ゴベリンドン
おぼんろ
吉祥寺シアター(東京都)
2015/05/21 (木) ~ 2015/06/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
美しい幕開けでした・・・・。
おぼんろ色一色に染め上げられた劇場で、今までに無い美しい幕開けに驚いた。大人のための青い童話の世界ですね。幕開けがあんまり美しかったので、いろいろと期待しすぎてしまった感あり。でも、衣装、美術、化粧など、この劇団は色々見るべきものが多く、観客をゴベリンドンの沼に引きずり込む物に事欠かない。今回はゴベリンドンの変身シーンが凄絶。無邪気なタクマとの対比が泣かせる。あの指先まで苦痛に満ちた演技、見ていてこちらまで固まってしまいました。ただ、ゴベリンドンが中央に出たとき、もう少し照明が暗くてもよかったかな。あまりはっきりと全身が見えてしまうより、少し見えにくい位がその悲惨さが伝わると思います。それにしても悲しいお話。大人の童話だからかなぁ。愛する者と一緒にいる、ただそれだけのために人はこんな恐ろしい罪を犯してしまうものだろうか。うっとりするほど美しく、残酷なお話だ。
HOME COMING
空間製作社
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)
2015/05/21 (木) ~ 2015/05/25 (月)公演終了
満足度★★★★
劇中、歌や音楽の入り方が
すごく自然で、ミュージカル特有の大げささやうるささがなく、とても楽しめました。こういうの、構成がいい、というのかな。ほっこりする感じ。何か独特なものを感じさせられました。また、音のミキシングがよく、マイクを通した歌やセリフもほとんど気にならなかった。六本の桜の精は・・・・・う~ん、ちょっと出すぎかな?うるさくはないけれど、みなさんスタイルがいいせいか、存在感がありすぎたような気がする。これぐらい出すのなら、衣装を統一したほうが気にならなかったかもしれない。どれくらい気になるかというと、あ、この衣装の人うまい、いつも足が楽々と上がって決まってるな~、というレベル。ストーリーには桜の精一人一人のキャラクターは関係ないので、薄紅色で統一したほうがすっきりしたと思う。あの衣装だと、誰かがストーリーに絡んでくるのかな、とずっと思っていました。俳優の方は音程がしっかりしていて、安心して聞いていられた。ハーモニーもすごくよかった。この先楽しみですね!あ、地震時の対応もとても落ち着いていて、適確でよかったと思います!
舞首ー三つ巴の里ー
鬼の居ぬ間に
シアター711(東京都)
2015/05/06 (水) ~ 2015/05/10 (日)公演終了
満足度★★★★
恐怖と解りやすさは反比例する?
あれ、効果音が変わったな、とすぐ感じた。綺麗な音でした~。もはや音楽。ストーリーが追いやすく、その分、恐怖感が薄まった気がした。良庵の立ち位置が何だかもどかしい。この人の読経はなかなか見事でしたが、仏教色を濃厚に感じさせてくれるけれど、ストーリーの展開に絡んでいるようないないような、中途半端な感じが抜けない。最後まで、彼がどこかで重要な所にからんできて、それが恐怖を増幅するのだろうと勝手に想像していたのですが・・・。印象的な登場であっただけに何だか残念な感じに終わった。しかし、恐怖というものは、何だかよくわからないところに最も強く感じられるものなんですね。それと、仏教というものはかなり理知的・哲学的なもので、こうした不条理な因習などとは少しそりが合わない感じ。
揺籃
おちないリンゴ
小劇場 楽園(東京都)
2015/04/22 (水) ~ 2015/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★
香り高い舞台
この劇団、口跡が美しいとでもいうのか、「そっか・・・・」「そうか・・・・」こんな相槌一つでも余韻に富んでいて、きれいな台詞回しに聞き惚れました。家具に込められた家族への思いなど、脚本が泣かせますね。揺り椅子の男性を巡る女性の細やかな心理描写が秀逸で、この劇団にしか作れない世界を堪能しました。また衣装も細かい。訃報を受け、慌ててやって来た様子の伺える、長女の少しちぐはぐな衣装や(スカートが紺色・・・・)ストーリーの展開によってだんだん体の露出度が多くなる近所の女性など、いかにも女性中心の劇団らしい。それにしても、オンブラ・マイ・フが美しくはまっていましたね。最後のこの曲で場内感泣の嵐。また、お茶やカルヴァドスを飲むシーンなど、香りが漂ってくるような素晴らしい演技でした。(こういうの香り高いとは言わないのかな?)
音楽劇 御手洗さん
株式会社オフィスインベーダー
シアター711(東京都)
2015/04/22 (水) ~ 2015/04/26 (日)公演終了
満足度★★★
若さと勢いがあり、楽しかった。笑えたし、
楽しかったけれども、よくも悪くも典型的な小劇場の劇でしたね。超ハイテンションと劇場の大きさに関係ない大声で突っ走った、という感が強い。いくつか深く掘り下げるべきポイントもあったと思うけれども、(美醜の考察、同僚への裏切り、公害問題など)音楽劇ということですべて軽く流されてしまった。なんで音楽劇なんだろう、あまり音楽劇である必要はないと思いましたが、みんなで踊りたかったのかな?あるいはご都合主義のストーリーをそれらしく見せるためだったのかな。観客の入りもよく補助席が出るほどで、人気のある劇団なんだなぁと驚きましたが、独自性に乏しく、なんだか見ていて疲れる舞台でした。壁にはまる女優さん、味があってよかったですね。あれ、もっと見たかったなぁ。
転人
劇団メイカーズ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2015/04/08 (水) ~ 2015/04/12 (日)公演終了
舞台が広いせいか、
登場人物が多いわりにメリハリに欠け、平凡な感じに。カフェでのコメディタッチな失敗シーンなどでも、笑いが起こらない。なんだか最初に観客をつかみ損ねて、そのままズルズルと最後まで行ってしまった感が強い。群像劇といっても、もう少し各人のバックグラウンドや人生を感じさせるものであってほしい。
遺産遊戯!
team☆G-VA
小劇場 楽園(東京都)
2015/04/01 (水) ~ 2015/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★
全体になかなか力技的な
舞台でした。なんとなくストーリーは先読みできるのだけれど、力のある俳優さんたちのテンポのいい台詞や演技など、舞台に引きずり込まれました。子供達や母親の、お金を巡ってのありきたりな設定がちょっと残念だったけれど、祖母の切れのいいセリフがそれを救っていた。お父さんの影の薄さも妙にリアル。しかし、あの遊戯でお金を巡ってこじれにこじれた家族関係が良くなるかどうかはちょっと疑問の残るところ。なんとなく大団円にもっていってしまったな~、とこちらもちょっと力技的。でも、とっても楽しめる舞台でした。3Dプリンタの新しい使い方が斬新!
セルロイド
ハツビロコウ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2015/03/18 (水) ~ 2015/03/22 (日)公演終了
満足度★★★
衝撃的な幕開けから始まる
4人の役者さんによる濃密な会話劇。連鎖する虐待という極めて重いテーマを正面から扱って見応えありました。最初のシーン、スペース雑遊の構造を知っていても、かなりショッキング。一瞬にして劇場が不穏な空気に包まれましたね。音響、ライティングの演出も見事で、こうした小劇場ならではの舞台でした。ただ、暗転無しのこれだけの会話劇を、緊張感を保ちつつ最後まで魅せ続けるには、ちょっとセリフが甘かったですね。滑舌の悪さも気になった。こういうの一旦気になってしまうと、こうしたタイプの劇は最後まで抜けられない。あ、小物の使い方がリアリティがあって見事でした。なんか怖かったです。
ユメオイビトの航海日誌
LIVEDOG
シアターサンモール(東京都)
2015/02/11 (水) ~ 2015/02/15 (日)公演終了
う~ん??
劇場入り口のすごい花輪や花束の数からして、人気のある劇団なんだな~と驚きましたが、お芝居は、マカオ氏の殺陣の体のキレの良さが目立ったぐらいかな?全体に稀薄な感じがして残念。でもファンの方がいっぱいいて、にぎやかでしたね。
「蛍よ……妖しの海を翔べ」
劇団ギルド
座・高円寺1(東京都)
2015/01/29 (木) ~ 2015/02/01 (日)公演終了
言霊の威力?
すごい昭和テイストなお芝居で、パンフを読んで納得。35年前に書かれた脚本だったんですね。いろいろと現代的な味付けも為されていましたが、台詞のためか、レトロな印象が強かったです。言霊の威力を感じました。義経の時代と昭和のシンクロや、この二つの時代の不思議な重なりの符号など、面白い作品でしたが、どうせなら現代まで感じさせるような何かが欲しかったな。これは、リベルタンゴなど手垢のついた音楽を使っているせいじゃないかな、と残念に感じた。至高のエロスは・・・・・まったく感じませんでした。刺激的な性表現があふれている現代では、ただ時代感だけを感じた。チャレンジングでした。
シカク
企画演劇集団ボクラ団義
サンモールスタジオ(東京都)
2014/12/18 (木) ~ 2014/12/28 (日)公演終了
満足度★★★★
衝撃的な幕開けから
会話を中心に熱量の高いお芝居が見られました。この長尺で台詞の多い劇を何組もの役者さんが演じることができるなんて、すごい劇団ですね。また、マッピングの技術をこんなにうまく使いこなしている劇団を観たのは初めてです。ライティングも素晴しい。何度もグルーヴするシーンから次々に謎が明かされていって、ぞくぞくするような会話劇の素晴らしさを味わえました。ただ、テンションの高い前説も入れると、2時間40分を優に越えるこの劇、やっぱり長過ぎる。俳優さんたちの声量や声のトーンもバラバラで、噛みも「ここで噛むか・・・・」という大事な所で発生したりして、全体にちょっと無理があるかな、と感じた。前説をバッサリ切るか、素人的にはわかりにくいチェホフの部分など、(入れたいんだろうなぁ、とは思います。思いますがあのシーン長かったな・・・・・)割愛して、何度も足を運びたくなるような舞台にして欲しい。
ダキニ城の虜
舞台芸術集団 地下空港
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2014/12/16 (火) ~ 2014/12/22 (月)公演終了
満足度★★★★
なかなかエキサイティングな
会話劇でした!不思議な統一感を見せる衣装にも見入ってしまった。ジェットコースターのように次に何が起きるかわからない展開で、ブラックなんだかホラーなのかよくわからない・・・・・う~ん、なんというか、めくるめくような感じ?
とでもいえばいいのかな、この作品だけじゃなくてもっと見てみたい劇団ですね!
35丁目にも奇蹟
東京AZARASHI団
銀座みゆき館劇場(東京都)
2014/12/12 (金) ~ 2014/12/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
このテイストすごく好き!
真面目な大人のためのファンタジー、すごくいいですね!ストーリー、テンポもよく、何よりもクリアーな台詞に的確な演技など素晴らしかったです。安心してみていられて、お話の中に没頭できました。ルシファーや閻魔のデザインや衣装も何というか、堂に入ったもので、美しさと説得力がすごい(笑)クリスマスの大売出しのような惣花的な楽しさがあって、この季節にピッタリなお芝居が見られて幸せな気分になれました。
分際
東京マハロ
小劇場B1(東京都)
2014/11/14 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
うん、面白かったです!
台詞のタイミングと切れの良さと、脚本の良さですごく楽しめました。キャラクターが生き生きしていて、いや~な感じも情けない感じもすごくリアルだ。色々なことが起こる通夜の修羅場とその収束が巧く描けていて、ものすごく見応えありました。右子さん、美人オーラ満載から切れまくる熱演まで、存在感ありました。
通る夜・仰げば尊し
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
う~ん、どこを泣き所と捉えれば
いいのかわからないほど、泣かされました・・・・。劇団の主旨が泣かせることにないのは明確なのですが、通夜の雰囲気がリアルで、始めっから涙腺が緩んでしまいましたね。お通夜って、悲しいのだけれど旧知の人々が集って妙にハイになるところとか、みんなが気丈に振る舞って、何とか湿っぽくならないようにしようとする共通意識とか、「うん、あるある」と深くうなづいてしまうことばかりでした。こんな暖かいお通夜は周りから見ていると本当に悲しい。一人ひとりの悲しみがしみじみと伝わって来ます。分かり易いストーリーと緻密な演技はいつにも増して素晴らしかったです!
そのときのはなし
おちないリンゴ
小劇場 楽園(東京都)
2014/11/12 (水) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
う~んと唸っちゃいました・・・・。
この有り得ない感、切なさ、いろんな「女」が出てきて、さすが女性脚本家の視点だなぁ。すっごく面白かったです!舞台美術もシンプルでいい。オムニバスとはいっても見応えありました。
男たちの馬鹿
劇団スパイスガーデン
Geki地下Liberty(東京都)
2014/11/11 (火) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
面白かったですね。
女性の観客が席の大半を占めており、人気があるんだなぁとびっくり。男性ばかりの舞台で、熱気がありました。でも、なんとなく熱気と力強さで押し切った感じがあり、もう少しストーリーにひねりや細かさがあればもっと面白かったと思う。どうしてもこの展開だと物足りない感が残りますね。
色のない虹
ポムカンパニー
シアター711(東京都)
2014/10/30 (木) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★
なかなかガチな演劇で、
見応えありました。シアター711の扉の多い劇場をフルに使って、少なくない登場人物をうまくまとめていた。画家の苦しみというかなり稀なテーマでしたが、わかり易く、人物設定もうまい。最後の美術教師の筆使いは圧巻でした。日本には数多くの芸術系の学校があるけれど、芸術家として生きていける人は稀だ。その芸術活動の渦中にいる人々と周辺にいる人々との係わりなど興味深く、始めのうちはこれがテーマかな?と思った。こういうテーマのほうが共感は呼び易かっただろうな、と思います。演出面では主人公の心象風景が巧く描かれていて面白かったですが、ちょっと古臭い感じもした。
愛フォンブース
劇団フルタ丸
「劇」小劇場(東京都)
2014/10/29 (水) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★
これぞ空極のシットコム!?
と言いたくなるような、面白い設定でした。台詞がみなさん綺麗ですごく聞きとり易く、せりふ劇の楽しさを堪能。お芝居ってこうじゃなくちゃ!と思った。平日のマチネにもかかわらず、通路もすべて補助席で埋まるほどの盛況も納得。客層も老若男女を問わない。これは携帯電話に係わるお話ということもあるのだろうと思う。この異常な発達を遂げている機器に関しては、便利さとともに何か不穏なものを感じている人も多いのではないだろうか。一時社会現象にもなったゲーム機の発売はまだ理解の範疇だが、携帯は現代のアジテーターに近い力を持ちつつある所が何だか怖い。この、人を引き付けて止まないものに魅入られた人々のシリアスさと、いきなりどーでもよくなる瞬間を描いて、単なるお笑いで終わらない、すごく上質のコメディでした。う~ん、中野さんは果たして幸福な人なのがどうか、考えてしまいますね。
火宅の後
猫の会
「劇」小劇場(東京都)
2014/10/22 (水) ~ 2014/10/26 (日)公演終了
満足度★★★★
分厚いキャラクターを
作ってきたなぁ!というのが主人公が登場した時の第一印象。様々な側面を持つ主人公の魅力を十分に掴み取った人物像だったと思います。それにかかわる人々も面白い。現代人とはなんという違いがあることだろう。こんな人物を生み出した時代背景がイマイチわからないのが残念といえば残念。昭和のことなのに、早くもその感性から自分が遠ざかっているのを感じる。ああ、それで、あの舞台のサラサラ流れる砂なんだなぁ、と気付いたのは一日経ってからだった。観劇中は面白い美術だなぁ、なんか意味があるんだろうなぁ、としか思わなかった自分のアホさが情けない。この失われていく愛おしいもの。不変なものなど何一つ無いという事実。観劇中にわかっていればなぁ、とつくづく思います。