満足度★★★★★
只者ではない
普通ではない展開にも驚かされました。
ネタバレBOX
借金苦や欲から大麻栽培に手を染めた農家のおばちゃんたちの話。
にこにこしながら収穫の合間のお茶の時間を過ごしているようなのどかなシーンで始まり、会話の内容から大麻栽培で大儲けしていることに気付かされ、非合法であるとはいえ元々が零細な農家のおばちゃんたちなので少し同情的な気持ちで静観していると薬物中毒になっていたりしてそりゃアカンはと思っているところへ、ふとしたことで警察に情報が漏れていて、そうになると元締めのヤクザは裏切り者には非情なのでおばちゃんたちを皆殺しにしようとするのですが、ところがどっこい、おばちゃんたちは只者ではなく驚きの展開に。しかし、三人のおばちゃんは殺され、残った一人は逆襲してヤクザを撃ち殺すも、最後は弾切れで自殺できないというおばちゃんの苦悩の姿で終演と相成りました。
普段津軽弁の役者に南部弁を教え込んだとのことでしたが、聞いても違いは良く分かりませんでした。そもそも何を言っているのか分からないところもありました。ただ、津軽と南部の猛烈な対抗心、憎悪の念は強く伝わって来ました。
それこそ大昔から作物の育ちにくい土地柄故に人を食ってでも生き延びてきた貧しい民衆です。人を通り越してやまんばにでもなっていたようで、バットで殴られるくらいは平気、拳銃も一発一発ゆっくり撃たれる分には弾を掴むことができて平気ですが、さすがに連射にはやられてしまいました。
それでも、最初に一発腹に撃ち込まれたおばちゃんはそのときは回復していましたから、死んだと思われたおばちゃんたちもその後立ち上がるのかもしれませんが、終演時点では話に整合性が無いような気もしました。
キリストの墓やピラミッドがある土地柄を彷彿させる台詞が飛び出してきて、そこら辺のことだったんだと不思議現象に華を添えていました。
豚に食わせて跡形もなく消すという話に、最近話題になっている全国行方不明者の何人かはそうなのかもと、意外に都会よりも田舎の方が完全犯罪が成功するのではないかと感心させられました。
満足度★★★★★
あるある
あるあるとあり得ない、楽しくて笑いっ放しでした。
ネタバレBOX
吹上北高校卓球部の夏合宿を描いた話。あるあるネタ満載にあり得ないシチュエーションの一人が加わって、とにかく楽しい展開でした。
根性論や科学的根拠を持ち出しての意味があるのか意味が無いのかといった反省会があったり、毎年参加するOBが先輩風を吹かしたり、と思ったらそのOBはパートナーに頭が上がらず、こんなところで発散していたんだと気付かされたり、恋バナ、噂話、恋愛、妄想片思いがあったりからかわれたりで、終始笑いっ放しでした。
そんな中、由かほるさんという女優さんが演じる学生服を着た男子生徒手塚が一人異色でミステリアスな雰囲気を漂わせていました。夏合宿に学ランで来るバカバカしさには笑ってしまいますが、孤高な行動、ボソッと言う的を射た言葉には感心させられます。アニメ「ガッ活!」に出てくる謎めいた登場人物のようでもあり、enji『ぼくの好きな先生』の中学生のようでもあり、一瞬吉田小夏さんかと思ったりもしましたが、普通の女性体格の人が男性役を演じるときの不思議な魅力に溢れていました。
さして卓球が上手くなく、退部して恋愛に走ろうかと考えている女子生徒に、誕生日プレゼントとしてバタフライの高級ラケットを渡したキャプテンですが、いずれ一悶着起きるのか起きないのか、OBの先輩はパートナーが妊娠したことで結婚に踏み切るのか、そうしたらもう来年からは来ないだろうななどの余韻も心地良く味わいました。
あるあるとあり得ない、言い換えれば日常と非日常、とても楽しく拝見しました。
満足度★★★
譚っぽい
ブラックファンタジーでした。
ネタバレBOX
始末に負えない奴等による終末譚。新興宗教の終末宣言に、その新興宗教にハマった奴等が実際に世界を終わらせようと画策し、民衆レベルでは殺し合いが、国レベルでは第三次世界大戦が勃発しましたとさ。
何かが起きて、高校生が解決するのかと思っていましたが、本当に終わりが始まってしまいました。
ただ、人類滅亡に至るとまでは思いませんでした。人類の何分の一かは生き残るという印象でした。
満足度★★★★
誤解が誤解を呼ぶ
クーニーばりのドタバタコメディでした。
ネタバレBOX
ひたすら声が大きく、勢いはありました。
逃げ出したメリーちゃんって単なるペットではなく、ニシキヘビか何かかと思っていましたが、チラシを作ったお金持ちの女性の娘さんのことでした。
結局は家を売って金を作れという父の遺言で現状と何も変わらず、ダメダメ兄はお金持ちの娘に結婚を迫り続けるダメダメ振りのままでした。ヘタに大団円にならず、全員がドタバタ回り続けながらの終わり方はとても良かったと思いました。
怖い顔の弁護士役の役者さんは活躍の場が広がりそうですね。
満足度★★★★
独立宣言!
そういうことだったんですね。
ネタバレBOX
もう一つの『父と暮せば』だったのですね。
主人公の井上麻矢さんが井上ひさしさんから、自分が亡くなってからの三年間はこれまでの再演で食いつないでいけばいい、そして借金を返してください、その後はあなたの企画でやらないといけませんと言われ、マンツーマンで教えを受けながら三年間を過ごし、そして今彼女は、てんぷくトリオのコントの台本を元に満を持して新しい企画を立ち上げて世に問うたという話でした。
お父さんからノウハウを引き継ぎ、お父さんがもうそろそろ本当にいなくなりそうという場面ではホロッときました。
ただ、井上都さんから井上麻矢さんへの代表者変更の過程が良く分からず、確執があったのか無かったのかも知りませんが、資格を多く持っていて、経済、経営に明るく、井上家から離れて自活していたことが評価されたような言い回しでしたが、もし井上麻矢さんが一方の側だとすれば、名作『父と暮せば』を使って一方的に主張を行うのは少しずるいなと思いました。
時間を短くするコント特有の様々な技や、都合良く舞台中央に集まるようにすることなど、コントと芝居の違いについての井上ひさしさんの実践解説は面白くて勉強になりました。しかし、実際のコントの方は、松本亜々四郎、幸四郎の「歌舞伎の附」は可笑しくて笑いましたが、概してパンチが効かず、あまり面白くはありませんでした。
コントは生き物なので今の言葉や状況にむしろ置き換えるべきだが、芝居は一字一句変えてほしくないと、山西惇さん演じる井上ひさしさんが言っていましたが、呪縛にならなければいいがと思いました。
満足度★★★
壮大な作り話ではありますが
すぐに、とある作品を思い出してしまいました。
ネタバレBOX
どこかの島に権力者がいて、三人の娘がいて、独特のマークを持つ宗教があって、不思議な現象が起こって町が衰退するという話は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作『祈りと怪物 ~ウィルヴィルの三姉妹~』に似ていました。
祈りと怪物では、超能力者によって不思議な現象が引き起こされましたが、こちらは、夢を見ると絶望する絶望病が蔓延したのか、あるいはめったに咲かない島独特の花の花粉が原因の病気のせいなのか、はたまた全ては花粉による幻覚症状に過ぎなかったのか、人々がどんどん醜いウサギになっていくという現象が起こりました。
夢を見ることのできなかった権力者だけがそのまま生き残るという悲しい話なのか、現実主義によって生き延びることができたというめでたい話なのか、ブラックな結末でした。
三人の養女役を演じた味わい堂々の三人が素晴らしく、特に何かを企んでいるような浅野千鶴さんの優しい表情は素敵でした。
満足度★★★★★
Bプログラム『昭和十一年五月十八日の犯罪』観劇
ハマカワフミエさん、キリッとしていて素敵でした!
ネタバレBOX
ずーっと鎮座まします阿部定。いい設定でした。捕まってすぐの取調室における僅かな時間の話。
阿部定事件とは、心底惚れた男との隠遁中に金が尽き、現実世界に戻るのが鬱陶しくなったことと、首を絞めて快楽を楽しむプレイが盛り上がり過ぎたことが重なって死に至らしめた事件性のある事故であるとともに、男を忘れがたく身と残り香を持ち去ろうとした死体損壊、下着窃盗事件であったということが良く分かりました。
ハマカワフミエさんのスムーズな着付けは眼を見張るものでした。彼女の女優力は大したものです。
ウィキペディアで定本人と警察関係者の写真を見たとき、なぜみんなが笑っているのかと不思議に思いましたが、そんな写真から彼女をヒロインに仕立て上げることにより226事件など他の重大事件から世間の目を外らそうとする内務省の陰謀だったとする発想が生まれてくるとは、虚か実かは分かりませんが、素晴らしいことだと感服しました。
椎茸とお刺身の件は何のことかと思いましたが、ググって分かりました。便利な時代ですね。
満足度★★★★★
Aプログラム『定や、定』観劇
阿部定の一生が生き生きと描かれていました。
ネタバレBOX
黒子であり、アンサンブル役である二人が加わることで、岡田あがささんと寺十吾(ジツナシサトル)さんの二人芝居が冴え渡っていました。約1時間15分というのもちょうど良かったと思います。
吉さんが、名古屋の先生や腐れ縁のおじさんとは別腹だと言うのが可笑しかったです。事件はセンセーショナルだったものの、考えてみれば懲役6年の事件に過ぎませんでした。本当に惚れたのが吉さんだけだったとすれば彼女の余生は長過ぎました。最後は失踪していたなんて知りませんでした。
阿部定本人が出演した劇中劇の後の舞台挨拶はちょっと真面目過ぎてテンションが下がりました。前後の話から吉さんの名誉を守ろうとした気持ちは十分伝わってきたので舞台挨拶は特に無くても良かったのではないかと思いました。
寺十さんのショボさもあり、岡田さんの魅力が引き立っていました。ただ、色々なアクシデントは良しとして、阿部定が自分の名前を噛むのだけは基本ご法度だと思いました。
ところで、黒子のお二人がBプログラムに刑事役として登場するらしいのですが、どんな風に二つの話を繋げてくれるのか楽しみです。
満足度★★★
嗚呼ファンタジー
リング上でのキレのあるパフォーマンスはさすがでした。
ネタバレBOX
核融合反応によって原子が進化する宇宙の進化の話か、海中における生物の進化の話か、ファンタジーでした。
良く分かりませんでしたという意味です。
満足度★★★★★
『ヤルタ会談』観劇
実に面白い。
ネタバレBOX
やや小太り型のスターリンとルーズベルト、そして極端なデブのチャーチルの登場、そして彼らの特徴的な服装に、一気に引きこまれてしまいました。
秘密会議があって、その後の世界情勢は誰もが知っている、となれば何が話し合われたかは想像できます。その後を1年後と見るか5年後と見るかで、密約の内容を膨らませたり縮めたりすることもでき、実に面白いと思いました。
ドイツのこと、ポーランドのこと、日本のこと、バルカン半島のこと、ユダヤ人のこと、パレスチナのこと、ソ連参戦のこと、原子爆弾のこと、きちんと話したり、結論先送りだったり、ちらっとほのめかしたり色々あったのでしょう。
田舎っぺ言葉で元気そうに振る舞っていたルーズベルトでしたが、本当に体調が良ければ違った結論になっていたかもしれませんね。
6月1日のアフタートークで、『忠臣蔵』や『ヤルタ会談』の他にも、第一次世界大戦後のパリ講和会議で、切れて帰ってしまったイタリア、何も発言しなかった日本、そもそも破れたドイツが第二次世界大戦の敗戦国になった史実に関心があり、会議シリーズはいくらでもネタがあると平田オリザさんがおっしゃっていましたが、そうそう、そうだったんだろうねと思わせる面白い話をまた作ってほしいものです。
満足度★★★★
『働く私』観劇
ユニークな設定。
ネタバレBOX
夫婦二人の家に男ロボット、女ロボットがいて、夫は鬱で、男ロボットも鬱という話。面白い設定でした。
人間の細かい機微に合わせて話し相手をしたりすると、相手に似てくるのかもしれません。
人間にとって夕焼けが美しいという感覚をロボットも認識できるかという問題については、危険がなくて、低いけれどもある程度の頻度で出現する自然の姿を見た場合には一々警戒する必要もなく、それならば珍しさに応じて気分を高揚させるプログラム設定もありかなと思います。
満足度★★★★★
そうだったのか
様々な思惑の絡んだ事件でした。少し説明的過ぎる嫌いもありましたが、各グループの考え方などを知らなくては全体が理解できず、ある程度は仕方ないのかなと思いました。
ネタバレBOX
セルビアの青年将校たちのグループ黒手組とロシアの共産主義革命家のそれぞれの思惑に翻弄され、オーストリア時期皇位継承者を暗殺したオーストリア占領下のボスニアに住む青年ボスニアのメンバーたちの話。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナを併合したオーストリアに反発したセルビアの青年将校グループ黒手組は大セルビア主義を唱え、ボスニア・ヘルツェゴヴィナを取り戻すことを目標にしていましたが、黒手組と接触したロシアの工作員の情報もあり、ボスニアの人間がオーストリア時期皇位継承者を殺してもそれはオーストリアの国内問題に留まり、オーストリアに打撃を与えつつもセルビアに進行することはないだろうと考えました。
一方、ボスニアの青年ボスニアのメンバーはオーストリアの支配に対して一矢報いるため黒手組と組み、セルビアで訓練を受け、黒手組から武器を調達し、オーストリア時期皇位継承者暗殺を実行することになりました。
黒手組と接触したロシアの工作員は共産主義者で、暗殺によってオーストリア、ドイツ、イギリス、フランス、ロシアが動くであろうことを予想していて、混乱に乗じてロシアおよび全世界で革命を起こすことを目指し、勝手に青年ボスニアのメンバーを帰国させ暗殺の準備に入らせました。
暗殺によってセルビア進行があると知った黒手組ですが、時既に遅く青年ボスニアに計画の中止を命令することはできませんでした。結局青年ボスニアは運も味方してオーストリア時期皇位継承者を暗殺することに成功し、その結果第一次世界大戦が勃発することになりました。
人の名前は覚えにくく、メンバーの内結局誰が皇太子を暗殺したのかもやもやしましたが、言葉での説明の後に再現ドラマを実演してくれたので良く分かりました。リーダーの誰々とか形容詞を付けてくれればそこまで丁寧に再現ドラマをしなくても理解できたのではないかとも思いました。
愛国心の発露の結果なので、何が起こっても仕方ないというような考え方を持っていた黒手組や青年ボスニアでしたが、結局はしたたかな連中にいいように利用されました。自己陶酔は要注意ですね。
同じ地域に異なる民族が住むにはどうしたら良いかとの問がありました。生き残りメンバーが生きていたのはユーゴスラビア時代だったと思いますが、はからずも第二次世界大戦後ユーゴスラビアという大セルビアが実現し、そして現在は完全にバラバラになっていることを考えると、共通の敵が存在すること、あるいは独裁者もしくは敵に支配されることしか答は無いのかなと思ってしまいます。
ところで、『熱狂』のときには当時の髪型にああいうのがあったのかとも考えていましたが、後頭部の刈り方を見ると今どきの斬新な髪型のようで、セルゲイの髪型だけが浮いていました。
満足度★★★
Let it go
不条理っぽいところが面白かったです。
ネタバレBOX
ご近所に見栄を張って精神的に疲れ果ててしまった夫を精神病院の医者たちが家族の協力を得て演劇療法を使って治療する話。
夫、妻、長男、長女がそれぞれの役を交代してロールプレイングを行うことで、それぞれの立場の苦労などを知ることによって相手を思いやる気持ちを培い家族を再生しようとする試みでした。
実際、夫に問題があると言うよりも家族みんなに問題があり、近所の住人たちにも問題ありという状況が浮き彫りになりましたが、当時の世情を反映しているという風には特に思えず、単に不条理劇っぽいところが面白いという印象でした。
役者さんたちの抑制した無表情な演技も不条理劇っぽかったのですが、隣家の夫の高笑いがあまりにもわざとらしく、全体の雰囲気を壊していました。
見栄を張らずにありのままで生きるのが良いのか、見栄を通り越して妄想の世界で生きるのが楽しいのか、ただし後者は精神病院の中での話ですが。
満足度★★★★
未完成
描き続けるには理由がありました。
ネタバレBOX
若年性アルツハイマー病に罹った女性と、夫、長男、姑、会ったこともない亡義父、高校時代の恩師で美術の先生、大学時代の友人、夫の職場の上司で結婚した時の仲人など彼女を取り巻く人たちの話。
今の様子と過去の思い出を描きつつ、記憶が全て無くなる前に関係者を集めて挨拶を兼ねての忘却式とも言えるような第二の結婚式が描かれました。
彼女の描く抽象画は現在の家族の肖像を表現しているということで、毎日毎日描き加え続けるもので完成形がないというのはいい話でした。記憶が真っ白になるとキャンバスも白が多くなるのでしょうか。家族は色を塗って邪魔をすると言っていましたが、今のところは色のついた絵具を使っていましたのでしばらくは大丈夫のようです。
ただ、そんな日が必ず訪れるのは間違いありませんから切ないですね。
満足度★★★★★
面白かった!
良くできた本でした。そして、『ナイゲン』同様真面目でした。
ネタバレBOX
主役は2014年5月28日の劇団員。公演二週間前にして脚本が全く出来上がっていない状況の下、タイムマシーンの効力を持つビニールテープを偶然発見したことで、2014年5月28日の役者が2014年6月10日から脚本を持ってきて稽古を始めようとしたものの、作演が自分の構想と異なる内容に反対したことで、面倒臭くなった役者たちが2014年6月10日から作演を連れてきて今度こそ稽古ができると思った矢先、2014年6月10日の作演に裏切られてしまい、ドタバタする有様を描いたSFコメディ。2019年6月10日の元劇団員まで登場し、結果無事元に戻る話。
パラレルワールドを行き来することと、向こうとこちらで人が入れ替わるのがミソでした。
その結果は、俺たちの時代、俺たちの世界は俺たちで責任を取るという真面目な考え方に基づいたものとなりました。少しぐらいのズルはあっても良いと思いますが。
ただ、公演二週間前の段階で代役のネコソギさんも稽古場にいたことからもう既に未来は変わっているのでしょう。そして、きっと公演は成功したことでしょう。
早変わりは素晴らしい出来でした。公演Tシャツなどの衣装でいつの時代か分かり易いのも良かったです。
満足度★★★★★
最高!!観て良かったです!!
小玉久仁子さん、ばっちり決まってました。面白かったです。
ネタバレBOX
行きつけのスナックが潰れそうになったことをきっかけに、組の立て直しも兼ねてスナック内に結婚相談所を開設した極道たちと、結婚を夢見る人たちの話。
初っ端明かりが付いたときの三代目組長さん役の小玉久仁子さんの髪型、服装がバッチリ決まっていて、一発で引きこまれました。
抑揚を付けた口調で身体をくねらせながら、一枚の登録用紙に書くくらいでその人が言い表せるわけではないと言って、ズバッと決断させるきっぷの良さにはほれぼれしました。小玉さんの濃いキャラが今回は見事にハマっていました。そして、細野今日子さんのあけみママなど個性的な面々がいて、小玉さんの濃いキャラが浮いてしまわないだけの包容力が周囲にはありました。
黒いスーツに赤いネクタイ、何か特徴的だとは思っていました。組長が婚活女性に諭すときの寓話を聞いて、おやっとは思いましたが、まさか本当に魔女の宅急便型の魔女だったとは驚きました。ちょうど私の真上を飛んでくれて、ありがとうの気分でした。
必死に叫ぶのに組員たちが全く気付かないのでジジイは前組長の幽霊かと思いました。もちろんなんで鳴いているのかは分からなくて当然ですが、足にまとわりついてうざったいなというくらいの反応はあってもよかったのではないかと思いました。
ヤクザが一般市民に絡むと、利用した方も暴力団排除条例に抵触してしまうことにもなり、そもそもこのような前提は好きではありませんでした。
そうではありましたが、ぶっ飛ばし振りはそれらを凌駕するだけのものがあり、米山さんの発想力、構成力に感服し、美声もあったりの役者さんたちのパフォーマンスは最高でした。
須貝英さんが出てきたときは、ゲスト出演者がいるとは思っていなかったのでビックリでした。
満足度★★★★
『忠臣蔵・OL編』【Bチーム】観劇
A>Bが好み。
ネタバレBOX
Aチームが刀に特徴があったのに比べて、こちらはぱっと見特徴は見られませんでした。ゼネコン編と呼ばれる所以かもしれません。
武士編を観ると、侍C(田中)と侍A(鈴木)は同じくらいの地位で、大石に次ぐ中間管理職という感じでした。二人は、と言うか侍たちはほぼタメ口でした。
だからこそ、なぜOL編では侍C(田中)が制服で、侍A(鈴木)がスーツ姿なのか、益々その理由が分からなくなりました。二人の関係は事務職と総合職のような関係では無いはずです。サラリーマンのことが分かっていないのかもしれませんね。
満足度★★★★
『忠臣蔵・武士編』観劇
ほぼ同じ。
ネタバレBOX
『忠臣蔵・OL編』とほとんど同じ。男だけ、食事をしない分、ホワイトボードを使わない分で武士編が5分ほど短いのが違いと言えば違いでしょうか。
侍A(鈴木)の持つ竹刀とは別の小刀は背中をぐりぐりする肩たたき棒でした。その棒のくるっと曲がっている様子が如何にも関ヶ原から100年経ち、武士道がねじ曲がってしまっていたことを象徴しているようで笑いました。
そして確かに、決意して以降、みんなに武士道精神が身に付いていったのでしょうね。
ところで、侍C(田中)がタブレット端末を持っていましたが、じゃあネットで刃傷事件の詳細は分かるんじゃないのって気もしました。
満足度★★★★
現実の世界で作演
不条理ミステリー、その発想力にしてやられました!
ネタバレBOX
ミステリーには犯人と探偵が必要ということで役を担う人間を用意して、真の犯人である探偵の助手の女子がミステリー劇を現実世界で作演するというシュールで不条理なミステリーでした。
催眠術で探偵に仕立てられた青年が、やはり催眠術によってか催眠術に潜在意識が解放されてか殺人も犯していました。
普通の推理劇かと思っていましたので、まさかの展開、その発想力に驚かされました。
そして、美人だから殺される、ミステリーには殺される人も必要だから、どうせなら美人の方がいいということで殺されたのは一番の美人さんでした。
満足度★★★★★
いい話
色々なことが明らかになりました。
ネタバレBOX
修学旅行中に男子生徒数人が一人の女子生徒を殴ったということで先生たちが集まって原因究明と対応を協議する話。
系列進学校から意に反して転任させられ、敗訴はしたものの元の高校に復職したいと裁判まで起こした国語の先生を辞めさせようとする教頭らの動きに対抗して男子生徒が集めた署名を当該女子生徒が盗んだことが背景にありました。
酒好きの添乗員が女子生徒が署名を破棄しようとした現場を偶然街で見掛けたという一番部外者的な人のお手柄で事件が解明されたというオチと、国語の先生は生徒たちから愛されていたという現実、さらには、学校法人側も先生を左遷したわけではなく、生き残り策として魅力ある高校にしようと考え白羽の矢を立てたということが明らかになりました。
先生から注意されると、うぜえ、めんどくせえ奴、とか言う女子生徒が登場していたら、このお芝居は成立しなかったのかもしれません。
学校側も説明不足でしたが、先生も男気がなかったですね。転勤を経験してなかったから仕方なかったのかもしれませんが、よしっ、この高校をいい高校にしようと考えたり、せめて多くの生徒から好かれていることぐらいには気付くアンテナがほしかったです。
終わってみれば、そこまで深刻そうな顔をするほどでもなく、いい話やんというくらいの話でした。
この日の東京は前作の続きかと思われるくらいの大雨の一日でした。
ところで、コーラがほしくてほしくて仕方ないようになったときは病気です。教頭先生と言うよりは作家さんがそうなのかと心配になりました。