S高原から 公演情報 こまばアゴラ演劇学校“無隣館”「S高原から」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★


    面白い。110分。

    ネタバレBOX

    高原にあるサナトリウムのロビー。
    今年に入って三人死んだという空間の中で、今生きている人間の想いを静かに綴る。

    西岡(串尾一輝)…患者。絵描き。お嬢様な婚約者(村田牧子)に退院しないのと問われ、自由にできないと答える。
    前島(富田真喜)…患者。西岡のモデル。散歩好き。
    村西(石松太一)…患者。恋人(黒木絵美花)が面会にくるが、付き添いの友人(小林亮子)から恋人が結婚すると聞かされ、「半年」という時間の短さを語る。
    福島(伊藤毅)…患者。にぎやかで女好き。恋人や友人が面会にくるが、眠いといってロビーで寝てしまう。
    貴美子(藤松祥子)…患者。17から入所している。怪獣のスリッパを愛用。
    茂樹(折原アキラ)…患者。貴美子の兄。神経質。
    本間(坂倉奈津子)…患者。死と向き合い始めたばかりで不安に駆られる。

    村西が、知らなければ問題ないというようなことを言うが(反面、恋人は知ってたほうがいいという)、恋人の結婚という事実を知らなかった(知らされなかった)という現実を受け止めきれてないシーンがいい。村西は宣告契約をしているが、「いつ死ぬか」という具体的な現実を理解することの難しさを感じた。
    入所4年目という福島は、原発を連想させる。表向きの調子の良さとはウラハラに、次第次第に弱っていくような不安感を客席に与えるいい役回りだった。
    西岡の自由にできないという言葉は、持てる者と持たざる者という観点から出た言葉かなと思った。金持ちっぽくて健康だろう婚約者と疾患を抱え絵しかない男という落差を、入所して(前島に会って)感じたせいだろうか。

    登場人物が多くてもごちゃごちゃせずに、それでいて印象的な作品。

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    2014/03/16 18:07

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