満足度★★★
満たされる心
チケットプレゼントにて鑑賞。岡村さやかの声がいい。
ネタバレBOX
痛みを感じない?雑誌記者の健(上野聖太)が彼女(岡村さやか)とともに、健の生まれ故郷に取材に行く。そこの森には不死の狐が住んでいて、健の母(千田阿紗子)と知り合いだったという。心からの願いを叶えることで旅立てるという狐を取材のネタにできると喜ぶ健だったが、謎のめまいに襲われる…。
健の不痛特性は、昔母が瀕死におちいり、狐の桔平(内藤大希)から血を分けられて一命をとりとめたことが原因と分かり、健の苦悩と桔平の苦悩が描かれる。母としての健の幸せを願う気持ちは、自分の心からの願いでもあると気づき、健の特性を消し去り旅立つ桔平。
シンプルながらも、程よく凝った設定と展開で、親しみやすい作品。ミュージカルはあまり馴染みないけど、なかなか楽しめた。
母の想いもそうだけど、狐・カエデ(萩野恵理)の森の外を見てみたいという、タブーを破ってでも成したい純粋な願いが胸を打つ。ここのダンスの表情も良かった。
桔平は、母の命を救い、健の命を救い、健の人生と今後生まれるかもしれない子のことも救ったということになるのか。自分のことでなく、他人のことで願いを遂げ旅立つところがグっとくる。
ただ、桔平が母や健へ示す情の深さはなぜだろうかなと感じた。一応、母は桔平を差別しなかったみたいなこと言ってた気がしたけど。
ちなみに、健の特性は精神的な痛みも感じないってことなのか。ここらへん、伏線的にもうワンエピソードあっても良かった。
舞台セットはしっかり作ってあった。ステージ奥の月が浮かび上がるのとか、とても綺麗だった。また、球状ランプを使用した演出や振りも良かった。座り演技はやや見にくい。
満足度★★★
皿に首
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
前半眠ってしまった。
後半、タラ坊(櫻井詩音)が死ぬとこから観た。ストーリーとかバックグラウンドとか、ほぼ把握してない。
ただ、寿安(鈴木太一)とサキ(板津未来)のやりとりは見入った。伝説の話が重なるような錯覚。
あと、終盤のサキ?が首もってこいって放つところの、律(西郷まどか)の「ようゆうた!」とか。
伝説の残る島の、昔話にも似た古めかしい世界。畏れの美学みたいなね。
満足度★★★★
遺伝子学的
面白い。70分。
ネタバレBOX
男(寺十吾)の部屋に、男の弟の妻で、男の前妻(前川麻子)が、弟を探しにやってくる。血のついた包丁と弟の靴を冷蔵庫に隠す男。二人は他愛もない会話をしつつ、煙草をくゆらせ酒を飲む。そんな中、男は弟をバラバラにしたことを暗に示し、前妻に「渾身の告白」をする…。
二人の落ち着いた演技が、軽いような重いような舞台をつくる。寺十は、「折り合いをつけ」ようと、また、前妻への気持ちを不器用に表現しようとする男を好演してた。前川演じる前妻も、勝手なんだけど、どこか愛らしい空気を醸してた。二人とも、くたびれた感と大人らしい屈折感が同居してた。
話は、前妻が死体処理のためのロープを買いに出て、男が押入れに向かって「あいつ戻ってくるかな」と問うところで終わる。弟の死を偽装して、前妻との関係を戻そうと画策した男の寂しさが、その背中に見えた気がした。渾身の告白をしたのに、「他の男を探す」って前妻に対して呆けたような男のツラがいい。なんだそりゃって感じの。
兄弟とも、前妻の気持ちを繋いでいられない。前妻はそんな彼らの気持ちを知ってるのか知らないのか。多分、大して気にしてないんだろうなと。
あと、微妙なポジションにつける弟の才能は単純にスゴイ。
満足度★★★★
メーテルの苦難
面白い。
ネタバレBOX
漫画家の火山火山(シバジュン)が引退を飾るため、天堂(草野智之)を指導する。病気で亡くなった火山が残した最後の課題「恋愛小説をかけ」を天堂が乗り越えるまでを描く。
本編の合間合間に漫画作品の劇が差し込まれるってスタイル。
・30分で立ち読みして読めないと法外な値段で購入しないといけない本屋
・脳内で将棋や囲碁を戦う少女
・擬似モテを体験できる店
・男を待つ女の周りでチャチャを入れるダウトマンらの話
・アメ舐めると変身して悪者をやっつける少女の話
・病気の少女
みな、味があり、笑えるショートストーリーだった。ダウトマンの話は人間の機微みたいなものも見え隠れしてて好み。本屋の話は、その設定が面白い。脳内少女はプリーツスカートがかわいい。変身少女が悪者をやっつけるシーンのダンスがいい。擬似モテ店のオチ(実は気があったのか的な)も王道ながらいい。
火山の死後、描く意味を見失い、病気少女の話をハッピーエンドでかけなくなる天堂だったが、火山の編集が田舎でやっている本屋に火山の幽霊が天堂の本を探しにやってくるってことを聞き、火山のエピソードを元に恋愛漫画を書き上げる。ラストの田舎のバス停で火山と奥さん(内江志八枝)が眠るシーンで幕もいい。
笑いとストーリーをバランスよく編み上げた良作品。ライオンパーマらしいというのか、B級な感じが好き。
満足度★★★
知恵
お好み焼き&ドリンクサービスが嬉しい。美味しかったし。くじ引きとか小ネタもあっていいスタイル。
ネタバレBOX
神に愛され、蛇が傍につく「オレ」の話。
自分の存在に執着するオレの話と、蛇の話の関係性がよくわからんかった。オレがアダムなのか。蛇が知恵を与えるとかあったけど、ここらへん際立たせてほしかった。
女と男がキスするなら、男と男ががっつりキスしてもよい気がするけど。
満足度★★★
○○と最近仲いいじゃん
チケットプレゼントにて鑑賞。龍田知美の口元でニヤっとする表情が上手い。
ネタバレBOX
生保の営業所にマネージャーがやってきて、違法リストを元に営業をかけることになる生保レディたち。混乱と反発を招くも売上は上昇し、納得するレディたち。桐子(齋藤友映)はやり方に疑問を持ち、同じく反発している日下(龍田知美)の占いで自分のスタンスを貫くことを決め、顧客の太田(林剛央)からの信頼を得る。しかし、太田のことを想ってした営業が裏目に出て、不払い騒動に発展してしまう…。
終盤の、マネージャーと日下のやりとりが見せ場か。マネージャーの営業理論と同じ考えだったと気づく日下。占いに寄り添い、指標(自信)にする日下の挫折を描く。
ただ、日下の占いへの信望ってとこが汲み取りにくかった。契約取れず周囲に見下される屈辱の過去を救ったのが占いだってとこに、日下のアイデンティティがあるのだろうけど。
カネと人間性の狭間で、占いという指標に寄り添い傷つき悩む女性のほうにスポット当ててたけど、影山(菅谷和美)のようにマネージャーのやり方で悩みが晴れた人間もいて、結局、何を信じるかはなんでもいいんだろうなと。自己と折り合いがつくものであれば「どっちでもいい」んだろうなと。そう思った。
満足度★★★
A
ニコルソンズが良かった。MCの伊藤今人がきっちり司会してた。
ネタバレBOX
ThE 2VS2
12/24に交わされる恋愛の話。男と女、それぞれに付く謎の男が途中でジョキーと分かる。有馬記念で男(雄)が勝つも、ペナルティで去勢される。いい具合で競馬の話に転換しオチもつけた作品。良かった。
劇団エリザベス
大好きな彼に会いに空港の金属探知機をくぐる少女。ひっかかるたびに自分がなくなっていくシュールな話。長谷美希も空港スタッフを演じた田中ありすも美人で魅力的なのはいい。あひるぐちを絡めた話の展開がちょっとまだるっこしいかなと。
劇団ニコルソンズ
急に街の人間がゾンビになって、地下に逃げ込む人たちの話。セックスレス夫婦、年増好きの凄腕結婚詐欺師、セックス中毒者など、面白いキャラ設定と話に笑った。インポの夫が復活し、木づち片手に表のラブホに向かう夫婦の姿が眩しい。ユーモラスな作品で好感触。
シアターOM
「うしおととら」の外伝を舞台化。原作読んだことない。序盤の語りがやや長くて集中力が切れた。
彗星マジック
絵を描く「君」と、描かれる「僕」のファンタジックな話。休憩直後でなく、一番ラストでも良かったかな。あったかいような寂しいような空気は好きだけども。
ステージタイガー
虎に育てられた男を教育する話。実は女性も獣に育てられたって要素をからめた作品。悪くないけどパンチが足りないって印象だった。
満足度★★★★
B
チケットプレゼントにて鑑賞。
6団体とも面白い。テノヒラサイズと劇団ZTONに惹かれた。
ネタバレBOX
オパンポン創造社
牢屋の中で交わされる、元王様と囚人の話。脱獄し祖国を目指す王様と脱獄を通報し子供に会いにいく囚人。ワンシチュエーションの中に笑いとドラマがバランス良く備わってた。
超人予備校
ニホンオオカミやカワウソら絶滅危惧種(絶滅さん)の話。絶滅危惧動物や天然記念動物、外来害魚とけっこう社会派。後半の言葉遊びはもうちょいキレがほしかったけど、独特の空気がいい感じだった。
犬と串
ホステス殺人事件を捜査する刑事と容疑者たちの物語。容疑者やその友人はラーメン&ガススタンド文句しか言わないっていう馬鹿げた趣向と、殺人事件のシリアス調のミスマッチが上手い。イベントのエンディングでも役柄で盛り上げるとこが素敵。
テノヒラサイズ
クイズ研究会の面々が天国を目指すが、地獄に落ちる人間を一人選ぶって話。「いい人」なのに「地獄」に落とされそうになる湯浅が上手い。オチの「正解です」も最高。笑える人間ドラマ。
劇団ZTON
剣術はてんでダメだけど、土方に憧れ新選組に入る少年の話。力を抜くところは抜く反面、殺陣シーンがカッコイイ。最期のキメシーンにもシビレた。
空想組曲
溺れた友人の死を受け入れられない少女が「銀河鉄道」の世界に逃げる話。基本構造は赤坂公演と同じかな。20分の短時間で濃厚な舞台構成だった。一番見ごたえあった。
満足度★★★
オスメス
カッコよかった。
ネタバレBOX
トロイア戦争を舞台に、両陣営の話とトロイラス&クレシダの愛を描く。
人物名とキャラを把握するのに苦労してしまった。横文字苦手だからかな。
ギリシア=カラス、トロイ=犬って衣装やメイク、デハケのポージング(犬のがいい)でイメージを植え付ける。関係の根源はSEXとか感情で、人間性ってなんなのかって舞台。実際、絶世の美女で戦争の引き金になったヘレン(植田麻里絵)をギリシアへ返すかどうかでもめたりする。人間いっぱい死んでるのに。クレシダ(山口笑美)もギリシア将軍のダイアミディーズ(文秉泰 )と肉体関係を持つ。んでトロイラス(川村岳)は復讐を誓う。
人間の中の動物を描いたかっこいい舞台だった。
人物よりもそんな「感覚」を観てたほうが良かったのか。実際、照明や音響、衣装や舞台装置、ダンス含めた演出は好みだった。ジャズな音楽が似合うかっこ良さというかセンスの良さがあったし。
サーサイティーズ(倉品淳子)だったかが言った「男は手に入らないものをありがたがる」ってセリフが印象的。
満足度★★★
遺書
面白い。芦名星の顔立ちが好み。
ネタバレBOX
とある病院。胃潰瘍で入院しているとび職の親方・花田(金田明夫)を見舞う、娘のふみ(芦名星)たち、総裁選出馬を目指す代議士の山ノ内を見舞う秘書の芥川(デビット伊東)たち、同じく総裁選出馬をする浜村(石井愃一)は親友の相撲の親方を見舞う、そこにふみの幼馴染で花田の元弟子の富雄(宅間孝行)がやってくる…。
勘違いが勘違いを生む、ベタなコメディ。笑いもベタなネタが多い。けども、笑える。浜村のハゲネタとか。素直に笑えないのもあるけど、笑いを呼ぶ舞台の空気があった。
花田からその妻・恒子(藤吉久美子)への、遺書手紙もやはりベタなんだけどジーンときてしまう。演技や声がいいし、内容も平凡でわかりやすいのがいいんだろうなと。
花田の病気がガンじゃないとわかり、ふみと富雄が一応結ばれるってハッピーエンドなのも好み。後味いい。また、浜村とその秘書・野々村の男気もかっこよかった。地味に花田の弟子のえり(信江勇)がいい味だった。元キャストの八幡夏美と容姿がかなり違うけども、元がどんなキャラだったのかな。
楽しい舞台で満足できる。花田の手紙にあったとおり「ありがとう」って気持ちの籠ったいい舞台だった。
満足度★★★★
夢のような北方紀行舞台
面白い。橘麦が素敵。
ネタバレBOX
逆田純(吹原幸太)は、息子の真(加藤慎吾)と妻を残して、オカマの世界に入る。妻は首吊り自殺し、成長した真は、純がママを勤めるオカマスナック「無いチンゲール」に会いに行く。純の婚約者でありオナベのアスオ(仁田原早苗)が実家のある札幌に戻ったと知り、アスオの住むアパートの大家・角田(小岩崎小恵)らとともに、車で札幌に向かう真。途中で、10年も前に交通事故で死亡した地縛霊のマチ(橘麦)や、同胞と離れ離れになったという未来人の一場(井上博之)らも同行し、車は北上を続ける…。
下ネタが多くて、お約束の罰ゲームショー(劇中では性的快感をえるためだけど)もあって、くだらなくてしょうもなくて笑える良舞台。あんまオカマネタは好きじゃないけども、面白かった。とても上手いです。
下ネタ以外のトークやツッコミも冴えてて、客席からいい笑い声が湧いてた。いいセンスです。孫悟飯が強敵に会ったネタは最高に笑えた。
マチが元彼と再会するシーンや、アスオが角田の母であったり、真と純の会話シーンであったり(ラストのサイフ抜きもいい絡め方)、ジーンとくる場面もしかりあって、その構成やテンポが良い。
特に、マチの優柔不断な元彼との再会は、優柔不断な元カレが最後に姿をみせるって手法で、いい終わり方になってた。変にグダグダせず、余韻もあって。その前のマチの明るい笑顔と健気な性格があってこそだろうけど。
父同様、オカマというかホモに目覚めた真と、純の、最後の電話でどんな会話があったのか気になる。ここもいい塩梅で締めてくれてた。いい作品だった。
満足度★★★
ゲシュタルト
女優さんが魅力的な方ばかり。
ネタバレBOX
劇団員の根本宗子と梨木智香と秋澤弥里が喫茶店にてギャーギャー激論をかわす。座長で脚本家で秋澤の彼氏であるゲシュタルトの筆が進まず、劇団存続の危機らしい。ウルトラマンのテーマ?を3人で熱唱。携帯を通じてゲシュタルトのやる気も復活し、劇団の危機を回避。
無愛想で上の空で殺気立ったウェイトレスの下城麻菜が彼氏にふられたことに「女の」先輩として喝を入れる。そして、ビールを豪快に飲む下條…。
ゲシュタルトの元恋人としてまた劇団員の先輩として、秋澤に熱弁をふるい諭す梨木が一番魅力的だった。ゲシュタルトに付き合いきれないと嘆きさめざめと泣く秋澤もなかなかイラっとして良い。
下城はもうちょい話に絡んでも良いかな。ピリピリした演技も悪くないけど。根本は、オーダーメモの匂いを嗅ぐ時の目つきがとってもコミカルで上手い。
30手前の女子トーク。パワフルで良いけど、話自体は平凡な印象。キャラはいいけど、もうちょい上手く話に絡ませてほしかった。
んで、根本はゲシュタルトと寝たのか。ゲシュタルトみたいなどうでも男に振り回される女達の絶叫が喫茶店に良く響いてた。
満足度★★★
母性の派遣
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
母が命をかけて出産した話、お母さん派遣会社を立ち上げた男の話、とある廃墟に忍び込む男2人の話。この3つがつながっているって舞台の話。そのバックステージモノ。
脚本の永塚は、トラックに轢かれて死亡するも、忘れてほしくないって心から、トラブル含みの舞台を上演しようとしたってのがオオモト。
バックステージものとしても、永塚の話にしても、ちょっと寂しい印象。
バックステージのドタバタはいいけども、リアリティが欠乏しすぎかな。永塚の話は、逆にしんみりした感覚がもっと欲しい。
笑えるところはちょくちょくあって良かった。
満足度★★★
隅田川のほとり
照明が綺麗だった。90分。
ネタバレBOX
老人ホーム的な介護施設を脱走した老婆6人が、東京スカイツリー展望台で歌を詠い、天岩戸と開ける話。
結局、老婆は地方で無銭飲食して施設へ逆戻り、その間の記憶はない。ヘンテコな登場人物と設定とでつかみどころがないような舞台。螢男の話は面白かったし、なにげに第八景「婆達の秋の夜の宴」は見ごたえあった。
全体的に象徴的なつくりで、コレってものが掴めなかった。老婆の死への未来視めいたもののようにも見えるけど。もうちょいまとまり感が欲しかった。
満足度★★★
自由で不自由
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
ルールなく自由な世界にやってきたリンダ(美香)は、「一度入ったら出てはいけないというルール」があることに違和感を感じ、疑問をぶつける…。
現実世界の煩わしさや悲しみから逃れるようにやってきた住民たち。この世界しか知らなくて、母の死後、みなが出て行かないように「ルール」を作ったニキ(悠希とわ)。リンダの声が届いたのか、皆変わり、世界も変わる。
骨子はこんな感じで、90分の中に歌とダンスとストーリーをバランス良く配置してた。
話はやや強引だったが、ダラダラやられるよりは良かった。ただ、スッキリしすぎでひっかかりが無いとも思う。
ダンスは総じて良かった。
歌は、心に響く感じがなくて残念。楽しいシーンで楽しい歌なのにそれが伝っわってこないとか。上手い下手とかでなく。
満足度★★★★★
女の強さ
面白い。女優の表情が皆いい。
ネタバレBOX
元アイドルのマリナ(松本まりか)を主演としたAV撮影現場。
リカコ(安藤玉恵)…事務所を経営し、子供の面倒もみる忙しさから、以前のようにAVに入れ込めないでいる。
ルミ(もたい陽子)…18くらいから熟女系AVに出演している巨乳。潮吹きを自在に操る。ADと付き合っている風。結婚線?がない。
カエデ(高野ゆらこ)…元SM女王で、奴隷との間に子をもうける。リカコからエロスには心が必要と教わるも最近のリカコの姿勢に幻滅している。
マリナ…事務所に騙されてAV出演。AVへの意識は低い。実は子持ち。
カスミ(内田慈)…ロリAV女優を経験後、引退。離婚後AVの世界へ戻る。リカコを尊敬している。ロリからの脱却に悩む。潮吹きをルミから伝授される。
実際は知らないが、AV現場のイライラが充満する舞台で、女性間のプライドとか意地とか意見が衝突する。ここらへんの表情が上手い。みててニヤニヤしてしまう。
シモ用語が飛び交い、バイブが登場し、下着脱ぎがあり、盛大な潮吹きも飛び出す。単なる下ネタでなくキッチリ笑いを引き出す面白さがあった。
AV世界の酸いと甘いをベースに、AV界を生きる女の強いも弱いも舞台に乗っけて、その寂しさとか苦悩を色濃く描く。これまでの人生とこれからの人生に挟まれて右往左往する女たちが、とても魅力的。特に潮吹きができないクセに出そうと頑張るカスミとか、リカコへの不満を抱えるカエデとか。
終盤、マリナの顔面に皆で潮吹きかますシーンのバカげた感じと、変な爽快感がなんとも言えない。んで、収録後、楽屋に残ったカスミの前で、託児所?へ電話するマリナを見送るカスミの表情がまたいい。懸命に生きる「女の強さ」を印象づける作品であった。
ちなみに、潮吹き(擬似不可)にこだわる監督役を演じた仗桐安のAV監督ぽさったるや、言うことなし。
満足度★★★
ねるねるねるね
チケットプレゼントにて鑑賞。なかなか良かった。
ネタバレBOX
男(草刈岳)の不在時、彼女のあき(堀川美由紀)の前に3人の女性が現れ、自分らは家電だったという…。
なぜ家電の彼女らが人間になったのか?そんな謎を秘めつつ、お好み焼き食べて語らい、お風呂入って寝る。起伏が大きいワケでないけど、そんなほのぼのした話を女性4人で90分近く引っ張れたのは良かった。もうちょっとアップテンポでも良いとも思ったけど、家電が「人間」に触れ思い出を抱えて、家電に戻るというストーリーはハートウォーミングだし、スジはいいと思う。
家電が食べること、食器を洗うこと、風呂に入ること、それらに幸せを感じ、人間を感じるってことと、逆に人間が家電(ひいては人間以外)を想うこと、そこらの描き方を濃い目にしてもいいかもだけど。
コメディ部分は、変なポージングやネットネタとかは控えめにして、笑わせにきてくれると嬉しい。「実印にヤスリ」のくだりはとても笑えたし。
舞台の高さがあまりないので、座り演技されると見にくくて困る。特にいい場面なところでそれだととても残念。
満足度★★★★
イオンとの闘い
面白い。
ネタバレBOX
田舎の寂れた商店街が、村おこしの一環で、往年のマジシャンであるシニョール・マレ(岡見文克)を呼ぶが、マレは全盛期「トランプの貴公子」とはうって変わってアル中であった…。
東京で修行したという若いバーテン・智(竹内尚文)、その姉でカツカツの酒屋をしている記子(田中千佳子)、スナックに勤め実はマレの娘の菫(片岡あづさ)、菫とやりたがっている八百屋の哲郎(伊丹孝利)、バツイチで冷静な惣菜屋・葉月(菊池美里)ら街の住民と、マレの妻であり事務所社長の萌恵(外山弥生)とマレの後輩だが人気のマジシャンで萌恵が好きなKOH(山崎雅志)らが笑える舞台をつくる。
イベント当日、マレと対決をしようとするKOH。KOHが勝てば、社長をもらい菫に土下座をしろと迫る。マレが受けてたつも、トーク9割+マジック失敗の散々な結果に。しかし、審判を任された菫は、マレの思い出のマジックとお客さんが楽しんでいたとしてマレの勝ちを告げる。一方マレは、自分の負けを譲らず、これからやるマジックでケリをつけようとする。ワザと失敗するマレに対して、嘘をつく萌恵でエンド。
イオンvs商店街って社会的な構図と、KOHvsマレって人間関係の構図が面白い。田舎の抱えるムラ社会的問題と恋愛や親子の情をミックスさせ、奥行のある舞台だった。
KOHのイケイケな感じを山崎が好演したし、マレの落ちぶれ感を岡見が上手く演じていた。特に山崎は、カウンターに上がり照明を手動で当てたり、萌恵に迫ったり、マレへの憧れと反発を抱えたり、かつプロ気質を備える等、キャラとして大忙しだった。面白い。
他にも、菊池や伊丹、田中など、いいキャラをいい演技でつくってた。
菫の話をもうちょいガツンとした味でも良かったかなと思ったけど、満足の舞台だった。
満足度★★★★
千手観音
面白い。宮川サキの自然体の演技が素敵。
ネタバレBOX
小石(宮川サキ)が独りバーカウンターでマッカラン10年を飲んで、バーテンと話している。そこにsun!!がやってきて二人で話を始める…。
二人の関係を隠したまま、そこに不穏な空気を残したまま舞台を進め、程よいところで、sun!!が小石の母で既に他界していることを明かす。sun!!(母)は(多分)27歳の頃、小石を残して自殺し、小石の孤児としての不遇な人生が始まる。そんな(多分)42歳の小石と母が語らうって設定。二人の年齢差を逆手にとった手法が面白い。
小石35歳でソロバン塾講師と付き合い、幸せな5年間を過ごすも、講師は病死。そんな不幸せな人生を終わらせようとする。母はそれを止めようと、不要なものなんて無い、人生に必要なもの(石)がある、と説得するが、母の自殺時自分が「石」でなかったと小石は叫ぶ。
序盤の軽快な大阪弁による笑える会話から一転、シリアスで笑えないシーンが続く。見た目は逆でも母であろうとする母の姿と、母に反抗する小石の姿がやるせない。
ラスト、母が帰って、独りバーに残り「おかあさん」と嘆く小石は、バーテンにマッカラン10年を2本追加する。一本は飲まずに20年モノにするって低所得者の智恵に、母は石になれたんだなと、ちょっとあたたかくなった。
満足度★★★
砂と水
佐野陽一、田口朋子、河西裕介の演技が特に良かった。
ネタバレBOX
津波被害にあった土地に水害が襲って…って話かな。
被災地に車を売りに行き帰ってこない夫(下西啓正)とその妻(川崎桜)。
嵐から逃れるべく地下室に避難している姉妹(田中のり子・稲葉佳那子)と男(佐野陽一)。
被災地にボランティアに来た男と女。と地元住民の男と女。
夫が死んだのが分かっているのに、義理の?弟(河西裕介)に夫を探させる姉(田口朋子)。
とことどころで混じっては離れ舞台を作る。灰色な感じの会話とか人間関係が乞局っぽくて不安になる。日常っぽくないけど本当っぽいところがそう感じさせるのかな。
豪雨が落ち着いて、あたりが水没した被災地を自転車で失踪する夫の絵を想像すると面白い。ラスト、高度634m?地点で水を口で受け止める地下室3人組。テーマは水かな。水を奪い合ってた3人が盛大に水を吹くシュールな絵と気持いいミュージック。街を飲み込んだ「水」を人間が飲み込もうとするユーモアなのか。