アダムの肋骨 公演情報 劇団肋骨蜜柑同好会「アダムの肋骨」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    少し肋骨は太いほうが良かった
    映画「黒い十人の女(和田夏十オリジナル脚本)」を思い出した。もっともその結末は違うが、男とその愛人というモチーフと、人間(女性)の嫉妬、言い換えればエゴの剥き出し...人間の醜悪な側面をあぶり出したところは似ている。

    さて、この公演の説明には、男のレクイエム、最後の晩餐、世界の終わり...というような宗教的な言葉が並ぶ。そして、劇中の言葉や動作が聖書に書かれていることを比喩しているところもあって興味深かった。

    しかし、その描き方が説明不足または緩慢なところもあり、芝居に集中できなかった。

    ネタバレBOX

    舞台座席は、入口を入ると逆コの字型になっており、それぞれ3段の雛壇。舞台は長方テーブルと折りたたみのパイプ椅子。それを三方から観るようになる。
    公演は、プロローグとエピローグ、そして本編の三部構成のようであるが、本編の前後は男二人の起・結である。冒頭部分は、白衣の精神科医と患者の様相で、興味を持たせる演出としては良かったが、本編も途中まで進んで来ると、その結末が透けてくる。いわば劇中劇か脳内探訪という本編を一気に転換させるもの。本公演もその手法で、エピローグで、それまで演じてきた内容をそんな公演にしたい...という暴露話になった。この展開自体は面白いが、結末へ結びつけるまでの本編が観ていて疲れる。キャストのキャラクターも確立し、その役割も十分説明していた。しかし、ストーリーを展開する上で、次の点が気になった。
    第一に、男が女を集める理由が分からない。そして、女の中の一人が自分を救ってくれるという。その救いとは...。
    第二に、セリフの”間”が観る集中力を欠くほど無言が続き、芝居の魅力を損なったように思う。

    そういえば、男に対しそれぞれの女が、自分の優位性をアピールする場面では、例えば男が住んでいる部屋の家賃の大半を負担し経済的に支えている...という場面の後、テープルにパンが運ばれる...「人はパンのみにて生くるにあらず」
    また男性に向かって別の女性が、自分の目に映る姿は、と迫る場面...「自分の目の中の梁に気がつかない」 それまで互いに悪口雑言をならべていたのに。

    本公演は、面白い比喩や動作(「最後の晩餐」の様相など)を多くちりばめ、知性の片鱗を見せてくれた。それだけに本編をもう少し見応えのある内容にすれば素晴らしい公演になった、と思うと残念である。

    今後の公演に期待しております。

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    2015/04/05 14:53

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