ぴおんち33の観てきた!クチコミ一覧

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「ヴルルの島 」

「ヴルルの島 」

おぼんろ

ルネスホール(岡山県)

2016/12/18 (日) ~ 2016/12/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

見事な舞台衣装に溜め息が出ました。
美しいなぁ・・・・それぞれ、何とよく嵌まっているんだろう。全体のバランスもよく、完成度がすごい。何だかクラシックバレエの舞台を思い出すほどでした。それにしても、トシモリってあんなに痩せていたっけ?まさかこの役のために減量したとか・・・・。このロボットのメイクもキラリとメタリックな感じがすごかった。この人のタクマを呼ぶ時の、慈愛に満ちた声が大好きだ。今回は聞けなかったのが残念だったが、ミニマムな動きの中に満ちるやさしさに泣かされる。「天空の城ラピュタ」のロボットの実写版という感じでした。それにしても日本語の「~してあげる」「~してくれる」というのは、深みのある言葉なのだなぁと改めて気づかされる。この言い方、他言語には無いような気がする。少なくとも英語にも中国語にもない、独特の感性を持った言い回しだ。末原氏はこんなちょっとした言葉から、この物語を膨らませだのかもしれないと思った。氏の凄い感受性を感じる舞台でした。

ネタバレBOX

クライマックスのホシガリがアゲタガリにバッジをねだるシーン。迷いなくバッジを服から外すアゲタガリに戦く、ホシガリの横顔が美しい。そこにアゲタガリの片手が重なって、うっとりするような美しいシーンでした。この劇団、ヴィジュアルが完成してきたなぁ、とつくづく思います。
虹色維新

虹色維新

劇団小豆組

広島市青少年センター・ホール(広島県)

2016/11/05 (土) ~ 2016/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★

大きな舞台にふさわしい、
赤報隊の悲劇なども絡めた、なかなか骨太な感じの明治物で面白かったです。ストーリーが分かり易く、演目も内容にぴしりとはまり、時代の流れをうまく感じさせてくれる。泣かせのシーンもあり、あちこちからすすり泣きの声も聞こえました。いい2時間を過ごせましたが、少し視覚的、感覚的に淋しさを感じたな・・・・。

ネタバレBOX

う~ん、脚本家の方も含めて、みなさん一度きちんと着物の着付けを習ったらどうでしょう・・・・。お芝居はたくさんの人の目に触れるもの。中には私のように口うるさいのもいます。男性陣の袴のつけ方、帯の結び方などNGを出したくなるレベル。是松以外、時代劇の型の美しさが感じられず、結果として視覚的にすごく淋しい、というかしょっぱい感じの舞台になってしまった。洋装のドレスがよく出来ていただけに、和装の貧弱さが目立つ。輝の和装、おはしょりの処理が下手すぎ。時間が無くてうまく出来ないなら、始めから糸で仕付けをしておくとか何とか方法を考えるべき。この人の寝間着姿も理解できない。なんで腰巻をつけてないんだろう。せっかくの悲しい見せ場が美しくない。若い娘がほの赤い腰巻をつけていてこそ、親に売られた残酷さ、悲しさを表現できるというのに。たかの着物は身幅も着丈も裄丈もすべて合っていない。客商売の女がこんな格好するだろうか。しかも当時最先端だった写真館の女将ですよ?あり得ない~。高畑女史の衣装は特に酷い。この人、帯をつけていなかったですよね。背中がぺったんこだった。陰謀家というのはその本性を隠すため、きっちりと身仕舞いをするのが一般的なキャラではないだろうか。衣装は見た目だけではなく、その性格やバックグラウンドも表している物。すべて意味のあるべきものなので、極力細心であってほしい。他にも適当にぶら下げられた輝と健の写真も気になった。一度きちんとかけて印をつけておけば、簡単にまっすぐかけられるのに。あれでは今は亡き人の大切な一枚である、という感じが全くしない。その後の輝の台詞に哀切さを添える絶好の小道具なのに。視覚的、感覚的に淋しい、というのはこういうことだ。もともと淋しい美術が、こうした手抜きによってますます舞台を細らせてしまう。せっかくのいいストーリー、もっともっと磨き上げることが出来たのでは、と残念でした。あと、岩倉具視、私はなんとなく美声家のイメージでした。下級公家の家に生まれ、公家らしくない容貌をそしられ、妖怪と言われた権謀術策の男。でも何か魅力があったはずだ。そうでなければあそこまで凄まじい出世はできない。でも美声家どころか、声がよく聞こえなかったな・・・・。
大安吉日

大安吉日

劇団芝居屋

ザ・ポケット(東京都)

2016/06/01 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★

暖かい時間
安定のやさしく暖かい時間が流れ、心がほっこり。「兄弟船」で観客全員号泣、沈没しました・・・・。そして感じたのは「こんなものなのかも知れない・・。」ということ。前半の宿泊客の女性二人の人生は彼らの中で完結しているものであり、漁港の人々とわずかの交流や関係はあるものの、良い思い出として残るという程度のものであり、小さな共同体の中で生きる人々の人生には何の影響もないということだ。人生には深いドラマになり得る関係とそうではない関係があり、私も泊り客の女性二人が後半のストーリーに絡んでこないことに疑問を感じたが、「ああ、そんなものなのかも知れない・・・。」と目を開かれる思いだった。前半と後半の二つのドラマの違いがクリアーで見事。わずかの誤解から仲違いが生じ、それをなかなか解けない人生がもどかしい。


ネタバレBOX

介護の主婦の一気飲みから告白への演技、お見事でした。民宿の女将がこの人にしつこく聞かないのも、女将の度量を感じさせて泣かせる。あの研修生はどうなったんだろう、あの兄弟には子供はいないのかな、など、彼らのその後の人生を色々想像してしまう。豊かなバックグラウンドを感じさせるお芝居。
ビッグマウス症候群

ビッグマウス症候群

劇団フルタ丸

「劇」小劇場(東京都)

2016/05/25 (水) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★

もっとポップなお話かと
思っていましたが意外にも泣かせるお話に。思うにこれは誰しもが夢見る、コンプレックスを生きる力に変えることの出来た人間のお話だからではないだろうか。人が生きるための夢はそれぞれだが、ホンのわずかなきっかけや勇気が人生を変えていくことを教えてくれる。何だかすごく見近な感じのするお話。

何度もすみません

何度もすみません

MacGuffins

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2016/05/19 (木) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★

素敵なお芝居だなぁ・・・・。
ポップでカジュアル、でも俳優さんの熱演が光る、何とも素敵なお芝居でした。間がいい、ということさえ感じさせないほどのスピーディーな展開と、何というか、有りがちな設定なんだけどそれを感じさせない面白さ、あちこちに散りばめられたギャグもよく効いていて、都会的でお洒落。特に男性陣の衣装が面白かったです。欲を言えば主役の男の子の衣装がちょっと弱かったけど、あのキャラクターにはよくはまっていたからいいのかな。照明もうまく雰囲気を出している。それと何か一つ、印象に残るようなメインの音楽が欲しかったですね。何度もリフレインするような。「戻る」ということがより鮮明に焼き付けられたと思います。

ネタバレBOX

ちょっと空調が暑かったな・・・・。ギリギリ我慢できるぐらいでしたが、こうした熱演型のお芝居は涼しい環境で観たい。それと、男性陣の白いシャツに黒のパッチワークの衣装、素敵でしたが、ちょっと黒の部分が多かったかな。急に暑くなってきたせいもあるけれど、もう少し黒が少ない方がお洒落感が出たと思います。10日間のロングラン、ちょうど初夏へと気候が変わるころですよね?
幕末異聞 人斬りの恋

幕末異聞 人斬りの恋

(有)Yプロジェクト

渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホール(東京都)

2016/05/19 (木) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

あれ? 劇団名は違うけど
何だか以前に見たのとよく似たテイストだと思ったら、同じ劇団だったんですね。今回は遊郭や戦闘シーンも見せ場がたっぷりで、大きな舞台にふさわしい華やかさがあって、なおかつ台詞なども噛みが少なく安心して観ていられた。つくづく良い脚本だなぁとストーリーを追いながら思った。今回は吉之助の妻のいと
に泣かされました。このお芝居にはまだ若い新三郎夫婦と中年の吉之助夫婦が出てくるけれども、書き分けがすごく良く出来ていて、感動しました。特に年月を経た吉之助夫婦の静かで暖かい夫婦愛がいいなぁ。明るさと品格を備えたいと役の女優さんの演技、素晴らしかったです。大人数の出演でしたが、良くまとまって、また体の締まった俳優さんが多く、見応えありました。半次郎の美しい死にざまなど、長尺の舞台なのに飽きさせませんね。

ネタバレBOX

遊郭のシーンに官能的なタンゴが使われていましたが、あまりはまっていなかった・・・。日本女性の線の細さが強調されて、却ってセクシーさが感じられない。鬼平犯科帳のジプシーキングスくらいはまってないと、こういうの逆効果ですね。また、この時の音量が妙に大きくて、何だか乱暴な感じですごく耳につきました。剣戟の音などもさせないので、音にはもう少し注意深くあってほしい。せっかくのいいストーリーがかすんでしまう。
女流の十八番

女流の十八番

サンハロンシアター

「劇」小劇場(東京都)

2016/05/11 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了

満足度★★★

テンポよく息の合ったお芝居で
好感が持てました。でも全体になんだか物足りない感じ。もっと内幕ものなのかな、と思っていましたが、それほど各人の仕事の内容を詳しく語るわけではなし、恋愛ものというほどでもなし、コメディからもほど遠い。ラストの感動もそこそこで、昌子さんがその人脈を活かして禁じ手を使うとか、大物が出てきて水戸黄門状態になるとか、そういう展開を期待していたが、そういうことも無く、お話の筋を追うだけで終わってしまった。女流の十八番って結局何だったのかな?これ、という女のいやらしさや可愛さの特化が無かったのでぼやけてしまった感じ。

ネタバレBOX

昌子さんのつけていた真珠のネックレスが意味不明。何かストーリーに絡んでくるか、意味があるのかと期待してしまいました。この昌子さんを中心にもっとストーリー展開ができたのでは。支配人が女詐欺師を口頭で暴くだけではつまらないし、みんなで頑張って経営再建に取り組もう!というだけではエンディングとしてはなんだか弱い。
「あたま山」×「ひたすら一本の恋」

「あたま山」×「ひたすら一本の恋」

みどり人

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2016/05/06 (金) ~ 2016/05/11 (水)公演終了

う~ん、落語から
入り損ねた・・・・。思うに落語家ってもっと愛嬌があるものですよね。何だか如何ともしがたい違いを感じた。劇の方も清掃員の役者さんの演技が光ったが、全体にモヤモヤ感が残ったなぁ。また、こういう小劇場ではよく着替えのシーンなど出てきますが、それはあくまでよく鍛えられた美ボディがあってのことにしてもらいたい。男の人なので黙殺されるだけで済んでいますが、これ、女だったらどうする・・・・・。炎上しちゃいますよね。落語からのうまいつながりもあったのでしょうが、寡聞にしてあまりよくわからず、この劇の良さが掴めなかった。また、全体の画一的な声量の大きさなど気になりました。

第6回西谷国登ヴァイオリン・リサイタル

第6回西谷国登ヴァイオリン・リサイタル

西谷国登リサイタル

浜離宮朝日ホール(東京都)

2016/05/07 (土) ~ 2016/05/07 (土)公演終了

満足度★★★★

とっても楽しめました!
クロイツェルソナタ、緩急が見事で、聴き応えたっぷりで楽しめました。生で聴いたたのは初めてだったので、最終楽章の輝かしい感じに、あれ?こんなんだったっけとびっくりした。第一楽章があんまり印象が強いので、忘れてしまっていた。←ど素人はこんなもの。箏との合奏ですが、これはいつも感じるのですが、箏の音量が乏しく、響きが美しくない。う~ん、どうしたらいいんでしょうね・・・。箏の音のほとんどは単発的で、余韻に乏しい。すべての音を琴柱の近くを揺らして響かせることは不可能だし・・・・。もっとマイクなどが発達すればちょうどいい音量に調整できるのかな。今の日本の技術をもってしても難しいのだろうか。
C.フランクのヴァイオリンソナタ、始めから音の響きが素晴らしく、お得意感満載。どや顔最高でした。この曲聴いたの初めてだったので、思わずCD買ってしまった・・・・。そしたら入り口に飾られていたお花をくれました!いえ、別に買わなくてもいただけるんですが・・・。このお二人でヴィダーリのシャコンヌが聴きたいなぁ。ピアノとの相性も素晴らしかったです。

ネタバレBOX

ここからは朝日ホールの方に。筝を片付けるときに琴柱を倒してしまいましたが、筝はとても大きな楽器でやりがちな失敗です。ホールのような天井の高いところでは、琴柱の位置を確認して、なるべく自分の体に副わせるようにして垂直に立てて運ぶと失敗しません。この方法だと女性でも軽々と運べます。あと、いただいたお花、ユリは服が汚れないようにきれいに雄蕊が取られ、バラは一本残らずとげが取られていました。花屋さんがしてくれたのか、朝日ホールのスタッフの心遣いか、いずれにせよ Good job ! さすがおもてなし大国ニッポンだ~。
AQUA

AQUA

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/04/29 (金) ~ 2016/05/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

この劇が特に気になったので
もう一度観劇。通し券のシステムありがたいですね。今回は完璧な出来で、さすがのメガバックスのお芝居でした。後半の狂気のシーンでは、女優さんの迫力に思わず背をのけぞらせた。この女優さん、キャラにはまりすぎ。母子二人の貧しい食生活まで想像させるようなキャラクター作りは驚愕ものでした。「パパ、寒いの?」などの伏線の置き方もいい。これ、「寒い」と言ってたらどうなったんだろう、と後で色々と想像してしまう。わずかの間に素晴らしく成熟した劇が見られて、本当に幸せ。観劇の醍醐味というものを味わった。

ネタバレBOX

母子の食生活をこんな風に想像した。(ほとんど肉なんか買えなかったんだろうな・・・・やっとミルクやチーズといったところだろうか。唯一の贅沢がクッキー。お母さんは娘に少しでも多く食べさせてやりたくて、ああ、それであのゲームなのか・・・・・) 弁護士さんも声がだいぶ良く出ていて聞き取りやすかったです。最後のベッドの上の惨劇はAQUAの長いスカートがよく映えて、怖さがひときわ増していた。よく考えられた衣装で、色々と象徴的。体の線を出さないよう、禁欲的にわざとダサく作られたライン、野暮ったい分厚いストッキング、純真さを象徴するかのような真っ白いカフス。それが一転する時の衝撃。お見事でした!
シュワロヴィッツの魔法使い2

シュワロヴィッツの魔法使い2

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/04/29 (金) ~ 2016/05/08 (日)公演終了

満足度★★★★

この物語世界、
いつもながら雰囲気がすごく好きだ。衣装、メイクまできちんと世界観が確立していて、おとぎ話の中に浸れる。また、よく声が出ていて心地いい。最後ちょっとやっちまったかな~という感がありましたが・・・・。でも、こういうエンディングだと次はどうなっちゃうわけ?それは魔法使いというより神様に近いような気がするのだけれど。大人のための素敵なおとぎ話、ずっと続いて欲しい。

ネタバレBOX

4作品全て見せていただきましたが、やはりちょっとこの劇団にしてはセリフの噛みが多くて緊密感が無く、また一人の役者さんがフル回転で無理しているな、という感があった。それにしても相変わらず集客が下手な劇団だなぁと思ってしまう。これだけの脚本、演出でこの入りではもったいない。私は観客の興奮や感泣、緊張感や呼吸もお芝居の一つだと思っています。満席だとダブルコールが出ても不思議ではない作品もあった。この劇団にはこの劇団のポリシーがあると思いますが、やはり隣の人の興奮や涙はこちらにも伝わって相乗効果を生むもの。GWなのでもう少し集客にも力を入れてほしかったですね。
ガイラスと6人の死人

ガイラスと6人の死人

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/04/29 (金) ~ 2016/05/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

テンポと台詞の間が素晴らしくよく
(あんまりいいので笑うタイミングをいくつか逃した)すごく楽しめました!4つの作品のうち、こうしたコメディを持ってくるというのもこの劇団の幅広さを感じさせて唸ってしまいます。ガイラスが上着を取ったら意外にこざっぱりしたこぎれいなランニング着ていて笑った。設定も動機もシュールでいいっ。女性保安官のストッキング、とってもセクシーでした。納得の衣装。衣装はこんな風であってほしい。

Hit or Miss

Hit or Miss

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/04/29 (金) ~ 2016/05/08 (日)公演終了

満足度★★★★

幸福論
一つの国をいかにして幸福にするかというテーマは、今こそもっと問われるべきだと思いますが、ここで展開される議論はその一つの答えだ。ビジネスマンの視点からの提示であったけれど、奥深い哲学をも感じさせる議論で、今までのメガバックスの群像劇とは一線を画した舞台で非常に興味深かった。切れのいい社長の台詞は頭脳明晰なアメリカ人を彷彿とさせ、その議論の展開、組み立て方、緩急のつけ方など見事で、人物像の統一感がとれていて見ていて気持ちがいい。他の役者さんがこの演技に追いついていないのが残念だった。

ネタバレBOX

う~ん、特に??と感じたのが娘のティルの衣装。黒のリクルートスーツの段階でアメリカ人の娘を演じることを放棄しているように見えてしまった。この衣装でもアメリカ女性を感じさせることができるのなら、それはそれで大したものだと思いますが、残念ながらそうはなっておらず、なぜこの衣装を選んだのか疑問。お父さんの迫力に理論武装も人物像もまったく対抗できていない感じ。娘のアイディアに乗ったテロリスト達は、なんだかヨーロッパへ押しかける難民を思い起こさせて興味深かった。自身の幸福や生活への確固とした信念やイメージが無いまま、それでも故国を捨てざるを得ない人々。私たちの、彼らへのやりきれない思いが、このテロリスト像に凝縮されていたように思う。ああ、それで Hit or MIss なんですね。政治的事由でころころ変わる諸国の対応、これに戸惑い、偽の情報に振り回される人々。様々な見方のできる面白い舞台でした。
AQUA

AQUA

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/04/29 (金) ~ 2016/05/08 (日)公演終了

満足度★★★★

うわあ・・・・
これはなかなか迫力のある舞台で、純真から狂気へ一転するシーンが見事。衣装などもよくキャラクターを表していて面白かった。ああ、あのアクセサリーはこういう意味か・・・・と納得。ガラクタを使った伏線作りもよくできていたなぁ。うう、怖かったです。初演なので音出しのミスや、若干セリフの聞き取りにくい役者さんもいて、いつもの完璧感が感じられなかったのは残念。いくらメガバックスとはいえ、すべてのお芝居に完璧を求めているわけではありません。でもこのお芝居はやはりその若干のミスが痛い。せっかくの緊張感が途切れてしまいますね。もう一度見たい。

BAR アルマ

BAR アルマ

劇団光希

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2016/04/28 (木) ~ 2016/05/01 (日)公演終了

満足度★★★★

いわゆる群像劇って
やつですね。その中にいろいろな人生があり、それぞれの喜びや悲しみを見せてくれる。丁寧に作られた脚本で、けれんみのない作りに好感が持てました。でも全体にちょっとインパクトが足りなかったかな。完吉などいくらでも強烈な面白いキャラにできたと思いますが。また、主人公も同じ年代の女の子達とキャラがかぶってしまい、(髪形や衣装も女の子たちの中に沈んでしまった感じ)なんとなくもたもたした感じに見えてしまったのは残念。群像劇であるからこそ、主人公のひときわ光るキャラ作りは重要だと思います。

2016-TSTクラシックス

2016-TSTクラシックス

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

ああ、いい劇団というのは
この劇団のように席が前から埋まっていくんですね・・・。小さくて座りにくそうな椅子も物ともせず、若い人は喜んで前から座っていく。だって近くで役者さんの息遣いを感じ、演技の細かいところまで見たいじゃないか。今日特に感じたのは緩急のつけ方の見事さ。前半の賑やかさとスピーディーな展開、後半のシリアスだけれど暖かく、一気にラストまで持っていく求心力。伏線の置き方も分かりやすく、恭子とおばさんのまっすぐさには泣かされた。そうだ、女はいつもこんな風に前を見ている。俯いたり、諦めたりはなかなかしない。その後のどんでん返しも秀逸で、いいお芝居だなぁ、見られて幸せ!とつくづく思ったひと時でした。ラストシャッフルB観劇。時々こんなのやってほしい。それか、観劇三昧で観られるようにしてほしい!

根

PANCETTA

小劇場 楽園(東京都)

2016/04/12 (火) ~ 2016/04/17 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しかったです!
ライトで押しつけがましくない笑いで楽しめました。演目やフライヤーからもう少し小難しいものを想像していたので、劇場に入る前に熱々のコーヒーを流し込んでいったが、そんな必要もなかった。様々な「ね」があることに気づかされましたが、こうしたオムニバス形式にしては全体のつながりもよく、安定感のある逆立ちもちょっとした見ものでした。ただ、やっぱり楽しかったのと面白かったのは違う。もう少し魅力的なパフォーマンスとか、ブラックユーモアとか、同じテーマを追ったのなら少しづつ違うテイストが欲しかったところ。衣装も悪くなかったですが、あれもなんだか哲学的なものを期待させてしまうかな。全体に脚本の方の人柄が出すぎちゃってる感じ。好感の持てる感じの方で、お願いされて思わずアンケート書いてしまった・・・。ほかにも書いている人多かったですね。う~ん、こういうのってどうなんだろう・・・・。

ネタバレBOX

新行内氏、ファルスシアターの「キャッシュ・オン・デリバリー」に出演されるんですね。見たいなぁ。すごくはまりそうな感じ。頑張ってほしいのでちょっとおまけして☆4つに。このお芝居、「根」についての考察のお話と分かった時、猿回しの「根切り」のことなんか出てくるのかな、新行内氏が根切りされる猿の役なんかやったらすごいだろうな、と勝手に想像していました。(すみません、妄想です)全体にどれもなんとなく「いいお話し」で終わってしまって、オムニバスらしいインパクトに欠けるのが残念。「根見」は薄墨桜の話を思い出した。枯死寸前の古い桜の根に若い山桜の根を継ぎ足すお話なんだけど、そうか、切られる根のほうはたまんないだろうな、と同情。本来は根の寿命がすなわち樹の寿命なんですね。あと、観劇中、しきりに根無し草の生活を送るジプシーのことが思い出された。「立ったまま埋めてくれ」に描かれた彼らの生活の凄まじさ、地域に根を持たないということはどういうことか、「根」についての考察の中に、こうしたネガティブな「根無し」のことも入れてほしかったですね。
レドモン

レドモン

カムヰヤッセン

吉祥寺シアター(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

タイムリーだ・・・・・
これ7年も前に書かれた脚本なんですね。今現在上演することに劇団は大きな意味を見出しているのだろう。左右が広く、高さのある吉祥寺シアターを敢えて分断したかのような美術が面白く、天井に据えられた美術がわずかに宇宙的な雰囲気を感じさせて美しい。SFはちょっとしたテイストになっているが、描かれる世界はまさに人間世界の悩みとエゴそのものだ。異質なものへのヘイトと憐れみ、根底に流れる、愛する者への断ちがたい感情など、すごく普遍的なものを感じた。様々な境界を表すロープが越えがたい壁をよく表現していたが、ちょっとしつこい感じがしたかな。ロープなど無くても俳優さんの演技力で十分に表現できたと思う。最後のシーンだけでも十分だったのでは。それにしても、どんなに異質な文化であろうが個体であろうが、そこに愛する感情があり、共に過ごした思い出がある限り、人はやはり共生できるものなのだな、と思ってしまう舞台でした。

ネタバレBOX

新聞社の内幕やバーでのシーンなど、わりと社会派なネタも多い反面、ひかり学習会などの存在で、「あれ?レドモンって十分に個体数など把握されてないと、こういう塾ってありえないよね。」と矛盾を感じる所も多い。当然そこの生徒の親の少なくとも片方はレドモンなわけで・・・・。特に娘が隠れ住んでいる様子もなかったので、ここら辺が説明不足で、レドモン狩りの恐怖が感じられにくい。また、マジリ改正案がパスするためには、例えばレドモン二代目は繁殖力が極端に弱いとか、断種手術を受ける条件付きとか、何かあるはずだと思ったが、こういうところもそれなりの整合性が欲しかったですね。SFって何でもできるからこそ、細かな設定が大事なのではないかと思います。
愛、あるいは哀、それは相。

愛、あるいは哀、それは相。

TOKYOハンバーグ

「劇」小劇場(東京都)

2016/03/30 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

劇小劇場に満ちる不穏な効果音
で始まるこの劇、再再演だったんですね。バカバカ、二回も見逃すなんて、間抜けすぎる私・・・・。で、まず、音響に驚きました。この劇場、音響のシステムを替えたのか、あるいは元の音源が余程良いのか、効果音もアコースティックな音楽も素晴らしく、すべての音が胸に響く。この哀しく苦しいお話に、せめて音楽だけでも美しく響いて欲しいという願いが込められているかのようだ。
お話は故郷を失った人と、確固たる文化共同体の中にある人々との対比が
鮮明で、私たち日本人がこの時代になってもどれほど自分が属している
社会に守られ、その中で包まれて生きているかを思い知らされる。被災者が無くしたものの大きさ、大切さをこれほど分かり易く、直接話法で語りかけてくる演劇も少ないと思う。そして彼らのこれからの生活基盤の不安定さ、無分別な情報の錯綜による足場の頼りなさを訴える演劇を他に知りません。ゲネプロ観劇。

ネタバレBOX

福島南相馬市の被災者の疎開先として伊勢神宮の氏子(でいいのかな)の家庭を持ってくるとは・・・・・。それだけでも唸らされました。関西弁ともまた少し違う独特な訛りなどもかなりよく研究されていたと思う。和歌山弁、阿波弁などに似ていますね。
氏子の伝承唄なども、さすが役者さんらしく豊かで素晴らしい発声で聞き惚れました。この劇、本当に細かいところまで神経が行き届いていて、リアリズムに溢れ、若干の台詞の噛みなどものともしない力強い脚本だったと思います。(そうそう、飲み物を運ぶ時はああやってテーブルをぐるりと回ってから運ぶのがプロのやり方だ~とか思って見てました)どの俳優さんも素晴らしかったですが、JKのほとみの猫舌の演技は、ほんの一瞬なのに暖かい演技で心に残りました。花札がこちらの知識が無く、よくわからなかったのが残念。
死に顔ピース

死に顔ピース

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/03/18 (金) ~ 2016/03/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

いつか考えなければならない死を
こんな形で見せてくれる劇に出会えたことに感謝!!なんだか死に向かうための勇気をもらったような気がした。もうそんな勇気を持ってもいい頃だと思うの。楠美の最後の演技、死へ向かう一息一息はあんな風にして演じているんですね。アフタートークで聞いてびっくりしました。脚本や構成は言うに及ばず、明確なテーマと演技力に始終心を鷲掴みにされました。いつもの緊張感に満ち満ちている舞台とは一味も二味も違う温かい舞台、なんという豊かな表現力、演技力なんだろう。溜め息が出ます。また、クラウンの方の「病院でクラウンをやる時は患者さんにつま先を向けて立つんです」って深すぎる言葉だ・・・・。こんな人だから脚本家の方はこのクラウンを選んだんだろうと思った。いつか私が愛する近親を見送る時、私はきっとこの言葉を思い出すだろうなぁ。

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