水飲み鳥+溺愛 公演情報 ユニークポイント「水飲み鳥+溺愛」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    事件の予習が必要
    「劇」小劇場に初めて行った。
    椅子がとても良かった。ぜんぜん腰がいたくならない!
    間口も広いし駅から離れてないしとても良かったです。

    溺愛のほうは、もとになっている事件の予習が必要だと思いました。

    ネタバレBOX

    まずは一本目の「溺愛」。
    久留米で起こった、看護師による保険金連続殺人事件を
    もとに作られた猟奇的な作品。
    舞台そのものが主犯格の女、看護婦ジュンコの世界。
    そこへ弱みをつけ込まれ、揺さぶられ、次々と
    共犯者となる女性が搦めとられ、犯罪に手を染めていく。
    この舞台、
    事件と、異常な女の思考回路と一般人の苦悩と人間心理を
    演劇的手法で描いたのだという事を理解しないと
    ハテナマークがいっぱい浮かぶ。予習が必要。

    がんじがらめの日々生活を、
    本当に裸になる(衣服を脱ぐ)ことにすり替えられ、
    脱ぎすてた不自由の代わりに裸の自由(結局不自由)を与えられる。
    理解が追いつかないと単に
    「官能的な表現を売りにした舞台」みたいに思える。
    物語の進行役を名乗る男は、存在が中途半端。
    "観客に見られている”という認識を役が持っており、
    それが役の感情と行為の理解をさらに妨げている気がする。

    インパクトはあったのだけど、
    個人的にはこの事件のどこをクローズアップしたかったのか
    どこを一般化したかったのか、明確に感じることができなかった。

    演出、効果は素晴らしかった。
    舞台の上に舞台を作ったのもよかったし
    前説からいきなり芝居に入るところも、服を脱がせ方も、隠し方も
    その後、体に白い布が巻き付いて
    綺麗な衣装になったのも素晴らしかった。
    一番最後にすべてを搦め捕る白いリボンも世界を現していて良かった。

    だから全体的に、難解だけど、良いものを見たという感想。
    事件の概要をパンフレットに載せてみてもいいかも。
    そこはこだわりでお好みだとは思いますが…。

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    「水飲み鳥」の感想。

    同級生の葬式で久々に集まる同級生の話。
    限りなく日常の、片田舎の、どこにでもありそうな風景。
    特に派手な展開もなく、
    一本目の「溺愛」とはまったく違うテンションで進行する。

    4人の登場人物が、それぞれの「日常」を持って再会。
    久しぶりの出会いに付随する喜びと興味、
    環境の違いと考え方の違いによる戸惑いがとてもよく出ていて、
    舞台を見ている内に、知らずと自分に重ねてしまう。
    あの頃と同じだと思っていても
    長く暮らしていくと、年月の分だけいろんなものがひっついて
    昔のように何も考えずには付き合えない。
    郷愁と現実の違いが物悲しい。

    特に何かのメッセージがあるわけではないけど
    役の設定のバランスがとても良く、演技も上質で、
    いろんなことを味わう事ができる良い舞台でした。

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    2011/01/22 16:49

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