満足度★★★★★
余白のある芝居この言い方が適当かどうかわからないが、要するに観客のイマジネーションを喚起する良質な芝居だった。
ネタバレBOX
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2014/04/19 11:30
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2014/04/22 15:38
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楽しんでいただけてほっとしております。
「かっぽれ!」シリーズが好評だったので、日常を切り貼りしたようなイトキチ作品がお客様の期待を裏切るのではないかと、毎晩うなされる思いでおりました。
グリフラ主催の次回公演は未定ですが、また、おなじみのメンバーで楽しんでいただける作品を目指して頑張ります。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
後半、結婚披露宴当日、彼らが一堂に会する。ここで起こるてんやわんやの中で前半の内容が結実する。それぞれのキャラクターが生かされているのだ。例えば式場のスタッフである木村はあっけらかんとしていて、客人である新婦の親族たちと結束し、亡くなったはずの新婦の父笹塚をかくまおうとする。他にもしっかり者の先輩社員沼田や笹塚の実直さなど、挙げればきりがない。
タイトルに書いた「余白のある」は新郎新婦が最後まで登場しないということだ。私はいつ出てくるのかとドキドキして観ていた。しかしそれによって、逆に二人の輪郭が見えてくるような気がするから不思議だ。もう一つはラスト、笹塚が不安そうに佇む場面。もう少し続きが観たいというところでふっと幕になってしまった。余韻を残すところが実に憎い。
今回最も驚いたのが、イトキチの正体を知ったこと。劇中の彼女は、数十年ぶりに、それも死んだと思っていた父に会った娘の芯の強さを見事に演じていた。普通に考えれば兄の圭同様、うろたえて父を非難してもおかしくない場面。晴れの日ということもあったのだろうが、実に落ち着いてやさしさに満ちており、その説得力にはただただ感嘆した。
「かっぽれ!」シリーズを観て内藤作品を全部観たいと思った。そして、今作で イトキチ」作品を全部観たいと思った。グリフラ、恐るべし!、である。