ぴおんち33の観てきた!クチコミ一覧

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虹色維新

虹色維新

劇団小豆組

広島市青少年センター・ホール(広島県)

2016/11/05 (土) ~ 2016/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★

大きな舞台にふさわしい、
赤報隊の悲劇なども絡めた、なかなか骨太な感じの明治物で面白かったです。ストーリーが分かり易く、演目も内容にぴしりとはまり、時代の流れをうまく感じさせてくれる。泣かせのシーンもあり、あちこちからすすり泣きの声も聞こえました。いい2時間を過ごせましたが、少し視覚的、感覚的に淋しさを感じたな・・・・。

ネタバレBOX

う~ん、脚本家の方も含めて、みなさん一度きちんと着物の着付けを習ったらどうでしょう・・・・。お芝居はたくさんの人の目に触れるもの。中には私のように口うるさいのもいます。男性陣の袴のつけ方、帯の結び方などNGを出したくなるレベル。是松以外、時代劇の型の美しさが感じられず、結果として視覚的にすごく淋しい、というかしょっぱい感じの舞台になってしまった。洋装のドレスがよく出来ていただけに、和装の貧弱さが目立つ。輝の和装、おはしょりの処理が下手すぎ。時間が無くてうまく出来ないなら、始めから糸で仕付けをしておくとか何とか方法を考えるべき。この人の寝間着姿も理解できない。なんで腰巻をつけてないんだろう。せっかくの悲しい見せ場が美しくない。若い娘がほの赤い腰巻をつけていてこそ、親に売られた残酷さ、悲しさを表現できるというのに。たかの着物は身幅も着丈も裄丈もすべて合っていない。客商売の女がこんな格好するだろうか。しかも当時最先端だった写真館の女将ですよ?あり得ない~。高畑女史の衣装は特に酷い。この人、帯をつけていなかったですよね。背中がぺったんこだった。陰謀家というのはその本性を隠すため、きっちりと身仕舞いをするのが一般的なキャラではないだろうか。衣装は見た目だけではなく、その性格やバックグラウンドも表している物。すべて意味のあるべきものなので、極力細心であってほしい。他にも適当にぶら下げられた輝と健の写真も気になった。一度きちんとかけて印をつけておけば、簡単にまっすぐかけられるのに。あれでは今は亡き人の大切な一枚である、という感じが全くしない。その後の輝の台詞に哀切さを添える絶好の小道具なのに。視覚的、感覚的に淋しい、というのはこういうことだ。もともと淋しい美術が、こうした手抜きによってますます舞台を細らせてしまう。せっかくのいいストーリー、もっともっと磨き上げることが出来たのでは、と残念でした。あと、岩倉具視、私はなんとなく美声家のイメージでした。下級公家の家に生まれ、公家らしくない容貌をそしられ、妖怪と言われた権謀術策の男。でも何か魅力があったはずだ。そうでなければあそこまで凄まじい出世はできない。でも美声家どころか、声がよく聞こえなかったな・・・・。
うちの犬はサイコロを振るのをやめた

うちの犬はサイコロを振るのをやめた

ポップンマッシュルームチキン野郎

駅前劇場(東京都)

2014/07/04 (金) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★

いつものグダグダ感が
無くなったのは残念だけど、音楽とダンスをバランスよく使ってスピーディーで感動的な内容になっていた。旧満州の話から戦後まで、氏の歴史観が鮮明。ギャグ満載の中にも骨太な感じが・・・・・。あれ?この感じってどこかで見たかな。犬のゴルバチョフの表情が秀逸。不覚にも涙が・・・・。

ギャラクティカ・めんどくさい。

ギャラクティカ・めんどくさい。

劇団鋼鉄村松

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/11/01 (金) ~ 2013/11/04 (月)公演終了

満足度★★★★

意外にも
けっこうめんどくさい内容だった、スペースもの。哲学がありました。小劇場特有の雰囲気がいいですね。二代目皇帝もあの恰好ならどうしようかと・・・・。
人間が宇宙に進出するようになっても、犬はやはり忠実な人間の友達なんだなぁ!

紙の花たち

紙の花たち

スポンジ

「劇」小劇場(東京都)

2015/09/02 (水) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

劇場に入った時から
流れていた神経を逆なでするような音楽、面白かったですね。その後の効果音などもすごく効いていた。この音楽あってこそのこの劇、という感じがしました。俳優さんたちが皆うまく、間合いもよく、こうした個性的な劇によくはまっていて、面白い劇団だなぁと魅入られてしまいました。ストーリー等については、何だか救いが無いなぁ、という感じ。閉鎖的な島を描きたかったのか、どう転んでも諦めの上に立つしかない女の人生を描きたかったのか、両方なのかな。それにしても終わり方が唐突で、良い感じで進んできたお話がぶった切られた感じが否めない。おしゃれ感を狙ったのだとすれば残念。

ネタバレBOX

あの高校生の女の子が東京に行って幸せになれそうな予感がしないのが、そして若いのになんとなく自分でそれを解っているようなのが、大人目線からの人生観で残念。もうちょっと、なんとかなるさ~ぐらいの人生を甘く見ている逞しさが欲しかったな。そのせいで、女優さんの年相応の女に見えて高校生に見えなかった。あ、音楽オリジナルだったんですね。素晴らしかったです!
河童

河童

DULL-COLORED POP

吉祥寺シアター(東京都)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★

歌ありダンスあり、
盆踊りみたいなのまである割には、不思議と高踏的かつものすごく演劇的で、微塵もエンターテイメントだなんて思わせない、不思議なテイストでした。文学的と言ってしまえばそれまでだけど、人間社会の不条理さを突くとともに河童世界の矛盾も突いていて、芥川龍之介の世界を演劇化したらこうなるんだ、とするりと納得してしまう。河童たちの騒ぐ声(ピャーとか、ク~とか)が妙にリアルで可愛くて不気味だったなぁ。高い天井と奥行きを持つ吉祥寺シアターを若い熱気と影絵でうまく使いこなしていて、すごく楽しめました。面白かったです!

ネタバレBOX

音楽担当がアマヤドリやクロムモリブデンの楽曲提供の方ですか。納得しました。何だか通じるものがありますね。
ヴェローナの二紳士

ヴェローナの二紳士

ハイリンド

吉祥寺シアター(東京都)

2013/07/08 (月) ~ 2013/07/15 (月)公演終了

満足度★★★★

珍しい古典の公演、
とても興味深く観ました。当時の劇場を模したかのような美術はすごく素敵だった。召使が主人の恋のお手伝いをしたり、狂言回しを務めるというのは、当時の喜劇の常套だったと何かで読んだことがありますが、なるほどこんな感じかぁ・・・・と面白かったです。現代劇とは全く違う台詞回し、膨大な台詞量、所作などただただほう~という感じ。台詞については少々こなれが悪く、何より横や下を向いていると聞き取りにくい。あと、衣装が少々気になりました。身分の差による区別がほとんどなく、古典劇の楽しみに欠けてしまった気がする。贅沢なものを用意する必要は無いと思いますが、物語の解り易さのためや当時の空気感を出すためにも、もう少し何とかして欲しかったなぁ。

ネタバレBOX

男性の靴、みんな同じでしたね。妙に気になりました。
陽のあたる庭

陽のあたる庭

演劇ユニット狼少年

小劇場B1(東京都)

2016/01/06 (水) ~ 2016/01/11 (月)公演終了

満足度★★★★

今年の初観劇は
充実の初感激でとても嬉しかったです。けれんみの無い演出、リアルな衣装やこの舞台のためにシェイプしてきたのか、よく引き締まった俳優さんたちの体形など、贅沢なものを見せてもらったな~と・・・・。夏の木漏れ日が落ちる林で始まるこの舞台は起承転結がはっきりしていて、伏線の置き方もわかりやすく、演技の見事さも相まって見ごたえがありました。何よりも外国の小説の翻案であるにもかかわらず、見事に日本のお話になっていて、半端ではない昭和感とともに演劇の面白さを十分に見せてくれました。「こうなることはわかっていた・・・・」という主人公のつぶやきが悲しい。

ネタバレBOX

見事に星4つが並んでいますが、私もやはり星4つかな。これだけよくできた舞台なのに何故?と私も思ってしまうが、それはやはりあまりにもきれいにまとまりすぎた起承転結にあると思います。欲を言えば「破」の場面がほしかった。もう少し長くても全体のバランスが多少崩れても、この劇団ならではの何かが欲しかったですね。
Parallel /パラレル

Parallel /パラレル

劇団フルタ丸

「劇」小劇場(東京都)

2013/11/07 (木) ~ 2013/11/11 (月)公演終了

満足度★★★★

面白かった!
シンクロする台詞や演技が面白く、とても楽しく観ました。こういう世界がある事は本で読んだことがありますが、結果は大同小異だとか。また、たまに違うワールドに行っちゃうこともあるとかで、そんな不思議感もとてもよく出ていた。微妙にずれてくる人生や生活が興味深かったですが、始めの設定として、あの小さな営業所で佐々木さんって何している人なのかな~とずっと疑問が残りました(笑)苦しいところでしょうが、やはり何かそれなりの仕事を設定しておいたほうが落ち着いて見られたような気がします。

アウト・オブ・オーダー~Out of Order~

アウト・オブ・オーダー~Out of Order~

ファルスシアター

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/22 (火)公演終了

満足度★★★★

チャレンジチーム観ました!
タイミングと思い切りのいい演技で楽しめました。始めからすごいテンションでだんだん暑くなってきましたが・・・。これ、ハイテンションがだんだんヒートアップしてくるというパターンで、どこまで行くんだろうという感じ。イギリスのコメディってこういうパターンが多いのかな?熱演でしたね。

チェンジ・ザ・ワールド

チェンジ・ザ・ワールド

マグズサムズ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/05/23 (木) ~ 2013/05/27 (月)公演終了

満足度★★★★

楽しくてご機嫌なハードロックコメディ
日本のコメディに有りがちなしんみり感や泣かせが無くて、いい感じだった。俳優の皆さんがみんなロックミュージシャンっぽい体形で、ほうっと感心。それぞれのキャラクターもよく立っていて、コメディに爽快感を添えていた。お手伝い役の医学生のキャラがいい。自分でははみ出せないのでせめてお手伝いをというキャラ、日本人的だなぁ。女の子のロッカーもいかにも在りそうで楽しい。全体に人間観察がよく出来ていてストーリーに無理なく、納得の出来です。彼らがどうやって生活しているのかも知りたかったなぁ。

揺籃

揺籃

おちないリンゴ

小劇場 楽園(東京都)

2015/04/22 (水) ~ 2015/04/26 (日)公演終了

満足度★★★★

香り高い舞台
この劇団、口跡が美しいとでもいうのか、「そっか・・・・」「そうか・・・・」こんな相槌一つでも余韻に富んでいて、きれいな台詞回しに聞き惚れました。家具に込められた家族への思いなど、脚本が泣かせますね。揺り椅子の男性を巡る女性の細やかな心理描写が秀逸で、この劇団にしか作れない世界を堪能しました。また衣装も細かい。訃報を受け、慌ててやって来た様子の伺える、長女の少しちぐはぐな衣装や(スカートが紺色・・・・)ストーリーの展開によってだんだん体の露出度が多くなる近所の女性など、いかにも女性中心の劇団らしい。それにしても、オンブラ・マイ・フが美しくはまっていましたね。最後のこの曲で場内感泣の嵐。また、お茶やカルヴァドスを飲むシーンなど、香りが漂ってくるような素晴らしい演技でした。(こういうの香り高いとは言わないのかな?)

ネタバレBOX

上記のようにベタ褒めしておいて、なぜ星5つでは無いのかというと、美術や照明が少し残念でした。特に机と四つの椅子。揺り椅子に較べると新品に見えた。エイジングしておくべきでしたね。家族の思い出がつまっているのだもの。照明については、以前映像とのコラージュ劇を見た記憶があったので、風に揺れる葉陰か何か、特に回想シーンなどで欲しかった。東京にはたくさんの劇団があるけれど、中には明らかにヴィジュアルや芸術性を意識した劇団もあり、観客を演技と脚本で感動させ、さらに芸術性で酔わせる、ということまでやってのける。この劇団にもやって欲しいなぁ・・・・。小さな劇場で制約も多いでしょうが、この劇団ならきっと出来たと思います。
金の卵1960

金の卵1960

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2016/01/28 (木) ~ 2016/02/10 (水)公演終了

満足度★★★★

お芝居だなぁ!(変な感想ですが)
昭和の時代背景と、そこで生きている一人一人の人生が細かく描かれ、お芝居の息吹のようなものを感じる舞台だった。現在のように欲しい情報がすぐに手に入るわけではなかったあの時代、初めて知ること、触れる物に人はあんな風に驚き、子猫のように飛び上がっていたに違いない、と思わせる力があって、芝居力のようなものをビンビンと感じました。だるま座らしい遊びもあり、再演のゆとりみたいなものも感じた。キャスティングがものすごくはまっている人と若干そうでない人がいたかな?

TRUTH

TRUTH

劇団@ホーム

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2015/11/21 (土) ~ 2015/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★

けれん味の無い演出と演技で
好感の持てる舞台でした。シンプルで美しい美術もいいし、殺陣のシーンも効果音に頼って派手に見せることもせず、あくまで正攻法で俳優陣の熱演で見せたのがとてもよかったです。甘めの台詞やBGMがかぶって聞き取り難い、武家風の所作など色々問題点もあったけれど、熱気がきちんと伝わってきて、いい時間を過ごせました。ただ、比較的地味な舞台なので、衣装などはもう少し気をつけた方が良かったかな。武家の女性などは、どんなキャラクターであれ、やはり凛とした気品を感じさせてほしい。もっと哀切さが増したと思います。

ネタバレBOX

衣装ですが、道場主の袴が長すぎて、だらしなく感じたのは残念。裾上げが大変なのはわかりますが、やはりふさわしい長さというものがありますから・・・・。観劇中ずっと裾を踏まないかと心配でした。また、女性の衣装ですが、高価なものを使う必要は無いですが、あの帯結びではそこら辺の風呂上がりの女性と同じです。武家の女性は幅広の袋帯で、帯枕と帯揚げを使う文庫結びがお約束。こうすると背がピンと伸び、武家の女性らしい品格が出たのになぁととても残念でした。文庫結びは見た目は蝶結びと似ていますが、姿勢が全然違ってくる。時代劇を中心にやっているなら、こうしたことにも神経を遣って欲しい。その結果として時代劇らしい所作なども出来てくるのだと思います。
Touch~孤独から愛へ

Touch~孤独から愛へ

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2013/12/23 (月) ~ 2013/12/25 (水)公演終了

満足度★★★★

う~ん、タフすぎ・・・・。
この劇団の舞台はお芝居というより、演劇と呼ぶほうがふさわしい。緻密で熱量が大きく、素晴らしくタフ。ラストに向かっての一気呵成な求心力もすごい。噛みごたえがありすぎるステーキみたいだ。今回も期待に背かない素晴らしい舞台でした。美術、構成、演技がよく噛みあっていて楽しめた。でもこれ、授業の一環として中高生に見せるのってどうだろうか。絶対、演劇全般が嫌いになると思う。まず兄弟の共依存の関係が学生に理解できるとは思えないし、生活を支えてきた兄の、弟への強い束縛が実は強い依存であることなど、かなり精神病理学などわかってないと理解不能。いい若者がタッチしあって遊んでいるなど、演劇臭いと感じるだろうし、その孤独なバックグラウンドなどに思いを馳せることができるとは思えない。大学生でやっと理解可能かな。なんか、いかにも若者文化からずれてしまった教職員が選びそうな演劇だな、と残念です。これは、成熟した、すでに様々なトラウマや夾雑物を抱え混んでしまった大人のための演劇だと思います。親鳥が殻をつつく時は雛が自ら卵の殻を破る時でなくてはならないのでは。いわゆる啐啄同時ってやつ。

ネタバレBOX

ええ?!ハロルドってトリートに刺されたのではないの?大勘違いは私だけ?
トリートって、カタカナですが、トリートメント(治療)の意味が入っているのではないのでしょうか・・・・・・・?う~ん、アホすぎる私・・・・。これもタフ過ぎる脚本のため?
息をひそめて―シリア革命の真実―

息をひそめて―シリア革命の真実―

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/11/11 (月) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★

難しい劇だなぁ、
というのが第一印象です。内容が難しいのではなく、劇として見せ方がすごく難しい。登場人物は少なくないとはいえ、ほとんど互いが絡むことはなく、独白が延々と続き、一人芝居に近い。始めから一人芝居というのであればこちらもそれなりの覚悟をして(!)観劇に臨みますが、途中からこれは一人芝居だな、と気づく。このギャップは大きい。そう思ってみると天井の分厚いコンクリートを模した美術の凄まじさはどうだろう。こんな天井初めて見た。シリア内戦の解決の難しさ、登場人物の置かれた立場の困難さ、人の心に訴えることの、劇としての難しさを表しているかのようだ。ワンツーワークスとはいえ、かなり苦しんだのではないだろうか。

ネタバレBOX

こういう劇の成否は観客の認識によるところが大きい。平日のマチネでしたが、この劇団にしてこの入り。ほとんど満員のワンツーワークスの舞台しか見たことの無い私にはショックでした。ちなみに私はリビアが米軍に爆撃された時、現地にいました。あの時、日本からはただ一人女性カメラマンが取材に来て、爆撃後、すぐに帰国してしまった。日本のメディアはいったいどこからニュースソースを取っているのかと茫然としたものです。真実の声はお芝居の中でしか聞けないものなのだろうか。
極東の地、西の果て

極東の地、西の果て

TRASHMASTERS

本多劇場(東京都)

2013/07/25 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★★

TPPと芸術問題を問う
硬派の社会派の演劇。明治初期に、国際法に無知な日本に付け込んで締結された不平等条約にも等しいTPP問題を真正面から取り上げた作品だが、まず前半の芸術論が面白かった。そこからあれよあれよととんでもない展開になるが、私にはこの過程が一番興味深かったです。この、芸術による独立とその破綻の過程をもう少しじっくり見たかったなぁ。時間の都合でそこまではできないでしょうが、この過程をナレーションでもいいから作者がどのようにシュミレートしたのか知りたい。この過程が省かれてしまったので、後半の設定が掴み切れず、だいぶ後になってようやく納得できるものの、観客側としては戸惑ったまま後半に突入することになってしまう。台詞などもいきなり方言に変わるので、状況がよくつかめず苦労した。ただ、言葉がよく生きている劇団だなぁという感がとてもします。一つ一つの台詞が印象深く、重い。これで休憩なしの3時間10分。見るほうも結構体力が必要。

ネタバレBOX

人間、主義主張があると、つい力が入ってしまうものですが、これは芸術論とTPP問題をからめるのがそもそも無理なのでは。演劇という芸術の枠組みの中にTPP問題を据えるため芸術論を入れざるを得なかったのかな?という感じがした。また、どちらも同じくらいの分量でもって語られるため、最終的に論点があいまいになった感じだ。芸術による九州独立と農業再生、TPP参加によるその崩壊の過程を7:3ぐらいの割合で描いたほうが印象深かったような気がしますが・・・・。
大安吉日

大安吉日

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2016/06/01 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★

暖かい時間
安定のやさしく暖かい時間が流れ、心がほっこり。「兄弟船」で観客全員号泣、沈没しました・・・・。そして感じたのは「こんなものなのかも知れない・・。」ということ。前半の宿泊客の女性二人の人生は彼らの中で完結しているものであり、漁港の人々とわずかの交流や関係はあるものの、良い思い出として残るという程度のものであり、小さな共同体の中で生きる人々の人生には何の影響もないということだ。人生には深いドラマになり得る関係とそうではない関係があり、私も泊り客の女性二人が後半のストーリーに絡んでこないことに疑問を感じたが、「ああ、そんなものなのかも知れない・・・。」と目を開かれる思いだった。前半と後半の二つのドラマの違いがクリアーで見事。わずかの誤解から仲違いが生じ、それをなかなか解けない人生がもどかしい。


ネタバレBOX

介護の主婦の一気飲みから告白への演技、お見事でした。民宿の女将がこの人にしつこく聞かないのも、女将の度量を感じさせて泣かせる。あの研修生はどうなったんだろう、あの兄弟には子供はいないのかな、など、彼らのその後の人生を色々想像してしまう。豊かなバックグラウンドを感じさせるお芝居。
兄弟ノート

兄弟ノート

劇団ヨロタミ

萬劇場(東京都)

2013/09/04 (水) ~ 2013/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

歌あり涙あり、
ちょっぴりスパイスの効いたオヤジ風ギャグあり・・・・。とても楽しませてもらいました。家族の絆を何度も噛みしめてしまいます。無理の無いきれいな台詞が聞き易く、心に響きました。劇っていいなぁと素直に思ってしまいますね。

BAR アルマ

BAR アルマ

劇団光希

シアターKASSAI(東京都)

2016/04/28 (木) ~ 2016/05/01 (日)公演終了

満足度★★★★

いわゆる群像劇って
やつですね。その中にいろいろな人生があり、それぞれの喜びや悲しみを見せてくれる。丁寧に作られた脚本で、けれんみのない作りに好感が持てました。でも全体にちょっとインパクトが足りなかったかな。完吉などいくらでも強烈な面白いキャラにできたと思いますが。また、主人公も同じ年代の女の子達とキャラがかぶってしまい、(髪形や衣装も女の子たちの中に沈んでしまった感じ)なんとなくもたもたした感じに見えてしまったのは残念。群像劇であるからこそ、主人公のひときわ光るキャラ作りは重要だと思います。

砂漠の町のレイルボーイズ

砂漠の町のレイルボーイズ

とくお組

座・高円寺1(東京都)

2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しかったなぁ・・・・・。
頑張っている人も頑張って無い人も、ぼっくらはみんな生きている~、生きているから笑うんだ~、と歌いたくなるような(?)いい感じのお芝居でした。実際帰りの電車の中ではずっとこの歌が頭の中に流れていた。大人になって会社や家庭に入ってしまうと、私達は意外なくらい狭い社会で生きていく。レイルボーイズの世界は決して寓意ではないな、と思いました。ずっとくすくす笑いが絶えない舞台で、キャラがよく活きていてとても楽しめました。信号係さん、いいキャラでしたね~。トークショーでどうでもいいような質問タイムが無かったのも良かったです。美術や衣装、お見事でした。

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