ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
タイトルから抱くイメージだと、めちゃシリアス!って感じですけど、実際はクドいほどのドタバタコメディー♪
笑いの沸点、決して低い方ではない自分も、声をあげて笑い転げる2時間でした。
でぇ、登場人物の全てがコメディーリリーフ的役割を担っていましたが、とりわけ、初見の渡辺美弥子さん、拝見するの確か3度目の犬井のぞみさん、劇団ひとりさん的雰囲気の岩田裕耳(ゆうじ)さん、が個人的には印象に残りました。
とはいえ、おはなしのベースに横たわっているのは、当時の政治的情勢とかのサスペンス的要素。コンテンツとしては、小劇場演劇の世界ではあまりお目にかからない熟年層のオトナの方の鑑賞にも十二分に堪え得る作品でした。
ただ、なもんでぇ、ちょこっとだけネタバレになりますが、最後のシーンに出て来るコートの裏地が意味するもの。年配の方には周知のモノですが、果たしてミリタリーオタク以外の20代の観客にわかるかなぁ?とオジサン、少しだけ心配になりました。観客に理解されてこその「オチ」なんですから。
CAFE BIANCA
兎団
プロト・シアター(東京都)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/15 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/07 (水)
価格2,000円
12月7日に、動画配信で兎団32『CAFE BIANCA』(139分)を、2018年5月の初演時に観たときの記憶を蘇らせながら視聴。
なお、作品の本筋とは離れるが、現世の人間と、この世のものでない存在たちとが、同じ舞台の上で、互いに交錯しながら右往左往する、カオスな”ごった煮”感のシーンが、個人的には快感を覚えるほど、楽しくはあった。
30歳の制服デート
サキクサ
雑遊(東京都)
2021/10/05 (火) ~ 2021/10/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/10/05 (火)
価格2,800円
5日20時開演の初日舞台を拝見。
2016年の初演、2018年の再演、と観てきた
深谷晃成さん脚本の作品。
今回、キャストを一新
タケル…浅見臣樹さん
ミナミ…大塚由祈子さん
が演じる45分間は
何故、ミナミがタケルに制服デートをもちかけたのか?
タケルもミナミに隠し事があって…
既知のストーリーなんだが、今宵もまた、切なさと優しさが涙腺に来た。
夢見る乙女じゃいられない
たすいち
シアターKASSAI(東京都)
2017/03/23 (木) ~ 2017/03/28 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/26 (日)
以前、アフリカ座・山元彩さんの『ゆた』を拝見した際にも感じたことですが、作家さんの習作的な初期作品って、おはなしとしては精巧さよりも生硬さが目立つものの、内在する熱量が半端なく、勝手に観ている者の魂が揺さぶられるもののようです。
今宵の『夢見る乙女じゃいられない』(2時間弱)。
観せ方とか技術的なものを抜きにすれば、公演が重なった、高校生劇団・冗談だからね。さん以上に、高校生が考えたようなピュアな作品ですが、たすいちさんの芝居観て、こんなに余韻が尾を引いたのは『キヅツクキカイ』以来かな?
あいにくの天気でしたが、足を運んだ甲斐がありました。感謝します!
傘と花火
teamキーチェーン
d-倉庫(東京都)
2015/05/21 (木) ~ 2015/05/25 (月)公演終了
虚仮威
柿喰う客
本多劇場(東京都)
2016/12/28 (水) ~ 2017/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/09 (月)
現代と過去、夢とうつつを行き来する100分間の舞台は 、現代の世界では、「僕」と妻との離婚話が進んでいる様子で、かなりシリアスな状況。これに対して、大正時代のパートは、座敷童や山神、河童まで登場する、随分と牧歌的なトーン。
そして、現代・大正、二つの時代に共通するキーパースンが、「こどもの夢を叶える」サンタクロース。
幾重にも張り巡らされた伏線が、観客の予想の恐らく数歩先を行く形で回収されていく、極めて綿密なシナリオの作品です。
とりわけ結末が、ほのぼのファンタジーで締めくくるかと思っていたら、ダークファンタジーとは!
既視感のないストーリーに大変心惹かれました。
男装音楽劇 くるみ割り人形
青蛾館
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/03/25 (金) ~ 2016/03/31 (木)公演終了
15 Minutes Made Volume12
Mrs.fictions
王子小劇場(東京都)
2015/07/08 (水) ~ 2015/07/14 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2015/07/08 (水)
『ミセスフィクションズの祭りの準備』(Mrs.fictions)。
実は、団体名のfictions(フィクション)をfriction(摩擦、不和、衝突)と勘違いしてました。ですが、話の内容的には、まんざら的外れでもなかったようです。
『消えないで、ミラーボール』(20歳の国)。
直球ど真ん中の「青春グラフティ」。オッサンのオイラ、ちょい照れ臭い気分で拝見させてもらいました。女子マネ役の湯口光穂さん、親しみ深い雰囲気に好感が持てました。
『HNG』(MU)
下ネタ満載のおはなしでしたが…笑えました。役者さん達の確かな演技と、構成のしっかりしたホンのおかげで、ソフィスティケーテッド(洗練)されたワンシチュエーション・コメディ見ているような…「錯覚」に陥りました(苦笑)
『夏の灯り』(第27班)
サヤカのシーン、カズマのシーン…舞台上では、この2人のシーンが交互に展開され、それぞれに笑いを誘うのですが、ラストで一転…世俗の垢にまみれたオイラでさえ、胸にグッと来ました。今宵(8日)の観客席で、拍手がイチバン熱かったように思われました。
『私たちの考えた墓に入る日の前日のこと』(The end of companyジエン社)
死者が生者へ・生者が死者へ、一方的に・双方向にセリフを交わす・セリフが重なる、あるいは沈黙の時が流れて…ストーリーらしきモノがあるというよりも、汗ばむ夏の日の午後、畳み部屋で寝っ転がったまま、つげ義春なんかの頁をめくっている気分にさせられた15分間。個人的には6本中、最も印象に残った作品でした。
『性的人間 あるいは(鞭がもたらす予期せぬ奇跡)』(シンクロ少女)
田山花袋・大さじ1杯、江戸川乱歩・大さじ1.5杯、吉本新喜劇200ccを混ぜて、フードプロセッサーにかけたような作品。
ミツコ役の徳橋みのりさん、シアター風姿花伝で拝見して以来となりますが、美人さんだなあ♪と思いながら観てました。
以上、好みはヒトそれぞれかと思いますが、6作品とも、なかなかの高水準。
小劇場演劇の良質なエッセンス、味わってしまったお陰で、今後、観劇する舞台に求める「合格ライン」、一気に上がってしまったようです。全く困ったもんデス(苦笑)
フランドン農学校の豚/ピノッキオ
座・高円寺
座・高円寺1(東京都)
2021/09/02 (木) ~ 2021/10/07 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/10/03 (日)
価格2,000円
『ピノッキオ』3日14時開演回(80分)を拝見。
今年で最後という『ピノッキオ』、私は3年連続の観劇となるが、今回、レギュラーのKONTA氏が体調不良で声の出演に留まるのは残念。
だが、今年も辻田暁さんによる、人間になったピノッキオの”歓喜の舞”を目にすることが出来て良かった。
「ストロング」
坂井水産
RAFT(東京都)
2021/12/29 (水) ~ 2021/12/30 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/12/30 (木)
価格3,000円
30日18時開演の大千穐楽(75分)を拝見。
ゴジラ好きの赤井…赤澤涼太さん
”ヘドラ”中山…加藤なぎささん
赤井の友人・坂井…家田三成さん
ト書き…浅倉洋介さん
の陣容。
脚本・演出で綿密に設定された演劇もいいけど、役者が自由に振舞える”ハンドルの遊び”がある演劇もいいもんだなぁ、と大笑いしながら観させてもらった。
東中野RAFTでの、坂井水産『坂井水産Presents 稽古初日VOL.1「ストロング」』で、今年の観劇締めくくりが出来てヨカッタ・良かった♪の2021年。
【追記】
なお、料金は投げ銭(カンパ制)だったので、野暮は承知で?自分が包んだ額を表示。
流砂ゑ堕つ
野生児童
「劇」小劇場(東京都)
2016/09/29 (木) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★
本作は近松門左衛門の『女殺油地獄』(おんなころしあぶらのじごく)の翻案ですが、近松ワールドから更に、登場人物の造形を深化させています。
ところで、若い観客の皆さんの観劇後のツイッターでの感想、つらつらと拝見してみると、主人公の吉雄はもちろんのこと、吉雄の母親(演・のぐち和美さん)の心理に関しても、表面上の言動だけで判断されたのかな? と、多少は長く生きてるオッサン、微笑んでしまいました。
血がつながっていようが・いまいが、親子の情・兄妹の情。
惚れていようが・惚れられていようが、男女の情。
そして、どうしようもない半端者ながらも、吉雄が持ち続けようとした男の矜持。
『流砂ゑ堕つ』は、観る側の人生経験・人生観で、いかようにも解釈できる会話劇でした。
「江戸系 諏訪御寮」「ゲイシャパラソル」
あやめ十八番
サンモールスタジオ(東京都)
2016/05/27 (金) ~ 2016/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/06/03 (金)
3日(金)の夜、前夜の『ゲイシャパラソル』に続いて、観て来ました。
フライヤーの右側、何やら、おどろおどろしい方(笑)、『江戸系 諏訪御寮』。
ダージリン急行
シンクロ少女
スタジオ空洞(東京都)
2016/08/15 (月) ~ 2016/08/17 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/08/16 (火)
昨年の夏頃に15分尺の短編。今年の5月には2時間モノの本公演。と、なんだかんだで、今回、3公演目の観劇となるシンクロ少女さんなんですが、16日の晩に拝見した『ダージリン急行』(70分)、過去2作で抱いていた、この団体さんへのイメージを、それこそ、こっぱみじん(笑)に砕いてくれました。
同名のアメリカ映画にインスパイアされた?本作、それぞれに決してハッピーではない事情を抱えた、主人公である3兄弟達(長男…泉政宏さん、次男…横手慎太郎さん、三男…三瓶大介さん)が、列車での旅の途中、他の兄弟が辿ってきた人生の道のりを探り・探られ、の珍道中。3兄弟の掛け合いの妙に、観客席はクスクス・クスクス。
そこにさらに、列車内のサービス係・かきあげあゆみさん、長男の助手・中田麦平さんが絡んできて、これまた観客席はクスクス・クスクス。
さらに終盤、「ママ」役の堂本佳世さんがやっと登場するんですが、ここからが、まさに…!
芝居の用語に「序破急(じょはきゅう)」というのがあるんですが、似たようなコトバである「起承転結」とも合わせて説明すると、『ダージリン急行』は淡々としたタッチの「序(起承)」がしばらく続き、「ママ」が登場する終盤になって、いきなり「破(転)」「急(結)」が猛ダッシュで襲ってくる!といった、かなりチカラ技な構成になっています。
個人的印象なんですが、正体不明の香辛料を盛られた、怪しげなチャイを飲まされたような、摩訶不思議な魅力に富んだ70分。
理屈でストーリーを追う方はかなり面食らったことだろうと推察されますが、感覚に委ねて観劇された方にとっては格好のロードムービー+アルファ?(笑)だっただろうなぁ、と思いました、とさ♪
銀髪
アマヤドリ
本多劇場(東京都)
2017/01/26 (木) ~ 2017/01/31 (火)公演終了
満足度★★★★
倉田大輔、武子太郎、古澤美樹のお三方に代表される演技陣の熱演に、3時間の長丁場も苦にならない熱い舞台。最後まで集中を切らさず観ることが出来ました。
ただ…昨年、より完成度の高い(と自分は認識している)『月の剥がれる』を観た身には、『銀髪』=カレーライス、『月の…』=カツカレー、といった印象度の差がありました。それさえなければ星5つでもよかった、優れた舞台だと思います。
ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜
ことのはbox
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2016/08/18 (木) ~ 2016/08/22 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/08/18 (木)
いろんな劇団さんで、幾たびもの上演を重ねてきた「歴戦のつわもの」的戯曲を取り上げて紹介してくれる、ことのはboxさん。演劇経験ド素人のオッサンにとっては、まさしく「演劇講座の先生」みたいな団体さんです。
その、ことのはboxさんの8月公演。雨が降っても駅から近いぞ♪の三鷹・武蔵野芸能劇場で観てきました(18日ソワレ)。
ぶれる境界
家で出来る演劇
北千住BUoY(東京都)
2021/10/01 (金) ~ 2021/10/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/10/03 (日)
価格2,800円
3日17時半開演の千穐楽を拝見(67分)。
日野あかりさんと佛淵和哉(ほとけふち・かずや)さんの、何度も舞台を拝見しているお二方による1時間強の作品。
舞台公演が終わっても、後日、動画配信があるそうなので、詳細は「ネタバレbox」に記すも、上演途中で想像した結末の、更に先の・先まで充分に練られたエンディングには驚くと同時に感動させられた。
とても良い時間を過ごせた。
パル子の激情
江古田のガールズ
本多劇場(東京都)
2017/01/20 (金) ~ 2017/01/22 (日)公演終了
満足度★★★★
序盤の観客・集団ステージ上げにアッと言わされ、笑いの中にも平田敦子さん中心の芝居はしっかりと・・・
客演舞台や絵空箱でのショーウィンドウ公演で垣間見るだけだった、江古田のガールズさんの本公演初体験は、このエンターテイメント団体の実力をまざまざと見せつけられた思いがします。
キャプテン・オブ・ザ・コック
乱痴気STARTER
Geki地下Liberty(東京都)
2015/04/14 (火) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
カミサマの恋
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了
満足度★★★★
[Team 葉]観劇。
年齢設定80歳!の道子は、相談者の問いに応じて、神様からのお告げ「神託」を得たり、亡くなった人の霊を我が身に憑依させ、生きている人間と会話をさせる、イタコの「口寄せ」を行う、土着宗教の巫女のような存在。
ただし、相談者の宗教的信頼感がベースとはいえ、観客の目に映る彼女は、相手の立場を親身になって思いやる「よろず相談コンサルタント」といったところか。
道子のもとに寄せられる相談事も、道子の息子が引き起こす騒動も、当事者には深刻な事案なのですが、基本、会話が津軽弁でやり取りされるせいか、舞台を見聞きしている側の雰囲気は終始和やか。
1月の今には季節外れなたとえですが、お盆に帰った祖母の家の仏間で、親族や地元の友人たちの世話話や愚痴を肩肘ついて寝そべりながら聞いている…
そんな、ゆったりした気分で過ごせました。
丁寧な話の運びに、役者さんの…とりわけ、道子役・長崎りえさん、道子の弟子役・廣瀬響乃さんの、はんなり・ほっこりとした佇まいに癒された2時間10分でした、とさ♪
ゆびさきの半景
サカサマナコ
遊空間がざびぃ(東京都)
2016/03/31 (木) ~ 2016/04/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/03/31 (木)
リリックなセリフ廻しに、柔らか目の照明・劇伴。
ヒロイン・風子と、彼女の小学校時代の同級生を演じる、5人の女優さんが醸し出す雰囲気は、まさしく同世代の等身大の女性の佇まい。
ただノスタルジックなだけでなく、会場を包み込む作り手の温もりと言うか、観客への心づくしのおもてなし…そんな気持ちが伝わってくるような温かな舞台でした。