千年マチコ~書房編~
アリー・エンターテイメント
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了
満足度★★★★
薄味の軽やかな物語に濃い出演陣
近頃、映画ばかりだったので、久しぶりの小劇場観劇だった。
物語的には大分薄味で、短編作品を長編に仕立てた感じだったが、これでもかとちりばめられたネタの数々に、濃い出演陣のパワーでセンス良くまとめられていた。主演の松村マチコさんは秀逸。これほど芸達者な女優さんも稀だろう。何処か知的でエレガントな雰囲気に、破壊力のある飛び道具的なボケ。とにかく高級玩具の缶詰のような美女だった。大下源一郎さんは、透明感漂うナチュラルな存在感と、しっかりと想いを感じさせてくれる言葉に思わず目がいってしまう。私がファンである佐藤伸之氏は、出演陣の中で異色な存在感を放っていた。こうしたコメディもこなす演技力の幅の広さに驚いた。これまでみたどの役とも異なり、氏の技術力の高さと、中年男性らしからぬエレガントな愛嬌に思わずにやけた。他にも芸達者な出演者が織りなすひと時はそれなりに満足した。欲を言えば、あと500円は安いと良いのに思った。
幻日の欠片
(有)オフィス パラノイア
「劇」小劇場(東京都)
2014/05/02 (金) ~ 2014/05/06 (火)公演終了
満足度★★★★★
ずしんと来た。
特攻隊を描いた舞台は数々あれど、当時を生きた人々をこれほど活写した作品は見た事が無い。そう思えるほど、登場人物はみんな魅力的で、その時代を生きていた。どれほど取材を重ね、リハーサルを重ねたのか。お涙頂戴では無く、右翼でも左翼でもなく、軽やかに、しかし重厚に描き出される世界観に浸り、決して押しつけではない作品テーマがずしんと胸に響いた。
幕末異聞 武士の影(もののふのかげ)
(有)オフィス パラノイア
「劇」小劇場(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
挑戦的な時代劇
凄い・・・時代劇を小劇場で行う事に正面から挑戦している。
髪型、衣裳、所作、演技、もちろん物語も、小劇場とはとても思えない
クオリティーの高さに驚きすら憶える。
伏線が複雑に絡み合う本編は一時間四十分にまとめあげられていて、
テンポ良く、分かり易い。もちろんそれでいて見応え十分だ。
佐藤伸之、秋場千鶴子、伊藤貴子、上村麻紀、吉田匡孝、木村望子らの
演技は的確で、特に佐藤、秋場、伊藤は時代を良く表現している。
新橋演舞場でやるような内容を下北沢で体験出来る事に、心底感動。
虹色列車
(有)オフィス パラノイア
劇場MOMO(東京都)
2012/11/13 (火) ~ 2012/11/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
懐かしい雰囲気
パラノイアの、現代ものの、ラブストーリー・・・
想像出来なかったが、実にセンス良く、上品にまとめられた大人のラブストーリーだった。
葛藤や、不安、苦しみなど、心の中に沸き上がる負の思いを優しさで包み込み、笑いと涙で洗い流す。
1時間30分程度の中編作品だが、脚本、演出はとても巧みに練り上げられた繊細で深みのある秀作だと感じた。
こういった作品も是非また見てみたいが、やはり骨太な時代物も切望している。
罅割れた盾 〜さらばとだにも言ひて別れむ〜
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2012/04/28 (土) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
骨太でありながら・・・
本作を拝見するのは二度目だ。
骨太でありながら、どうして此れほど繊細なのか?
シンプルでいて、実は難しい。
「彷徨う翼」はそんな作品だ。
数ある特攻隊の舞台作品の中で、
これほど難しい作品はないのではないか?
内容はシンプルで、とても分かり易い。
なにが難しいのか?
特攻隊賛美でもなく、戦争反対を声高に叫ぶのではなく、
特攻隊員達を我々と同じ日本人として、
その生き様を淡々と描いて行く。
その姿を通して感じる、
かつての日本人の美しい「心」は清々しく、熱く、
荘厳であった。
サブタイトルの本居宣長の和歌、
「敷島の大和心を人問わば、朝日に匂う山桜花」
が全てを語っている。
なんの主義にもとらわれる事無く、
此の時代を扱う事の難しさ。
此の脚本の素晴らしさに、
何人の観客が気付く事が出来るのだろうか?
此の作品の初演の時に、初めて佐藤氏の作品に触れた。
その時に受けた衝撃を思い出しつつも、
前回よりも作品の内容が、より胸に刺さった。
やはり昨年の東日本大震災の事が
大きく影響しているのは確かだ。
しかし、それを差引いても、脚本、演出、出演者が描き出す
此の作品の世界は僕を圧倒しくれている。
代表の佐藤氏は、役者としても相変わらずの存在感と、
観客を一気にその時代へ連れて行ってくれる
濃厚な世界観をまとう。演技力は群を抜く。
それにしても彼は一体、幾つなんだろう?
客演の土田卓さんの熱演も素晴らしい。
目力の強さ、言葉の強さは、隊員役の中でも群を抜く。
佐藤氏が濃厚な「静」の空気をまとうなら、
土田卓さんは熱い「動」の空気を発散する。
秋場千鶴子さんの醸し出す空気は一服の清涼剤のようで、
いつも思うが、小津映画の原節子ようだった。
小劇場において、この人の存在は希有だ。
また、女学生役の女優陣のほのぼのとした空気や、
女教師役の北原マヤさんのコミカルで確かな演技もまた、
重くなりがちな此の作品の世界を、
より鮮やかに、軽やかに彩っている。
連作となる「罅割れた盾」が楽しみである。
ぬばたまの淵
演劇集団アトリエッジ
俳優座劇場(東京都)
2011/10/22 (土) ~ 2011/10/30 (日)公演終了
満足度★★★★
GOOD JOB
近頃はまっている演出家の外部演出作品。
正直、仕様音楽はイマイチ。
衣裳もコスプレな感じのものが世界観を壊している様な・・・
しかし、それでもなお感動を呼び起こさせるメインどころの熱い演技。
存分に泣きました。殺陣とダンスも見所でした。
シンプルだが効果的な大道具もセンスが光ります。
そして、何と言っても演出のキレはピカイチ。
冴え渡っていますね。
六千円、決して高く有りませんでした。満足!
天守物語
少年社中
吉祥寺シアター(東京都)
2011/06/03 (金) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★
良く作り上げた世界観なのだが・・・
ここまで作り上げる事が出来るならば、
もう一つ掘り下げてほしかった。
とても分かりやすく、エンターテイメントして成功していると思うが、
天守物語は玉三郎など多くの名優、名演出が挑んでいる。
其れ故に余りにも秀作が多い。
それを踏まえて、敢えて挑戦したのであれば、
もっと大胆な角度からのアプローチが欲しいし、
もう一ひねりした上質なテイストが欲しい。
劇団としての実力を感じつつも、原作の力に乗っかり、
其処から飛翔出来なかった感が否めない。
衣紋坂から
なぎプロ・草薙良一
博品館劇場(東京都)
2011/06/09 (木) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★
浅田次郎無念・・・
原作は良い本なのだが・・・
まず、主人公の天切り松が、本当に闇語り(180㎝四方しか聞こえない盗人の会話術)で、客席では全く台詞が聞き取れませんでした。
大正の雰囲気も取ってつけた様な感じで、出演者の台詞回しも
身のこなしもたどたどしく、見ていて不安になるほど。
それぞれのエピソードも、登場人物も投げっぱなしで掘り下げる訳でもなく、一体何を伝えたいのか?浮かび上がってくる物は薄っぺらいテーマのみ。脚本家も演出家も素人だったんですかね?何しろ大人の学芸会の様でした。浅田次郎さんもさぞ無念だと思います。
人斬りの恋
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2011/04/26 (火) ~ 2011/05/05 (木)公演終了
満足度★★★★★
思わず唸ってしまった。
小劇場では、類を見ない程の本格時代劇でした。
脚本演出においては相当うならせられました。
しかし、惜しむらくはキャストの実力のばらつき。
主人公「黒田又右衛門」を演じる佐藤伸之の時に軽妙で
人情味あふれる一面と、人斬りの凄みある一面の演じ分けは見事!
その存在感はダントツでした。
又右衛門が愛する「朋江」役の花風みらいは、幼さと品格を漂わせ、
その美しい声に魅了された。
「西郷吉之助」の流野精四郎の歌舞伎の様な演技には、
何故か妙なリアリティがあり、西郷の妻「いと」の秋場千鶴子との
やり取りは、ほっとしながらも切なさが漂っていた。
また、秋場千鶴子の持つ雰囲気は、まるで小津安二郎の作品に出てくる
ヒロインの様で、女優陣の中でも異質な程の光を持っていた。
輝きを放っていた。
他にも、平野麻美、木村望子、吉田匡孝、かなやたけゆき等の
俳優陣が脇を固めており、それぞれが個性的な輝きとともに、
ストーリーを支えていた。
だが、その他の出演者には甘さが目立つ一面もあり、
作品としてのレベルが高いだけに、力不足の出演陣の努力を
もっと感じたかった。
だが、総合的にはどのマイナス要素も払拭する程の魅力ある
舞台であった事に間違いは無いと思います。
廃墟
時間堂
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2011/03/30 (水) ~ 2011/04/10 (日)公演終了
満足度★★★★
勝負してるなぁ・・・
三好十郎なんて、また渋い選択です。
がっつり腹を据えて勝負しているのが、ひしひしと伝わりました。
渡し合う台詞の緊張感。空気。上質でした。
最近は、こうしたストレートな舞台が
少なくなって寂しい思いをしていたところなので、
良い時間を過ごさせて頂きました。
将門
劇団パラノイア・エイジ
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2011/02/16 (水) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
満足度★★★★
贅沢な時間
小劇場で、此れでもかという程のエンターテイメント感。
主役の二人は何しろ美しく、敵キャラを演じる劇団代表は
圧倒的な演技と殺陣で作品を牽引していた。
変化に富んで濃い内容の物語。オーソドックスながら際立つ演出。
セットも洗練されている。照明も良い。音楽も好みの音楽満載。
ただ、台詞の噛みが多くて少々現実に戻されるところも。
素晴らしい舞台だけにもったい。
次はもっと大きな舞台で見てみたいと思った。
TIC-TAC 終了いたしました。御観劇くださった方々、出演者、スタッフに心から感謝しています。アリガトウゴザイマシタ。
anarchy film
新宿歌舞伎町特設劇場(東京都)
2010/12/08 (水) ~ 2010/12/19 (日)公演終了
満足度★★
やりたい事は分かるが・・・
あの世界観が好きなのは良くわかる。
まじめに取り組んでいるのもわかる。
でも、内容に巧みさが足りない。
物語の展開を複雑に編んでいるようで、
じつは安易な展開しかなく、
そこから訴えてゆくべきテーマが弱い。
これでは、あの様なスタイルで表現する意味がない。
ただ好きなだけのアングラ作品。
コリッチでかなり高い評価の中、とても心苦しいが、
かなり観劇している事が苦痛でした。
今昔舞踊劇 遊びの杜 其之参
劇団パラノイア・エイジ
靖国神社内 神池前特設ステージ (東京都)
2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
秀逸の世界観
日本の伝統文化、歴史の捉え方、表現の仕方、
全てがエンターテイメント!そして中身が濃い。
解り易いが、味が深い。
此の団体の表現関する幅の広さ、内容の深さ、
クオリティーの高さから作り上げられる世界観は秀逸の一言!
彷徨う翼
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2010/04/28 (水) ~ 2010/05/05 (水)公演終了
満足度★★★★★
遅ればせながら・・・
今年は此の手の物が多く、何本も見ました。
今さらですけど、「彷徨う翼」面白かったです。
今年見た戦争ものの中でピカイチです。
脚本、演出には隙が無く、相当クオリティーが高かった。
永遠の一秒
ニッポン放送
東京グローブ座(東京都)
2010/09/17 (金) ~ 2010/09/26 (日)公演終了
満足度★★
微妙・・・
今年は戦後65年。戦争作品が多い。
此の作品は数回目の再演で、グローブ座という事もあり、
相当の期待を持って観劇したのだが・・・
大分、期待はずれだった。
題材は良い。心に響く台詞も有る。
旗のダンスと舞台セットには感動した。
しかし脚本と演出がとても弱い。
お金をかけているのは分かるが、
市民劇団の舞台を見ている様な感覚になる。
素晴しい演技をされている俳優もいるので、
それなりに涙を誘うシーンもあるが、
ストーリーに巻き込まれていけなかった。
無駄な暗転の多さから緊張感が切れる。
若手の滑舌の悪さなどから、台詞が聞き取り辛くストレスを感じた。
主役の三人が軍人としての訓練が全く足りていない為に
特攻隊員としての説得力に欠ける。
寧ろ、アドリブなのか小ネタに逃げている様な感もある。
若者狙いなのか?
もっとストレートでも良いのではないだろうか。
前回の上演の際は星を5つも付けた方がいるが、
今回と何が違うのか?
チケット代が非常に高額に感じた。
MOTHERマザー〜特攻の母 鳥濱トメ物語〜
株式会社エアースタジオ(Air studio)
天王洲 銀河劇場(東京都)
2010/05/26 (水) ~ 2010/05/30 (日)公演終了