byassistの観てきた!クチコミ一覧

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「はたち、わたしたち、みちみちて」「ウミ、あした」

「はたち、わたしたち、みちみちて」「ウミ、あした」

gojunko

Theater Option(東京都)

2017/06/22 (木) ~ 2017/06/27 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/25 (日)

25日のソワレ、公演の最終回を拝見しました。

ネタバレBOX

『はたち、わたしたち、みちみちて』(60分)の、とみやまあゆみさん、宍泥美さん。
『ウミ、あした』(30分)の、えみりーゆうなさん、石澤希代子さん。
前者は「女性の半生の友情」、後者は「女性の人生の卒業式」をテーマにしたものですが、まるで4人の役者さんをそれぞれ念頭に置いて当て書きされたような登場人物達の、愛しくなるほどの「面倒臭さ」に、終演後、いつまでも余韻が尾を引くほど、印象深い芝居でした。

あと、既に何度も舞台を拝見している、とみやまあゆみさん、石澤希代子さん以外のお二方…お名前だけは存じ上げていた宍泥美さん、全くの初めての、えみりーゆうなさん、を知ることが出来たのも収穫の一つでした。
おうちにかえる・オブ・ザ・デッド

おうちにかえる・オブ・ザ・デッド

サムゴーギャットモンテイプ

RAFT(東京都)

2017/06/21 (水) ~ 2017/06/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/25 (日)

25日のマチネ、当日の朝に思い立って、チケット取り置きをお願いいたしました。

ネタバレBOX

もっと大きな劇場で・もっと大掛かりな公演だったら、東京の惨状も、ペンション内で起きた悲劇の有り様も、血染めメイクのゾンビを登場させて派手に…というところなんでしょうが、東中野RAFTのアットホームな舞台では、それらの光景を悉く観客の想像力を呼び起こすことで対処します。それが、ライフルの銃声や「事後」のカズコ(ペンションに食材を運ぶ近隣の商店のおばさん)の様子で推し量るしかない「見えない恐怖」が観客に圧倒的に迫って来る効果を出していた、と感じ入りました。
(どう対応していいか困った下ネタも含めて、笑)適度なくすぐりも随所に仕掛けた80分、心の底から「観に行って良かったぁ♪」と思えるコンテンツでした。

【追記】
当日パンフにしか記載されていない配役、感激の観劇!の記念に?ココにも記録しておきますね。

安田侃司(やすだ・かんじ)…ペンションのオーナー・ノボル
澤﨑妙…ノボルの妻
五十里直子…近隣の商店のおばちゃん
平島茜…2人連れの宿泊客。以前の職場での先輩
カンボ…2人連れの宿泊客。以前の職場での後輩
杏…よく訪れる宿泊客、実はノボルの浮気相手
大森翔吾…東京から来たらしい兄妹の兄の方
杏奈…兄妹の妹の方。実は既に感染・・・

劇中の出ハケの際、カラダがかすってしまったことを終演後すぐにお詫びに来られた杏さん。こちらこそご丁寧なご対応に恐縮する限りです。
今後、ますますのご活躍を祈念いたしております。

それから、公演期間中、公演のPRと、観られた方へのお礼ツイートをこまめに返されていた杏奈さん。それが目にとまっての、本日の観劇でした。良い芝居に導いて頂いたこと、感謝デス!
逮捕(仮)

逮捕(仮)

ろりえ

ギャラリーしあん(東京都)

2017/06/20 (火) ~ 2017/06/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/06/20 (火)

20日のソワレ、「家」バージョン初日を拝見。

ネタバレBOX

ストーリーのベースは人情噺。
核心部は(田山花袋『蒲団』風・師弟ジェンダーレス)バレ噺。
前後を囲むのが抱腹絶倒!滑稽噺。
といったバラエティに富んだ内容を、70分という短い上演時間の中にスムーズに取り込んだ作品です。

三枚目とナイーブな感性とのバランスを求められる役柄を演じられたらピカイチの(と私が認識している)安藤理樹さんを中心に、さんざっぱら笑わせておいてラストシーンでは胸アツな岩田恵里さん・橋口勇輝さん、内に秘めた魔性で師弟を翻弄する洪潤梨(ホン・ユニ)さん…担った登場人物たちを役者陣が好演。
とりわけ、個人的には、ラストシーン近くの、安藤理樹さんと洪潤梨さんとの対面シーンが、ソワレという時間帯・戸を開け放った古民家の空間に灯りといった「舞台装置」と相まって、(ストーリーからは離れるが)私自身がずっと以前に経験した、通夜の晩のように感じられ、胸に迫るものがありました。

実は本音で言うと、ストーリーの核心部分は好みではありませんでした。いささか、グロい!かなぁ~と…ですけど、これはあくまでも個人の価値観の問題。そんな些細な好悪の感情は抜きにして
1月に観た、Shock Art Projectさん『春に戦ぐ』
4月に観た、TOKYOハンバーグさん『KUDAN』、チーズtheaterさん『THE VOICE』
と合わせて、今年観たベスト5には入る秀作だろうなと思っています。
女吸血鬼カーミラ

女吸血鬼カーミラ

TremendousCircus

シアターシャイン(東京都)

2017/06/16 (金) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/06/18 (日)

18日ソワレを拝見。

ネタバレBOX

耽美恐怖小説『カーミラ』に2つのエピソードを加筆した約2時間の芝居は、出演者達の熱気が伝わって来て好感。ただ、芝居がどちらかというと一本調子な絶叫調で(その割に、おはなしの進行が単調には感じなかったのが不思議?)、それ故か、千秋楽とはいえ、声がかれた役者が複数いたのも減点かなぁ。

あと、料金に「復興支援割引(前売り・予約限定)」を設けておられるぐらいだから、単なるおはなしの道具立てとして取り上げたのではないのだろうが、「福島の原発事故」という素材は、もっと細心の注意を払うか、出来れば避けて欲しかった。あの使われ方だと、キレる方もおられるだろうから。

最後に、こちら様の団体、あまり詳しくはないのだが、受付・会場案内の対応の良さ、「血に見立てた、薔薇の花びら」を会場のみならず、受付の辺りから蒔いている工夫…良いスタッフワークだと感心しました。
チェーホフ『かもめ』

チェーホフ『かもめ』

演劇集団アクト青山

調布市せんがわ劇場(東京都)

2017/06/13 (火) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/17 (土)

17日ソワレの回を観劇。

ネタバレBOX

何度となく上演されてきた古典的名作。フォーマットはガチガチなだけに、如何にさり気なく(あるいは、大胆に)味つけして観客に供するのか、演出家の腕のみせどころかと存じます。

今宵の『かもめ』は2時間半ノンストップ! でもって、体力・気力共に欠けるオッサン故に、終演時は頭真っ白・足腰ガタガタの体たらく(笑)。確か、自分が最初に観た俳優座さん版では途中に休憩はさんでいたはずなんで、今回も…せんがわ劇場というロケーション上、ソワレの観客の帰宅時間を考慮すると難しいかぁ。

まっ、それはさておき、アクト青山版『かもめ』ですけど…アレ?この作品って、こんなにクスクス笑い、取ったかなぁ? 今宵のアルカーヂナに、マーシャ(演・山辺恵さん)、何気にお茶目です。人物設定の枠をはみ出さない程度に、シニカルにコミカルなセリフ回し&所作。得てして古色蒼然となりがちな不朽の名作に、生の息吹きを呼び起こしてくれた…とまで褒めたら、ちょっと言い過ぎかな。

でぇ、アルカーヂナ役の米山祐子さん。 「息子のいる大女優」という役柄に自分がこれまで抱いてきたイメージよりも遥かに若くて華やかな方! 正直、登場時は度肝を抜かれました。ですが、観終わっての印象は…大女優のプライドが邪魔をして感情をつたえるのは不器用だけど、実はおちょこちょいで「こじらせ息子」への愛に溢れるシングルマザー、の観。「アルカーヂナ」に初めて、親密感さえ覚えました。

ニーナ役は、以前より面識のある、華奈さん。今回、大役を任されていることへの重圧感からか、序盤は硬さも見受けられました(と、ワタシの目には映りました)。だが、落魄(らくはく)した身でトレープレフに逢いに来る後半の見せ場になると、ニーナの心情と華奈さんの懸命さ、見事にシンクロしたように感じました。
良い経験を積まれたと思います。お疲れ様でした。

最後に、あと、お一方。アルカーヂナの息子・トレープレフ。過去、いろんな団体さんのトレープレフを観てきましたが、演ずる役者さんのキャリアとかが透けて見えて、ホンネを言うと、あまり納得のいくものではありませんでした。ところが、今宵の中迫達也さん! 若さと未熟故の偏狭さがとてもビビットで、実に魅力に富んだ「こじらせ息子」ぶりが好印象でした。

ということでぇ、過去、幾度か拝見したことのある作品ですが、若いキャストさん達の演ずる青山アクト版『かもめ』、19世紀の帝政ロシアの頃のおはなしなのに、現代人の家庭劇を上演しているような…時折ニヤつきながらも、どこか身につまされる芝居でした、とさ♪
音楽劇「ピアノのへや」

音楽劇「ピアノのへや」

空間製作社

TACCS1179(東京都)

2017/06/14 (水) ~ 2017/06/19 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/06/15 (木)

2014年の『YMCA~八巻モーターチアリーディングアクターズ~』を皮切りに『HOME COMING』『お誂え四十七士』と拝見してきた空間製作社さんの舞台『ピアノのへや』(2時間35分、途中休憩10分含)、15日のソワレを観て来ました。

ネタバレBOX

再々演となる3話オムニバスの音楽劇は、脚本も(そして恐らく)演出も、より一層の磨きをかけた、団体さんにとっての珠玉の作品なんだろうなと、ひしひしと感じさせる緻密な構成。丁寧に描かれた早瀬家三世代の家族史、観る側もじっくりと腰を据えて拝見させて頂きました。

ただ気になった点が二つ。
まず第一に、戦前、自宅にピアノがある程の裕福な家庭ならば、すべからく礼儀作法にもうるさいはず。でぇ、外部の人間とはいえ、カステラを掴んだ手のままで(手を拭くシーンはなかったかと)、ピアノの鍵盤を触ろうとするのを見過ごすかなぁ?
それから「野村紫衣」の作劇上の処理。当日パンフで明示された「中田瑠璃の孫」という設定、それを匂わせる劇中の伏線もありながら、結局、「孫」の設定はおはなしの上では何の影響ももたらさなかった…再演を重ねるうちに「中田瑠璃の孫」であることの意味合い、そぎ落としてしまったのかな?
ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

演劇企画集団THE・ガジラ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/06/04 (日) ~ 2017/06/12 (月)公演終了

満足度★★★★

11日のソワレを拝見。上演時間2時間15分。

ネタバレBOX

「入れ子構造」や「無限ループな話の流れ」「中国・唐代と現代(大正)との、時の錯綜」「主人公たる『私』の位置づけ」等々…原作を難解ならしめている諸々の要素を、饒舌に語ることなく、大胆に整理・放置した感覚の『ドグラ・マグラ』。
凡庸な観客であるワタシにとっては、孤高の頂にあった原作を、理解は到底及ばぬまでも、手の届きそうな辺りまで書き下してくれたな、という思いが強い。
それから、主要な登場人物と演ずる役者の性の反転…とりわけ男性の役柄を女優に担わせたことで、原作の持つカオスな空気感がより一層引き立ったのではないかとも感じた。

役者陣。
まず、「私」役・松田佳央理さん、正木教授役・岩野未知さん、若林教授役・加古みなみさんのお三方。2時間を越す上演時間を忘れさせてくれるほどの熱演が印象的だった。
次に、助手役のアフリカン寺越さん。無表情な面差しと、歩く度に鳴るカギの束のジャラジャラという音のシンクロ具合が、個人的にはツボだった?かな。
最後に、(ネイティブのワタシが耳にしても及第点な)愛らしい博多弁を操る渕上夏帆さん。脚・演が意図したかはともかく、緊迫したシーンが続く本作品において、フッと一瞬、肩に力の入り過ぎた観客をリラックスさせてくれる役割を果たしていたようにみえた。
Paranoia Papers

Paranoia Papers

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2017/05/31 (水) ~ 2017/06/06 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/05 (月)

「黝(あおぐろ)の章」(途中休憩10分込み150分)を拝見。

ネタバレBOX

短編3本のうち、初っ端の『メンゲレとグレーゼで』は、題材も・見せ方も、往年のアングラ芝居を彷彿とさせるコンテンツ。
まず何よりも、里仲景さんのカラダを張った熱演に好感。
更に、劇中、市松さんに、名無しの千夜子さんが披露した引き締まった肢体。恐らくは演出の意図以上に、ストーリーの猟奇性を際立たせる効果があったと思えた。
ただ、終演後、本水の後始末をする出演者たちの「お行儀の良い」様子には、一気に興ざめさせられた。人手の都合もあるのだろうが、ここは『メンゲレとグレーゼで』出演者以外の人間にやらせるべきでは?

2番手の『ウェストご夫妻の偏り尽くした愛情』は、個人的には一番好みな、スプラッタ・ラッタッタ♪な作風。
今宵の3作品の中では「箸休め」的な、深みに欠けるストーリーなれど、それがかえって、観客の関心を個々の役者陣の演技に集める結果になったのでは? 個人的には、淑女からビッチ⁉︎までこなせる川添美和さんと、さりげなくコメディリリーフな沈ゆうこさん…お二人の存在感がとりわけ好ましく感じられた。

最後の『ジャンヌダルク異端審問裁判』は、この団体さんの過去作『Cendrillon ~サンドリヨン~』や『OZ♀4♂3』を強く意識させられた作風。
でっ、(ワタシ自身も含めてだが)観客の皆さん、絶対にジャンヌ役・大森さつきさんの力演を称賛されるに違いないだろうから、ココは敢えて?!(大森さんと同じく上掲2作品にも出ておられた)平良和義さんの骨太な演技を讃えることにしたい!

3作品全てを観終わっての感想だが、癖の強いテイストなれど、前評判ほどエッジの効いた出来とは思えなかった。とはいえ、上演時間の長さをさほど感じさせない、オトナの演劇だったかな…良い時間を過ごせた。
ボス村松の竜退治

ボス村松の竜退治

劇団鋼鉄村松

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2017/06/03 (土) ~ 2017/06/30 (金)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2016/06/03 (金)

途中休憩10分込みの1時間45分の舞台。
ボス村松さん作の過去作品で充分承知している「グダグダさ」は今回も健在。事前に配られたピコピコハンマーで、セリフが飛んだ演者をはやし立てるのも、なかなかに愉しめた。
ただ、『キャベティーナ』『ボス村松の兄弟船エピソード1・2・3』からすると、随分とおとなしくなったかなぁと。

至極滑稽亡者戯

至極滑稽亡者戯

HYP39

ART THEATER かもめ座(東京都)

2016/10/26 (水) ~ 2016/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/10/27 (木)

HYP39Divという劇団さんがございます。主宰が表情豊さんとおっしゃる若い女性の方で、表情豊プロデュース三重苦演劇部、という意味合いで「エイチワイピーサンジュウキュウディヴ」と読むんだそうです。
でぇ、表情さんも含め、劇団員の客演舞台は何度か拝見したことはあるんですが、これまでご縁がなかった本公演、27日の夜、ようやく観に行くことが出来ました。
『至極滑稽亡者戯』(しごくこっけいもうじゃのたわむれ)、1時間45分の舞台です。

ネタバレBOX

貧乏暇なし、人望なし。ないないづくしの「この世」を捨てて、三十路で子持ちの劇作家・岡田シャーミンが辿り着いたのは所謂「あの世」。三途の川に柳の木、六道の辻に閻魔のお裁き。「あの世」の旅もそれなりに。ただ気がかりなのは、志半ばで去った「この世」のこと…古典落語『地獄八景亡者戯』をベースに、あの世とこの世の狭間で苦悩する?ある劇作家の物語。

食当たりで急死した主人公が、てんやわんやの地獄巡りのあげく、現世に帰って来る(生き返る)という、落語『地獄八景亡者戯』の内容と、明らかに表情豊さんご自身を模した「劇作家」の人物設定から、おはなしの流れ、大方察したうえでの観劇だったんですが、聞くと…もとい!想像すると・実際に観るのとでは大違い!
まだ公演中なんで簡単にしか触れませんが、次から次へと出し物が変わる寄席のテンポで見せる、いにしえの遊園地風・仰々しいお化け屋敷…と見せかけて、実わぁ、作者から「演劇」への一途なラブレター、でした。散々笑い転げたあげく・最後にグッと胸に来る作品でした(ご本家の落語の噺を知らなくても、充分愉しめる内容でしたよ!)。

【追記】
早めに会場に来ると、故・桂米朝師匠の本家!『地獄八景亡者戯』のさわり、音声が流れていて、大層、懐かしくも・嬉しく思われました、とさ♪
殺人狂時代

殺人狂時代

立体映画館

小劇場 楽園(東京都)

2017/05/23 (火) ~ 2017/05/27 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/27 (土)

久しぶりに観た「立体映画館」は、自分が承知していた過去作品群のレベルのはるか上を行ってて、良い意味で驚かされました。
「生もの」である舞台に、先入観と思い込みは禁物だなぁと。

ネタバレBOX

それにしても、「立体映画館」って、こんなに演出凝ってたっけ?
(特に「紙のカーテン!?」を破っていく演出、場転への「良いアクセント」だと好意的に受け止めました)。
可愛らしい坊やの想定内のハプニングに、赤ワインの想定外⁉︎のハプニングも臨機応変に活かした、アドリブの効いた芝居やってたっけ?
実はスケジュール的に無理を重ねての観劇だったんですが、その甲斐、大有りの100分間でした。

役者陣。
主演の山崎丸光さん。加順遥さんとの「THE MANZAI」からシリアスな独白まで…ご自身の有する熱量を巧みにコントロールする実力派として、確かに、もっと評価されてしかるべき方だと思います。
それから、個人的には、山崎さんも出ておられた『僕たちは他人の祈りについてどれだけ誠実でいられるか(仮)』ぶりに演技を拝見した、前園あかりさんのユーモラスな表情・表現がとても印象的でした。
GIRLS(大好評終演御礼!次回MUは11月コメフェス、2018年2月下北沢駅前劇場・下北沢演劇祭へ参加!)

GIRLS(大好評終演御礼!次回MUは11月コメフェス、2018年2月下北沢駅前劇場・下北沢演劇祭へ参加!)

MU

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/05/24 (水) ~ 2017/05/30 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/25 (木)

Bバージョンを拝見。

ネタバレBOX

『めんどうくさい人』(70分)。
真っ先に挙げたいのが、真嶋一歌さんの凛々しく・清々しいまでの気負いと意気込み。
観客席にも「本気」がひしひしと伝わってきて、何よりも得難い観劇体験となりました。
あと、真嶋さんの相手役・青木友哉さん。
熱演なれど決して暑苦しくも押しつけがましくもない 「気にならない」ウケの演技に感心させられました。

『初恋は消耗品』(30分)。
優菜役の小島望さんはコメディもシリアスもこなせるオールラウンダーな役者さんですが、『めんどうくさい人』の花恵と違って、終始のんびりしたキャラのヒロイン、まるでご本人の地であるかのように自然体で演じてらっしゃる様子に、この役者さんにはこういうキャラが一番似合うんだなあと、勝手に?納得させてもらいました。

両作品とも、役者陣は充実。満足のいく100分間でした。
誰がために壁はある

誰がために壁はある

曲がり角ランデブー

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2017/05/19 (金) ~ 2017/05/21 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/05/21 (日)

オムニバス形式の3本の短編集(90分)。
トランプ米大統領の提唱する米・墨間の壁に触発されて作られた戯曲とのことだが、おはなしの設定や第1話・第2話のストーリーから想起されるイメージは「ベルリンの壁」。しかも、この壁、第3話ではあっさりと崩壊していて(説明は一切無し)、現実の壁から「時間」の壁にテーマが変換。このあたりは、正直、どうかなぁ?と首をかしげざるを得なかった。

役者陣はおおむね好演。
とりわけ、第2話は古市裕貴さん無しには成り立たなかったように思われた。

屋根裏のシェークスピヤ

屋根裏のシェークスピヤ

ヅカ★ガール

レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)

2017/05/18 (木) ~ 2017/05/20 (土)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/05/18 (木)

エメ:片山歩美さん/エステル:石黒徳子さんの配役による、初日の公演、観て来ました。

ネタバレBOX

原案の『シェイクスピアの花園』という絵本に関しては存じ上げないのですが、耽美主義的なトーンに、原案には無い、時代の陰影(「ナチスドイツ占領下のフランスにおける、ユダヤ人狩り」のおはなし、ですよね?)を重ねた50分。
短い上演時間でしたが、2人の少女の関係性が丁寧に描かれていた…とりわけ、片山歩美さんの優美な所作と潤いのある声質が、おはなしの雰囲気によくマッチしていたと思います。終演後も暫し余韻に浸らせてもらいました。

気になったこと、2点。

前回のココ(兎亭)での公演で、登場人物が座って演技する場合、後ろに座っていると見えないことを…今回、忘れていました(苦笑)。
会場のスペースという制約もあるんでしょうが、他の団体・ユニットさんの公演では(そもそも座るシーンがなかったからか)殆ど気にならなかったこと、付記しておきます。

それから、ワタシがせっかちなためか、気になったのは、着替えのため、芝居の継ぎ目として発生した「間」。
上述のように、後ろの座席に座っていたもんで、照明を落としての無言の「間」。劇伴が聞こえて来るとはいえ、動きの止まったアクティング・エリア、おはなしの流れに水を差された感は歪めませんでした。
幕張の憶測

幕張の憶測

劇団献身

シアター711(東京都)

2017/05/12 (金) ~ 2017/05/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/12 (金)

もちろん献身さんなんで、終始、声を上げて笑わせてもらったが、ラスト、城築創(きづき・はじめ)さんの長台詞には、不覚にも胸にグッと来た。
100分の本編終了後、5分間の休憩の後に始まる10分間の短編コント集も合わせて、お買い得⁉︎の公演かと。

morning sun 晩夏/初春

morning sun 晩夏/初春

第27班

テアトルBONBON(東京都)

2017/05/10 (水) ~ 2017/05/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/14 (日)

第27班さん『morning sun』、「晩夏」編が良かったので、お願いして「初春」の千秋楽に滑り込みセーフ!
「晩夏」と比べて、マイナーチェンジ&笑いどころ増量、の120分。
主要な登場人物達が自身の本心に気づき、再出発するまでのものがたり、じっくりと味わせてもらいました。

ネタバレBOX

役者陣。
役のハマり方が尋常じゃなかった⁉︎星秀美さん。
ふと気がつけば今回で5作品目の「目撃」となる能澤佑佳さん。
「晩夏」とは別設定のマユミ役で、笑いどころを増やしてくれた、鈴木あかりさん。
個人的には、このお三方が印象深かったです。
60'sエレジー

60'sエレジー

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2017/05/03 (水) ~ 2017/05/21 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/11 (木)

昨年の晩秋、『治天ノ君』を上演したシアタートラムとは違い、今宵の新宿サンモールスタジオぐらいの、程良い広さのアクティングエリアでこそ、チョコレートケーキさんが醸し出す、舞台を包み込む濃密な空気感が活きるなぁ、と実感させられた2時間15分。
それにしても…またもや、オジさん、涙腺崩壊させられるとは!…チョコレートケーキさんには困ったもんだぁ(笑)

ネタバレBOX

1960年代の雰囲気、あの頃を(途中からとはいえ)知る身からみても、ほぼ違和感なく表現されていたと感心しきり。ただ、「おはなし」だというのに野暮を承知で言えば、当時の人々の情とか商道徳、美化し過ぎかなぁ。高度成長期の前も最中も今も、小林社長や藤井寝具店の松尾さんみたいな商売しとったら、下手すると夜逃げ倒産やクビでっせ(爆)。

まっ、それはさておき、客観的には「独居老人の回想」でしかないストーリーを、ここまで感慨深いものに昇華させた手並み、流石です。
そして、『60’sエレジー』という作品は、この二つのセリフのためにあった、とワタシが思った
「ひとりで生まれて・ひとりで生きている訳じゃない」
「(主人公の修三は)決してひとりではなかった」
身に沁みました。帰路、我が身を振り返り、ハート・ズキズキ・ズッキーニ!な気分に陥りました(笑)

甘さよりもほろ苦さがいつまでも余韻として残った、オトナの芝居でした。

【追記】
今、他の方の感想、目を通してみましたが、西尾さん扮する町工場の社長の髭づら、ワタシも違和感覚えました。今でこそ気にならないですけど、当時は…ネッ。
morning sun 晩夏/初春

morning sun 晩夏/初春

第27班

テアトルBONBON(東京都)

2017/05/10 (水) ~ 2017/05/14 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/10 (水)

晩夏チームの初日を拝見。

ネタバレBOX

開演前、作り込まれた舞台セットと、会場に流れる「信号のある交差点の横断歩道に佇んでいるような街角の音」が、観客のハート、何気に掴みにかかります。

でぇ、舞台セットなんですが、いざ始まってみると、時計回りに、1)ナオユキ達のバイト先の飲食店、2)マサヒコの家、3)メイの家、4)フミカの勤めるお店、5)大学のシノハラ講師の教室、6)ナオユキ・ユカ夫婦の家、の6つのステージに分けられ、チャンネルがランダムに切り替わるように、うち一つのステージをメインに芝居が入ります。その切り替えの手際のスムーズで鮮やかなこと! 感心させてもらった、第一の点です。

次に、高橋沙樹さん演じるメイの脳内回想?シーン。個人的には、ミュージカル『オズの魔法使い』を想起させたホッコリタイム。自分のまだ知らなかった、第27班さんの魅力に、目元・口元が緩みっ放し♪

最後に、上述以外の数々のシーン。とりわけ、ミユキ(演・青木志穏さん)とレン(演・鈴木研さん)の人物造形などは、第27班さんらしいテイストだなぁと。

という訳で、上演時間の2時間10分、とてもナイーブで優しい時を過ごさせてもらいました。感謝!
辺境、どこまで行っても

辺境、どこまで行っても

Minami Produce

アトリエTANTOO(東京都)

2017/05/05 (金) ~ 2017/05/10 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/05/07 (日)

日曜日の昼下がり、山手線の日暮里駅から舎人(とねり)ライナーで5つ目の駅、扇大橋まで行って来ました。
オッさんのオイラが生まれる前に夭折した安保闘争時の学生歌人・岸上大作のテキストを題材にした、Minami Produce『辺境、どこまで行っても』(80分)、8日のマチネ、観て来ました。

ネタバレBOX

岸上大作の遺作『ぼくのためのノート』による、リーディングの会を明日に控えた5人の役者。読み合わせを重ねるも、一向に具体的な演技プランを示そうとしない、つばき(演・土佐まりなさん)に、他の4人は痺れを切らす。しかし、彼女、行きがかり上、引き受けただけで、実は演出の経験ゼロ。このため、演技プランやテキストの解釈について、5人が互いに言い募る状況に…

と、まぁ、こんな感じで始まった芝居なんですが、最初のうちは、キャリアも年齢もバラバラな5人の役者を通して掘り下げられる、岸上大作の人物論かな、と思っていました。
それが次第に、岸上のテキストにどう向き合うのか?という、彼女たち自身の姿勢が問われる、役者論、「座組」論⁉︎へと重心が移っていきます。

演じ手のみなさん。
上述のつばき役・土佐さんの他
自殺して果てた岸上の生き方が不審死だった母親と重なってしまい、密かに岸上への嫌悪感を抱く、すみれ役・もなみのりこさん
学生演劇の役者で、岸上の信奉者でもある大学生、ゆり役・双葉さん
楽しく演じていられたら、それで満足!という感覚の役者、かんな役・加順遥(かじゅん・はるか)さん
新劇?の劇団員で理論派の役者、まき役・ひきのさつきさん

このうち、土佐さんは以前からよく存じ上げている方。もなみさんは、土佐さんも共演されていた『肥後系 新水色獅子』で、双葉さんは『桜の森の満開のあとで』で、加順さんは『至極滑稽亡者戯』で、それぞれ、以前に拝見したことがあり、全くの初見は、ひきのさんだけ。
という訳で、劇中、戦わせる役者論、途中から「つばき」や「すみれ」ではなく、土佐さんや、もなみさん達によるリアルな論戦のように「錯覚」しました。
最後は、芝居でなく、パネルディスカッションに参加している気分になりました、とさ♪

【蛇足】
劇中、岸上大作の半生を辿っているうちに、ふと、岸上とほぼ同世代人、政治的立場は全く異なるものの、同じく、若くして死を選んだ、山口二矢のことが脳裏に浮かびました。
桜の森の満開のあとで

桜の森の満開のあとで

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2016/09/28 (水) ~ 2016/10/04 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/09/28 (水)

28日の夜、新宿・歌舞伎町にあるシアターミラクルで、feblabo(ふぇぶらぼ)さんプロデュースの『桜の森の満開のあとで』(1時間40分)観てきました。

ネタバレBOX

とある大学の政治学科のゼミ研究室。ここでゼミ生の卒業をかけた模擬会議が行われていた。舞台は、日本海を望む古い街道都市・安宅市。テーマは、安宅市が独自に提出した、通称「姥捨山」条例。老人から選挙権を返上させるという条例である。この条例の是非を問う会議に、「地域社会各層の代表」の役柄を与えられた学生たちが喧々諤々の議論を重ねていくが、理屈、理想、感情、私情が結論を揺さぶっていく。卒業か、それとも矜持か…。

まず、最初に断っておくと、坂口安吾の『桜の森の満開の下』との関連性は、特にありません。大学の政治学ゼミを舞台にした、男女学生と指導教授の『12人の怒れる男』といったテイストの作品です。
でっ、模擬会議の題材は「シルバーデモクラシー」。超高齢者社会における有権者の過半がシルバー層であるため、どうしても高齢者の利益にそった政治になりがちで、若者の意見がなかなか通らない、といった、今日的な民主主義の課題を指します。さらに架空の街・安宅市に代表される、地方都市の行政・政治・人口減の問題まで絡んできます。
本作品では、こうした議論を「地域社会各層の利益代表」=「オトナ」でなく、「〃」のロール(役割)を与えられたゼミ生に、学生間のディベート、という形でやらせます。そうすることで、現実の生臭さを排し・意識としてフリーハンドで、観客である私達まで巻き込んだ「思索」する場を創造したのかな…とかなんとか考えながら拝見させてもらいました。


それから役者陣。

どうしても秋元康にしか見えない(苦笑)…は冗談として、最後の最後にメンター(助言者)の殻を自ら破らざるを得なかった、池田智哉さん扮するゼミの指導教授

「悪役」として模擬会議を終始リードした、学生役の加藤海帆さん、浅井慎ノ介さん

そして『12人の怒れる男』における「陪審員8番」…ただし理知的なだけでなく、年相応の豊かな感受性も併せ持つヒロインの学生役・土佐まりなさん

この4人を初めとして、それぞれに個性的な「等身大の学生」を演じられた若い役者さん達の熱演、大変見応えがありました。

【追記】
土佐さん、浅井さんの他は、初めて出逢った若い役者さんのおかげで、これ以降、彼ら・彼女らが出演する!ということで、従来なら手を伸ばさなかった部類の作品にも視野を広げられるようになりました。若き才能たちに感謝!です。

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