ヨウの観てきた!クチコミ一覧

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庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ

シアタートラム(東京都)

2010/06/06 (日) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

アングラ再考
これはむしろジャズで観たかった。
タイトルや出演者、そして見世物という立場などからこれは「アングラ」への批評的な舞台だなあというのは容易に窺えたので、その考察を読み解いていくという楽しさで終始退屈しなかった。
とりあえず私見では、論点は合理性の究極システムであるはずの西洋医学が、実はアングラが提示してきた前近代的な奇怪な「身体」を最も本質的な次元でとりあつかっているじゃないか、という所にあると読み取ったのだがどうなんだろ。

医療器具の設置が一つグラグラしていてヒヤヒヤさせられたのはちょっと残念。

ネタバレBOX

あれだけ臓器をゴリゴリ取られているのに心電図が動き続けているだとか、ものすごい形相で(死なせないように)腹に布詰めまくるだとか、冷静に考えたら根本的に馬鹿馬鹿しいことをやっているのに、西洋医学(的な手順)で見せられると、なんだかまだ生きてそう、あり得そうとか一瞬思わせてしまう説得力があるんだなあと。
胃のオカリナが不協和音を奏でるシーンが好き。やっぱり人体で音楽を奏でても和音にはならないでしょう。
おばあちゃん家のニワオハカ

おばあちゃん家のニワオハカ

鳥公園

市田邸(東京都)

2010/03/17 (水) ~ 2010/03/23 (火)公演終了

満足度★★★★

こちらとあちらの曖昧な境界
市田邸をぐるりと取り囲み、過去と現在と現実と非現実が緩やかに入り組んだ、人間の汚さ美しさ全てをひっくるめて昇華してゆく生命と介護の話。
座席から観える範囲は限られていたが、軒先、台所の音、二階の生活音、家一軒が丸ごと一つの舞台装置となりこの場所でしかなし得ない空気感を生み出していた。
内容も視覚も抽象というほどまではいかないが、独特のイメージ力が目立つ美術畑な匂いがし、演劇というよりも物語性の強いインスタレーションといった方がニュアンスが近いように思った。市田邸にふさわしいという以上に、上野という場所にふさわしいといえるかもしれない。
明瞭なストーリーや感情を追いたい人には向いていないかもしれないが、観ているうちにだんだんと一粒の滴が起こした波紋のように静かに心が揺れる。
まだまだ荒削りの部分も見えたが、見終わって「いいものを観た」とじんわり感じることができた。気分は☆4.5。

境界の曖昧性が高い内容に沿って境界の曖昧性が高い空間での観劇だったので、これから寒い日・雨の日・夜に行く方はちゃんと着込んで行った方がよいかと。

ネタバレBOX

作品内唯一のお笑いパート(先生と生徒もちょっとお笑いパートか)、徹子の部屋がドツボだった。徹子さんの完成度の高さに脱帽!友近のモノマネより好き。

細かい事だがちょっと気になったのはおばあちゃんの死装束。合わせが逆だったのは作為?

関係ないが観劇前や観劇後についでだからと国博の長谷川等伯展に行こうと思ってる人は要注意。昼間だったら外で80分待ち。中は人がごった返していて絵を見るどころの話じゃない。
ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★★

ドナー編観劇
悪くはないが期待したほどには心揺さぶられず。
役者に委ねられている部分が舞台の引力を巻き起こす鍵になっていた割には、人間性の濃度を感じることが出来ない役者がどうも目につき、引き込まれなかった。

完全な真空×BLACK BOX

完全な真空×BLACK BOX

演劇ユニットG.com

テアトルBONBON(東京都)

2010/03/24 (水) ~ 2010/03/28 (日)公演終了

満足度★★★★

地面の下の迷宮
「完全な真空」はまるで世にも奇妙な物語のお手本と言いたいぐらいすっきり明快きちんと作られていて、ひたすらごちゃごちゃ捻くれたものの方が好みな自分には逆につまらなく感じた。
そうはいっても「完全な真空」は物語と世界の構造のバランスがちょうどよくそれなりに好みだったのだが、「BLACK BOX」は後半わりと世界の構造がおざなりになり人間関係で終わった印象があって、キャラクターは面白かったのだが話に物足りなさが残った。

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

冨士山アネット

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/01/14 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

越境
ダンスから、美術から、文学から、音楽から、ジャンル越境は各分野からアプローチされてるけど、演劇属性からのアプローチが一番皮膚感覚に合うなと実感。
一つのライブとしては、ノれないやらイケイケやらノらせないやらスマートやら団体によってみさせ方の触れ幅が大分あったので、観客テンションの持ってき方難しい、という点が残念。

アメリカン家族

アメリカン家族

ゴジゲン

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★★

高い所からこんにちわ
家のセットが模型のように見える位置から舞台を観ていたので、ずっと入り込むというより俯瞰している感覚だったのだが、「家」が壊れ出す瞬間「あ、ここの席正解」と思った。

ハル大学『カガクするココロ』

ハル大学『カガクするココロ』

青年団国際演劇交流プロジェクト

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★

演じることで見える文化交流
勝手にイングランド独自の口語表現みたいなものを想定して行ったので、がっつり「翻訳劇」という位置づけだったのは少し戸惑った。
日本版の「カガクするココロ」は未見だが、仕草や動作の背景が異なることによる感覚的な違和感、またアフタートークで役者が感じていた違和感を再確認する中で、「日本の身体」の特異性がくっきり見えてきたように思う。その他日本作品の翻訳劇という分野の展開、そして自分の語学力について、色々と考えさせられる公演だった。
ところで度々取り上げられた「岐阜」問題。岐阜に抱くイメージが全くなかったので最後までいまいちピンとこなかったのだけれど・・・あれはなんだったんだろ?

スリープ・インサイダー(ありがとうございました!またいつか!)

スリープ・インサイダー(ありがとうございました!またいつか!)

boku-makuhari

アトリエヘリコプター(東京都)

2010/03/26 (金) ~ 2010/03/31 (水)公演終了

満足度★★★★

確固たる主体などない
全体的にどういうことなのか何となくわかったつもりになってるのだが、ああ言葉にできない。過去に起こった花火大会の夜を2話を貫く軸にして、けれど三人称までの主体客体、関係の固有性の境界が溶けかき混ざってしまっている?
「私」の不確実性を始点にしている芝居を最近よく見る気がするのだが、これはとりわけ複雑。
最後まで興味深く観たのだが、終始頭で創って頭で観る演劇という印象があり、感覚的に観せようとしているように見えた部分も、肌に浸透せず表面を滑っていく感触だった。

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『ポンコツ車と五人の紳士』

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『ポンコツ車と五人の紳士』

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2010/05/06 (木) ~ 2010/05/08 (土)公演終了

満足度★★★★

舞台の始まり
柴幸男の演出欲を制限し、役者の熟練された力で戯曲の強度や面白さをみせることを優先させたリーディングで、別役実の不条理な世界の面白さが純粋な形で楽しめる。
けれど今作はリーディングとして完結されているというよりも、戯曲が役者によって立体になる、舞台の始まりの時間として位置づけた上での最上の形を模索した結果のようで、今後、最終的には身体動作を含めた三次元舞台作品へ展開していくことをどこか期待させる。
個人的には柴演出がリーディングよりものびのびと発揮できそうなそちらの方が観てみたい。

笑う魔女の罠~Traps of the Laughin' Witch~

笑う魔女の罠~Traps of the Laughin' Witch~

劇団三年物語

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2010/05/16 (日) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★

延々と罠に引っ掛かる
それなりに楽しかったが、展開も笑いも自分にはノり切れず時間が長く感じた。
和田成正さんの眼と動きの気持ち悪さは、出てくるだけで笑ってしまうほど抜群だった。

あそび

あそび

山田ジャパン

サンモールスタジオ(東京都)

2010/07/14 (水) ~ 2010/07/20 (火)公演終了

満足度★★★★

うん
きちっと笑いを取ってきちっと物語を収める、安心度の高い舞台ででいいと思う。

武蔵小金井四谷怪談

武蔵小金井四谷怪談

青年団リンク 口語で古典

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/04/17 (土) ~ 2010/04/29 (木)公演終了

満足度★★★★

伊右衛門なんて知らない
仮にも四谷怪談と銘打ちながら、終いには物語の粗筋まで投げる始末。
味も素っ気ない粗筋テロップが、一度はまあ古典に引き寄せようかなとは思ったけど嫌になるでしょそりゃ、と言わんばかりにつらつら流れる様をみて爆笑。
このふざけた感じ。
これを「ふざけやがって」と怒れないのは、古典にそういう姿勢で臨んだっていいじゃんという、ある意味現代性の一つの本音を体現したという一面への共感と、四谷怪談を放棄しながらも一本の芝居として(そして2部に関してはうっすら落語として)成立させる力量を持っていること、またどうにもこうにも「岩井秀人」という人間に魅力を感じてしまうためなのだろう。
ダメな亭主に惚れる女の気持ちとはこういうんだろうか。
よしヒッキー観に行こう。

「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010

「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅 2010

ハイバイ

PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)

2010/05/25 (火) ~ 2010/05/26 (水)公演終了

満足度★★★★

経験者組観劇
この作品観劇後何人か違う人のひきこもり役を観たけれど、岩井秀人が演じるひきこもり役の身体は別格で本物。

裂躯(ザックリ)

裂躯(ザックリ)

乞局

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/06/16 (水) ~ 2010/06/21 (月)公演終了

満足度★★★★

批評される「親」
「子」に観察され批評される「親」と、疑似家族を再構築することによって引きつれがあぶり出される「子」。「家族」の行方を描いた作品は最近いくつも観てきたが、中でも傍観的で挑発的な視点。考えさせられる事が多かった。
前半と、後半のわしづかみ具合がハンパなかったのだが、「外」の視点が介入された中盤が手応えがなかったように感じたのが残念だった。

ヒメ

ヒメ

チェリーブロッサムハイスクール

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/01 (木) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★

新感覚劇場空間
シンプルながら吉祥寺シアターという劇場の面白みを存分に活かしている。それだけでかなり満足感がある。
光や音楽の使い方、テンポなどからは比較的はっきりした演劇を目指している様子が見えたのだが、諸処沸騰寸止めで火を止めるようなもどかしさを感じた。そのためかわからないが全体的に観客との同調率がよくなかったように思う。演出が芝居のバイオリズムを意識していくともっと見応えのある舞台になる予感。
チェリーさんの手話で音楽を奏でるシーンが美しくてすごく好き。あれずっと観ていたい。

パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】

パペット・オン・ザ・パニック 完全版【全ての公演は終了致しました。ご来場いただき本当にありがとうございました!!】

隕石少年トースター

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/02/17 (木) ~ 2011/02/21 (月)公演終了

満足度★★★★

可もなく不可もなく
というのが正直な所。
ウィルメイド進め方をする作品だったので、ラストにかけてぐんぐん盛り上がって終わるのかなと思って観ていたら、思ってたよりあっさりな終わりでちょっと物足りず。
OPの窓の使い方がよかったなあ。

おにもつ

おにもつ

東京マハロ

笹塚ファクトリー(東京都)

2010/09/03 (金) ~ 2010/09/12 (日)公演終了

満足度★★★★

ウチ的共同体
普通に楽しく観れはするものの、苦手な空気。
よき時代幻想というか、なんとなく昭和のかほりのする舞台だなあと。

ネタバレBOX

家族型経営のウチ感覚の歪さがラストになって思いっきり顕在化して引いてしまった。飲酒運転していて人をひいたという事実が二の次にくる感覚はよくわらからない。
寝台特急”君のいるところ”号

寝台特急”君のいるところ”号

中野成樹+フランケンズ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

月子さん
誤意訳・ワイルダー初体験。
誤意訳というのは日本語を話す現代の身体に合わせて適宜調整された翻訳(翻案?)ということで大筋間違っていないだろうか。名前は西洋圏のままだったけど、身体感覚は日本のものだったので、新劇調の翻訳物に感じるような違和感がなかったのはとても新鮮だった。おかげで変な所に惑わされず本質に近い(と思われる)ところで内容を追うことができたと思う。
どこまでが原作通りでどこまでが演出なのかはわからないのだが、物理的な制限から自由な視点が内、外、さらに外へと向かって同心円状に拡大する軌道を描く涼やかな時間が美しい。ワイルダー好きかも。 

ネタバレBOX

劇中劇の部分とそうでない部分の差が演技のレベルで上手く区別化されておらず、観ていてすんなり理解につながらない場面があったのが残念。
忘却曲線

忘却曲線

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2010/09/06 (月) ~ 2010/09/12 (日)公演終了

満足度★★★★

いい作品と思う
しかしすこし昔の文学作品のような、静かにじわりと観せる作風がちょっと好みに合わず多少体感時間に長さを感じた。舞台にはもっとガチャガチャしたものを期待してしまう性質なので。

 『F』

『F』

青年団リンク 二騎の会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/01/29 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

俺とお前がこの場所で
なるほど口語はこういう舞台に活きる。
個人的に女子胸キュンな関係性や展開というものが好みではないので楽しめたかというとほどほどなのだが、じんわり素敵な舞台。

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