小峰コマの観てきた!クチコミ一覧

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ワルツ

ワルツ

新宿公社

テアトルBONBON(東京都)

2019/09/18 (水) ~ 2019/09/22 (日)公演終了

満足度★★★★

みもふたもない率直な感想を述べると
「『これっくらいよく作りこまれてて、これっくらい見ていておもしろい舞台、これっくらいのお値段で見れる』という小劇場の醍醐味を堪能させていただいたぜ」
である

本来、当たり前なのかもしれないけど、セリフ回しがしっかりしていて、役作りをしっかりしている役者さんがそろっていたし、
演出は、話や心象をわかりやすく表現するためになされているし、ある意味王道な芝居とも言えるのかもしれない。
力のある劇団に出会えたのは熱心に勧めてくれた知人のおかげでもある。

ちょっとほめ過ぎかもしれないが、こういう芝居が好きなんだから仕方ない。
話の展開は書かないけど、思うところをネタバレBOXへ

ネタバレBOX

時間がないので箇条書きで

・大人たちのゆがみ(こじれ)具合がリアルだった
・高校生ズが高校生に、教師が教師に、心理療法士が心理療法士に見えた
・高校生とマリンがあんまりこじれてない印象があり、大人との対比で「齢を重ねるということ」についての示唆を感じた(主催が意図したかどうかはわからないけど)
・千歳さん、お休みとってね、と本気で思ってしまった
・高校生ズがさらにもう一発大人を出し抜けたら、半端ないカタルシス感じたと思う
大自然パノラマ◎マタギ演劇『クマウチ』

大自然パノラマ◎マタギ演劇『クマウチ』

IQ5000

上野ストアハウス(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/16 (木) 19:30

価格3,800円

なんだか、とてもわくわくドキドキしながらの90分だった。
この感覚、なんだろう、としばらく考えていた。
それはネタバレBOXへ。

時間の都合で、腹筋善之助さんの「ひとりあそび」が見れなかったのは残念だった。

ネタバレBOX

帰りの電車で思い至った。
これは子どもの頃に「小鹿物語」を読んだ時の感覚だ、と。
ハッピーエンドの話が好きだったのに、この話はリアルで自分の知らない世界が展開し、多分めでたしめでたし、で終わらないだろうことを予感させながらも夢中になって読み進んだ、あの時の感覚だった。

タイの山岳民族が「森」を追われて生きていくのが難しくなっている。
そのくせ、富裕層によって「森」が不当に開拓され、過剰消費されていることも思い出した。
HOTSKY『ときのものさしー帰郷ー』

HOTSKY『ときのものさしー帰郷ー』

HOTSKY

シアターシャイン(東京都)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★

重たいテーマを深刻にならずに表現していてとても心にしみる舞台。
一人で生活するのは難しくなってきた親とのことに新しい角度からの視点をもらえた。
見に行ってよかった、母との関係がちょっと楽になりそう、ありがとうございました。

ネタバレBOX

登場人物の個性が、すぐ隣に起きているようなリアリティをもたらしていて、共感が生まれる理由になっていた。
介護や自身の老いについて考えてる人には見てほしい作品。

個人的にはそれぞれの登場人物の個性や事情、身体状況をいろいろ変えて日替わり上演したものがあったら見てみたい、と思ったくらいよい脚本だと感じた。


唯一残念だったのは主人公の演技に今一つ「老いた身体への理解と観察」が足りない気がした点。
仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので 鰹&栄螺

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので 鰹&栄螺

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI(東京都)

2017/10/04 (水) ~ 2017/10/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

PMC野郎らしい、笑えてほろりとくる見ごたえのある舞台だった。
劇団員のクオリティの高さがますます上がっていて、きちんと観客に伝わる舞台になっているので、安心して無理なく笑えるのがありがたい。
脚本の質の高さも観劇に没頭できるところなのだろうと思う。
滑舌・発声や脚本のクオリティが高いと舞台へ集中がしやすい、というのはPMCの舞台を見て納得したことである。
(えらそうな言い方をして申し訳ないが、野口オリジナル氏、高橋ゆき氏の表現のクオリティの向上には驚かされた、とてもよかった)

R18ステージや、何本も見ているのに未だに一部の役者さんの区別がつかないでいる理由なメイク、「それ言っちゃう?」とツッコミたくなるきわどい時事ネタという色物を徹底的に楽しめる舞台に仕上がってるのはPMC野郎の底力なのだなあ、と改めて感じた舞台だった。

ゲストは天羽尚吾氏、
女装してもまったく「オカマやオネエにならない」めったにない個性は相変わらずで、一見してわからなさそうな性格の悪さを内包した美少女を好演。
彼が演出脚本した高校での公演を見る機会があったが、その高校生とは思えないクオリティの高い舞台、特にストーリーが秀逸だったのでまた見る機会があればいいな、とずっと思っている。

ネタバレBOX

個人的に気に入ったとこの羅列
☆悪魔メイク(懐)を施した主人公が実は一番常識人
☆舞台上でたくさん殺人が起こるが、生々しさがなく笑ってすませられるとこ
☆天狗がうっとおしいところ(芸風なんだな)
☆おかみのセリフ
☆部屋とYシャツと自爆テロ
☆矢文
☆日本の妖怪になぜケンタウロスが混ざってるかの説明
☆小道具の使い回し
風は垂てに吹く

風は垂てに吹く

テトラクロマット

吉祥寺シアター(東京都)

2016/08/18 (木) ~ 2016/08/23 (火)公演終了

美しさ
確かにグライダーは飛んだし、奈落の存在などおもしろい演出が多かった。
ラストの演出など圧巻で、大変に美しい舞台だった。

残念だったのは、登場人物の心情が伝わってこないこともあり、感動というよりは感心で終わってしまったこと。

ライカ犬、みどり、幸吉のはざまに来る前の苦悩や孤独などはしっかり伝わってきたのだけど。

パパ!パパ!パパ!

パパ!パパ!パパ!

海企画

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2016/05/27 (金) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

市井の人
家族の物語を丁寧に描いた芝居。
役者さんの個性や実力が端的に表れる。

複数の女の子たちがその子たちなりに誠実に生き、あるものはあきらめ、あるものは大切に育んできたのが見て取れる「人」にたくさん笑わせてもらい、静かに感動させられた。



テンポの早いテンションの高さがウリの芝居に少々食傷していたところなので1時間少々のこの舞台は新鮮だった。

御家族解体

御家族解体

ポップンマッシュルームチキン野郎

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2016/03/05 (土) ~ 2016/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★

こういうの好き
PMC野郎の芝居は「うちの犬」に始まって「サボテンの出てくるの」「切り裂きジャックは・・」と続けてみてしまったが、どれも行ってよかったな、おもしろかったな、うっかり感動してしまったぞ、と感じさせてくれる。

今回のもおもしろかった。
人物設定とか微妙なコミュニケーションの狭間のおかしみなど、きっとPMC野郎らしいおもしろさなんだろう。

正直、だんだんに小屋が大きくなってチケット代が高くなって(今回のは小屋は小さいけどチケット代は安くはないと思う)、まあおもしろければいいんだけどなー。

そういえばサボテンのもジャックのも「観てきた」に書いてないな、ごめんね。

ポリグラフ―嘘発見器―

ポリグラフ―嘘発見器―

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/10/19 (日) ~ 2014/11/02 (日)公演終了

説得力のある舞台づくり
システマティックでなく、洗練された舞台を久しぶりに見た気がした。
観客の目線を意識して創られたインテリジェンスな舞台だった。

Rock the Ballet2

Rock the Ballet2

梅田芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/08/28 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

うん
楽しそうでよかった。

ジャングル ~柔和なジャングルの猛者~

ジャングル ~柔和なジャングルの猛者~

IQ5000

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2014/12/19 (金) ~ 2014/12/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

深いな~
IQのお芝居はだいたい好きなのだが、今回の作品は本当によかった。

パワーマイムのおもしろさも存分に味わえたし、今回は特に一人で複数の役を演じる手法(これ、なんだか名前があったと思うが思い出せません、ご存知の方教えてください)の演出がよくて、おもしろかった。

ばかばかしい設定の中に、風刺や問題提起が無理なく組み込まれ、観終わった後の気持ちのよいカタルシス、IQならではの魅力をたっぷり味あわせていただいた。

ネタバレBOX

今回見ていて感じたことはキャラクター(部族)がそれぞれとても魅力的だったこと、
中でもサル族、ダチョウ族のパフォーマンスは大好き。
トマレ族のしょうもなさに笑い、ピダハーン族の存在に心あたたまるものを感じ、アマゾーンネスにうまれた男の子の処遇の采配に心打たれた。

後日追記するかもしれないけれど。
ネバーランド

ネバーランド

少年社中

青山円形劇場(東京都)

2014/07/08 (火) ~ 2014/07/15 (火)公演終了

初見
大好きな青山円形劇場、贋作・好色一代男で好きになった少年社中。

話がとにかくおもしろく、そのおもしろさの中に切なさがあり、再演、感謝ととにかく言いたい。

・・・感想を書くのがずいぶん遅くなってしまったけど。

贋作・好色一代男

贋作・好色一代男

少年社中

紀伊國屋ホール(東京都)

2014/02/04 (火) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

初少年社中
世之介を中心にたくさんの登場人物が、織り成す人間模様。
笑って泣いて心を揺さぶられ、
「人間、かわいいじゃないか」
と思える幸せになれた芝居。
ラストの落としどころは圧巻。

あまりに舞台が魅力に満ちて観劇後しばらく、社会復帰できなかった。

ウィングスで松本花さんによってコミカライズされるという話を聞き、それが今の2015年の楽しみ。

ネタバレBOX

世之介の魅力はもちろんだけど、登場人物、一人一人がいとおしくて仕方ない。

再演があったら絶対見に行く!
魚のいない水槽

魚のいない水槽

スポンジ

サンモールスタジオ(東京都)

2014/12/11 (木) ~ 2014/12/15 (月)公演終了

満足度★★★★

役者の力
タイトルは「か」ではなく「ちから」(念のため)

奇しくも、1月に「30歳になった少年A」の再演を見たサンモールスタジオ、プルーフに続いて今年3回目。

とにかく力のある芝居だった。
主演の村田充さんはもちろんだが、役者の伝達力、脚本やあらすじ以上に観客の心や思考に入り込んでくる力を感じた。
ああ、これが芝居の力だな、と。

見終わって感じたことは
「裁かれることのない罪」
「無責任に裁かれる罪」
についてである。

これはについてはネタバレBOXで詳しく書こうかと。

ネタバレBOX

役者さんが「いるいる、こういう人」と思わせるように役作り(というか個性をしっかり煮詰めた)をしていて、多くのことを感じ、考えさせてくれた。

「裁かれることのない罪」
というのは具体的に一例を挙げると、
ワタナベがいやだからと暗ににおわせ、実際には転職のために退職をするアシスタントの若い女性。
彼女の詐称のためにワタナベはさらに追い詰められる。

尚、この女性の演技は秀逸で、論理性に欠く、自身の行動(あるいは選択)の結果の責任を決して直視しない女性を見事に描き出していた。

日常に当たり前のように転がっているささやかだが確実に誰かを蝕む罪であるが、決して裁かれることはない。

「無責任に裁かれる罪」
というのはもちろん、マスコミやネットの誹謗中傷も含むが、裁きの結果の責任を引き受けることなく人を裁くことは私には罪に思えてならない。

これらのことを90分の限定された環境において浮き彫りにし、問題喚起したのは芝居の力をフルに使った結果だと思う。

村田充さんのワタナベ像は絶妙で共感を呼びにくいであろう登場人物なのに、共感せずにはいられない細やかさだったと思う。
トーキョー・スラム・エンジェルス

トーキョー・スラム・エンジェルス

Théâtre des Annales

青山円形劇場(東京都)

2014/11/14 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了

谷さんのコメントどおり
経済の話ではなくて人間の話だった。
一色洋平さんの硬質な演技が心に響いた。

とりあえず、ラーメンが食べたくなった。

Unbreakable-アンブレイカブル

Unbreakable-アンブレイカブル

演劇レーベルBo″-tanz

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/09 (火)公演終了

満足度★★★★

おやじ、かわいい(^^)
初めて見た演劇レーベルBö-tanzの舞台である。

北欧神話やキリスト教などが暗喩として使われているのに、実際の流れは比喩でもなんでもなくしつこいくらいの説明がこれでもかこれでもか、と続く。
しかし、その説明がおもしろくて笑えるのがすごいなあ、と感心してしまった。
私は基本的に短い芝居がすきなのだけど(休憩なしで90分くらいがベスト)、長さを感じさせなかったのはすごいなー、と思った。

主人公である3人のおっさんたち、暑苦しいし、自意識がうっとおしいし、だけど、かわいく見えてくる。

ネタバレBOX

ファンタジー色の強い舞台なのかと思いきや、あつくるしいおっさん満載の舞台だった。
女優さんも出てくるのだが、女のオヤジみたいな感じもあって、私的にはすごく好ましかった。

トータルとしてまったくこちらに想像の余地を与えないしつこいくらい、台詞や映像による説明が満載なんだが、それがマイナスに働かず、おもしろいところが多分この劇団の持ち味なのだろう。

ヒロインである早坂の一人芝居と元セクハラ准教授のツッコミは私のつぼに入ってしまって、バカ受けしてしまった。
一人で観劇したので、このおかしさを身近で分かち合えないのが残念である。
ロボ・ロボ

ロボ・ロボ

キティエンターテインメント

サンシャイン劇場(東京都)

2014/08/29 (金) ~ 2014/09/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

魅力あふれるロボットたち
感想を書くのがすっかり遅くなってしまったが、手放しで☆いつつ出したい舞台だった。

美術や役者さんの演技ももちろんだが、最近、なかなか素直に感動できない私が、ロボットたちに愛情を感じ、どうなるのかハラハラしながら鑑賞した。
さびついた心が動き出したかのように感情移入が止まらなかった。

ネタバレBOX

衣装や美術、音の効果などは見たり聞いたりしているだけで楽しかったが、なんと言っても役者さんたちの魅力、そしてそれを引き出した演出はすばらしかったと思う。

個人的にはナビゲーターの「?」の芝居や、ワーカーのパワーマイム(手が伸びるところや、2.5トンを放り投げるとこ)が特に好きだった。
ワーカーの歩き方や、レコーダーのくるくるや、ゲーマーの側転など、本当に何回も見たくなる舞台だった。

再演があったらまた見に行きたい。
殉職の夢を見る

殉職の夢を見る

アフリカン寺越企画

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2014/08/07 (木) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

見届けたい
アフリカン寺越企画、第三作目。
腹をくくったアフリカン寺越をはじめとする役者陣の芝居に引き込まれた。

いまどきはやらない(かといって昔はやったというわけでもない)、泥臭い汗臭い笑いの要素も少なく、登場人物も愚かしかったり、嫌な奴だったり、めんどくさい人だったり、うっとおしい人だったりする(ある意味リアリティのある人物像ともいえるが)直球芝居。
見終わった後のカタルシスもなければ、さわやかな感動も私には感じられない。
(アフリカン寺越企画の芝居をみるたびに感じる印象がとても気になっていることがあるが、これは後ほどネタバレBOXへ)

でも、アフリカン寺越企画が「○」が過半数を超えて次の芝居をうつのなら、私はきっと見に行くだろう。
この垢抜けない芝居を私以外の人、いいかえれば社会がどのように受け止めていくのかを見届けずにはいられない。
それだけ、このゴールデン街劇場の空間での1時間半はインパクトがあるのだ。
(瑣末な感想だが休憩なしの1時間半という長さはちょうどいいと思う)

ネタバレBOX

以下、ネタバレというよりは私個人の主観を書いたものです。


アフリカン寺越企画の芝居を見るといつも思うことがある。
(アフリカン寺越が出演していたIQ5000のマンホールロケットでも思ったが)

(ごく一部の人をのぞいて)人が「誰を愛し、何を大切にして、どんなことをしていたか」というその人が生きてきたからこその重みや歴史など、その人のごく周りの数人にしかさして知られることもないのだと思う。

たとえばそれが痛ましい事件に巻き込まれて命を失った人でも事件によってはマスコミの報道したいように報道され実際の人物像とかけ離れた人物像になることもある。
(桶川ストーカー殺人事件の被害者の女性などは特に顕著な例である)

私には幾人かのすでにこの世にはいない人たちが、生きていた時、何を思い何を愛しどんな時に笑っていたのだろうか、と気になってたまらない人たちがいる。

天童荒太著の小説「悼む人」では主人公の青年が、亡くなった人を悼んで旅をする話であるが、それらの気になってたまらない人たちに「悼み」をしたい、あるいはしてもらいたいと強く思わずにはいられない。

話はアフリカン寺越企画の芝居に戻るが、この舞台の上で役者が演じる登場人物は、意図せずにその悼み(亡くなっているとは限らないが)を役者たちが大変丁寧に行っているように感じられてならないのである。

その登場人物がいい人かとか立派な人かとかはすっ飛ばして、
「どんな生育暦を持ち、どんな価値観で外界とコミュニケーションを取っているか」
を感じられる生きた人物として現れてくる。
(当日パンフが手元になく役名、役者名などはわからなくてすみません、あとで訂正するかもしれません)
あくまでも私の主観だが、(役者本人がどのように役作りしたかは知らないし、私の推測は笑っちゃうくらい外れてるかもしれない)
主人公の青田はハンバーガーなら照り焼きバーガー、カレーは中辛が上限、できたら甘口のほうがいい、というような子どもっぽい味覚をしていそうだとか、両親は忙しいかあるいは子どもに対して愛情はあるが、あまり興味を持たなかった人な気がしたし、
末廣和也氏(この役者さんは得体の知れない人をリアルに演じるのがめちゃくちゃうまい、うますぎる)演じる精神科医は味覚障害でなにを食べても同じかあるいは極端な偏食、一人っ子で、親御さんある程度高齢になって授かった子なんじゃないか、と感じた。

愚かだったり、失敗したり、不完全な人間が舞台上にいて、その舞台上ではやはり、愚かだったり、失敗したりを繰り返している。
そこを彼らが演じる時、なんだかその不完全ゆえのしんどさが浄化されるような、あたかも供養されるような、そんな気がしてならないのである。

・・・アフリカン寺越のスキンヘッドが供養を連想させるわけじゃないよなあ、と思いながら。
河童

河童

DULL-COLORED POP

吉祥寺シアター(東京都)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★

人間と河童の狭間
賛否両論が交わされているが、私は大変におもしろかった。
あくまでも個人的な感想だが、河童の世界は多分私には居心地がよかろうと思う。
尤も、人間社会に今ひとつ適応できない自分が河童の世界に行くとやはり今ひとつ適応できないのかもしれないが。

ネタバレBOX

美術がとてもよかった。

ずっと宙に在り続ける「穴」、丸を使った背景(お皿なんだろうか)、後方のカーテン?に映し出されるシルエットはなかなか不気味に美しかった。

哀しみを感じずにはいられない肉まんは妙に私のつぼに入ってしまって、これからは肉まんをみるたびに河童に思いをはせることであろう。

長い、という感想を持たれた方が多いようだが、私にはあっという間に時間が経ったように感じられた。

ダルカラの役者さんたちの的確、かつ魅力的な芝居、主人公の一色さんの力強い芝居はもちろんよかったが、イタコ役の小角まやさん、脚本家役の天羽尚吾さん、ド・ランクザン望さんらの演技のテンションが高く、芝居全体の密度を濃くしていたように感じた。
特に小角さんの演技は妙な説得力があり架空の設定を現実のもののように感じさせる力があったと思う。
主人公、河童青年の三津谷さん、上記の役者さんたちがみな20代前半だそうでこれからが楽しみである。

個人的にはバスガイドさん、シェイクスピア劇に大笑いさせてもらった。
歌とダンスもなかなかおもしろかった。

あくまでも個人的な好みではあるが、交合シーンはもう少し笑い要素があってくれたら☆が五つになったのだが。

もう一回河童の国を訪ねたかったが、時間がとれず再観はかないそうもない、残念である。
うちの犬はサイコロを振るのをやめた

うちの犬はサイコロを振るのをやめた

ポップンマッシュルームチキン野郎

駅前劇場(東京都)

2014/07/04 (金) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★

なるほど
草の根行動(笑)でこの公演を知り、うっかり見に行って、うっかりおもしろかった。
物語構築のセンスがあり、なんでもありなところに妙な説得力があり、楽しめた。
コメディ劇団にありがちなせりふが聞き取りにくい、ということもなく、マイムがしっかりしている、などなかなか基本をおさえた力のあるカンパニーだと思った。
なににしろ、脚本がいいよね、と思わせるのはまれだが、今回久しぶりに作家の力を感じた。

多々、つっこみどころはあるのだが、最初から最後まで楽しませていただいた。
(このつっこみは一般公開はしません、どうしても知りたい方はメッセージでリクエストしてください)
主人公の少女の無垢な演技に心打たれ、シベリアンハスキーはこんな耳でかかったら、凍傷になるだろう、とつっこみつつこんな犬が友達だったらうっとおしいけど幸せだろうな、と思った。

☆の減点分は、痛すぎなとことイタイが続きすぎたところ。

ネタバレBOX

クィーンの歌がよかった。
キングのアドリブの設定はすごくおもしろかったが、やや設定倒れか?惜しい。

ニワトリ、トカゲ、マッサージチェアの設定がばかばかしくも切なく、魅力的だった。
特にニワトリの芝居が安定していて、この人が出てくると安心して見ていられる感があってよかった。
途中でマッサージチェアの可動部分の向かって左側が動かなくなって心配したが(この仕掛けは無条件に爆笑した)また動き出してよかった。
子どもが生まれたのをせりふでは触れずにわからせてくれた(このエピソードはいい)センスは今回の舞台の中のピカイチ。
トカゲの足が再生したところもちゃんと出してくれたところもいい。
(この手のことがスルーされてしまうと一気に後味が悪くなる)
小さいスーツの設定も私的にはつぼ。

手作りの回り舞台なのか?
なかなかうまく使っていて場面転換などをかなり自由にできて芝居のテンポのよさに貢献していたと思った。
パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

おぼんろ

ワーサルシアター(東京都)

2014/06/11 (水) ~ 2014/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★

一言で言うと私好み
前日に知人に声をかけられ、出かけていった。
小田急の脱線事故の影響で開演時間を少し過ぎてしまったが、開演時間を遅らせてくださる対応をしていただけて、無事鑑賞できた。

初めての「おぼんろ」

衣装と舞台美術がとても好みだったし、前振り込みで楽しんで観劇した。
役者さんたちも実力のある方たちだし、イレギュラーな舞台を効果的に使っていて、見ごたえがあった。
次の舞台も見てみたいと思うし、もっと大きな舞台で、演じられる人たちだなあ、とも思った(こう思わせるユニットはまれ)

全体通して、よい舞台だったと思う・・・以下ネタバレへ

ネタバレBOX

ひとつの舞台として充分な完成度だとは思うのだが、今後に期待をこめてひとつ気になった点を指摘すると、

話がシンプルなので、時間があと20分短くできたらパーフェクト。
尤も、テンポなどは充分意識しているし、出演人数も少ない中のテンション維持という点では大変に工夫して最善を尽くしていると思うので、ホントこれは無理難題。

登場するキャラの名前のつけ方の雑(ほめている)なとこもすごくいいセンス。
ドンドンドンさま、というネーミングも私のつぼ。

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