満足度★★★★
【リーディング『睡稿、銀河鉄道の夜』】観劇
客いじり型と言うか、客参加型でした。
ネタバレBOX
やはり演劇公演『想稿 銀河鉄道の夜』の舞台装置はそのままに、リーディングが行われました。
授業シーンの始まりでは観客も立つように促され、役者さんたちと一緒に礼をしたり、ジョバンニの簡単な台詞をお客さんが代読するなど客いじり型と言うか、客参加型でした。
化石を掘り続けている人たちは、洞窟で化石を掘っていて岩が崩れて死んだこと、カンパネルラのお母さんは既に死んでいたことなどを知りましたが、客いじりや客参加もあってでしょうか、バタバタしてテーマについてはあまり伝わって来ませんでした。
ただ、客参加型の場合は仕方ない、乗ることが大切でと思い、ジョバンニが級友から、「ラッコの毛皮はまだかよー」みたいにからかわれるシーンで、みんなで言うように促されたので、つい良かれとしゃべってしまいましたが、しばらくしてあまり深く考えずにいじめっ子に同調する行動がいじめを定着させる原因になるんだと思うに至り、演出家にしてやられたと少し気持ちが落ち込みました。
ところで、このリーディングシリーズの中で、よりSF的であろうと思われる成井豊版『光速銀河鉄道の夜~賢治島探検記より~』のチケットが早々と売り切れていたのが何とも残念でした。
満足度★★★★
熱さ、思いは伝わる
アフタートークも入れて3時間超、後で時計を見てびっくりしました。
ネタバレBOX
誘拐事件を解決し、特定秘密保護法を逆手に取って、誘拐犯や別の犯罪を犯し掛けた同僚に温情を与えた合唱警察官たちの話。
座長の木村昴さんの影響もあってか、この劇団は国際色豊かなところが特徴で、今回は日本人が持ちがちな人種偏見に対する否定が強調されていて、2020年を迎える心構えを指し示すものになっていました。
手心を加えるのは如何なものかと少々思いますが、そこは特定秘密保護法の成立に対する皮肉なのでしょう。
歌詞の冒頭の文字を繋いでニセの隠れ家を知らせるふりをして、しかもそれがビーチクとかエッチな感じに読めるところが上手く、で、実際はラップなので韻を踏むように末尾の文字を繋げて隠れ家を伝えるなどは良く出来ていました。
本編も長いと思いましたが、ファンサービスにも力が入っていてアフタートークショーも結構長く、時計を忘れていたので吉祥寺の駅に着いてからびっくりしました。
満足度★★★★
謎めいた展開
しかし、優秀な警察なら謎めく前に決着を付けていただろうと思いました。
ネタバレBOX
人の粗を探しておおごとにして、その人が頓挫していく様子を生きた教材にして、生徒たちを指導しようとした新任教師が、性癖を暴露されそうになった教師によって殺された話。
世界史教師のSM癖を暴露しようとしたのはちょっとひどい話ですが、そもそもその前に、同僚の先生と不倫しながら生徒にも手を出し、しかもその生徒にDVを振るっている国語教師がいるのを知っていながら校長や教頭に報告しない先生方の存在が信じられませんでした。愛があるから大丈夫なんて本人も居直っていましたが、淫行条例に引っ掛かるでしょうって思いました。
SM癖を暴露すると、自分もその先生とセックスをしたことが公になるのですが、そのことについては平気だったのでしょうか。不思議でした。
新任教師が死んだのは殺人か事故かと、如何にも謎めいたストーリー展開にしていましたが、んなわけねーだろと思いました。床に仰向けで死んでいたわけですから首に指の跡があったり後頭部に複数回の打撲痕があったりしたら殺人、何もなかったら病死を疑うことは明らかで、この場合は即殺人事件と断定されたはずです。
先生方や生徒たちにはそれぞれ陰がありそうで、誰が犯人かと犯人探しには興味が引かれましたが、事件としては警察によって即解決されたはずだと何となくスッキリしませんでした。
満足度★★★
あまりのハッピーエンド
脚色のし過ぎで冗長に、悲惨にもなりました。
ネタバレBOX
初演の内容で覚えていたというか思い出したのは、若い看護師が間違い電話の人に癒やされていたことぐらいのものでしたが、それにしても、入院患者全員が問題を抱えているのは分かるとして、こうもいとも簡単に全てが解決するとは、あまりにもハッピーエンドの深みのない話に、そうだったけかなと見終わって少し寂しい気がしました。
芸人コーナー、地下アイドルコーナーなどは無意味で、加えて看護師や研修医も不必要に人数が多く、大人の事情があるのは分かりますが全体に冗長でした。
銀行員は浮気を解消、夫婦は別れず、浮気相手も同僚と仲良くなりました。借金取りに追われる弟を持つ兄弟も亡父の思いを共有することで和解しました。腸結核の男性は銀行員夫婦を別れさせまいとボーっとした中でも頑張り、お医者さんと高校時代恋敵だったとのおまけもあって妻子に会いに行く決心が付きました。彼は臭いおならばかりしていましたがとても大切なキーパーソンでした。愛犬の死をきっかけに獣医を目指すようになった受験生も体調不良ながら北大の受験ができそうです。
そして、若い看護師は間違い電話の人とハッピーエンドになりました。ロマンチックで一番いいエピソードのはずなのに、なぜ一回目の電話のときからちょっと頭の悪い男性看護師の顔を見せてネタバレさせるのか全くの疑問でした。最後の最後まで引っ張ってもいいし、せめて一、二回は間違い電話の素敵な人と思わせるくらいの夢ともやもやを観客に与えてほしかったです。
さらに、実際に会ってみたら幻滅するということがありますが、私が若い看護師ならいくらなんでもあんなおっさんはお断りです。もう少し現実的な年格好の人を後輩看護師にしてあげないと彼女が悲惨過ぎて心から祝ってあげられません。ブラックコメディかと思ってしまいました。
満足度★★★★★
【劇団だるめしあん×Mrs.fictions】観劇
45分一本勝負。どちらも秀作で面白かったです!!
ネタバレBOX
劇団だるめしあん 「僕の彼女がこんなに浮気なわけがない」(原作:オセロー)
いきなりのキスシーン、その後肌の露出もあったりして如何にも短編での勝負はこうでなくっちゃという感じでツカミはOKでした。
心はオセローに向いているのですが、浮気症というか、セックス依存症というか、クラスメートたちとセックスしまくるデズデモーナを中心とした高校生群像劇。最後、二人は別れましたが、殺傷事件には至りませんでした。
あの当時にハンカチを落とすことが、今で言うとパンティを置き忘れるぐらいの恥ずかしさがあったのではないかと思わせる時代考証的なところも面白かったです。
Mrs.fictions 「毒を飲むより苦しいなんて」(原作:ロミオとジュリエット)
ヘラクレスオオカブトから名を変えたヘラクレスオオロミオというロックバンドの話。トボケたインタビューシーンからのスタートが面白く、一発で心が掴まれてしまいました。
コメディ部分が面白いだけでなく、ベースロミオとゴスロリのおとなしい方の二人がロミオとジュリエットの記憶を持っていて、「明日何時に使者を遣わしましょうか」、「9時」と、有名な台詞ではないバルコニーシーンを思い出すのも返って新鮮で、胸キュン的でした。
ギターロミオのトボケた感じと、ドラムロミオのゲーム・アニメに出て来るような髪型も素晴らしかったです。
前半が終わった時点では劇団だるめしあんの勝ちだと思ったのですが、結局Mrs.fictionsに投ビー玉しました。最終結果もMrs.fictionsの勝ちとなりました。
甲高い声が特徴的なベースロミオ役の須山造さんと、恋人を寝取られて嫉妬したときの形相が凄まじかったビアンカ役の中野あきさんが印象に残りました。
満足度★★★★★
【リーディング『銀河鉄道の夜』】観劇
昨年の平田オリザ演劇展でも演じられた演目ですが、今回、自己犠牲と孤に関する考えが印象に残りました。
ネタバレBOX
平田オリザ作の『銀河鉄道の夜』が、同時上演中の演劇公演『想稿 銀河鉄道の夜』の舞台装置をそのままに、テーブルのところの椅子に座ったり、席を移動したりしながらリーディング形式で演じられました。
カンパネルラは、人間として成すべきことをしたまでであっても死んでしまったことを母は許してくれるだろうかと心配していました。自己犠牲という大義を前にしたとき、身内としてはいいことをしたと誇りに思うしかありません。人命救助であろうが戦争であろうが、そういうことです。
ジョバンニとカンパネルラは先生の質問に仲良く答えないほどの親友でしたが、カンパネルラはジョバンニに対する級友のからかいに加担することはなかったものの、かと言って積極的に止めることもありませんでした。今日的な微妙な人間関係だったことが分かりました。
人間は一人です。一人が助かるときに、例え仲の良い友だちであっても二人が一緒に死ぬのはナンセンスです。大災害時における人間の行動について考えさせられます。過度に自分を責めることはない、悩み過ぎることはないのだと言っているようです。
ところで、アドリブ的に噛んだり、冗談を言ったり、台本で頭を叩いたりするシーンがありましたが、そういった小細工は嫌いです。
満足度★★★★★
人に歴史あり
生徒を育て、生徒に育てられるんが先生っちゅーもんじゃけぇの。
ネタバレBOX
ただでさえ長いのに、ミュージシャン志望の在学生が何分間もヘタでつまらない歌を歌うのでいい加減にしてほしいと思ったりして入り込めなかったのですが、それぞれ年代の異なる卒業生が集まり出し、先生に対する印象が異なることが分かり始めた頃から人に歴史ありということが鮮明になり面白くなりました。
暴力的熱血教師から、ダジャレが寒い先生、面白い先生、優しい先生、物静かな先生へと変遷していった真野先生の話を通して、隣のおじいさんだっていきなり年寄りになったわけではないということを在校生の若者たちが知ったことが一番の収穫でした。
食えない役者、先生をしている面倒臭いやつ、誰からも覚えてもらっていなかった女子生徒、当時のスケバングループ等みんな個性的でしたが、何より中退生の二人が良かったです。中退生が先生を作り上げたこと、そして中退生のことを忘れなかった先生、大浜直樹作品らしい感動シーンにジーンと来ました。
ただ、まあ体格だけではありませんが、若い頃熱血教師だったと言う割にはイメージが少し合いませんでした。いっそのこと、真野先生を登場させなくても良かったのではないかと思ったりもしました。
そもそもの話ですが、退職日には全てを明け渡すものです。退職してから教員室のロッカーに入っている私物を取りに来ることなどあり得ないと思いました。正式退職日は後日なのかもしれませんが、そうだとしてもけじめのはっきりしないグズグズ感は否めません。真野先生らしくありません。
満足度★★★★
時事ネタが中途半端に古い
ツカミはOKとは行きませんでした。
ネタバレBOX
ネットが炎上して大学も辞めざるを得なくなり、普段の生活もままならなくなったことで、拡散の起点となった人物を殺してして自殺しようと思い立った女性が、様々な挫折を経験してロンドンに逃げてきた若者たちと関わって立ち直る話。
6年振りの再演ですが、ネットが炎上するきっかけとなる最初のシーンだけを書き換えて、あとは変えていないということでした。一度ネットにアップされると二度と消し去ることができないという現象については先見性があったとも言えますが、6年よりもっと前からそうだったとも言えると思いました。
その肝心の書き換えたという冒頭のエピソードが中途半端に古過ぎて乗り切れませんでした。コンビニの冷蔵庫に入って写真を撮ったというネタは去年の夏のことです。
さらに、幽霊の登場と、見える人は死にたがっている人、見えない人は死を考えていない人という展開にがっかりし、考えてみれば幽霊やら天使やら、作家はこんなのが好きやなあと思いました。ストーリーには途中から入り込めました。
満足度★★★★
田中麗奈さんの明治座初座長作品
客の年齢層があまりにも高く、テンションは上がりませんでしたが、田中麗奈さんのちゃきちゃき娘振りは良かったですし、南海キャンディーズしずちゃんの出番も結構多く、そこそこジワーっと楽しめました。
ネタバレBOX
十返舎一九が舞の縁談の邪魔をするって言うけれど、ちゃんと男の素性を調べた上での判断で、いいやつじゃん。奇人と言うより単なる酔っぱらいでした。
葛飾北斎の娘役のしずちゃんの棒読みは慣れているのでそんなもんだと思いましたが、北斎役の板尾創路さんの棒読みについては、昨年末のガキ使で強烈な嫁のキャラクターに驚いたと同時に気付いていましたが、役者らしいいい顔しているのに残念で、もったいないです。
一九が随分と野性味のあるキリッとした男前だっただけに、最終的に舞の結婚相手になるであろう居候のお侍ももう少しメリハリのあるイケメンだったら良かったのにと思いました。もしそうだったら若いお客さんが増えるかどうかは分かりませんが。
満足度★★★★
演劇公演『想稿 銀河鉄道の夜』観劇
「銀河鉄道の夜」は稿を重ねたことを知りました。
ネタバレBOX
犠牲的精神を讃える話。
溺れかけてジョバンニが助けようとした少年は実は泳げて、二人がブイにつかまって重みで沈んだときもジョバンニが自己犠牲故に手を離したであろうに、単に手が滑って離れていっただけと言い放つ子供の悪びれない言動は残酷です。
赤く燃えるサソリが、どうせ崖から落ちて死ぬのなら六尺の大板血ならぬイタチに食べさせてあげれば良かったと後悔する様子も、火の中に飛び込んだうさぎの自己犠牲の話のようでした。
出演者が食していたコンビーフのような食べ物のぐちゃぐちゃーっとした形状と漂ってくる匂いはあまり心地良いものではなく、elePHANTMoon『業に向かって唾を吐く』の口に入れて皿に戻す気持ち悪いシーンを思い出してしまいました。
満足度★★★★
ダンスはなく
サスペンス的要素があり良かったです。
ネタバレBOX
濡れ衣を着せると言うよりは濡れ衣を着る感じ。
民間刑務所や形式にとらわれない自由な結婚の形が認められた特区において、受刑者や受刑者を更生する会社に勤めている人たち、犯罪被害者を巡る話。
ストーカー殺人を犯した男と長年に亘り安楽死殺人を続けていた女が受刑者で、彼らの社会復帰に向けて心理面でのケアをするのが社員の仕事です。
ぶっ飛んだ偏執狂や確信犯的受刑者を更生させることは非常に困難で、イライラするような噛み合わない会話は大好物です。普通にシリアスで、普段のダンスが無いところも好きでした。
ストーカー犯に思わぬ身代わり疑惑が発覚するなど、サスペンス的要素もあって良かったのですが、浮気によってもたらされた悲喜劇については、婚姻に関する特区に住んでいる割には自覚がなく、既成概念に囚われ過ぎている感がありました。
夫の子か上司の子かハーフハーフで、それ故に堕ろしたか堕ろさなかったかをさも重要そうに扱っていましたが、そんなことはどっちでもいいと思いました。
満足度★★★★
1970年という年
私も万博に行きました。
ネタバレBOX
スナフキンに憧れた孤高のミュージシャンも欲を持ってしまいました。所有しなくても良いのに所有したくなるのが人間です。
高校生のとき溺れかけたところを助けてもらった命の恩人なのに、60になると忘れていました。『電車は血で走る』でも、同級生との大切な思い出を忘れかけていました。覚えていなければいけないのを忘れてしまうのも人間です。
お伊勢参りという非日常を終えると全員は日常に戻り、というか戻り過ぎたくらいに熱が冷めて、その後の人生を普通に送りました。まるで70年安保は自動延長、しかも万博で話題を逸らされた後の日本人を象徴しているようでした。
満足度★★★★
なるほど
月麺でした。
ネタバレBOX
女がダンゴムシを病的に飼っていて、訪ねて来た女友だちはクイズに目覚め出し、同棲中の男は女友だちの方を好きになってアパートの部屋ごと逃避行的に月に向かったという話かと思ったら、就活が上手くいかない男がノイローゼのせいか拾ってきた漬物石を愛で出すくらいにおかしくなって全ては男の妄想、口論の末、二人がもみあって男が漬物石に頭をぶつけて死に、女は慌てるも、とりあえずナポリタンを食べてこれからを考えるという話でした。
SFか妄想か、悩ましさを感じたときは心地良い感覚でした。
もう一人の女は石なのか友だちなのかも、女優さんが菊川怜さんに似ていてちょっと無機質なところがあってキャラクター的にピッタリでした。
ナポリタンの匂いも漂いシュールな現実の方が真実のようでしたが、どちらが真実かもう少し曖昧でも良かったかなと思いました。
満足度★★★★★
【エピソード3】鑑賞
かーいい
ネタバレBOX
香帆とイサキがメインで、1×0というSNSに少し迫るサスペンス仕立ての回。
ゼペット博士は殺さないといけないのか、トゥービーコンティニュー。
エピソード4が二葉、エピソード5はウサキとラコちゃんということは分かりましたが、ラコちゃん本当に辞めちゃうのか心配です。
満足度★★★★★
グイグイえぐる
重たい話、大きな舞台でも映えました。
ネタバレBOX
東日本大震災のちょうど一年後に起きた茨城沖大震災の津波で家族や児童や消防団仲間を失った人たちの話。
初演のときはどうだったか覚えていませんが、今回、黒地の衣裳にワンポイント赤とか黄色とか緑とかの小物を加えることで連れ同士が分かり易くなっていました。黒一色に拘ることもないと常々思っているので良かったと思います。
インタビューにより、誰かを犠牲にして助かったと噂されている人たちが集められたことが分かり、犯罪に問われることは無いにしろ、確執、子育てや介護の疲れなど日々の潜在意識がとっさに、あるいは用意周到に働いて死なせたことが明らかになる過程は見応えがあります。
一理あるような風なところが何とも言えません。
全くどんな話か分からない時点での、兄弟喧嘩の仲裁から夫婦の離婚話に繋がっていく導入部は素敵でした。そして、その母親だった女性が家族を捨てて家を出たことで自分一人だけが生き残ったという傷の重さから、同じような人たちの心境を知って心を整理してみようとドキュメンタリーを企画したことが明らかになりました。
結果、さらに家庭や自己が崩壊するケースもありましたが、前向きになった人たちもいて、それが救いでした。
満足度★★★★★
完璧なワンシチュエーションコメディ
『ギャング・アワー』へ繋がるための設定ですから已むを得ない面はありますが、それ故に素晴らしい本作品が大人から子供までみんなに楽しんでもらえるようなスタンダードになる道を閉ざしてしまった感はありました。
ネタバレBOX
謎のロック歌手t2の薬物疑惑を巡り、誤解が誤解を生むドタバタワンシチュエーションコメディ。
殺陣をやったり、臭い芝居をする師匠というお呼びじゃない人が堂々と我を通して活躍するところなどもあって完璧でした。
ただ、薬物は使用しなかったものの、売人グループから購入することによってその分世間の流通量が減って世のためになるというt2の論理は一人よがりで、新たな仕入れ資金を売人たちに提供していたに過ぎなかったという点は少し引っ掛かりました。本人も反省していましたが、一度反社会勢力と付き合うと関係を断つのが如何に難しいかは教訓になりました。
『ギャング・アワー』は知りませんが、その話へと繋がっていくために、チンピラたちがギャングの卵へ変貌していくというストーリーも、已むを得ない面はありますが良くできたコメディだけに残念でした。
役者さんたちは生き生きと、お呼びじゃない人も堂々と、素晴らしい演技振りでした。
満足度★★★★★
【エピソード2】鑑賞
年度始め
ネタバレBOX
あかりさんと星来さんの回。最強ですね。
時々、平日のお昼にも拘らず来て頂いて云々という挨拶があっていたたまれない気持ちになることがありますが、今回は、4月1日という年度の始まりの大切な日の、しかもお昼に、大人の人が大勢集まって云々とあり、デヘヘ、そうなんだなーと恐縮、照れ笑いするしかありませんでした。
みんな何してる人たちなんだろー。
中学生から高校生になるメンバーもいるということで、あまりの環境の違いに驚きつつ、東京オリンピックの開会式に出られるくらい頑張ってほしいと思いました。
満足度★★★
院生でしょ
何かチグハグ、間が悪いという印象でした。
ネタバレBOX
恋敵への嫌がらせとはいえ、自分の乗った車が土砂に巻き込まれたと嘘の電話を掛けてくるなんて本当に驚きましたが、そこまで堂々と嘘をついたのは今回が初めてなのか、恋敵の反応を見るとそんなこともなかろう、彼女は以前からそんな性癖なのだろうと考えると、そもそも大学院に進めたこと自体があり得ないと思いました。
恋敵の女性の方も悔しさのあまり何度も何度も肉にナイフを突き刺し、しかもそれを放ったらかしにして平気でいられるという何とも凄まじい性格でしたが、残念ながら惨状は見せてもらえませんでした。
研修施設の責任者から施設に通う道路が土砂崩れで車が通れないという連絡があったような状況下で、恋敵の女性が帰ることは可能なのでしょうか。何となく山の麓から中腹まで通うというイメージがあるので、帰るということは土砂崩れの現場を通らざるを得ないような気がします。いくら宿泊願いが出ていなかったとはいっても、土砂崩れが起こるような豪雨の中を一人で帰らせることが妥当なのかはなはだ疑問でした。
生物学の先生も、危険な豪雨の日ぐらいフィールドワークを休んでもいいのではないかと思います。
普通だったらお芝居だからと素通りしてしまっても良いのですが、あんなにお茶についてうんちくを垂れておきながら、朝来て昨日のお茶っ葉が残っている急須に昨日の残りのお湯を入れて飲むなんてあり得るのでしょうか。しかもその感想が、「ぬるい、冷め切っている」でした。よほどこのフレーズが気に入ったのか、別のシーンでも使われていましたが、ぬるいにはわずかながら温かさが残っているというニュアンスがあるのに対し、冷め切っているは完全に室温と同じ状態になっているということで、このような感覚を身体が同時に受けることはあり得なく、こんなフレーズは考えられないと思いました。
また、短期滞在者なら訪問者用スリッパを使うのは分かりますが、職員だったら自分の上履きを用意するのではないかと思ってしまうなど、全体を通してチグハグな感じを受けました。役者さんの会話も間が悪い印象でした。
満足度★★★★
専門学校群像劇
ちょっと転じたところが良かったです。
ネタバレBOX
漫画家養成専門学校の学生たちが卒業作品としてクラス全員でコンクール参加作品を作成する過程を表した群像劇。
大きな模造紙には、全員が集まり、アイデアを出し合い、役割やコンテンツを決定して、絵コンテを身体で表現して、下書きして、修正して等々手順が書かれていました。途中途中に面白ネタや仲間内の葛藤などはありましたが、手順通りに進行し、ああまだあといくつかの工程があるんだなと飽きが来たところで、突然ちょっと未来のシーンになり嬉しく思いました。
実際に漫画家になった女性が悩んでいたときに、クラスメートたちがやってきてアシスタントとして協力するというラストシーンのようでしたが、彼女が専門学校の教員になったのか、プロの漫画家になったのか、少し分かりづらい面もありました。
全く絵の書けない人が通っていたのも可笑しかったです。彼らの中ではたった一人がプロになれたわけですが、実際にはもっと低い確率ですし、演劇学校にも当てはまるのことなので、役者志望の皆さんこれからが大変です。
満足度★★★★
虚無
宇宙の進化を考えました。
ネタバレBOX
貞淑な妻の部分と自由奔放でいたいと願う部分を併せ持つ女性が葛藤する話。
自分の子供がほしくてほしくて仕方がない夫は会社から帰ると毎日お腹の子供の成長の様子をチェックする性癖があり、妻はその変態振りに嫌気が差し別れると、元夫の最大の喜びになるはずの我が子の誕生を阻止することが最も効果的なダメージを与えることになると考え、お腹にナイフを突き刺したのでした。
下世話な面に対して、人間はどうせ死ぬのだから殺してしまえ、それが我が子なら他人に殺される前に自分の手で殺そうという、生命そのものに対して虚無的に捉える面もありました。
宇宙の進化によって有機物が生じるのは必然と考えると、宇宙規模での虚しさを感じました。
代理出産であっても我が子がほしいという母親のお芝居を観た翌日に、自分の腹を刺して子殺しをするお芝居を観るとは恐れ入谷の鬼子母神でした。