先生と呼ばれるほどの教師でなしの観てきた!クチコミ一覧

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シャイロック

シャイロック

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2011/09/09 (金) ~ 2011/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

感無量です
チケットの招待をいただきましたが、熱中症でダウン。なんとか千秋楽の日に観ることができました。

長野、木島というところに「学生村」という民宿の集まりがありました。
私が高校三年のときの夏休みに、クラスメイトの荒木くんと一緒に訪れたときのことです。
同宿した人たちの中に、20代半ばと思われる「お兄さん、お姉さん」がいました。
男女それぞれ二人。もう40年近くも前のことです。

なんとはなしに話をするようになり、この四人の同宿者は、「東京演劇アンサンブル」の劇団員だということを知りました。
一人は、長塚さんという方。あとは残念ながら覚えていません。

この四人は、ブレヒトの劇について、それがどんなに優れたものなのか、熱く語り、何も知らない私は、それがとても新鮮に感じられました。その際に、「暗記するといいよ」として教えられたのが、ブレヒトの「けしてできないなんてお言いでない」(原題は失念です)、谷川俊太郎の「ネロ」の詩です。
同時に、そのときに、世界で初めて民主的な手続きで成立した、チリのアジェンテ政権が、軍隊の反乱により倒壊してしまったことも、この学生村で、ニュースとして彼らから知らされました。

おそらく社会に目を向けて考えるということを、私は初めて、この四人から教わったと思います。(完全にノンポリの私でしたから)

東京に帰って、暮れに「パリコミューン」という劇を、この劇団で観ました。長塚さんたちは、まだ端役でしたが、林光の音楽や、切れ目のないせりふの連続に、ある種のカルチャーショックを覚えたこと、今でも鮮明に覚えています。(打ち上げにまで私を誘っていただいたことも感激でした)

私が今、ここにあるのは、この劇団のおかげなのかもしれません。

「シャイロック」は、「ヴェニスの商人」をベースとしながらも、脚本を手がけたアーノルド・ウェスカー自らが言うように、まったく新しい作品として完成されたものです。
シャイロックを、より人間くさく、しかも複雑な生い立ちと心理とを持った人物として、「再生」されています。
ユダヤ人問題に目をそむけず、真正面から描いているところが、観ている私たちにとっては、分かりやすいものともなっています。シェークスピアの原作では、そこまで描ききれていません。
より人間を深く理解し、しかもより深く愛した作品だと言えるでしょう。

実験的な脚本なのでしょうが、その試みには共感できるものがありました。

劇団の「年長の方」(案内係をしていた男性の方)に、前半に書いたようなことを、懐かしさをこめて、たくさん話してしまいました。待合室の左手奥に飾られた「パリコミューン」のポスター。これは当時、読売ホールで上演されたときのものだとのこと。私の第一歩が、ここから始まったのですね。懐かしい・・・

今年の学芸会は、以前作成した「ヴェニスの商人」の大幅な書き換えをしたいと考えています。



外交官〈前売券完売/当日券若干枚あり〉

外交官〈前売券完売/当日券若干枚あり〉

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2015/07/31 (金) ~ 2015/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

時代の重み そして苦悩
期せずしてタイムリーな公演を魅せていただきました。
私たちの世代から観れば、いったん咀嚼したものを、今度は改めてその確認と、時代の舞台裏での人々の苦悩とを結びつける機会となりましたが、若い世代の人にとっては、かなり難解であったのかと思います。しかし、その難解さは、どうしても観劇後の学習で埋め合わせてほしいとも願います。
日本が国際的に孤立し、さらに戦争に突き進んでいくことを、なぜ誰も止めることができなかったか。
この命題は、現在にも通じるものです。今も「先の戦争は、やむを得なかったのだ」とする人の多さ。さらには「日本は列強にはめられたのだ」と、肯定する考えも市民権を得ているむきもあるほどです。
優秀な外交官をもってしても、戦争への時代の流れは食い止められなかった。だからこそ、戦争につながる、どんな些細なことにも敏感になって、芽を摘んでいく努力を、国民の1人1人がしなくてはならないのだと思いました。

青年座は、大学生時代に、労演を通じて知った劇団です。40年ぶりの観劇でしたが、その真摯な劇団の姿勢は、相変わらずで安心して終わりまで観ることができました。

さて劇評です。
まず脚本。骨太で、よく練られた構成です。時代を前後させ、記憶をだどりながらの展開は、無理なく私の頭に入ってきました。
そして役者陣。それぞれ個性を持った外交官を、誰もが演じきっていて、これは役者さんの力量と、練習量、そして演出の優秀さに由来するものでしょう。

二時間半。ちょっと腰が痛くなりましたが、また、後部座席は鉄骨の上に設けられたもので、1人が動いても「横揺れ」が大きくて「もしや崩壊してしまうのでは・・・」と心配してもいましたが、それ以外は、長い時間もあっという間の凝縮されたものとなりました。

ありがとうございました。
また、代々木八幡に来ます。

戦争法案も、なんとか廃案にするための勇気ももらったものですし・・・

弟の戦争

弟の戦争

劇団俳小

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2016/12/07 (水) ~ 2016/12/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/12/10 (土)

遅れての感想です。おそらく今年観た劇の中で、私の心を1番打ったものだと思う。
中東における内紛、テロ、自爆、空爆、貧困、飢餓・・・それを報道などで知りつつも、「まあ、本当に怖いよね。こんな世界にいる子達がかわいそう。さっ、今日は日曜日、なにか美味しいものを食べに行きましょ。あ、食べログで◎◎のパスタが美味しいと書いてあったわ」と、別世界の話は、単なる「話題」としての値打ちしかない。
私が6年生に歴史を教えたとき、15年戦争を教えると、中間の時点での感想を書いてもらうと、ほとんどの子が、「戦争中の暮らしはとても大変だったことが分かりました。それと比べて私たちは幸せです。あんな時代に生まれてこなくてよかったです」という感想を書く。まったく別世界の戦時中なのである。私の授業はここから、その「対岸の火事」観をどう破るかが勝負となる。
ありえない設定ながら、弟の「憑依」とも思える言動から、その「平和な」家族と惨く悲しい「戦時」とが対比されていく。
そしてそれは、私たちに向かって、「なら、お前達はどうなんだ」と問い続ける。
観ていて辛くなる劇、しかしその思いは、私たち人類としての根源的な生き様についての解答を求める。
久しぶりの「考えさせられる」「生き方を問われる」観劇となった。
ありがたい。

一九一一年【ご来場ありがとうございました!】

一九一一年【ご来場ありがとうございました!】

劇団チョコレートケーキ

王子小劇場(東京都)

2011/12/16 (金) ~ 2011/12/20 (火)公演終了

満足度★★★★★

重厚な構成と卓越した演技力 
私のブログで「今年観た中で、劇団アニマル王子「近松ジュリエット女庭訓」が一番良かった」旨の文章を書きましたが、それに負けず劣らずの劇を観せてもらいました。
当然ながら、単純に比較することはできませんので、私にはどちらも「今年最高」という評価にとどめます。

「チョコレートケーキ」という劇団名からして、やや軽い劇団の印象で、演題からして「あの事件か」ということは分かりましたので、一抹の不安(重いテーマを茶化されるような)を抱きながら会場に赴きました。

折しも、この事件については、週刊金曜日で、鎌田慧氏が「坂本清馬」について連載をしていましたし、過去にも多少なりともかじったこと(学生時代も関心があり、「橋のない川」を読んだり、事件を調べたこともありましたし)があったことも、この劇を観る前の「不安」を増長させていました。

結論から言いますと、そんな不安は、最初の数分で吹き飛んでしまうくらいの、すばらしい劇でした。
重苦しい、息苦しい時代にあって、個々の人間は、国家と、時代の流れと、どう折り合いをつけて生きていけばいいのか。それを、過去の事件を引き合いにして、私たちにつきつけてくれました。
テーマは、今の時代にも(いや、今の時代だからこそ)有効なものです。
劇を観ながら、命と引き替えとまではいかないにせよ、似たような葛藤を日々繰り返している私の仕事について考えていました。

俳優の面々は、誰もが主人公を受け持つことができるだろうと思われるほどの、優れた演技力の持ち主。それも、みな個性的です。
王子劇場という、50人程度しか収容できない箱で上演せざるを得ないことが、心から残念に思えるほどの迫力でした。

このような劇を観たあとは、私の方から劇団に感謝を言いたくります。
本当に素敵な劇を、そして私の生き様すら問い詰めてくれる劇を、ありがとうございました。

※1つだけ・・・舞台の四方を囲んだ観客席。なかなかのアイデアでした。しかし、王子劇場の広さの会場では、私にとっては、やや観にくさの印象がありました。私の対面に座った女性は、劇が終わったあと、しきりに首を揉んでいました。(笑)


近松ジュリエット女庭訓

近松ジュリエット女庭訓

劇団アニマル王子

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/07 (月)公演終了

満足度★★★★★

劇団の勢いを感じて
古典を現代風に創造し直して、オリジナルな演劇をしていこうという劇団(合っているかな)。それだけでも劇団、劇団員の意気込みを感じます。
15回目の公演、しかも千秋楽とあって、期待して三鷹に向かいました。

そして・・・その期待を裏切ることなく、劇団の熱い思いと、それに付随した演技に圧倒されました。
2時間20分と、そこそこ長い劇にもかかわらず、休憩中も、待ちきれない思いでいるほどの気持ちでした。(まあ、タバコを一服できたのはありがたかったけれど)

まず、歯切れのよいせりふの言い回し。かなり凝縮されたせりふが飛び交うのですが、「聞きづらい」役者がいるわけでもなく、しっかりと心地よく耳に入ってきました。
舞台の設定と、役者の統制のとれた、無駄のない動きも、進行の印象を冗長させることなく、テンポ良く進められていたことも快く思われました。
台本も、しっかりと構想が練られていたことが分かりました。
現代的なジョークも挿入されてはいますが、それが劇の流れを妨げることがない。
近松の心中ものと、ロミオとジュリエットの見事な融合です。最後の場面では、めったに涙を流すことのない私でさえ、目の前がボッと曇ってしまったほどの迫真のシーンでした。
近松役の安定した演技に魅入っていました。また、これだけの人数を抱えた劇団にもかかわらず、それぞれの役者に「個性」があり、また「華」もありました。
勢いを感じる劇団ですね。

褒め過ぎかもしれませんが、中小劇団しか見ていない私の、今年の一番のものだったと思います。(まだ2ヶ月ありますが、現時点で)
こんな時は、見ていただいてありがとう・・・ではなく、見せていただいてありがとう、という気持ちになります。

シュワロヴィッツの魔法使い

シュワロヴィッツの魔法使い

メガバックスコレクション

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2013/03/29 (金) ~ 2013/04/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

脚本に感心 演技もなかなかでした
魔法使いの出てくる物語は、正直嫌いである。今まで、何度読書に挑戦したか知れない。しかし、最後まで読んだものは、残念ながら皆無。
きっと私には夢や想像力が欠如しているに違いない。読む進めるうちに、「現実はそう簡単にはいかないものさ」「魔法で解決できるのなら、なんでもありになってしまう」と、しらけてしまうからだ。
そんな私が、魔法使いの登場する演劇を観にきたのだから、不自然きわまりないのかもしれない。
正直言って、プレゼントに当たってしまった(失礼)、そして田中さん(私の元同僚)と会って話がしたいということで、阿佐ヶ谷に赴いたというところが本当のところだった。

ところが、である。
思ったよりも(また失礼)格段に面白く、しかも感心することばかり。今年観た劇の中で、一番私には心に響くものとなった。
一言で言うと「よくまとまっている劇」。

感心したのは、脚本。よく練られたストーリーと構成。そして、後段に島民全員にかけられた魔法の謎解きの巧妙さ。その伏線も含めて、しっかりとした脚本であった。まずなによりも、脚本が、その公演の正否を決定づけるといってもいいのだから、優れた土台を得た俳優さんたちと言えるのではないかと思った。あれほど、魔法使いの嫌いな私が、最後まで目を開けて見ていられたのは、そんな脚本、しかも魔法使いを「全能」にしなかったものだったからに違いない。

若い俳優の劇団には、重みが感じられない。いつもそう嘆く私であるが、今回、若い集団であるのにもかかわらず、それを感じさせなかったのは、星さん、大里さんの演技力、表現力があったからこそだと思えた。二人の演技が、この劇を「軽薄」なものにしない重しとして作用させてくれた。とりわけ、星さんの声の抑揚、間の取り方は、素晴らしいものですね。

生と死の重さ、軽さ。そして人生の切なさ。
十二分に、私に感じさせ、考えさせてくれた2時間だった。

ひとつだけ。前半に、よくモノが落ちました。暗いから、狭いからなのでしょうが、気をつけてくださいね。

ご来場ありがとうございました♪~不思議なラヴ・ストーリー

ご来場ありがとうございました♪~不思議なラヴ・ストーリー

ミュージカル座

シアターサンモール(東京都)

2014/01/23 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

素敵なミュージカルに感謝
5年間で、約90本の劇を観てきたのですが、涙が頬を伝わって落ちてしまった(!)劇は、おそらく初めてのことです。ストーリーは、歴史上の人物も役に取り込むほどの大味なものだと思いましたが、そしてあり得ない想定だとも思ったのですが、登場人物が前世からの愛に貫かれた展開に、思わず涙してしまいました。
楽しく、しかしせつないラブロマンスでした。
ミュージカルは久しぶりです。もちろん楽曲がメインとなつてくるのですが、今回は星組のアイリーン役、水野さんの透き通ったような声に魅入ってしまいました。もちろんジム役、姉役・・・周りの好演あってのものです。
今年初めての観劇を、すがすがしいものにしていただきました。感謝です。

√ ルート

√ ルート

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2019/09/04 (水) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

「悪法も法なり」すでに現場では教科としての道徳が始まり、あちこちで「混乱」を生み出しています。親からも疑問の声が上がっているには上がっているのですが、事情を知らない親、そして情けないことに周りの教員すら、「今までと同じではないか」「道徳は必要ないのか」といった楽観的な見方も蔓延しています。そんな中での観劇。よくもこれだけ丹念に取材したなと思えるほど、現場、現状に近い展開がなされていて、それだけでも感激しました。国家主導に「闘ってきた」老教師、「ヒラメ」のように上の意向ばかりを伺う教師、子育て中の母親教師、権威を誇示し、権威に弱い管理職・・・本当に学校の中は、こんな感じなのですよ。
今、目の前で起きていること、しかも黙っていれば、このまま押し切られてしまうような理不尽な事象を、ここまで正面から迫り描いていただいた劇団の皆様に敬意を表します。現場でもがんばらないといけませんね。
役者のみなさんも、それぞれの個性を発揮され、役のコントラストの表出が見事でした。
ついでに、思ったことをふたつ。
一つ目は、道徳の教材を、「手品師」に変えてみてはどうかと。私たちの現場では、一番「支持」され、そして一番「矛盾だらけ」の教材文です。ほとんどの教科書に採用されている高学年向けのものです。すみません、えらそうに。
ふたつめは、記者会見。うーーん、これはあり得ないかなと。望月記者のような親がいてこその展開ですね。ただ、あり得ないからこそ、劇で実現させる、いや、これが本来の姿なのだということもあるでしょう。観ていて、私なりにスカッとはしましたが。そう私が感じてしまうほど、現場は上意下達の、小心者の集団になっています。
初めて「Pカンパニー」さんの劇を観、これまで百本以上も劇を観てきた私の迂闊さに気づきました。今後、注目していこうと思います。
今日が楽日ですね。たくさんの方が訪れることを心から願って。
昨日は、刺激的な時間を、ありがとうございました。

express

express

PLAT-formance

王子小劇場(東京都)

2010/08/13 (金) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★

ありがとうございました
楽しく時間を過ごさせていただきました。以下、私のブログに書いた「劇評」てです。

「Express」 PLAT-Formance 第八回公演
8月14日 14時30分の部 王子小劇場

劇ではなくコント。
むむ、これはと心配したものの、最後まで飽きずに楽しく見ることができました。なにより掛け合いが絶妙でした。二人のキャラクターもうまく生かした脚本だったのでしょう。
しゃべくりはかなり速いのですが、言葉遊び、表情や動作の工夫、間のタイミングなど、笑いの要素が凝縮されたコントでした。

この手のコント集団は、テレビのバラエティ番組を安易に真似て、楽屋落ち、下ネタ、弱者・欠点あげつらいのような、退廃とも思えるほどレベルの低いものが多いのですが、そんな風潮に迎合することなく、「正統派」(?)の笑いをふりまいていました。

好感の持てる劇団です。

同行したTさんもニコニコして満足した様子。

ぜひ、「売れないで」いてほしいと思います。
テレビに出るようになり、「安っぽい」タレントになってほしくないのです。
テレビよりも生の劇場公演で活躍してほしいと願います。
切に・・・

いつになっても

いつになっても

UMBRELLA

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2012/04/06 (金) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

心の栄養をいただいた
それぞれ性格の違う五人兄弟姉妹の織り成す、心が洗われれる劇を魅せていただいた。
まず、八人の役者が適材適所。脚本は優れているが、いざそれを芝居にしてみると、期待外れに終わってしまうということが、よくある演劇界。今回は、脚本、そして役者の配置が、うまく合致して、安心して最後まで、その世界に浸ることができた。

兄弟姉妹、親子といった関係の劇には、めっぽう弱い私だからかもしれないが、何度も目の前が曇ってしまった。

気負うこともなく、絶叫で進めることもなく、ごく自然な演技が、小振りの三鷹芸能劇場には、よく似合っている。

素敵な時間をありがとうございました。


パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】

パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】

隕石少年トースター

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了

満足度★★★★

観客動員 次回に期待!!!
ああ、客が20人弱! 関西を拠点とする劇団とのことで、「義理」「伝手」でもたくさん来て欲しかったと、心から残念に思えたほど、楽しく、そして安心して見ることのできた劇でした。
「完全版というのは?」と、劇団員さん(?)に聞くと、「つまり完成度で完全という意味です」といった趣旨の答えをいただきました。それ言葉が示すように、登場人物1人1人を、「脇役」にすることなく、それぞれがそれぞれに関係しあい、絡み合うようにできています。
窓を使った場面転換にも、オオっと感激してしまいました。
ですから、1時間50分という上演時間が、少しも長く感じさせない刺激的な展開が次々と迫ってきました。(時々目をつむって寝てしまう癖のある私なのですが、今回は皆無!)
次回の東京公演では、私も客を動員しますので・・・
さらなる進化を楽しみにしています。

シット☆コム

シット☆コム

ZIPANGU Stage

萬劇場(東京都)

2013/11/14 (木) ~ 2013/11/18 (月)公演終了

満足度★★★★

テンポ良く しかも個性ぞろい
笑いをとるには、間が大切だと言われているが、それすら吹き飛んでしまうほど
テンポ良く、軽快な台詞のキャッチボールを繰り返して、あっという間の90分と
なった。
正直言って、ストーリー自体はあまり独創的でも奇抜でもない。
しかし、それでもなお、客から「爆笑」をとれるのは、俳優陣の個性であり、練習量
であると思う。
テレビ局、生放送を前にアクシデント発生。その解決、処理にあたふたするスタッフ。
常に時間との闘い。
客もスタッフの心情とシンクロするように、一喜一憂していたと感じた。(会場は、知人、
家族が多かったこともあったのだろうが)

四の五の言わずに恋しろリーマン!

四の五の言わずに恋しろリーマン!

Island

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/06/20 (木) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

爽やかさが残りました
観客と一緒に、喜び、悲しみ、ハラハラドキドキする。
そんな一体感のある劇でした。
テンポもよく、あっという間に1時間45分が過ぎてしまい、退屈な劇では、いつも「船を漕いでしまう」私は
そんなこともなく、最後まで観続けることができました。
それは、どうしてか。考えてみました。
一つに、ありふれたフツーのサラリーマンの世界という、私たちと、ごくごく至近距離の設定であったこと。
どこにでもいる、出世にも、結婚にも、保身にも、ちょっぴりこだわる、しかしそうもいかない現実のサラリーマンの世界。
それが、半ば自分のこととして、観ることができること。
脚本も、歯切れ良い台詞を連ねてあり、妙に深刻で、理屈っぽくない、さわやかさが感じられました。
最後の「落とし前」も、けっして「きれいごと」にしなかったこともグッドでした。
2つ目は、役者さんの個性。
突出した方はいなかったと思いますが(失礼!)、みな「役」になりきっていたと感じました。これは、台本をしっかりと把握
する努力と、妥協しない練習の賜物でしょう。早口を要求された場面での「噛む」場面は、いくつかありましたが、大勢に影響
なし、でした。
3つ目は、劇団の「団風」。きっと和気藹々と、しかし厳しく練習し、より上を目指しているのだなと感じました。
少し褒め過ぎかもしれません。

注文については、ひとつだけあります。
まあ、架空の物語ですから、いいのかなとも思いますが。
管理職の描き方です。実際には、こんな「できた」人はいませんよね。
まっ、いっか。

花と魚

花と魚

十七戦地

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★

よく練られた構成
近未来の劇。1時間50分、休憩なしというのは、私にとってかなりきつい部類に入ります。(すぐに眠くなるから)
ミステリーとして徐々に真相が明らかになる展開と、一地方の漁村?のゆったりとした風土とがうまく調和して、脚本自体がしっかりとした構成のもとに演じられていることに、まず好感が持てました。
ユーモアを一切排除して貫徹させている点も、昨今の安直な劇と比べて『品位』を感じさせます。
ああ真面目な劇団だなと、私には安心感を持って観ることができました。
集落の歴史と住人の複雑な関係、新生物の発現などの因果関係については、やや私の認識能力を越えたものがありましたがf^_^;、骨太の劇として印象に強く残りました。
まだ若い人が多い劇団。あと十年くらいすれば、年齢構成もバランスがとれたものになりそうで、これからも見守っていこうと強く思いました。

衛星放送に殺意を、

衛星放送に殺意を、

ハイバネカナタ

劇場MOMO(東京都)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了

満足度★★★★

熱意 白と黒
すべての衛星放送が検閲された閉塞の近未来。ジョージ・オーウェルを連想させるような、管理された社会にあえて挑戦する三人の男。着想がなかなかいい。ストーリー自体楽しんで観ることができた。

約二時間の劇で、おそらくは普通の劇の二倍はあろう台詞の多さ。よ~く聞いていると、その一つひとつの台詞の中に潜む言葉が実に豊かなのである。脚本家の言葉や表現に対するセンスの良さが伺われる。

言葉の量が多いことからして、役者はその分饒舌である。しかも早口、さらに絶叫する場面がかなりの部分を占める。

脚本家にとっては想定外だったと思うが、この豊饒な脚本ははたして成功したのか。残念ながら否。

良く言えば「宝の持ち腐れ」、意地悪に言えば「舞台を忘れたデスクワークの産物」であった。

二つの意味で、豊かな言葉は、観客の心を豊かにはしてはくれなかった。

一つは単純に、早口と絶叫で、聞き取りづらい箇所がいくつもあったこと。
二つめは、饒舌の場面で、役者の演技が停止してしまうこと。歌にたとえれば、メロディーを抜いたラップを聴いて、欲求不満になっているかのよう。

通して、役者さんの熱い演技は胸を打つものがあっただけに、それが「力み」として受け止められてしまったことは残念至極。

言葉を控えめにした、演技で勝負するものを次回以降に期待したい。

「エダニク」「サブウェイ」

「エダニク」「サブウェイ」

真夏の極東フェスティバル

王子小劇場(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

安心感と緊張感
舞台装置は、みすぼらしい限り(あえて?)なのですが、それをもってしても、収穫ありの観劇でした。
台本、そして役者の演技力、この両輪がしっかりしていると、安心して劇の世界に浸ることができるものです。
今回は、そのどちらもが満足のいくものでした。

会話中心の劇、といってもいいのでしょうが、それを楽しむと同時に、いつ「爆発」するかもしれないという緊張感も一緒に体験することができて、あっという間に終わってしまった感がありました。
とりわけ、「沢村」役の原真さんの演技力に惹かれました。よどみない台詞を、ひとつひとつ抑揚を変えたり、間をとったりと、これこそ「プロだなあ」と思わせました。

屠殺場という舞台だけに、内容的に難しいところもあったことだと思います。ただ、その点については、意図的か、または無意識にか、さりげなく「流した」感じがしました。(「差別問題」が絶対ではありません)

[ty.]

[ty.]

コメディユニット磯川家

こった創作空間(東京都)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/22 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しめました ありがとう
まだ粗削りの感はありますが、爆笑に近い反応をお客さんからもらっていたと思います。
9人の役者が、オムニバス調で13のコントを演じます。おそらくはたくさん練習しただろうなと思わせる公演でした。
パンフレットには「楽しかったらなんでもいいじゃない!」とありましたが、もちろん異論はないのですが、それを書かないでも十分に楽しい1時間半でした。
爆笑とはいかないまでも、各々の場面でよく笑いました。

コナンはややしつこいかな、「ハゲ」ネタは最小限にしてほしいなど注文はあるものの、まだまだ伸びるユニットだと感じました。

今宵 片眼は死に場所を探す

今宵 片眼は死に場所を探す

Island

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/05/13 (木) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

満足度★★★★

構成に妙あり
たぶん脚本を書いて演出も手がけた今泉さんが一番楽しんでいたのではないかと思われるほど、登場人物に色をつけ、しかけを駆使した、なかなか面白い劇だと思いました。

占いに支配された中国にある、とある国の、豪族の家に起きた、二つの「毒殺」 (?)事件の真相が、占い師により徐々にあきらかにされていく。
終盤になって、展開はやや煩雑になっていきますが、それでも役の一人一人に彩りを加えるためには納得できる範囲。

最後まで眠ることなく、楽しませていただきました。
役者さんもまだ若く、これから伸びていく劇団だと予感できました。

一つだけ、不満。
それは劇団の年齢構成です。みなさん、若くて・・・
それはそれで、活気、元気が豊富なのですが、一人でも二人でも「年長者」が欲しいと思います。
今回の劇にしても、台詞のテンポがみな速くて、同じ調子なのです。(ラウにしても、ゆったりとした台詞なのですが、会場を重くはできません)
ここに、齢を重ねた俳優が一人でも入っていたら、もっと味のある雰囲気になったのにと思いました。

それは、公演を重ねていくうちに、「客演」という形で解消できるかなとも思いましたので、あまり心配はしていませんが。

次回の公演も楽しみです。

「霞葬(かすみそう)」公演終了しました。

「霞葬(かすみそう)」公演終了しました。

劇団印象-indian elephant-

吉祥寺シアター(東京都)

2010/07/16 (金) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

心をふくらませてくれました
私のブログに書いた感想です。

「今年観た演劇の中で、一番独創的で、インパクトの強いものでした。(まだ半年近くも今年は残ってはいますが・・・)
最初、「いわなが」が飛ぶシーンから始まったときに、
「あ、不条理劇かもしれない、しまった!」と思ったのですが、それも杞憂。

のんびりとした時間の流れの中で、やさしい雰囲気の物語がすすんでいきます。
軽い台詞の連続ながら、無理なく耳に、頭に、心に入ってきます。

やっかいな、時間がテーマの劇でしたが、これもメルヘンのようなストーリーの中に
「隠喩」のようにさりげなく横たえているようで、押しつけがましく感じられることはありませんでした。

「日韓交流」と銘打った劇でした。ミカ役のベク・ソヌさんの演技も、それぞれの年代を、それぞれの魅力で演じていていたと思います。(在日の方?日本語も上手です)

関心したのは、場を転じる時の工夫です。暗転を使わずに、常に誰か一人を残し、それから次の場面が引き継がれる手法は、見事でした。

七人の役者が、みな個性的であったことも、劇団の強みです。

今朝の朝日新聞の「天声人語」に、ジョークが載っていました。
たびたび遅れる列車に腹を立てた客が、「こんなんじゃ、時刻表なんていらないじゃないか」 それに駅員が答える。
「お客さん、時刻表がなくなったら、遅れているかどうかわからなってしまいます。」

関係ないかな。いや、時間や「老い」や「死」もそう。
否応なくつきあわされているからこそ、制御できないからこそ、それはまた貴重なものなのだ、と。

示唆に富む、素敵な劇に出会えた感じでした。」

ありがとうございました。

糞尿譚

糞尿譚

劇団俳小

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2011/01/22 (土) ~ 2011/01/29 (土)公演終了

満足度★★★★

骨太です
父と一緒に観て、語り明かしかった。
一緒に行ったT先生と同じ感想を持ちました。

勧善懲悪でもなく、ハッピーエンドでもなく、1人の正義の味方のヒーローが登場するでもなく、徹底的に人の裏表をさらけ出す。
学生時代に感動した「どん底」を思い出させてくれました。

2時間半と、休憩をはさむ長い劇なのですが、そのパワフルな演技に眠気も生じることなく見続けてしまいました。
ずっとこの劇団は、注目してきた劇団です。一番気に入っているのは、その「真摯さ」。

きっと興行的には厳しいのでしょうが、いつまでもがんばり続けてほしい劇団でもあります。

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