ぴおんち33の観てきた!クチコミ一覧

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Stay of Execution

Stay of Execution

メガバックスコレクション

錦糸町SIM STUDIO 4F C-studio(東京都)

2016/02/20 (土) ~ 2016/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

久しぶりのメガバックスの新作、
見ることができて幸せです!B班を観劇しましたが、この長尺のお芝居にセリフの噛みもほとんど無く、素晴らしい出来でした。なんかね、台詞が言霊になる瞬間を何度か感じた。以前から台詞に力のある劇団でしたが、今回は始めから死者たちの会話劇と分かっていたせいか、現世への執着、自分自身の感覚や家族への愛着、無への恐怖などがストレートで、感情移入がしやすい。役者さんの顔ぶれが変わっても、滝氏の脚本の持つ力は、以前と同じように美しい台詞回しや真摯な演技として溢れ出てきて、「ああ、これがメガバックスの舞台だ・・・・」と感動を生む。今の日本人が何よりも恐れている、茫漠と広がる老後の長い時間にくさびを打ち込むかのような素晴らしい舞台でした。音楽、照明、それに美術も(JRの改札まである!)素晴らしかったです。A班はキャスティングが男女逆転したりしているんですね、こちらも観たいなあ!

ネタバレBOX

う~ん、何なのですかね、この死後の世界のリアルさ・・・・。私は割と死後の世界とか、どうやって死んだら一番いいかなんて考えるほうだけど、大抵の人は「何だってそんなこと考えるの?もっとポジティブに楽しいこと考えましょうよ!」と会話にならない。どうも死のことを考えるのは現代ではタブーらしい。昔の人のほうが、もっと死が身近で考える機会も多かったのだろう。でも、知らないことをそのままにしておくのは、夏休みの宿題を一切手を付けずにほったらかしにしておくようで気持ちが悪い。この舞台で示された「死」のクリアーさはその一つの回答だ。たぶん私たちは現世の思考の範囲内でしか、死をとらえることはできないと思う。現世で死について十分な思考を積んでおかなければ、死後も十分に「死」を受容できない。滝氏の脚本の素晴らしさは
「死」についての考察の深さと明快さ、そこから照らし出される「生」の輝きに尽きると思います。
草莽の果て

草莽の果て

劇団HumanDustUnion

サンモールスタジオ(東京都)

2016/02/17 (水) ~ 2016/02/21 (日)公演終了

赤報隊の悲劇には
同情を禁じ得ませんが、この舞台、ちょっとお芝居になってなかったな…という感じがする。その原因は時代劇の型のようなものがちゃんとしておらず、なんというか、あまり美しさの感じられない舞台であったせいかな。また登場人物がやたらに多く、何となく仲良しクラブ的な感じを受けた。また、体の締まりのない俳優さんが目につき、凛とした着物姿の美しさが感じられない。時代劇特有の所作なども、着物と洋装の組み合わせで難しいところだと思いますが、独自のきれいな型を作ろうとする努力が感じられず残念。

ネタバレBOX

日舞ですが、裾が全く捌けておらず、何で入れたのかが理解出来ない・・・・。
男舞まで入れて頑張ったのはわかりますが、ちょっと欲張りすぎではないでしょうか。衣装も昭和の着物姿であることが一目瞭然で、時代劇をやるのならそれなりの時代感のある衣装が欲しかった所。ストーリーですが、部下を全員死なせて、それでも生き続けることができるなんて、有り得るだろうか?何だかよくわからないセンスだ。新撰組の二人が救援に駆けつけるシーンでは、槍の先に風呂敷包みをひょいとひっかけたり、あるいはばっと懐をはだけてそこに新撰組の衣装を放り込んで走るなど、いなせな感じなど見せてほしかったが,普通に持って走ったのは残念だったな・・・。時代劇は現代劇とは比べ物にならないくらい、各シーンの美しさが重要だと思います。それでこそ
愚直で不器用な男たちの美しさが引き立つのだと思う。
金の卵1960

金の卵1960

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2016/01/28 (木) ~ 2016/02/10 (水)公演終了

満足度★★★★

お芝居だなぁ!(変な感想ですが)
昭和の時代背景と、そこで生きている一人一人の人生が細かく描かれ、お芝居の息吹のようなものを感じる舞台だった。現在のように欲しい情報がすぐに手に入るわけではなかったあの時代、初めて知ること、触れる物に人はあんな風に驚き、子猫のように飛び上がっていたに違いない、と思わせる力があって、芝居力のようなものをビンビンと感じました。だるま座らしい遊びもあり、再演のゆとりみたいなものも感じた。キャスティングがものすごくはまっている人と若干そうでない人がいたかな?

その流れを渡れ

その流れを渡れ

各駅停車

小劇場 楽園(東京都)

2016/01/28 (木) ~ 2016/02/01 (月)公演終了

シンプル?
劇場に始終流れていたアコースティックギターといい、すっきりとした美術やワンシチュエイションの舞台構成といい、すごくシンプルな印象を受けました。と同時にこんなシンプルな構成の劇で観客を魅了するには、俳優さんやその他諸々が役不足だなぁ、という感じが強い。お芝居はわりと骨太で、劇中の、他人から見たらどうということのない悩みや苛立ちも、その分からなさの故にリアリティがあって面白かった。でも全体にいろんなものが足りないような気がする。

ネタバレBOX

最後のもやもや感は私はあまり気にならなかったです。他人ってリーズナブルに動いてくれるわけではなく、何かのポリシーに沿って動いてくれるわけでもない。リアリティーを追及したらああいうエンディングになった、という妥協の無さがむしろ救いだ。でもこういうシンプルな劇はかなりの演技力や様々なものを削ぎ落とした核のようなものが必要だし、美術や衣装の美しさも重要になってくると思う。う~ん何なんだろう、あの女子大生のみっともない恰好や、従業員の割烹着みたいな服の上にエプロンって・・・・。何かこちらの方がモヤモヤした。何だか舞台が絵になっておらず、たとえダサダサの女性たちを表現するにしても、もうちょっと舞台全体の見栄えを考えてほしかったです。
幸せはピンクのアメ車に乗ってやってくる

幸せはピンクのアメ車に乗ってやってくる

A.R.P

千本桜ホール(東京都)

2016/01/26 (火) ~ 2016/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

入場した時から小気味いい
パーカッションの音楽が流れていて、楽曲のセンスがいいなぁ、と聞き惚れていました。あれ、オリジナルだったのかな?お芝居は引きの強いお笑いがあちこちに散りばめられ、元気いっぱいでとっても楽しかった!体を張ったお笑いも吉本新喜劇並み。ただ、泣かせの部分もやはり新喜劇並みで、ここは一番、関東の劇団らしく、カラッと、あるいは小粋にまとめてほしかったですね。
「走れメロス」的な展開は好みじゃない。最後のマイヤ・ヒラサワの「Boom!」すごく良くはまっていた。3・11の影響であまりTVで流れる機会の少なかった曲ですが、あの素敵なラストをより明るく楽しく魅せてくれました。この楽曲をチョイスした音楽担当に脱帽!

ネタバレBOX

出版社のお姉さんの声量が乏しく、他の役者さんとのギャップをかなり感じた。シリアスな役どころでも、やはり同じぐらいの元気さと声量が欲しいところ。とても音楽のセンスを感じる劇団なので、お笑いと音楽の両方を融合させたような劇が見てみたいです。
台風の夜に川を見に行く

台風の夜に川を見に行く

マニンゲンプロジェクト

「劇」小劇場(東京都)

2016/01/13 (水) ~ 2016/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

学生演劇の完成形?
という感じで、青臭い演出があちこちに見受けられ、興味深く観劇。失われていく時間や記憶への哀切感、無常感がよく描かれ、こうしたものへのこだわりが強かったせいか、青臭く感じてしまうのだと思う。ハマのマリーなどは知らなければ何のことかさっぱり分からなかっただろう。でも役者さんたちの演技のクオリティの高さで、学生演劇とは全く違う完成度の高いものになっていた。それにしてもこの劇は、私にかつて感動した色々な映画や漫画、小説などを思い起こさせてくれた。もう一度これらに触れたくなるような不思議な味わいの舞台でした。

ネタバレBOX

私が思い出したものは、映画では最初と最後の楽曲からの連想で「アメイジング・グレイス」。でもこれ、奴隷解放に半生を捧げたイギリス人のお話だけど。あの楽曲の成立とそれが広まった意味を踏まえて使われたのだとすると、このお芝居の見方がガラッと変わってきてしまいますね。でも、劇中で盲目のハーモニカ吹きが吹くので、脚本家の方はご存じだったのかもしれません・・・・。漫画は「虫師」の一日で老い、死んでいく少女の話。時間の流れの不思議さを感じさせてくれる作品で、その時間のユニークな解釈はいまだに
心に鮮明だ。小説ではミステリー関係で島田荘司氏の作品一般、特に「異邦の騎士」。記憶を取り扱ったものつながりということで。どれも温かい涙を誘う名作で、この劇がここまでのレベルに達していなかったのは残念。
陽のあたる庭

陽のあたる庭

演劇ユニット狼少年

小劇場B1(東京都)

2016/01/06 (水) ~ 2016/01/11 (月)公演終了

満足度★★★★

今年の初観劇は
充実の初感激でとても嬉しかったです。けれんみの無い演出、リアルな衣装やこの舞台のためにシェイプしてきたのか、よく引き締まった俳優さんたちの体形など、贅沢なものを見せてもらったな~と・・・・。夏の木漏れ日が落ちる林で始まるこの舞台は起承転結がはっきりしていて、伏線の置き方もわかりやすく、演技の見事さも相まって見ごたえがありました。何よりも外国の小説の翻案であるにもかかわらず、見事に日本のお話になっていて、半端ではない昭和感とともに演劇の面白さを十分に見せてくれました。「こうなることはわかっていた・・・・」という主人公のつぶやきが悲しい。

ネタバレBOX

見事に星4つが並んでいますが、私もやはり星4つかな。これだけよくできた舞台なのに何故?と私も思ってしまうが、それはやはりあまりにもきれいにまとまりすぎた起承転結にあると思います。欲を言えば「破」の場面がほしかった。もう少し長くても全体のバランスが多少崩れても、この劇団ならではの何かが欲しかったですね。
ROCCA ZAMURAI

ROCCA ZAMURAI

SPINNIN RONIN

座・高円寺2(東京都)

2015/12/15 (火) ~ 2015/12/17 (木)公演終了

ダンスパフォーマンスに
殺陣の美しい型を組み合わせ(これ、主宰もできるとは驚き!というか、主宰のオリジナル?)見どころ満載の舞台でしたが、あえて無言劇にした理由がイマイチよくわからず、(エンターテイメント重視ではない、ということだろうか)何だかモヤモヤする舞台でもありました。一緒に行った演劇初心者の友人などはほとんどストーリーが掴めなかった様子。こうなると、モブシーンによる情景描写の見事さも却って見疲れしたんだろうな、とちょっと気の毒な気がした。役者さんにとってタフな無言劇は、我々観客にとってもタフな劇であることは間違いない。演劇性の高さとエンターテイメント性の狭間を敢えて行くような舞台で、ちょっと評価が難しい。私もかなり見疲れたので、もう少しすっきりと解り易い仕立てにして欲しいな・・・・。

ネタバレBOX

見事な舞台だから満足度が高いかというとそういうわけでもない、という状況を地で行くようなお芝居でしたね。ああ、シアターXの好きそうな舞台だな~と言うのが正直なところ。お芝居って誰のものなんだろう、と考えてしまいますね。自分の理解範囲を超えてしまうと、見事なパフォーマンスも一挙にうっとうしくなる。私の場合、少し超えてしまいました。時々こういうお芝居に当たりますが、自分のアホさをどの程度差し引けばいいのかわからないので、評価はしません。う~ん、なんですかね、「アホな奴ってどこが分からないのか、それがよく分からないんだよね」と言われているような感じ。アホにもわかるように説明してくれるのがいい先生というのがアホの主張。
宮地真緒主演  「モーツアルトとマリー・アントワネット」

宮地真緒主演 「モーツアルトとマリー・アントワネット」

劇団東京イボンヌ

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2015/12/08 (火) ~ 2015/12/10 (木)公演終了

う~ん・・・・
これ、以前も感じましたが、劇場と劇がうまくマッチしてない感じがする。新百合ヶ丘のアルテリオでも時々音楽劇が上演されますが、こちらはかなりいい感じにまとまっているのに対し、、このスクエア荏原は左右のウイングが広いせいか、役者さんが苦労しているのがありありと感じられる。全体にセリフが大仰になってしまい、その分内容が薄くなり、笑いも起こらない。また、音楽劇と銘打っているけれど、うまく音楽がはまったな、と感じたのは「夜の女王のアリア」ぐらい。全体に手垢のついた曲が多く、観客に迎合している、または観客を甘く見ている、という感じが強い。その上白っぽい舞台美術なのに白っぽい衣装が多く、人物が映えない。マリーアントワネットが少女の頃ならあの衣装も可愛いといえないこともないけれども、王妃になってからもあれでは品格も悲劇性も感じられなかったのは残念。

ネタバレBOX

ハイドンの衣装が半分なのはなぜかが謎。左右をうまく使い分け、一人二役の達者な演技を見せるのかな、と思っていましたが・・・・。まさかハイドン→ハンブンの洒落?マリーアントワネットは最後まで違和感が残り、まったくそれらしくは見えなかった。扇ぐらい持たせたらどうだろう。またこの時代濃い頬紅
が流行ったそうですが、それもいいかも。またマリーアントワネットはバルコニーから民衆に謝るとき、いとも優雅なお辞儀をしたそうですが、ああいうのがフランス風のお辞儀なのだろうか・・・・・。全体にコスチュームプレイの風格や型が感じられず、美しさというものが欠如していた舞台だった。コメディでもなおざりにしていいものではないと思う。
TRUTH

TRUTH

劇団@ホーム

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2015/11/21 (土) ~ 2015/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★

けれん味の無い演出と演技で
好感の持てる舞台でした。シンプルで美しい美術もいいし、殺陣のシーンも効果音に頼って派手に見せることもせず、あくまで正攻法で俳優陣の熱演で見せたのがとてもよかったです。甘めの台詞やBGMがかぶって聞き取り難い、武家風の所作など色々問題点もあったけれど、熱気がきちんと伝わってきて、いい時間を過ごせました。ただ、比較的地味な舞台なので、衣装などはもう少し気をつけた方が良かったかな。武家の女性などは、どんなキャラクターであれ、やはり凛とした気品を感じさせてほしい。もっと哀切さが増したと思います。

ネタバレBOX

衣装ですが、道場主の袴が長すぎて、だらしなく感じたのは残念。裾上げが大変なのはわかりますが、やはりふさわしい長さというものがありますから・・・・。観劇中ずっと裾を踏まないかと心配でした。また、女性の衣装ですが、高価なものを使う必要は無いですが、あの帯結びではそこら辺の風呂上がりの女性と同じです。武家の女性は幅広の袋帯で、帯枕と帯揚げを使う文庫結びがお約束。こうすると背がピンと伸び、武家の女性らしい品格が出たのになぁととても残念でした。文庫結びは見た目は蝶結びと似ていますが、姿勢が全然違ってくる。時代劇を中心にやっているなら、こうしたことにも神経を遣って欲しい。その結果として時代劇らしい所作なども出来てくるのだと思います。
バグダッドの兵士たち

バグダッドの兵士たち

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2015/11/18 (水) ~ 2015/11/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

凄すぎて長く感じるという、稀な舞台でした!
1時間半という短さにも関わらず、2~3時間分の重量を感じさせる稀な舞台でした。実際長く感じた。それは決して退屈という意味ではなく、演技、舞台美術、映像、音響、演出などの一つ一つが見事で、私がそれらすべてを噛み締めるように見たせいだと思う。美しいオブジェを配した美術は開始前から素晴らしい舞台を予感させたし、きっちりと兵士の体を作ってきた俳優さんたちの体も見事だったし、(汗滲み、しっかり見せてもらいました)何よりもアメリカの兵士たちとヘジャブを着たイラク人の母を配した演出が素晴らしかった。映像も効いている。これはあの「映像の世紀」か?とふっと勘違いしそうになる。特に生の映像らしきものが流れると、臨場感がありすぎて自分の観客としての立場があいまいになる。おそらくこれこそが演出家が狙ったものなのだろうな、と気付いたのは帰りの電車の中でした。

ネタバレBOX

ヘジャブの女優さん、すごかったですね。アラブ人っぽい顔立ちの人だなぁ、と思って観ていましたが、最後の挨拶の時、巧みなメイクでびっくりしました。(すみません、女なのでこんなことが気になる)この人の舞台開始前からの長時間の静止も、また途中の体が溶けていくような動きも、慟哭と恐怖に凝り固まった怨霊を見るようで、舞台に凄みを添えている。いつも間にか消え、そして現れ、最後は冷徹に死んだ人々を撮っているのも、バグダット中に漂う女たちの怨念のようだ。いや~、凄い演出でした。アメリカ兵の中では、トレバーが死んでカーテンの中に消えていくシーンが印象的。彼を愛し慈しんだ人も、また彼が愛した人もいたであろうに、壊れていく魂にはその愛の意味すら縁遠くなってしまったのか、あっさりと美しく消えていくのは悲しすぎる。
悪魔はいる

悪魔はいる

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

きれいな口跡の台詞に
まずハッとさせられる。台詞を美しく響かせることに随分気を遣っている感じだ。言霊、呪文、魔法などの言葉が頭をよぎるが、外部で何が起きているかの説明がほとんど無く、(わざと伏せている感じだ)台詞のみでつなぐこの劇はストーリーがあいまいで、だんだん不条理劇を見せられているような気分に陥った。う~ん、何だか小難しいものを見たなぁ、という印象。登場人物が多いのにそれぞれが何の役割だったかよくわからないという不思議な舞台でした。最近では珍しいタイプですね。

ラバウル食堂

ラバウル食堂

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

日々失われていく戦争の記憶
や歴史が、フイと鮮やかに甦り身近になってくる瞬間を描いて深い感動を呼ぶ舞台。「ラバウル食堂」といってもあまり戦争とは関係ない人々が一生懸命に生きていて、それぞれに人生に悩み迷ったりするのだけれど、その冗長とも思える普通の時間が、ラストに至って宝石のように輝いて見える。戦争を描くのに、こんなやり方もあるのだな、と唸らされました。すごい手腕だなぁ・・・。過去というものはいつもこんな風に私たちの傍にあって、発見されることを待っているんですね。

夕凪の街潮騒を待って

夕凪の街潮騒を待って

座・間座

Geki地下Liberty(東京都)

2015/10/07 (水) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★

いい味が出ていました!
この演目を最初に見た時、こうの史代氏の「夕凪の街 桜の国」を即思い出したけれど、広島は「夕凪の街」なんですね~。劇場いっぱいに響いていた潮騒の音もよかったけれど、いろんなドラマが起こる時、それは聞こえなくなってしまう。ああ、だから「夕凪」なんですね。始めは笑いが起こらず少し外し気味だったのが、だんだん物語に核が出来てきて、コメディタッチの作風が活きていた。ライブの音楽も素晴らしく、よくお芝居を引き立てていた。面白い舞台でしたが、ついついこうの氏の名作と比べてしまったなぁ。

ネタバレBOX

次男の出奔の必然性や帰郷に至る経緯、それに怪しいビジネスに手を染めるに至った経緯がよくわからず、というか、なおざりにされた感があり、家のビジネスを継ぐ経緯も何だか残念。普通これ大揉めになるところですよね・・・。次男全般にまつわることがご都合主義で、せっかくいい味をだしてきたところで音楽でごまかされた感じがしてしまった。時間的にも仕方が無かったのかもしれないけれど、もう少し丁寧なお話作りだと笑いも泣きもいっぱい起こったと思います。また、せっかくのゲストも出番が少なく「何で出てきたんだろう・・・・」という感じ。きれいな女優さん、もう少しお話に絡めて欲しかったですね。
幸せを運ぶ男たち

幸せを運ぶ男たち

アナログスイッチ

小劇場 楽園(東京都)

2015/09/23 (水) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

リアリティあふれる美術
(うわぁ、換気扇までついてる・・・・、えっこれホントに回るんだ~!)と、緊張感溢れる出だしに(笑)掴まれました。楽しかったです。始終笑いの絶えない舞台で、設定の無理も人数の多さもどうでもよくなってきて、見えない演技を楽しませてもらいました。ナイフ、本当に宙に浮いてるように見えました!衣装も何だか可愛くて楽しかったですね。

ネタバレBOX

ええと、かわいい松島さんは、ほとんど不良物件の唐沢君のどこに惚れたのかな?(座敷童より謎だ・・・・)また、座敷童ってどんな風にして成れるんだろう。こうしたファンタジーテイストのコメディでも、そこら辺にちゃんとしたストーリーがあったら、もっと楽しく感動して見られたと思う。
タイタス・アンドロニカス

タイタス・アンドロニカス

チョコレートカンパニー改めディ・ショコラーデ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/09/23 (水) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

ひえ~、なんというか、
かなり目まぐるしい残虐なお話で、ローマ人えぐいな~と・・・・。こういうお話が当時受けたんだろうか。これ、台詞が難しいんでしょうね、台詞の頭からつっかえたりするケースがかなりあり、朗々たる古典劇らしい台詞が一転、チープな現実に引き戻される。パンフにあるように、演出として、この劇自体を「見世物小屋」での劇として設定しているのだろうか、美術衣装ともにそれらしいチープな感じが面白い。テープで作られた人形、紙芯、明らかにポリエステルの衣装など、面白い試みだ。それでも、いつの間にか古典的な台詞の流れに聞き入っていると、また台詞の噛みが発生し、「見世物小屋」の現実になるという、なんだか、二重構造的な不思議な面白さを味わった。アーロンは奴隷なのだろうか、その悪意、その底なしの残虐性、そして激しい父性愛など、メイクや衣装とともに面白い人物像だった。

ネタバレBOX

漫画「7人のシェイクスピア」で描いてあったように、当時は街の実力者が劇団のパトロンとなり、自分の人気を高めるために様々な劇を上演させたらしいのだが、この劇ってまさにそういう感じだったなぁ・・・。いかにも大衆受けしそうな感じで。現代ではかえってこういう劇、難しいですね。すごく意欲的な試みだと思います!
すばらしい日だ金がいる

すばらしい日だ金がいる

アマヤドリ

吉祥寺シアター(東京都)

2015/09/18 (金) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

シンプルでかっこいい
舞台設営にまず「おおっ」と感心し、始まってからの怒涛の会話バトルも見応えたっぷりで面白かったです。ただ、みなさんものすごく多弁で、鬱のイメージからはほど遠く戸惑った。これはあれですね、鬱からの抜け出しバトルといったところなのかな?主宰が上位者として頭一つ抜け出している、といったところでしょうか。何だろう、この不安な感じ。意見を述べるのが苦手な日本人が、ましてや何らかの精神を病んでいる人々が滔々と言葉を紡ぎだしていくのが不思議なような、あり得ないような、これが鬱ワールドかぁという新鮮な驚き、あるいはこれこそアマヤドリワールドなのか、いやぁ、面白い会話劇でしたね。主宰の衣装が怪しすぎる。もうワンパターン、見たかったなぁ。また、結婚を控えた娘の、まさに人生の絶頂期を象徴するかのような衣装も素晴らしかったです。この会話バトルに花を添えていました。

永遠の一秒

永遠の一秒

インヘリット東京

萬劇場(東京都)

2015/09/17 (木) ~ 2015/09/21 (月)公演終了

満足度★★★★

戦後70年の総括のようでした。
笑いどころも泣き所もよく考えられ、実際に私たち観客を感動させるいいお芝居だったと思います。白い布で覆われた骨箱が残像のように残るライティングが悲しい。このお芝居、様々なシーンでライティングの美しさをすごく感じた。また、風鈴の音や香水があの世とのチャンネルになっているのだろうか、こうしたディテールに妙に現実感があり、こんなことがあってもいいじゃないかと戦争で亡くなってしまった人々のことを思う。あと、原口がかつての戦友に会うことができないのは、この世の理のような気がする・・・・。

ネタバレBOX

地味だが丁寧なライティングに好感が持てたのに対して、音楽や音響がイマイチ。音楽は手垢のついたものがあまりにも多すぎる。まるで音楽で泣かせにかかっているようで、あざとく感じてしまった。また、ミニマムな音量から急に大音量の音楽になってしまうケースが何度かあり、なんだか乱暴だなぁ、と思った。演技や脚本の良さで、もっとマイナーな音楽でも十分に平和の尊さ、得難さは通じたと思います。あと、おばあさんの赤い浴衣帯、無いわ~。着物も小さすぎて腕が丸見え。病院のシーンでは上品な白っぽい帯を締めていたのに、どうしたことだろう。すごくちぐはぐさと違和感を感じた。こんな小さなことでも全体の調和を乱しているような気がする。白い布で覆われた骨箱、特攻隊の白いスカーフ、娘の白いワンピースなど、象徴的で美しかったですが・・・・。
そして、飯島くんしかいなくなった

そして、飯島くんしかいなくなった

九十九ジャンクション

小劇場B1(東京都)

2015/09/16 (水) ~ 2015/09/20 (日)公演終了

満足度★★★★

現代社会における
罪と罰の在り方を鮮明に見せてくれた作品。ワンシチュエーションでぐいぐいと、様々な問題を浮かび上がらせていく手法は「12人の怒れる男たち」を彷彿とさせる。一つの問題から次の問題への提起がスムースで、すごい脚本だなぁ、と驚きました。配役や演技も素晴らしく、ストレートな演出、けれんみの無い進行で、犯罪とその周辺の人々の苦しみを如実に表していたと思います。

ネタバレBOX

この劇のカタストロフィーの無さは、そのまま今の少年法や刑法に対する私たちの苛立ちを表現しているようで、ものすごく興味深かった。法によって守られる加害者と、その周辺の守られない罪無き人々。マスコミに攻撃される加害者の親や暴露される被害者のプライヴァシーをどれだけ私たちはTVやネット上で見たことだろう。その苦しみも絶望も飯島君には届かない。いったい何が飯島君をブロックしているのだろう。ミニマムな照明の変化や音楽には好感が持てたが、何か心に残るような音楽やワンシーンも見たかったですね。
Unbreakable -アンブレイカブル- 第二章

Unbreakable -アンブレイカブル- 第二章

演劇レーベルBo″-tanz

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

うう、ネフィリムとか
グリゴリとか、聞き慣れない名前が多く、乏しい頭の容量がそれだけでいっぱいになり、パニクッてしまって物語世界から置いていかれた。こういうの好きな人いるよね~という感じで終わってしまったのが残念。また、出演者が色々人間的過ぎて、映像で天使の羽とか見せてくれても何のイマジネーションも湧かない自分の頭の悪さが悲しい・・・・・。しかし、初日にしても台詞の噛みとか多かったですね。この劇団には珍しいほどだった。

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