タッキーの観てきた!クチコミ一覧

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空気ノ機械ノ尾ッポvol.21

空気ノ機械ノ尾ッポvol.21

空気ノ機械ノ尾ッポ

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2015/02/20 (金) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★

膨らんだ…
面白い内容。些細な出来事をこんなに膨らませることに驚いた。しかし、現実感はあり、”なるほど”と感心する場面が多かった。と同時に一昔前であれば当たり前の善意として出来たことが、今の時代では人心の制約(例えば個人情報保護という名目での萎縮)にも繋がる皮肉な話…。

ネタバレBOX

落し物「封書(宛先、差出人なし)」を拾った人が、その処理に要した話。単にそれだけであるが、そこには現代世相へのアイロニが見て取れる。
落し物係へ届け出たところ、自分の住所・氏名を書くよう説明を受ける。もし落とし主が現われた時、その連絡先として知りたいというもの。誰が何を書いているか分からない、という「封書」の秘匿性が拾得者のみならず、その扱いをめぐり相談を受けた者、預かり係の人間の立場が本当にアイニカルに描かれており、面白かった。結末は、冒頭の拾得シーンへ邂逅するようであるが、その描き方にインパクトがなく、残念であった。
今後の公演も楽しみにしております。
男の壁/女の壁

男の壁/女の壁

劇団献身

RAFT(東京都)

2015/02/19 (木) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

満足度★★★

「女の壁」拝見
描かれた女子トークに見られる底意地の「悪さ」「怖さ」が印象的であった。

ネタバレBOX

公演の印象は、ある程度「動き」や「セリフ」は観せてくれたが、芝居全体を包んでいる雰囲気が緩い。友達同士の雑談だが、あまりに普通過ぎてインパクトがない。逆に「動き」は誇張したような表現に違和感がある。
脚本は何を見せようとしたのであろうか。訴えるテーマ、主張なりが分からなかった。芝居は観て魅せてが理想であろうが、その内容が理解できなかった。演出は、コミカルな喜劇仕立てにしようとしていたが、無理矢理に笑いをとりにいった感じであった。
感心した点は親友を自認しつつある二人が、最後に「私、あんたが嫌い」「私も…」という会話。うわべだけの親友顔か、唯一この会話が印象に残ったフレーズである。少なくとも自分にはインスパイアするものが感じられなく、残念であった。
今後の公演に期待しております。
「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

★☆北区AKT STAGE

★☆北区AKT STAGEアトリエ(東京都)

2015/01/18 (日) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

売春捜査官
熱海殺人事件の登場人物である、部長刑事・木村伝兵衛を女性(草刈麻有)が演じるという別バージョン。他役は伝兵衛のホモの部下、部長の恋人であった熊田刑事、容疑者大山金太郎の4名で行う会話とパワフルな演技が魅力な芝居。熱海の海岸で幼馴染を刹那的に絞殺した犯人を、部長刑事が犯行の動機付けや犯行の背景となった状況を巧みに暴き、犯人の心情を吐露させていくという、一種の心理劇。つか こうへい氏作

ネタバレBOX

この演目が北区AKT STAGE第3期生卒業公演として上演(90分)されることになり、気になっていた研究生女優(Hチーム)がいたので観劇した。何度も観たことのある演目であるが、改めて今にも通じる問題(地域格差、男女差別)や課題(同性愛者の痛み)を含んだ芝居であり、つか氏の慧眼に感心した。
例えば「ここで引くわけにはいかんのですよ。ここで引けば、やっぱり女は使いものにならん。お茶汲みさせときゃイイってもんになるから、世の中の女性のためにも引けんのですよ」と…。カッコイイ言葉がテンポよく出てくる。
さて、演技は研究生卒業公演とは思えない迫真の演技で、他役者(3男優は劇団員)に比べても引けを取らない素晴らしいもの。”○○ファミリー”を垣間見せるアドリブも堂々としており、何よりも”華”があった。できれば「熱海殺人事件」バージョンも演じてほしかった。
今後の活躍も楽しみにしております。
「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

「売春捜査官」「熱海殺人事件〜友よ、いま君は風に吹かれて」

★☆北区AKT STAGE

★☆北区AKT STAGEアトリエ(東京都)

2015/01/18 (日) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

熱海殺人事件 
登場人物は、部長刑事・木村伝兵衛、転任刑事、婦人警官、犯人・大山金太郎の4名で行う会話とパワフルな演技が魅力的な芝居。お決まりの捜査資料をワザと落とし、転任刑事に拾わせる。犯人を花束(今作品では、柔棍棒)で叩くシーンなど見慣れていたが、それでも面白い。
北区AKT STAGE第3期研究生卒業公演…過去に何回も観ている演目であるが、気になっていた研究生がいることから観劇した。場所は北区西が丘劇団稽古場で、3列雛壇の座席。最前列に座った(後々、これが失敗…この列の椅子は背もたれなし)。床に這い蹲るシーンが観にくくなることを我慢するのであれば、後列がよかった。

ネタバレBOX

この、卒業公演は「熱海殺人事件」「売春捜査官」の2演目を交互に上演するものである。観劇してきた日は、気になっていた研究生すべてが、何らかの役で出演することになっていたが、1演目90分×3公演を連続で観ることは耐えられず、2演目で終えた。
さて、N’チームを拝見した。気になっていた女優のダンスはキレがあり、スピードもあった。しかし、演技は緊張なのか役柄に入り込めていないようだ。セリフを間違えないようにという姿勢が見て取れ、生き活き感が伝わってこなかった。
今後の活躍に期待しております。
金色の翼に乗りて

金色の翼に乗りて

ピープルシアター

シアターX(東京都)

2015/02/18 (水) ~ 2015/02/22 (日)公演終了

満足度★★★★

骨太な内容
極めて主張・テーマ性が強い公演である。また、演出は序盤の個人レベルの恋愛観から、複数のフィリピン女性とヤクザが登場するに至り、国家レベルの骨太な作品へ変容させており、その手腕は素晴らしかった。
しかし、少し気になったことも…。

ネタバレBOX

序盤は日本人男性とフィリピン女性(アンナ)の恋愛会話劇。その後、アンナのフィリピン女性友達とそれを追いかけてきたヤクザが登場したところから、在留、在日外国人の意識・問題を扱ったメッセージ性の強い芝居へと変化していく。暗転もなく、登場人物の入れ替わりで舞台雰囲気を一変させる演出手腕…見事だった。
違法滞在しているフィリピン女性の売春行為とそれを仲介、仕切っているヤクザ…ダークな世界を描いており、公演としては興味深かった。たしかに、この芝居の時代背景(マルコス政権崩壊後の数年間)の時は、日本への違法入国・滞在があったようだ。今も完全否定できるかは分からない。しかし、未だに発展途上(格下の国)に見立てているような不快感もあった。
公演の本質は別…国家政策に翻弄される人々の苦悩や苦渋の選択、人間(個人)として、その運命にどう向き合い、折り合いをつけながら生きていくかという重く大きな問題が横たわっている。しかし、現実は存在するだろうことは認識しつつもやはり第三者的な観方(傍観者)になっており、感情移入できない。
演出は前半の男女情愛の会話劇という”静”から、中盤以降の国籍問題を絡めたダーク・アクションという”動”の芝居へ転換させるなど、魅せてくれた。
個々のキャストの演技も素晴らしく、バランスがとれており観応え十分であった。
今後の公演にも期待しております。
必要とされている、と思う病気

必要とされている、と思う病気

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2015/02/14 (土) ~ 2015/02/23 (月)公演終了

満足度★★★★

同感なところもある
案外、自分がいないと仕事をはじめ、色々なことが出来ない、進まないと思っている人が多いかもしれない。自分がいないと困るだろうという自尊心。それは必要であると同時に面倒で持て余す感情でもある。
本公演ではそんな人の心底をくすぐるような面と不安感を募らせる面の長短が観える内容であった。
この舞台は病院内であるが、そのセットが見事である。上手が入院病室内(4人相部屋のベット)、下手がナースステーション(今は別名か?)でその雰囲気がよく出ていた。その配置は単純な二分割セットではなく、下手・上手を遠近造作することで立体規模が感じられた。ドラマの制作現場を覗いているようである。

ネタバレBOX

コント芸人が結核の疑いで入院し、そこの入院患者、見舞い客、家族、および病院関係者(医師、看護師)との交流を描いた話。入院患者の戸惑いと思惑…長期入院による職場復帰への不安、保険受給・無料入院の恩恵など、その出来事は面白い。そして病院側の診療体勢と人間関係(医師と看護師、看護師同士)…責任が増すベテラン看護師と新人看護師の意識のギャップ、職員看護師と派遣看護師の立場壁がコミカルに描かれる。
入院したコント芸人が漫才でいう「ボケ」「ツッコミ」のいずれでもなく緩衝的な立場に安心している様子。結末はシニカルで可笑しいと同時に悲哀も感じさせる秀逸な演出であった。
今後の公演にも期待しております。
僕の内定先は、ショッカーです

僕の内定先は、ショッカーです

劇団サラリーマンチュウニ

上野ストアハウス(東京都)

2015/02/12 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

働くこと?
この公演の主題はなんでしょうか?”働くこと”の意義や動機付けと言ったところでしょうか。それであればインターンシップという短期間で、真に認識できるだろうか。キレイごとだけでは生活出来ない、社会とりわけ「会社」という組織内では仕事の厳しさ、人間関係での悩み、自己啓発という色々な問題・課題が山積する。それを一つひとつクリアーし、それを経験として…偉そうなことは言えないが、だいたいそんな感じではないだろうか(会社勤めだけではない)。その描き方が芝居とはいえ、真剣さが伝わってこなかった。

ネタバレBOX

就職活動中の学生が秘密結社「ショッカー」でインターンシップとして社会(会社勤務)経験し、働く意義のようなものを”知る”ような物語。朝の挨拶が「イーッ」というような叫び声…。会社それぞれ、ルールや慣行がある。朝の挨拶にしてもラジオ体操もその一環と見れば割り切れるので、些細なことは言わない。しかし、会社にとって重要なこと。敢えて比較していたが、「人材育成」「技術革新」「収益確保」のどれもが大切で、相互関係があると思う。描く構図をわかり易くという意図は分かるが、そう短絡的にしなくてもよかったと思う。
さらに組織内の権力争いの末、敗者の腹いせに個人情報を流出させるという暴挙。完全に犯罪でしょう。表層的には面白い演出であるとは思うが、その描いた内容は有り触れたものであり、深みを感じなかった。

今後の公演に期待しております。
u-you,company 14th STAGE『UTSUKE』三部作

u-you,company 14th STAGE『UTSUKE』三部作

u-you.company

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/02/11 (水) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

等身大…
人との関わりを通じて、自我に目覚め成長していく、というテーマ性は分かりやすい。その描き方は、芝居でよく見かける時空間移動というオーソドックスな手法を用いていた。
本公演のキャストは現役アイドルで、等身大の華やかさがあった。
さて、公演そのものは…

ネタバレBOX

「過去」「現在」「未来」の3編があり、自分が観た「現在」編は過去・戦国時代(織田信長が家督相続する前)に繋がっている、という設定である。物語は、崖っぷちのご当地(キャラ)アイドルグループが起死回生を目指したライブの準備活動中に戦国時代にタイムトリップするというもの。
織田信長と出会ったアイドルは、メンバー毎に抱く思いは異なり、それぞれが思い悩む姿が愛おしくなる。天真爛漫なアイドル(表顔)とのギャップを表現し、成長していく様が印象的である。
残念ながら、本公演しか観ていないので、なぜ繋がっているのかという「理由」が分からず、時空間移動が容易に出来てしまうのも物足りない。何らかの制約があり、それを試練という大袈裟なものでなくても、何か克服または乗り越えたような描写があると、緊迫・迫力感が増したと思う。
今後の公演も楽しみにしております。
蠅取り紙 山田家の5人兄妹

蠅取り紙 山田家の5人兄妹

劇団俳協

TACCS1179(東京都)

2015/02/14 (土) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

好公演(Bチーム)
準劇団員の公演…毎回楽しみにしているが、今回も期待を裏切らない好公演であった。脚本は、過去に何回か観たことのある演目であり、今回はその演出と演技に注目して観た。また、毎回感じることであるが、舞台セットが素晴らしい。上手は椅子席のダイニング、下手が畳部屋という二間…小道具等の装飾品も自然に置かれている。

ネタバレBOX

山田家の兄弟姉妹5名(ダブルキャスト)が主な人物。それに三女こずえの亭主・麻倉と母親(共にシングルキャスト)の2名が加わり、計7名が登場人物である。ハワイに行っている母親がいつの間にか帰宅しており、その頃、ハワイで母親が盲腸の手術後の麻酔から目覚めないとの電話が…。”魂”のみが帰宅したと思い込んだ子供たちの狼狽たえが可笑しい。そして、子供たちが現在抱えている「悩み」「思い」を話すシーンが感動的である。子供一人ひとりのキャラクターや役割を描き込んでおり、その気持が手に取るように分かる。家族の在り方に特別な設定はなく、どこの家庭にもありそうな出来事を坦々と描く。しかし、その心情は切ないほど感じ入る見事な演出であった。
それに応えるような演技…同じレベルで調和のとれた芝居は観ていて安心する。本当の兄弟姉妹のようで、その言い争いはどこかの家庭を覗いている様である。
次回公演も楽しみにしております。
poiche

poiche

幻想芸術集団Les Miroirs

シアターシャイン(東京都)

2015/02/13 (金) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★

雰囲気はあったが…
公演の全体的な雰囲気は、幻想的・神秘的という謳い文句通りであった。その主な要因は、登場人物の妖艶な衣装、メイクおよび仕草であろう。また舞台セットは奥行きのある舞台スペースを作り出し、前後を仕切るように黒いカーテン(緞帳のように重厚ではない)を張っていた。それは部屋間(舞台側・上手には白いシーツで被われたソファー)または屋内外という区分状況を作り出しており、演出は巧み。ただ、その物語を紡ぐには…。

ネタバレBOX

脚本で疑問を生じた。また、キャストおよび演技に違和感のようなものを感じた。
まず、未完の脚本を仕上げることと同時に芝居が進行する劇中劇の様相を呈するが、その結末に導く伏線のようなものが感じられなかった。主人公タクソス(朝霞ルイさん)が、実はマダム・パフィア(乃々雅ゆう さん)の実子ということであったが、その件は最後に一気に台詞で説明されただけ。さらに、パフィアが連れ去ったのが実子でないプシュケ(麻生玲菜さん)ということ。常識的に考えれば、実の子を連れ出すと思う。2人いるうち、実の子とは知らなかったという前提であろうか?

演技は、男性キャスト(富樫勘九郎さん)が登場するまでは、声が小さく聞き取りづらかった(最前列に座っていた)。その後、男性の声量に応えるように声に張りが出てき、滑舌も良くなった。また女性だけの演技(発声も含め)は宝塚歌劇団のように誇張したようでもあった。それに比べ男性キャストの演技は極めて普通で、同一舞台上ではギャップを感じた。舞台雰囲気の統一感を重要視するのであれば、男性キャスト(中性的な男性ならOK)の登用要否についても一考が必要ではないか。

舞台雰囲気は素晴らしいものがあり、それが特長であることは十分伝わった。
今後の公演も楽しみにしております。
ユメオイビトの航海日誌

ユメオイビトの航海日誌

LIVEDOG

シアターサンモール(東京都)

2015/02/11 (水) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

エンターテイメント…
その表現が合うような公演であった。ストーリーはそれほど複雑ではなく、幅広い客層に親しまれるような芝居である。だたし、登場人物の掘り下げが浅く、物語が表層的になっていたように感じる。
しかし、自分が観た初日には、演技のかたさは見受けられたが、それでも多くの観客(老若男女)が約2時間40分(途中休憩なし)を楽しんだように談笑が聞こえた。

ネタバレBOX

「ユートピア」を求めての航海…それは古からの言伝え「精霊」と「人間」の共存共栄をもたらす場所を探す冒険である。
少女レナ(楠世蓮)が自由を求めて幽閉されているような場所から逃げようとして、監視者(英国海軍軍人)に殺害され、その死の間際に魂だけを精霊ローサ(フォンチー)の体内に取り込んだところから物語は始まる。この精霊は少女の元恋人で海賊ライド(高木万平)と知り合い…一方、英国海軍内では権力闘争や蘇生薬研究といった話が別展開しており、海賊と海軍の接点として精霊(その力の争奪)の存在がクローズアップされ、それぞれの思惑が絡み活劇の見せ場になってくる。
キャストはアイドル系のビジュアル揃い。しかし、殺陣等の動作は的確・機敏であった。そしてなにより華がある公演であった。
次回公演も楽しみにしております。
ゾンビ沼袋

ゾンビ沼袋

lovepunk

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/02/10 (火) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★

体力の続く限りがんばって
女優・安城久美子生誕50周年記念という副題が付いている。もっとも芝居の中では引退公演という台詞が何回も出ており、その都度本人は訂正するようなコメディ場面もある。その生き方が、といっても波瀾万丈ということでもなく、至って平凡であるが故に感じる”私の半生”はという件は共感できる。今の時代、劇的な生き方をしている人は何人いるだろうか(本人の受け止め方の差異はある)。それでも生きる、ゾンビのように復活する、そんなバイタリティー溢れる公演であった。

ネタバレBOX

女子プロレス界をドキュメント制作するという設定。女子プロレス界へ復帰してくるゾンビ沼袋(安城久美子)を中心に、その業界の裏話・暴露話の筋立は面白い。そこは”マッチ・メイク”としてのプロレス”ショー”がある。筋書のある興行・フェイクと悪態つくTV制作サイド、だからヤラセも当然という姿勢で描く。一方、プロレス業界側もショーであることは認めつつも、真剣に取り組んだ試合を主張する。少なくとも自分の信念は持つべきと…多少説教臭くなりかけたが、軽妙な演出・体を張った演技が絶妙のバランスを保ち、最後まで飽きさせることなく観せた。随所に社会批判、反骨精神を散りばめるなど、全体を通して楽しく面白いが、けっして底浅くはない。

クセになりそうな芝居であり、次回公演も楽しみにしております。
完熟リチャード三世

完熟リチャード三世

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2015/02/05 (木) ~ 2015/02/17 (火)公演終了

満足度★★★★

小悪魔的なリチャード三世
女性7名(今までの最少人数)で演じるシェークスピアの「リチャード三世」は、主役のリチャード三世(安藤聖)以外は、一人複数役を行わなければならい。その表現パフォーマンスは、仕草、声色を変える芝居をしているが、それ以上にその人物のキャラクター、役割を掴んだ演技が良かった。
特に、リチャード三世は狡猾、残忍、豪胆な詭弁家であり、シェイクスピア作品の中ではハムレットと並んで演じ甲斐のある役とされている。芝居的には、それを女性ならではの小悪魔に表現(毒々しさは薄れた)しており、魅力ある公演にしていた。

ネタバレBOX

 リチャード三世はその醜い容姿を嘆き恨み、その結果心根も醜悪という設定である。誰もが持ちえているかもしれない人間の心底にあるドス黒い感情。そこは認めたくない”闇の部分”ではあるが、それも含め人間という存在が強調された物語である。
 怪異な容貌と鬱屈した野心のため嫌われ、恐れられつつも巧みに人を惹きつける男の一生を描いている。彼の野望の犠牲となり親を失った子、夫を亡くした妻、子供に先立たれた親の嘆きから、不幸の底にある者でさえ他人の不幸がわからない密やかなエゴイズムが劇中に映し出されていくさまが見事であった。それを女性7名の感情豊かな表現で描き、魅了してくれた。

今後の公演にも期待しております。
『Fermat's Last Theorem』(フェルマーの最終定理)

『Fermat's Last Theorem』(フェルマーの最終定理)

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2015/02/04 (水) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★

熱い議論が
学生時代はどちらかと言うと、数学は苦手な科目であった。数学を専門に学んだわけではないので、「フェルマーの最終定理」という言葉さえ知らなかった。本公演では、ワイルズがフェルマー予想を証明する歴史的講義に立ち合った、若き日本の数学者たちを巡る物語、である。この証明していく過程の場面は専門に数学を研究している者にしか分からないだろう。むしろ、証明に至る過程を熱く議論・検討する姿、世紀の出来事に立ち会える喜びといった感情が観ていて面白かった。
自分は、別に示された問題意識に興味を持った。

ネタバレBOX

当時、いや今でもそうかもしれないが、研究者、特に女性が研究を続けていく困難さが如実に現われていた。研究生活を続けたいが、将来の生活・研究者としての道があるのか?保障もない不安な気持ち、夢半ばで諦めるような厳しい状況が描かれる。

また一概に「数学」と言っていたが、その中にも幾何・代数など数学的な専門があり、その専攻が違うと分からなくなるという内容にも新鮮な驚きを覚えた。いろいろな意味で興味深い公演であった。

今後の公演にも期待しております。
あたしゃあなたの、

あたしゃあなたの、

ぐらうんど・れべる

荻窪小劇場(東京都)

2015/02/04 (水) ~ 2015/02/11 (水)公演終了

満足度★★★★★

丁寧なお芝居
都会暮らしと田舎暮らしのどちらが良い、などという単純比較はできないだろう。その場所に住むには理由や動機があるものだが、本公演では、その田舎暮らしの不便さ、厳しさがあまり感じられなかった。逆にその種の問題や課題を超えるようなヒューマニティー溢れる描き方が強調されている(「リージョナリズム」というほどではない)。その展開が自然であり、日常生活を切り取ったようである。
そのように観える理由は…

ネタバレBOX

脚本の力と演出の妙が上手く作用し観応えのある作品に仕上げた結果である。さらにキャストの演技(特に小川剛生サン)がよく、役柄としての人間性とその土地に住む人間味が醸し出されており、観客の心を温かくする。
この公演では、母娘、兄妹、夫婦および近所付き合いという生活の基盤となるような関係を中心にしつつ、そこに抱える問題、悩みを吐露する場面が秀逸である。過疎化、高齢介護という身近な社会問題をあまり深刻にならないよう、努めて明るくユーモラスに描く。そして展望が見出せるような結末が、やわらかな日差し、そぅ小春日和を感じさせる。ラストシーンの心地良い余韻…見事です。

今後の公演にも期待しております。
『灯籠』

『灯籠』

【カタオモイ.net】

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2015/02/05 (木) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★

透明感ある芝居
タイトルと説明文である程度、内容が想像できるが、その演出は透明感、幻想的で面白い。ストーリーは可視化したようなものであるが、そこは演出・演技の妙で楽しめる。
また若いキャストで初々しく、この物語がもつ瑞々しさにマッチしていた。

ネタバレBOX

物語の進行役以外は既に亡くなっている、という設定。舞台は高校・音楽室が中心で、そこに現れる男女3人の淡い恋心、憧憬が描かれる。
原作とは流れだす季節が異なるが、その主筋はそのまま描かれている。夏にしか出会えない”君”を待ち焦がれる女子高生、その女子高生に恋心を持つ男子生徒、さらにはその男子生徒を好きな後輩女子高生が登場するが、みな自縛霊または地縛霊である。女子高生が待っている霊は自殺者で、その霊が良くない、と描いているところに違和感があったが…やはり死に方にも善し悪しがあるのだろうか。
演出は盆灯篭が舞台周りに置かれ、間接照明として幻想的な雰囲気を醸し出していた。また、いくつかのボックスを配置し、その組み合わせで簡単に教室内の椅子やお墓をイメージさせ、あまり暗転させなかったのも集中力を保つには良かった。逆に舞台奥壁にイメージ映像を映す意味があったのか。韻文表現を映像に頼らなくて十分、その旋律は舞台上にあったと思う。

今後の公演にも期待しております。
シロ

シロ

惑星☆クリプトン

千本桜ホール(東京都)

2015/02/05 (木) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★

芝居には真摯であるが…
特に感じ入ったのは、受付、会場案内等、周りの対応が丁寧であった。
さて、公演であるが、旗揚げということもあるのか、緊張していたというのが第一印象である。オムニバス公演であるが、その第一は芥川龍之介原作の短編小説「白」だという。その描き方はあまりに忠実で教訓的なことが前面に出ていた。よく言えば真面目であるが、ストレート過ぎて芝居を観せ、そして魅せる工夫が足りないと思われる。
他は当日パンフによれば、朗読劇「メモ」とある。

ネタバレBOX

体色が”白“の飼い犬「シロ」は、街中で知り合った飼い犬が保健所職員に捕獲された時に助けなかったことにより、体色が”黒“に変化した。その結果、飼い主に「シロ」として認識されなくなり野犬になった。その後、助け犬として世間に認知されることになり…。あまりに教訓色が前面に出過ぎていた。もう少し味わいのある演出が欲しかった。
また、役者の演技がかたく、噛む場面が何回かあり少し残念であった。

朗読劇「メモ」は、子供が座るような小さな椅子(脚が短い)に座って行っていたが、前屈の姿勢になった時、発声に難があった。これも緊張だろうか?
冒頭記載したが、公演に対する姿勢は良く、好印象を持っているので頑張って欲しい。

今後の公演に期待しております。
新「復活」

新「復活」

劇団キンダースペース

シアターX(東京都)

2015/02/04 (水) ~ 2015/02/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

すばらしい!
劇団キンダースペース創立30周年記念公演第一弾が「新・復活」である。もちろんタイトル通りトルストイ原作を日本近代演劇と重ねあわせたストーリーは面白い。演出はオーソドックスであるが、役者の演技は安定・安心して観ることができる。
この「新・復活は、描く主筋が恋愛偏重になっているが、原作の帝政ロシア下における権力・裁判や下層農民の喘ぎ、苦しみと対峙した骨太なイメージをもっと描き込み、当時の日本の状況が浮き上がってくれば、もっと印象深い作品になったと思う。

後日追記

ネタバレBOX

脚本はトルストイ原作「復活」を日本近代演劇の黎明期に活躍した島村抱月と松井須磨子の抜き差しならぬ関係と創設した芸術座の興行不振を立て直す、まさしく復活をかけて上演した「復活」を掛け合わせた劇中劇である。
本公演は、新劇を学究・研修の対象から興行として自立する公演に育てる、との当時の志・思いが伝わるようであった。
シアターXの舞台にしっかりセットを作り込み、その中で役者は確かな演技を行っており、充実した芝居を観ることが出来た。

今後の公演にも期待しております。
メンタルトレーナーのくせに

メンタルトレーナーのくせに

護送撃団方式

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2015/01/28 (水) ~ 2015/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

コメディでしたか?
メンタルトレーナーという、聞き慣れない職業に携わる講師と受講生の話。「メンタル」からクリニックを想定し、心療内科的な芝居かと思ったが、少し違ったようだ。
芝居を進行するにあたって、定石とも言える登場人物の紹介から始まる。本公演はコメディという謳い文句であったと思うが、確かに場面場面での表情・仕草はコミカルで笑えるものがあった。しかし、話の内容はメンタルに相応しい知的で骨太な作品であった。

ネタバレBOX

シチュエーションは”メンタル”を扱っているが、妄想・幻想のような脳内現象ではなく、しっかりとした現実ドラマとして描いていた。メンタル強化などを目的とした受講生と個性豊かなメンタルトレーナー(受講生ごとに担当トレーナーが決定、マン・ツー・マン指導)の関係性が面白おかしく描かれる。この場面ごとの表情・仕草は面白いが、真に笑えない。人の心根に関わり、鋭い指摘になっている。さらに役者自身が笑えていないように感じた。場当たり的なコメディでは笑顔になれない。大上段にコメディを打ち出さず、芝居の中でさりげなく”クスッ”とした笑いであっても十分に楽しめる(内容には共感)。
また、主人公・滝沢の過去も気になり、もう少し人物像を掘り下げても良かったと思う。そして担当した少女との関係について、今後の展開が垣間見えると…。そこは観客のイメージに委ねたのでしょうか?

今後の公演にも期待しております。
ここにいる!?

ここにいる!?

BIG MOUTH CHICKEN

劇場MOMO(東京都)

2015/01/27 (火) ~ 2015/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

チームB拝見
幼い時の事故が原因で霊体質になってしまった青年が経験した奇妙な出来事の話。
軽妙・コミカル風であるが、描かれている内容は奥深い。
自分という人間の存在を証明するには…他人との関係性で説明することになるのだろう。 あれ、この公演の人間といえば…

ネタバレBOX

基本的には、主人公(霊児役=大熊祐我)とその恋人しか登場しない。それ以外は彷徨って冥界への入り口にいる、またはそこに居る冥界者ばかりである。
人との関わりが苦手ではあるが、彷徨っているものたちとの交流は出来るという、不思議な体験をしている主人公…そのありえない様を通して自分を認識していく過程が面白い。終盤は彷徨っている、その者たちの経緯を説明し黄泉へ仕分けされていく。主人公との真の別れであるが、ラストは少しホッとするような幕切れである。
脚本の描かれている内容は鋭く、心を揺さぶられた。演出はわかり易く観せるために楽しい工夫?(モノマネ、オーバーアクションなど)を取り入れ、サービス精神が旺盛であった。ただし、芝居への集中力が途切れるギリギリであったが。

今後の公演にも期待しております。

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