満足度★★★★★
思わず唸ってしまった。
小劇場では、類を見ない程の本格時代劇でした。
脚本演出においては相当うならせられました。
しかし、惜しむらくはキャストの実力のばらつき。
主人公「黒田又右衛門」を演じる佐藤伸之の時に軽妙で
人情味あふれる一面と、人斬りの凄みある一面の演じ分けは見事!
その存在感はダントツでした。
又右衛門が愛する「朋江」役の花風みらいは、幼さと品格を漂わせ、
その美しい声に魅了された。
「西郷吉之助」の流野精四郎の歌舞伎の様な演技には、
何故か妙なリアリティがあり、西郷の妻「いと」の秋場千鶴子との
やり取りは、ほっとしながらも切なさが漂っていた。
また、秋場千鶴子の持つ雰囲気は、まるで小津安二郎の作品に出てくる
ヒロインの様で、女優陣の中でも異質な程の光を持っていた。
輝きを放っていた。
他にも、平野麻美、木村望子、吉田匡孝、かなやたけゆき等の
俳優陣が脇を固めており、それぞれが個性的な輝きとともに、
ストーリーを支えていた。
だが、その他の出演者には甘さが目立つ一面もあり、
作品としてのレベルが高いだけに、力不足の出演陣の努力を
もっと感じたかった。
だが、総合的にはどのマイナス要素も払拭する程の魅力ある
舞台であった事に間違いは無いと思います。