遊民の観てきた!クチコミ一覧

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あけみママを待ちながら 

あけみママを待ちながら 

劇団ぺブル(ペブル・グラベル)

ワーサルシアター(東京都)

2014/07/31 (木) ~ 2014/08/04 (月)公演終了

満足度★★★★

夕子と優子と祐子の物語
初見でしたが、予想した通り素敵な物語でした。

家族の話ではないけど、ホームドラマ的(「スナックあけみ」がホームですね。)
で落ち着いて観られるし、各キャラクターの劇中での役割が明快で無駄がない。なんといってもあけみママの正体が明かされて、全てがつながるのである。「そうだったのか、あのセリフはこういうことだったのか。」と。観終わって幸せを感じることはそうそうあるものではないがこの作品はそれを感じさせてくれた。こういう作品が小劇場でもっともっと上演されることを切に願いたい。

ツナガル

ツナガル

セロリの会 

「劇」小劇場(東京都)

2014/07/31 (木) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★

ツナガっているのか?
昨年の公演と比べればしっかりした作劇と感じたが、もう少し描きこむ必要性も感じた。


音楽教室を営む麻美(勝平とも子)はなぜ娘の木綿子(村田綾)をそれほどまでにピアニストにすることに固執したのか?ラストに木綿子は交通事故で亡くなった親友の娘であり、麻美は彼女を引き取って育ててきたことが明かされるが、いくら親友が優秀なピアニストだったといえ、それだけでは理由として弱い。そこには麻美と木綿子の母との関係性が描かれなければ説得力に欠ける。


また麻美の母、絹代(岡田美子)は木綿子を引き取るという麻美をすんなり受け入れたのか?木綿子の実父、時生(尾方哲久)は妻の死後、麻美と夫婦になったということか?(そんなニュアンスで描かれていた気がする。)その辺の経緯や背景が省かれているので疑問が残るところである。そんな訳で劇中歌われる、「True Colors」も空々しく聞こえてしまった。


ただキャストの演技は総じて自然体で好感が持てた。

0号 -2014-

0号 -2014-

ゲキバカ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/07/17 (木) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★

これが王道・・・なのかな?
皆さん、激賞されているところ大変恐縮だが私にはあまり響いてこなかった。
この手の芝居を観すぎた為か、素直に受け止める感性が失われてしまったのか、とも思うが感じたところを書きたい。

まず、“「キネマ」に青春を懸ける若者たち”とあるがどうも活気ある撮影所の雰囲気が感じられなかった。時代劇の花形スターやレビューショウの踊り子たちは正に王道であるが、撮影所を描くのに欠かせないのは「活動屋」であるスタッフたちではないだろうか。私の勝手な思い込みだが、撮影所のシーンが結構長かったので気になった。

また物語の根幹をなすべき(今は幽霊となった)後藤と千代子の、いわば永遠の愛の描かれ方が少々杜撰だと感じた。彼らの結びつきの強さは数々のエピソードを積み上げた末のものでなければ首肯できるものでない。確かに逢瀬のシーンなどあるが「永遠の愛」に至るにはインパクトが弱い。

全体的にいろんな要素を盛り込んだために散漫になってしまったという印象が強い。坂東鶴三郎と敵役の菊田のある種の友情(?)、鶴三郎の死後、子分筋の後藤やさぶの面倒を見る菊田と彼らの師弟愛(この関係は戦場での非業の死まで続く。)そして前述した後藤と千代子の愛。そこ華やかなレビューや殺陣が加わってくるのである。乱暴な言い方かもしれないが、どれも私には表面をなぞって体裁を整えたように感じられてしまった。

逆に言えばこれだけの要素をよく2時間半にまとめたというところか。「ゲキバカ」鑑賞は2度目だが前回観た「スタンス」が非常によくできたエンターテイメントであっただけに残念である。

付け加えていうと殺陣やタップは素晴らしかった。

それは秘密です。

それは秘密です。

劇団チャリT企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

なるほど、「ふざけた社会派」か
こういう作風に出会ったのは初めてかもしれない。私には新鮮で面白かった。

ネタバレBOX

登場人物が事の成り行きを観客に説明しながら物語は進む。理解しやすいがあまり説明されても、と思うことがあるが、この作品の場合、これで正解だったかな。

前半、クスッと笑えるネタを交えながらユルユルと物語は進む。後半、というかラスト30分くらいで逮捕劇の真相が明かされる。前半のユルユル感から逆転し一気に_緊張感が走る。これは結構インパクトあったなあ。

社会風刺劇だと、結構初めからそれと分かるようなものが多かったが、この作風は新鮮だった。(まあ、フライヤーの文句でそれとなくわかるといってしまえばそうなのだが。)

初見なので前作までがどんな作風だったかわからないが、毎回これだと飽きられるだろう。
猫のサロン~家族のはなし~

猫のサロン~家族のはなし~

猫の会

ひつじ座(東京都)

2014/07/17 (木) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★

「クツシタの夜」を鑑賞
作家の言う“寄る辺なさ”を充分感じられた。「ひつじ座」という劇場もこの芝居の世界を表現するのにピッタリの空間だった。

ネタバレBOX

颯子を演じる菊池佳南がいい。彼女の表情やセリフ回しが“寄る辺なさ”を物語る。

冒頭、室内に散乱した彼女の衣類が最後はすっかり片づけられて空虚感に満ちた部屋が現出する。当初、虚ろで混沌としていた颯子の心情(それはどっちつかずで真情を消して見せない夫、文男への苛立ちか)が最後には全てを捨てて新たな旅立ちをする彼女の真っ新な心境への変化を表しているようにも見える。

何度か家出を繰り返しながら、文雄とやり直したいと思っていたようだが、野良猫の保護活動に夢中で颯子の話は上の空の文雄。「嘘だけはつかないでほしい」と言いながら禁煙の誓いを破って陰でタバコを吸っていた文雄。もはや颯子は文雄と暮らし続けることはできなかった。ラストの「バッーカ!」に全ての思いが込められている。(でもどこか未練を残しているようにも見えた。)

元々猫好きで惹かれあった二人だと思うが(夫婦寄り添ってマーガレットやクツシタを見守る時の幸せそうな顔といったらない。)猫のことが元で別れることになるとは皮肉なものだ
少年期の脳みそ

少年期の脳みそ

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/06/20 (金) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★

非日常的日常空間の心地よさ
・・・とでもいうのでしょうか。「あるある、こんなこと」とか「いるいる、こんな人」と思うもののなかなかお目にかかれない光景だったり、居そうで居ない人だったりするのです。ただ演劇というフィルターを通すとそこにリアリティのある日常が現れるのです。

ネタバレBOX

それは卓球部の浅田さんが友人、里中さんに仕掛けようとするドッキリだったり、後輩の前では先輩風を吹かせる加藤先輩が彼女の北山さんの前では頭が上がらなかったり、飲み会の席で皆に囃し立てられてドギマギする津田君だったりします。サラッと描いているようで結構奥が深い作品のように感じました。役者で気になったのは里中役の高田郁恵さん。凹んだり、戸惑ったりしているときの彼女の表情が何とも言えずイイのです。
想い出のテラス

想い出のテラス

座キューピーマジック

「劇」小劇場(東京都)

2014/05/28 (水) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★

居心地の良さ
田窪さんのお芝居はいつ観ても、この時間、空間にここに居られることの心地よさを感じる。そして何度でもここに帰ってきたくなる。
今回もそんな思いにさてくれるる作品でした。全体的にゆっくりした流れの中で物語が進んでいき、幕間の暗転も少し長めなのがいい。(その間に流れるショパンのピアノ曲の物悲しさよ。)
妻に先立たれた初老の作家と彼のもとを巣立っていく三人の娘たち。夕日の差し込む書斎で一人、彼は何を想う・・・、てな感じでしみじみとした味わいを感じさせてくれる。
台詞の中で、人生について語られ過ぎの感はあるが、「いやー、たまにはこんなストレートな芝居もいいではないか。」と思わせてくれるのが座☆キューピーマジックのお芝居です。

共演NG

共演NG

劇団フルタ丸

「劇」小劇場(東京都)

2014/05/16 (金) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

結構、意味深、かな?
少し時間が経ってしまったので記憶をたどりながら書きます。単純に2編のストーリーが面白く、それぞれ引き伸ばして1本ずつで見せてもいいのでは、と思える。しかし、それが漫才コンビ(だっけ?)が別々に出ていた芝居だったとはちょっとビックリ。(少し無理やりな感じも)

どうも私はぼんやり観ていたようで、冒頭のシーンで仲違いした数組が(元恋人だったり先輩後輩だったり)別の芝居に登場していた、というのも当日パンフを見て気付いたのでした。

当然これが「共演NG」を表しているのだが、個々の短編の中にもNGがあったようだ。それは「片想い」という一方的なNG(=No Good)。

そう思って舞台上を見ると後方に舞台幅大の巨大な「N」が屹立している。前面に小さ目の「N」とその前にさらに小さい「G」のオブジェが。

まるで“人生とは辛くうまくいかないことばかりで、楽しくてうまくいくことはほんの少し。でも、その時のために我々は生きている”とでも言っているようだ。(考えすぎかな)。

でもそれだけ考えさせる舞台というもは楽しいものだ。


妻らない極道たち

妻らない極道たち

ホチキス

吉祥寺シアター(東京都)

2014/06/05 (木) ~ 2014/06/10 (火)公演終了

満足度★★★★★

娯楽作品の王道を観た
長らく観たかったホチキスを初観劇。なるほど、客を楽しませるツボを心得ている。

なんといっても権藤良子を演じた小玉久仁子がいい。少々オーバーなセリフ回しや仕草がこの作品にピッタリはまっていて組長の貫録十分。最後まで彼女から目が離せない。

出だし、テンポが速かったせいか、スナックのマスター夫婦のセリフなどが聞き取り辛く、コンビのギャグが理解できなかったが慣れてくるとこれが芝居のテンポにあっていて心地良くなる。彼らのピンクを基調とした衣装も、極道たちの衣装の暗色を中和してくれる。

結婚相談所開設の件はちょっと唐突な感はあるが、その後の展開は、有無を言わせず観客をグイグイ引っ張っていく力量を感じさせた。
大団円に向かうラストは「おっ、これはミュージカルか!」と思わせるような説得力で思わずグッとくる。

観終わって「なんだか、劇画から抜け出た人物たちによる芝居を観た」様な不思議な感覚に襲われた。
ともあれ初観劇のホチキスワールドに大満足した。

デッサン

デッサン

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2014/06/11 (水) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★★

ちょっとストレートな感じ
最近観た「月の岬」、「海と日傘」のイメージが強かったので表現手法の違いに戸惑った。

ネタバレBOX

若年性認知症を発症した主人公、高峰雪絵の記憶をたどるように、夫と出会った高校時代から現在までのエピソードが、時間を前後しながら物語は進行する。
語られるのはその時々に出会った人々との日常の些細な出来事であり、直接認知症と関連付けられるものでない為、それぞれの場面がどんな意味合いを持つのか疑問を持たざるを得なかった。
姑が、ハードディスクに保存されたテレビ番組を消去したり、雪江がキャンバスに描き続ける絵を認知症である自分に重ねて語る場面などは、ちょっと直截的な表現に思えて私は好きになれなかった。
一面ガラス張りでサンルームのような画家のアトリエをイメージしてのことだろうか。素敵なセットなのだが食卓のシーンなどにはちょっと不似合いな感がある。床に敷き詰められた紙片は様々に彩られた彼女の思い出たちの残骸なのか。
うさぎストライプと20歳の国

うさぎストライプと20歳の国

うさぎストライプ

アトリエ春風舎(東京都)

2014/05/01 (木) ~ 2014/05/06 (火)公演終了

満足度★★★

春風舎とベストマッチ
春風舎の黒光りするような床板は確かに教室を思い出します。

ネタバレBOX

「Don't Be a Strenger」は少し息苦しくなる位、作品全体に甘くほろ苦い青春のきらめきが充満していて作家の力を感じた。バックに流れる青春ソングやフラッシュバックのシーンなどはいかにも、という感があるが最後まで熱量が冷めないところが評価できる。

「学級崩壊」は前者と比べると抽象的な作品で分かりにくい。昨年の初見時は新鮮な印象を受けたが今回も突飛な演出で大池氏の心境やいかに、と思い彼女のことを検索した。すると、以前のインタビューで「人間が内側に持っているぐちゃぐちゃしたもの、湿っぽいものをポップに舞台に上げたい」という趣旨のことを話していた。
その言を受けてこの作品に照らしてみると、確かにその通りを形にしているようにも思える。ただ私にはその思いが今イチ伝わってこなかった。紙ボールの投げ合いはコミュニケーションの表現とは思ったが、眼前で起こっている状況を表す記号のように少し機械的で平坦な印象を与えててしまうのではないか、という気もする。(決して役者の感情表現が希薄だったわけではない。井上みなみなどはむしろ表情の変化を楽しませてくれた。)大池氏の演出方法が自分に合わなかっただけかもしれないがまだ答えは出すまい。
こんこんと、

こんこんと、

green flowers

シアター711(東京都)

2014/04/16 (水) ~ 2014/04/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

余白のある芝居
この言い方が適当かどうかわからないが、要するに観客のイマジネーションを喚起する良質な芝居だった。

ネタバレBOX

前半は、結婚式場のスタッフの妙にリアルな会話に始まり、新婦側の実家、新郎側の実家、居酒屋とスピーディーに場面が変わっていく。この中で登場人物各人のキャラクターや関係性、心情などがごく自然な流れの中で語られていく。

後半、結婚披露宴当日、彼らが一堂に会する。ここで起こるてんやわんやの中で前半の内容が結実する。それぞれのキャラクターが生かされているのだ。例えば式場のスタッフである木村はあっけらかんとしていて、客人である新婦の親族たちと結束し、亡くなったはずの新婦の父笹塚をかくまおうとする。他にもしっかり者の先輩社員沼田や笹塚の実直さなど、挙げればきりがない。

タイトルに書いた「余白のある」は新郎新婦が最後まで登場しないということだ。私はいつ出てくるのかとドキドキして観ていた。しかしそれによって、逆に二人の輪郭が見えてくるような気がするから不思議だ。もう一つはラスト、笹塚が不安そうに佇む場面。もう少し続きが観たいというところでふっと幕になってしまった。余韻を残すところが実に憎い。

今回最も驚いたのが、イトキチの正体を知ったこと。劇中の彼女は、数十年ぶりに、それも死んだと思っていた父に会った娘の芯の強さを見事に演じていた。普通に考えれば兄の圭同様、うろたえて父を非難してもおかしくない場面。晴れの日ということもあったのだろうが、実に落ち着いてやさしさに満ちており、その説得力にはただただ感嘆した。

「かっぽれ!」シリーズを観て内藤作品を全部観たいと思った。そして、今作で イトキチ」作品を全部観たいと思った。グリフラ、恐るべし!、である。
春がハーモニカを吹く理由

春がハーモニカを吹く理由

東京カンカンブラザーズ

ザ・ポケット(東京都)

2014/04/09 (水) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★★

ドラマの盛り上がりが感じられず
登場人物が多い作品をドラマとして成立させるのは困難が伴うのかもしれません。

ネタバレBOX

各人のキャラクターや相互の関係説明に時間を費やしてしまい、前半が間延びした印象です。人物像や会話もステレオタイプ的な気がして退屈に感じた。

また物的証拠や目撃者の証言があったとはいえ、あまりにもあっさりと江本春が逮捕されてしまう件は疑問に感じてしまう。ラスト近くの江本春、かすみの自殺も周囲の迫害があったとはいえ、唐突で、無理やり“切なく悲しいラブストーリー”にもっていった感が否めない。

とういえ、エンタテインメント作品としてみれば、千田光雄を軸としたコミカルシーンやPKDによるパフォーマンスシーンなど楽しめる要素もあった。

見て見ぬ三日月

見て見ぬ三日月

劇団ヨロタミ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2014/02/19 (水) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★

以前と同じ印象、かな
「大いに笑ってちょっぴり号泣の…」というのがこの劇団の持ち味なんだろうが、以前観たときにも感じたのと同じ印象に終わった。

3人の幼馴染が起こした事件を軸に展開するメインストーリーは説明台詞が多くて閉口した。ある程度は仕方ないと思うが、それが多くなると、役者の動きが止まるし、台詞が「生きた言葉」として観ているこちらに届いてこない。

特徴的なキャラクターを登場させて笑わせるコミカルなシーンは相変わらず楽しいし、観ていて心地良い。(ラーメン好きの刑事は少しキャラが弱かったかも。)この部分だけでも話を膨らませていけば一本のコメディになるんじゃないかという気がする。シリアスなストーリーにコメディ要素があるとメリハリがあっていいというご意見もあろうが、私はどちらかというと少しメインストーリーの邪魔になっているような気がする。

あと、ミュージカルのシーンは演っている方がもっと楽しく歌わないと観客も乗れないと思うのだが。

幸福な職場(再々演)

幸福な職場(再々演)

劇団 東京フェスティバル

駅前劇場(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/12 (水)公演終了

満足度★★★★

なかなか出会えないタイプの作品
何本か観たこの劇団の作品の中では派手さを無いものの、素朴で温かみのある物語でした。きたむらさんの思いが溢れたメッセージ性を含んだ内容なのに押しつけがましさがなく、ジンワリと心に沁みこんでくる不思議な味わい。地味ながら作品の持つ力を実感させられる、こういう作品にはなかなか出会えない。

第5回公演 初恋

第5回公演 初恋

日穏-bion-

「劇」小劇場(東京都)

2014/01/29 (水) ~ 2014/02/02 (日)公演終了

満足度★★★★

物語の本質とは・・・
こういうものだろう、と思わせてくれる作品。「ありそでなさそ、なさそでありそ」とでもいおうか、ドラマとリアルの狭間を進んでいくような印象だが、最終的にはそこをポーンと飛び越えて独自の劇世界を見せてくれた。
第1話は現実にはなかなかない設定ではあるが、二人の特徴を際立たせることによってリアル感が増した。
第2話はとにかく切ない。最後にキュウリを齧るシーンを持ってきたところが憎い。しょっぱいキュウリの味がこちらにも伝わってくるようだ。
第3話はオムニバスにするための少し無理な設定だったかなという気がする。
私は第4話が圧倒的に好みだった。娼婦・桃子の佇まいは神々しいまでの美しさを感じさせた。哀しみに満ちた彼女の瞳が忘れられない。
全体を通して、役者一人一人が役に誠実に向き合って、台詞を丁寧に発していた事に好感を持った。

プラトニック・ギャグ

プラトニック・ギャグ

INUTOKUSHI

駅前劇場(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★

どこか中途半端な印象
一言でいうとタイトル通りの内容で少々期待外れ。ストーリー性を重視しつつ、全体的にギャグをちりばめているのだが前半が少しダレた感じ。

ネタバレBOX

二つのストーリーを並行させながら後半で一つに収束させていく流れは巧いと感じた。なるほど、【A side】はトウジのグルグル回る頭の中で創造されたストーリーとわかると、劇中の人物たちが戯画化された印象だったのも頷ける。
【B side】のプラトニック感はベタな展開ながら結構グッとくる。
ギャグは見慣れたパターンばかりなのでインパクトはないが、あとはどう見せるかの部分で勝負していた感じ。それは「浅草のスプー」だったり、トウジの「シラタキ」だったり。間で笑わせるというのはコメディにおける重要ポイントだが「シラタキ」は絶妙の間だったね。
今回の収穫はトウジ役の藤尾姦太郎。彼の怪優(?)ぶりは今後も注目していきたい。

ニールサイモン・作 「カルフォルニア スィート」

ニールサイモン・作 「カルフォルニア スィート」

有機事務所 / 劇団有機座

萬劇場(東京都)

2013/08/20 (火) ~ 2013/08/23 (金)公演終了

満足度★★★

難しい作品かも…
これは日本で上演するのが最も難しい部類の作品かもしれない。米国のウィットやユーモア(この作品はユダヤ的思考が色濃いらしいが)に我々はいまだ慣れていない。特にこの作品は時代も少し遡るので、その点でもますますピンとこない。

「ニューヨークの客」はその最たるものだった。また、英語ではテンポよくリズムのある会話になるのだろうが、形容詞の多いこの会話劇は日本語にすると間延びしてテンポが落ちてしまう。会話が単調な分、もう少し感情の起伏があってもよかったと思う。

「フィラデルフィアの客」は素直にドタバタ感を楽しめた。町慎治演じたマービンぐらい、セリフにしろアクションにしろオーバーとも思える位がちょうどいい。

「ロンドンの客」はいかにもありそうな女優の舞台裏を描いた作品で「さもありなん」。

「シカゴの客」はドタバタでグダグダというのが素直な印象。ぶつかって怪我をするのがちょっとわざとらしく見えてしまった。

どなたかが書いておられたと思うが、ルームメイクのスタッフの女性の心温まるエピソードを最後に持ってくるなら彼女自身のストーリーも付け加えてもらえると有難かった。(でも原作がそうそうなってるんだろうね、きっと。)

B型の女たち 2nd ~あたしたちはマリアだっ!~

B型の女たち 2nd ~あたしたちはマリアだっ!~

三ツ星キッチン

小劇場 楽園(東京都)

2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ほんと、「マリア」だ
昨年から始まった10回シリーズとのこと。今回初観劇。三人のアラフォー女子の魅力が存分に発揮されたステージで楽しかった。

付け髭をしてギターをかき鳴らしながら歌うオザキ。その後はガラッと可愛らしい衣装で歌い踊る三人にギュッと心を掴まれた感じです。

「楽園」という劇場もなんだかこのお芝居にピッタリでしたね。

ダグー伯爵夫人のサロンPartⅡ

ダグー伯爵夫人のサロンPartⅡ

DGC/NGO 国連クラシックライブ協会

東京文化会館 小ホール(東京都)

2013/08/31 (土) ~ 2013/08/31 (土)公演終了

満足度★★★

無理してサロンにしなくても
若手アーティストの演奏、歌唱は素晴らしいの一言です。ショパンとリストが同時に聴けるなんて贅沢ですね。それにしても受付のお粗末なこと。こんな混乱は初めて見ました。二度とこのようなことがないようお願いしたいものです。

19世紀のサロンを舞台に、芝居仕立てにしたコンサートだったがそもそも芝居の部分が必要だったのか疑問が残る。文化会館小ホールはそれほど広い舞台ではないので、演者があれだけ乗ると窮屈な感じでサロンの優雅さが感じられない。何より芝居と演奏のつなぎにスマートさがなく気が削がれる。また、後ろにずらっーと並んで聞いている紳士淑女たちがなんだか間抜けに見えて仕方なかった。

演奏が素晴らしいのに芝居の部分が台無しにしてしまい残念だった。

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