満足度★★★★
ハイ・クオリティー
面白い。90分。
ネタバレBOX
一般市民が掃除機を飼う(ロボが掃除機を操る)というSF物。
眼鏡(加瀬澤拓未)…一般人と見せかけて実はロボ。
市兵衛(篠原正明)…上子の元彼。実は上子のロボで300テラバイトのハイ・クオリティーロボ。
ロボ1(左近道代)…市兵衛のロボ。実は人間で市兵衛に洗脳されてた。
上子(日野早希子)…市兵衛に洗脳されてた。
常彦(帖佐寛徳)…上子の彼氏。写真家。終盤、掃除機を自在に操るくらいに意思を通わせる。
るる子(三上ナツコ)…市兵衛のゆきずりの女。実はロボ。
ロボ2(佐伯さち子)…るる子のロボ。実は人間。
ロボ姉(飯田こうこ)…8ギガバイトなロボ。壊れた。
ロボ妹(鳥原弓里江)…8ギガバイトなロボ。
成生(成瀬正太郎)…実はルーシーを洗脳したロボ。
ルーシー(川上友里)…本名ハシモト。両耳を同時に折れと叫ぶ。
女ロボ(丸山夏未)…ロボ。眼鏡の飼い主でありロボ。
ショップ店員(岡本唯)…掃除機。
掃除機と戯れるというウォーミングな調子からロボの存在と人間との関係に移って、さらにロボが洗脳をして人間になりきるというホラーめな話へ突き進む。SF作品にありがちな感じではあるけど、そんなことはどーでもよくなる味付けのなされた舞台。
特にルーシーのくだりは最高に笑えた。川上の素晴らしい表情や発声が粘っこく光ってた。
掛け合いになってないセリフの応酬とかも好き。
ナカゴーらしいクドクドしい展開が続いたかと思えば、爽やかでちょっとだけハートウォーミングになる空気で幕が下りる。よくわからんが、ハイ・クオリティーという言葉に恥じない作品だった。
満足度★★★★
グリーングリーン
面白い。90分。
ネタバレBOX
絹子(鉄砲塚雅よ)…病死した父の蕎麦屋を借金もろとも継いだ。青春時代を蕎麦に捧げた。男もいなくイヤになって死のうと考えるが渡辺になんとなく助けられたことから恋して処女を捧げた。
乙女(ヒルタ街)…絹子の同級。風俗勤務時に渡辺と出会い恋した。ドM。
國枝(竹原千恵)…絹子の先輩。渡辺の絵のモデルをしている。
タマノ・リアン(珠乃)…女優。ハリウッドデビューを目指しオーディションを受け続ける。終盤ナンマンダブしか言えなくなった。
椿(荒川佳)…絹子の店のバイト。色んな男を知ろうと遊びまくるが、バイト代を貰わなくても働く一面もある。実は渡辺と現在付き合ってる。
小玉(菊池美里)…小学生。渡辺と泰子の子。絹子の少女時代に似ているらしいが…。
泰子(川原万季)…渡辺に離婚を迫る。ダメな女だからとナイフで自殺未遂をする。
木綿子(笹峯愛)…絹子の母。成仏できずに現世をさまようが、タマノの念仏で成仏する。
渡辺(村田与志行)…SEX好きで嘘つきな男だけど、みなから求められる男。
絹子をはじめとした女らと渡辺というダメ男の狂騒を描く。結果、渡辺は若くてかわいい椿と付き合うというオチで、ふられた女ら(小学生含む)は、一同絹子の提案でカトマンズを目指す。ちょぴりダークだけど、ほぼおバカな空気感でニヤニヤしてしまう。歌やプロレスな展開も盛り込んで短い時間でも色々楽しめた。
木綿子の扱いが、なんかありそうでなんでもなかった的なのはもったいない気がするけど。いや綺麗だったけど。
満足度★★★★
春は痒くてたまらない
面白い。85分。
ネタバレBOX
大学の写真部員だった7名が10年後再会。旅行途中の飛行機事故で無人島へ流れ着く…。
アイ(保亜美)…卒業時に企画展をしようと一同を説得するが、失踪。10年後突如現れる。写真の才能あったが色んなものが見たいと道を外れた。
チカ(宮山知衣)…無人島で子を授かる。ユミの帰国を誘われるが断った。ユミの彼氏と浮気した。
マリモ(尾身美詞)…ファンシーな女。無人島で腹に虫が寄生した。
ヒロコ(安藤瞳)…子持ち。うわべな会話がイヤで堪らない。無人島でナツキに突き落とされる。
ユミ(吉田久美)…チカと仲良し。原住民?と婚姻するが、彼氏のことが忘れられない。
モモ(小暮智美)…セレブな女。無人島では原型留めないくらいに変貌した。虫が主食。
ナツキ(渋谷はるか)…写真の道を歩んだ女。無人島で無限に好きな写真を撮れる喜びに浸る。
隠すことが普通な現実から、生と死の狭間である「無人島」に移った女たちは、その姿をさらけ出し始める。腹の中で虫が蠢くようなキ~!!ってなるような空気感から、次第にあけっぴろげになる開放感と底に沈んだような陰鬱な色彩が妙に楽しい。
崖下に落とされたヒロコの妄想か夢か、それとも現実の未来か、おばあちゃんになった7名が再会し、井戸端話に夢中になるシーンの挿入具合がいい。背を向けているアイが何もないと言い放つ。現実で充実していそうなアイに対しての誰かの希望なのかと感じた。にぎやかであるんだけど、どこか暗いジメっとした作品だった。素直に面白いと思う。
満足度★★★
シド
意外と引き込まれた。120分。
ネタバレBOX
風子(佐藤由紀子)の夫でミュージシャン志望な昇(窪田裕仁郎)が麻薬に嵌り、事故に合う。脳手術で感情のなくなった夫が、マージャン店で刑事の古田(大塚尚吾)に銃殺されてしまう。風子(川添美和)と昇に麻薬を売ってた山根(藤代知己)は、古田を呼び出し、ホントウの世界をみせようとする…。
「盲点」の話や「器(通底器)」の話は何気に面白いと思った。普段考えもしない点だし。ここらへんのやや小難しいトコと、ストーリーな部分、戦時中の実験室とのミックス加減は、もうちょいドロっとしててもいいかなと。もっとカオスでもいいかなと。
人格を書き換えるっていうホントの自分とは、といった視点がもっとディープに迫ってくるような感じもほしかったかなと。
満足度★★★★
さらに
面白い。90分。
ネタバレBOX
社長(金山寿甲)…デアゴスティーニ社長。母の件でSEXで女を殺し続ける。ギャルソンにチンコ切られた。
副社長(中澤功)…社長の弟。社長とともに女を3000人程殺してきた。文子と結婚を考えるが…。
雅江(菊川恵里佳)…社長らの妹。
脇谷(小林義典)…D社社員。ウケクチで何しゃべっているかわからない。
ギャルソン(北川祥昇吾)…D社社内のサイゼのウェイター。D社への恨みを晴らすため潜入している。
クレーマー(佐竹リサ)…D社の創刊号罠に嵌りクレームをつけにきたが、社長のテクでSEX中毒になる。
まこちゃん(田島冴香)…社長らによってSEX中毒になった女。
太一(畑雅之)…ダイアモンド社からの引き抜き。副社長の友人。
富由美(上田遥)…太一の妻。副社長のテクで中毒者に。
筆子(佐瀬恭代)…殺された妹の復讐のためD社に乗り込む。整形に失敗した方。
文子(鈴木潤子)…殺された姉妹の復讐のため副社長に近づく。SEXテクは副社長と同格。
刺客(高畑遊)…ギャルソンの妹。手裏剣をなげる。
D社社長らへの復讐劇から、男も女も副社長のチンコの虜になり、果ては神のように崇め、その復活(勃起)を促す…という話。
序盤のD社ネタも笑えるが、終盤の連続Fの妙な盛り上がりがウケる。いい感じの押し寄せ方。バカな内容でヘンテコな高揚感を付加する舞台展開にヤラレタ。満足。
社長と副社長の言葉回し(発声)が気に入った。二人の演技もキャラも良かった。
満足度★★★★
シンプル
面白い。90分。
ネタバレBOX
父をすでに亡くし最近母も亡くした兄弟。兄である俺(西川康太郎)は母が残していた自分の作文を眺め、昔を思い出す…。
クロ(菊池祐太)…弟。近所に住んでた女の子と結婚し、子が生まれる。
もじゃお(鈴木ハルニ)…リーダー。天然パーマがすごい。
河童(石黒圭一郎)…水泳得意。クソ川に飛び込み九死に一生を得る。ホモな水商売先に就職する。
トッタン(書川勇輝)…家庭がゴタゴタした貧乏人。万引き常習犯。後に万引きゲームを開発する。
コチュジャン(伊藤亜斗武)…在日朝鮮人。辛いのが苦手なので、あだ名をクッパに替えてもらう。
ケー(伊藤今人)…野球好きだけど下手。俺の母の言葉を胸に頑張り、ACミランで活躍する。ホンダケイスケ。
回想中心で、小学生のバカさとか友情とか家庭事情とか、緩急つけてホットな舞台に仕上がってた。じんわり来るし笑えるし。「母」への想いはもうちょい描いても良かったと思うけど。河童とかコチュジャンとかトッタンの話は、いいとこ突いてた。
ダンスも照明も抜群にいい。率直に楽しめたのが嬉しい。客入れ時も含め選曲も良かった。あと、チラシのキャストにフリガナがあるのが地味に親切と思う。
満足度★★★★
アーチェリー
面白い。45分。
ネタバレBOX
昼休みの公園。先輩OL浅野と後輩OL川村がクリーミーマミの話をしているところに、二人にランチに誘われた関村課長がやってくる…。
浅野…アイドルになりたくて会社を辞めようと考え、アイドルの路線について関村に相談をする。一人で牛丼食べられない女が嫌い。
川村…浅野を慕い、浅野が辞めるなら辞めるという。夢がない(ゴボウになりたい)。仕事しない。関村に300万借りて(人生を変えるため)絵を買うと言い出す。
関村…独身。アイドルに詳しい。例えが微妙。
45分、1800円という手軽な公演。すっとぼけたOL二人と威厳の無い課長のゆるい会話が素直に楽しめた。笑えるとこも多い。関村のどこ見てんだかわからない視線も妙に味わい深くみえる。川村のOLファッションは職場にいたら人気出そうだなと思う。ちょいイタいけど。前に駒込であった浅野と関村の二人芝居ネタ(アイドル)に繋がってるとことかニヤついた。コーヒーが嫌いとは言ってなかったけど。
満足度★★★★
C
面白い。110分。
ネタバレBOX
高原にあるサナトリウムのロビー。
今年に入って三人死んだという空間の中で、今生きている人間の想いを静かに綴る。
西岡(串尾一輝)…患者。絵描き。お嬢様な婚約者(村田牧子)に退院しないのと問われ、自由にできないと答える。
前島(富田真喜)…患者。西岡のモデル。散歩好き。
村西(石松太一)…患者。恋人(黒木絵美花)が面会にくるが、付き添いの友人(小林亮子)から恋人が結婚すると聞かされ、「半年」という時間の短さを語る。
福島(伊藤毅)…患者。にぎやかで女好き。恋人や友人が面会にくるが、眠いといってロビーで寝てしまう。
貴美子(藤松祥子)…患者。17から入所している。怪獣のスリッパを愛用。
茂樹(折原アキラ)…患者。貴美子の兄。神経質。
本間(坂倉奈津子)…患者。死と向き合い始めたばかりで不安に駆られる。
村西が、知らなければ問題ないというようなことを言うが(反面、恋人は知ってたほうがいいという)、恋人の結婚という事実を知らなかった(知らされなかった)という現実を受け止めきれてないシーンがいい。村西は宣告契約をしているが、「いつ死ぬか」という具体的な現実を理解することの難しさを感じた。
入所4年目という福島は、原発を連想させる。表向きの調子の良さとはウラハラに、次第次第に弱っていくような不安感を客席に与えるいい役回りだった。
西岡の自由にできないという言葉は、持てる者と持たざる者という観点から出た言葉かなと思った。金持ちっぽくて健康だろう婚約者と疾患を抱え絵しかない男という落差を、入所して(前島に会って)感じたせいだろうか。
登場人物が多くてもごちゃごちゃせずに、それでいて印象的な作品。
満足度★★★
銀の鈴
面白い。110分。
ネタバレBOX
遠野(渡辺望)…マチの元彼。ダメ人間でマチを想って別れたが、結局ダメなまま。
近野(平野彰子)…月島の彼女だった。東京駅で自殺を考える。
陽子(川島佳帆里)…インフォメーションスタッフ。30超。上京したての月島にエールを贈る。
晴海(大和田沙織)…忘れ物預かり所スタッフ。
古都会(阿部紗穂里)…カフェ店長。バイトから人を喜ばせたいとそのまま勤務。
内田(荒屋敷雅章)…駅員。遠野と近野を不審がる。
マチ(鳥原まゆる)…ふられたはらいせに、遠野を不幸にしろと濱に依頼する。
濱(久住ヒデト)…何でもや屋。低血圧。
ひかる(本多麻里子)…5年前、東京駅で自殺未遂し濱に助けられた。今はフリーペーパー編集者。
新橋(佐渡ツムジ)…優香の彼氏。潔癖的なエリート。
優香(馬場史子)…新橋との結婚に不安を感じるも、新橋の言葉から信頼する。うっかり。
月島(國枝大介)…近野の元彼。俳優志望だが田舎に帰ることを決意する。
日比谷(今井典和)…タクシー運転手。妊娠を気にまっとうに生きることを決意する。
東京駅とタクシーを舞台に、5年前と今とのかかわりをみせつつ、人のつながりと生きることを描く。希望と絶望が往来する「東京」のシンボルであり入口出口である「東京駅」で、人の浮き沈みと想いが静かに描かれる。
それぞれのドラマはいいと思う。終盤の月島と日比谷の会話とか、マチと濱と遠野のシーンとか。時間の経過と想いの不一致、人と人が出会い生まれる暖かさみたいなものが感じられた。
ただ、トーンの変化があまりなく全体として単調と思った。セリフも胸に迫るものが何個があったけど、埋もれちゃう感じ。隠し味のようなものがあればよかったと思った。
人生で立ち止まった(立ち止まっている)人らを観ていて、ふわふわ生きてるなという危機感みたいな想いに駆られた。そういう意味でいい舞台だった。
満足度★★★
お米
チケットプレゼントにて鑑賞。パフォーマンスがみにくくて残念。60分。
ネタバレBOX
「プロローグ」「ナイフとフォーク」「米騒動」「お味噌汁」「エピローグ」の5編。パフォーマンスと歌と演技の複合舞台。
「お味噌汁」は死んだおばあちゃん(吉武香)と成長した一人暮らしの孫(石原夏実)の二人芝居。カップメンをすする孫と豆腐の味噌汁を作るおばあちゃんという過去と現在が徐々に近づいていくナチュラルさがいい。いい味わい。カフェ公演ならではのキッチンを使用した舞台という意味でも○。
食をテーマにした作品群。「お味噌汁」でグッとしめてるから「ナイフとフォーク」「米騒動」はもっと飛んでて良かった。戦争と米を掛け合わせた「米騒動」はセリフが多いわりによくわからんかった。「エピローグ」の(女の)賞味期限ネタはシンプルでよかった。
満足度★★★★
豆腐屋
面白い。65分。
ネタバレBOX
熊谷で珍走団「ビートルズ」に所属する15歳になる不良(佐藤真弓)が、連続絞殺魔を捕まえようとするが、その夜何者かに絞め殺される話。
三姉妹と腹違いの子(峯村リエ)の高貴そうな4人が、戦争の最中逃げ出しジャングルをさ迷う話。
女優4人が音響(カセットテープ)や照明(舞台ボタン操作)をしながらという趣向。衣装もジャージでウォークマン片手に、腰にスピーカーつけてって、見た目的にも面白いしちょっとしたユルさも加わって楽しめる。何よりちょっとかっこいい。カセットテープを舞台外に捨てる演出が好き。照明効果もいい感じだったし。
変わった趣向をしても安定した面白さを発揮できる演技力のおかげで、満足度高い。ちょこちょこ笑わせてくれるし。
満足度★★★★
隙間
面白い。120分。
ネタバレBOX
たいくん(荒川良々)…鹿児島出身。東京で俳優となりハリウッドに進出する。
赤総理(赤堀雅秋)…たいくんの高校の先輩。たいくんの映像を収める。離婚して金がない。土下座得意。
小寺(小野寺修二)…たいくんの付き人。手癖悪く虚言癖あり。
嵐山男子(町田水城)…たいくんの父。母が実は生きてたとたいに告げる。
渡鳥寛(竹口龍茶)…父の葬式後、たいくんをバイクにのせてひた走る。たいくんの母。
富山一(富川一人)…富山生まれの韓国育ち。タクシー運ちゃんが合わないと愚痴る。
大丸太(山口航太)…たいくんに部屋を斡旋するが職を転々とする。
野々上(ノゾエ征爾)…たいくんの同級。東京がカラダに合わない。
たいくんの半生を綴る。たいくんをはじめ、キャラの立った舞台で、妙なおかしさがある。単純にたいくんの展開自体におもしろさはないけど。
赤総理(青総理?)が語ったスキマ論は面白い。よくも悪くも行き着くとこが無くなるマイナス面というのか。ダメっぽい人とか弱めな人とか、行き着けず脱落するしかなくなる社会の暗黒面というか。キャラ的にも赤総理先輩は気に入った。
場面や時間がぱっぱぱっぱ変わるけど、そのスムーズさがいい。
満足度★★★
MJ
面白い。95分。
ネタバレBOX
「珍獣ピカリノウスの法則」
孤独な人に寄生するピカリノウスを探しにラブホの廃墟にやってくる、一郎と守と小劇場女優の雫。雫だけでなく、ラブホの土地所有者のヨシコ、守の母で孤独不感症のMJもピカリノウスに寄生されてしまう…。
孤独が愛すること等を生み出す土壌になってるって孤独礼賛な話。孤独を知らないMJも息子を想い寄生され幸せを感じる。愛することに努力した守も、人生の哀しさを実感し寄生される。孤独の芳醇さと愛することとの同一性を描いた作品で、短いながらも充実の舞台だった。
「コタツのある風景」
彼氏・卓也のオナニーを見てしまった菜月がケンカしながら菜月の部屋に戻ってくると、菜月の同僚が鍋やろうとドカドカ入ってくる。ローマの休日見たかった菜月もしぶしぶ参加する。そんな折、窓の向こうの道で女性が事故にあって雪が血で染まっていた…。
ピカリノウスとの比較でだけど、キャラのシャープさがもうちょい欲しかった。経理のおばちゃんは良かったけど。
人が傷ついているにも関わらず(結局死んだ)バカ騒ぎして寝ている面々を背に、近所の猫おばさんと語らい近しさを感じる菜月が、子供のときの不思議な現象に一時の願いを込めるちょっと不思議な作品。ラストシーンの別世界が現れたような演出に集約するようなものがいまひとつ感じられなかった。45分楽しめたけど。
満足度★★★
パンケーキ
ロージーとハワイマンズのほうが面白かった。90分。
ネタバレBOX
「ただえり」(劇団リケチカ)
タダ(杉木隆幸)と同棲中のエリ(菊池美里)は、子供ができない身体と告げられ悩む…。
ちょこちょこ面白いけど、パワー不足な印象。猿犬雉と川で拾った桃の設定も、そこまで気の利いたものでなかった気がする。
「轟百合子の毎日」(ロージーとハワイマンズ)
女子高生・山本?が購買のパンを万引きし、新任所教師・轟に理由を問われる。いじめられてる山本はいじめられてないと言うが、轟は現実を見ろと諭す。反転、轟も嫌われ者で嘘的なブログとかを見せ付けられ現実を見ろと諭される…。
負け犬チックな2人が好きな言葉を叫ぶ終盤、なんか応援したくなる。そんなボケも入ってて暖かな気持ちになれる。好み。
女性二人舞台だけど、ふにゃっとしてなくて案外しっかりした作品。面白かった。
満足度★★★
灰色の土
面白い。65分。
ネタバレBOX
いわき総合高校3年1組の生徒数名の心の内を吐露する作品。現役高校生が演じる高校生ということで生々しい温度があったせいか引き込まれた。
女性がほとんどの中、そのうち東京に出るんだと決意している男子が、風景を写真に納めるシーン。どちらにも寄り切れない想いにハッとさせられる。大なり小なり人生の葛藤ってこんな感じかなと。
パンフの出来がとても良い。開場時間載せてくれてたらなおよかった。
満足度★★★★
泣くな乙女
面白い。110分。
ネタバレBOX
自分の不注意で母を死なせてしまった畑実は野菜が嫌いになった。父は仕事に忙しく弁当を作ってくれる人もなく、学校ではいい扱いをされず演劇も下手くそである実は自殺を考えるが、ど根性野菜に邪魔される。「あい」を理解しようと人を理解しようとする野菜たちに、シェイクスピア台本で「あい」を教えようとする実だったが、自分はダメだとふさぎ込む。野菜たちの「愛」を受け取った実は、自殺を考えている父に野菜弁当を渡し二人で食べ、心を取り戻す…。
タイニイアリス公演も見たけど、トラムの大きさでもしっかり作られてて良かった。あのゴチャっとした感じも、ドロくさいけど暖かい感触も、しっかり残ってた。あと主演の柴田千絵里がかわいくなってた。作品的にはあんまかわいくない方が良いんだろうけど。
人=愛だから人を理解しようとする野菜たちのひたむきさと、愛なんて良く分らなくなったという実の一生懸命なとこに心打たれる。怯えて自信無くしてって実にど根性野菜たちが勇気を分け与えるよう。劇中歌とのミックス具合も○。もうちょいしゃべりが聞き取りやすいとなお良かった。
満足度★★★★
ジョバー
面白い。75分。
ネタバレBOX
前座ばっかだけど隠れた実力をもっているとささやかれる有川と現チャンプのガチな一戦を控えた控え室。かつてのタッグパートナー櫻井はガチ試合のチャンスを説くが、意中の女・飛鳥へ貢ぐため「プロレス」をしようとする有川が言い争いとなる。どうしたらいいかわからなくなった有川は、櫻井の想いを胸に流れで対応しようとリングに向かう…。
プロレスは全く知らないけど、熱気がムンムンする舞台。サラリーマンな有川とプロレスへの想いを捨てきれない櫻井の期待、金がすべてと表面上はドライな飛鳥、櫻井と有川のファンでプロレスの勝負に一抹の疑問を抱えるプロレス記者・堀、4者の想いが妙な色合いで渦巻く作品。
芸達者な役者でワンシチュエーションながら起伏に富んだ舞台だった。有川にガチをさせようと頑張る櫻井に、有川が安全地帯から言ってると責めるシーンが好き。あと、当初はプライドが~って言ってた有川が後悔するシーンも。「夢」や「チャンス」ってキラキラしたフレーズと似つかわないジメジメした感触に、人生訓らしきものが見え隠れしてた。
後藤飛鳥の「ター」がかわいい。
満足度★★★★★
のぞき穴
初MONO。面白い。
ネタバレBOX
別府泉(松永渚)…広報課。珍獣マニア。楓のことを無意識の計算と評する。
湯河原(土田英生)…広報課長。仕事できない。恋愛に疎く無神経。
鮫島(金替康博)…諜報部員。楓のファン。
丸茂有卦(古藤望)…新人諜報部員。マルモウケがキャッチフレーズ。珍獣マニア。
本多(森谷ふみ)…諜報部課長。三田社長の愛人。元水商売。部下に舐められてた。
片山(水沼健)…諜報部員。本多課長に片想い。演劇好き。のぞき穴の向こうとこっちを意識する。
轟(奥村泰彦)…諜報部員。泉のファン。
森村(尾方宣久)…会社社長の末裔だけど、一般社員。三田社長から監視される。
三田楓(高橋明日香)…現社長の娘。森村といい感じ。
三田社長が森村の反旗を警戒し、クビになった元社員や愛人を社内監視に任命する。のぞき穴に気づいた森村は反旗の意思はないと部員らに話し、部員らも自分たちの仕事の虚無を想い、一転社内に混乱を起こすよう情報操作をはじめる。結果、三田社長は失脚し森村が社長となるが、諜報部員のほとんどは追い出され、諜報部は解散となる…。
セリフとキャラとシチュエーション、タイミングのミックス加減がどんどん笑いをひき起こす快作。森村に気づかない諜報課長の話とか、泉と楓の女性的論争とか大いに笑った。気持ちいいくらい。
それでいて、社内の混乱に充実感を得始めた部員らに、世界が違うという認識が生まれる(押し込めてた想いが湧き上がる)。哀しげなトーンに変化した終盤、森村社長が諜報部員(や使えない湯河原)の解雇?したことが明かされ、穴を封じることを泉と丸茂に依頼する。片山が抱いていた、あっちの世界と屋根裏の世界の違いをクッキリ残し、始業のチャイムが鳴る…。
人生落ち目な諜報部員と社内で疎まれてた森村というマイノリティな一体感と、その根底にある確かな違い。笑いの多い作品だからこそ、そのニガニガさと現実感が迫ってきたいい舞台。100分。
満足度★★★★
ヒトデナシノコイ
面白い。95分。
ネタバレBOX
ティンク(ティンカーベル)とピーターのヒトデナシノコイの話。日本人形のエーコに対するヒトデナシノコイの罪で追われた末、ピーターは冗談だから自分を食べてとティンクにお願いし、食べられる…。
ファンタジー染みていて狂気を感じさせる舞台。舞台セットや衣装、音響照明人形使いに影絵と、舞台の総力を挙げて90分の劇空間を作り上げていた。奥村佳恵の演技も十二分に魅力的。声使いもいい。動きも気に入った。
大人とかこどもという垣根を意識させつつ、その垣根を取り払うような作品。もう一回みたいと思った。舞台がとても美しかった。
満足度★★★
惰性で20回
面白い。100分。
ネタバレBOX
平田満…妻の携帯を盗み見て浮気が発覚。摩周湖の霧が晴れたのを胸に奮闘する。
井上加奈子…妻。隠れてパチンコして一ヶ月ほど浮気して、別れて示談書にサインして。正直。
平原テツ…妻の浮気相手。ガススタンド店員。
単純に感情をぶつける作品でなく、思いに言葉をかぶせるのが上手い。人生半ばを過ぎた男女の会話の奥深さというのか。序盤から中盤の平田×井上、終盤の平田×平原の曲がっているようでストレートなやりとりがピリっとくる。逆に入り込みにくいけど。