byassistの観てきた!クチコミ一覧

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ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち

ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち

電動夏子安置システム

駅前劇場(東京都)

2016/04/20 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了

満足度★★★★

タイトルから抱くイメージだと、めちゃシリアス!って感じですけど、実際はクドいほどのドタバタコメディー♪
笑いの沸点、決して低い方ではない自分も、声をあげて笑い転げる2時間でした。
でぇ、登場人物の全てがコメディーリリーフ的役割を担っていましたが、とりわけ、初見の渡辺美弥子さん、拝見するの確か3度目の犬井のぞみさん、劇団ひとりさん的雰囲気の岩田裕耳(ゆうじ)さん、が個人的には印象に残りました。

とはいえ、おはなしのベースに横たわっているのは、当時の政治的情勢とかのサスペンス的要素。コンテンツとしては、小劇場演劇の世界ではあまりお目にかからない熟年層のオトナの方の鑑賞にも十二分に堪え得る作品でした。

ただ、なもんでぇ、ちょこっとだけネタバレになりますが、最後のシーンに出て来るコートの裏地が意味するもの。年配の方には周知のモノですが、果たしてミリタリーオタク以外の20代の観客にわかるかなぁ?とオジサン、少しだけ心配になりました。観客に理解されてこその「オチ」なんですから。

CAFE BIANCA

CAFE BIANCA

兎団

プロト・シアター(東京都)

2022/12/01 (木) ~ 2022/12/15 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/07 (水)

価格2,000円

12月7日に、動画配信で兎団32『CAFE BIANCA』(139分)を、2018年5月の初演時に観たときの記憶を蘇らせながら視聴。

なお、作品の本筋とは離れるが、現世の人間と、この世のものでない存在たちとが、同じ舞台の上で、互いに交錯しながら右往左往する、カオスな”ごった煮”感のシーンが、個人的には快感を覚えるほど、楽しくはあった。

ネタバレBOX

【配役】
アルトン・モーム(死してなお、彷徨える画家)…斉藤可南子さん
モームの恋人・メイ…琴音さん
娼館の女主人…立夏さん
中学生男子イム…海月悠羽奈(みづき・ゆうな)さん
中学生女子メイ…佐藤天衣さん
絵画泥棒ダミアン…原田達也さん
絵画泥棒カミーユ…柳橋龍さん
黒猫プルートォ…吉川種乃さん
人形マーガレット…めそさん
死神…おはな*さん
スフィンクス…古川ゆかりさん
狼女…藤井悠さん
マンドラゴラ(伝説の草)…たにやんさん
フランケンシュタイン…松尾武志さん
サンジェルマン伯爵…緋乃ほのかさん
グール…青山誠司さん
メデューサ…大屋優花さん
30歳の制服デート

30歳の制服デート

サキクサ

雑遊(東京都)

2021/10/05 (火) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/10/05 (火)

価格2,800円

5日20時開演の初日舞台を拝見。

2016年の初演、2018年の再演、と観てきた
深谷晃成さん脚本の作品。
今回、キャストを一新
タケル…浅見臣樹さん
ミナミ…大塚由祈子さん
が演じる45分間は
何故、ミナミがタケルに制服デートをもちかけたのか?
タケルもミナミに隠し事があって…
既知のストーリーなんだが、今宵もまた、切なさと優しさが涙腺に来た。

夢見る乙女じゃいられない

夢見る乙女じゃいられない

たすいち

シアターKASSAI(東京都)

2017/03/23 (木) ~ 2017/03/28 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/26 (日)

以前、アフリカ座・山元彩さんの『ゆた』を拝見した際にも感じたことですが、作家さんの習作的な初期作品って、おはなしとしては精巧さよりも生硬さが目立つものの、内在する熱量が半端なく、勝手に観ている者の魂が揺さぶられるもののようです。
今宵の『夢見る乙女じゃいられない』(2時間弱)。
観せ方とか技術的なものを抜きにすれば、公演が重なった、高校生劇団・冗談だからね。さん以上に、高校生が考えたようなピュアな作品ですが、たすいちさんの芝居観て、こんなに余韻が尾を引いたのは『キヅツクキカイ』以来かな?
あいにくの天気でしたが、足を運んだ甲斐がありました。感謝します!

傘と花火

傘と花火

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2015/05/21 (木) ~ 2015/05/25 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2015/05/22 (金)

日暮里で、自分にとっては2公演目となる、teamキーチェーンさんの『傘と花火』観て来ました。

ネタバレBOX

夏希さんは、二度の離婚を経ながらも二人の男の子を無事に育て上げ、年子?の長男は大学生、次男は就職して会社員。
夏希さんは、次男の収入が家計に入っても水商売の仕事を続けています。そして稼ぎの一部を、子供達もその存在だけは薄々承知している「優しげな男性」に定期的に手渡していたのです。
母の日の晩、兄弟はそれぞれに思いのこもったプレゼントを携えて帰宅します。
あれ? 母さんは留守? でも靴は置いてあるし…
台所に入った長男、あとに続いた次男、二人は首をくくった母の躯(むくろ)を目にします。
なんで・なんで母さん! 母親の残した手紙で長男は事情を知ります。
実は、長男には先天的な疾患があり、このままでは20代のうちに命を失うことに…助かるには臓器移植しかないのだが、体質的に適合したドナーが手術のタイミングで見つかることは極めてまれ。さらに、手術の費用は高額。「優しげな男性」…長男が生まれた頃からの担当医に、夏希さんは毎月少しづつ、お金を預けていたのです。
そして、手術代を全て渡し終えたとき、体質的に最適なドナーとして、我が身を捧げたのでした。

ストーリーは、この後も続くんですが、今回、この夏希さんの行動に、劇をご覧になられた方からは少なからず異論が出されたようです。
いわく、長男に重い十字架を背負わせるようなもの! 身内の死を前提にした臓器移植は倫理的にもあり得ない!…私もそう感じました。
あと、劇中、担当医が自宅にやって来て、(死亡)4時間以内に手術しないと、お母さんの意思が無駄になる!と長男を説得する場面があるのですが、いわゆる不審死の場合、死体検案書の作成、及び、24時間以内の所轄警察署への届け出義務が医師に課せられていますので、現実的にそれは不可能と思われます。

とはいうものの、そんなこんなも承知の上で、作者はホンを書かれたんだと思います。描きたいこと、伝えたいメッセージがあったからこそ、この芝居が世に送り出されたんだと思います。リアルとものがたりの境界線…なかなかに線引きは難しいものです。ですが、演者・セット・照明・音楽…私は舞台を通して伝わって来た熱気に胸打たれました。
虚仮威

虚仮威

柿喰う客

本多劇場(東京都)

2016/12/28 (水) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/09 (月)

現代と過去、夢とうつつを行き来する100分間の舞台は 、現代の世界では、「僕」と妻との離婚話が進んでいる様子で、かなりシリアスな状況。これに対して、大正時代のパートは、座敷童や山神、河童まで登場する、随分と牧歌的なトーン。
そして、現代・大正、二つの時代に共通するキーパースンが、「こどもの夢を叶える」サンタクロース。

幾重にも張り巡らされた伏線が、観客の予想の恐らく数歩先を行く形で回収されていく、極めて綿密なシナリオの作品です。
とりわけ結末が、ほのぼのファンタジーで締めくくるかと思っていたら、ダークファンタジーとは!
既視感のないストーリーに大変心惹かれました。

男装音楽劇 くるみ割り人形

男装音楽劇 くるみ割り人形

青蛾館

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2016/03/25 (金) ~ 2016/03/31 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/03/26 (土)

青蛾館(せいがかん)さん初体験の舞台、『男装音楽劇 くるみ割り人形』。

ネタバレBOX

午前零時が近づいても、なかなか寝つけないでいるクララ。さっきまで遊んでいた大勢のくるみ割り人形を床に散らかしたまま、テレビのスイッチを入れてチャンネルをザッピング。やがてテレビの画面が「砂あらし」になったとき、突如、姿を現したのは、謎の男・ドロッセルマイヤー。どこか父親の面影がある彼の跡を追うように、カラーバーに変わったテレビ画面の中に飛び込んでいくクララ。すると、そこには宮廷の人々とネズミの一族が対立する不思議な世界が開けていた…

バレエの『くるみ割り人形』とはかなり異なるストーリー。実は本作品、原作に魅了された、故・寺山修司さんがアニメ映画向けに書かれたシナリオを、総勢33名のオール女優陣によるファンタジー音楽劇として舞台化したもの。演技・衣装・振付・音楽・映像が一体となった、ものがたりの世界。キュートでコミカル、でも、ほんの少し毒も含んだ1時間40分。目も耳も十二分に満足させて貰いました。

役者陣。以前に舞台を拝見したことのある、ヒロイン・クララ役のエリザベス・マリーさんに、皇女マリー役の田中美甫さん。初見の宮廷厨房長役・中井沙織さん。個人的には、このお三方が印象に残りました。
それから、上述の「キュートでコミカル」、まさに体現したかのような、ネズミ軍団の役者さん達。中でも、ひときわ愛くるしい所作の女優さんが気になって、後で調べてみたら…私にとっては、カフカの『変身』以来となる石橋穂乃香さん。良い意味で、初々しさを失わないでいる彼女に大変好感を持ちました。

追加公演となる30日(水)14時からの回のみ、大人同伴の上で未就学児も観劇可能になったとのこと。未就学児は勿論のこと、大きくなり過ぎた子供の方にもお勧めデス♪
15 Minutes Made Volume12

15 Minutes Made Volume12

Mrs.fictions

王子小劇場(東京都)

2015/07/08 (水) ~ 2015/07/14 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2015/07/08 (水)

『ミセスフィクションズの祭りの準備』(Mrs.fictions)。
実は、団体名のfictions(フィクション)をfriction(摩擦、不和、衝突)と勘違いしてました。ですが、話の内容的には、まんざら的外れでもなかったようです。

『消えないで、ミラーボール』(20歳の国)。
直球ど真ん中の「青春グラフティ」。オッサンのオイラ、ちょい照れ臭い気分で拝見させてもらいました。女子マネ役の湯口光穂さん、親しみ深い雰囲気に好感が持てました。

『HNG』(MU)
下ネタ満載のおはなしでしたが…笑えました。役者さん達の確かな演技と、構成のしっかりしたホンのおかげで、ソフィスティケーテッド(洗練)されたワンシチュエーション・コメディ見ているような…「錯覚」に陥りました(苦笑)

『夏の灯り』(第27班)
サヤカのシーン、カズマのシーン…舞台上では、この2人のシーンが交互に展開され、それぞれに笑いを誘うのですが、ラストで一転…世俗の垢にまみれたオイラでさえ、胸にグッと来ました。今宵(8日)の観客席で、拍手がイチバン熱かったように思われました。

『私たちの考えた墓に入る日の前日のこと』(The end of companyジエン社)
死者が生者へ・生者が死者へ、一方的に・双方向にセリフを交わす・セリフが重なる、あるいは沈黙の時が流れて…ストーリーらしきモノがあるというよりも、汗ばむ夏の日の午後、畳み部屋で寝っ転がったまま、つげ義春なんかの頁をめくっている気分にさせられた15分間。個人的には6本中、最も印象に残った作品でした。

『性的人間 あるいは(鞭がもたらす予期せぬ奇跡)』(シンクロ少女)
田山花袋・大さじ1杯、江戸川乱歩・大さじ1.5杯、吉本新喜劇200ccを混ぜて、フードプロセッサーにかけたような作品。
ミツコ役の徳橋みのりさん、シアター風姿花伝で拝見して以来となりますが、美人さんだなあ♪と思いながら観てました。

以上、好みはヒトそれぞれかと思いますが、6作品とも、なかなかの高水準。
小劇場演劇の良質なエッセンス、味わってしまったお陰で、今後、観劇する舞台に求める「合格ライン」、一気に上がってしまったようです。全く困ったもんデス(苦笑)

フランドン農学校の豚/ピノッキオ

フランドン農学校の豚/ピノッキオ

座・高円寺

座・高円寺1(東京都)

2021/09/02 (木) ~ 2021/10/07 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/10/03 (日)

価格2,000円

『ピノッキオ』3日14時開演回(80分)を拝見。

今年で最後という『ピノッキオ』、私は3年連続の観劇となるが、今回、レギュラーのKONTA氏が体調不良で声の出演に留まるのは残念。
だが、今年も辻田暁さんによる、人間になったピノッキオの”歓喜の舞”を目にすることが出来て良かった。

ネタバレBOX

【配役】
ジェベット、火食い親方、キツネ、殺し屋、ウサギ、オウム、少年、ロバ
…髙田恵篤(たかた・けいとく)さん
劇場の進行役、ネコ、殺し屋、小男
…曽田明宏さん
ピノッキオ
…辻田暁(つじた・あき)さん
女、コロンビーナ、給仕、青い髪の少女、オウム、水瓶を運ぶ女、少年、ロバ、仙女
…森ようこさん
男、ものを言うコオロギ、プルチネッラ、給仕、ウサギ、オウム、ルチーニョロ、マグロ
…髙橋優太さん
カタツムリ、衛兵、バレリーナ、宿屋の主人、少年、ロバ
…田中真之さん
衛兵、アルレッキーノ、給仕、ウサギ、オウム、少年、ロバ、マグロ
…黒須育海(くろす・いくみ)さん
サメの声
…KONTAさん
「ストロング」

「ストロング」

坂井水産

RAFT(東京都)

2021/12/29 (水) ~ 2021/12/30 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/30 (木)

価格3,000円

30日18時開演の大千穐楽(75分)を拝見。

ゴジラ好きの赤井…赤澤涼太さん
”ヘドラ”中山…加藤なぎささん
赤井の友人・坂井…家田三成さん
ト書き…浅倉洋介さん
の陣容。
脚本・演出で綿密に設定された演劇もいいけど、役者が自由に振舞える”ハンドルの遊び”がある演劇もいいもんだなぁ、と大笑いしながら観させてもらった。
東中野RAFTでの、坂井水産『坂井水産Presents 稽古初日VOL.1「ストロング」』で、今年の観劇締めくくりが出来てヨカッタ・良かった♪の2021年。

【追記】
なお、料金は投げ銭(カンパ制)だったので、野暮は承知で?自分が包んだ額を表示。

流砂ゑ堕つ

流砂ゑ堕つ

野生児童

「劇」小劇場(東京都)

2016/09/29 (木) ~ 2016/10/02 (日)公演終了

満足度★★★★

本作は近松門左衛門の『女殺油地獄』(おんなころしあぶらのじごく)の翻案ですが、近松ワールドから更に、登場人物の造形を深化させています。

ところで、若い観客の皆さんの観劇後のツイッターでの感想、つらつらと拝見してみると、主人公の吉雄はもちろんのこと、吉雄の母親(演・のぐち和美さん)の心理に関しても、表面上の言動だけで判断されたのかな? と、多少は長く生きてるオッサン、微笑んでしまいました。

血がつながっていようが・いまいが、親子の情・兄妹の情。
惚れていようが・惚れられていようが、男女の情。
そして、どうしようもない半端者ながらも、吉雄が持ち続けようとした男の矜持。
『流砂ゑ堕つ』は、観る側の人生経験・人生観で、いかようにも解釈できる会話劇でした。

「江戸系 諏訪御寮」「ゲイシャパラソル」

「江戸系 諏訪御寮」「ゲイシャパラソル」

あやめ十八番

サンモールスタジオ(東京都)

2016/05/27 (金) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/06/03 (金)

3日(金)の夜、前夜の『ゲイシャパラソル』に続いて、観て来ました。
フライヤーの右側、何やら、おどろおどろしい方(笑)、『江戸系 諏訪御寮』。

ネタバレBOX

江戸系 諏訪御寮』は、2014年3月、下北沢での初演を拝見。これ以降、あやめ十八番さんの舞台をフォローする、きっかけとなった作品です。

今回は「肉親の情」がテーマでしたが、過日の『ゲイシャパラソル』の感想でも触れたように、ヒトの心の機微を丁寧に描いた、現代の人形浄瑠璃、といった作風に、強く心惹かれます。次回作が愉しみな団体さんです。

主演の諏訪琴美役・金子侑加さん。
以前、舞台以外の場面で拝見した際、相当、気の強い方だなぁ(震)と感じましたが、そんな彼女の気迫、といったものが初演同様…いや、それ以上に、ビシバシ伝わって来ました。
他のキャストの方々も好演でしたが、金子侑加、彼女ひとりだけを観ていても、充分、もとの取れる舞台でした、とさ♪
ダージリン急行

ダージリン急行

シンクロ少女

スタジオ空洞(東京都)

2016/08/15 (月) ~ 2016/08/17 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/08/16 (火)

昨年の夏頃に15分尺の短編。今年の5月には2時間モノの本公演。と、なんだかんだで、今回、3公演目の観劇となるシンクロ少女さんなんですが、16日の晩に拝見した『ダージリン急行』(70分)、過去2作で抱いていた、この団体さんへのイメージを、それこそ、こっぱみじん(笑)に砕いてくれました。

同名のアメリカ映画にインスパイアされた?本作、それぞれに決してハッピーではない事情を抱えた、主人公である3兄弟達(長男…泉政宏さん、次男…横手慎太郎さん、三男…三瓶大介さん)が、列車での旅の途中、他の兄弟が辿ってきた人生の道のりを探り・探られ、の珍道中。3兄弟の掛け合いの妙に、観客席はクスクス・クスクス。
そこにさらに、列車内のサービス係・かきあげあゆみさん、長男の助手・中田麦平さんが絡んできて、これまた観客席はクスクス・クスクス。

さらに終盤、「ママ」役の堂本佳世さんがやっと登場するんですが、ここからが、まさに…!
芝居の用語に「序破急(じょはきゅう)」というのがあるんですが、似たようなコトバである「起承転結」とも合わせて説明すると、『ダージリン急行』は淡々としたタッチの「序(起承)」がしばらく続き、「ママ」が登場する終盤になって、いきなり「破(転)」「急(結)」が猛ダッシュで襲ってくる!といった、かなりチカラ技な構成になっています。

個人的印象なんですが、正体不明の香辛料を盛られた、怪しげなチャイを飲まされたような、摩訶不思議な魅力に富んだ70分。
理屈でストーリーを追う方はかなり面食らったことだろうと推察されますが、感覚に委ねて観劇された方にとっては格好のロードムービー+アルファ?(笑)だっただろうなぁ、と思いました、とさ♪

銀髪

銀髪

アマヤドリ

本多劇場(東京都)

2017/01/26 (木) ~ 2017/01/31 (火)公演終了

満足度★★★★

倉田大輔、武子太郎、古澤美樹のお三方に代表される演技陣の熱演に、3時間の長丁場も苦にならない熱い舞台。最後まで集中を切らさず観ることが出来ました。
ただ…昨年、より完成度の高い(と自分は認識している)『月の剥がれる』を観た身には、『銀髪』=カレーライス、『月の…』=カツカレー、といった印象度の差がありました。それさえなければ星5つでもよかった、優れた舞台だと思います。

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜

ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜

ことのはbox

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2016/08/18 (木) ~ 2016/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/08/18 (木)

いろんな劇団さんで、幾たびもの上演を重ねてきた「歴戦のつわもの」的戯曲を取り上げて紹介してくれる、ことのはboxさん。演劇経験ド素人のオッサンにとっては、まさしく「演劇講座の先生」みたいな団体さんです。
その、ことのはboxさんの8月公演。雨が降っても駅から近いぞ♪の三鷹・武蔵野芸能劇場で観てきました(18日ソワレ)。

ネタバレBOX

全くの予備知識ゼロで拝見させて頂いたんですが、主人公の若夫婦、特に夫(演・大平隆行さん)のセリフの端々に、ちょっと「時代」が感じられ、後でパンフレットを拝見したら、初演1989年! 昭和と平成のはざかい年、自分が社会人ウン年目の頃のおはなしでした。
なっこともあってか? バブル景気の真っ只中、住宅ローンもバカ高なアノ当時、せっかく苦労して手に入れたマンションを正体不明の連中に占拠されたことへの夫の怒りが凄~~~く理解でき、おはなしのテーマ、頭では理解しつつも、そっちのけ! 舞台後半まで、夫と共に、ただただ激怒し続けていました(笑)。

ですが、そこは「普遍的テーマ」の「ハートフルストーリー」です。
ラストシーン。それまでの過剰な喜怒哀楽が消え、憑き物が取れたように爽やかな笑顔を浮かべる夫…同時代を生きた者の端くれだからこそ、作者が意図した、当時の世相に対するメッセージに、しみじみとさせられました。

話が長くなったので、最後に出演者について簡単に!
前公演ではヒロイン役だった、葭本未織(よしもとみおり)さん。ジプシー家族の少年役が大層愛らしく感じられました。
それから、夫ばっかり肩入れしてますが、妻役の矢嶋さん美(さんび)さん。明瞭な発声もですが、何よりも舞台上での立ち姿が美しく目に留まりました。以前にも、どこかで目にした感覚だなと、後でプロフィールを拝見したら…やっぱり俳優座の薫陶を受けた方! 流儀というか伝統は、連綿と受け継がれるもののようですね。
ぶれる境界

ぶれる境界

家で出来る演劇

北千住BUoY(東京都)

2021/10/01 (金) ~ 2021/10/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/10/03 (日)

価格2,800円

3日17時半開演の千穐楽を拝見(67分)。

日野あかりさんと佛淵和哉(ほとけふち・かずや)さんの、何度も舞台を拝見しているお二方による1時間強の作品。
舞台公演が終わっても、後日、動画配信があるそうなので、詳細は「ネタバレbox」に記すも、上演途中で想像した結末の、更に先の・先まで充分に練られたエンディングには驚くと同時に感動させられた。
とても良い時間を過ごせた。

ネタバレBOX

姉(演・日野あかりさん)が既に亡くなっていること
その原因が弟(演・佛淵和哉さん)の高1時代のエキセントリックなカノジョと関係がありそうなこと
弟は姉の死を酷く悔い、自分は幸せになってはいけないという”戒律”で自らをがんじがらめに縛っていること
の3点は途中から薄々察せられた。

だが
弟が自殺?して”死者の国”にいる姉に逢いに来たこと
弟が、姉が持参したバナナ=”死者の国の飲食物”を奪い取って食べたり
そんな弟に、姉がコーヒー=”生者の国の飲食物”を飲ませたり
自身の運命を受け入れていたと思われた姉が、自分でもコーヒー=”生者の国の飲食物”を飲んで現世に戻ろうとしたり…
イザナギとイザナミの黄泉の国の神話のエピソードが終盤、ここまで効いてくるとは予想だにしなかった。特に姉の最後の試みは涙腺に来た。

息の合ったお二人のやり取り、日野さんの目まぐるしくキャラを変えていく演技の巧みさ、値千金の舞台だった。
パル子の激情

パル子の激情

江古田のガールズ

本多劇場(東京都)

2017/01/20 (金) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

序盤の観客・集団ステージ上げにアッと言わされ、笑いの中にも平田敦子さん中心の芝居はしっかりと・・・
客演舞台や絵空箱でのショーウィンドウ公演で垣間見るだけだった、江古田のガールズさんの本公演初体験は、このエンターテイメント団体の実力をまざまざと見せつけられた思いがします。

キャプテン・オブ・ザ・コック

キャプテン・オブ・ザ・コック

乱痴気STARTER

Geki地下Liberty(東京都)

2015/04/14 (火) ~ 2015/04/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2015/04/19 (日)

観たのが千秋楽の舞台だったのが惜しい!と悔しがるほど、再演希望な作品でした。

ネタバレBOX

今は亡き名料理人の息子、半ズボンの小学生(演・大中小さん)が料理コンテストの大会に挑みます。ライバルは、名料理人の弟子だった一流シェフ。何故か、少年の父親に恨みを抱いているようでぇ…といったグルメバトルものなんですけど。舞台上では、料理人側の視点の他に、料理される素材側、料理を受け入れるカラダ側の視点も描かれているんです!なんせ、役柄に「ビタミンC」「食物繊維」「カリウム」…満腹・摂食・快楽の各中枢…彼ら・彼女ら?が、水洗いされ・千切りにされ・油で炒められ・細胞に吸収され…を被害者(笑)の立場で演じるんです!
こんな荒唐無稽なストーリー、一体誰が考えついたんだろう!
でも、会場、爆笑の渦の中、いつの間にか、消化酵素の働きやら何やらが、自然と学べちゃうんです!
いっそ、この芝居のDVD、厚生労働省か農林水産省に送って、政府の協賛、取りつけてみてはどうでしょう?と本気で考えるぐらい、栄養学の知識が身について…

それはさておき、会場に来られてた、ひと組の母娘(おやこ)連れ。小学4、5年生?ぐらいの娘さんが舞台上で何か起こる度に、歓声を上げながら、隣りの母親に実に愉しげに話しかけていました。本来はマナー違反ですが(笑)、その様子、大層、微笑ましく思われたんです!
もし再演があるなら、親子連れで是非観に行って下さい!とお勧めの舞台でしたよ♪
カミサマの恋

カミサマの恋

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了

満足度★★★★

[Team 葉]観劇。
年齢設定80歳!の道子は、相談者の問いに応じて、神様からのお告げ「神託」を得たり、亡くなった人の霊を我が身に憑依させ、生きている人間と会話をさせる、イタコの「口寄せ」を行う、土着宗教の巫女のような存在。
ただし、相談者の宗教的信頼感がベースとはいえ、観客の目に映る彼女は、相手の立場を親身になって思いやる「よろず相談コンサルタント」といったところか。

道子のもとに寄せられる相談事も、道子の息子が引き起こす騒動も、当事者には深刻な事案なのですが、基本、会話が津軽弁でやり取りされるせいか、舞台を見聞きしている側の雰囲気は終始和やか。
1月の今には季節外れなたとえですが、お盆に帰った祖母の家の仏間で、親族や地元の友人たちの世話話や愚痴を肩肘ついて寝そべりながら聞いている…
そんな、ゆったりした気分で過ごせました。

丁寧な話の運びに、役者さんの…とりわけ、道子役・長崎りえさん、道子の弟子役・廣瀬響乃さんの、はんなり・ほっこりとした佇まいに癒された2時間10分でした、とさ♪

ゆびさきの半景

ゆびさきの半景

サカサマナコ

遊空間がざびぃ(東京都)

2016/03/31 (木) ~ 2016/04/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/03/31 (木)

リリックなセリフ廻しに、柔らか目の照明・劇伴。
ヒロイン・風子と、彼女の小学校時代の同級生を演じる、5人の女優さんが醸し出す雰囲気は、まさしく同世代の等身大の女性の佇まい。
ただノスタルジックなだけでなく、会場を包み込む作り手の温もりと言うか、観客への心づくしのおもてなし…そんな気持ちが伝わってくるような温かな舞台でした。

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