続く。その意味するところが…数年経ったことなのかな?
    (上演時間1時間15分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は 下手に段差を設え旧成瀬家の応接間。豪華な応接セットと脇に腰高の和箪笥、その上に白い壺。上手は大きな空間で 土間や庭といったところか。客席方向にタイトルにもなっているエドヒガン(樹齢500年以上)が植わっている という設定。

    成瀬はな が十年ぶりにこの街の郷土資料館に姿を現した。館の管理人はそんなこととは知らず、怪しい人物と警戒する。はな にとっては生まれ育った家、そして床下には埋蔵金があると信じている。学校の先生で郷土史研究家でもある友人の資料もある。しかし今は公共の施設である。はな は有名な埋蔵金ハンター、埋蔵金が発見できれば街興しにもなると 捕らぬ狸の皮算用を始める。一方 高校時代から因縁のある街の実力者 小坂俊臣は埋蔵金掘りに反対。実は はなの曾祖母 つやの時(60年前)にも同じような騒動があった。

    その時は成瀬家に多額の借金があり 金策に困っていた。そんな時 敷地内に埋蔵金があると…。結局 つやの姉 長女ときの猛反対で断念していた。10年前迄は埋蔵金ハンターとして活躍していたが、強引なやり方で協力者と仲違いをし、以降疎遠になっていた。再び埋蔵金ハンターとして復活したのは、自分が認知症になり心残りへの挑戦のよう。つやが残した日記(資料)から、埋蔵金は家が建つ(明治期)前に埋められているから、その場所はエドヒガンの根元らしい。その根は深く広く拡がっている。

    “シニアだから”といって諦めない人への愛情、後悔や反省のみではなく 希望を糧として生きようとする はなを応援する。悪人は登場しない、それぞれの性格や立場 そして思惑の違いが対立を生じさせているにすぎない。しかし皆 学生時代からの仲間、理不尽なことへは拳を握り声を上げる。60年前に家を手放すことになったのは、重い税負担(戦後直後の没落華族でもないのに)だったと小坂の曾祖父?が言う。当時の成瀬家は裕福どころか 借金まであったのに女中(差別用語?)がいた。ちょっと腑に落ちないところもあるが、卑小なことなのだろう。

    エドヒガンを伐採すれば、その花見(地域住民の楽しみ)は出来なくなる。ラストは桜が舞い落ちるところで、と思ったが次シーンがあった。管理人の「変わらない日々、それでも ちょっとした変化に刺激があり生きていることを実感する」といった言葉、そこにシニアらしい味わいが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/02/21 18:31

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