ほたえる人ら 公演情報 ばぶれるりぐる「ほたえる人ら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/07/15 (日)

    解読不能、もはや暗号の幡多弁を擁する方言芝居… そこが当初のウリにみえました。

    中之島春の文化祭の時はホント言ってること分からなかったけど、それでも伝わる人情、男のバカさと女の威勢の良さ、ほのかに予感させる「人間の書き込み」… それに期待して再び訪れた大阪でした。

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    結果、予想とちょっと違ったところと…予想に違わぬ出来と…予想を超えたところが混在してて、でも間違いないのは…他では観れないものを観れた…ということでした。

    まず方言。
    展開の大意を理解するのにほとんど支障がありませんでした。外部出身の安藤区長を主役に据える効果もあり、また観客に伝えることに腐心した脚本だったのでしょうか…これは勿論ある意味成功なのでしょうが、中之島春の文化祭同様の「分からない混乱の中から見えてくるもの…」を期待した身としては、やや拍子抜けでした。文化祭の時に作り出した自分達の面白味をもっと信じても良かったのでは…。「角を矯めて牛を殺す」ことにも成り得るし、伝える手段なら、いっそ字幕とか…同時通訳とか、笑いにも繋げられる手段は色々ありそうで、もしコレだけが売りなら私には残念なことになるとこでしたが、流石にそれは違った。

    期待していた「人間の書き込み」は予感通りでした。
    まるで言葉が通じぬことを別のベクトルに転嫁した様に描かれた厳然たる価値観の違い。「自由」や「広い選択肢」という一種ポジティブな言葉に対し…こういう捉え方をしたのは初めて見たし、田舎において…何のかんの苦労に見合う背負うモノを与えられた者と…そうでない者の交わらぬ感覚の差は面白かった。それらが安易に…ドラマチックに理解し合ったりしない… その上で歩み寄りを予感させる「多様性のあるべき姿と現実」にリアリティを感じました。

    おそらく今の世相で共感を得られそうな女性側の思考に対し、劇中で遂に理解が及ぶことのなかった…英明の描かれ方、目いっぱい理解したつもりで…男気溢れさせて自分の土俵で戦おうとしてTKO喰らうくだりとか、現実を見据えた描写でした。

    勿論、女性側の…何者かに成らんとして弾かれる…厳しい現実や、安藤が吐露する自己の価値を高める手段の闇も…迫るものがあって、男女共…どいつもコイツも抱える闇が深くて、こりゃ確かにプチプチがたくさんいるわい(笑)な感じで好きでした。

    そして予想を超えたのは、その二極の間に挟まるアリと横江の存在感。
    いや…アリは最初から如何にもな感じでしたが、それを遥かに超えた大活躍。田舎のお話に外国人を嵌めて飛び道具 兼 異国・異形の価値観をみせるユーティリティプレーヤー。すごい憎めないなぁ。

    そして、天岩戸後の横江の味が最も予想外でした。亀の甲より歳の功なのか、客観的に英明・ちさ・安藤を…適宜、評してみせる立ち位置は、観客を理解に誘うナビゲーターでもあって、卒なく嫌みなく…よい味でしたね。こういう役は人となりが大事。なんとも良いハマリ具合でした。

    以上、見事な旗揚げ公演でしたね… 次も上手いこと観れると良いな。

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    2019/01/04 14:48

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