はじめ ゆうの観てきた!クチコミ一覧

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不滅

不滅

鵺的(ぬえてき)

「劇」小劇場(東京都)

2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

あちゃー、こりゃダメだ
最後の場面の、ぶっ飛んだ展開に唖然とするか、失笑を隠さずに
観ることが出来た人は相当凄いと思う。 無茶苦茶過ぎ。

脚本家が、細かいとことか詰めずに頭の中で考えたストーリーを
まんま書いたはいいけど、最後まとめ切れなくなって無理やり
綺麗系で終わらせた感ありありの、なんかマンガかなんかで見たような
展開でガッカリ。

ネタバレBOX

前半からちょこちょこ出てきてたんだけど、台詞も演技もなんか
バランスが取れてないというか、正直大げさすぎ。

それに追いつかず役者が噛んだり、身振りが過ぎてもはや
コメディになってたり、で、また演出が照明落として場面代えて…の
繰り返ししか無かったんで全体的にすっごく安っぽくなってた。

あと、人殺して世間を震撼させてヒーローに…っていう展開は
マンガか何かでよく見るからいいとして、政治家まで仲間に
引き込んでます…って飛躍し過ぎでしょ。 人殺し少女の
マネージャー(?)ってただの一介の興信所社員に過ぎないのに。。。
裏に闇の組織があるにしても説得力が無さ過ぎ。

思ったけど、脚本家が自分の、「人殺した奴はこうだ」
「興信所の人間ならこうじゃないか?」、「人殺しにあこがれる少女は
いっつもこういうことばっか考えてるに違いない」なんかの先走った
イメージにとらわれ過ぎててギャグになってる。

イキウメの前川が以前「話に説得力を持たせることに神経を使う。
それが無ければ物語は破綻し、一気に陳腐化する」というコメントを
してたけどホントにそれを実感した。 この作品、子供っぽすぎる。
庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★

擬似解体ドキュメンタリー
演劇、というよりは「見世物」。
気の利いた台詞や、アッと驚く展開の妙に期待してはいけません。
というか、作・演出家もこの作品が「一発ネタ」的なモノだと完全に
分かった上で、「ショー」として客に見せていることは明白です。

ジャンル違いますが駕籠真太郎のグロバカ漫画とか楽しめる人には
ものすごく向いていると思います。

ネタバレBOX

とりあえず演出が良かった。 特に、右端に設置されてたテレビ。
アレで逐一解体の様子を映し出したり、脳波(?)の乱れをリンクさせたり、
果ては患者の何だかよく分かんない変顔コーラス(笑)を見せてくれたり。

アレがなかったら、舞台上の様子が全然分からないんで評価も
落ちてたかなぁ。 ライトの使い方も洒脱でサーカスかなんかの
ショーみたいな感じを与える事に成功してました。

音楽も地味に良かった。 ジャジーで華麗な曲に乗せて内臓摘出したり、
全体的にブラックユーモア満載。 

最後の方で、ショーの終わりに間に合わなくなりそうな手術スタッフ陣が
大慌てで、生掴みで心臓抜き出しちゃったシーン。 
実際はかなりヤバ目のとこなのに、どこかコミカルなのは
この作品のチャーミングさだと思う。
木をめぐる抽象

木をめぐる抽象

モナカ興業

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/06/02 (水) ~ 2010/06/08 (火)公演終了

満足度★★★★

人をめぐる抽象
タイトルと内容説明で、うんと損をしているとしか思えない本作。
これだけで内容分かれ、という方が無理だと思う。

ある人が見ているその人の姿と、別の第三者が見ているその人の姿は
全然違う、どれが本当なのか、どれも本当だろう?
皆がかっこ良いと認めていた人が自宅の敷居を跨げば、はやだらしない
格好に早変わりというのはよくあること。 誰もその人の本当の姿はコレだ!
とはいえない。 

だから、「人」というままならないものをめぐる「具象」じゃなくて「抽象」。

ネタバレBOX

ある会社の説明会を運営するイベント会社の社員と、説明会主宰会社の
社員達が会を翌日に控えてから、無事説明会の終了を迎えるまでの
28時間をえがく作品。

自分のことで頭いっぱいで要領悪過ぎる、どこにでもいそうな仕事出来ない感じの内村さん、面倒見がよく気遣いも上手い犬上さん、その二人が
認めている多田さんが運営会社社員。

仕事バリバリ出来る、いかにもやり手なキャリアウーマンの小林さんが
説明会主宰責任者。

劇が進むにつれて、犬上さんがフラストレーションためまくりの、ありがちな
人で、しかも自分の旦那と多田さんの浮気を疑っていたり、

いかにも出来る、皆のあこがれの的だった多田さんは、自分の上司との
不義の愛に溺れた挙句、妊娠中絶の為、会社を休んでいたという事実が
分かったり、

キャリアウーマンな小林さんは、その直情一本っぷりが上司はおろか
部下にまで密かに疎まれ、栄転という名ばかりの左遷で近々飛ばされる
だけでなく、自分の旦那との別れ話はこじれにこじれてる。。。

人に見せている顔と、裏の顔は実は違うんだよ、ということを皮肉たっぷりに
描く秀作。 台詞と構成が上手いですね。
最初の方の伏線の張り方も見事でした。

多田「(明るげに)部長、終りました」
部長「ああっ、ご苦労だったな」

ブラック過ぎでしょ、ここの場面。

内容自体は結構ありきたりだけど、最後まで時間を気にせず観れました。
エビパラビモパラート

エビパラビモパラート

インパラプレパラート

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

音楽と共に死んで、生き続ける奴らの話
「音楽」というものを心底愛し続けた経験がある人はその思いが深いほど
また、音楽でなくても何か、何でもいい、自分がわき目も振らずただ
一直線に突き進んだモノがあるといえる人は、

この劇を見るべきだと思う。 必ず、その場で、その場でなくても
帰り道にふと色々な場面を思い返して涙が出そうになるはずです。

とにかく、何も誇るものの無かった連中が「音楽」に出会って、英雄になって
まっすぐに突き進んでいく。 その熱くて純粋な姿が今思い返せば
思い返すほど眩し過ぎて、冗談抜きで涙が止まらない。

劇団員と年齢が近いせいか、他人事に思えないほどこっちの感情を
揺さぶってくるんですよね。 10~20代が見た方が揺さぶられるかな。

ネタバレBOX

舞台は現代なのか何処なのかよく分からないどこかの島。
そこでは王を頂点に、貴族が牛耳る一種の階級社会で、
前代の王が死んでから政治は混乱し、王女と王子を擁立する
二つの派閥がついには戦争を起こす…。

その激動の中で、戦意高揚に利用されつつも最後に戦争を止めようと
する思いの詰まった「ただいま、おかえり」の詩を響かせ、カナデーラ、
一般にいうところのバンドは散っていく…。

音楽を見つけてそれに純粋に思いをぶつけていく様が、役を演じる役者、
果ては全ての夢を追う人たちとオーバーラップして、劇中胸打たれる
ところが余りにも多過ぎた。 

演出や台詞、演技も変に小難しくなくストレートで気持ちよく、なんか
トンでもないものを見てしまったような気がする。。

今は、「インパラプレパラート」「エビビモpro.」の両劇団にただただ
感謝したい。 Thank You!
家の内臓【作・演出 前田司郎】

家の内臓【作・演出 前田司郎】

アル☆カンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★

本気でやるユルさ
前作「罪」では蓬莱竜太を迎えたアル☆カンパニーが、今度は
五反田団の前田司郎を迎えての新作。

前回の、恐ろしいほど簡素なステージと比べ、今回は畳張りに
所狭しと置かれた荷物や布団と雑多でユルい独特の旅館の
雰囲気がまんまそこに切り張りされてました。

1時間15分のほとんどが、動きなしのほぼ山なし・オチなし・意味なしの
ユルくてありそうな雑談で埋め尽くされて、小ネタとしては面白いのも
あったけど、ちょっと長く感じられたのが正直なところ。

ネタバレBOX

「桶狭間、って何よ?」
「だからー、アレでしょ、桶と狭間のことなんでしょ」
「何だよ、その桶と狭間ってのは」
「だから、こうでしょ、(役者、手で二つの桶状の円を描く)こんな
形してるやつでしょ」

大体↑みたいな、言葉尻をとらえての突っつき返し、混ぜっ返しの
オンパレードで、正直このネタで一時間突っ切られるとキツい。

平田満の、どこの会社にもいそうな、やったら馴れ馴れしげで
追求好きな上司役はハマってたけど、「ある人たちの旅館の風景」を
抜け出てなかったような気がします。

良く知ってると思ってた他人の事を、実は自分は何一つ知らない、
他の人のことは家族でさえ不明瞭だ、というのが最後の最後で
出てきたけど、取ってつけたようなもので、基本あのドツキ漫才
みたいな雑談のノリについていけるかどうかだと思います。
守り火(まもりび)

守り火(まもりび)

FINE BERRY(ファインベリー)

ザ・ポケット(東京都)

2010/05/25 (火) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

重なり合う
事前に、チラシ等で紹介されていた以上に暗くて緊張感のある
ストーリー構成でしたね。 観ながら、え?まだ不幸が続いちゃうの?と
落とされ、食い入るようにさせられることが多かった。

この作品の登場人物達は、それぞれが違うように見えて、実は
皆同じような境遇におかれていて、唯一つ、あのバラック小屋みたいな
家で一つに結びついて、または呪縛されている、と感じました。

ネタバレBOX

母親が、もし捨て子を拾ってこなかったらどうなっていたか。
多分あのまま狂って、近所の鼻つまみ者になっていたのは
タケシの母親じゃなくて、四姉妹の母親だったかもしれない。

または、四姉妹が母親に拾われなかったら。
幸せを知ること無く、そのままあのやくざのように身を落としていた
かもしれない。

そう思うと、各人物達が置かれていた状況が、大きく食い違って
いるのではなく、実はほんの偶然だったことに過ぎない、と気がついて。

そう考えると、四姉妹は幸せだった、のじゃないか、母親に、父親に
守られて幸せだったのじゃないか、といえると思います。

最後に家を焼いたのは、母親への甘えや依存を断ち切り、新しく一歩を
家族が踏み出すためには「守り火」のように必要な「儀式」だったのかな。
ちょうど、人形を燃やすことで災厄から逃れようとするように。
そう思うと、最後はほんの少し希望のある作品でしたね。

四姉妹が、母親のよく聴いていたカセットを聴きながら、その歌を
皆で口ずさむシーンがあったけど、あのシーンの美しさは屈指。
沈黙亭のあかり

沈黙亭のあかり

劇団俳優座

紀伊國屋ホール(東京都)

2010/05/21 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

紛うことなき駄作
と結論付けるよりほかないです。

相当前の山田太一脚本「星ひとつの夜」等も観てきて
改めて思ったことなのだけど、「人は一人では生きていけない、
例え日陰におかれていてもそれでも必死で生き続けよう」という
メッセージが強過ぎて作品のバランスが保てなくなっていることが
多く見受けられます。 

結果、結末に進むにつれて設定から何から全部破綻していくのが
ただただ恥ずかしくて、席を立ちたくてしょうがなかったです。

ネタバレBOX

この作品の難は以下の二つ。

1. 設定に意味が無い

 主人公を「喫茶店の、聞こえない、話せないマスター」にしたのは
 失敗だったかと。 マスターと登場人物の会話になった時、相手が
 客席にも分かるように全部話し出すので、とにかく長々としてて
 テンポが悪い。 マスターが話せないので、一人語りになりがち。

 総じて人物達が、それぞれの思いを全部言葉でぶちまけてしまうので
 劇というより「主張の会」みたいでした。 なんか恥ずかしかった・・・。

2. 構成が悪い

 最後、マスターが「聞こえる・話せる」ようになったのは良かったけど
 特に後半の展開上意味は無かった、と思う。  エンドもなんか
 締りの無いものになっちゃってて。。

 それよりなにより、最後あたりの「一人でいても寂しいんだよ!!!
 だからハグして!!!」  

 ・・・すみません、「ハグ」って・・・何?? その前後に、何の前振りも
 伏線も無かったのでホント唖然とした。 
 四人が沈黙亭を襲撃~ハグの辺りの展開はとにかく観てて
 恥ずかしくて、席を立って思わず帰りたくて仕方なかった。
 シリアスな場面に強引に笑いを取るような台詞も浮いててキツかった。

 中野誠也さんの、ステージにいるだけでじんわりするような存在感と
 音楽はものすごく良かったです。 
プランクトンの踊り場

プランクトンの踊り場

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

その時空
他の人の言うように、恐ろしく簡素な舞台がどんどん転換していく。

ある時は東京のオフィス、ある時は地方都市の開店間際のお店、
喫茶店 etc etc... 回転ドア式に展開する仕切りを挟んでどんどん
展開していく。 その有様がなんかすんごくスマートだった。

スマートといえば、役者達。 なんか皆恐ろしく役柄に合っていて
見事としか。 安井順平の、相当引きこもり入った兄と、伊勢佳世の、
妹とのすっ飛んだやり取りに何度笑ったことか…。 

このようにコメディ要素も魅せる要素も高く、初心者から玄人まで楽しめる
高レベルな作品だと思います。

ネタバレBOX

兄に背を向けシゲル3人目を必死で抱きしめるカナメに、兄テルオが
「忘れられんのかよ?」カナメ「忘れられるよ」

…あの辺り、この劇の中で瞬間最高風速じゃないかと思いました。
それだけに、最終場で誰も3人目シゲルに触れなかったのがもう、
気になって気になって…。 でも、多分、カナメの様子をみると
もうシゲルとの事は過去になりつつあるようだったので…遅かれ早かれ
消えてしまうの…かな??

シゲルはなんか…如才無い感じだけど、要領良さそうだけど、
最後まで勘違いしたまんまで終わるタイプなんだろうなぁ。。。

次回公演も楽しみです。
甘え

甘え

劇団、本谷有希子

青山円形劇場(東京都)

2010/05/10 (月) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

変わることを望みながら
変われない人たちの物語。

小池栄子は熱演でしたね。 危うい位にピュアで世間を知らない、
知らず知らずの内に破滅に向かっていってしまう「ジュン」という
役柄を正面から演じ切っていたように思います。

水橋研二の、どこか壊れてしまったような、虚無的な雰囲気を
湛えた「先輩」役も良かった。 余談ながら、この作品ではこの人が
一番可哀想な気がする。

ネタバレBOX

頭が良いのに世間と繋がれず、結果ズレてしまっているばかりか、
それが自分の純粋性にあるのだと思い込んで、全然問題の本質には
「気づけていない」ジュン。

汚れている周囲、自分が好きだと思い込んでいるのに、実はひそかに
そこから抜け出したいと願いつつ、素直にはなれない先輩。

そんな二人は甘えあいつつも、結局は理解しあえない・・・。

ジュンは家に戻らず、雀荘でそのまま働き続けていればよかったのに。
そうすれば気づく事もあっただろうに、最初から最後まで思い込みが
あったので、結局破滅からは抜けられなかった。 救いは無いです。

前から思っていたけど、本谷さんは「生真面目で純粋、非常に
道徳的な」人だと、今作を観て感じました。 天然で不道徳な
雰囲気はせず、全部計算されているような。。

この作品、本谷さんが語るようには「不道徳」には思えなかった。 
むしろ、直球の悲劇。 全編通してすごくダークでしたね。。

最後、自分を夜這いしにくる男達の、雨だれのように鳴り響く
ノックの音の中、自分、男たち、観客に向けてポツリと放たれる

「私よ、禊がれろ!」

という台詞が今でも忘れられないです。 あの辺りすごく怖い。

賛否両論ありますが、本谷さんのターニングポイントとして記憶される
作品は、この「甘え」になりそうです。
ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶

ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶

チェルフィッチュ

ラフォーレミュージアム 原宿(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/19 (水)公演終了

満足度★★★

空虚な言葉がコミカルに浮き彫りに
まず、あの繰り返されつつも、微妙に細部が異なっている厄介な台詞を
語りつつ、切れの良い動きを見せ、もとい魅せてくれた俳優達にエール。

何度も何度も執拗に繰り返される、一見意味の無い言葉の数々、
「ホットペッパーって役に立つんですよねー」「クーラーが寒くて地獄
みたいなー」「女性ってそうですよねー」…

何回も繰り返される動きと共に、見ているうちに俳優達がまるで
「演技している人間」というよりも「律動するゼンマイ人形」か何かのように
見えて仕方がありませんでした。

ネタバレBOX

結局、派遣の社員達はクビにされた同僚の送別会をやる、といいながら
その実皆自分のことで頭が一杯で、同僚をタネにしてどれだけ自分のことを
語る、というか、押し付け合うか競っている。 そんな空虚過ぎる風景。

正社員達も互いのことなんてどうでもいいし、クビになる同僚も会社の
人間なんて素でどうでもいい。 どうでもいい人たちが開いてくれる
送別会より、それにかこつけて自分のことを話す方が大事。

暗転直前、派遣の「小松さん」がクビになる「エリカさん」に、
「私達も遅かれ早かれ後を追いますんでー」って言った時笑った。 ヒドッ。

『ホットペッパー』が一番面白かったかな。 登場人物が三人と
三者三様違う動きを見せてくれるし、台詞もヴァリエーションがあったし
一人が躍るような動作で自己主張してる時の、他の二人の反応も
何気に面白かった。 うちわであおぎ出したりするし(笑
ぎこちなく、不穏なjohn cageの音楽もマッチし過ぎです、本当に。


『クーラー』『別れの挨拶』は動きの切れは凄く良いのだけど
いかんせん人物が二人ないし、一人なのでどんなに良くても
基本同じ動作の繰り返しなので冗長にはなった、かな。
少し時間も長いような気がした。

でも、動き的には『別れの挨拶』が一番良かったと思います。
裏切りの街

裏切りの街

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2010/05/07 (金) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

緊張の「人間ドラマ」
観終わって感じたのが、「演劇」というより、三時間弱の「ドラマ」、または
「映画作品」だな、と。 構成も、ストーリーの流れも、すごくそこを意識
しているように思えました。 

テレビの画面、スクリーンの中ならこう、カット切るだろうな。
そう思う場面が結構あった。 「ボーイズ~」脚本を手がけていた影響?

全体通して緊張し通しで三時間あっという間。
舞台を前面に使ったセットが次々に切り替わって時に緊迫、
時に弛緩し切った雰囲気を上手く出してましたねー。

観る前は「え?三時間?」「裏切りの街、って何か二時間ドラマの
タイトルみたい…」と思ってたけど、終わった後は何だか納得。

ネタバレBOX

二幕開始直後に、秋山演じる「智子」の妊娠が発覚してからの展開が
どんな修羅場になるのか想像がつかなくて、正直胃が痛くなった…
結構あっさりと流してくれてて本当にホッとした。

皆、明日の自分より今日の自分に忠実、欲望のまま生きてきたら
こうなっちゃいました、って感じの人ばかりだけど、米村演じる「伸二」は
したたかだね。 おかれてる立場は田中圭の「菅原」と同じだけど
器用で身軽で。 この先、どうなっても要領よく楽しんでるのは彼だね。
他にも不幸体質っぽい上京者の「裕子」とか、あんま要領よくなさそうな
「田村」くんとか、脇役がむしろ光ってたのに登場の場が少なくて残念。。

個人的には松尾スズキの「浩二」がホント怖い。
妻や部下の前では、少し譲歩しがちな愛情たっぷりの夫、上司なのに
「菅原」の前に出てきた時にはヤクザみたいにじわじわなぶってくる。

自分の子供が別の男のものだって知ってるのに、それを育てようとする
その心情。 白タイ焼きくわえながら「俺がさー、こんなんでつられるとでも
思ってんの?」って一瞬素の表情を見せる瞬間。

全て知ってて、それを上手いようにコントロールしているような。

一番キャラ的に興味深いのは「菅原」でも「智子」でもなく
「浩二」だと思いました。
アメリカン家族

アメリカン家族

ゴジゲン

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★

団欒ぶち壊し系ホームバースデイ・コメディ
とにかく出てくる人が皆リアル。
いや、過剰なほどの演出で「笑い」に昇華されているんですけど。
うわー、かなりイタいけど、こういう人いそうだよね、っていうのが
土佐和成演じる伊原夫と吉牟田眞奈演じる次男の恋人のウザさ(笑

特に、伊原夫のテンション高めなのに、空気読めな過ぎて滑り続け、
嫁はおろか父親にまで邪険にされる有様は結構作品の中でも
光っておりました。

個人的には目次立樹演じる次男カウンセラー・リョウさんがツボ!
見せ場はそんな多くないけど「リョウサン、ホントはニホンジン!!」の
怪演には思わず痺れました。 笑いの部分では一番貢献してたかも。

ネタバレBOX

勿体ないな、と思ったのは時間の長さと過剰な演出。
前者はもっと短く出来たんじゃない? 要らないエピソードが多いような。
伊原夫が刺されるのなんか、後でフォローも無かったし…。
後者は台詞間の「間」の部分まで皆で騒いで、の演出で埋めちゃったので
逆に鼻白んでしまったかな。 

最後の場面、一家が来訪者達をバットやら傘やらでつつき回して
強制的に追い出すのは、言っちゃ悪いけど大いに共感した。
自分達だけの「空間」に空気読まないで居座り続けるのを叩き出して
何が悪い?って感じなんだろうね。 

役柄では長女と父親が好き。 大成のさりげない優しさも良いね。

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