きやまの観てきた!クチコミ一覧

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ローリング・ストーン

ローリング・ストーン

Terra岡山芸術会

おかやま未来ホール(岡山県)

2015/11/28 (土) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

我等思う、故に我等在り
 いわゆる「擬人化」という簡単な造りではなくて、“石”ころが“意志”を持ち、動き出し活きて―――“意思”を失って“無機物”に戻る―――といった難解な筋立て・・・カナ?
もう1・2回観たらより良く理解出来るのかもしれませんが、私の老いた脳細胞には処理不可能でした。
ダジャレとネタっぽい無国籍ネーミングを覚えられないまま、御国事情や相関図を会話から構築しろと云われても・・・ねぇ・・・。
まぁ、物語を引っ張っていくのが、女達のドロドロな嫉妬・見栄・プライドであって、男は種馬(ヒドイ)か目的の為の道具なのネ、っつーシェイクスピア悲劇みたいな背景である事は良く解ったんですが。

  ただ、「ヨクワカラン」≠「オモロクナイ」なのです。
ローマ風の衣装も豪華だったし、深紅の布を使った演出とかも綺麗でした。
キャストの演技力も高く(特に、終盤ず~っと舞台上で死んでいる人、大変だったと思います)、スパイスの効いた掛け合いやギャグには笑わせて頂きました。
アクションや殺陣も見応えがあり、特に女王同士の一騎討ちは鬼気迫るものがありました。

  今回、市の芸術祭の一環という事もあり、万人受けするカジュアルなエンターテイメントではなく、敢えてハードルの高い舞台芸術に、力を併せて挑んだ、その理想と意気込みには拍手を送りたいです。
 ただ・・・複合ビルの5Fにあるこのホール、終演後の21時過ぎはあちこちシャッター閉まっていて迷路に迷い込んだネズミみたいにウロウロさせられました・・・もう1時間、上演時刻を早めて頂きたかったです。
 

渇いた蜃気楼

渇いた蜃気楼

下鴨車窓

本行寺(岡山県)

2015/09/26 (土) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

スタジオならではの演劇
 四畳半くらいの一室に必要なアイテムを詰め込んだ、コンパクトな舞台。
 照明もシンプル。BGMは蝉の声と風鈴の音。
 ( 客席がコンパクトだった・・・のはこっち側の理由ですね。京都からいらしてくれた皆様にはホント申し訳ありません・・・)
 それでも、その空間は水不足で渇いた、でも蒸し暑いアパートの室内に成りきっていた。
 冒頭のくどくてうっとおしい、噛み合わない会話と行動が延々続く間にそういう空間が出来上がっていたのだ。見事だと思った。
 
 実はこういう息詰まる濃密な空気、割と好きだったりするのですが、
 ただ、この完璧とも思える疑似空間の中で展開されるドラマが、いまひとつな印象を受けた。
 生焼けの料理を食べさせられた様な、寄生虫の卵を飲まされた様な、未消化で不気味な後味だけが残った。 
 サプライズは要らないけど、もう少し盛り上がり、いや揺さぶりが欲しかった。私の好みからすれば。

ネタバレBOX

・・・私の耳が悪いだけかもしれんハナシ・・・。

 彼等の故郷の名前が、最初“マスコミ”に聞こえたせいで、暫くの間、「このヒト、どんな有名人だったのだろう?」と首を傾げてました。
 仲間内では“市”だの“町”だのは付けないの当り前だからこそ、紛らわしい固有名詞を創作しないで欲しかったです。
くろねこちゃんとベージュねこちゃん

くろねこちゃんとベージュねこちゃん

DULL-COLORED POP

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

ナットクのお芝居。
・・・なんていうか、解り易いんです、登場キャラクターが。

 「よくある熟年離婚話」とかで出てきそうな家族、と言ってしまえばそれまでですが、“こんなバカな女居ねえよ”とか“こんなキモイ男嫌じゃ~ん”ってツッコむ人が居なくて、“あ~~~、居る居る、こんなヒト。”と苦笑してしまう人達ばかり。だから、各人の心理の状態や、ここでどう動くかがなんとなく予測がついたりするのです。勿論、俳優さんの確かな演技力がそれを完成させているのでしょうが。

 予測がつく分、サプライズ感もスッキリ感も希薄な結末と言えるかもしれません。誰が間違ってたのか、誰が悪かったのか、じゃあ誰がどうすれば良かったのか、それは観客一人一人が感じ、考え―――でもきっと正解なんか無いんでしょうけどね。

 それでも、引き込まれる様に見入ってしまった・・・んだから、やっぱり「面白い」と言わざるを得ないと思いました。

33

33

EN劇集団さんたばっぐ

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2015/08/01 (土) ~ 2015/08/02 (日)公演終了

う~ん・・・
 こういった話は、ゲームをやる人間にとってはあたりまえ・お約束といった筋立てなんでしょうね。だから、「面白く」しようと脚本を練りに練っているのは察せられるのです。
 ただ、ゲーマーでない私―――としては、キャラクターに感情移入する事が出来なかったし、ブラックジョークとして笑いとばすことも出来なかった。だから一寸残念な作品でした。

岸田國士戯曲

岸田國士戯曲

劇団SOFT GEAR

上之町會舘(岡山県)

2015/07/04 (土) ~ 2015/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★

なぁるほど!the 赤木わぁるど!
行って良かった~~~。
 「オモシロサ」の平均点という点では星4つを選んでしまうけど、でも「古臭くて堅苦しい演劇なんだろう」なんて決めつけてたら・・・うふふふ。これは見た人間だけのお楽しみなんだよね~~~。詳しい感想はネタバレの方に書き加えておきます。
 ずっと以前に、ザキさんがおっしゃってた(「パレード旅団」の時、と記憶している)、「赤木さんが演出すると、全然別の物語になりますから・・・」という言葉が今回しみじみと甦りました。恐るべし、赤木マジック!・・・でもそろそろ、福井脚本も恋しいなぁ~~~。

ネタバレBOX

以下は観劇順。

①「かんしゃく玉」

 男と女、それぞれがブチ切れる度にかんしゃく玉を取り出して投げつける。大きな事件とかは無いのだが、それでも男と女の「かんしゃく」の種は尽きない。
 面白くないワケでは無いけど、大笑いしたり感動したりのドラマも無いので、正直ちょっとばかり退屈を覚えました。「癇癪玉」(遊んだ記憶が無いので解らん。ヘビ花火が好きなクラい子だったから。)というスラップスティック的アイテムを生かしてもっと笑いが取れるコミカルな演技をすれば笑いが取れるのに、とも思いました。後になって気がついたのですが、癇癪を起した側よりも、後ろでそれを見ている相方の表情を「見せたかった」のではないか、と。“なんかワカランが、突然不機嫌になった”だの、“何でこんな事で腹立てるんかな、このヒト”という具合に、気持ちが完璧に擦れ違ってるんです、男と女って。まぁ所詮は脳みその造りが違うんだから仕方無いっていうのは今やジョーシキなんですが、理窟を知らなくても百年近く前にそれを笑いのネタにしてた、っていうのは・・・やはり凄い事なのかな。

②「命を弄ぶ男ふたり」

 それぞれ失恋した男が二人、夜の踏切で列車に飛び込んで自殺しようとするのだが―――おそらく台本だけ読むと最も苦手な、たった二人の対話劇。だがそれが失恋エピソードに似つかわしく無い(失礼wwwでもどうもウソっぽく聞こえて聞こえて・・・)お二人が足を引っ張り・・・いや、競い合うもんだから、それだけでもう笑えてしまう。
 そして一番のお気に入りがここを通る「列車(たち)」。これがもし大きなホールだったらさして面白くなかったかも。でも「客席より舞台の方が広いんじゃね~か?」的な今回の設営。この、擬人化された列車(たち)の一両ずつの表情までもがはっきりと見えちゃうからオカシイのなんの。
 文句無しに楽しかったという点では、今回の一等賞。勝手にタイトルを「ザワメク夜に命を弄ぶ男二人」と変えたくなったきやまさんでした。

③「紙風船」

 “結婚一年後の日曜日をいかに過ごすか”で悩む夫と、休日を楽しみにしている妻の、妄想アレコレ。
 男と女の擦れ違い、というテーマでは「かんしゃく玉」と似ているのですが、こっちは基本、夫婦ふたりが各々の「やりたいコト」を延々話し合ってるだけ。最早喧嘩も癇癪も起こらない、交わらない「一年目の惰性」ってトコか。
 近所の子供がついて遊んでいる紙風船を男女間の付き合い方に重ねて、さり気無くつぶやく妻。それを知ってか知らずか、「犬でも飼うか」と欠伸をする夫。詮索しすぎかもしれないけど、この夫婦、本当は子供が欲しいんじゃないかな。台詞には出てこないけど。そう考えるとちょっぴり悲しくもある夫婦の姿でした。
 余談ですが、妄想エピソードの中で「命を弄ぶ男ふたり」とちょこっとだけリンクしてます。A組・B組の上演両方を観た人だけにしか解らない小ネタ。これは恐らくギアのオリジナル部分なのでしょうね。

④「パン屋文六の思案」

 順風満帆とはいかないが、そこそこありふれた平和な日常を描く前半から、“もしも明日地球が滅亡するとしたら、最後の一日をどうしたいか”という良く有るお題の後半ドタバタ劇へ。
 要は、“普段そう大切とも思えなかったものが、ホントはかけがえのない幸せなんだよ”、という事なのだが、こういうのって大概「噂はデマでした、ちゃんちゃん。」でオチがつくのに、今回ドタバタしたまま唐突に終わってしまうのだ。元々の脚本がそうなのか、尺の都合で赤木カットが入ったのかは不明。「え?これでお終い?」と口あんぐり開けてたらカーテンコールだもの。正に衝撃のラストじゃて(笑)。
 あ、この話も「かんしゃく玉」とちょこっとだけリンクしてます。それから、「17歳の泣き方をしなさい」という台詞はロドさんのアドリブなのかな?思わず笑ってしまいました。ゾエンヌ様、お許し下さい。
輝き丸

輝き丸

EN劇集団さんたばっぐ

倉敷市芸文館 ホール(岡山県)

2015/02/28 (土) ~ 2015/03/01 (日)公演終了

チャレンジ!
 意欲作であり野心作でした。市民ミュージカルという枠ならではの「チャレンジ」というか、新しい試みが多々盛り込まれていた様に感じられました。ひとつひとつの効果がどうだったかは観客によって違ってくると思うので、一概に評価し辛いですけど。
 ストーリィは解り易かったし、殺陣も迫力があったので、舞台としては纏まっていたと思います。

a walk in the life

a walk in the life

EN劇集団さんたばっぐ

倉敷市芸文館 アイシアター(岡山県)

2014/12/13 (土) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

シンプル・イズ・ザ・ベスト
 老若男女に解り易い、普遍的なテーマが、ストレートに語られていました。賛否は色々あるかもしれませんが、私的には単純明快な方が好きなので○です。
 前回同様、音楽が重要な“手法”として活かされていて、最早「コラボ」というか・・・いえ、「輝き丸」も益々楽しみになってきました。

いるじおん-忍者編-

いるじおん-忍者編-

劇団SOFT GEAR

奉還町りぶら(岡山県)

2014/11/28 (金) ~ 2014/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★

これでいいのだ。
 あくまで推論だけど、「いるじおん」は、みんなが知っている“アノ○○”みたいなのを演りたい様に演じる、ってゆーソフトギア側のもーそー力と、スーツも着ぐるみもアイテムもメカも巨大装置も無いけど、それが有るものとして観る、ってゆー観客側のもーそー力が揃って、初めて成立する作品だと思うんです。だから、ぶっちゃけ「楽しんだ者勝ち」なのよね。幾つかの「惜しい!」は残ったけれどまぁこれはコレでOKかな。
 あと、「完全予約制」にはびびったのですが、私が観た回は全て「当日券有ります」状態(いざとなったら「立ち見も有り」みたいだった)でした。一寸淋しい・・・気もしました。

ネタバレBOX

 不満・・・な部分です。「もーそー」世界なので、細かい事は気にしないのがお約束なのですが、杉下右京の半分位はツッコミ入れちゃいます。

 もう少し、各組で話の展開が変わっても良かったのでは?と残念に感じた。2回目以降の観劇の「意外性」が薄いのだ。ま、それをやると照明さんと音響さんが4時間分の手順を台本無しで暗記しなければいけないから出来ないってゆーのは解ってるんですが(笑)。
  それと、ラスト、ニンジャワンの感動的走りで終わったけど、「忍びの里以外の人類は大丈夫なのか!?」と心配してしまった。そこらへん不充分なトコロとか、「無理」「雑」な設定が気になりました。「もーそー」をかきたてる「ヴィジュアル説明」もやや不足気味っぽい。30分という上演時間では省略するしか無かったのかもしれないが、必要とあらばナレーションを挿入するとかして基本をきっちり納得させて欲しかったです。
 
☆ROBOPON☆ 

☆ROBOPON☆ 

劇団「作戦会議」Z

上之町會舘(岡山県)

2014/11/22 (土) ~ 2014/11/23 (日)公演終了

満足度★★★★

作戦は作戦だから・・・
 最早、ここのカラーというか、魅力を知らない人は客席に居ないと思うので、ある意味安心の舞台と言えますよね。
 でも今回、アノ!風早さんのはっちゃけ振りが凄くって・・・いや、熱演で、テンになった目からウロコが2・3枚落っこちた気がします。ダブルキャストの煌さんが観られなかったのが残念です。

ヒネミ

ヒネミ

劇団SOFT GEAR

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2014/07/05 (土) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かったです。
 面白かったです。絶妙なタイミングで繰り出されるギャグに笑わせて頂きましたし。

 謎が解けて縺れた糸が1本に展ばされる、という様な痛快感はありません。どっちかっつーと、解んない事だらけです。・・・でも、いいかな、って気持ちになりました。だって小さい頃、大人達の会話の「アレ」や「○○さん家の××さん」って、子供にはよく解らんシロモノだったし、解らんでも構わないシロモノだったもの。今の様に多機能電話もスマホもGPSも無い時代、メモと記憶だけを頼りに生きてた時代、不便だったかもしれないけど、とても愛おしい時代。ちょっと懐かしく思い出せました、私自身も。
 「記憶」は確かにあやふやでいい加減で、絶えず移ろう厄介なシロモノですが、それはそれで・・・やっぱイイじゃないの?覚えておこうとする事こそが大切なんですよね?とも。
 だから、サスペンスでもホラーでも無く、怖ろしいモノでも無く―――記憶のなかで甦ったゲンイチロウ兄さんはあんなにも清々しく優しかったのでしょう。動くことも語ることも何も許されない亡者が、唯一存在していいのは、生者の記憶の中だけですから・・・。

パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

おぼんろ

ルネスホール(岡山県)

2014/06/27 (金) ~ 2014/06/28 (土)公演終了

満足度★★★★

百聞は一見に如かず
 なんたって、都会の小劇場系の公演を岡山で観る機会は限られているので、この公演を実現させてくれた全ての人々にまずは感謝。無論「おぼんろ」は初体験です。井の中の田舎者がなんか言ってるよ、と笑って許して下さい。

 まず感じたのは、とても観客(参加者)に対するサービス精神が強い劇団だという事。常連・リピーターを最優先。客入れの段階で俳優(語り部)が案内してくれて、早くも観客に接してくれる。客いじりや全員参加の掛け声はその都度変わる模様。上演中の撮影録音は全てOK。客出しでは2ショット・サインも好きなだけ。ここまでされたら悪い気はしない。どうやったらマンネリにならず一回一回、楽しんで貰えるかを、常に工夫している。「客に媚を売ってる」という批判もあろうが、私的には◎。

 そして、パワフル。桟敷席の間に造られた花道を縦横無尽に走り廻り、でんぐり返る。皆、汗だくで、それでも台詞は息を切らさず、きっちり言い切る(歌は一部口パクだった様だが)。これは本当、感動モノでした。難を言えば、走行中の事故防止の為、劇場内が明るい時間が多い。なので、他の客の顔など関係ないものも目に入って、その分緊迫感がちょい薄れる。でもこれも集中力を鍛えれば乗り切れる・・・カナ?

 んで、ヴィジュアル面はというと、これは結構ポイント高し。舞台の造りも面白かったし、ボロ布を裂いて作った様な衣裳、岡山市民には「うらじゃ」で馴染深い地下足袋。そして金色の髪・白塗りにクラウンの様なアイメイク。何だか昔絵本で見た様な幻想的な光景が広がっていました。言葉で説明するのが難しいのですが、劇団四季の「ユタ」や「CATS」が好きな方にはおススメかもしれません。

 最後に、この独特のカラーは恐らく好き嫌いが激しく別れるだろうという事。病みつきになって通いつめてしまう人がいるのも頷けるし、馴染めなかった人が拒絶するのもなんとなく解る。だから、「おぼんろ」行こうかどうしようか迷っている人は、他人の書いたレビュー読み漁って頭で損得考えるより、一度だけ劇場に足を運んで、自分自身の目で耳で肌で、舞台に触れた方がいいと思うのです。

ネタバレBOX

 星1個マイナスの理由

 これも好みに拠る所が大きいのだけれど、最も引っ掛かったのが、観劇後、心に残るものが「暗い」事です。
 “信じれば願いは必ず叶う”、“世界がどんな状況でも、何が何でも笑ってやる”等、末原さんの信念がテーマとして伝わっては来る。でも、現実世界の“うまくゆかない部分”の描写が妙にリアルで丁寧なので、むしろそちらの方が後味の悪さとして尾を引いてしまう(訴えたい気持ちは解るが・・・)。ついでに、“一人一人の力ではどうしようもない”という諦めみたいなものが根底にあって、タックが起こしたささやかな奇蹟は3匹と1人のちっぽけな自己満足に終わってしまって、冷静に現状を鑑みると明るい要素は全く無くって、お先真っ暗な終末が待ち構えているとしか思えない。文句無しの大団円や世界を変える英雄譚が必要だとは言わないが、「お友達を連れて来る」事を躊躇せざるを得ないし、トラウマになりそうで子供には見せたくないという気がするのだ。
末原拓馬×OKAYAMA HOKORI

末原拓馬×OKAYAMA HOKORI

現代演劇on岡山

陰涼寺 駅東創庫(岡山県)

2014/05/23 (金) ~ 2014/05/24 (土)公演終了

満足度★★★★

共演?競演?
 お寺の本堂というのもさることながら、ギタリストと役者のコラボというのも斬新でした。最後には全ての断片が繋がり合って一つの物語になる辺り、末原マジックお見事でした。
 けれど、「1時間」の予定がほぼ倍になるという語りの間中、ず~っとギターを奏で続けたナカムラさんの根気とテクニックは特筆に値します。あ、それと開き直った末原さんの「女装」も。

わが町

わが町

演劇on岡山

ルネスホール(岡山県)

2014/03/23 (日) ~ 2014/03/24 (月)公演終了

満足度★★★★

何故この脚本なのかという問いへの答え
 百年も前の、アメリカの片田舎の小さな町の、平凡な人々のごくありふれた1日を紡いだ第一幕。 第二幕は、その3年後に町で誕生したカップルの結婚式。 正直、眠気を誘う様な退屈さを抱いていましたが、9年後の第三幕の展開で、今迄の登場人物、エピソード、「あぁ、どうしてもっとしっかり視ていなかったんだろう」と悔やまれる事態になってしまうの」でした。
 震災や原発事故で“絆”が叫ばれるのを他所に、災害と無縁な「わが町」に住む私達は、「ありふれた日常を生きる」事がどれほど有難い事なのか気付けないでいます。 一人でも多くの岡山県人に観るべき一作だと思います。
 余談ですが、児島からの引力を振り切って岡山市民会館から駆けつけた最大の誘因は、出演メンバーの中に「関美能留」の名前があったからです。どんなパワフルな演技をされるのか、興味津々だったのです。でも予想に反して、凄く控えめで、目立たない・・・いえいえ、それが大切だっていうお芝居ですものね。

 

アクアリウム

アクアリウム

DULL-COLORED POP

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇にしか出来ないこと
 レビューを見ると、「面白かった」という評価と「よく解らなかった」という意見の両方がある作品。・・・実際に観て「な~るほど」と変に納得してしまいました。
 水槽内の病気の話や、“○か的”刑事や、犯人オチや、・・・予想したり深読みしたりして見事に外されたり、逆に演出や役者のお遊びに全く気付かなかったり・・・演じる側と観る側が必ずしも「解り合えない」距離感が「面白い」、そう思う事が出来たから。
 開演前に演出家が飄々と「これはお芝居ですから云々」とのたもーた通り、これは「お芝居」なのですね。「劇場ならでは」の。だって活字で語れないもの(笑)。

ネタバレBOX

 後で教えて貰ったのですが、例の「アレ」、皮は本物ですが、中身はニセモノだそうです。いくら「お芝居」でも、食べ物を粗末にしてはいけませんよね。
西暦12014年の冬

西暦12014年の冬

現代演劇on岡山

ルネスホール(岡山県)

2014/02/22 (土) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★

ラストが・・・
 お芝居そのものが魅力的である事は文句の付け様がありません。綺麗で哀しくて、残酷で、優しい。この世界を確立するには、それ相当の積み重ねがあっての事だと察せられます。「末原童話」の魅力、もっともっと多くの観客に味わって貰いたいものです。
 
 ストーリーのラストについては、少し引っかかりが残りました。“どうなるの?”と昂まった所で唐突に終ってしまった気がして。「え?それから?」と戸惑っていたら、もうカーテンコール。余韻を味わう暇も無く。
 もう少しだけ、甘い夢が欲しかった。おっしゃる通り、誠実で真面目な末原さんの人柄から生まれたラストシーンなのは解ります。実際に保健所で殺処分される犬猫の数字は厳しい現実を突きつけてきます。“コイヌはタスカリマシタ。メデタシメデタシ”なんてのは滅多に起こらない美談だからこそニュースや映画になるんですよね。
 だけど、“現実”と隔絶された“芝居”の持つ役割って、何なのでしょう? 「これが現実なんだよ」を教えるばかりじゃない筈です。折角、“想像力”のパワーを駆使して、一万年後のヤクタタズの夢の世界に連れていってくれたのに・・・。
 あざとい嘘で騙してくれとは言わないけど、もう少し、上手い魔法の掛け方、研究して頂けないでしょうか。あくまで私個人の我儘ですが。
 「一期一会」を大切に、その日に思いついたアイデアも即実行して舞台に生かす、そうやって生まれ変わり続けた作品だそうですね。ですから、これから先も、更なる進化を期待しております。

空を見る人

空を見る人

劇的集団 転機与砲

倉敷市芸文館 アイシアター(岡山県)

2014/02/22 (土) ~ 2014/02/23 (日)公演終了

満足度★★★★

品質は御墨付き
 “テンキヨホウはハズレたけど・・・”なぁんて唄がTVから流れてましたが、“外れ”が無いのが転機の舞台。
 劇団としての体制がとてもしっかりしているので、台本から演技まで、一定のレベルがキープされていて、安心して観る事が出来ました。反面、先の展開がありきたり過ぎるという感もありますが、これは好みの問題でしょう。

 ただ、個人的に・・・イチャモンを付けさせて貰うと、
 「アレン、目立ち過ぎ。」
 ネタも笑いも腐女子の視線も、果ては作品タイトルまでも、みんなみんなアレンが持ってっちゃった。
 結果として、本来の主役・ギルとヒロイン・ジュリアが“転機”を得て迎えた筈のラストシーン(あんまし手放しで喜べる状況でもないのだが)がいまひとつ精彩を欠いて終ってしまった気がします。・・・まぁ、個人的に・・・嫌いじゃないけど、こうゆうキャラ(笑)。

 次回は更にパワフルでもっと暑苦しい舞台、期待しています。

灯シビ目指シテ歩メドモ、

灯シビ目指シテ歩メドモ、

劇団SOFT GEAR

岡山県天神山文化プラザ ホール(岡山県)

2014/02/15 (土) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

「身動ク事モ叶ウマジ」
 各エピソードの詳細は膨大すぎて書ききれないので、全体的な感想だけを。

 「ザワメク夜」の25年前の幼少時エピソードから、1年後の後日談まで、バラバラに配置したオムニバスなのですが、予想通りの展開だった事もあったし、10年目に初めて明かされる真実もあったりして・・・。でも「ザワメク夜」がとても思い入れのある作品なだけに、再演してくれたというだけで、嬉しい事なのです。
 その「ザワメク夜」は、後日談との絡みで、ラストが変更になっていたのを除けば、台詞などもほぼ10年前のオリジナルと同じだった様な気がしますが、周囲のエピソードが加わったことで、印象も微妙に変化したりするのだと・・・一寸驚きでした。なんだろう・・・例えるなら、「大好物の和食材が、未知の外国料理でドン、と出されて、戸惑いながらも完食した」後の様な・・・“コレもアリかな?アリだよな・・・ウン”・・・そんな感じ。だから、「面白かった」のですよ、「多分」。

 ただ、我儘を言わせて頂くと、鈴虫の鳴く真夏の息苦しいストーリーを、風邪っぴきの着膨れ状態で鑑賞した私は「もう半年後位でやって欲しかったなぁ・・・」と心密かに思ったのでした(舞台衣装も季節感出るものになるし)。

山月記の夜

山月記の夜

劇団SOFT GEAR

岡山禁酒會舘 中庭(岡山県)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

参組:「これがソフトギアの面白さだよ~ん!」
 “チームびっくり箱”はさしずめ大リーグボール。
 キャスティング見て、「あ、空也さん、またニューハーフ演るんだ~」と思ったのですが、今回は一応“彼”。・・・もしかしたらゲイかもしれんが・・・。タッグ組むのは未知数俳優・タケナカ君の“男”。・・・あんまし嫁や子供が居る様には見えんが・・・。そして、一番の特徴は朗読役のロドさんとゴトウちゃん。他の組の朗読が白菜漬けや沢庵で、「ボクら、メインディッシュとご飯の為に頑張りま~す。」だとすると、いきなり大皿に盛られた激辛キムチを喰らったカンジ。只の添え物じゃあ終わりませんぜ。
 とにかく、4人全員が自己主張。仁義なき戦いが静かに繰り広げられて、誰が何所でどうしているか、もう一瞬たりとも目が離せない! 選り取り見取りの個性派俳優を取り揃えてるソフトギアの強みですね。個人的には・・・・一番好きかも。

山月記の夜

山月記の夜

劇団SOFT GEAR

岡山禁酒會舘 中庭(岡山県)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★

弐組:「これがソフトギアの魅力よね!」
 個性派女優織田殿による“女”と、流される不遇な演技に定評のある(?)書上氏による“男”。飴色さん(これからというのに、退団だなんて残念です。またいつか戻って来て下さい。)とポチ君の語り口はなんだか可愛目で、それがトトカマっぽい雰囲気を出してます。“チームライン”は所謂変化球かな。
 ストーリーを引っ張ってゆくのは“女”なので、極端な話、“女”のキャラクターによって、話の雰囲気がガラリと変わるし、「この後どうなるのか」という予想も違って来るのです。織田さんの“女”は、最も“コワイ”女。よりにもよって、この“女”と出逢ってしまった男は本当に不運。私が観たのが、夕暮れ時でタイムリーにカラスの啼き声が響き渡った(野外劇ならでは!)りして・・・正にホラーの世界。「怖え~~~。けど、こういう“大化け”が拝めるのがソフトギアの醍醐味だ。」・・・そう思うのです。

山月記の夜

山月記の夜

劇団SOFT GEAR

岡山禁酒會舘 中庭(岡山県)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★

壱組:「これがソフトギアの実力だ!」
 脚本・演出の福井女史もブログでおっしゃられてたのですが、企画・・・というか、この公演自体がとても斬新で興味深かったです。
 まず「野外劇」の会場。大正時代に建てられたこの木造建築を、中庭の客席から見上げると、木造アパートの階段や通路の如き光景が広がっているのです。そう、なんと予算も手間も労せずして、2階建てのセットをちゃっかり調達しちゃってるんです。これはアイデアの勝利ですね。
 「朗読劇」というのは、元ネタである「山月記」の内容と、台詞以外の“ト書き”をまんま読み上げてストレートに観客に伝える為の方法。だけど不思議な事に、整理された文語体っていうのは案外すんなり頭に入ってくるのです。
 そして「トリプルキャスト」!!! 4人×3組、代役を除けばダブリ無し。しかも稽古は別々、他所のチームがどうなっているのか、知っているのは演出(1人で3通り!なワケだ)の福井女史と裏方だけ。このミステリアスさに、ギアファンは「全チーム制覇!」を決めたのです。

・・・で、壱組です。
 スター赤木による“男”と大女優ゾエンヌ様による“女”。「ハズレ無し」のこの二人が飾る千秋楽(初演は初演で、嵐を呼んで大雨警報まで出してまさかのホール上演となりましたとさ。)は超満員。新人の友森さんは、はきはきとした語り口。重さんも淡々とした朗読。最もストレートな剛速球的「山月記の夜」・・・のハズなのだが、スターのアドリブや台詞のプチ変更が結構多かったのが、この“チームドラゴン”。流石、遊び心は忘れない。ちなみに、「男が今迄に聞いた事の無い声」については、一番凄みがあったのが(それ以外は一番明るい女なのに・・・)ゾエンヌ様でした。

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