雨模様の観てきた!クチコミ一覧

1621-1640件 / 3372件中
Day By Day

Day By Day

劇団かさぶた

OFF OFFシアター(東京都)

2014/01/23 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★

【豚チーム】観劇
役者の経験を盛り込んだような感じでした。

ネタバレBOX

アパートの一室における年末年始の風景。

役者をしている奥さんの妹が、役作りのため夫婦を観察しようと突然押し掛けて来て、夫がどんな反応をするかを調べるために、奥さんが妊娠したと捏造までするのは如何なものかと思いましたが、芸のためなら何でもありで、チケット売ってなんぼの根性はそれはそれでお見事でした。

妹のあざとさに加え、奥さんに今もなお恋心を抱く友人がいたり、役者に未練を残す友人がいたりと、爽やかさはあまり感じられませんでした。

究極は、最後の舞台挨拶で、奥さん役の役者さんが何が面白く無いのか沢尻エリカ嬢のような仏頂面で突っ立っていて、こちらのテンションは一気に下がりました。

台詞の覚え方には色々あると思うのですが、マーカーで色を塗る行為が自分を特別視するということで批判されるとは知りませんでした。

新年になって誰も明けましておめでとうと言わないのも変でした。
二十世紀の退屈男

二十世紀の退屈男

劇団三日月湊

上野ストアハウス(東京都)

2014/01/23 (木) ~ 2014/01/27 (月)公演終了

満足度★★★★

しっとり
理解しづらいところはありましたが、人の数だけ様々な想いが詰まっていました。

ネタバレBOX

小汚いボロアパートの一室ですが、そこには過去に住んでいた人たちの想いが残っているという話。

向上心のある人は転居後成功したかもしれません。家族持ちは一軒家を建てたかもしれません。田舎に帰った人もいれば、学生さんは卒業して出ていきます。転居しても代わり映えのしない生活を繰り返す人もいれば、終の棲家と考えていた年寄りもいたでしょう。そして、残念なことですが、事件に巻き込まれた人や自殺した人もいました。アパートにはそんな歴史が詰まっています。

若い男性の遺書のようにも思われましたが、出したのが女性だとすると、手紙の意味や流れが良く理解できませんでした。手紙をグイグイ押し当てて若い男の額にも傷がつき、退屈男が二人になってしまってややこしくなりましたが、真の退屈男は若い男だったということでしょうか。

銭湯シーンがありました。元々南河内万歳一座の作品ですからあって当然なのですが、肌色のパンツを履いている安心感からか、二つの湯桶を動かしながら隠し切る芸に緊張感がありませんでした。本当のところは分かりませんが、南河内万歳一座の役者さんたちだったらパンツは履いていなかったのではないかと想像してしまいます。

劇団5454『マザー』での活躍が印象に残る佐瀬恭代さんの顔芸は見ものでした。不動産屋の事務員さんの変顔も良かったです。

何年のカレンダーかと気になって、帰りに良く見てみようと思っていたのですが、ラストで今の住人に片付けられてしまい分からずじまいでした。小憎らしい演出ですが、そこが良いのだと思いました。
フローズン・ビーチ

フローズン・ビーチ

トライアングルCプロジェクト

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2014/01/23 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

ゆ・び
ケラさんの原点の一つを知ることができました。

ネタバレBOX

1987年、1995年、2003年の時期に南の島の別荘において、女たちのそれぞれの好き嫌いによって繰り広げられる冗談とも本気ともつかない殺人、狂気じみたいたずらの数々のエピソードと、そして一方で、何回かのリゾート開発ブームに踊り、地盤沈下で沈んで、ハイそれまでよとなる島という危うい土台の上に乗っている人間たちの愚かしさを描いた作品。

場所が定かでない、その土地では言葉も何語を話しているか良く分からない、狂気じみている、魔法が使える人がいる等々から、ケラさんの『祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~』を思い出していました。

『フローズン・ビーチ』だけではないのかもしれませんが、ケラさんの原点の一つを知ることができて良かったと思います。逆に言うと、新しい発想というものは中々生まれてこないということも分かりました。

双子の入れ替わりは、もっと複雑で観客を惑わすものかと思っていましたが、継母の浮気写真を見てアッと叫ぶようじゃ誰でも気付きます。あっさりしていて拍子抜けしました。

石田えりさんは、イメージよりも上下に圧縮したような印象を受けました。
続ける理由

続ける理由

おかぼれ

座・高円寺1(東京都)

2014/01/22 (水) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★

自己満足的
良かったのは初っ端のドキッとするところだけでした。

ネタバレBOX

演劇やってて全くお金のない男性がいたり、昭和生まれの15歳のキャッチフレーズでアイドルやっている30歳の女性がいたりして、男性はスケボーで路上の車に傷をつけ因縁を付けられたり、女性はDVDのオファーがあって喜んでいたらAV的なものだったりと、明るい未来は見えていません。それでも演劇やアイドルを続ける理由は何でしょう。分かりませんでした。

少なくとも、出演した役者さんたちはバンドを組んでノリ良く音楽やっていて楽しそうでした。もし、彼らが頭上で手を叩く仕草でもしてくれれば一緒に手拍子を打とうと思っていましたが、彼らは自己満足的で何もしないのでただ聞くだけでした。

金のない役者のはずなのにアンケート用鉛筆の回収を呼び掛けもしないちぐはぐさ、貧乏役者や貧乏アイドルが切実な生の声を語るには似つかわしくない立派な公的施設でした。

安藤聖さんが魅力的なことだけは分かりましたが、あとは何も伝わって来ませんでした。
No Regret No Life

No Regret No Life

文月堂

RAFT(東京都)

2014/01/21 (火) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

素敵な三編
少し気が利いていました。

ネタバレBOX

『低気圧ガール』  いい夫、いい父親、いい息子である男が、店のバイトの子に手を出してややこしくなってしまい、パートのおばちゃんに諭されたりして後悔しますが、目の前のチャンスにはつい栄養ドリンクを飲んでしまうという話。

『朝顔』  アサガオを育てる体験学習が元で起きた子供のけんかに文句を言いに来たそれぞれの親と保育士の会話。子供同士の仲直りの早さを見て、妻と離婚した経緯に後悔したりする父親でしたが、保育士の男性から言い寄られてまあびっくり。こちらの方は後悔先に立った感じでした。

『NO REGRET NO LIFE』  主人公と航海する妄想を見ながら作品作りをしている人気絵本作家ですが、今妊娠中の友人と比べ、人生の幸せとは何かを考えたり、この人気シリーズの終着点を思案したりする話。

主人公シオンや一緒に冒険するポンタたちの名前が、『朝顔』のアサガオに付けられた名前だったり、『低気圧ガール』のパートのおばちゃんが家出した息子を追っかけて行った先が沖縄で、そんな沖縄のお菓子が作家の許に送られて来ていたりと、三つの小編がここで少し繋がり、少し気が利いていて、心が少し温かくなりました。
しろたへの春 契りきな

しろたへの春 契りきな

演劇集団 Ring-Bong

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2014/01/18 (土) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

京城と呼ばれていた時代
京城においての日本人の立ち振舞、そうだったのだろうなと思いました。

ネタバレBOX

ピアノが弾けて、歌が上手くてびっくりしました。ショパンの「革命」には、あまりの上手さに本当に凄いと一瞬騙されました。

現代日本の茶の間の風景と、1942年から1946年にかけての京城、ソウルの情景が交錯して描かれた作品。

抗日活動は日本総督府によって弾圧され、祖国統一運動は、その主張の立ち位置如何で韓国政府に弾圧されました。キム兄弟を巡る痛ましい悲劇がありました。雪乃も日本に来ていれば違っていたのでしょうが、雪乃が韓国に残ったことでそんな彼らと血縁であることを芽は一切知らないまま老いを迎えました。

どうしても終戦間際の話題が取り上げられがちですが、芽の義理のお兄さんが言っていたように、韓国併合はインフラ整備や教育、技術移転で貢献した面もあると思うと色々考えさせられます。

夫からありがとうが言ってもらえず、夫婦の危機を迎えていた芽の孫娘ですが、そう言えば自分もお母さんにありがとうを言っていなかったことに気付く普通にいい話の側面もありました。
王さまの悲劇【☃当日券☃毎日あります☃】

王さまの悲劇【☃当日券☃毎日あります☃】

皿小鉢

OFF OFFシアター(東京都)

2014/01/16 (木) ~ 2014/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

変てこで面白い!
胡散臭く不思議な雰囲気、好きでした。

ネタバレBOX

丸刈りの男は、チャラチャラしたネックレスを付けているところや、彼のアパートに住んで、彼の店に勤めている女性たちの出勤時間が昼夜不定期な感じを受けるところから風俗関係のようで、いい加減で終始胡散臭く、不思議な雰囲気を醸し出していました。

その男の顔かたちですが、下北沢のヴィレッジヴァンガードで見たシュールでトボケたアニメの主人公のようなイメージでした。彼の弟が宇宙人に洗脳されるが如く王冠を被らされるシーンには、SF的展開になるのかと息を呑みましたが、夢オチで軽くいなされ、でも、それはそれでお洒落でした。

今カノが王冠をかぶっていた理由がテレビのクイズ番組で五週連続勝ち抜き中だったとは驚きでした。何でも分かるとは、超能力ではなく知恵と洞察力があるということだったのですね。ここも、さらりと現実的で良かったです。
天啓を浴びながら卒倒せよ

天啓を浴びながら卒倒せよ

綾門企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/01/16 (木) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

公共の場とは?!
スピード感のある心地良いパフォーマンスでした。

ネタバレBOX

公共の場について考えさせられました。人が集まるところが公共の場ではなく、SNSが公共の場になりつつあるという話はとても新鮮でした。

なるほど、授業中に先生を無視して平気だとか、トラブった隣人の写真をSNSにアップしてバカにしていたら、実は自分の大学の先生で、しかも自分が受けていた授業の先生だったことが分かり、退学させられたか、させられそうになったとか、公共の場でオイタをするとしっぺ返しがありますよという教訓は、どこが公共の場でどこが公共の場でないかを如実に示していました。

お芝居が始まる前のことですが、一番前の桟敷席に座った若い女性が足を伸ばし切っていて、前を歩くお客さんが歩きづらそうにしても一向に足を縮めなかったのは、正にこのことだったのかと得心しました。

四人が、あるいは五人が、声を揃えてやや早口でしゃべるパフォーマンスなどは結構大変そうで、聞いていて心地良かったのですが、ここにあったエピソードを普通の芝居仕立てにしたらもっと面白くなったのではないかと思いました。
「日」本ヘラヘラなぐさめあい in flont of ロボット・演技性人格障害・紗羅薔遺兎子の聖聖瞬(DQN or 中二 mixmax)→ていうかそれすらどーでもいいから神待ちhapppppppppy!!!!!!!!!

「日」本ヘラヘラなぐさめあい in flont of ロボット・演技性人格障害・紗羅薔遺兎子の聖聖瞬(DQN or 中二 mixmax)→ていうかそれすらどーでもいいから神待ちhapppppppppy!!!!!!!!!

宗教劇団ピャー! !

王子小劇場(東京都)

2014/01/16 (木) ~ 2014/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★

聞く力
前のめりで視野狭窄的に語る作家さんが熱かったです。

ネタバレBOX

聞いてもらうことで気持ちが落ち着く。聞いてもらって、見てもらってが彼らの宗教ということでした。そして、聴いてあげたお客様も神様になっちゃいました。

ロボットについても、歴史観なんてその人その人の一方的なものだから完成したらどうなるのかと心配しましたが、人の話を聞くだけの装置で安心しました。

一つ一つの小さなエピソードは面白かったような気がします。生き方盗人団の男子二人はアンガールズがいやいやをしているようでした。
MOMO

MOMO

STUDIO D2

萬劇場(東京都)

2014/01/16 (木) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

ダンスミュージカル
無駄な時間って何だろう。

ネタバレBOX

普通に働いている人たちが人生に満足できないのは、日々の仕事に忙殺されて、やりたかったことができないと思い込んでいるからなのでしょうか。

人々は目的を達成するために無駄な時間を省いて灰色の男たちに時間を預けますが、後で返してくれるとも思えず、灰色の男たちにゆとりの時間を盗まれるだけのようでした。

灰色の男たちは、個人個人からちまちま奪うのが面倒くさくなり、時間を管理する神様から丸ごと奪おうとしますが、それをMOMOが防ぎ、人々はゆとりを取り戻すという話。

亀のカシオペアは、甲羅にもう少し厚みがあれば良かったとは思いましたが、殊の他亀に似ていて驚きました。

無駄な時間の一つに、どうせ大成もしないのにダンスと歌のレッスンをしているというのがあって、D2自虐ネタには笑ってしまいました。
 燕のいる駅

燕のいる駅

Theatre Polyphonic

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/01/14 (火) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

【A CAST】観劇
土田さんの1997年初演版を観ることができました。

ネタバレBOX

環境汚染が進み、外国人排斥政策が施行されている日本人社会の世界を、断片的な情報から推測してみる話。

日本村4番から外には出られない。線路沿いに歩けば出られるのかもしれない。パンダ型の雲が大きくなると人間は生きていられないらしい。居住が許された外国人にはバッジ装着が強制されていて、赤色の方が緑色より序列が上。

日本人社会ですが、そもそも日本列島にあるのかさえ確証が持てません。原発事故による空気汚染を防ぐために、日本村ごとに透明のドームで覆われているように想像していましたが、病気の進行が早いので、村ごとに壁で仕切られているような気がしました。

でも、そんなに急にみんな耳が聞こえなくなってしまったっけ。そんなに死が迫っていたっけ。もっと漠然としていなかったっけ。駅員のようにもっとのんびりと不安や滅亡が進行するんじゃなかったっけ。そもそも、漫才師なんていたっけ、巨大なミミズはいなかったっけ、と思っていましたが、今回のが1997年初演版ということで、観ることができて感激です。

ところで、発表会的要素が強いので仕方ないのかもしれませんが、15分のアフターアクトの『侵入者』(脚本:宇野イサム)も含めて全体に一生懸命感が出過ぎていたように感じられました。小栗剛さんが出演されていたのは驚きでした。当日パンフレットで知りました。
Fairy Floss

Fairy Floss

私立ルドビコ女学院

上野ストアハウス(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★

お出向に照れました。
ルドビコ★ 『深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~』 を思い出しました。

ネタバレBOX

漫研の緒方有里沙さん素敵。そして、色々あってやっぱり漫研だった為近あんなさんも素敵でした。生徒たちの中には背の高い宝塚風の人や、ちょっとふくよかな人もいるなど個性的で、これからも幅のあるストーリーができるものと思いました。

で、話はパラレルワールド物。憧れの同級生のために殺人。それを別の同級生が光の屈折と音楽の融合を利用して時間を殺人前に戻し、殺人を犯さないパラレルワールドを新たな現実にしてくれましたが、今度は憧れの君が殺人を犯すことになってしまいました。悩んだ挙句、もう一度、今度は彼女が光の屈折と音楽の融合を利用して憧れの君に出会う前に戻し、憧れの君と親しくなるという幸せを捨てることで殺人のないパラレルワールドを歩むことになるのでした。

都合が悪くなると前に戻るのはあまりにも安直。切ない代償は払うものの、今度は別の同級生が漫研の友人になっていたなど意外とハッピー。

そして、ルドビコ★ 『深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~』 を思い出していました。ある条件が重なったときにパラレルワールドへ行ってしまうという話で、パラレルワールドは一つじゃなく、作者の勝手でしょと言わんばかりに延々と別のパラレルワールドに行くので、もういつ終わるのかと、やり過ぎパラレルワールドに疑問を抱くきっかけになったのを今でも覚えています。
櫻ふぶき日本の心中

櫻ふぶき日本の心中

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

ツアーガイドに導かれ
皆さんピタッとハマっていました。

ネタバレBOX

盲目の市たちに導かれながら時代時代の心中を見て回るのは、まるで学習院女子大学で観た『女子大生100年日記』のおっさん版のようで、随分汚いツアーガイドに案内されるものだと思いながら観ていました。

江戸時代の心中で生き残ったお女郎さんの話、戦後まもなくの元海軍の軍人さんと肺病のお女郎さんの話、村の娼婦的役割の娘と学生運動に挫折した青年の話、後で双子の兄妹と知った男女の話等があり、どちらかというと、桜が似合う古典的心中物が中心でした。

派手ではないですが、腰の定まった殺陣はさすがでした。お女郎らしく、軍人崩れらしく、皆さん役柄にピタッとハマっていました。特に、そこそこできるけれども風体の上がらない刑事さんが好きでした。

市たちが途中の寸劇で見せた百両強奪事件についての顛末の解説で、誰がどうした、誰の女房がこうしたとか言われても良く分からず、初っ端の武装蜂起した武士たちの中から逃げてきた男の事情も良く分からずで、この辺りが絡み合ってそうなったのでしょうが、ラストの実は盲目ではなかった市たちの斬り合いが良く理解できませんでした。

やっぱ見えていなけりゃ人は斬れませんよねぇと、そこんところは妙に納得しました。
TRIBES トライブス

TRIBES トライブス

世田谷パブリックシアター

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

黒狼と白狼の群れ
群れの対立、群れの中の力関係を見た思いでした。

ネタバレBOX

15分の休憩を入れて2時間20分、休憩は要らないのではと思っていましたが、前半と後半でガラリと変わり、なるほど意味がありました。

前半は、黒い服の家族という群れの中で一人浮いている白い服のビリーがいて、家族たちはビリーが連れてきた白い服のシルビアに対して、種族の違いによる言語の違いについて質問するが如く手話について問い質します。

自分たちの言語が高等だと考えている点が面白く、全てのことが手話で表現できると聞かされると何か残念がり、手話では、もしとか、かもしれないが表現できないと知るや、鬼の首でも取ったように喜ぶところが興味深かったのですが、そういうことを初めて知った私も彼らと同類でした。

後半では、シルビアの服が灰色になっていて、ビリーの兄とシルビアが接近したこと、あるいはシルビアが聴覚障害者のコミュニティから離れようとしていることを表現していました。

聴覚障害者のコミュニティには序列があって、先天性と後天性、手話ができるかできないかで序列が決まるそうです。家族という群れを離れ、聴覚障害者の群れに入ったばかりの新参者で比較的序列の高いビリーには新鮮に映るのでしょうが、どっぷり浸かって、かつ序列の低いシルビアにとっては健常者の世界を知ったことで逆にコミュニティを離れたくなったようです。

弟が聴覚障害者の世界に行ったことで優位な立場を失った兄の落胆振りは凄まじく、まさに狼の群れの力関係を見たようでした。

その後、それまで日の目を見なかった若造が得意の読唇術で評価され、調子に乗り過ぎて過ちを犯し挫折するおまけまで付いていました。
女王の盲景

女王の盲景

空想組曲

シアター風姿花伝(東京都)

2014/01/08 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

素敵なお話
ガマ王子vsザリガニ魔人を思い起こしました。

ネタバレBOX

現実と空想が交錯する話が本公演ということで、現実だけの話を番外公演と称したということでした。そうすると、ほのかがいつまでも少女であること、慶一郎が年齢よりも老けていること、慶一郎の若さがほのかに吸い取られていたように思えた現実に頭がクラクラします。

その後、リンゴの森に出掛けた二人はどうなったのでしょう。全てを理解したほのかはその後少しずつ年を取り、慶一郎はほのかから若さを少しだけ返してもらって少し若返ったのではないかと想像しました。

素敵なお話、美男美女。ほのかの白いドレスや、ほのかのためにみんなが演じる様は、ガマ王子vsザリガニ魔人のようでした。

小玉久仁子さんの不思議な話の中での抑え気味の個性的な演技は素敵でした。普通の話の中での抑え気味の演技も見たいと思っています。

大門伍朗さんがちょっと噛み気味だったのは少し気になりました。
授業

授業

ハチス企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/01/11 (土) ~ 2014/01/13 (月)公演終了

満足度★★★★

なるほど
男女の入れ替えとはそういうことでしたか。

ネタバレBOX

女生徒の登場時、手をついて、膝はつけない状態で約二往復、後で犬を表現していたことが分かりましたが、ちょっと長く感じました。

女生徒は全ての分野で博士号を取りたいと言いますが、足し算はできるものの引き算が理解できません。次に言語学の勉強に移りましたが、女生徒は歯が痛いと言い出し、教授は自分より頭が悪く愚かな人々が自分の知らない言語で会話をしていて、それを理解できない自分に苛立ち、なぜだ、犬なら皆共通語なのに、勝手に言語を作る人間が許せず、それでも仕方なく様々な言語に翻訳しようということでナイフを題材にします。そして、歯が痛いとばかり言って授業に身が入らない女生徒を最後には刺殺してしまうのでした。

ナイフを題材にしたことが要因でしたか。パイだったらぶつけるだけで済んだかもしれなかったわけですね。

教授が女性で、マリーと呼ばれた女中が男性で、今回は男女が入れ替わっていた点が特徴でした。実は、いつもの授業内容や惨劇を見慣れたマリーに、教授がお前やってみろと言ってやらせていたという設定だったことが分かりました。最近はマリーがずーっとやっていたのでしょうね。

教授役を演じたマリーですが、女生徒が入ってくると立ち上がって一連の作業をし、行き着くところまで行くとまた元の場所に戻って座る自動人形のようで面白かったです。
幻夜

幻夜

観覧舎

OFF OFFシアター(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/13 (月)公演終了

満足度★★★

自由と孤独
竜頭蛇尾

ネタバレBOX

開演30分前から自己陶酔型に歌い踊り続ける中野あきさん、私が入ったときには大滝詠一さんの歌を歌っていました。正式に始まると髪は汗で濡れていて、こりゃ大変なハードなお芝居になるなと心配しましたが、途中から富士のお山に座りっぱなしの単なるお飾りと化してしまい、今度は逆に身体が冷えて風邪でも引かないかと心配になりました。

文(フミ)ちゃんとブンちゃんって、どっちもブンじゃん。ブンとフンじゃあるまいし、紛らわしい名前です。

夢から覚めてもまた夢の中のような構図は芥川龍之介の「杜子春」のようでした。生まれてくる子供を押し付けるようないい加減な武(タケル)の生き様は銀ちゃん。富山の薬売りの寅さんもいました。一人の女性を追っかけながら走り続ける姿はまさにアリス、色々の寄せ集めでした。

生活感のない武、どこに勤めているか自分でも分かっていないブンちゃん、色んな文ちゃん、全ては富士のお山のオリジナル文の妄想ですと。靴がテーマにでもならない限り夢の中では足元は気にしません。全員が同じ黒い靴を履いていたのはそういうことでしたか。

自由に生きたようで、結局は一人取り残されたような感覚は良く分かります。
スーホの白い馬みたいに。

スーホの白い馬みたいに。

劇団しようよ

王子小劇場(東京都)

2014/01/11 (土) ~ 2014/01/13 (月)公演終了

満足度★★★★

夢と希望で
はち切れそうな劇団員さんたちでした。

ネタバレBOX

夢と希望に溢れ、パンパンにはち切れそうな頬の女子たち、陰湿ないじめをする生徒会長の頬もはち切れそうで、若い劇団員さんたちの集まりだと実感しました。

美大を目指す少年は見たものしか描けない。生徒会長の強要で体育祭の横断幕を描くことになり、火の中から不死鳥が現れる様を描こうとするが今一つ迫力に欠ける。公園で紙芝居をし、紙芝居の後にコーラとカルピスを混ぜたような飲み物を飲ませるコラピスおじさんは、奥さんの死体を見守りながらゴミ屋敷で暮らしているという。ゴミ屋敷に火をつければ理想の不死鳥の絵が描けるかもしれない。まさに芥川龍之介の「地獄変」のような世界観の話に、シェアしながら生活している二人の女性がいて、公園で弾き語りをしているミュージシャンが少年に絵を教えている女性に告白しようとすることを知り、幼少の頃から愛に恵まれないもう一方の女性が嫉妬のあまり殺してしまうという、こちらが「スーホの白い馬」みたいな感じの話なのでしょうか、他にもエピソードが色々混じり合った展開のストーリーでした。

客席のノリの悪さのせいで、ライブのスターが下半身裸になりました。指示に従って目をつぶっていたので分かりませんが、もし露出したままパンツを取りに行っていたとしたら、昨年、エガちゃんは悪くて韓国の劇団なら許されるのかと怒った私としては問題だと言わざるを得ません。犬と串でさえ手で隠します。ライブの方は、あまり歌が上手ではなく、どうしたものかと悩んでおりましたというのが正直なところです。もしあの後もライブが続いていたら今度は手拍子ぐらいはやりましたです。

それにしても、群像劇演者とライブスターとミュージシャンがそれぞれ所属部署が異なっているような不思議な構成でした。ミュージシャンの生演奏は同じような曲ばかりで単調、輪になって踊る踊りも盆踊り風でイマイチでした。
見た目、偏見、そりゃあ大変!

見た目、偏見、そりゃあ大変!

劇団おおたけ産業

北池袋 新生館シアター(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/13 (月)公演終了

満足度★★★★★

凄く真面目!
ポリシーがあって、真摯で、楽しかったです。

ネタバレBOX

人を見た目で判断してはいけない。一方、何かになるために、先ず形から入ることもある。そして、お化粧やお洒落は楽しい、というようなことを真面目に考えていました。

ジャージ着て地味目な格好の妹さん、でも地が美人っぽいのでいずれ大化けするだろうとは分かっていましたが、ゴスロリメイド服で漫画家志望だったとは、可愛くて驚きました。

お嫁さんの方は、元々いじめ防止策としてギャル系になったとのことで、考えさせられる深い話でした。ただ、地は可愛いのだろうなと感じさせる雰囲気があればもっと良く、妹とお嫁さんの配役が逆の方が良かったのではないかと思いました。

声が裏返ったり、すぐ倒れたりと、お母さんの緊張の仕方は楽しかったです。そして、お母さんもお化粧の楽しさを思い出していたわけですから、ラストで決めてほしかったです。しかし、それができないところが田舎という地域社会で生きる術が身に付いたお母さんらしさでもあります。お嫁さんの影響で徐々に変化していくのでしょう。

初っ端のお父さんがお茶を飲むシーンや、ラストシーンから舞台挨拶までの微妙に長い間など、全体に間の取り方の悪さは気になりました。
人魚の夜

人魚の夜

青☆組

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/20 (月)公演終了

満足度★★★★

人魚が見えてこない
昔々の未来の話ではありました。

ネタバレBOX

温暖化の影響で、東は乾燥してカラカラ天気、西は雨がちな気候となった未来の国において、西に住む一人の男の、粗野な漁師の父親に育てられ、コーラス指導の女先生に憧れていた少年時代と、先生になり、退職した後の、家族や教え子との関係を描いた初老時代が交錯したストーリー。

温暖化の影響で、台風がとてつもなく大型で強烈で、甚大な被害を及ぼすという前提があるだけで、その非日常を前提とすると、あとはそれに基づいた容易に想像がつく極めて想定内のストーリーで面白みに欠け、不思議さとか、幻想的な雰囲気などは全く感じられませんでした。

次女は台風の日に波にさらわれ行方不明となり、死亡認定されました。また、父親を尊敬し先生になった長男は、台風の到来を前に女生徒を家に送って行く道すがらのことで変な噂が立ち、父親から断絶され、東に移って先生をしています。

長男は、雨で立ち往生して、一晩中抱いていてあげたんだろうと思います。

題名や案内文から人魚らしき存在を予想していましたが、全く人魚は見えてきませんでした。強いて言えば、魚の女が嫁に来たという伝説の件で、魚の腹のところに二本足の生えたような姿は想像してみましたが。

失踪宣告ではなく、死亡認定されている長女、それでも死を受け入れ難い長女の夫の気持ちは分かります。だとしても、役場の人間だったらせっかく死亡関連の届けを出しに来た夫に対して、不備なところをさっさと訂正させないのかと、心情は心情、事務は事務と思ってしまいました。

それでも、リフレインのようなシーンの中に、役場に印鑑を忘れて来たというシーンを入れて、四十九日の法要の後に夫が正式に届けを出したということを示す辺りはさすがだなと思いました。

この土地で脈々と続く家族の話でありながら、長女夫婦に子供がいないなど、この先続いていかないような寂寥感を感じました。

さり気なくお茶を注ぎ足す行為に日本の家族の風景を見ました。

このページのQRコードです。

拡大