奇妙な果実
奇妙な果実制作委員会ストレンジフルーツ
シアター711(東京都)
2015/03/11 (水) ~ 2015/03/15 (日)公演終了
満足度★★★★
.戦前の銀座カフェが下北沢に再現
小劇場「シアター711」に戦前の銀座カフェが再現されたようだ。舞台中央にバーカウンターが大きく据えられ、その後の棚にはウイスキーなどが並ぶ。照明は多少薄暗く魅惑感が漂う。
説明では、このカフェ「カヱムル」を舞台に歴史ミステリーとある。しかし、ミステリーというよりはサスペンス風の要素が色濃い感じがした。確かにミステリーの基本となる犯人はあとから明かされるが...。
ネタバレBOX
1941年冬、銀座のカフェ「カヱムル」に東北地方から農家の寡婦ふみがやってきた。 ふみは、蒸発した兄(記者)を探しに来たと言い、「カヱムル」の女給におさまる。 兄が残した一冊の手帳をたよりに真相を探るうち、コミュニストや助教授の男たちと出会い、彼らのある秘密を知ってしまう。
この時代、国内の政治や軍部の動きに対し、反戦運動に身を投じた男女。その行動に対する軍国当局の弾圧を通して、活動を継続する不安と恐怖、仲間に対する疑念と暴虐が顕わになる。知識人の正義の脆さ、”ひらがな”しか読めないが、純朴な主人公ふみの生きる逞しさ、極限状況下における人間の本質を観せる。
蒸発したと思われた兄は猜疑心に駆られた仲間の手で..
公演全体は骨太・重厚感があったが、時折、ふみ(25歳)とスエ(14歳)がコミカル?のように喧嘩するシーンは必要であろうか?重苦しくならない配慮なのだろうか。.登場人物は8名で、役者陣はみな芸達者。
脚本・演出の はせきょう氏 の当日パンフ「難しい話をわかりやすく壮大な
エンタメにした自分の才能が素晴らしすぎる!...」とあるが、本当にお見事でした。
今後の公演にも期待しております。
鈴木さんチ
劇団クロックガールズ
劇場MOMO(東京都)
2015/03/03 (火) ~ 2015/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
上辺だけの幸福家族の顔が...
鈴木家... 祝福ムード一色に包まれる中、ひょんなことから家族の秘密が次々と明るみに!という説明は、軽い冗談話、または暴露話かと思いきや...家族の存在とは何かを考えさせられる。
当日は電車人身事故の影響で開演時間ぎりぎりに到着し、受付の方を心配させてしまったが、丁寧な対応をいただき、最前列に空いていた1席へ案内された。
(Bキャスト観劇)
ネタバレBOX
舞台上手側にソファと応接、下手側にテーブルと椅子2脚。
鈴木家では長女の結婚相手が挨拶に来るというので、家族が集まった。家族構成は、父親、母親、長女、次女、三女、長男(末っ子)である。
この家族に父親の愛人とその子供(隠し子)、長男の同棲相手、さらには三女からの応募小説を出版したいと訪れた編集者を加えた面々がドタバタ騒動を狂い広げる。
この登場人物のキャラクターと役割は明確で、ストーリー展開する上でわかり易い。ストーリーは表面的には幸福家族の顔を見せているが、その実は深刻な問題を抱えて生きており、将来もその問題を背負わなくてはならないという。
この小説に書かれている内容は、家族が抱える暗部を抉り出すもので、どうしても出版したい、その許可を得るための編集者の説明が段々と家族を追い詰める。コミカルな演出からシリアスな演出へじわりと転換していく様が見事である。もちろん、伏線は張られているが...長男の同棲相手に子供ができても産ませない、家の引越しが多いなどである。
この姉妹弟以外に父親に隠し子がおり、鈴木家が引き取り仲良く育てていたが、或る日、実母が引き取りたいと...この子が実母を殺害し施設暮らししている(登場しない)。この子の手記が小説元になっている。このため家族は人目を避け引越を繰り返し、重い責を将来に残したくない...家族を持つことが怖くなっている。
家族とは...加害者であり、被害者でもある遣る瀬無い思いが切々と伝わる素晴らしい公演であった。
今後の公演も楽しみにしております。
白魔来る-ハクマキタル-
ラビット番長
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2015/03/05 (木) ~ 2015/03/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
素晴しい! (Bキャスト拝見)
本当に素晴しい公演...というのが第一印象である。その理由は大きく3点。
第一、脚本と演出が見事にかみ合って、話のモチーフ等が鮮明であった。
第二、キャストのキャラクターや役割が明確で違和感がなかった。
第三、良い意味で過去のハートフル公演を裏切り、骨太・重厚な芝居に仕上げた。
そして、チラシ説明に”刺激的な芝居”である旨を記されており、制作サイドのPRが功を奏した。観客に観てもらう、という工夫と努力する姿勢がまた良い。
自分のなかで、ますます目が離せない劇団になった。
ネタバレBOX
脚本はしっかりとしたテーマ性(「差別」「共生」など)を捉えて、人間と熊(自分では自然・環境そのものも捉えているように感じた)のどちらが侵略者で理不尽な行為を行っているのか、そんな問いが投げかけられたと受け止めた。その象徴として、熊の襲撃が描かれる。主張すべき話の展開にしっかり演出ができている。確かに刺激的な描写があるが、それは必然的なものであり、どう印象付けるか…その点も観客の許容範囲が違うため難しいところであるが、自分としては絶妙だと思った。
キャストは役割を与えられているから多少、大人数が舞台にいても不思議ではない。劇団では若手育成にも力を注いでいることから、過去公演を見ると役割がはっきりしない人物もおり、違和感を持つことがあった。今回も大勢のキャストがチラシに印刷されていたが、一部ダブルキャストにすることで、その課題に対処する工夫をしていた。
ただ、演技について細かいことを言えば、兵士が外で暖をとっていた焚き火缶を素手で軽々持ってハケるなど出来ない(これは一例で他にもあった)。どんな役柄でも観客は観ている。その状況に身を投じているというイメージ作りが重要だろう(このシーンは、終幕後、他の観客も指摘していた)。
自分が観てきた公演は、どちらかと言うとハートフルコメディという枠の中で、その時々の社会的なテーマを取り込んで観せてきた。今作はそんな既成劇風を打ち破るようなバイオレンス・フィーチャアーである。
失礼な書きようであるが、本当に劇風が広がったようで、今後ますます公演が楽しみになってきました。
絶版・小動物の正しい飼育方
発条ロールシアター
タイニイアリス(東京都)
2015/03/05 (木) ~ 2015/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
タイニイアリスでの発条ロールシアター...不条理劇は素晴しい!
タイニイアリスという小劇場、その舞台奥に大量のダンボール箱が積み置かれている。舞台客席側の中央にテーブルを挟んで中年男性が向かい合ってラーメンを啜っている姿から物語は始まる。夜店で買ってきた「小動物」...小さな箱で飼っていたが、段々大きな箱になることで日に日にその姿が大きくなっていることを現す。この小動物を飼うルールが飲食(餌)を与えない、抱かない、という放置しておくことだという。この何もしない、という無作為の意味するところは...
ネタバレBOX
夜店で売っている「ひよこ」「金魚」「カメ」などの生き物は、商品としての売り上げ回転率を上げるため、早く殺す必要がある。だからこそ、無作為の殺生としての人間のエゴが描かれる。
本公演では、「小動物」を夜店の主人のいう方法で飼育する、律儀な男三人。今までなかった乾いた生活に何故か潤いが生じるという不思議感覚が面白い。飼育法を律儀に守る真面目さが、逆に怖い。言うが如くを信じ、自分で考えない無知蒙昧に対する警鐘...その問題提起がコミカルな演出の中にキラリと光り鋭い。
その小動物(実は2体)は、夜中に箱から出て活動する。その活動演技は2人の女優の愛らしい演舞で表現される。最後は、積まれたダンボール箱を崩壊させて、大きな鶴が...見事な公演であった。
今後の公演も楽しみにしております。
別れのミュージカル『チェスト寺田屋』
風雲かぼちゃの馬車
小劇場B1(東京都)
2015/03/05 (木) ~ 2015/03/11 (水)公演終了
満足度★★★★
熱血青春時代劇...楽しめた
劇団「かぼちゃの馬車」は歴史上、それもあまり名前が知られていない人物にフォーカスし、その視線を通してその時代の抱えている課題・問題を浮き彫りにする。前回公演では、一遍上人を取り上げた。本公演も「寺田屋事件」は有名であるが、そこにいた薩摩藩士は(幕末)歴史マニアでないと知らないであろう人物、有馬新七を主人公として登場させた。
近代日本の夜明けを見ることなく憂国の志士として道半ばで斃れる、そんな若者たちを描いた、熱血青春時代劇は楽しめた。
ネタバレBOX
寺田屋事件というと、坂本竜馬襲撃のほうが有名であろう。寺田屋は京都における薩摩藩の定宿であったから、日本の黎明期にあって重要な役割を果たした場所といえる。
本公演は、劇団の得意とする殺陣を”寺田屋における同士討ち”として見所を作った。しかし、幕末時における薩摩藩の立場・役割が描ききれていないため、なぜ主人公たちが決起し、同じ藩士が上意打ちに及んだのか...その説明が不足していた。
なぜか幼い頃に仲違いしていた集団・仲間内の諍いの延長線上のこことして映る。突き詰めていえば、一武士の想いが強調されただけのようだ。個々の武士の立場は、藩内における”ヒエラルヒー”も含めて描くと重層的になったと思う。
なお、演出はキャスター付の衝立5枚(襖と障子のリバーシブル)を上手く活用し、場所・状況の違い、変化を現しており観やすかった。
この劇団は、いつも前説が楽しく、終演挨拶が丁寧である。客席には若い女性を中心に常連客が...観客を大事にしている証だろう。こういう姿勢は大切である。
今後の公演も楽しみにしております。
メモリー・アンド・メモリー
もぴプロジェクト
新宿眼科画廊(東京都)
2015/03/06 (金) ~ 2015/03/11 (水)公演終了
満足度★★★
旅路の果
女子高生二人の何気ない日常会話から、最後は悲哀に満ちた話に転じていく。普通の高校生の他愛ない会話…耳を澄ませば、街中の雑踏も聞こえる立体感ある演出は面白い。
しかし、本公演は芝居の主要項目である脚本・演出・演技について、平均的な内容であったと思う。学生時代の成績表にたとえるならば、各項目を1点にして1+1+1=3点。しかし、演劇効果が上がってこない。要は、各項目の相関が1×1×1=1点になる。つまり印象が薄い公演になっていた。
ネタバレBOX
理屈っぽい感想になったが、脚本はどこかで見たような内容(女子高生の悲痛な過去に向き合い、前進させるというベタなもの)であり、その演出も意外性がなく、流れた感じである。演技は若いキャストであるがしっかりしており、演技力に差が見られないことからバランスは良かった。しかし、心的彷徨をしている想いが出ていなかったのが残念である。
さて、人間はその特性として喜怒哀楽という感情を忘却できる。特に恋人を交通事故で亡くすという悲しい出来事は、敢えて呼び起こす必要があるのだろうか。忘却という特性を活かし、悲しみは深淵に沈めたまま先に進みたいが...。
次回公演も期待しております。
家族
オーストラ・マコンドー
吉祥寺シアター(東京都)
2015/03/05 (木) ~ 2015/03/15 (日)公演終了
満足度★★★
時代感覚にズレが...
小津安二郎監督の映画「東京物語」の雰囲気は出ていた。特に台詞は鷹揚があまりなく、ゆっくりと話す。映画では広島県尾道市から両親が子供たちを訪ねて来るというもの。両親キャストはその口調(方言)を真似ていたようだが、第二の故郷が尾道市である自分には違和感があった。また台詞の「間」がやはり気になるほど...間延びしていた。
全体的に映画を意識したため、昭和時代が色濃くなり、平成版「東京物語」としての斬新さ、面白さを欠いたようだ。
ネタバレBOX
映画では高度成長期に向けた時代背景から、子供たちの生活(仕事の活況)に追われ、両親の面倒が見られない事情があった。今回の公演では、その子供たちの生活環境があまり描かれず、単に亡き息子の嫁に預けたという印象である。そこには子供のエゴしか見えてこない。
説明にある「今日の核家族化と高齢化社会の問題を先取り」という謳い文句は虚しいだけである。
脚本は「東京物語」をオマージュしており、新鮮さは少ない。演出についても、昭和時代なのか平成(現代)なのか曖昧な感じである。確かにスカイツリーという台詞があるが、その佇まい、衣装、台詞の”間”が昭和を引きずるようだ。
その時代感覚のズレが気になり、公演に集中できなかったのが残念である。
次回公演に期待しております。
屋根の上の魔女
劇団 浪漫狂
紀伊國屋ホール(東京都)
2015/03/04 (水) ~ 2015/03/08 (日)公演終了
満足度★★★
わかりやすい、そして優しい芝居
「超オバカ」×「美」×「ドタバタ」×「ファンタジー」が融合!子どもから大人まで楽しめる“ブッ飛びエンターテイメント!!...という謳い文句であったが、その印象は感じられなかった。
しかし、公演はわかりやすく、優しさがにじみ出るような物語。
田舎育ちのせいか芝居を観る機会が少なかった。今でも巡業公演を楽しみにするような地域である。今回、このような舞台セットに、多くのキャストが出演する公演を観劇出来て嬉しかった。
多くの公演を観ている方は、その志向が高い。そういうレベルになるよう、脚本・演出にもっと工夫等を凝らし、公演内容を充実・満足させていただくよう期待しております。
ネタバレBOX
シェアルームで起きる色々な出来事を、部屋の住人、記憶喪失の男、近所の人、ピザ宅配人、空き巣そして主人公の少女が登場する。この少女...実は未亡人母親が彼氏とハワイ旅行に行くため、この部屋に預けられた。何故か心を閉ざした少女...唯一、心を通わせる記憶喪失の男との交流が微笑ましい。
少女の父親は誰かに殺害された。しかし、少女には父親の姿が見え悲しさを紛らわせていた。その父親が49日目以降は姿を現せないという。少女の悲しい別れの時であるが、それを受け止め前向きに生きる...このシーンが一番の見せ所であろう。
芝居は確かにドタバタはあったが、それは笑いの受け狙いというわざとらしさが見えていた。結末も、心を通わせた記憶喪失の男が父親を殺した犯人である。芝居の流れからそれとなく分かり、予定調和の印象である。
脚本の優しさ、温かさは感じられるが、それに感情移入できるような演出があったら...少し残念に思った。
次回公演に期待しております。
梅子と「ボクらの青春交響曲」
『熱きロマンを胸に、生きる勇気と希望を与えるべく突っ走り続ける奴ら。』
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2015/03/03 (火) ~ 2015/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しく、そしてダーク...観応えあった
梅子と青春を過ごした仲間たち...個性豊かなキャラクターの子供たちが秘密基地で過ごした楽しき日々の追憶から物語は始まる。大人キャストがランドセルを背負った小学生から中学生を演じる時、その可愛らしい仕草は実に楽しそうだ。この青春群像劇の登場人物一人ひとりが、この芝居の重要な要素になっている。
説明では、ファンタジックコメディとあるが、実際は...
ネタバレBOX
ダークコメディだったようだ。
小説家・小鹿梅子が、出版社対抗「オンライン連載小説バトル」の題材として、幼馴染みの子供達を登場させ『ボクらの青春交響曲』を執筆しだす。しかし、その内容が不評なことから打ち切りの危機に直面する。 ある日、一人の若者・ユキオが梅子の前に現れ、つまらないストーリー展開に奇抜なアイデアを出していく。戸惑いつつも梅子は連載を書き続ける...という展開である。
さて、幼馴染の子供たちのキャラクターは優等生(学級委員)、大人しいなど個性豊かに描かれる。実は子供一人ひとりの性格は、梅子自身の断面を現した自画像という設定である。小説を介して自分の性格付けした子供たちの目や行動を通して心内彷徨するようである。段々と本当の自分とは、という姿見に映し出される過程が酷い。その一方で、自分に対する自信も芽生えるという成長が心を打つ。
しかし、ここまでが「小説の世界」であるという、二重構造の仕上げ方。まさしく劇中劇の醍醐味を味わった。
次回の公演も楽しみにしております。
GHOST SEED
カプセル兵団
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2015/02/26 (木) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
世界観のあるハートフルコメディ
ハートフルコメディであるが、その描く世界観は大きく現代社会が抱える今大・課題を鋭く捉えていると思った。脚本には捻りも加え、観客(少なくとの自分)のハートを鷲掴みにし感動の渦に誘う。それは決して予定調和にしない展開が素晴らしかった。また演出も笑いネタを仕込んでいるが、そこは目くじら立てず小ネタとして受け止めた。
ネタバレBOX
世界は巨木の恵みによって生かされている。しかし、ある時、1本の巨木が枯れて新たな芽(種)が...その時に1体の人形がその種を奪い去ってしまう。その人形を製作した人形遣いの妻が亡くなり、その悲しみを受け入れらず、その種で蘇生させるという摂理への抵抗、冒涜を犯す。その頃、某国王女も亡くなり、幼き姫(娘)を守るため女王の人形(樫・期限10年)も製作した。
この人形遣いが行った自然節理への冒涜が世界(人類)滅亡の序曲になっている。
姫が途中出合った人形3体と絵師の旅人と冒険を繰り広げるというスペクタクル・ファンタジー...観て楽しめる内容であるが、その描かんとするテーマは壮大で現代性に富んでいる。
今後の公演にも期待しております。
劇王 天下統一大会2015
劇王 天下統一大会2015運営委員会
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2015/02/27 (金) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
決勝戦観応えあり
劇王決勝戦...神奈川県芸術劇場で全国ブロックを勝ち上がった3団体(神奈川地区、東海地区、九州地区の各代表)によるハイレベルな戦い。勝敗は審査員票ではなく、観客票によって決したことに驚いた。採点は、審査員6名と観客とが同数になるような配点方式(審査員が各31点、観客数が約183名のため。183÷6≒31点)で競われた。その観客の心を掴んだのは...
ネタバレBOX
勝負事であるから決着をつけるが、その結果笑う者もいれば泣く者もいる。当日は大雨の荒天気...悲しみが勝ったのだろうか。
さて、優勝は「九州地区代表・不思議少年」の「スキューバー」という作品。
得票順は次の通りであった(カッコ内は作品タイトル)。
1.九州地区代表・不思議少年(スキューバー)
2.東海地区代表・東海連合(海獣日和)
3.神奈川地区代表・もじゃもじゃ頭とへらへら眼鏡(都会の女)
個人的には、神奈川地区代表の作品が好きであった。
都会の一室...孤独な女のもとに現れた若い女性(部屋の女の未来の娘と名乗る)との濃密な会話劇。若い女性は空き巣と勘違いされ、椅子に(亀甲)縛り付けられている状態である。尻尾がついた豹柄のパジャマ姿の女。その一人住まいの部屋には、大きなボストンバックの類が四散している。その中身は多数のアルコール瓶、金属バット、ゴルフパターなどであり、凶器になるような道具(「電マ」もあったが?)ばかり。”狂気”と”凶器”に支配された部屋空間を醸し出していたが、一人部屋というわりには、舞台スペースが広すぎた。
とてもシュールな内容で見入ってしまった。
演劇の普及のため、このような演劇祭を継続されるよう切に望みます。
ヘリカル~少女華の祭典~
劇団天動虫
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2015/03/10 (火) ~ 2015/03/15 (日)公演終了
満足度★★★★
若さ爆発!
観劇当日、劇団から会場までの道案内のメールが送信される。制作サイドの丁寧な対応が嬉しい。受付は狭い階段を下りたところにあるため、多少混雑していたが気になるほどではなかった。ただ開場前に着いたが、整列の案内がないため、後から来た人が先に入るという不都合も見られた。
開演は、ほぼ時間通りに開始。上演時間は、休憩なしの2時間20分…長い。
さて公演は、若い女性キャストのみで、一見華やかな公演という感じである。しかし、内容はしっかりと観客の心を掴む観応えのあるものに仕上がっている。前半はコミカルて楽しく観せ、終盤はシリアスでシュールなものに転換させる、その手腕は見事であった。しかし丁寧な作りは、逆に説明過多または冗漫・冗長な場面もあり、その結果として長くなっている。終盤に向けての演出効果を活かすには、序盤と終盤の多少くどくなっている場面を整理したら観やすくなると思う。
演技は、若さ溢れ生き活きとしていたが、一方、粗さも目に付いた。しかし、キャストが愛らしく、その魅力が粗さをカバーしていた。
公演全般を通して、気になる点はあるが、モチーフや流れは良かった。今公演での集客目標は500名だという(ガンバレ)。
ネタバレBOX
気になった点は、説明にある「二番手」がどう結末に結びついたのか、または絡んだのかが分からない。確かに序盤では、どうしても一番になりたいという意気込みはあったが、最後は自分探しの彷徨という感じであった。登場人物すべてに関係するモモ(ジョニーさん)…実は登場する友達は自分自身の断面を投影した姿である。本当の私とは…自問自答し(螺旋を描き)ながら成長していく様が見て取れる。
そうすると「二番手」とは…。本公演のように、どうしても一番になりたい、または責任を取りたくないため、敢えて二番手になる、さらには、影の実力者として二番手という位置に隠れる。そんな「二番手」という微妙な題材をテーマにしたのではないか。当初、描こうとしたものと乖離したならば、それこそ脚本の本質(分析)探しという滑稽なものになる(悪く言えは、脚本の破綻)。
自分は、敢えて「二番手」に拘らないで観劇したつもりである。
今後の公演も楽しみにしております。
西遊伝〜富士山の妖怪〜
劇団 西遊伝
Studio NOV(東京都)
2015/02/27 (金) ~ 2015/03/03 (火)公演終了
満足度★★
もう少し捻りのようなものが...
全体的に緩い感じで、芝居が学芸会的な雰囲気になっていたのが残念である。本公演は、中国奇伝書「西遊記」をモチーフにしていることは、タイトルから明らかであろう。そして、シリーズ第3弾である本作は、富士山麓に妖怪を封じ込めていたが、観光客(登山者?)によって封印が剥がされ、魔物が世に放たれた。
ネタバレBOX
演じるのは全員女性であり、そのうち大半が初舞台ということらしい。2014年10月に旗揚げし、2015年2月下旬に第三回公演であるから、早いペースで上演している。しかも第四回以降の公演スケジュールもあり、次回「西遊伝ご一行」は滋賀県が舞台背景らしい。
さて、脚本は西遊記のように天竺まで行ってお釈迦様から経典を...というものではない。あくまで妖怪退治で三蔵法師(三蔵法子)は拳銃を撃ち放ち、妖怪が一撃で倒れるという安易なもの。それまでは孫悟空(孫悟空美)、猪八戒、(猪木ハッカ)沙悟浄(佐河沙都美)の殺陣が繰り広げられる。狭い舞台(もともとライブハウス)の立ち回り(花道も使用)には不向きであろうが、一対一の対決シーンにすることで、狭隘さを解決しようと工夫していた。脚本にもう少し「捻り」「オチ」があると良い。あまりに平面すぎたのが残念だ。また上演時間70分にしては暗転が多い。
次回公演を楽しみにしております。
ラストマンスタンディングマッチ
チョコレイト旅団
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2015/02/26 (木) ~ 2015/03/02 (月)公演終了
満足度★★★
スポコンものか...
映画「ロッキー」シリーズを連想させるような内容であるが、描くスポーツはプロレス...10カウントという説明からボクシングと誤解しそうであるが、フォールによる勝敗とは別次元を意味しているようだ。要は(脚で)立つ、(弱気を)絶つ、(新たに)発つ、(奮い)起つ、というスポコンイメージであるが、その応援者たちが特殊異形というか...
ネタバレBOX
魔女とその下僕が期間限定(この世に居られる期間)で少年の応援をする。まぁ魔女が少年を好きになり、結婚をしたいと言い出したことに端を発する。この魔女たちが実に愛らしく、映画「アダムスファミリー」を連想させる。
さて、公演は父親が覆面プロレスラーで、いわゆる正義の勇者と信じていたが、実は悪役(いつも負ける)プロレスラーであることを知った少年の裏切られた思いとそうせざるを得なかった父親への愛情に苦悩する姿...。と同時に仲間だと思っていた友達に苛められるようになる。
近所に魔物が住むと噂される館へ迷い込んだ少年。この現実の世界と異世界を同時進行して描かれるファンタジー性ある演出は面白い。
しかし、ストーリーはストレートで「捻り」や「オチ」が感じられない。ストレートでも良いと思うが、その場合はもう少し感情移入(感動)できる見せ場が必要だろう。完全に予定調和である。
役者の演技力は確かで、バランスがとれていただけに残念であった。
ちなみに生演奏は、楽器に近い方の観客は、セリフと音響余韻が被る場合があるので要注意である。
今後の公演にも期待しております。
渦中の人
セロリの会
「劇」小劇場(東京都)
2015/02/25 (水) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
余韻が心地よい
観光資源があまりない離島を舞台にしたハートフルドラマ。まず舞台セットはしっかり作り込んでおり、本当にその場にいるような感じになる。登場人物は、キャラクターと役割を明確にしており、物語をしっかり支えている。
幕開け暗転と波音で心落ち着け、最後も波音で余韻が…見事な演出効果だった。だだ、脚本・演出とも秀逸であったが、ラストが慌ただしく収拾がつかなくなった印象があった。
ネタバレBOX
本公演は、サスペンスという印刷文字があったが...ハートフルドラマとしての印象ほうが強い。舞台は、観光資源の少ない離島を大いに盛り上げようとしている住民とある目的を果たすためにやってきた宿泊客とのドタバタ騒動と、宿の夫婦の愛情を描いた話。この舞台セットが良い。舞台全体が旅館の雰囲気を作り出している。上手は宿の受付とテーブル席(食堂か)、下手が座敷に卓袱台が置かれている。
この島には宝くじに当たるというジンクスのようなものがあり、金に困っている客がそのご利益を求めてやってくる。そのうち、宿の主人が施す念力に肖りたいと...この噂を街の観光興しに利用し、観光マップ、海運グッツまで拡販する。
一方、旅館を切り盛りしている夫婦関係は危機に直面している。妻からは離婚届が突き付けられて、何故...戸惑う夫の慌て振りが滑稽である。旅館という場を中心に描かれる”サスペンス”ならぬ”コメディ”は役者の演技力も相まって観応えがあった。
今後も楽しい公演を期待しております。
エグ女
f.tプロデュース
千本桜ホール(東京都)
2015/02/25 (水) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
大和撫子という言葉はどこへ
実話ベースということだが、「本当に女性は恐い」という印象である。その昔「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉があったが、本公演は「エロ・エグ・ナンセンス」が合う内容であった。もっとも短編8連作の演出は各パート毎にまとまりがあり、楽しく観られる。
因みに、エグいとは? 語感からイメージできるが、辞書によれば、抉る(鋭く指摘する)、えげつない(やり方、言い方がむき出しでいやらしい、情が薄い)のどれにも当てはまるようなタイトル…センスが良い。
ネタバレBOX
脚本はパートを設定し、学生時代、姉妹、劇団の先輩後輩という人間関係から、SEX観、性癖、彼氏の取合い、浮気という身の下話、そして親友面して…。こわい話ばかりである。全体の関係は、緩く繋がっており、脚本・演出とも秀逸である。
演技は体を張って迫力があった。本当に平手打ち(多少指は曲げている。本当の平手だったら頬に手形の痕が残る)の応酬、取っ組み合いで髪の毛が乱れる、口に含んだ液体を相手の顔に吹きかけるなど、臨場感が凄かった。本当に仲の悪い行為が見て取れる演技は観応えがあった。初日の観劇であったが、楽日まできれいな女優の顔が腫れ上がるのでは、と心配になった。
特に、厭な女を演じた川崎真美さんの演技はリアルで、アイドルから完全に脱皮したように見受けられた。
今後の公演にも期待しております。
静寂の扉
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2015/02/24 (火) ~ 2015/03/02 (月)公演終了
満足度★★★★
しじまに鉦の音
コミカルなタッチだが、その描くテーマは現代社会への鋭い問題提起..。
しかし、その提起と終盤に描かれる少し怖い話の結びつきに無理が...
ネタバレBOX
タイトル通り過疎地帯の状況とそこで暮らす人々の希望と苦悩...現状の地方再生の問題意識も垣間見えるが、前半は坦々としたテンポで日常が描かれる。
登場人物は、携帯電話も繋がりにくい過疎地に住む人々の苦悩、都会の生活に嫌気がさした人、さらに過疎地から東京へ移り住んだが、都会生活に馴染めず帰郷した人など...それぞれの意識や生活感の違いが上手く描けている。興味深いのは、就労への取り組みから生活用品までインターネットを通じて行える、と強がりを言いつつも、婚活に精を出す独身者(若者とは言いがたい年齢)の切実な姿が痛々しい。
そして、特定の人しか感じない(聞こえない)鉦の音...実はこの地は自殺の名所で、遺体が発見された時は、役場の人間が対処(埋葬)する因習だとか。この”しじまの鉦の音”がフラッシュ照明と相まって怪しげな雰囲気を出す、見事な演出である。ただ、この過疎地の問題と自殺の名所の関連付が強引なような気がする。確かにサスペンス風...この悪しき噂を恐れた住民が鉦の音が聞こえないふりをする。結局のところ、、郷土愛に包まれたハッピーエンドに収まり、問題・課題を広げたまま収束した感じで物足りなかった。
今後の公演にも期待しております。
回想電車999【ご来場ありがとうございました!次回公演は四月!】
壱劇屋
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2015/02/19 (木) ~ 2015/02/23 (月)公演終了
満足度★★★★
ジグソーパズル...
ピースを一つずつ丁寧にはめ込んでいくような精緻な構成で、見事な脚本であった。タイトルや登場人物からのイメージは”銀河鉄道”であるが、推理またはサスペンス仕立てで、その観せる演出力も見事であった。
欲をいえば、前半からもう少しテンポよく展開できると物語への引き込み効果が上がったと思う。
ネタバレBOX
回送列車は回想との文字繋がりで、その鉄道シーンは複数のダンボール箱とゴム縄というシンプルなもの。さらに舞台全体の色彩を暗くもしくはモノトーンにすることで、細いゴム縄(白)を用いても、その柔軟性と白色を活かして立体的な舞台芸術に仕上げていた。
後日追記
「戯作 肉体だもん」
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2015/02/20 (金) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
現代風…肉体の悶
妄りに見せて淫らに魅せる、実に“華”のある芝居である。田村泰次郎作「肉体の門」を参考にしており、「肉体の解放こそ人間の解放である」というテーマ性は、十分に表現出来ていた。
この「肉体の門」は、何度か映画化されており、自分は1964年、77
年、88年制作を見たことがある。タイトルに象徴されるように「性」を題材にしているが、戦後間もなくの混乱期に女性が逞しく自立していく様が強調されており、本公演もその醍醐味は観せてくれたが…。と同時に個人(女性)としての愛憎も身近で愛らしい一面として描いている。多くの女優の妖艶な肢体が舞台狭しと跳ねる。
少し気になったことも…。
ネタバレBOX
戦後の混乱期という雰囲気が感じられない。あまりに華やかでどん底から這い上がる、というバイタリティー溢れる感情が伝わらない。自分も戦後間もなくの頃は知る由もないが、少なくともデホォルメしたとはいえ、舞台のような艶やかさはないだろう。敢えての演出かもしれないが、テーマの底流は保って欲しかった。確かに公娼制度、性病、靴磨きなどというセリフはあったが、それは上辺の表現上のこと。もっと「性」で「生きている」という切迫感のようなものがほしい。例えば、性の縄張り争いは「生」に直結すると思うが、その抗争に緊張・迫力がない。もっと強かさがあってもよかった。
歌・ダンスとの安定して良かったが、まるで”現代レビュー・ショー”を観ているようで、時代感覚にアンマッチさが感じられた。もっとも「目指せ、浅草公会堂」を意識しているかも...。
今後の公演にも期待しております。
PS
今回は最前列に座ったが、冒頭のシーンで、客いじりを経験した。
「お兄さん(実はおじさんだが)、私をいくらで買ってくれる...」と。まさしく肉体の悶を体験させてくれた。
第41回「a・la・ALA・Live」
a・la・ALA・Live
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2015/02/21 (土) ~ 2015/02/21 (土)公演終了
満足度★★★
個々のパフォーマンスは面白い!
あらら…という印象である。個々のパフォーマンスは面白いものがあるが、やはりブッブッと切ており、関連性がないと…少なくともテーマに繋がりがあると納得感がある。元からそういう構成であったと思うが、一連の流れがあると印象に残る。パフォーマーの関係者やコア観客(自分が観た回は、20公演観た2名へのプレゼントあり)だけの公演ではもったいない。もっと多くの観客に楽しんでもらいたい。そのためには、“あぁそうなんだ”という落語でいう”オチ=繋がり“があると印象・余韻が違ってくると思うが…。
短編芝居、パントマイム、ダンスなど、色々なジャンルの仲間による公演、ワークショップの案内(折込みチラシ)もあり、演劇、パフォーマンス活動の普及に努めていることに好感を持った。
今後の公演にも期待しております。