満足度★★★★★
獅童氏のその変化が怖かった。頼りなげだった表情がどんどん険しく変わり始める。
“異質のもの”への変貌。空気が変わる。ひゃっとした背筋を走る恐怖。その視線に凍り付き始める。
相手の恐怖が彼を殺人者に変えたのではないかと感じるシーンであった。
残念ながら囲み舞台、5列目までは段差が無い為、この必死のもみ合いが良く見えない。
私は北側だったのでまだある程度は見えたが、西側にいた観劇友はそのシーン全く見えなかったと言っていた。
舞台と観客に一体感が生まれる囲み舞台の多い劇場(と言っていいものか?プロレス興行多いよね)
それはとても素敵なことだが、客席の造りには?となることが多い。
この辺り劇場側も主催側ももっと検討して頂きたいなと思います。
さて獅童氏の演技はもちろん
相手役の壱太郎氏の二役もなかなか見事だった
加えて荒川良々氏の存在が良いスパイスになっていた
そして
普段滅多に褒めないのだが子役さんが凄い!
台詞の間合いがムッチャイイ!表情も良く出ていた
驚かされたのは、母の霊前に座っているシーン。
何か見えて?となった。
見間違いかと思ったが、彼女の目からポタポタとまさにポタポタと涙がこぼれ落ちていた!
涙ぐんだなんてものじゃない。大粒の涙がぞろぞろとこぼれていたのだ!
なんて集中力!そして役への入り込み度の高さ!浅沼みうちゃん。
この後どんな成長をしていくものか?それこそ将来楽しみ!
(先の友人はこれも全く見えなかったとの事もったいない!)
至近距離で生の歌舞伎が味わえる。決して堅苦しいものではない。
テンポもいいし、笑いもある。情緒もあれば、生身の凄みもあった。
この機会がもっとあればと期待する。