満足度★★★★★
重厚な構成と卓越した演技力
私のブログで「今年観た中で、劇団アニマル王子「近松ジュリエット女庭訓」が一番良かった」旨の文章を書きましたが、それに負けず劣らずの劇を観せてもらいました。
当然ながら、単純に比較することはできませんので、私にはどちらも「今年最高」という評価にとどめます。
「チョコレートケーキ」という劇団名からして、やや軽い劇団の印象で、演題からして「あの事件か」ということは分かりましたので、一抹の不安(重いテーマを茶化されるような)を抱きながら会場に赴きました。
折しも、この事件については、週刊金曜日で、鎌田慧氏が「坂本清馬」について連載をしていましたし、過去にも多少なりともかじったこと(学生時代も関心があり、「橋のない川」を読んだり、事件を調べたこともありましたし)があったことも、この劇を観る前の「不安」を増長させていました。
結論から言いますと、そんな不安は、最初の数分で吹き飛んでしまうくらいの、すばらしい劇でした。
重苦しい、息苦しい時代にあって、個々の人間は、国家と、時代の流れと、どう折り合いをつけて生きていけばいいのか。それを、過去の事件を引き合いにして、私たちにつきつけてくれました。
テーマは、今の時代にも(いや、今の時代だからこそ)有効なものです。
劇を観ながら、命と引き替えとまではいかないにせよ、似たような葛藤を日々繰り返している私の仕事について考えていました。
俳優の面々は、誰もが主人公を受け持つことができるだろうと思われるほどの、優れた演技力の持ち主。それも、みな個性的です。
王子劇場という、50人程度しか収容できない箱で上演せざるを得ないことが、心から残念に思えるほどの迫力でした。
このような劇を観たあとは、私の方から劇団に感謝を言いたくります。
本当に素敵な劇を、そして私の生き様すら問い詰めてくれる劇を、ありがとうございました。
※1つだけ・・・舞台の四方を囲んだ観客席。なかなかのアイデアでした。しかし、王子劇場の広さの会場では、私にとっては、やや観にくさの印象がありました。私の対面に座った女性は、劇が終わったあと、しきりに首を揉んでいました。(笑)
2011/12/30 18:22
ご来場有難うございました。
劇団名から想像すると有り得ない世界観でお芝居を作ってるって、よぉく言われます。
名前とのギャップをお客様へのいい意味での裏切りになれればと。
劇団アニマル王子はウチの劇団員もお世話になったことのある劇団。素敵なコメント嬉しく思います。
これからも劇団チョコレートケーキを宜しくお願いいたします。