第七劇場 日台国際共同プロジェクト Notes Exchange vol.3 舞台「珈琲時光」
第七劇場
三重県文化会館(三重県)
2019/02/10 (日) ~ 2019/02/11 (月)公演終了
満足度★★★
3箇年計画最終作。複数言語の混在がずっと課題でしたが、企画中で最も多言語入り乱れる展開だったにも関わらず、言語の相違をものともせず、空気で分からせる感覚があって、モチーフ小津作品の普遍性故なのかもしれないが、試みは遂に思惑を成し遂げたのでは…と思える。観続けて良かった。
そして言語差のみならず… 視点の差?… 鳴海さんの言葉を借りれば 人称の差?による表現の多彩さも面白かった。
女優Hの機能… 意味するところも興味津々です。
歴史とちょっとしたSFテイストまで取り込んだ様な… 時代が交錯する不思議な感覚も味わえるのが面白いが、その核にある家族の繋がりの描写は良くも悪くも変わることがないのが印象的でした。
三平方定理
廃墟文藝部
spazio rita(愛知県)
2019/02/09 (土) ~ 2019/02/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
うん、新作「蟻を殺す」は前評判に違わぬ出来。ハードルをむちゃくちゃ上げて観てたけど、ばら撒かれるピースで想像させることは色々あって、実際当たってたりすることはあっても、そこは終着点でなく、必ずそれを超えた何かが仕込まれる。
先生と少女の攻防は、観ていた私の頭の中での観察と仮説の攻防でもあって、息を詰めて展開に付いて行く時間のドキドキは至福でした。また妄想するぜ(笑)
「ななめ君はななめ」は予感ほど闇落ちしなかったけど笑、オズさんの作り出す「間」がなんか好きでした。小道具の扱いも良かったなぁ。
「ギズグチ」はコンタさん演出がやはり映える。プロジェクション芸が更なる進化を見せたのが印象的で、あの「カーテンを開けると空」のシーンは本当に情感を湛える感じが好きでした。
広くてすてきな宇宙じゃないか
愛知淑徳大学演劇研究会「月とカニ」
ナビロフト(愛知県)
2019/02/08 (金) ~ 2019/02/10 (日)公演終了
満足度★★★
某英国児童文学をモチーフにしたと思しき構図を近未来設定にあつらえながら、現代の家族をはめ込んで… 描くは幼き心の痛み。中盤以降には結構トンデモ展開が待っていますが、キャラクターの表現がとっても良いのでファンタジーとして存分に味わえましたし、何気にシニカルなとこ突いている表現があるのは好み。
主役の朴海美さんの演技はかなり魅せるとこあったし、2ヶ月連続でトボけたお父さんの宇野さんには笑った…もっと見たかったな。あと照明がとっても綺麗…この作品世界には大事!
戯式 vol.9
津あけぼの座
津あけぼの座(三重県)
2019/02/02 (土) ~ 2019/02/03 (日)公演終了
満足度★★★
噂に聞いてた唯一無二の… 芝居? ご本人ですら何のジャンルと語って良いか戸惑われる様なパフォーマンス。
3短編構成の公演ですが、1本目は…やはりこれがライブで成立していることに驚きを隠せない…すごく緻密に仕組んであるのでしょうが、あまりの巧みさにすっと呑み込めてしまうのが返って怖い(笑) ネタも良いセレクトでした。
2本目がまた想像を超えていて…自分がどこにいるのか…何を見たのか…なぜこれが繋がるのか…分からなくなってくる不思議な感覚でした。
3本目は全く別趣向の超短編ですが、これメルヘン感覚あって好きだなぁ。何かEテレで流しても良さそう。…でもライブでなきゃこの味はでない。
やっぱ体験あるのみです。
『MANGAMAN』×『RICHARD-SAN』
オレンヂスタ
損保ジャパン人形劇場ひまわりホール(愛知県)
2019/02/02 (土) ~ 2019/02/03 (日)公演終了
満足度★★★
再演のMANGAMANは洗練さを増した、ラストの演出が美しくてドキドキする。
新作のRICHARD-SANは、またもや新ジャンル創出の感あり。何と言えば良いのか… メタル・ミュージカル?
DRYuuuu!!! 大阪公演
激団リジョロ
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2019/01/18 (金) ~ 2019/01/20 (日)公演終了
満足度★★★
荒々しさの中に…不思議な詩情感を醸すシーンが入ってくるのが面白い。どの立場に立っていても…絶望の淵で足掻く姿が強烈。あと 舞台美術が凄かった。
なお意外にに人物関係が複雑なのに、見た感じがどうしても似たり寄ったりの衣装で識別し辛かったり、世界観は分かっても土竜の構成が分かり難いので、開演前にパンフを読んでおいて良かった。
『台風とうとう吹いた』
演劇計画プラネットナンバー
OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)
2019/01/18 (金) ~ 2019/01/20 (日)公演終了
満足度★★★
主人公アイコを… 小学生、中学生、高校生、大学生、社会人…と実に5人もの役者が演じ分けるという構成が面白い。しかも、ほぼ同じ年代の役者が演じているわけで… そこにある意味とは何か…とも思ったが、終盤にその半生を振り返り糾合するかのようなシーンがあって、まるで走馬灯の様に舞台を流れていく記憶と人生の積み重ねの表現に… ああ、これは舞台では1人ではできんな…と納得しました。
おべんとう
劇団ビーチロック
ナビロフト(愛知県)
2019/01/12 (土) ~ 2019/01/13 (日)公演終了
満足度★★★
沖縄コミュニティが舞台ではあるものの、むしろ普遍な… 自己と他者と死者との距離感と結び付きを描いていた感触がありました。壁というキーワードの使われ方が巧妙。遠くて近い父と息子の描かれ方… 特に母への語りの場面が好きで、ラストのラップへの落とし込みは見事でした。まるで芝居全体が彼のPVであったかの様な収まりでした(笑)
あと、結果的にシンイチの最初の導き手となった級友ユウの描かれ方が良かったですねぇ。さりげないのに存在感あったなぁ。終盤出番が減るけど、もっと彼?を観たかった。
盲年
幻灯劇場
人間座スタジオ(京都府)
2019/01/12 (土) ~ 2019/01/13 (日)公演終了
満足度★★★★
絡み合う…程よい混乱が心地良いミステリー感。身体と映像と…そして巧みに影を操り、重ね合わせる複合表現は まさしくアート。どこを見ていれば良いのか分からなくなる幅広い演出で、観る席/視点で感じ取れるものが変わりそう。複数回観て味わいたい作品です。観ていて だんだん印象が変わっていったりする変幻自在さ、自由奔放さも良いです。
『美少年』
柿喰う客
三重県文化会館(三重県)
2019/01/09 (水) ~ 2019/01/10 (木)公演終了
満足度★★★
柿喰う客って こういうテイストでも作るのか…という驚き。マシンガンの様に放たれる言葉の雨霰、それは笑いにも幻想にもアートにもエロにもメタにも姿を変え、観客の意表を突く。1時間は短いかなと思ってたけど、この密度なら納得、演るのも観るのもハード。
平成 はたちの はれのうた
はたちたちあがる
みんなの森ぎふメディアコスモス みんなのホール(岐阜県)
2019/01/05 (土) ~ 2019/01/05 (土)公演終了
満足度★★
総じてキャラクターメイキングに優れた印象の芝居でした。同年代が集まった座組であるので、もしかしたらある程度はアテ書きなのかもしれない… それ故に「役」が非常に生きている?
個々にキャラが立っていて、話の都合で祭という一つの目的に集約されていっても、何か群像感に溢れる感じもありました。
ほたえる人ら
ばぶれるりぐる
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
解読不能、もはや暗号の幡多弁を擁する方言芝居… そこが当初のウリにみえました。
中之島春の文化祭の時はホント言ってること分からなかったけど、それでも伝わる人情、男のバカさと女の威勢の良さ、ほのかに予感させる「人間の書き込み」… それに期待して再び訪れた大阪でした。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
【続き】
結果、予想とちょっと違ったところと…予想に違わぬ出来と…予想を超えたところが混在してて、でも間違いないのは…他では観れないものを観れた…ということでした。
まず方言。
展開の大意を理解するのにほとんど支障がありませんでした。外部出身の安藤区長を主役に据える効果もあり、また観客に伝えることに腐心した脚本だったのでしょうか…これは勿論ある意味成功なのでしょうが、中之島春の文化祭同様の「分からない混乱の中から見えてくるもの…」を期待した身としては、やや拍子抜けでした。文化祭の時に作り出した自分達の面白味をもっと信じても良かったのでは…。「角を矯めて牛を殺す」ことにも成り得るし、伝える手段なら、いっそ字幕とか…同時通訳とか、笑いにも繋げられる手段は色々ありそうで、もしコレだけが売りなら私には残念なことになるとこでしたが、流石にそれは違った。
期待していた「人間の書き込み」は予感通りでした。
まるで言葉が通じぬことを別のベクトルに転嫁した様に描かれた厳然たる価値観の違い。「自由」や「広い選択肢」という一種ポジティブな言葉に対し…こういう捉え方をしたのは初めて見たし、田舎において…何のかんの苦労に見合う背負うモノを与えられた者と…そうでない者の交わらぬ感覚の差は面白かった。それらが安易に…ドラマチックに理解し合ったりしない… その上で歩み寄りを予感させる「多様性のあるべき姿と現実」にリアリティを感じました。
おそらく今の世相で共感を得られそうな女性側の思考に対し、劇中で遂に理解が及ぶことのなかった…英明の描かれ方、目いっぱい理解したつもりで…男気溢れさせて自分の土俵で戦おうとしてTKO喰らうくだりとか、現実を見据えた描写でした。
勿論、女性側の…何者かに成らんとして弾かれる…厳しい現実や、安藤が吐露する自己の価値を高める手段の闇も…迫るものがあって、男女共…どいつもコイツも抱える闇が深くて、こりゃ確かにプチプチがたくさんいるわい(笑)な感じで好きでした。
そして予想を超えたのは、その二極の間に挟まるアリと横江の存在感。
いや…アリは最初から如何にもな感じでしたが、それを遥かに超えた大活躍。田舎のお話に外国人を嵌めて飛び道具 兼 異国・異形の価値観をみせるユーティリティプレーヤー。すごい憎めないなぁ。
そして、天岩戸後の横江の味が最も予想外でした。亀の甲より歳の功なのか、客観的に英明・ちさ・安藤を…適宜、評してみせる立ち位置は、観客を理解に誘うナビゲーターでもあって、卒なく嫌みなく…よい味でしたね。こういう役は人となりが大事。なんとも良いハマリ具合でした。
以上、見事な旗揚げ公演でしたね… 次も上手いこと観れると良いな。
中之島春の文化祭2018
ABCホールプロデュース公演
ABCホール (大阪府)
2018/05/04 (金) ~ 2018/05/05 (土)公演終了
満足度★★★★
【1日目 感想】元々好みの匿名劇壇、いいむろなおき、ロブカールトンは手堅く面白く、前回不発感あったヨーロッパ企画がしっかり面白かったのが嬉しい。新たな出会いでは、かのうとおっさん、Patch、SE TSU NA、コマツマツリが収穫。あ、あとTAGAWA NORICOライブチケット笑
【2日目 感想】全体的にすんごい粒揃いやった。敢えて言えば、オパンボン、カヨコの大発明、壱劇屋、MousePiece-ree、レトルト内閣、Micro To Macroは期待通りに手堅く良い出来。
更に初見の ばぶれるりぐる、お〜い!久馬 がとっても面白いし趣味にもあったのが大収穫。
個別に書いた感想はネタバレBOXへ
ネタバレBOX
A3】匿名劇壇「Shovel」感想】唐突で突飛なワンシュチュエーションを軽妙に紐解くダークコメディ?
自分の善意が何よりも優先する3人の…必死(必殺)の議論が炸裂する。最後…ふと西山が死体の夫に無表情の感情を突き下ろしかけたのが、やにわに背景のドラマを突きつけた感じで息を呑んだ。
A4】無名劇団「無名稿 あまがさ 短編Ver.」感想】川端康成オマージュ?
社会からの目に見えぬ作用を…役者のコロス的運用を多用して幻想的に表現していくのが印象的。言葉がとても的を得ていて、「SNSで視覚化著しい大衆の恣意的・誘導的な思考」が現実を搦めとる現代の視点でより馴染む
B1】コマツマツリ:感想】テレビドラマ全然見ないので、有名俳優がコントを…のギャップが私には感じれないのが残念だけど、純粋に観客の巻き込み方が愉快。ザブーン担当さん(観客)、大活躍(笑
オチを頭に乗っけたまま進む序盤のネタ、形態模写的な魚っちの水中発語がお気に入りです。
B2】いいむろなおきマイムカンパニー:感想】マイムなのに…いいむろさん、いきなり喋りよった(笑)
…というお祭り感溢れる導入。徐々にマイム空間に入り込み、時間、空間、重力を自在に操る妙技は流石。個が集まって船の様に一体になり360°回頭する様は、3Dモデルをぐりぐり動かす感覚(笑)
B5】劇団Patch「Don't push」感想】根拠の見えない…あまりにも馬鹿馬鹿しいルール・伝統を全力でおちょくったコント?
そんなシニカルさを隠し味に感じつつも、予定調和に必死に食らいついていく役者の艱難辛苦を大いに笑う。怪盗の肉体の限界に挑むコント感が楽しかった。
C1】THE ROB CARLTON「Low-Keyed play2」感想】同キャラが…去年の福本伸行ばりの駆け引きから若干趣向を変えて…協調の中に駆け引きが潜む異空間を展開。いきなりのパクリは祭りならでは見事なタイミング。やけに芝居用語に詳しいマフィアにニヤニヤしつつ、最後のオチは綺麗!お見事!
C2】劇団SE・TSU・NA「若きアン・ハサウェイの悩み」感想】アン・ハサウェイをどちらも知らんのでミスリード台無しだけど笑、日頃小劇場演劇を熱心に楽しむ身としてニッコリ微笑んでしまう。アベノハシの…全ての笑いが髪の毛に通じる徹底さが好き。『心臓には毛があるんですね』は名言(笑
C3】かのうとおっさん「デンジャラスGeorge杯への道〜ヤーコブとベンジャミン」感想】凄まじく馬鹿馬鹿しいエクストリームプレイの数々が素敵.
ロシアンルーレットになって…えっ、あっ、それオートマチック…バン! … 今までずっと後攻だっのね
ハローデンジャラスは流行らせてみたさある
C5】ヨーロッパ企画:感想】冒頭の「薬と怪獣」も多面にマニアックで質が高かったが、やはり「消える高校野球」の突き抜けた超展開が抜きん出ている。消える魔球を発端に…各々「別の技術」で消え始める凝り様は見事。幕後の「消える魔アナウンサー」発言まで含めてナイスパフォーマンス!
D3】劇団赤鬼「タイムトリップTHEエンターテインメント」感想】エンタメだからこその容赦ない時代の流れ、僅か数年で…面白味とは別次元の"古い"というレッテルで見向きもされなくなる切なさをコミカルに描く。劇団員の持ち味をネタ化したと思しき「ギャグ」や「なんかエロい」が楽しい。
D4】ばぶれるりぐる「ぱぶれる人ら」感想】解読不能の幡多弁…ちょっとしたミステリーでしたが、あれだけ活き活きしてると人情伝わってくるのが面白い。男の妄想/拘りのバカさ加減も味があるし、それを剛腕でぶち抜いた妻連の問答無用さと勢いも良い。しっかり人を描いてくれそうな劇団。
E1】カヨコの大発明「天城越え THE FINAL」感想】話の骨子は屋上のヒーローショー的なんだが(笑)、彩る本格的な歌唱力とバックの舞いで…壮大な叙事詩と化す素晴らしさ。
そして…これを映像化して全国の劇場に配って客入れ中に上映すべし…という超啓蒙演劇❗️
E3】お~い!久馬(ザ・プラン9)
感想】時トメ(仮)は…かなり盲点を突かれた。こういう虚を突く感じの好き… まさか一人は本当に最後まで動かんとは(笑
銀行か何か強盗(仮)は、日本人らしい曖昧表現を逆手にとった面白い脚本。意図を巧妙に外していく楽しさ。屁理屈トークもまた大好物。
E4】N-Trance Fish:感想】周りで大勢のダンスが繰り広げられる中での芝居…なんてド派手なコロス。ついダンスに目がいってしまうけど、脚本も印象的でした。
自分の視野の中だけで感じた好意と幸せが… バッと視野を広げると状況がまったく反転している様は恐怖の一語に尽きる。
E5】劇団レトルト内閣「リーマン俳優こみたおの熱血!サラリーマンNOW」感想】古典の過剰なシリアスぶりっ子を逆手にとったボケ・ツッコミがとても好き。アシスタントの冷徹な口調もまた良し。ただし福田恵さん見るといまだに「トイレの人やん」って思ってしまう刷り込みの恐ろしさ(笑)
F1】Micro To Macro「小さき箱の小さき歌」感想】昨年も同じ感じ方したけど、ここの作品は本当に多幸感溢れる空気を作る。陳腐な言い方だけど、パワーが貰える芝居。最後にオリグチを忘れなかった心意気が粋でした。姐さん、一生ついて行きます…って、エンディングでしたね、素敵。
F2】ババロワーズ・ラボラトリィ「モンスター」感想】敢えて祭りにコレを持ってくる硬派さは買う。思い込みを次々ひっくり返し、秘密兵器でぐいぐい押してくる暗黒面。これもまた紛れもない社会の一面やな。
でも、これでいくなら、ラストはもう少し周到な…驚きの仕掛けが欲しかった。
F3】劇団壱劇屋「独鬼〜Hitorioni〜」感想】壱劇屋のノンバーバルは初めてじゃないけど、ちゃんと伝わってくるの、いつもながらホント凄いと思うわ。特に…長大な年月が主人公を孤独にしていく難しい流れを…集団で見事に表現したの素晴らしい。
F4】オパンポン創造社「浦島次郎」感想】一見、破茶滅茶な笑いのオブラートに包んではいるが、その実… 竜宮城の過剰かつ犠牲の多い接待への「違和感」に端を発し… 乙姫に何かしら利益があるはずとの合理的な思考から、権力者の不正を暴いていくという…ぶっとい背骨があるのが渋い。
相反する内実と外見を…見事に同居させた次郎の演技も見事なもので、究極の選択を迫る…そして不覚にも一瞬可愛いと思った自分が怖い(笑)
F5】MousePiece-ree「オレのレオン魂」感想1】いやぁもぅ…映画も謎のゲームも元ネタ全然分かんないのに何でこんなに面白いんだ!笑
しっかり作り込まれたパロディというものは、単独でも味があるものだな。
そして、アトリエにある背中の森崎さんはスーパーツッコミマシーンやった。
そして、映画「レオン」を改めて観るのは止めようと思いました… 絶対あのマチルダが脳裏に浮かぶに違いないから(笑)
秘密公表機関
劇団あおきりみかん
昭和文化小劇場(愛知県)
2018/02/23 (金) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★
ネオオムニバスストーリーとの謳い文句に違わず、見事な構成。状況と立場が複雑に絡み合う関係性はさすがの一言。登場人物全てに多くのスポットライトが当たる仕組みは、あおきり役者の誰推しが観ても大満足の仕掛けですね。なるほど中身にもマッチする笑
代役
中野劇団
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2018/07/14 (土) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
『母が人工知能だと知らずに18年生きてきました…』
「ばぶれるりぐる」を観たくて…でも1本だけの為に大阪に行くのは勿体なくて、ハシゴ先を探していた時に目に飛び込んできたのが、この衝撃的な煽り文句でした。
名古屋の人なら、劇団ムヂンエキがこの春に上演した「母さんは二次元」を思い出すかもしれません。あの作品の煽りも…
『父さんは二次元の女性と結婚した。そして今、娘の私がここにいる。』
ともに…特異なSFショートショートを想起させる、この匂い。
「母さんは二次元」がまた…SFと高度な精神世界を兼ね備え、優れた想像の余白を持った名作だったから、「母さんは人工知能」にもすごく興味を惹かれたわけです。
冒頭、おぉ…Voice Onlyかぁ… と、雰囲気たっぷりで始まりましたが、徐々に想像の斜め上を駆け抜けていく舞台。
これ、めっちゃレイ・クーニーやん。
以降、ネタバレBOXへ
ネタバレBOX
【続き】
英国を代表する笑劇を思わせる超ドタバタ展開。嘘で危機を乗り越えるも…その嘘がまた新たな危機を招く…それをまた新たな嘘で回避する…するとまた新たな危機が(笑
登場人物が一人増える毎に破綻の度が増す… 禍福は糾える縄の如し…のまさしく笑劇展開は実に巧み。
多数の登場人物が裏に事情を抱え、複雑化する人間関係の中で、一つの事象に対し各々が潜ませる表情が実に多彩でコミカル。
全ての難題を超その場しのぎで捌いていく、父 朋彦。
秘密をバラされたくない一心で怒涛の無茶ぶりを受け容れる琴音の表情の微妙さ、愛らしさ。
窮地に無理やりショックを受けてみせる時の壱のわざとらしい演技(演技の中にまた演技があるの面白い)
津名真夜の超定番的な嫉妬と恫喝のメリハリ。
素で話をかき混ぜる伯母 穴井惺。山場の告白シーン…観客の視野の外で…絶妙な間でショックを受ける巧みさよ。いずれも笑わずにはいられませんでした。いや、もう疲れるぐらい(笑)
そして、そんなドタバタから一転しての結末… 前提となる姉と弟の立場をひっくり返してみせる… 弟・壱の幼稚とも思えた行為の意味、保護者然とした振る舞いの裏にあった姉の危うい精神。
そこまでの行いの意味をドミノ倒しの様に覆していく流れにグッときました。笑い疲れた後にくるから尚更ギャップが効く。全く自分の装いに気を遣わない零の振る舞いはコミカルでしたが、振り返ってみれば、壱と母に全精力を傾けた故の余裕の無さの表れとも感じられる…。
そして所々に置かれた「不自然さのピース」から想像させる事件の裏側。
これは私の想像に過ぎないんですけどね…
全員が察しつつも表向き伏せ続けた事実を、トドメとして最後に突き崩した「龍田のマキナへの呼び掛け」。
どうにも流れとして無理やり感があったでしょ?
明示はされなかったけど、やはりこの場で真実を明かそうと画策していた「一部勢力」があったと思えるんですよ。
私は…その主犯は「浦添」なんじゃないかと思っています。
勿論、予想外のファクターがたくさんあった結果として、このドタバタになったのでしょうが、…零を呪縛から解き放したい動機は、立場的に彼にあるのが一番自然に思えた。当初から彼のこの家族への尽くし方は生半可ではなかったし… なんで弁当まで作ってんのよ(笑
父・弟を差し置いて零のもとに最後に残り、零をねぎらった浦添の最後の言葉がとても象徴的でした。
…あと…謎川も、まさしく謎感ありましたが、彼はぜったい壱に好意あったよね。
彼もすごく黒幕感あった。壱を諫めるのは彼なんじゃないかと思って、彼の挙動にはすごく注目してました。しっかり反応をみせるシーンもあったし。最終的には外されたけど(;^_^A
彼に限らず、各々の思惑に応じた反応が楽しくて、見逃している表情は沢山あると思うのでDVD出たら見返したい。
あとね~、ここまで来ると実母の存在も気になるよね。裏の裏の裏で何か絡んでるんじゃないか、誰かは彼女の手の者ではないか…って想像も膨らんで止まらん(笑
春母夏母秋母冬母
FUKAIPRODUCE羽衣
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2018/06/02 (土) ~ 2018/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★
面白い一人・二人芝居が必ずと言って良いほど持ち合わせる役者の変化(ヘンゲ)ぶりを遺憾無く発揮。特に男優 森下亮さんの振れ幅がすごい。その数々の形の中で…異なる関係のはずなのに、ある一つの関係性に投影されるのも言い得て妙。あぁ男って奴は…
寿歌
愛知県芸術劇場 / SPAC(静岡県舞台芸術センター)
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2018/03/24 (土) ~ 2018/03/26 (月)公演終了
満足度★★★★
与える印象が相反するパーツを組み合わせ、意味ありげな発想が四方八方に飛び火する。終末感の中、世界は…人生は無間地獄なのか、救済はあるのか… 暗喩をどう拾うかで受け取る重みが違いそう。舞台美術が素晴らしいが、観る場所で得られるものが大きく違いそうなのが辛い…視力ほし
しおとさとう 名古屋公演
劇団「放電家族」
G/Pit(愛知県)
2018/01/26 (金) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
初演の時は…終盤で色々ひっくり返されて大混乱に陥ったのが…今となっては懐かしい。
目の前の流れと役者の遣り取りを漫然と受け入れていると、思いっきり天野さんの術中に陥る快作ですが、初演より…ずっと丁寧で頭に残る作りになっていました。良きリメイク。
ヒバカリ
電光石火一発座
ナンジャーレ(愛知県)
2018/05/12 (土) ~ 2018/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
痺れた…尋常じゃないほどグッときた。前半の緩い雰囲気から一転してのヒリヒリする空気、さりげない仕草の演技、撒き散らされる毒…そして周りの案じる気遣いの深さ。あぁ、みんながヒバカリだったんだねぇ。電光の株がまた上がりました。収穫多し。幸せ満喫。
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ネタバレBOX
【続き】
前半、延々と続く店員の雑談。一切の芝居っけが感じられない日常会話。
これは青年団の冒険王を観た時の感覚に似てる。かといって群像劇として描かれているわけでもない気がする。
でも…この時間は…後に展開する売上金盗難(紛失)事件の単なる前振りにしては…とても長く、登場する12人もの店員の人となりを感じさせていくため…にしても、何かそれに留まらない深い意図を感じずにはいられない。
「事件」を後半の核に置きながらも、本作は明らかにミステリーやサスペンスが主体ではないよね。
だから、単に容疑者を増やすフリであるはずもない。何となく 「社会の縮図」を丹念に形作ろうとしていたのか…と想像する。
先入観や安易な思い込み。無自覚で容赦ない他人への踏み込み。自分の狭い知識と限定された経験のみに基づく…一方的で危うい判断の蔓延。…言葉の印象に大きく反し…決して一般化されない「普通」の指す意味。ここら辺、夜勤メンバーの安易さ、昼勤おばちゃんの善意に溢れる傍若無人さ、小島由利の唐突な犯人断定…等が積み重ねる空気は…何となく反面教師的に胸につかえるモノを作っていく。
無毒種にもかかわらず、毒蛇と見做され「噛まれたら命がその日ばかり」と考えられていたヒバカリ。
毒を持っていなくても、不意に毒を持っていることにされかれない…レッテル付けの激しい世の中。
登場人物の皆が「ヒバカリ」の一面を担わされた。
やはり一番印象的だったのは、根拠希薄なまま「濱地」を犯人扱いし続ける「君島」の描写。これが他の人たちによる「無責任な決めつけ」とは、少々意味合いが異なっているのが深い。
濱地の趣味に酷似する「変態野郎」に息子を殺害された経験を持つ君島に…当時、警察をはじめとした周囲が与えた「その死の理由」は…「こういう人だから…」
「(犯人が)こういう人(殺人・死体愛好家)だから… (しょうがない? 避けられない?)」
不運で片づけるにはあまりにも壮絶… 外に締め出した自分を責めようにも…あまりにもバランスがとれない代償。
落しどころのない…根拠希薄…いや根拠皆無なまま…最悪の現実を受け容れざるを得なかった君島にとって、「こんなヤツは…何をやってもおかしくない。」は…唯一すがれる真理だったのかもしれない。…周りの人が口を揃えて言う「君島らしくない」という表現が…死体写真が彼女にもたらしたフラッシュバックの激しさを窺わせた。
一転、この空気から突如飛び出した川島のプロポーズは、この作品の2大ビックリのうちの1つ(笑)で… 川島がどれだけマジで…どれだけ天然か分からないけど、作品の空気の転換という意味でも、他のネタでは成し得なかった飛び道具っぷりに唸る。ここの川島と君島の会話はほんと好き。
そして…これ程のやりとりを前座に据え… ラストを飾る…「源島」と「清水」の息詰まる時間。
前半では清水のモラトリアムからの脱却を諭した源島の…対照的な罪の告白。
なぜやってしまったのか自分でも分からなくなった…まるで身体を乗っ取られた自分を…殺して…とでも訴える様な…清水に救いを求める…源島の「悲痛な声」が非常に耳に残る。…そしてたっぷり時間を使った…長い沈黙が始まる。
安易な…感情に流された情けではなく、真に彼女のことを考え抜いたと思わせる…この長い間が本当に良かった。セリフに依存しない胸に迫る時間。
しかも…自分で電話させる決断からの暗転・終幕に痺れた。
正直…台本から この空気はちょっとやそっとじゃ読み取れない。セリフだけみると…驚くほどあっさりしている。このシーンを作り上げるのに、どれだけの時間と手間を掛けたのだろうか… 演出と演技の作り込みの労力を改めて感じて、びっくりした。…
稽古ツイートなんか見てると、ヒバカリの稽古は「戦いの時間」であるかの様に伝わってきていたから…さもありなんの出来ですねぇ。
だんだん余談になってくるけど、台本を読んで驚いたのだが、気に入ったセリフやカットが…結構台本には載っていない…。稽古して、演出が固まっていく過程で色々積み上げられていくのかと感心。
松方店長が警察への通報を嫌がった…彼の背景を窺わせる「警察はいやだ」というセリフ。10万円が出てきた後に…全てを察して漏らした「今度、飲みに行こうか…」というセリフ。…そう言えば、松方店長が濱地の見識を誉めるシーンも無かった… あれ?、みんな碓井さんのセリフじゃん。碓井さんの仕業?
あ、さっき言った2大ビックリのうちのもう1つは、田島の封筒から出てきた20円ね笑。冒頭のネタは完全に忘れてた、やられたわ。…彼は…その境遇よりも「発達障害」を思わせるリアクションの数々が印象的で、彼の苦しみをもっと掘り下げても良かったぐらいなんだけど、まずは飛び道具としての役割を遺憾なく発揮されてて良かった。
観劇後、帰り際の友人との会話で…「犯人を予見することが出来たか?」が話題になった。でも「彼女に嫌疑の順番が回ってきた時、おばちゃん達が一瞬で否定して話が終わった…」、「…ああ、ここでもおばちゃんズは機能していたのか… その為の傍若無人さであったのかも…」ってなった。
一方で、源島のラストに至るまでの心境は結構 謎で、事後に清水に説教までしていることになる訳だから、この時点ではラストの心境からは遠いところにいるはず。彼女は…何を想いながら、この騒動で佇んでいたのか。小島の「そういうの全部いいよって…言ってくれる人、いたらいいな」だけで突如目覚めたはずもない… 彼女の心理の動きは非常に興味深い。
もう一度、源島に注目しながら観返したい…って思っても、できないのが演劇。「のこりび」で初DVD化した電光さんだけど、「ヒバカリ」はどうなるだろね。
パンク歌舞伎「地獄極楽」
ハラプロジェクト
名古屋能楽堂(愛知県)
2018/12/21 (金) ~ 2018/12/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
歌舞伎、パンクだけでなく、民謡、西洋歌唱、現代舞踊、映像、大絡繰り… やっぱり様々な演出効果をガンガン詰め込んできて…なおかつそれが調和する。終盤の地獄絵図における表現の重層さは圧巻の一言に尽きる。黙って見て来いとしか言えない。