満足度★★★★
いい話
詮無きことではありますが、もう少し若い俳優さんだったらなと思います。
ネタバレBOX
明治時代の話だと思っていたので、パリを舞台にした絵描きと王女の話でスタートしたのは新鮮でした。ジュリーが若者を演じるのはちょっと無理がありましたが、自らの悲恋を基に書いた安楽満先生の小説を劇中劇にしたということでグッドアイデアでした。
話は、小説が書けなくなった初老の小説家安楽満裕士の許に娘と称する若い女性がやってきて騒動を起こし、結果再び小説を書く意欲が沸いてくるというありがちな設定ではありますが、とても良くできた素晴らしい内容の人情芝居でした。
ただ、京橋での別れで十分なのに、その後の丁寧過ぎるエピローグを描くところは如何にも大衆向け興行といった感じで蛇足です。ジュリーの演技力と歌唱力はさすがですが、もう少し若い俳優さんが演じていたらもっと入り込めたのではないかと思いました。
ま、ジュリーだからこそ集まるスタッフなのでしょう。作家、演奏者などスタッフは本当に素晴らしいと思います。
満足度★★★★
遠いところ
真相を知りたかったのですが、どんどん遠いところに膨らんでいきました。
ネタバレBOX
猫が殺される事件があって、弁当に毒が盛られる事件があって、女子高生みつばの部屋で友人の女子高生理恵が死ぬ事件があって、記者がみつばの名前や家族を公表して、みつばが殺したのではないことが明らかになるまでほんの数分の出来事でした。
みつばの家にたむろする若い男は川崎市中学生殺人事件の犯人のようで、最近の未成年者が起こした事件総出でしたが、現実の動きをおさらいするのが本意ではないという意志がはっきりと見受けられました。
というわけで、あとの二時間弱は、みつばが手を下さなかったとしてもやっぱりみつばが事件や自殺を教唆したのか、理恵が主導したのか謎が深まっていき面白くなりそうな気配でしたが、その後、こうした未成年者による事件で悔しい思いをしている人たちが作った被害者弔いの会なる闇の組織が登場して、恨みを晴らしたり、事前に不良を殺したりし、しかもそれこそ国民のほとんどがこの組織に加入しているかのような状況に、次第になんじゃそれになりました。
人間だけでなく猫の恨みもあったのか、いしださんが猫のように四つん這いで階段を下りていました。
話は藪の中になりましたが、雑誌の編集長がばら撒いたA4の紙があまりにも高いところまで上がるので、紙の端にちょっと重しでもつけているのかと思いながらも驚きながら感心して見ていました。
満足度★★★
【Aプログラム】観劇
春のサクラの季節、ぼんやりしました。
ネタバレBOX
サクラをテーマにした三編。全体として、ゆるーく、ほのぼのぼんやりしていて、企画の趣旨には合っているのかもしれませんが、物足りなさを感じました。
『春を待つ〜ハチコの妄想〜』 脚本・演出 岸野聡子(味わい堂々) バス停のベンチに一日中佇むハチコさんの見た夢か現か幻かといった話。
桜の写真を撮りに来た男以外のバス利用者は妄想のようでした。もらったミカンだけが不思議感覚を刺激します。
『吉野』 脚本・演出 長堀博士(楽園王) 倍賞千恵子好きなお父さんが作った家族の話。
長男タコ、次男寅さん、長女さくらの父母が離婚して、それぞれの相手が染井さんと吉野さんというところが面白いのかな。
『緑春』 原作いしいしんじ 脚色・演出 林灰二(Oi-SCALE) 落語風に演じられた花見を題材にした話。
桜に映える青色に嫉妬して愚痴をこぼす緑色と茶色でしたが、花見の席で喉を詰まらせたお婆さんを助けたのは緑茶でした、シャンシャン。
落語は下手だし、特にぼんやりしました。
満足度★★★
大声出して汗かいて
色々考え込みました。
ネタバレBOX
大声出して汗かいて、警察官なのにストーカーしたりハイジャックしたりした経験をコントみたいにやって、いくらなんでもと思いましたが、途中から売春捜査官みたいなことをやりたいんだと考えると全てが納得できました。
ただ、ここが若い俳優志願者を育てている芸能プロダクションだとすると、そんな大声を出す手法で学んでいいのだろうかと思ってしまいますが、いい大人なんだからどのようなところを選ぶのも本人の意志だしまあ良しとして、分別のつかない小中学生のような女の子たちにこれが演劇だと刷り込むのは正直如何なものかと考え込んでしまいました。
満足度★★★
良く言って
中二
ネタバレBOX
幼稚園児がウンチやオシッコで喜々として喜んで騒いでいるような、もう少し誉めた言い方をしても中二的な程度の話、南アジアへ旅行したカップルが旅先のホテルで氷が原因で下痢になり、それまでの不満が鬱積していたこともあり、危機を迎える話でした。
同棲ということで、結婚していないからといって先輩の名を借りて浮気する男もどうかと思いますが、女も女で同じ穴のむじなのようなところもあったりしてあまりきついことも言えませんが、せめて強烈なちゃぶ台返しをするくらいのスカッとしたところを見てみたかったです。
役者自身がいちいち大きなベッドを回転させたり、ふーふー言いながらソファーを出したり片付けたりして場面転換をする手法は面白かったです。
満足度★★★★
スッキリ
クズばっかりでした。
ネタバレBOX
次男の嫁を、次男も含め、兄、妹、兄の娘の家族全員が召使ぐらいにしか考えていない家族があって、虐げられていた嫁が最後爆発して家を去って行く話。
昼メロのような、こんな家が本当にあるのかなという気持ちで見ていましたが、最後のちゃぶ台返しでスッキリしました。
遠慮と感謝が大切です。
満足度★★★
いい話
そんなの期待していません。
ネタバレBOX
特異な性癖を持つ自殺志望者男女10人が集まり、殺し合いを始めようとするも結局ほとんどの人が立ち直る話。
拳銃で撃たれタバコの火で手術するなどの強烈なシーンで始まりましたが、実家が肉屋のリストカッターと内蔵フェチで手術上手な医者がペアを組むことで死なずに済むといった都合のいいペアが多く生まれる、変だけどちょっといい話になってしまいました。
初演を観たせいもあるのでしょうが、パズルのピースが赤いハートになって以降のいい話にはなんだかなーと思いました。
下ネタや局部を表す言葉が大声で飛び交いましたが、彼氏の浮気を目撃し、しかもゲイの素股だったと今気づいた女の告白が一番強烈でした。
満足度★★★★★
素直に
やられたー、やってくれたなーと思いました。
ネタバレBOX
心理学、と言ってもオカルト的なことを一応非常勤で教え、その頼りなげな教祖的魅力によって様々な女性12人と付き合っていた男の家で起きた10人の女性の刺殺体と1人の女性の首吊り遺体が発見された事件の真相が、鑑定留置の際の鑑定医と男の対話によって明かされていく話。だとばっかり思っていたのですが、主役としてオーダーを考えている男優に対して次回作の構想を説明しつつ、突っ込まれると具体的にはまだ未定のため適当に盛りながら汗をかきかき出演依頼する作家の話でした。
『つぎとまります』と同じ作家の話となりました。作・演出・出演故の性なのかもしれませんが、そこまでオチにこだわらなくても良いのではないかとは思いつつ、素直にやられたー、やってくれたなーと思いました。
ただ、「この中の一人が僕を救ってくれる。その他のみんなは死ぬ。」みたいな男の言葉から始まったストーリーは、男に自殺願望があったのか、それとも殺人願望があったのか、刺殺したのは誰なのか、自殺したのは誰なのか、そして目の前で見た結果は妥当なのかといったもやもやした事象の検証を、シャンシャンということで、もうこれ以上深く考えなくてもいいよと思考放棄を促すようで、逃げたなーという感じも受けました。
満足度★★★★
花瓶は倒すし、ドアは壊すし、
エイプリルフールもありました。
ネタバレBOX
歌とダンス、ダメ出し等もあったイベントでしが、そのうちの演劇部のお芝居について言うと、10年前文化祭で演劇部が中止した演目を万難を排して演じることで未来が変わり、今は学院のシスターとなっている二人小渕先生と福山先生が仲直りをする話。
現在と過去を行き来したことで、10年前に行方不明になった少女が10年前に戻ることができましたが、その代わり当時の小渕がいなくなったことになったのかと考えると結構難解な頭の痛くなるストーリーでした。
小渕役の郡司みわさんが上手のドアを壊してしまいましたが、途中の桜木さやかさんこと阿久津先生によるダメ出しタイムに直すことができ、意外に有意義な時間だと感心しました。
花瓶が倒れたまましばらく放置されていたのは残念でした。
満足度★★★★★
過去が現在になりそうな
風潮が似てきたような気がします。
ネタバレBOX
とあるアトリエ兼住居における奔放な天才画家とその妻、そこに出入りする人々の戦中戦後の話と、当時は軍に協力しながらも戦後は反戦の絵を描いた妻の作品を展示する小さな美術館の現在の話を交錯させながら描いたストーリー。
地獄変のようなシーンに、天才の直感的芸術性の発露と凡人の違いを痛感しました。しかし、彼らは劇作家を除き高等遊民ではなかったので働かざるを得ず、凡人は結果として軍に協力し、天才もなんやかんや言ってもそのおこぼれで生きていたのは事実です。
八紘一宇など最近話題の言葉も出てきました。昨今の日本人は凄い的な風潮も、日本人の識字率が高く、遅れたアジアの人民を指導しなければならない的な当時の思想に似ているのかもしれず、あまり調子に乗らず、少し気を引き締めなければいけないのかもしれません。
安倍首相の言う女性参画社会も、男性は軍人として海外に行き、郵便配達やバスの運転は女性がやるといった銃後は女性に任せろ的な発想から来ているのではないかと思えてきて背筋が寒くなりました。
館長が美術を目指していた青年と天才画家の妻との間にできた子供だったということを今は老人となった男は館長の名前から確信しました。館長の方は老人が父親だとなぜ気が付いたのでしょう。母親の短歌に対する流し灯篭の灯篭に書いた返歌の内容からでしょうか。天才画家のことを口にしなかった母親の態度を思い出したからでしょうか。それとも自分に天才的要素がないことの理由が説明できるとでも思ったのでしょうか。もしやと思うのは分かりますが、お父さんと口にするまでの確信が得られた理由は分かりませんでした。
満足度★★★★
目を覚ませ
結構まともな筋立てでした。
ネタバレBOX
原発とともに生きた町で、事故後の今は中間処理施設誘致で繋いで、将来は再度原発誘致をしようと考えている田所水道店の潤二郎を中心に、家族、兄弟の家族、さらに地域の人々のそれぞれの思いを描いた話。
神棚にこだわったり、家に入るときに塩を振りかけたりと、嫌いな迷信に溢れていましたが、東京マハロとしては初めてではないかと思える程のまっとうな筋立てでした。ただ、働きもしない弟に水道店の社員として給料を払い続けているというのは、最近の税務署が気がつかないはずがないのではないかとも思い、悪質な脱税行為をしている会社に対しては嫌悪感を抱きました。
兄弟と家族が独白する同じシーンが二回ありましたが、最初のときは潤二郎夫婦は手をつないでいたのに終盤のシーンでは手を離していて離婚することが窺えました。その後、妻は家を出ていきましたが、逆にしつこく感じました。
それにしても、町の発展に原発が必要と考えている人たちの目を覚まさせるにはもう一つの事故が必要とすれば非常に悲しいことです。
満足度★★
【デモンストレーションとゲストとのトークの回】
「耳に聞こえてきた言葉の百科事典」でした。
ネタバレBOX
築地のセリの様子から始まり、これは音感を楽しむもので話し言葉ではないと違和感を覚えました。
前田司郎さんとのトークで明らかになりましたが、話し言葉というよりは耳に聞こえてきた言葉と言った感じで、題名も「耳に聞こえてきた言葉の百科事典」が適切だと思いました。
デモンストレーションはたった4本に過ぎず、物足りなさを感じました。
後にビデオで海外版を見せてもらいました。指揮者が指揮をして俳優が演奏するように言葉を発するという方式でしたが、アドリブでやるわけでもなく、出来上がったものをやるだけでは指揮者の意味もなく、実につまらないと思いました。
満足度★★★★★
【甲府南高校】【成蹊高校】観劇
予想以上に質が高く素晴らしかったです。
ネタバレBOX
三校中二校の公演を観ました。
甲府南高等学校 『秘密の花園』 作:中村 勉(顧問創作)
短歌甲子園を目指す短歌部の女子生徒たちが、急遽顧問を辞めて入院してしまった先生に歌を見てもらおうと思い立ち会いに出掛け、途中電車の中で寝込んで見た妄想話でストーリーを膨らませつつ、最後先生からの手紙を読んで自信を持って短歌甲子園に臨もうとする話。
先生は癌かもしれず、恐らく抗癌剤治療などで返事を書く余裕もなかったのでしょうが、遅く届いた手紙ではそのようなことには触れず、お嬢さん方という言い方や生徒に自信をつけさせながらも適切に添削するところに、君子の交わりは淡きこと水の如し的な距離感と品の良さが感じられました。
始まる前に高校生たちがじっと動かずに長時間座っていました。雰囲気に慣れる目的があったり、訓練の一環なのかもしれませんが、若い人の時間の感覚は中年の人の感覚より長く感じるのだということだけは考慮しなければならないと思いました。少しパワハラ臭を感じました。
成蹊高校 『井の頭八景』 作:宮本浩司(顧問)+演劇部 潤色:オノマリコ(趣向)
愛犬ユメを交通事故で亡くしやる気の無くなった女子高生の前に、鍵を失くしたというおばあさんが現れ、鍵を探すために吉祥寺の各所を巡ることになり、それらの地はユメと散歩した思い出の場所で、少しずつ悲しみが昇華されていき、美大を受験するという夢を再確認するという話。
愛犬の思いが伝わってくる作品でした。
俳句をたしなむ美大生は岸田國士風のお芝居に出てもぴったりなような雰囲気があり、多くのボードを左右に動かしながら人が登場する様は野田マップ風、何か一般の劇団の演劇を観ているようでした。
肝も据わっていて、とんでもない言い間違いをしてもフォローが完璧でさすがだと思いました。
満足度★★★★★
笑った!
特に途中まで
ネタバレBOX
いったん認められた卒業式の式次第が突然学校側から拒否されたため、生徒会からの申し出により国府台高校の伝統的手法である生徒側と学校側が話し合って物事を決定する連絡協議会が開催されることになり、多数派工作が行われたものの埒があかず、最後校長が学校側の案を強行しようと裁量権を行使しようとした直前に、お互いが妥協点を見つけ出す話。
仁義なき多数派工作のドタバタ振りや投票を遅らせる牛歩戦術など前半から中盤にかけては大笑いの連続でした。登場人物はそれぞれがキャラが立っていて良かったです。斉藤先生の分かり易いリアクションや川添先生のキョトンとしながら目をパチパチさせるシーン、松村先生の身体的特徴などベタですが最高でした。
学習指導要領を満たすことだけが校長の本意であり、そこに気付いたか否かは別にして、卒業生の入退場を繰り返すことで妥協点が見つかり、生徒による自治至上主義者の生徒会長だけは反対しましたが賛成多数で決着しました。
最後の連絡協議会の机の並べ方でお互いの距離感が近づいたことを表していましたが役者さんが見えづらくなったのも事実です。
途中までが最高でした。
満足度★★★★★
『菅原伝授手習鑑』【昼の部】観劇
前半部分は初見、後半に繋がっていく過程が分かりました。
ネタバレBOX
歴史上の人物菅原道真(菅丞相)の太宰府流罪を題材に、菅丞相、御台所や子息の菅秀才、書道のお弟子さん武部源蔵、政敵である藤原時平、そして肝心の菅丞相の舎人梅王丸、藤原時平の舎人松王丸、斎世親王の舎人桜丸の仕え先の異る三つ子を中心とした物語。
加茂堤 桜丸の妻八重は斎世親王と菅丞相の養女苅屋姫のお二方が密会の後には水が必要ということで水を汲みに行き、桜丸は勘ぐってきた時平方の三善清行を追っ払ったわけですが、深追いし過ぎたため桜丸のアンダーコントロールでないところでお二方がその場を離れてしまい、その事実が重たかったということで、将来の桜丸の自刃にも繋がっていくわけですね。
筆法伝授 武部源蔵は文字のはね方の大げささなど手本と少し異なっていましたが、実際に手本を見ながら清書していました。まさか染五郎ご本人が本当に書くとは思っていなかったので驚きました。歌舞伎俳優も大変です。
ここにも三善清行が登場し、武部源蔵が清書するのを邪魔するなどちょっかいを出していました。伝授の一巻は授かりましたが勘当は許されない厳しい主従関係でした。菅秀才を武部源蔵に手渡したのは梅王丸でした。
道明寺 木像が化身した菅丞相の歩き方はロボットのようでした。伯母覚寿は策を弄して菅丞相を暗殺しようとした太郎を刺し殺すなどやり手でした。
満足度★★★★★
虚々実々
身も蓋もないこと言われても困っちゃいます。
ネタバレBOX
学校の非常勤講師をしながら演劇を続けているホンマが、演劇を始めるきっかけとなった学生の頃からこれまでを、大好きだったカエデさんとのエピソードを虚々実々織り交ぜながら描いた話。
女優陣がカエデを交代で演じ分ける方式でした。20代の自分がずらーっと並んで成長記録を描いたお芝居があったことを思い出しました。
途中で同棲相手が脚本を読んで内容に嫉妬したり、最後、それぞれのカエデがあれは何と、盛ったことをなじっていましたが、経験を切り売りしつつもそりゃストーリーを作ります、そんな殺生な、そんな身も蓋もないことを言われても困ってしまいますという感じで笑いました。
学生時代の、多目的ホールにおける火の使用の可否についての不毛な議論も面白かったです。結局は誕生日ケーキに小さなロウソクを10本立てる話でしたから。
ラストシーンで最後のカエデ役をそれまで同棲相手役をしていた女優が演じたので不思議な感覚になりました。
満足度★★
【女性バージョン】観劇
時には臨機応変な対応も必要です。
ネタバレBOX
開演三分前に入ってきて、トイレに行って、開演時刻五分過ぎに戻ってきたたった一人の男性客のために開演が押したというのに、まあ出物腫れ物所嫌わずですからそのこと自体は仕方ないとも思いますが、その後スタッフがトイレの明かりを消していざ本番となったときに、それまで客の誘導やトイレの案内をしていた女性が前説を始め、トイレに行きたい人は今のうちに行ってくださいと言い出したときには、おいおい、みんながまさに糞ったれ男のために散々待たされたというのに、まだ誰かをトイレに行かせようとしているのかと、何空気の読めないことを言い出すんだと唖然としてしまい、その女性がそのまま主役として本番になだれ込んだのですが、しばらくは芝居に入り込むことができませんでした。
話は、文字が書けないような、全体が把握できないような、最低限の賢さを持ち合わせていない人間を仲間に入れると計画は失敗しますというような内容でしたが、本当に前説も一つ覚えでなく、臨機応変に対応できるだけのクレバーさが必要だと思いました。ま、前説の文言もきちっと脚本に書いてしまった作演さんの責任なのでしょうが。
監獄に一人残す方法はゲーム理論を駆使して決着するのかと期待しましたが、残れば看守と恋ができるなどという緩いものでした。
満足度★★★★
結構バタバタと、
あらすじをを急いで流しているような感じでした。
ネタバレBOX
オーシーノ公爵に仕えるヴァレンタイン役を無隣館の横地梢さんが演じていましたが、殊更に存在感がありました。オーシーノがシザーリオを寵愛するのを見て憂いた表情をするので女かと思いましたが、アントーニオを捕縛するのを見て一応男だと考えました。二組のカップルが誕生した大団円の後のラストシーンで、再度物思いに耽っていましたが、彼はゲイなのか、なぜわざわざ女優を使ったのか、なぜドタバタコメディのハッピーエンドの後に物思いに耽らせる必要性があるのか理解に苦しみました。
李そじんさんは出ずっぱりで可愛かったですが、男に変装するのに髪を束ねただけというのはちょっと芸がありませんでした。現在、日生劇場でやっている『十二夜』や歌舞伎版は一人二役です。どっちがいいとも言えませんが、少なくとも今回はそんなん間違えるかと思いました。
それよりも、兄を助けたのも、妹を助けたのも同じ俳優さんというのでは、アントーニオのことは知らなくても、自分を助けてくれた船長さんのことぐらいは覚えているでしょうって思ってしまい、頭が混乱しました。
経費節減なのでしょうが、二組のカップルのドレス姿など見てみたかったです。
ところで、道化が太鼓叩いてハンカチ広げ投げ銭を要求するシーンがありました。最前列の席でなかったのでできませんでしたが、最前列にいたら間違いなくハンカチの中にそっと小銭を入れました。残念でした。
満足度★★★★★
全力で感
クズで、熱く、無気力なクソメンの生態に関わるコントですが、出演者全員の「全力で感」を感じました。
ネタバレBOX
モテない男たちに関わるコント、『三人の関係者』、『嘘だと言ってよ、ハリー!』、『吉崎、かく語りき』、『ほんとだよ』の四編。
肩に触られてその気になって、これはちょっとわざとらしかったですが、バッグの斜め掛けを見て勝手にその気になるクソメンと、自分はモテないと達観するクソメンに笑いました。
全世界の人類全員が持つロックンローラーのイメージと相反するハリーこと張本君の体型だけでも受けます。
モテない男と美人には接点がなく、お互いが幻であるという相対性幻論の世界観、良く分かります。
バイクにペダルは笑いましたが、正直、ファルコンにお金を掛ける必要は無いと思いました。
満足度★★★★
そこそこ良質
ベテラン陣と若手陣が上手くかみ合い、そこそこ良質なヒューマンコメディに仕上がっていました。
ネタバレBOX
ステージ2の胃がんの父親が子供たちの意見を聞きながら遺言書を作成しようと思い立ち、思い出の旅館にみんなを集めて家族旅行をする話。
客席に入ると、舞台上に旅館コウノのロビー、受付、玄関が設置されているのが目に飛び込みました。この段階で、各子供たちが主張をぶつけ合うような骨肉の争いにはならないなと想像がつきました。
この旅で胃がんを告白するのかと思っていましたが、子供たちは知っていて、旅行の目的まで既にみんな聞かされていました。緊張感なくスタートするのも当然です。
子供たちには誤解も含めて様々な問題がありましたが、お父さんが旅館備え付けの防犯カメラの音声で全てを知るところとなり、とっても今風な展開に少々上手く行き過ぎの嫌いを感じつつも、お父さんの財力もあって無事解決しそうで何よりでした。