歳岡孝士の観てきた!クチコミ一覧

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花と魚

花と魚

十七戦地

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★

話が非常に良く出来ていた
なんといっても話が良かった!
きちんと「今やる内容」になっていました。

怪物が示唆しているものが
こちらの想像を何度も覆して、面白かったです。

ネタバレBOX

方言が聞き取れないことがある。
聞き取れないのは言い回しの場合もあり、滑舌の場合もあります。
いくつか重要な台詞が聞き取れなかったので、前後の流れで理解する。
それでも内容は大体わかったので、役者もきちんと仕事をしているのだと思う。
個人的にはもっと役者自身のエネルギッシュな衝動が見たかったが
バランスとしてはちょうど良かったのかもしれません。

原発、津波、政府の対応など現実で起きたことが、
この小さな集落の物語とリンクしており、その手法がとても上手かった。
シチュエーションと台詞に組み込まれた言葉の断片が
散々ニュースなどで繰り返された単語とダブって聞こえて
特に、総理を皮肉っていると思われる所長の発言や行動が興味深かった。

世界観がはっきりしていてバランスがよく、脚本は本当によくできていて
今年見た話の中では一番よくできていたと思います。


ヒトゴト

ヒトゴト

ナマニエノハルサメ

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2013/09/06 (金) ~ 2013/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

役者には辛い話
役者を目指す主人公が自殺しようという話。
小劇場の役者は大抵この主人公のようなものなので、
役者が見ると厳しい現実を突きつけられる(笑)
上演時間はちょうど良かったのだけど、
話がダイジェストっぽくなってしまったので、
もうちょっと話の肉付きがあったらよかったと思う。
出演者の個性がそれぞれとても面白かった。

しらなみ浮世

しらなみ浮世

蜂寅企画

劇場MOMO(東京都)

2011/06/02 (木) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★

殺陣が良い
見せたい部分がはっきりしていて、クライマックスの盛り上がりが良かった。
それぞれの男気を見せる瞬間に拍子木の音が入る演出がニクイ。
やっぱり蜂寅企画は殺陣と男前な台詞が持ち味。

ネタバレBOX

親分がすべての人間に大きく関係しているので、台詞や演出等を使って
もっと親分の存在にインパクトを与えても良いのではないかと思った。
人間関係の描き方について、全体的にもう少し丁寧に描いて欲しいと感じた。
恋に落ちる瞬間とか、怒りや悲しみや裏切りや許し。
腑に落ちないところがいくつかあった。
今まで怪我人を出さなかった盗賊たちが岡引を殺した(ように見えた)事には、
それなりの意味を持つと思うが、ラストで旋風一派が全員生き延びて、
笑い合い、風まかせに仕事を続けていくであろうラストが、一番気になった。
一派は今回の事件が大きすぎてそれぞれ深い傷を負ったので、
いつもどおりに振舞うことでごまかしている、という解釈もできなくもないが、
特にそういったことをにおわせる感じもなく、普通に見ていると、
「いろいろあったけど全員生き延びてめでたしめでたし」のように取れる。
旋風一派が単純にヒーローのようで、違和感を感じた。

公演が終わって、他のお客さんが
「すごい面白かった~!誘ってくれてありがとね!」と友人らしき人と
話していたので、「しらなみ浮世」は成功だったのだと思う。おつかれさまでした!
実験都市『ご来場ありがとうございました。』

実験都市『ご来場ありがとうございました。』

演劇ユニットG.com

劇場MOMO(東京都)

2011/07/27 (水) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★

世界観が良い
照明がとても効果的だったのと
音も、観客を不安にさせるのに十分な(良くもわるくも)効果があったと思います。
また、劇場・空間の使い方がとても良かった。

世界観が守られていて
ひとつの物語としてしっかり見ることができました。

ネタバレBOX

これは個人的な見方の問題ですが、あえて排除しているのかもしれませんが
何がどうつながっていて何が何を示唆しているか
はっきりさせたいタイプなので紐が解けないとむずむずします。
アフタートークでも話されていましたが
やはり、「思い出」を失う時、なぜ安東は大丈夫だったのかということは
非常に気になりました。同時に、その答えにはちょっと残念。

都市は人間の幸福になりたいと思う意志の集合体で動いており、
アルカージィが書いた小説により肉の塊になる一連を
人間の幸福(=人間性の回復)と誤って理解し装置を造ったのだと
思ったが、その大元となったアルカージィは何故そう書いたかを見せてほしい気がした。
「ただなんとなく意識せずに書いた三文小説」だけでなく、
それを書いた時の気分、意味、経験みたいなものが見たいなと。

2時間の舞台でしたが
テンポの良さ、構成の良さもあり、長さはあまり感じませんでした。
面白かったと思います。

ファウスト

ファウスト

モナカ興業

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/04/04 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

ファウスト第一部
雑遊という場所が
前、見たときとぜんぜん違って(今回はほぼ素舞台)
個人的にその変わりようがなんか面白かった。

一番最初のファウストの台詞でもっていかれ、
演出も好きだったので、最後まで興味深く見ることができました。

ネタバレBOX

一番最初に女性がドアから入ってきたときは、なんの前振りかと思いきや
それがファウストだった。まさかの女版ファウスト。
最初の台詞で思いっきり持っていかれた。間のあやつり方が素晴らしい。
ちょっとまわりとの実力のバランスが違ったけどひきつけられる、とても素敵な演技だった。
キスも色っぽかったし、最後の血を口からしたたらせているところも
色気とかっこよさが良かった。
物語の構成や役者の配置、動かし方も良かったです。

ミブロ! ~新撰組転落記~

ミブロ! ~新撰組転落記~

劇団バッコスの祭

アドリブ小劇場(東京都)

2010/05/13 (木) ~ 2010/05/19 (水)公演終了

満足度★★★★

素直に面白かった
自分自身がコンディションが最悪で
ユンケルを飲みながらどうにか舞台を観たんだけど、それでも面白かった。
俳優の質も配役もとってもいい。
小劇場ではだらしない俳優を見せられることが多いけど、
きっちり努力が感じられたし、誠実な舞台だった。
欲しいところで十分なエネルギーを出すことができるというのはとってもいい。
役も俳優も個性的で魅力的だった。

ついでに劇場のことも言えば椅子がいい。
ケツが痛くないのは久しぶりだ(笑)

前に見たのは三年前だけど、この劇団は確実に進化している。
なんだか早く自分も舞台がやりたくなった。

ネタバレBOX

全体的にとっても観やすくておもしろかった。
テンポもよかった。それぞれの役の呼吸もあっている。

あえて言うと、体調がわるい中で見たためか
近藤勇が新撰組の局長になったあたりから、長く感じた。
盛り上がるところが少し早かったのかもしれない。
そこまでは話自体が非常にシンプルでわかりやすいけど、
斉藤が新撰組の仲間に銃を向けられるあたりから、
精神論的というか、苦悩を明らかにし始めるのだけど、
ちょっといろいろ入り混じって筋を追いにくくなった。
どれを主眼においていいかわからない感じ。
そしてちょっとだけ殺陣と斉藤一の行動に飽きが来るかな…。

それはそれとして面白かった。
最近見た小劇場の中では一番面白かった。
あんまり新撰組の話とかに興味はなかったんだけど、
きちんと思想の違いや、そういうことを解釈した上での再構築だったので
とても面白く観ることができた。爽快でした。

現代俳優論

現代俳優論

ローカルトークス

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/08/21 (火) ~ 2012/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

人間模様
物語を見せるというよりは
人間の生きざまを見せる、といった印象。
役者が達者な上に魅力が引き出される演出が面白かった。
それぞれの個性の強さが邪魔をせず、妙なバランスが取れていた。
そういう演出は、確かクロム舎の頃からそうだったような気がします。

ネタバレBOX

話の中心に据えられながらも「平賀正樹」が最後まで出てこない。
だからこそ周りの動きがさらにくっきり見えて、素晴らしかった。
バカでシリアスな熱い舞台でした。
この話、ぜったい役者が上手くないと成り立たないもんなあ。
読者モデル役の女優さんが印象的で、バジリコにも出るようなので楽しみ。
天使を汚す

天使を汚す

ロスリスバーガー

RAFT(東京都)

2009/07/17 (金) ~ 2009/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★

とにかく暑苦しい
暑苦しい。もうほんとに暑苦しい。
暑苦しくて、ばかばかしくて、ひどい。
それがほんとに面白かった。

約1時間で1000円という試みはとてもいいアイデアだと思いました。
この値段でこの面白さなら納得です。

僕から見れば僕が正しい、君から見れば君が正しい

僕から見れば僕が正しい、君から見れば君が正しい

MacGuffins

シアターKASSAI(東京都)

2012/11/07 (水) ~ 2012/11/11 (日)公演終了

満足度★★★★

飽きさせないテンポ
「僕から見れば僕が正しい 君から見れば君が正しい」。そんなことばかりです世の中。
…それはそれとして。Aバージョンを観ました。
スピーディで畳みかけるようなテンポ。
表情や動きや声のインパクトを駆使して飽きさせない。面白かったです。
素舞台とはいえ、2000円という料金設定もお客さんに優しい。

ネタバレBOX

最初と最後をマジメな話で綴じたオムニバス。だけど
個人的には最後まで笑いと勢いで終わっていいんじゃなかな、という印象。

それまでが勢いにのってた分、どんなテンションで見ていいのかちょっと面食らう。
また尻が痛くなってくる頃なので、
マジな雰囲気で間を取る演技が最後にくるとちょっと辛いかも?
ただ上演時間90分は長すぎず短すぎず、とても良かった。
スピードに乗った台詞の応酬が素晴らしかったです。

壊れた風景

壊れた風景

劇団CRACKPOT

荻窪小劇場(東京都)

2011/10/20 (木) ~ 2011/10/23 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇的な面白さ
別役実と聞いて「不条理かぁ」と構えて見に言ったのだけど、
勉強不足でした。わかりやすかった。
観客を喜ばせようというサービス精神とは逆の演劇。
それだけに評価が分かれる。
自分は面白かった。

ネタバレBOX

35年前に書かれた台本だそうで、やはり味わいも現代とは少し違う。
「もどかしさ」が魅力の舞台。
執拗な繰り返し、露骨なすれ違い、
言葉にできない日本人特有の責任のなすりつけ。
現実を切り取って特化された役は、日常には存在しない人間だが、
確かにいびつな人間の心理と特性を表している。脚本が素晴らしい。

登場人物が多くなく、台詞もシンプルなので、個々の役者の魅力がモノを言う。
そこをもう一歩踏み込んでいただきたい。

ゾンビ×幽霊×宇宙人「オール恐怖大行進!!」【ご来場・応援ありがとうございました! 次回は11月! からくりサーカス~サーカス編~を上演いたします。 乞うご期待!!!】

ゾンビ×幽霊×宇宙人「オール恐怖大行進!!」【ご来場・応援ありがとうございました! 次回は11月! からくりサーカス~サーカス編~を上演いたします。 乞うご期待!!!】

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2012/07/12 (木) ~ 2012/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

笑えた
内容は複雑でなく、悪ノリ要素が強かったので
これは役者のノリのバイオリズムによって、
回によっては満足度にかなり差が出るのは
ある程度仕方がないことなのかもしれない。ちなみに今回はとても面白かった。

ところどころ、音や動きや台詞できっちり演出のインパクトを決めてくれるので
めりはりがつき、間でさんざん馬鹿やってても見やすかったように感じた。

戦国 SHINOBI -忍・偲- 満員御礼

戦国 SHINOBI -忍・偲- 満員御礼

劇団ヘラクレス

明石スタジオ(東京都)

2010/01/22 (金) ~ 2010/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

心地よい
主役の汐崎アイルさんが爽快で気分がいい。
独自の世界観があって、いい男だけどイヤミなく見れました。
アクションの力の入れ方も、凄まじい汗も、すがすがしかった。

潮見勇輝さんも体格からは創造できない流麗な動きと
体の安定感から生まれる威圧感がとても素晴らしい。

これは劇場の問題ですが、座席の段の高さがあまりなく、
前に背の高い人が座ると、見辛いシーンがあるかもしれません。

ネタバレBOX

話はむしろ単純で、わかりやすく
それだけにヒーローものの最後はだれでも想像がつくけど、
そのとおりの展開になっても満足できました。
倒した瞬間に拍手したくなったくらいに(笑)

演技力と殺陣の実力と声量の差が、俳優によって差があるのは
少し気になりましたが、全体的にそれを払拭するエネルギーで
素晴らしいチームだと感じました。
荒削りなところも味だと思わせてくれる。

それぞれにプライドをかけて舞台にあがっているのがよくわかり
俳優同士の真剣なぶつかりあいがとても良かった。
エンディングでは素直に拍手できました。
楽日も怪我に気をつけて、大成功の舞台にしてほしいと思います。

あと個人的に、ことぶき和子、頑張ったなあ。
お肉体関係

お肉体関係

ぬいぐるみハンター

王子小劇場(東京都)

2010/07/28 (水) ~ 2010/08/01 (日)公演終了

満足度★★★★

不思議な話
こういう内容の脚本を書ける人の頭の中っていったいどうなっているのだろう。
意味がわからなかった。
わからなかったけど、よくこんだけ作ったものだなー。
おもしろかった。登場人物の中に、友人に似たキャラクターもいて余計に入り込めたのかも。
きっとこの舞台のテンション、日によって違うのだろうけど、
今日の昼の回はちょうどよかったと思う。心地よいバランスがとれていました。
おつかれさまでした。

ネタバレBOX

あの夫婦がゾンビを持ち込んだというくだりは個人的にはちょっと。。。
「ゾンビ」ってなんかの暗示だとずっと思ってみてたんだけど、
あれはこの話の中の設定のひとつってだけでしかないのかしら。

舞台装置かわいかった。
衣装の色のバランスもとっても良かったです。

今後に期待が持てそうなので★4で。

g

g

サスペンデッズ

ザ・スズナリ(東京都)

2011/08/04 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

命について考える
照明も音響も衣装、道具、演出が練られていて素晴らしかった。
入れ替わり立ち代わり俳優さんが違う役を演じるところが面白かった。
さすがスズナリで公演を打つ劇団です。楽しませていただきました。

ネタバレBOX

ラストで照明を当てるために床が格子になっているのですが、
上を通るたびに鉄がきしむ音がするので、気になりました。
また、個人的には緩急がもうちょっと欲しかったと思います。
ロボットの方が人情に厚いところは、
人間が人間らしさを失っていることを象徴しているのでしょうか。

世界は巨大なシステムであり、上に行かなければ搾取されるだけだ、
という美容師の思想について、自分もよく考えます。決定的な答えは出ませんが…
この舞台では未来も人間は変わることなくシステムに負け(組み込まれ)て不幸であり
そんな世の中に生まれて来る子牛の未来は食われるだけである。
どうにもならない不公平な世の中になっているよ、という風刺のように感じました。

Nazca -ナスカ-

Nazca -ナスカ-

劇団銀石

吉祥寺シアター(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

話が分かりづらい
劇場に入ってステージを見た瞬間から、
何かやってくれそうな感じがした。
広い吉祥寺シアターのスペースを全部使っての演出や演技は良かった。
音も装置も照明もよかった。

ただ話がちょっと分かりづらかった。

ネタバレBOX

2時間を超える長い芝居なのに話が分かりづらいとちょっと苦しい。
台詞が聞き取りづらい事もあるのだけど
いくつか並行する話と世界が、混ざりきらない。
ナスカと手紙と生きた人間と死んだ人間と星と蝉と想像と現実。
ちょっと詰め込みすぎかも。頭の中でなんとか繋げようと思うのだけど…。
最初説明を読んだ時、テーマとナスカがどう関係するのか明確に想像できず、
そのまま舞台に答えを求めたけど、舞台を見ても明確にはわからなかった。
広がった話をひとつのテーマに向けて収束していく感じがもう少し欲しいと思います。
長い話なら余計に腑に落ちたい。

音楽はとてもよかったし
装置も映像も演技も演出も照明も良かったし劇場も良かった。
さすが吉祥寺シアターでやる劇団は制作もしっかりしていて素晴らしいです。
他の舞台も見てみたいと思いました。

ブレックファスト・コメディ【当日券あります!】

ブレックファスト・コメディ【当日券あります!】

てにどう

シアター711(東京都)

2011/03/31 (木) ~ 2011/04/05 (火)公演終了

満足度★★★★

スマートなコメディ
すんなりストレートに面白いコメディ。

演技はよくて、話も面白くできていたけど
逆にすんなり行き過ぎた感もちょっとあるかも。

お金と実力は見合っていると思います。
贅沢を言わせていただくとやはりテレビとの違いが欲しい。
舞台ならではの迫力や、やり取りが。


Invisible/インヴィジブル 〈舞台写真の公開はじめました!〉 【無事終了いたしました!ご来場くだすったお客様、ありがとうございました。】

Invisible/インヴィジブル 〈舞台写真の公開はじめました!〉 【無事終了いたしました!ご来場くだすったお客様、ありがとうございました。】

一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド

d-倉庫(東京都)

2010/02/05 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

熱い芝居を見た
実家が田舎で
閉鎖的な社会が出来あがっているので
感じるところがあった。

台詞に不思議な休止があり
方言を使わないのに
独特な雰囲気を醸し出している。
この小屋のサイズで
久しぶりに芸術的な演劇を見た。
出演者も真摯で情熱が伝わってくる。
台詞のリズム、
ハッとさせる引きつけ方、
勉強になりました。
これで2500円は大満足のお値段。



ネタバレBOX

主役の方の演技がとにかく秀逸。
身体と台詞の安定感が抜群で、ブレない。
切り替えも早く、語りも素晴らしい。
声もいいし、どっしりとした迫力もあるし、顔立ちもいい。
演出も素晴らしいが
この人だけでもお金を払える。

芝居について少し残念なところをあげると、
劇場の天井が高くて
残響があり、台詞が一部聞き取りにくいところがあった。
出だしで消防団の人々が湖をさらうところは
言葉遣いも古くわかりづらい人もいるので
特に丁寧に届けてほしいと思います。

また、犯人の告白がの後、
探偵さんが和装するシーンで
着替えに気を取られて
台詞が宙ぶらりんになってしまっていたので
一番盛り上がったシーンの後だけに
拍子抜けの感がありました。

それにしても、良い舞台でした。
レジデント

レジデント

Gooday Co.

戸野廣浩司記念劇場(東京都)

2011/08/31 (水) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

脚本が良い
お笑いとかドキドキハラハラするとかそういう面白さではなくて、
大人の話として面白かった。

序盤はエンジンがかからなかったのか、緊張のせいか
噛みはしないものの、ぎこちなさが目立ちましたが、
終盤にかけてだんだん良くなっていき、
脚本の良さもあって、結末まで興味をもって見ることができました。

ネタバレBOX

置いていった人間と 置いて行かれた人間の
擦れ違いのさみしさとフット感じる良い脚本でした。
マイがamazonの袋を開けて泣くという終わり方もとても良かった。
特に何が解決したわけでなく、それぞれが傷を持ったまま
大きな変化もなく、ただある未来を生きるのだろうという
もどかしさとやるせなさが逆に魅力に感じる舞台でした。

ただ男性役の演技が全体的にドライかな、と。
また、タクヤが死の告白をするところが、少しあっさりしすぎているように感じました。
あともう少しテンポがあると見やすいかも。

最初はぎこちなかったものの、
女性二人の演技が良く、個人的には小清水さんが
綺麗で、役にぴったりな雰囲気を出していてよかったです。
言葉にできないものを感じさせてくれた芝居でした。

水飲み鳥+溺愛

水飲み鳥+溺愛

ユニークポイント

「劇」小劇場(東京都)

2011/01/18 (火) ~ 2011/01/23 (日)公演終了

満足度★★★★

事件の予習が必要
「劇」小劇場に初めて行った。
椅子がとても良かった。ぜんぜん腰がいたくならない!
間口も広いし駅から離れてないしとても良かったです。

溺愛のほうは、もとになっている事件の予習が必要だと思いました。

ネタバレBOX

まずは一本目の「溺愛」。
久留米で起こった、看護師による保険金連続殺人事件を
もとに作られた猟奇的な作品。
舞台そのものが主犯格の女、看護婦ジュンコの世界。
そこへ弱みをつけ込まれ、揺さぶられ、次々と
共犯者となる女性が搦めとられ、犯罪に手を染めていく。
この舞台、
事件と、異常な女の思考回路と一般人の苦悩と人間心理を
演劇的手法で描いたのだという事を理解しないと
ハテナマークがいっぱい浮かぶ。予習が必要。

がんじがらめの日々生活を、
本当に裸になる(衣服を脱ぐ)ことにすり替えられ、
脱ぎすてた不自由の代わりに裸の自由(結局不自由)を与えられる。
理解が追いつかないと単に
「官能的な表現を売りにした舞台」みたいに思える。
物語の進行役を名乗る男は、存在が中途半端。
"観客に見られている”という認識を役が持っており、
それが役の感情と行為の理解をさらに妨げている気がする。

インパクトはあったのだけど、
個人的にはこの事件のどこをクローズアップしたかったのか
どこを一般化したかったのか、明確に感じることができなかった。

演出、効果は素晴らしかった。
舞台の上に舞台を作ったのもよかったし
前説からいきなり芝居に入るところも、服を脱がせ方も、隠し方も
その後、体に白い布が巻き付いて
綺麗な衣装になったのも素晴らしかった。
一番最後にすべてを搦め捕る白いリボンも世界を現していて良かった。

だから全体的に、難解だけど、良いものを見たという感想。
事件の概要をパンフレットに載せてみてもいいかも。
そこはこだわりでお好みだとは思いますが…。

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「水飲み鳥」の感想。

同級生の葬式で久々に集まる同級生の話。
限りなく日常の、片田舎の、どこにでもありそうな風景。
特に派手な展開もなく、
一本目の「溺愛」とはまったく違うテンションで進行する。

4人の登場人物が、それぞれの「日常」を持って再会。
久しぶりの出会いに付随する喜びと興味、
環境の違いと考え方の違いによる戸惑いがとてもよく出ていて、
舞台を見ている内に、知らずと自分に重ねてしまう。
あの頃と同じだと思っていても
長く暮らしていくと、年月の分だけいろんなものがひっついて
昔のように何も考えずには付き合えない。
郷愁と現実の違いが物悲しい。

特に何かのメッセージがあるわけではないけど
役の設定のバランスがとても良く、演技も上質で、
いろんなことを味わう事ができる良い舞台でした。
「ベルナルダ・アルバの家」

「ベルナルダ・アルバの家」

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★

まさしくこれぞ「演劇」
舞台装置の配置、垂らした紗幕で繊細な雰囲気。
開演前の注意事項のお知らせの時から、静かで厳かな雰囲気作り。
その中で籠の鳥が鳴く。世界観の徹底。演出の解釈とアイディア。見習いたい。
シアターXという劇場の良さも、今回再認識しました。

ネタバレBOX

新劇調の台詞は、雰囲気で喋れない分ごまかしが聞かず、
俳優の実力が如実に現れる中で、さすがの演技力だと思った。
ただ上手いだけに、逆に噛んでしまうところが気になった。
観に行った回だけなのかもしれないが、すごく噛んでいた。
これは酷な話だけど、ベルナルダ役の新井さんは飛びぬけて演技が上手く
世界観そのものを作っている柱のような存在だけに
他の人が噛んでも「まあ、仕方ないのかなぁ…」と思えるのだけど
ベルナルダが肝心なところで噛んでしまった時、かなり現実に戻ってしまった。
丁寧に世界を積み重ねているだけに悔やまれる。

ラストへの持って生き方、抑えるシーンと盛り上げるシーンのコントラスト。
季節や天候、昼夜などの環境と状況を重ねた真理と心理の吐露。
脚本と演出の技術。勉強になりました。素晴らしかったです。
久しぶりに「これぞ演劇!」という舞台を見させていただきました。

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