ONとOFFのセレナーデ
ことのはbox
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2019/06/05 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
トーリーとしては、葬儀というものの考え方の本音と建て前、また人の持つイメージの強さ、これらが印象に残りました。シタイのネーミングの意味合い、ラストの二人、ちょいとばかり唸りました。大変興味深い作品でした。出演者も熟年組がイイ味を出してました。叔父夫婦のコショコショ話、すんごく有りです!夫婦として成立してました!・・・なのですが、メイン三人は少し芝居がこなれていないような気がします。また、演出に細やかさが感じられない。劇場が使いづらいせいもあったかもしれませんが、セットから雑然とした印象しか受けなかった。なにか物足りない気がしたのも事実です。☆四つ付けますが、実際のところ3.8ぐらいだと思ってください。
ざくろのような
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
経済とか経営とか、こういう事にはあまり興味がない。
が、どうしたことか、思いっきりのものを観に行ってしまった。
“やっぱ小難しいのね”と思いきや“うん?”“それはないんじゃない!”“どうすんのよぉ!”
とつられつられて最後まで。
「観たい」に書いた通り、“肩の力を抜かずに最後まで”
がっつり入って観てしまいました。
平坦にならない場の造りに、生身の感情を感じられる演技、
そういう事があるという事は知らないわけではないけれど、
やっぱり目の辺りにすると、改めてその残酷さというか、会社の存在・その組織の在り方みたいなものに
疑問や憤りを感じる。
自分がそういう場の中にいないことに安堵し
その真っただ中にいるうちの旦那様を労わってあげようかと思ってしまうほど!
(これはその日の旦那様の態度が悪かった為、露と消えましたが・・・。)
珍しく普段考えないことをいろいろ考えさせられる舞台でありました。
後家安とその妹
明後日
紀伊國屋ホール(東京都)
2019/05/25 (土) ~ 2019/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
このストーリー、兄妹がメインではあるけれども突き詰めると“二人の女の生き様”が軸となっている。
妲己のごとく存在するお藤の冴え冴えとした美しさ!他者に染まらない少女の冷たい残酷さ。演じた芋生さんが実に美しい。対してお染。持って生まれたろくでもない男を引き寄せてしまうような艶っぽさ!広山さんの色気と哀れ、なかなかのものでした。という事で、女性陣の映える舞台であったと私は思います。次回は豊原さんメインで観たいと思いますけど・・・。
オフシアター歌舞伎「女殺油地獄」
松竹
新宿FACE(東京都)
2019/05/22 (水) ~ 2019/05/29 (水)公演終了
満足度★★★★★
獅童氏のその変化が怖かった。頼りなげだった表情がどんどん険しく変わり始める。
“異質のもの”への変貌。空気が変わる。ひゃっとした背筋を走る恐怖。その視線に凍り付き始める。
相手の恐怖が彼を殺人者に変えたのではないかと感じるシーンであった。
残念ながら囲み舞台、5列目までは段差が無い為、この必死のもみ合いが良く見えない。
私は北側だったのでまだある程度は見えたが、西側にいた観劇友はそのシーン全く見えなかったと言っていた。
舞台と観客に一体感が生まれる囲み舞台の多い劇場(と言っていいものか?プロレス興行多いよね)
それはとても素敵なことだが、客席の造りには?となることが多い。
この辺り劇場側も主催側ももっと検討して頂きたいなと思います。
さて獅童氏の演技はもちろん
相手役の壱太郎氏の二役もなかなか見事だった
加えて荒川良々氏の存在が良いスパイスになっていた
そして
普段滅多に褒めないのだが子役さんが凄い!
台詞の間合いがムッチャイイ!表情も良く出ていた
驚かされたのは、母の霊前に座っているシーン。
何か見えて?となった。
見間違いかと思ったが、彼女の目からポタポタとまさにポタポタと涙がこぼれ落ちていた!
涙ぐんだなんてものじゃない。大粒の涙がぞろぞろとこぼれていたのだ!
なんて集中力!そして役への入り込み度の高さ!浅沼みうちゃん。
この後どんな成長をしていくものか?それこそ将来楽しみ!
(先の友人はこれも全く見えなかったとの事もったいない!)
至近距離で生の歌舞伎が味わえる。決して堅苦しいものではない。
テンポもいいし、笑いもある。情緒もあれば、生身の凄みもあった。
この機会がもっとあればと期待する。
赤と黒 サムライ・魂
舞台「赤と黒 サムライ・魂」製作実行委員会
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2019/05/25 (土) ~ 2019/05/31 (金)公演終了
満足度★★
御歳80歳の里見浩太朗氏の存在感は流石!声も変わらず、浩様ここにありという感じなのだけど・・・浩様ファンに合わせた為か、ストーリーは藩を上げての一大事という割にスケールが小さいし、話に深みがない。“わかり易いのが大事”という事なのだろうか?また、殺陣好きとしてはバリエーションのない殺陣にガッカリした。誰もが同じバリエーションで、やたら相手の剣を背中で受ける型が出てくる。殺陣の振り師の方にもう少し“魅せる”ということを考えて欲しいし、動ける若手が抑え抑えの殺陣を(メインお二人をこき立たせるためには仕方ないのだろうが)強いられているのは観ていてかなりつらかった。
YELL!
TEAM 6g
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/05/22 (水) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
始めに“こういう話”とわかってしまったが、わかっていても引き込まれる演技力と演出の腕の良さ!前作はこなれ感が足りなく、少し残念な思いをしたが、今回は“じっくりやり込んだ”が強く感じられる出来!しっかりした演技の先輩に若手が良い影響を受けているのも感じられる。主役は勿論、脇役の方でさえ、ナチュラルな想いをしっかりと感じさせた。今回は文句なく☆5つ!+付けたいくらいです。
あの日見た星空はきれいだった
アンティークス
シアター711(東京都)
2019/05/22 (水) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★
期待が大き過ぎたのでしょうか?ぎこちない演技に、よく有りのストーリー。初めからどういう話なのか見えてしまって裏切られることを期待しつつ観ていた。残念ながらなるようになってしまって“良い裏切り”には出会えなかった。伏線はあまりにもはっきり出過ぎで、複数のサイドストーリーに必要性が感じられない。作者からすれば必要だったのかもしれないが、観ている側からすると同じ部分を重ねているように感じる。演出的にはあのぎこちなさが狙いだったのだろうか?個人的には民泊の家の娘さんくらいナチュラルな芝居が良いと思うのだが・・・。もう少し照明・音響プランも場を感じさせる説得力が欲しいと思ったのは私だけだろうか?
いいヒト
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2019/05/15 (水) ~ 2019/05/20 (月)公演終了
満足度★★★★
トツゲキさんらしいドタバタコメディ。敵役も悪人もいない、それこそ“いいヒト”だらけのストーリー。なんとかしなきゃという気持ちと想いに溢れていた作品。出だしの目玉焼きにはなんのこっちゃだったけど、これがすべてを集約していたんですねぇ。面白かったです。あえて気になったのは見えないはずのものに目が向いてしまったり、それをよけてしまう動きが何度か目についたこと。みれは数こなしていけば解消されるんじゃないかと思います。
DYNAMIC CHORD the STAGE
『DYNAMIC CHORD the STAGE』製作委員会
ヒューリックホール東京(東京都)
2019/05/11 (土) ~ 2019/05/15 (水)公演終了
満足度★★★
暫くぶりのカラコンにカラーウイッグの世界でした。人数が多い分、眺める楽しみも多い。ストーリー・設定としては“これはないよね”と言うのは部分は有りだけど、意外に大人な台詞も有ってたりして・・・その辺りは〇です。でも一番面白かったのはアドリブのシーンだった私です。
叫べ!生きる、黒い肌で
アブラクサス
サンモールスタジオ(東京都)
2019/05/09 (木) ~ 2019/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
観劇三作目です。前作に比べ演出が成長したようにも思えるが、まだまだここというところのメリハリが足りない気がする。照明使いにムラ有り。オヤジさんじゃないが、歌える人がいるというのにそれを活かさないのはもったいない。キャパとしては大きい劇場ではないので台詞マイク無しは当然だが、歌のシーンだけはやはりマイクでその世界を広げ包むことも必要では?生声だと少々粗がわかってしまい、演出の上手い切り替えもないので“聴かせる歌”にはなり切れなかったと思う。芝居も大事だが、舞台には魅力も必要だと思うが。
今まで存在の薄かった男性陣がはっきりしてきた。確かにバランスが良いとは言えないが、全体レベルは上がっている。これはプラス。
個人的に羽杏さんは押し女優さんなのだが、今回は普通の芝居が出来る女優さんで終わってしまったのが残念!彼女にはもっと難しい演じにくい役がお勧めかと。
次回作期待しております。
New Musical『Color of Life カラー・オブ・ライフ』
ワタナベエンターテインメント
DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)
2019/05/01 (水) ~ 2019/05/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
出演者たった二人の舞台、だが、見応えがあった。演出の魅せ方の上手さ、照明・音響が絶妙!
でも、なにより魅力的だったのは二人のキャスト!観ている側にハッピーエンドになって欲しいと思わせてしまうほど魅力的な二人。魅了されました!
天狗ON THE RADIO
ものづくり計画
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/05/02 (木) ~ 2019/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
繋げたい想いが伝わって来た。なんとかしようという人々の想いが、トラブルも乗り越える力を産み出していた。大きな笑いを作り出したドタバタの結末は、終わらない彼らの続きに答えがあるのだろうと私は考えた。
ラジオから遠くなっていた私だが、昔々、地元のラジオの深夜放送にハガキを熱心に書いていたことを思い出した。今は簡単にメッセージをそのまま送ることが出来る。だが、ハガキなり手紙なり、書くときには何度も何度も下書きをし、何度も何度も見返した。つたないなりに丁寧に言葉を大事に書いていたように思う。それはそれを書くという事に想いを込めるという事ではなかっただろうか?この作品の最後の手紙に込められた想いはもっともっと大きくて、もっともっと愛おしいものだったと感じた。
本音を言えば、「河童村ブルース」の二番煎じかと思いもしたが、この作品はこの作品の温かさと優しさが溢れていたと思う。
バラ色の人生
TEAM 6g
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/04/24 (水) ~ 2019/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★
本当は☆☆☆☆☆としたいところなのだけど・・・。限りなくそうしたいところなのだけど、どうもバーの場面にこなれが感じられず、ここがマイナス点となってしまった。ない方がいいとは言わないが、やるからにはもっと滑らかに仕上げて欲しいのであえて、一個削ります。(☆半分ってのが欲しい)相変わらず、良い舞台観たな♡と思わせてくれる劇団さんです。
吸って吐く
劇団時間制作
萬劇場(東京都)
2019/04/24 (水) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
息をつく暇がないほど、圧倒される出演者の迫力ある演技。あぁこの方は芝居も出来る人なのだと驚かされた何人かの出演者。そして、見事にはめ込まれ、繋がり、露わにされる人々の内にあるもの。泥沼の中であがく人々の葛藤、あがき、絶望、そして愛情(それは必ずしも良い方向にだけ向かっているわけではないが)、惹きつけられたままジリジリとした。やっぱこの劇団凄いです!
「遥か彼方に揺蕩う星空」
縁劇ユニット 流星レトリック
萬劇場(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★
「青春SFラブコメディ」なんて銘打たなかったら良かったのにと思わないでもない。占い師役の方くらいこなれていれば違和感もないし、スパイスにもなるが、若手のそれはどうもデフォルメ。大仰過ぎて角張っているような印象を受けた。
(半面勉強はできるがのほほんとしている同級生役のふんわりした感じはかなり良かった)
無駄に力が入り過ぎているという事だろうか?
にもかかわらず主役の二人にはそういう要素がまったくない。
周りばかりが頑張っている感じを受けた。
チョコレートケイキ
春匠
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/04/12 (金) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
かなり衝撃的な作品でした。人の息遣いがここまで場を感じさせるものなのかと。そしてその生々しさにゾクッとさせられた。ボソボソとしたセリフには少々?となりましたが、逆にそれはそれで舞台の空気を作っていたのではないかと・・・静かに舞台上に満ち満ちていた感情に圧倒されました。
薄布
天ノ川最前線
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2019/04/11 (木) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★
その薄布を取ってみよう・・・破れるのも覚悟で剥がすのだろうか?それとも丁寧にゆっくり?感じさせる言葉自体が曖昧に思える。その曖昧さが作品の中にも垣間見えた。薄布というデリケートなものの意味合いも感じられない。演技・演出に関しては皆さんのおっしゃる通り。自分たちの作品を客観視することをお勧めする。若いが故の作品としてはそれはそれでよいのかもしれないが。
廻る想ひ、紡ぐ月。
直也の会
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
良い話だった。戦争という出来うるなら触りたくない話の中にも
イキイキとした表情をした人たちがいた。
愚直な主人公と、それゆえに彼の周りに集まった人たちの繋がりもイイ。
役者に成りたいという想いの強さ、戦争の中にある兵隊や看護師たちの生き様
仲間への想い。長い作品ではあるが、その長さが苦痛にはならなかった。
引っかかるのは祖父の話で、父親と向き合うことが出来るのか?ということ。
どうもそこが今一つ説得力に欠ける気がする。
もう少し父親とのエピソードが必要ではなかったのかと思う。
逆に祖父の生き方だけに絞ったものでも、
充分に見ごたえのある作品だったのではないかと思いもする。
とはいえ、出演者・演出・音響・照明etc、しっかりプロの舞台、見応え有でした。
拝啓、衆議院議長様
Pカンパニー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/02/06 (水) ~ 2019/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
普段なら観ないタイプの舞台です。
小難しいものでも、心理的な泥沼的なものはまあ観るとしても、
政治の匂いがするものを感じさせるものは避ける傾向です。
しかし、意外にも食いつくように観てしまいました。
“差別”というものをどう考えるのか?この青年の意思を変えることは出来るのか?
犯人の理不尽な主張、その両親の自責の念と我が子への恐れ、
人権派の弁護士の苦悩、被害者家族の悲しみ、障害者と共に生きる者の言葉。
足りないのはその被害に遭った障害者の言葉ではないかと。
もしも、入れるとしたら彼らの"生きたい"を感じさせる言葉、もしくは意思表示
そういうものが必要だったのではないかと思う。それが相当な衝撃を与え、
観る側にある種の説得力を与えるのではないかと思いました。
演出・演技共に上質な作品でした。
我ら、この広い世界で
集合芸術ANDAZ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/02/27 (水) ~ 2019/03/03 (日)公演終了
満足度★★
話の筋は通っているようで、散乱している。
各人の行動理由の根源がわからない。
特に女神になった女性のその理由に説得力がない。
絞った部分がないまま長いストーリー。
後半になってからの裏話は前振りがないだけに困惑。
妙に丁寧に説明が出来ている部分と語り落ちが極端で、
観ていて?となることが多かった。
演出にメリハリがない。
音・照明が意味をなさない。
登場人物の出・ハケがだらだらしている。
ポイントが締まらない
“ストーリーをよりよく理解させる”
“役者の能力をより引き立たせる”
そういう努力が感じられない。
また二つの国の人物たちのはっきりとした“別物感”がどうにも感じられない。
みんなゴチャゴチャ混ざってしまったように思えた。
衣装だけはオリジナル感、キャラクター感が良く出ている。
力の入れどころをもっと考えるべきでは?