先生と呼ばれるほどの教師でなしの観てきた!クチコミ一覧

41-60件 / 123件中
男は二度死ぬ・その一度目!!~その三~

男は二度死ぬ・その一度目!!~その三~

ライオン・パーマ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/01/15 (木) ~ 2015/01/19 (月)公演終了

満足度★★★★

安心して笑えました
調べてみると、この劇団は二度目の観劇となります。


ライオン・パーマ 「恋愛漫画~バンカラ編~」
2012年 10/27 14:00の部 王子小劇場

ここでの劇評通り、個性豊かな俳優さんの集まりです。それぞれの持ち味が、うまく融合して、安心して笑い、安心して「キュン」
とすることができました。
「どこに向かっているのかわからない」「安定性こそ心配のタネ」といった懸念も書かれてあり、今回もそれがそのままあてはまりそうです。
しかし、今考えてみると、たった2時間とは言え、観客と喜びや悲しみを共有できることこそ、劇団の至上の目標かな、とも。
それができない劇団の多さからすれば、まずはライオン・パーマは、劇団としての存在価値が厳然としてあるのだということです。
下ネタを極力排除して、役者の個性で、台本のせりふで、笑いや涙を誘う姿勢にも、高い好感度を持ちました。

「また観てみたい劇団」 そんな印象です。

草莽崛起

草莽崛起

劇団宇宙キャンパス

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2014/12/05 (金) ~ 2014/12/09 (火)公演終了

満足度★★★★

久しぶりの
この5年間で99本目の観劇となります。そして、久しぶりの歴史物でしたので、それなりの感慨と期待とが混じり合った気持ちで出かけました。
結論から言って、「それなりに面白く観ることができた」。そんな感想です。
幕末という日本の激動期にあって、名もないものに視点を当てたところは、その意気を感じることができ、その思いは劇中の演技にもうまく取り込んでいけたのではないでしょうか。
現代から見れば、当時の武士達の行動や判断は制約があることは当然。その中にあって、必死で生きよう、生き延びようとしている登場人物も、それぞれに個性を持たせて、さまざまな角度から楽しむことができました。
最近、よく「人は2度死ぬ」という言葉を耳にします。肉体が滅んだとき。そして、その人についての記憶を持つ最後の1人が死んだとき。最近、似たようなことを考えていたので、それが鮮明に印象づけられました。
役者さんも、それぞれの個性を生かして、みな好演。
時代ものを敬遠している私にとっては、ちょっと「食べず嫌い」を払拭できた1日となりました。

熱海の果てに

熱海の果てに

非シス人-Narcissist-

サンモールスタジオ(東京都)

2014/11/19 (水) ~ 2014/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★

たくさん感じ またたくさん考えさせられました
饒舌な劇は、出鼻が肝心で、そこで聞き逃しや見逃しなどがあると、後半が非常にきつくなります。今回も、きっとそういう展開になるのだろうと予想していましたが、予感は的中。必死で、機関銃のように連射される台詞を追う。
おそらくこの時点で、おおよその筋が分からないでいる観客が出るに違いない、そしてそのような劇の展開は、はたしていいものなのかと考えながら。
あえて、と感じた絶叫タイプの台詞も、同じように、はたして成功しているのか、やや疑問に感じていました。(聞き取りにくいという点でも)
演出、構成については、(やや慣れている)私にはじゅうぶん楽しめるものでした。最初のパフォーマンスも、役の転換も、舞台装置も(狭い舞台で、奥行きのある、立体感を出していましたし)、よく工夫しているものだと感心。
役者さんは、それぞれが個性的で、うまく役になりきっていたと思いました。
個人的には、やはり主宰するだけあって、竹下さんが光っていました。なによりも、台詞の表現力が素晴らしい。簡単に言えば「聞きやすさ」「台詞が心に入り込むか」なのですが、それを1番体現していたと思いました。同じ事は、清水さんにも言えます。熱演、その言葉通りの迫真の演技でした。
正直言って、「絶叫型」は、意図的とはいえ、私には効果的であるとは思えませんでした。単純に「聞きづらい」からです。私の後ろの方が、「ああ、今の台詞、よく聞こえなかったよ」と残念がっていました。私もしかり。
総論です。役者さんの熱い思いが伝わってくる、印象的な劇でした。ありがとうございます。前半の煩雑さ、後半の人情劇。こんな単純ではないのでしょうが、前半をもっと「一般受け」させればとも。
意欲的な作品に、今後の飛躍が期待できそうですね。
これから見守りつづけていきたい。

コメディライン

コメディライン

東京ミーコ

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/10/24 (金) ~ 2014/10/25 (土)公演終了

満足度★★★★

久しぶりに笑いました
一口で、面白かったです。
随所に時事問題を入れての展開、これはどちらかというと、中身よりも出演者の演技力によるものだと思ったのですが、間の取り方なども含めて、うまく笑いをとっていました。
私も、久しぶりに、会場にたくさんの笑い声を置いて帰ることができました。
「領土」・・・だけは、少しいただけなかったと不満です。
ザブングルの加藤さんは、さすがにオーラを感じます。
劇団員の1人1人が個性的で、それがまた良いベクトルとなっていたと感じました。
ちなみに私は、杏さんの澄んだ(本当に綺麗な)瞳をずっと見ていました。蛇足ですが。

hope ~希望

hope ~希望

劇団だっしゅ

萬劇場(東京都)

2014/10/16 (木) ~ 2014/10/19 (日)公演終了

満足度★★★

微妙でした
下ネタと社会派が両立するかしないかは、よく分かりませんが、下ネタの「通俗性」が、はたして「社会派」の劇に生かされているかと考えると、私には疑問です。
下ネタをするなら、徹底してそれに終始すればよかったのにと思いました。
やはり、ハゲ、デフを嘲笑する雰囲気の会場で、「難病を救おう」のメッセージは矛盾します。
役者さんは、みなさん個性的で、下ネタも必要ないとも感じました。
観客のみなさんは、それなりに楽しんでいたし、最後も神妙な表情をしていましたから、きっと興行的には成功だったのかなとも。
みなさん力がある(ありそう)方ばかりでしたので、どんな脚本にも対応できると思いますので、今後の「方向転換」を期待(笑)しています。
ありがとうございます。

キスしてほしい。

キスしてほしい。

劇団 浪漫狂

紀伊國屋ホール(東京都)

2014/04/10 (木) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★

うーん
ご招待していただきましたので、しっかりとていねいに感想を書きたいと思います。この劇団の劇を観ることを友人に話したところ、「あっ、いいなあ。ここは有名。老舗よ」という羨むような言葉が返ってきました。よかった。期待していいのだなと、わくわくしながら新宿に向かいました。
さて、鑑賞後の感想です。
たしかに面白かった。しかし、残るものがなかったなあというのが最初の感想です。一言で言えば「雑然としたお笑い」、そんな印象でした。
「生まれてきたからには、一番を目指して」という最後の挨拶の言葉には、熱い思いが伝わってきましたが、今回は空回りしていた感じです。
あちこちと拾い集めたような「笑いのネタ」、漫才コンビのゲスト出演、ちりばめられた人情話、どれをとっても劇団のポリシーや、オリジナルなものとはほど遠いものだったと思いました。
すみません。これが率直な感想です。ただ、救いは、それぞれ劇団員の役者さんの演技の上手さ。個性的な方が多かったことです。
おそらく今回は脚本のせいかなと・・・
私には初回の劇団ですので、まだ見ていないところも多いはず。次回に期待します。

ミーザ 夕日の丘のオルキデラ

ミーザ 夕日の丘のオルキデラ

ミュージカルシアターヒラソル

かめありリリオホール(東京都)

2014/04/05 (土) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★

若いという魅力
前のほうに席をとったせいなのか、開演して10分くらいまで、伴奏の音が役者さんの声を殺してしまって、「運動会」の声以外、ほとんど聞き取れない上京が続き、「これではまったくストーリーすら分からなくなってしまう」と、がっかりしていました。役者さんの声も、緊張もあったのでしょうが、音程が定まっていないところが多く、これから3時間が辛そうだと正直思ってしまいました。
「おっ、なかなかいいじゃない」と考え直したのは、休憩のあとの後半。筋がはっきりとした展開となったことも、役者自身が馴染んできたことも相俟って、フィナーレまで楽しく観ることができました。
演技や歌唱力という点では、まだまだ発展途上だと思いますが、それ以上に役者全員で、真摯に練習に励んできたなということが見て取れるほどの熱演でした。時間が経つにつれ、1つの公演の中での成長。若さゆえのものかなと感激してしまいました。
もしロングで公演を行ったら、きっと初日と千秋楽としでは天と地ほどの差がでるほどすばらしいものになっていたに違いないと感じました。

CRIMERS

CRIMERS

劇団超ダッシ

北池袋 新生館シアター(東京都)

2014/03/07 (金) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★

がんばってほしい
2時の部に行きました。
「相棒」を彷彿とさせる内容で、それなりに楽しんで観ることができました。
しかし、しかしです。
それが舞台上の演技となると不満が多々残ります。
まず第一に、やはり役者さんの演技力です。台詞をかむのは、このチームが初日であることを差し引いても、残念ですし、ストーリー中心の劇であるためか、奥行きという点で「今一歩」という感じがしました。
第二に、役者さんの年齢構成。みな若く、それだけで「軽さ」を感じさせてしまうものです。客演として、1人でも長老がいたら・・・という思いがしました。
とはいえ、若いというのは、それだけ可能性が無限であるということでもあります。さらなる稽古と成長を望みます。ありがとうございました。

ご来場ありがとうございました♪~不思議なラヴ・ストーリー

ご来場ありがとうございました♪~不思議なラヴ・ストーリー

ミュージカル座

シアターサンモール(東京都)

2014/01/23 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

素敵なミュージカルに感謝
5年間で、約90本の劇を観てきたのですが、涙が頬を伝わって落ちてしまった(!)劇は、おそらく初めてのことです。ストーリーは、歴史上の人物も役に取り込むほどの大味なものだと思いましたが、そしてあり得ない想定だとも思ったのですが、登場人物が前世からの愛に貫かれた展開に、思わず涙してしまいました。
楽しく、しかしせつないラブロマンスでした。
ミュージカルは久しぶりです。もちろん楽曲がメインとなつてくるのですが、今回は星組のアイリーン役、水野さんの透き通ったような声に魅入ってしまいました。もちろんジム役、姉役・・・周りの好演あってのものです。
今年初めての観劇を、すがすがしいものにしていただきました。感謝です。

シット☆コム

シット☆コム

ZIPANGU Stage

萬劇場(東京都)

2013/11/14 (木) ~ 2013/11/18 (月)公演終了

満足度★★★★

テンポ良く しかも個性ぞろい
笑いをとるには、間が大切だと言われているが、それすら吹き飛んでしまうほど
テンポ良く、軽快な台詞のキャッチボールを繰り返して、あっという間の90分と
なった。
正直言って、ストーリー自体はあまり独創的でも奇抜でもない。
しかし、それでもなお、客から「爆笑」をとれるのは、俳優陣の個性であり、練習量
であると思う。
テレビ局、生放送を前にアクシデント発生。その解決、処理にあたふたするスタッフ。
常に時間との闘い。
客もスタッフの心情とシンクロするように、一喜一憂していたと感じた。(会場は、知人、
家族が多かったこともあったのだろうが)

君がいく先に 光がさすように

君がいく先に 光がさすように

演劇企画ハッピー圏外

TACCS1179(東京都)

2013/11/07 (木) ~ 2013/11/11 (月)公演終了

満足度★★★★

泣きたいのを ぐっと我慢してました
市井の、ごく平凡だと思われる女性にも、これだけの歴史の重みがある。
そんなことを深く考えさせられた劇だった。
戦争に、いわれのない差別に、立ち向かい、翻弄されながらも、常に
「前に向かって生きていく」。
押しつけがましい台詞や、ねじ曲げられた状況の設定もなく、素直な気持ちになって
物語の中に入り込んで観ることでできた。(元恋人の出現時期にはやや合点がいかなかったが)

この劇は、主演女優が、交代で出演している。私は、塚本茉莉子さんが主演の組を見たが、気丈で
働き者、優しさの伴った役を、「はまり役」という言葉がぴったりするくらいこなしきっていたと
思えた。
大声の役と、調子のよすぎる笑いの役については、当初とまどって観ていたが、芯がくずされている
わけではなく、アクセントとして「まあいいか」程度の印象となった。

ここの劇団も「年配者」のいない若者集団である。今回の劇でも、1人いただけでも、もっとしっとりと
したものになったにちがいないと思えた。

劇団の名前からして、もっと軽い劇になるのかなと「誤解」していた。
「シェルブールの雨傘」を思い出しながら、涙腺を少し弛めて魅入ってしまった。

すてきな劇に、感謝。

トキグルマ

トキグルマ

ThreeQuarter

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2013/10/12 (土) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★

楽しい1日となりました
楽しい2時間を過ごせた。
なによりも私がよかったと思うのは、役者陣が、観客と一緒になって、劇を楽しんでいたということ。
もちろん役作りなども、しっかりとしていた上で。
タイムスリップの展開については、それが成功していたかどうかは、私には分からないが、現在と過去とを
交互に、そして重ね合わせながら、進めていく方法には無理なく観ることができた。
ネタバレになってしまうので、多くは書くことができないが、結末は、もうひと工夫があってもいいのかなとも。
せまい舞台で、観客の足を気にしながらの殺陣、舞台装置の工夫など、大舞台ではない苦しみ、制限に立ち向かい
ながらの公演には頭が下がった。
個人的には、斉名高志さんの、器用な役の振り分けが印象に残った。
今回は、痛快な笑いを楽しもうといった気持ちで足を運び、満喫できたことで、帰り道、冷たい風が吹き始めたにも
かかわらず、(ついでに新井薬師駅前で、すてきな古本屋を見つけたことも相乗効果として)「今日はついていた」
と思えた日曜日となった。

ナイゲン【ご来場ありがとうございました】

ナイゲン【ご来場ありがとうございました】

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/09/26 (木) ~ 2013/10/08 (火)公演終了

満足度★★★★

楽しく観させていただきました
何度も再演を繰り返しているだけあって、ストーリーといい、台詞のはぎれのよさといい、二時間の劇で、少しも「睡魔」に襲われることなく観劇することができました。
役者さんたちは、再演ごとに代わるのでしょうが、今回の役者陣も、それぞれが個性豊かな役を演じていましたし、みなさんのしっかりとした役作りのために、好演を、さらに光り輝かせていたように感じました。
話し合いの劇を二時間続けるだけでも冗長さが出てしまうものなのだと思いますが、そんなことも微塵も感じさせませんでした。「12人の怒れる~」に匹敵するかなと。
少し褒めすぎたかもしれませんが、正直な感想です。

クロスワールド

クロスワールド

夏色プリズム

北池袋 新生館シアター(東京都)

2013/08/14 (水) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★

今後の発展に期待
オリジナルで、しかも初回の公演としては、すぐれた作品だったと思いました。いくつか私の頭に引っかかったり、ここは修正したほうがいいなと思ったところはありますが(これはあとで)、近未来の(いや、もうすでに現実かもしれません)、しかも重いテーマ。これからの長い劇団の再演により手直しをして、さらに磨いていけばいいのだろうと期待もこめて、「良かった」という総評を。
ひとつ感心したことがあります。それは、7人(だと思いました)の出演者全員が、台詞の言い回しの乱れもなく、おそらくは「十分に練習したのだな」と思わせるだけの劇であったことです。最近いくつか観た劇団にはなかったことです。当たり前のようですが、なかなかできないことです。その練習量があってこそ、劇の内容も、稽古の中でさらに深まり、進化するものだと思うのです。
この点では、自信を持っていい「すぐれた」劇団だと評価できます。「ああ、きっとこれから伸びていくだろうな」と。

以下、ネタバレBOXで。

ネタバレBOX

人の生きてきた歴史を評価することはとうてい不可能なことです。おそらく神ですら、「そんなことはできない」と答えるものでしょう。ですから、それが誰かの「専決」となった場合、その役を授かった田中の機械的判断は合点がいきます。ですから「情を挟まぬ」という流れは、私は自然に受け入れられました。残酷ではあっても。
さて、いくつか注文です。内容と演出、混在します。
①暗闇の中での破裂音、インパクトある演出だとは思うのですが、私は苦手です。(苦笑)ちなみに私の座席の周りのお客は、軒並み椅子から飛び上がっていました。大きな劇場なら差し支えないのですが、ここのようなステージが間近の場合、ちょっと恐怖心が蓄積されます。私は暗転のたびに身構えてしまいました。どこの劇団か忘れましたが、「暗転の際に大きな音が出るときがございますので・・・」の前置きがありました。検討してもいいのかなと。
②田中の「失敗」は、無理があります。「生きるはずの両親」の事例など、それまでにもたくさん遭遇するはず。判断を変えたにせよ「それが運命」としないことには、この職はやっていられないと思います。別の「失敗」を検討すべきかと思いました。
③役者さんは適材適所で、好感を持てました。田中役の柘植さんも、適度に「重み」を感じさせました。先にも書きましたが、台詞、滑舌がいいですね。
④奇跡の復活は「情に流された」せいなのでしょうか。(笑)残酷であってもよかったのでは。これがなくても、クローンも「一個の人格」だとわかります。それでよかったよかったなどと感じるものではありません。ラストをうまく書き換えられると締まったものになるのではないかとも思いました。

原田さんから、挨拶を受けました。光栄です。予想より、ずっとずっと若く、「好青年」の印象。次回、そしてそれ以降の発展に期待をして。
オレンジの迷信行動

オレンジの迷信行動

ナイスコンプレックス

サンモールスタジオ(東京都)

2013/08/09 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★

意欲的な姿勢に敬意
至近な事件を扱い、しかも「練りに練った」構成にしていることの、劇団の意欲に頭が下がります。この事件は、あまりにもマスコミ、「世論」(この言葉も曖昧ですが)に振り回され続けていただけに、それをどのように展開させるかと興味を持って魅せていただきました。
両天秤にかけたものにしてしまったのかなと、やや不満足な点はあるものの、逆に言えば、バランスのとれた劇となったのではないでしょうか。
その展開の仕方も、ノンストップの切り替えで、あっという間に2時間が過ぎてしまいました。
俳優さんの演技も、先に指摘されていた「気になる噛み方」の方の存在もわからないほど。きっとここを読んで必死に練習したのではないでしょうか。
私には、むしろ「絶叫」の方に、ちょっとばかり「うんざり」してました。そんなに声を嗄らすまで叫ばなくてもいいのに・・・
あとは、内容の感想です。

ネタバレBOX

光市の事件は、安田弁護士の選任、橋下氏の「やめさせろ」発言と、その後のバッシング現象、実名本の出版、一気に死刑制度存続に対しての感情的な世論の形成など、私たちを冷静にさせることなく、むしろ翻弄されつづけてきた事件だと記憶しています。
私は「人間の判断は間違えるものだ」「冤罪は常につきまとうものだ」という理由から、死刑制度は廃止すべきだと考えています。もちろん被害者家族の感情も無視できませんし、死刑がなくなることで犯罪がはたして増えることはないのか、などということも心許ないものなのですが。
あ、劇に戻ります。箇条書きに印象を。
①前半の「法学入門」。賛否両論あるでしょうが、これはこれで私には序章としてよかったと思いました。「罪と罰」、この二つを混同している風潮がありますよね。それに対する警鐘という意味でも価値はあったと思いました。
②老婆の誕生日を「5/3」にしたので、てっきり憲法の権化と思っていましたが、劇団の方に聞いたところ「死刑制度」とのことでした。聞き間違いだったのかもしれませんが、観ている客には、もっとすっきりとした演出でもよかったのでは。
③最後の台詞が「死には死を」のような内容だったと思います。これは別の台詞にしないと、せっかくバランス感覚で展開していた劇が、一気に「死刑は当然」に傾いてしまいます。ここはもっと含蓄のある言葉にしてはどうかなと思いました。

とはいえ、観劇のあとで、光の事件、死刑制度について、あらためて学び直そうという意欲が湧いてきました。
私にとってこんな気持ちにさせることは、観劇後になかなかないものです。
ありがとうございました。リピーターになりますので、次回も期待しています。
助六恋愛相談所

助六恋愛相談所

コント作家ユニット 6L工場

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/08/09 (金) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★

評価しにくい劇でした
正直、「面白い」にはほど遠い劇でした。(すみません)
6人の作家の競作だからなのでしょうか、また、それぞれをつなげようとしてうまくいかなかったのか、それとも「不条理」的な劇として、客を寄せ付けないという劇団の方針なのか、私にはわかりませんが、見終わったときに、とても疲れてしまったことを覚えています。
笑いをもっととることを目指しているならば、もっともっと劇の流れを単純にしなければならないでしょうし、言葉の、演技の奥底に、情念やら思想などを盛り込みたいのなら、もっと鋭い演技と台詞の精選が必要だと思います。
「コント」という言葉を標榜しているところを見ると、やはり客がゲラゲラと、腹を抱えて笑うことを目指しているのだと思えます。
笑いというのは、「意外性」「奇抜」などの前提として、劇、劇団に対しての「安心感」があると思うのです。「ああ、ここはきっとこんな風に展開するのだ」「その間に、きっとなにかあるにちがいない」といったもの。そこで予想通りの「意外」に安心して笑える。ちがうかなあ。
今回の劇は、落ち着いて観ていることができないでいました。「風」が読めなかったからです。ですから、白装束も、すきやきも、なにもかも、よく分からないままで、カーテンコールの時間となってしまいました。
他のお客さんはどうかは不明ですが、私には「楽しめる」ものとはなりませんでした。

「バカの瞳はもれなく綺麗」

「バカの瞳はもれなく綺麗」

GORE GORE GIRLS

北池袋 新生館シアター(東京都)

2013/08/06 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★

ギャグ、コント、演劇
おもしろかったです。とりわけ言葉の選び方がいいですね。奇抜な比喩や定義づけが、機関銃のように発せられて、私もお客さんと一緒になって肩を震わせて笑っていました。
ただ、ただ、です。
私の好みとしては、このようなギャグやらコントに近いものだけでは、物足りなさも感じています。(「じゃ、コットってなんだ、ギャグってなんだ。演劇とどう違うのか」なんて言われても答えられませんが)後半になると、ちょっと「楽しいはず」の台詞が鼻についてきてしまいました。
ストーリーとか、表現・演技とか、そんなものを中心にした楽しみ方をしてきた私には、その「薄さ」が、物足りなさの理由だと思います。
こんなジャンルの劇もありだし、それで笑い転げているお客の存在も、まったく否定するものではありません。
笑わせることは、なかなか難しいものですから、それはそれで素晴らしい劇団です。
すみません。奥歯にものがはさまったような評し方で。

しゃぼん玉の欠片を集めて※無事公演終了致しました!ありがとうございました!

しゃぼん玉の欠片を集めて※無事公演終了致しました!ありがとうございました!

TOKYOハンバーグ

ワーサルシアター(東京都)

2013/08/08 (木) ~ 2013/08/13 (火)公演終了

満足度★★★★

心が喜んでました
素敵な劇をありがとうございました。
久しぶりに、俳優さんの役に惚れこんだといえる劇を観せていただきました。あまり私にはないことです。
登場人物は、どこにでもいる市井の人たちです。しかし、その誰もが素敵な表情をしている。誰もが、一日一日を真摯に精一杯生きている。それが伝わってきました。
おそらくは多分に脚本の力強さにあるのでしょうが、どの役柄も個性的で、重みを感じました。
個人的には、相原さんの魅力的な演技、表情、山岡さんの表に出さない隠れた演技を、じっと観ていました。
年寄りくさい言い方ですが、人生とは、なんと重く、切なく、それでいて素晴らしいものなのでしょうね。
少し褒めすぎかもしれません。
脚本と演じるものとが、うまくマッチした今回の劇。次回での更なる発展に期待。

死ぬまでにしておきたいこと

死ぬまでにしておきたいこと

パセリス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/07/26 (金) ~ 2013/07/29 (月)公演終了

満足度★★★

笑いを第一にしていたことに不満
それなりに面白い劇の集合であったと思うのですが、私の心の琴線には、どうも
ひっかかることはありませんでした。
見終わったあとで、いつも「これはどうして感動したのか」「なぜ感動しなかったのか」
を考えるのですが、今回は残念ながら後者の思考です。
私の出した結論は「技巧に走っている」ということでした。
おそらく脚本を書いた方は、「いかにお客に、笑ってもらうか、お客に、ほーと言わせるか」
を最優先して考え、考え、考え抜いて書いたのではないかと思います。
それはそれで当然なことですし、そうあってほしいのですが。
しかし、私はテーマである「仕事」について、もっともっと深めていってほしかった。
その中身で、笑いをとってほしかったと思うのです。
心に響くことがなかったのは、「内容」での感動が足りなかったせいだと思ったのでした。
現実の「仕事」は、ますます「やりがいのない」ものとなりつつある昨今です。
過労死、名ばかり店長、派遣社員、契約社員、窓際、ブラック企業・・・
切り込むものはいくらでもあります。

四の五の言わずに恋しろリーマン!

四の五の言わずに恋しろリーマン!

Island

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

爽やかさが残りました
観客と一緒に、喜び、悲しみ、ハラハラドキドキする。
そんな一体感のある劇でした。
テンポもよく、あっという間に1時間45分が過ぎてしまい、退屈な劇では、いつも「船を漕いでしまう」私は
そんなこともなく、最後まで観続けることができました。
それは、どうしてか。考えてみました。
一つに、ありふれたフツーのサラリーマンの世界という、私たちと、ごくごく至近距離の設定であったこと。
どこにでもいる、出世にも、結婚にも、保身にも、ちょっぴりこだわる、しかしそうもいかない現実のサラリーマンの世界。
それが、半ば自分のこととして、観ることができること。
脚本も、歯切れ良い台詞を連ねてあり、妙に深刻で、理屈っぽくない、さわやかさが感じられました。
最後の「落とし前」も、けっして「きれいごと」にしなかったこともグッドでした。
2つ目は、役者さんの個性。
突出した方はいなかったと思いますが(失礼!)、みな「役」になりきっていたと感じました。これは、台本をしっかりと把握
する努力と、妥協しない練習の賜物でしょう。早口を要求された場面での「噛む」場面は、いくつかありましたが、大勢に影響
なし、でした。
3つ目は、劇団の「団風」。きっと和気藹々と、しかし厳しく練習し、より上を目指しているのだなと感じました。
少し褒め過ぎかもしれません。

注文については、ひとつだけあります。
まあ、架空の物語ですから、いいのかなとも思いますが。
管理職の描き方です。実際には、こんな「できた」人はいませんよね。
まっ、いっか。

このページのQRコードです。

拡大