バロック【再演】
鵺的(ぬえてき)
ザ・スズナリ(東京都)
2022/06/09 (木) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/06/11 (土) 11:00
初演も観てて、再演も壮大なホラー劇だが、私のテイストではない。(2分押し)117分(機材トラブルによる中断9分を除く)。
地方の洋館を舞台に「呪われた」家族とその周辺の人々が体験する不思議な物語で、壮大な物語を雷鳴を思わせる大音量と光で展開する。筋が通った話ではなくて、なんか不思議、という展開で、ちょっと私のテイストではない。ラストシーンなど、かなり笑える場面だと思うのだが、それまでの展開の壮絶さで笑えないというのも、ちょっと残念だなぁ
この日は70分ほど経過したところで、機材トラブルで中断を余儀なくされて、9分ほど中断したが、再開後に緊張感を維持できる役者陣は見事だと思う。
『器』/『薬をもらいにいく薬』
いいへんじ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/06/08 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/06/11 (土) 14:00
『薬をもらいにいく薬』を観た。素晴らしい\(^_^)/~~。103分。
不安障害を抱える女性ハヤママミ(タナカエミ)がバイト仲間のワタナベリュウヘイ(遠藤雄斗)の力を借りて出かけるのだが…、の物語。不安になるんじゃないか、という不安を抱える、というのが、とても良く分かる形で展開される。よくよく考えてみると、この作家はセリフの選択が本当に素晴らしく、普通に会話しているようで見事にテキストを使い分けている。軸になるタナカの演技も見事だが、それを助ける遠藤も見事に演じてる。
タナカは、くによし組、劇団スポーツ、いいへんじ、と3作続けて観ているのだが、それぞれ異なるキャラクターを巧みに演じて、底力のある人だと改めて思った。
『器』/『薬をもらいにいく薬』
いいへんじ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/06/08 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/06/10 (金) 14:00
『器』を観た。事実上初見のユニット。興味深い作品に出会った。105分。
死にたいくらいツライ気持ちを「死にたみ」と名付けて、身体から切り離す、というアイデアは斬新。3人の「死にたみ」が3人の人物と一緒にいて、それぞれの人のツラサを引き受ける、みたいな感じ。特に大事件は起こらなくて、ある意味で日常が淡々と描かれているのだが、ツラサを切り離すということの意味を考えさせられる。3人の「死にたみ」のキャラクターが違うところも興味深い。
以前、3団体の成果発表会で部分的に観たことはあったが、事実上初見のユニット。今後も注目していきたい。
Secret War-ひみつせん-
serial number(風琴工房改め)
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/06/09 (木) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/06/09 (木) 18:30
実在の登戸研究所を扱った新作。科学者の「業」とでも呼ぶべきものを表現して見事。(3分押し)116分。
第2次大戦中に「ひみつせん」を担当した登戸研究所(劇中では登沢研究所)のあれこれを、何人かの研究者と3人の女性タイピストの姿で描く。主人公・村田琴江(三浦透子)は理系の研究をしたかったが、時代のためできず、理系の研究所に勤めることになった。一方で、現代の中国に、科学ジャーナリストの津島遥子(三浦の2役)は、戦中に登戸研究所で研究をしていた王浩然(大谷亮介)に取材に来るが…。シリアスな題材を扱ってもエンタメ要素を入れ込む同劇団だが、本作ではそれがなく、シリアスな展開に笑える場面がないが、それでも緊張感を持ってみていられる2時間。戦争の悲惨さを訴えるだけでなく、科学の負の面を避けられない科学者の業を扱っているのは、ある意味で新鮮である。2役の三浦に演じ分けも見事だが、戦中の責任者を演じた松村武、戦後の元所員で全体のアンカー的役割を演じた大谷には流石としか言いようのない重みを感じた。
出演者の一人・森下亮がアラポテト大使になったおかげで、お土産に夏限定アラポテトがもらえる。
いつかまた逢える
居酒屋「夢の郷」☆製作委員会
活鮮旬菜 夢の郷(東京都)
2022/06/04 (土) ~ 2022/06/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/05 (日) 17:30
居酒屋芝居の会場となる居酒屋が閉店というので、それを題材にした芝居を上演。楽しい。105分。
故・阿藤快のアイデアで2012年に始まった居酒屋芝居で、3月に初めて観たが、カフェでの芝居に似て近接感があり、とにかく楽しい。ところが2012年から会場としていた居酒屋夢の郷がビルの立て替えで閉店するというので、3月の芝居のスピンオフ的な作品を作って上演する。「長い間ありがとうございます」的な展開だが、日替わりのパフォーマンスがあり、何も考えずに、とにかく楽しめる。
終演後に打ち上げと称して、参加者が飲食し(居酒屋だからね(^_^;))、役者ともそれなりに話せる時間があり、これはこれで楽しい。
貴婦人の来訪
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2022/06/01 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/06/05 (日) 13:00
「声」シリーズの最後にスゴイのが来た。86分(休憩15分)76分。
壮絶な寓話劇とでも言おうか、リアリティはないのだが、これに似たことってあるかも知れないな、と思わせる戯曲が見事である。ギュレンなる貧しい町(かつては、ゲーテが宿泊しブラームスが曲を作った、という栄光もある)に、そこ出身の「貴婦人」クレール・ツァハナシアン(秋山菜津子)がやってくるが、彼女は、「正義」を実行してくれたら10兆を寄付する、と宣言して…、という物語。とても嫌な結末に向かうんだろうな、と思わせて、その通りになるのだが、そのプロセスが切ない。笑える場面も多いが、途中から、笑っていられないな、と思わせる展開が凄い。貴婦人と言っても、ただ金持ちと言うだけなのが、余計に悲惨さを感じさせてくれる。美術も見事だが、徐々に結末に向かって変わる衣装が特に見事。
ふすまとぐち
ホエイ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/05/27 (金) ~ 2022/06/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2022/06/02 (木) 14:00
本劇団は『喫茶ティファニー』に続き2回目。津軽弁満載の家族劇で、笑わせる部分もあるものの、全体は嫌な話で、私のテイストではなかった。
前説で津軽弁講座3分の後、113分。
リバーシブルリバー
24/7lavo
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/05/26 (木) ~ 2022/05/31 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/27 (金) 19:00
楽しいシチュエーション・コメディ。面白い。(3分押し)98分。
同じ大学に通う学生のシェアハウスが舞台。その大学を受けて落ちた浪人生が登場し前説を始めるが、様子がオカシイ…。思ったことと反対のことしか言えなくなってしまった男をかかえて、気難しい大家がやってくるのに対応しようとする住人たちのドタバタが、とにかく楽しい。シアター・ミラクルの小屋主の池田が演出するユニットだが、観たのは初めて。やみ・あがりシアターの笠浦が巧妙な脚本を書いて、ちょっとイヤなキャラもいるけど、最後まで緊張感を持って観ていられた。
小学生の頃から観てる、芝居屋風雷紡の吉水雪乃が大学生の役で二日酔いしている姿とか観ると、自分も歳を撮るわけだなと思う(^_^;)。
花柄八景
Mrs.fictions
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/05/22 (日) 18:00
2度目の観劇。やはり、とんでもなく面白い。83分。
本当に最高だった。
落語とパンクロックを知っていると、もっと面白い。
Cloud 9
TPT
すみだパークギャラリーささや(東京都)
2022/05/20 (金) ~ 2022/05/27 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/05/20 (金) 18:30
キャリル・チャーチルの傑作をワークショップ型式で積み上げて上演。プレビュー公演だが、やはり面白い。(3分前倒し)90分(休み13分)78分。
85年にPARCO/劇団青い鳥で上演されたのを観てスッカリ気に入り、上演される度に可能なら観て来たが、その中でも出色の出来と言える素晴らしさだった。1幕はヴィクトリア朝のイギリス植民地であるアフリカが舞台で、2幕はその100年後のロンドンだが登場人物は25歳しか歳を取っていない、という本作の「システム」が活かされた舞台になっていた。(主に)女性の(性の)解放を扱った作品と見えるが、終盤のベティの独白でそれがより明らかになる、というのは95年のメジャーリーグでの上演で初めて強く感じた。その時のベティは確か高畑敦子だと思うが、本作でその役割を演じた水野小論からは、その時に近い感覚を感じた。それと、1幕でジョシュア、2幕でキャシーを演じた兼田利明も見事だった。いや、役者みんな見事だった、です。
プレビュー公演ということで、若干の不手際があったが、それが気にならない出来。加えて、無料のプログラムが間に合わなかったので後で郵送します、という辺りの良心的な姿勢に感銘した。
踊らぬサロメ、きみがすき。
あんよはじょうず。
王子小劇場(東京都)
2022/05/18 (水) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/19 (木) 19:30
女子高の演劇部の話…、っていうのでは済まない深い作品だった。47分。
セーラー服を着た6人が登場し、高校の演劇部で『サロメ』を上演するような話だが、説明するセリフがほとんどなく、細かいセリフから彼女たちの関係や個々の性格が見えてくるという、戯曲のお手本のような脚本が見事だ。ちょっと不条理に振れてる部分もあり、分かりやすいとは言えないけど、観終わって、ちょっといろいろ考えてみよう、と思わせる。私のテイストには合ってる。
電動夏子『クリキンディの教室』でもヤンキーっぽい役をやってた高橋里帆が今回もヤンキーっぽい役をやってて、これもピッタリ。
眞理の勇氣
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/19 (木) 14:00
タイトな舞台で、オソロシイほど現代を見据えてる。65分(休み15分)77分。
哲学者の戸坂潤が獄死した、という知らせを家族が受ける1945年8月のシーンから始まり、戸坂が唯物論研究会を立ち上げるところに遡って、淡々とその歴史を展開する。劇団チョコレートケーキの古川健が初めて同劇団に脚本を書き下ろし、鵜山仁が演出する。古川が描く物語は、オソロシイほどに現代と相似し、途中から本気で恐ろしくなってしまう。反知性主義と言ってしまえばそれまでだが、現代がそうなりつつあって、それが全体に広がってしまうと押し返せない、ということから、そうならない世界を作りたい、という意図も見える。ただし、主人公の戸坂には感情移入できない部分があり、若干の違和感も感じた。
ただし、やや長い。終盤で途中から退場する客が数名。『ファクトチェック』で観て気になっていた永田江里が華やかさのある役で出ていて、またちょっと気になってしまった(←女優系の性)。
グリーン・マーダー・ケース×ビショップ・マーダー・ケース
Mo’xtra Produce
吉祥寺シアター(東京都)
2022/05/13 (金) ~ 2022/05/19 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/17 (火) 19:00
本格ミステリー演劇。面白い。(3分押し)45分(休み10分)90分。
ヴァン・ダインの傑作と名高い「グリーン家殺人事件」「僧正殺人事件」を舞台化して交互公演する試みで、『グリーン家』は2017年に初演を観たので、今回は『ビショップ…』のみ。『グリーン…』の初演でも思ったが、壮大なストーリーをテンポよく展開し、役者陣の見事な演技と合わせて、ディテクティブ・ミステリーをしっかり上演してて、とにかくスゴイ。ミステリ・ファンとしても満足な出来だった。久々に観た佐藤みゆきの存在感も見事だが、「和やか」担当の中野亜美に癒される。
リターン THE RETURN
ウォーキング・スタッフ
小劇場B1(東京都)
2022/05/14 (土) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/16 (月) 19:00
久々に観るウォーキングスタッフだが、オーストラリアの戯曲をタイトに上演する。面白い。105分。
オーストラリア西部、ミッドランド発フリーマントル行きの深夜列車に2人に前科者が乗り込み、他の乗客がいないのをいいことにチンピラらしく暴れる。年齢が上の男はそれなりに知識がありそうだが、若い方は無知っぽく見える。途中から女子大生が乗り込んで来て、2人は早速声をかけるが、適当にあしらわれている内に、中年の主婦と若い男が乗り込んでくる。2人の振る舞いに声を上げる主婦だが、男は黙っていて…、の展開。後半に思いがけない展開が続くところは戯曲として見事で、役者達も戯曲の仕掛けを確実に演じる巧さがある。ただ、若い前科者は無知に見えるので「無辜の」というセリフには違和感を覚えた。大したことではないが。
2007年に流山児事務所が上演した際に観て、あまりの面白さに2度観てしまった作品が上演されるのというので観に行った。戯曲の面白さはもちろんだが、男の荒々しさを描くのが巧い和田らしい演出で見応えがあった。
花柄八景
Mrs.fictions
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/05/13 (金) 14:00
ある意味で同劇団の代表作とでも言うべき作品。観るべし!80分。
2012年に初演された作品の再演。20XX年、なんでもコンピュータが人間より巧くやる時代になり、落語でもコンピュータとベテラン落語家・花柄花壇(岡野)が対決し、花壇が負ける。このため人間の落語家がほとんどいなくなり花柄一門も崩壊し、最後に残った前座のプラン太(ぐんぴぃ)も去る。花壇はたまたま出会ったパンクバンドの鉢(今村)とその恋人・苗(永田)やストリート・チルドレンの燐(前田)を弟子にして、抱腹絶倒・前代未聞の落語修業が始まる…、というストーリー。
芝浜・らくだ等、落語に関する知識が多少は必要だが、最早一般常識と言ってもよいくらいの話なのかもしれない。同じくパンク・バンドに関して、シド・ヴィシャスとかも知っておいた方が良いが、これも一般常識なのかも知れない。初演も観たが、とにかく落語愛に満ちているのがいい。落語「シド&ナンシー」がまた聞ける(観られる)なんて、スゴク幸せだと思った。笑わせてくれて、最後はちょっと泣かせて、微笑んで終わる。とにかく、いい芝居だ、と言いたいです。
衣人館 / 食物園
牡丹茶房
ギャラリーLE DECO(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/12 (木) 18:30
18:30『食物園』20:00『衣人館』の順で観劇。牡丹茶房らしいダークなストーリーは面白く、最後まで緊張感を持って観られる。『食』75分/『衣』70分。
どちらも対人コミュニケーションに困難を抱える女性の物語。『食』は、ダウナー系の、誰の役にも立てていない、と自己肯定感の低い女性が、おそろしいモノに自分が「役立てる」ことを見つける話。実際にもありそうな話だと思わせるほどに演じる二ツ森が巧く、そして、おそろしい。『衣』は、自分の考える「カワイイ」を追求するために自己主張強めで困難を抱える女性が主人公。信じていたものが崩れる中で、あくまでも追求する姿を石澤が痛々しく演じる。どちらも心が大きく動かされる舞台である。
細かい仕掛けから、これが同じマンションの3階と4階の出来事だと分かったり、小道具で両話を繋いだりするなど、烏丸らしい緻密な脚本は感動的だ。
かなり短い休憩を挟んで交互に上演するわけで、両話に「???」役で出演する赤猫座は本当に大変だと思う。逆に、「???」が出会った2人の女、的な見方もできるのかと思う。2人とも「???」に心を許すのは、社会的な関わりがないからだと言えそうである。赤猫座ファンは『衣』では上手に座ることをお薦めする。
どうでもいいことだが、当パンのルビの振り方が見事、と言うか、私の好みと完全に一致していて、難しいことではないが巧みな作り方に感激した。
『焔 〜おとなのおんなはどこへゆく〜』
下北澤姉妹社
駅前劇場(東京都)
2022/05/11 (水) ~ 2022/05/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/11 (水) 19:00
ベテラン女優たちが集まってのユニットの4作目だが、今までとはちょっと違った感触の作品だった。面白い!94分。
高級タワーマンションのパーティールームに集まる男女。精神科医の楓(松岡洋子)は事実婚の相手の市川(成田浬)と一緒に住み、その後に楓の高校のダンス部の同級生の麻子(明樹由佳)が夫(辻輝猛)・娘(裕海)と引っ越して来て今日のパーティーとなる。ダンス部の後輩の萌香(みょんふぁ)を4児を持つバツのシングルマザーで、お金に苦しむも現在の相手は若い吉野(関口敦史)と同棲中。これに加えて、市川の弁護士の千葉(高畑裕太)とマンションのコンセルジュの花岡(関口秀美)を加え、「おとなのおんな」達が本音を言い合う…、というような展開。あからさまな言葉でやり合う登場人物達だが、女は既婚/未婚、子どもあり/なし、等で分断される、というのが主たる題材で、緊張感を持って観ていて、最後はファンタジー(?)で終わるあたりが興味深い。
80年代に私が最初に追っかけた女優の西山水木が演出で、女優陣に特に魅力がある舞台だが、娘の小百合役を演じた裕海が、ちょくちょくいい感じのセリフを発するところが非常に面白い。
ロビー・ヒーロー
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2022/05/06 (金) ~ 2022/05/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/06 (金) 19:00
日本初演だそうだが、膨大なセリフに圧倒される会話劇。83分(休15分)76分=174分。
マンションの警備員のジェフ(中村蒼)は軽薄でお喋りで、上司のウィリアム(板橋駿谷)に注意されている。そのマンションに住む娼婦に勤務時間中に会いに来るベテラン警官のビル(瑞木健太郎)だが、一方で見習い警官のドーン(岡本玲)といい仲になりたい…、という4人が、それぞれに弱点と強気になれる点を持って、膨大な会話を交わす。ジェフの口の軽さが事件を起こすが、それが修復されたのか、されないのか、よく分からないまま一見ハッピーエンドっぽく終わるが、これって実はハッピーじゃないよね(^_^;)。全体で3時間になんなんとする長さは冗長感は否めないものの、その会話の中でジェフが口を滑らす、という展開を担っているのだと思う。ただ、この芝居って、もっと笑う場面が多い気がするんだけど、初日で観客が硬かったのか、笑いが怒らないのが残念。マンションの1階のロビーと、その玄関の外という2つのスペースを、ボンを使って巧みに扱う舞台は面白い。
3時間の長さなら、せめて18:30開演にしてほしかった。
はなれながら、そだってく。
ひとごと。
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/04/28 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
初見のユニット。私の苦手なパフォーマンス系。つまらなくはないが、面白いとも言えない。
子どものテキストをベースに構成されたらしいセリフに合わせたパフォーマンスだが、残念ながらそのテキストに面白さを感じられなかった。小野彩加のパフォーマンスにクウォリティを感じた。子どもに見せることを想定しているようだが、子どもの観客はいなかった。
あしたばのおひたし
オカムラ企画
雑遊(東京都)
2022/04/20 (水) ~ 2022/04/23 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/23 (土) 17:00
本ユニットの旗揚げ公演。Ammoの南慎介の作・演出で、しっとりとした作品。113分。
田舎の旧家に若くして都会から嫁いだ女、田舎に馴染んで暮す女、田舎に生まれて都会に出て行った女、の3人を軸に展開される物語は、巧みな展開の中で、予想とはちょっと違った方向に向かうが、最後は一応のハッピーエンドで終わる。しかし、この一見ハッピーエンドは、たとえば映画「卒業」のラストがハッピーエンドか、というと、そうではないように、単なるハッピーエンドとは言えないように思う。メインの岡村もそうだが、対峙する役割の石井舞、3年半ぶりの舞台となる松葉祥子という女優陣の充実を感じた。