YUBOの観てきた!クチコミ一覧

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昆虫系[改訂版]

昆虫系[改訂版]

鵺的(ぬえてき)

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2011/07/27 (水) ~ 2011/08/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

生き様の野次馬
鳥肌ゾワーって立った。目の前で起きてるのは事件。比喩ではなく、物語だけど、現実の事件。しかも凄惨な。とてもリアルで、ゾクゾクするのに、観劇後の感触は決して不快にならないから流石です。

ネタバレBOX

見たくなくても見てしまいたくなるこの圧倒的な暴力っっっ!!!底で生きる者たちの生き様を覗き見る。それは明日は我が身なのだろうか??

チラシのワンダーランド代表の方の紹介文以上に的確に表現するのは難しいけど。かといってマンガの闇金ウシジマくんみたいってモンギリで斬るのは安易だし。どこまで実際の事件に忠実かわからないけれど、人の欲深さと、地べたを這いずり回り生きるしか術のない現実が描かれ圧倒される。どうしてちょっと足を踏み外すだけでやり直しの利かない世の中なんだ、なんてキレイごとでは飯は食えない。生きるために必要なのは妥協と打算と諦め。終始、冷たく乾いた目をして蠢く登場人物達に、共感とも同情ともわからない、でも本性に訴えかけられる激しい感情を覚えた。

社長のサタケは、借金でブラックリストに載って首の回らなくなった多重債務者に不当な金利で金を貸して、なおかつ自分の会社の社員にしてイジメて、あまつさえ自分を受取人にして社員に保険金掛けて殺している。

舞台は社長の経営するスナック。スナックのママもホステスも、社長の言いなりで体を許し心にまで土足で踏みにじられる。そして社員もスナックの職員も皆が保険金殺人を黙認している。物語はそんな社長が殺されるまでをリアルタイムで描く。

劇中、場違いなポップなメロディーで歌われるミュージカルアニーのパロディソング『明日があるさ』。社員と結託している保険屋の男は、明日なんかに希望を持てない地を這う者達の前で空々しく歌う。

自分らが搾取している相手は人ではないみたいに扱われる姿には怒りよりも哀しみが浮かぶ。まるで、僕自身も諦めさせられてるかのようだから哀しい。

物語の途中で唐突に事件の真相がニュースとして伝えられる。そして終盤、ずっと黙ってスナックの雑務をこなすバイトの男の激情でクライマックスまで一気に畳み掛ける展開は、ニュースで結末を知っているのに身震いしてしまう。

救いは無い。でもそれでも良いと思える。見れて良かった。
12匹の由緒ある猫たち

12匹の由緒ある猫たち

猫の会

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/04/24 (火) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

猫会議
•猫の生活を覗き見ると、人間との驚くほどの類似性!?一年間で最も猫社会に貢献した猫を決めるべく集まったはずが、いつの間にか社会情勢と生命の神秘にまで昇華する壮大さ。劇作家の相馬さんの作品は「Re:カクカクシカジカの話」に続いて2度目の観劇。身近な物語の中に、普段見えない(見ないようにしている)現実があるな、その現実への視点が暖かい。そんな作風は猫の会のゆるくて優しい演劇のコンセプトにもあっていたなと思いました。

ネタバレBOX

様々な猫が「我こそが最も猫界に貢献した猫だ」と立候補する中で、ジャーナリスト猫は「福島の警戒区域から仲間を先導して東京まで逃げ延びてきた無名の猫」を推薦する。推されてるのが野良猫であることへの抵抗感で、誰も賛同しない。その状況から、互いに意見交換を交わす中で次々と無名の野良猫に票が集まる感動は、「12人の怒れる男」の感動に似てるように思う。

路上生活者と野良猫を重ねてみると、その偏見と差別がわかる。自堕落で怠け者、努力が足りない、常識がない、騒音の元、悪臭、近づくと危害を加えられそう。僕の毎朝の通勤時の当たり前の風景は、年配の路上生活のベテラン風の方が空き缶をいっぱい集めて自転車で運んでるのとすれ違うこと。何年か前に、ボランティア団体の方と一緒に地域の路上生活者の安否確認「夜回りパトロール」に参加した事があるが、路上生活者の方は皆危害を加えられないように、また周囲になるだけ迷惑をかけないように隠れるように生活している。自分と同じ位の歳の若い路上生活者を街中で見かけるといたたまれない気持ちになる。なりたくてなっているのか、どうしようもないのか。

そして、その無名の野良猫を選出するか否かの議論を通じて学ぶそれでも生きていくこと。地球に生命が誕生して、人間も猫も何万年もかけて進化して生きてきた「生きてることの素晴らしさ」。本作中の猫が市民の代表ならば、劇中に出てくる人間は何を象徴するのだろう。世間か、空気(を読む)か、国家か、社会か。そこから逃れて、自立して生きていく猫達を心強く思う反面、その背中はあまりにもか弱い。飼い猫から追い出された野良猫は保健所に捕まれば駆除されてしまう。優しくて温かい物語のソコココに、1歩足を踏み外すと簡単に底の抜ける現実を見た。
Still on a roll

Still on a roll

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/07/11 (木) ~ 2013/07/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

幸せ過ぎる劇空間
とにかくすごく良かった。生で観るのは2回目だけど(「サロメvsヨカナーン」を
Ustream放送してくれたので、3回も見てしまった。生で見れなかったのが残念すぎるっっ)、目の前で繰り広げられる風景が全身全力のパフォーマンスなのに妙すぎて、内容が全然頭に入って来ない。でも、観劇後も、ずっと残り続ける余韻と、頭から離れないメロディーで、あぁ僕は完全にこの公演にやられてるなと多幸感に包まれます。

Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

すっげー、芸術的っっ
きちんと調べて、まとめ、作り込まれた芸術的な脚本。登場人物になりきって観客を舞台にのめり込ませる確かな役者陣。同時多発的に風景が演じられそれが一つの画として魅せる、緻密で壮大な世界を浮かびあがらせる演出。圧倒された。自分の感性に響く、凄まじい公演だった。刺激的。美しい。でもわかりやすい。見れて良かった。良い芝居を見るとシビレル。

ネタバレBOX

チェルノブイリ原発事故現場から30キロほど離れた村の事故前から2005年までの風景。一人の日本人カメラマンは、その暗くて重い灰色な村で明るく過ごす村人達の風景を切り取り、話を聞いていく。年を経て村を度々訪れる内に他人事とは思えなくなってのめり込んでいく。村人達はある者は死に、ある者は去り、ある者は残り続ける。

驚くことに物語の終盤まで、放射能やチェルノブイリという言葉は出てこない。今でこそ当たり前に知ってるセシウムは、初演時はほとんど浸透していなかった。でも非言語的に、または言葉の端から伝わってくるただならぬ空気。これを5年前の初演時に作ったのがすごいし、今やるのもすごい。

「3・11」を知った我々の目の前に繰り広げられるのは、明日の我が身かもしれない登場人物たちだ。同じ状況におかれたその時、私達はあの楽観的に最後まで自分達の故郷で生きようとし続けた村人のように笑えるのだろうか。ノンキにこの芝居を見ることは今の自分にはとてもできない。

チェルノブイリ事故当時ですら、風に乗ってセシウムは日本にまで運ばれてきている。いわんや、「3・11」以降、日本は現在進行形の非常時だ。でも、テレビで「人体にただちに影響はありません」と繰り返され安心してしまう周囲の人たち。あんなに毎日四六時中流されていた福島の原発の現状は、もうテレビではほとんど報道されないのに。東京で被爆することを恐怖する自分は、考えすぎだと笑われる。でも、怖いのだ。だから、作品に登場する人達の、無理矢理にでも明るく振舞う様子を見て、その生々しさに、どうかみんな逃げて、生き延びてくれと、切に願ってしまう。そんな事を思わせるほどリアルだった。

「朽ちていった命」という本で、被爆するとどんなに苦しいか読んだ。作品中にも、終盤、事故当時に苦しみながら亡くなった消防士が描かれるが、苦しみを想像すると息苦しい。願わくば「3・11」前にこの作品を見たかった。今、見ると、衝撃が大きすぎる。

カラーパンフレットを買った。どうしても、自分は「原発」と「自分の現実」と重ねてしか作品を見ることは出来なかったが、世界を限定せずに、感性で捉える事で広がる演劇を信じる作家の魅力から、芸術の力を感じた。活動再開したDULL-COLORED POPからは今後も目が離せない。
『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/03/23 (土) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

「熱狂」観劇
手に汗握る、ただただ興奮の2時間!!もう本当に目の前で演技が見れて、まばたきするのも勿体無いくらい、まさしく熱狂して観劇しました。歴史は詳しくないのですが、十二分にワクワクして心鷲掴みにされる公演でした。ナチスの持つドラマティックで緊張感がある史実を並べて見せることで、圧倒的な強度のある物語に仕上がっていました。それを演じきる役者さん達も本当にうまい。関連資料が配られたのも嬉しい。何より、演説。不謹慎を承知で、あの演説ならば騙される。だって、かっこよかったもの。これは、観れて良かった。

演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地

シアタートラム(東京都)

2013/01/24 (木) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

この世代感
6人の俳優でどえらい世界を創ってしまったんじゃないか。自分が受けた衝撃があまりに大きくて観劇後の帰り道にボーっとしてしまった。でも頭からこの公演についての情報がひとかけらもこぼれないようにと必死で思い返して味わいました。ヒリヒリして息苦しい空間が刺激的で、哲学的に感情的に悶え悩む登場人物達に胸をうたれ、ラストまで興奮が持続し続けました。繰り広げられる普遍的な問いのレパートリーは幅広く、それに対する答えの片鱗は交錯して、「現代のわれわれの世代とは」について突き詰めて考えられてるなと感じました。でもその言葉1つ1つが新鮮さを引き立たせる演出、劇空間が美しくて、楽しくて、洗練されてるなぁと思いました。

ネタバレBOX

未消化で全然理解できてないけれど、とにかく強い衝撃を受けました。本当にこの世の中は発展しているのか。登場人物は皆、自己肯定感が歪んでいる。ありのままの自分を認めてもらえる体験が欠如しているようにみえます。それは、社会と個人が断絶している、国家とか政治システムにはもう希望や失望もしない、関心すらないという状態なのかと思います。実際、劇中には個人と個人の葛藤しかないように見えました。そして、その感覚はとてもリアルだなと思いました。自分で無くてもいいという交換可能性すら想起しました。

個人ごとの過去・現在・未来。もし人間(の記憶)がDisk(記録媒体)なんだとすると、過去を断絶して、未来に希望を持てないこの世代には今しかないんだと思いました。人生の1回性、楽しいことだけ繰り返す。今ある現実を引き伸ばして、自分の内側にこもって、未来のことは考えないようにすること(海外への放浪を続けることや、家に閉じこもって他者との関係を排すること)。劇中に「全てのことが他人事に感じる」男が自分の子供が生まれた事だけは自分の事に感じられること。叫びだしたい衝動。自分は何者にもなれないという全能感の喪失。一生懸命人とつながろうとするも人間関係に依存する妹と、関係を遮断して内にこもって死んだ女に依存する兄。その兄妹、両方の見せる孤独。肉体はオーストラリアでも、ニュージーランドでも、もしかしたら月にも行けるかもしれないのに、気持ちはどこへも行けないこと。
東京アレルギー

東京アレルギー

劇団野の上

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/11/23 (金) ~ 2012/11/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

すごく楽しい
青森弁が心地よい。わからなそうでわかるのが楽しいし、耳なじみの無い言葉が新鮮で楽しい。でもその武器を使って繰り広げられる物語がとても楽しい。全編に笑いがふんだんに盛り込まれて、美術や演出も豪快で、今回は開演前の試みから楽しんでワクワクしました。もう視覚的にウワアアアって圧倒されるシーンも何度もあるし、上演時間の1時間50分もあっという間。終盤の死生観や人生観もスッと胸に入っていく、良質で上質なエンタメ作品だなぁと思いました。劇団員の役者さん達の個性的なキャラクターも相変わらず楽しいし、ナベゲンの三上さんは本当に上手くて魅力的だし、KUNIOの杉原さんもイキイキされてて、良いキャスト陣だと思いました。

ソウル市民五部作連続上演

ソウル市民五部作連続上演

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

ソウル市民,、初日
教科書には決して載らない、市井の人達の営みをのぞきみる不思議な感触。歴史を動かすのは教科書に載る様な知名度の高い有名人ではなく、圧倒的多数の市民なのは自明の理で。当然史実があって作品が生まれる訳だけど。作品はあまりにも淡々と日常で、10代の頃学校で習った「日本は当時こんなひどい事をした」と比較するとあまりにも違う。でも違うからこそ、「悪意なき市民たちの罪」という視点で見るとゾッとする。人間は弱い、でも歴史に学び市井の力で同じ過ちを繰り返さないよう努力するんだ。アフタートークも刺激的。芸術の持つ力強さを実感っっ。解決しないことも含め、複線なのか、複線じゃないのか、その後の物語が気になるエピソード満載で、広がり続ける各人物の魅力もたまらないなぁ。明日も続けて行くぞ~。

「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/12/27 (木) ~ 2012/12/31 (月)公演終了

満足度★★★★★

演劇ラブ
年の瀬にものすごいものが見れた!!まだ間に合う、千秋楽の見バラシ公演(これ、無料で見れるの?!)見れる方はうらやましいなぁ!!「マボロシ兄妹」は観念論的不条理劇で、もう何が現実で何が幻覚かわからなくなる、まさに脳みそぐんにゃり系物語。「ふたりマクベス」は直球過ぎる正統派古典劇で、でも新鮮な驚きとマクベス愛に溢れる物語。今の流行とか関係なく、やりたいことをやりきるという公演コンセプトが潔く、実際成功していると思いました。どちらも2人芝居なのにものすごい濃密で、刺激的で、洗練されていて、とても1ヶ月足らずで製作したとは思えない完成度だった。両方出てるあがささんの佇まいは凄まじい、ラブコール受けて出演するだけあるなぁ、妖艶な色気で稀有な存在感。こんな衝撃的で意欲的な作品を作演しながら、出演してもきっちり役者もこなせる男性2人には脱帽する。そしてそして、豪華な豪華なパンフレット。もう詰め込まれまくったパンフレット読むと、共感も感動も多くて、この公演の魅力がより深まり、あぁ演劇はまだまだ楽しくて驚きに溢れてるなと思いました。

INDEPENDENT:2ndSeasonSelection / JAPAN TOUR

INDEPENDENT:2ndSeasonSelection / JAPAN TOUR

インディペンデントシアタープロデュース

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/08/04 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

演劇の夏フェスっっ
一人芝居のこの力強さ。エネルギー。生きざま。30分×10団体。一日で満喫してきました。熱いっっ!次回は、5年後??毎年見れないのが、悔しい。…大阪まで行ければ良いんだけど。すっかりはまりきってしまいました。

ネタバレBOX

a101人ねぇちゃん
100人の女と同時に付き合う男が、新たに出会った最高の女と付き合うために100人全員を振る話。舞台中央に置かれた、101と書かれためくり。めくる度に数字が段々減っていく。減っていくのは男の事を好きな女の数。男はどんどん、付き合ってる女性を振っていく。ラストの馬鹿馬鹿しくも最高のオチで彼の愛の爆走はまだまだ続く。ドタバタコメディで最高。

bマラソロ
やりたいから始まる恋は意外と清純なんじゃないか。幼なじみの女子中学生への突っ走った一方通行な思いが暴走する童貞哀歌。観客が見ていてひくぐらい、相手とうまく距離がとれなくて、向き合って触れて解ろうとすることを飛び越えてしまう性春。わかるわかる。過激な演出に応える男優さんの演技も見事にはまってた、ラップも良かった。

c1041≒3088
男性の家を渡り歩きながら女は食べる食べる食べる話。食べる女性は何だかエロイ。普段まじまじと見る事のない、食べる行為とは、本能的な欲求で、そんな人間の営みを見続けるのは、何か不思議な体験だ。また、出演の女優さんがとても美味しそうに、食べるんだ。劇中、「私美味しそうに食べてる、それとも不味そうに食べてる?」の質問に『食べなければならないように食べる』って答えが出されて、あ~良い言葉だなと思いました。

dスクラップベイビィ!
ストリートチルドレンの二人が助け合い生きていく話。正反対の性格の2人が、助け合いながらお互いをわかりあっていくコテコテにショーアップされたファンタジー。入れ替わり激しく二つのキャラクターが演じ分けられ、少年ジャンプのマンガみたいな純粋にワクワクドキドキできるポップで、でも悲しい寓話でした。

eはやぶさ
今話題の(同じテーマで映画にもなるんですよね)人工衛星はやぶさを擬人化して一人芝居で体現する。壮大な宇宙の中での人工衛星の孤独と希望。宇宙規模のこんなにでかい世界を一人でやる、その挑戦が凄まじくパワフル。

fいまさらキスシーン
猛進して盲進する女子高生の世界は一人、世界は私を中心に回ってるという自意識。大好きな柿食う客の世界観で満足。あっという間の高校三年間を満喫せねばと東大と駅伝と恋で全て成果をあげようとするが…何故かラストには頭から血を流し、口の中は胃酸まみれで、片手に千円札を握りながら、オトコマエダ先輩にキスをしてもらいにひた走る。何でそ~なるんだぁぁ!!とにかく怒濤のセリフ、そして想像もつかない位の圧倒的妄想。背筋ピーン、として女子高生は走り続けるんだなぁ。

g頼むから静かに聞いて
夫を刺してしまった女の裁判に立つ、幼馴染のオカマと女の兄。『あなたとわたしは違う』幼なじみのオカマが性別を越えても女と一緒でありたい気持ちと、実の兄貴が一緒でないからわかりたいという気持ちが告げられ、3人の思いが浮かび上がる。男女オカマ3役の演じ分けも秀逸。


h赤猫ロック
放火が趣味の父と、父が趣味の母と、優秀な兄の4人家族で笑い合う風景が理想だと語る女は、ウェディングドレスで走り続ける。75調で歌うようにセリフをしゃべりながらずっと走り続ける女優さんの演技に圧倒される。家族という病に取りつかれて自分が人形となって燃え尽きないよう、まるで逃げるかのように走り続ける。『偉い人も火葬場では平等に焼かれるんだ』ってセリフが印象的でした。

i或るめぐらの話
青森弁は想像以上にわからない。わからないけど、面白い。発される言葉の数々が、メチルアルコールでめくらになった一人の男の生き方を、臭い立つように現す。空気感が楽しくて、今度の劇団野の上の公演も楽しみっっ。

j暗くなるまで待てない!
盲目の女が見る世界はいつも暗闇か。見えないものを観客として見てるつもりが、ラストには盲目の女にしか見えてない世界を見せつけられる。こうきたか~、と、やられた。幼少期に自分の母親は宗教団体の教組で、自分が失明しても治してもらえず自分を未来を予言する奇跡の子として育てる。そうして大きくなった女は盲目の占い師として働くも、教団を再建するを口実に金を奪おうとする男、隣の家に住むDVを受けてて親を殺してしまった中学生、スケベな大家などに囲まれ惨劇に巻き込まれる。そんな中起こる、奇跡。
アンドロイド版『三人姉妹』

アンドロイド版『三人姉妹』

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2012/10/20 (土) ~ 2012/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

さびしさ
大切なものが過ぎ去ってしまった世界で私たちはどうやって生きていくのだろう。感情がないはずのロボットやアンドロイドに、いつしか観客が感情を見出だしてしまった時に、不完全にしか生きられない人間の圧倒的な寂しさが浮かび上がる。一度見るだけじゃもの足りない。何度も見て味わいたい傑作。でも、こうしてロボットが高性能になっていけばいくほど、役者さんの立場も危ぶまれたりして…。公開中の映画「演劇1・2」と合わせて見るとより味わい深いです。

テロルとそのほか

テロルとそのほか

工場の出口

アトリエ春風舎(東京都)

2012/12/01 (土) ~ 2012/12/07 (金)公演終了

満足度★★★★★

いまを描く
2012年、いま現在を描き、日本社会への閉塞感を鋭く切り取る、闘ってる演劇だった。思考を共有化しようとする創作の動機が非常に刺激的だし、上演された内容もとても濃くてあっという間の二時間だった。なんというか、我々はもっと調べて学んで疑って、怒らないといけないんだなという内容だった。知れば知るほど、諦めさせられる、どうせ変わらないと思わされる現実だからこそだ。俳優に提出されたテーマに即し、2つずつ作品を書き下ろし、なおかつ1つにまとめる。この4つの全く異なるテーマが並列的に語られるが、個々のテーマ(作品)が面白いから全く飽きずに見れる。硬質で膨大な独白をきちんと伝える俳優も魅力的でした。1つの物語にまとめる事で対話が生まれ、問題意識への反証や発展が起こる。「わかりたいけどわかりあえないこと」、作品内でも葛藤しているし、この作品を創ってる制作者たちも葛藤されたのだと思う。そうして観ると一層味わい深い。声に出して読みたいような言葉の重さの1つ1つを観劇後に反芻しています。

夢の星

夢の星

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2012/10/17 (水) ~ 2012/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

浩太に共感しつつ
前作「果てまでの旅」に引き続き、また、やられた!!きちんと計算されてるのにだんだん物語がフワフワしていく感じがたまらない!!玉田企画の芝居、僕のど真ん中だなぁ。とてつもなく面白い。ぎゅうぎゅうに密度の濃い物語のはずが、いつの間にかゆる~くゆる~く笑わされる。久しぶりにこんなに笑いました。中盤以降は、頑張れ、玉田さんと思わず応援したくなっちゃいます。この内容を自然に演じ抜く役者さん達の安定感がすごい。とても楽しかったです。

ソウル市民五部作連続上演

ソウル市民五部作連続上演

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

「ソウル市民1919」
時間の感覚を忘れるほど見入る、現代口語演劇の魅力っっ。3・1独立運動の喧騒を余所に内輪で笑い合う、この間抜けさ。こうまで無関心でいられるものかと、呆れるほどずれている登場人物達の世界観。あまりにも平和ボケなブルジョアジー的な観点で起こる笑いに腹を抱えて笑う。そして見えないから、余計想像してしまう舞台外の風景、その歴史的瞬間、それを思うとやはりゾッとする。

5作品は独立してる、は本当にその通りで。5部作どれから観ても大丈夫そう。むしろ昨日観た「ソウル市民」と「1919」で同じ役者さんが違う役をやっていてちょっと混乱してしまった。でも作品を重ねる毎に「ソウル市民」の世界が広がっていく。残り3作品、予定は未定だが是非見たい。

edit

edit

shelf

atelier SENTIO(東京都)

2012/05/24 (木) ~ 2012/05/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

緊張の末
見ているだけで、息を飲み、汗ばみ、背筋を正し、凝視して、集中を強いられるような空間。その居心地の悪さは次第に楽しくなり、達成感へとつながっていく。役者達の動きは在ることで成立するような圧倒的な出で立ち。引用された言葉そのものの力強さは、役者という肉体を通して強度を増す。動きも言葉も最小限に削ぎ落として、最大限の効果を求めるように練りこまれている。そして「編さん」されることで見える、引用元の違う言葉同士のつながりが世界を深化させる。そうか、これも演劇か。

幕末スープレックス(東京公演)

幕末スープレックス(東京公演)

劇団子供鉅人

ザムザ阿佐谷(東京都)

2012/10/04 (木) ~ 2012/10/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

すごいパワフルっっ
プレビュー公演を観劇しました、安価で拝見させていただき感謝です。バカバカしいものが全部ある!!始まってしまえば上演時間2時間20分はあっという間。最前列に座ったのですが、役者さん達との距離は本当に近くて圧倒される。役者総出でぎゅうぎゅう詰めの舞台上で、歌い踊られる劇中歌はどれもノリノリで楽しい。勢いとテンションでやりたい事をぎゅうぎゅうに詰め込んで、でもしっかり観客を楽しませるエンタメ作品だと思いました。頭空っぽで楽しめるのに、物語のパワフルさは衝撃的。しんみりしそうになると必ず馬鹿馬鹿しい事が起こり、登場人物の悲哀も苦しさも壮絶なのに、それを笑いの入れ子構造でポジティブなエネルギーに転化してしまう。このエネルギー量はハンパないっっ!!

ナカフラ演劇展

ナカフラ演劇展

中野成樹+フランケンズ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/06/07 (木) ~ 2012/06/20 (水)公演終了

満足度★★★★★

たんのう
無事、「A」~「C」まで全部見れましたっっ。原作をまるで知らないのに、肩に全く力を入れずに、頭ユルユルでも十分楽しめる。翻訳劇って固くて、古くて、取っつきづらい印象だったのに、中身はこんなに共感して笑って楽しめるものなんだなっていう発見がたくさんありました。それは、誤意訳して、中身だけ抜き取って圧倒的にわかりやすくして上演するナカフラの力なのだけど。関連企画も、無料でこんなに充実して良いのって位、ゲストあり、映像あり、資料までいただいて、がっつり楽しみました。「A」と「B」では共通の原作を基に作った作品なのに、全然別の物語になっている演目がありそういう演出も楽しかったです。

ネタバレBOX

16日の関連企画の際に、翻訳劇の誤意訳はあと2年くらいで、次は……。って言ってたけど本当かなぁ。それはそれで、楽しみなんだけれど。
Waiting for Something

Waiting for Something

アジア舞台芸術祭制作オフィス

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2012/12/01 (土) ~ 2012/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

伝わらなさ
言葉の壁も、ひょうひょうとすり抜けてみせるナカフラ演劇、素晴らしい。お互いに伝わらない感じがとってもコミカル。肩肘張らずに楽しめて、観劇後も味わい深い。これもゴド待ちなのか、と思う位異色なんだけれど、その誤意訳の魅力が十分に発揮されて、何度も何度も見たくなるような作品。これで無料なんて、ありがたすぎる。

てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて

てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて

マームとジプシー

十六夜吉田町スタジオ(神奈川県)

2013/04/16 (火) ~ 2013/05/01 (水)公演終了

満足度★★★★★

Cプログラム
マームとジプシーの観劇は2作品目ですが、改めてリフレインの魅力に引き込まれました。自分にとってグッとくるシーンが、少しずつ変化しながら何度も何度も繰り返されるのは、すごく贅沢な気持ちになります。いつまでも見ていたくなりますし、すごく物語に共感しました。

ネタバレBOX

点とはなんでしょう?と劇中に問いかけられるシーンもありましたが、記憶であり、場所であり、時間であり、色々な解釈が出来るなと思いました。そうした点と点が結んで出来る空間は、個々人にとって唯一無二な世界でありながら、並列世界として無限に広がっていくなと思うとワクワクしました。「9・11」や「3・11」について語られる時に、役者さん達が片足をあげて非常に不安定なポーズで発話する姿は、私達の日常もある日突然足を踏み外す危うさを秘めていることを体現しているのかなと思いました。上演中にリアルタイムに、事前に用意した映像と、リアルタイムの会場の映像を切り替えながら進行する演出も、観客の私達の視点を様々な大きさ、角度に変えて見えて刺激的です。前回見たのが、「Kと真夜中のほとりで」で非常に役者の肉体を酷使して表現する公演だったので、今作は比較的静かな公演だったなと思いましたが、やはりリフレインの魅力は十分楽しめました。
終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。

終わりなき将来を思い、18歳の剛は空に向かってむせび泣いた。オンオンと。

青年団若手自主企画 だて企画(限定30席!)

アトリエ春風舎(東京都)

2011/01/14 (金) ~ 2011/01/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

青春、再来っっ
いやー度肝抜かれる。観劇じゃないね、緊張だね、体験だね、出演だね、そして青春だね。僕は高校は男子校だったんで、満喫したなぁ。覚悟さえすれば、すごい楽しい。是非、前情報一切なしで楽しんで欲しいです。

ネタバレBOX

受付済ますと、目の前には本物の教室っっ。観客は全員2年3組の生徒なのだ。いやー、開演まで緊張した。役者さんもスタッフも2年3組の生徒だから、普通に話しかけてくるもんね。でも緊張も開演までで、始まったらあっという間だったけど。座ったのは、折原の前の席。すぐ後ろで伊藤とガチャガチャやってるから見てて飽きない。てか、舞台の上で舞台を見るってすごい新鮮。
『いやーサキちゃんのことも、エビネのこともびっくりしたけど、卒業したらみ
んなバラバラなのかと思うとしんみりする。』とか、すっかり入り込んで物語終
盤には泣きそうになったよ。卒業したくねーよー、とか言っちゃって。楽しかったです。

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