ksdの観てきた!クチコミ一覧

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某日快晴ワレ告白セリ

某日快晴ワレ告白セリ

タッタタ探検組合

ザ・ポケット(東京都)

2013/11/13 (水) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★

定番的な展開なれど笑いのツボを押さえた サービス精神溢れる舞台
 今から25年前にタイムカプセルに入れた手紙と共に、心に引っかかりのある男子中学生が淡い思いを抱いていた謎の美少女の転入から転校までの中学時代のある短い時期を回想するという物語で、物語の展開自体は定番的で安心してみられるものでしたが(手紙の朗読の後のあのシーンはちょっと微妙でしたが)、登場人物の中学生や先生たちがとてもよく設定されていて俳優の方々も実に生き生きとした演技をされ独特の味わいのようなものが滲み出ていてとてもよかったと思います。笑いのツボをきちんと押さえた演出が見事な、観客の方々に気持ちよく楽しんでもらいたいという劇団のサービス精神が溢れた実に楽しい舞台でした。

こんこんと、

こんこんと、

green flowers

シアター711(東京都)

2014/04/16 (水) ~ 2014/04/20 (日)公演終了

満足度★★★★

人の縁
 タイトルからは少しずれがあったり最後は加速がかかりバタバタ感があったものの、いろいろなタイプの登場人物がうまく設定配置され、彼らのなにげない会話の中に、複雑な家族関係やそれぞれが抱える事情や心の痛みといったものが直接的あるいは間接的に上手に表現されており、また、作者自身のことやカンパニーの内輪のことをいっているのかと思わせるようなセリフもあり、その軽妙なやりとりがおもしろく、演技力のある役者陣と自然でありながら巧みな演出に支えられて、約1時間40分飽きさせない作りの作品になっていたと思います。

ネタバレBOX

 笹塚さんの正体は途中から予想がつきましたが、ジュンさんと詩月さんの関係までは予想はつきませんでした。
 家族の物語ということでいえば、鄭義信さん、早船聡さん、田村孝裕さんらの描く作品世界に通じるものがあるかなという印象も残りました。

 また、小劇場では芝居に精一杯で観客側にまで配慮が届かないところが多いのですが、客席に適度な段差があり座席も千鳥に配置され観劇しやすくなっていました。なかなか観客側に心配りのある優しいカンパニーでもあると思いました。


いつかの膿

いつかの膿

VAICE★

駅前劇場(東京都)

2016/03/01 (火) ~ 2016/03/06 (日)公演終了

満足度★★★★

人の心の奥底にあるもの
生きている人間の現在、その人間誰しもが心の奥底に抱えている欺瞞や傲慢さといったものが次第に露呈してゆく様が緻密に描かれ、緩急のバランスがうまくとれていた作品だったと思います。
上演時間約100分。

ネタバレBOX

 小劇場楽園や小劇場B1の規模をやや大きくしたような感じで舞台に対して
客席が設置されており、観る位置によって受ける印象は少し変わるかも
しれません。

 立派なソファーから小さな椅子まで小道具の椅子がいくつかあり役者さんがそれぞれ芝居の間座る椅子を次々に移動するとともに3つのドアを出入りしてめまぐるしく立ち位置を変えてゆきます。もちろん、客席の配置の関係から観客に公平に役者さんの表情をみせる意味もあるとはおもいますが、その動きをみているうちに自分の居場所それも自分の身の丈に合った居場所を求めてさまよう孤独な人間の姿がそこにあるようにも思えてきて、実にいすの使い方が効果的な演出(ある意味役者泣かせの演出だったかもしれませんが)だったと思います。
ハイキングフォーヒューマンライフ2014

ハイキングフォーヒューマンライフ2014

劇団PATHOS PACK (パトス パック)

「劇」小劇場(東京都)

2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

バランスがよくとれている作品
 一方的に思いや考えを押し付けたりまた観客の想像力に完全に丸投げすることもなくそのぎりぎりのところで話が展開されていてバランス感にすぐれた作品になっていたと思います。

夜と森のミュンヒハウゼン

夜と森のミュンヒハウゼン

サスペンデッズ

吉祥寺シアター(東京都)

2015/01/24 (土) ~ 2015/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

人の心の闇の深い広がり
 一筋縄ではいかないやっかいな代物である人の心の闇の深さや広がりといったものを実にうまく扱っていた作品だと思います。

ネタバレBOX

 女主人公が心の底に潜り夢と現実が交差しながら展開する凝った構成や登場人物の配置配役(アユミとサキ、クロ以外は対をなす一人二役など)が表層と深層を行き来する人の心の複雑さを表しているようにも感じられました。
 同様に人の心の奥底を扱った最近の作品としては、趣きは異なりますが、、例えば、モダンスイマーズの最新作「悲しみよ、消えないでくれ」は、雪深い山荘を舞台に死を巡って現実に追われ生きている人間の欺瞞や醜さが露呈してゆく様が実に緻密にうまく描かれていたのが深く印象に残っています。




深海大戦争

深海大戦争

パラドックス定数

上野ストアハウス(東京都)

2016/04/05 (火) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

神vs.知性
 大義としての神を手にした抹香鯨一族と武器としての知性を手にした大王烏賊一族との北極海での最終決戦の結末はいかに。進化を大きなテーマのひとつに展開される物語(異種間だけでなく有機物と無機物の間でも共通言語で意思疎通できることが当然暗黙の前提になっていますが)ですが、キャラクターがより魅力的になり緩急が効いた台本と照明効果が抜群で、シェイクスピアの史劇的な雰囲気も漂う、見事なリターンマッチの作品になっていたと思います。
 上演時間は約1時間45分。

ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー

華のん企画

あうるすぽっと(東京都)

2013/07/11 (木) ~ 2013/07/16 (火)公演終了

満足度★★★★

シンプルだが心に残る
 子供も含め現代の日本人でも話の流れが理解しやすいように脚色、演出がされています。派手なセットとかはなく机と椅子を使うだけのシンプルでさらに一人何役もこなす演出法ですがそのためかえって役者さんの力量が如実に現れ一寸たりとも手が抜けない作りになっています。
 今回の場合、シーザー暗殺までは前説的なちょっとしたもたつき感がありましたがその直後からブルータスを軸にして話が展開しあっという間に2時間経ったのも忘れるくらいに引き込まれていたというのが正直な感想です。
 暗殺直後のブルータスとアントニーのローマ市民への演説の場面は、巧みな言葉のレトリックと論理力(というか説得力)によってころころと心変わりしてしまうというか操られてしまう虚ろげな大衆の様が実によく表されていたと思いますし、またラストの、人々が倒れ崩れてゆくシーンも音楽と相まってこれ以降のローマの歴史を暗示しているようで大変印象的でした。

ヘンリー四世

ヘンリー四世

明治大学シェイクスピアプロジェクト

アカデミーホール(明治大学駿河台キャンパス)(東京都)

2013/11/08 (金) ~ 2013/11/10 (日)公演終了

満足度★★★★

コンパクトながらも独自性溢れる仕上がりの作品に
 おそらく今年の4月に蜷川演出の「ヘンリー四世」を観ていた影響もあったと思いますが、はしょりすぎの感がややあるかなという気がするものの、見せ場を絞ったメリハリをつけた場面構成でコンパクトながらも学生さんらしい独自性がよく出ていた(全体としてみるとフォルスタッフがいわばトリックスター的な役割を果たしていたこともよくわかるなど)史劇エンターテインメント作品になっていたと思います(第一部だけでもまともにやると3時間くらいかかるのですが、それを今回は第一部、第二部の連続上演で3時間に収めたということで翻訳、台本の方々は取捨選択も含め相当のご苦労があったのではないでしょうか)。効果音を含めた音響や音楽を生演奏で行っていたのも新鮮な感じを与えていてよかったです。
 「ヘンリー六世」と並び「ヘンリー四世」は長編史劇であるためか全パートが連続上演される機会があまりなく、プロジェクトに参加された学生の皆様にとっては大変有意義な思い出に残る体験だったのではないでしょうか。また、私にとっても、今回、蜷川版とMSP版の「ヘンリー四世」をあまり間を置かずに共に観劇できる機会を得られとても有意義な体験をさせて頂きました。

ネタバレBOX

 今月、第一部と第二部の連続上演でありかつその編集版という意味で形式が同じ蜷川版の「ヘンリー四世」の収録舞台の放映がWOWOWであるようなので、ご興味のある方はご覧になって違いをあれこれ見比べてみるのも楽しいかと思います。

 蜷川版とMSP版の演出方法で顕著に異なるのはその舞台の使い方ではないでしょうか。蜷川版では舞台の奥行きを活用して縦方向に登場人物たちの登場、退場と装置の移動をさせることで演出効果を高めていましたが、MSP版では舞台の横方向と上下方向をうまく活用することでその効果を出していたと思います。
青い童話と黒い音楽

青い童話と黒い音楽

ロデオ★座★ヘヴン

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2013/11/20 (水) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

観るものの心を捉える独自の物語観が描かれた作品
 本当の音楽を極限的に追い求め続けた者の姿の苦悩を描いた「夜鷹無限上昇」、星と深海の世界をうまく呼応させて描いた「深海のカンパネルラ」共に宮沢賢治の原作をモチーフにしながらも作者ならではの、観るものの心を強く惹きつける独自の物語観が形成されていました。演出面も脚本のイメージをうまく膨らませるような工夫が凝らされており、中でも、第一話と第二話のなめらかな接続や陰影の使い方の冴えが際立っていた印象を受けました。役者の方々も、がっぷりとこの作品に取り組んできたことがひしひしと伝わってくるなかなかよい演技をされていたと思います。

ネタバレBOX

 次は、「マリー・ボドニック」の中井さんの作品ということで、またどのように趣向のかわった作品をみせていただけるのか、今からとても楽しみです。
2番目の女たち。

2番目の女たち。

崖っぷちウォリアーズ

劇場HOPE(東京都)

2013/10/08 (火) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★

二面性
 最初ややぎこちなさというかもたつき感があるようにもみえましたが、全体としては人間の二面性というモチーフが首尾一貫していてとても見応えのある作品になっていたと思います。






花と魚(第17回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)

花と魚(第17回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)

十七戦地

王子小劇場(東京都)

2013/09/12 (木) ~ 2013/09/17 (火)公演終了

満足度★★★★

演劇的なSF作品
 最後はかなり性急な感はありますが、核心にじわじわと迫ってゆくストーリー展開の手腕は非常に巧みで素晴らしいと思います。照明、音楽の使い方も場の緊張感を高める上でたいへん効果的であったし、役者さんの力量の高さに加えあてがき的な要素もあったとは思いますが、登場人物と役者さんのイメージがとてもよくマッチしていたのもよかったです。
 ただ、他の舞台を観てもよくあることですが、方言のセリフははっきりとした発声をしないと聞き取りにくいところが出てくるのですが今回もそれがあったのは少し残念。

楽園の東

楽園の東

G・H・factory

新宿シアターモリエール(東京都)

2014/04/30 (水) ~ 2014/05/06 (火)公演終了

満足度★★★★

いろいろな思いを背負った人々の物語
 物語舞台の設定上、少し説明的になったり深いところまでは描写が届きにくかったかなといった制約はあったものの、登場人物たちの心情がよく描けていた舞台作品だったと思います。

ネタバレBOX

 喘息で病床にある映画会社の一助監督が終戦後の自分の家族とその周りを振り返りながら書き上げた映画の台本をもとに架空ではあるのですが撮影所のセットの中で物語が進行するという設定になっています。また、舞台で芝居中の時は舞台上手の上方にある撮影中のランプが点灯し、暗転の時は消えるといった、ささやかですがひと手間かけられている舞台でもありました。
きゅうりの花

きゅうりの花

ハイリンド

小劇場B1(東京都)

2014/04/02 (水) ~ 2014/04/07 (月)公演終了

満足度★★★★

テンポのよいリズム感のある舞台
 コメディ系の作品ですが起承転結がはっきりとしているというわけではありませんのでストーリー性重視の方にはなにか物足りなさが残るかもしれません。しかしながら、それぞれ悩みや問題を抱えている登場人物たちが絡み合っていく様を笑いを交えながら自然な感じで普段の生活にあるような会話の中で展開させてゆくその手法はとても見事でありまたそれをうまく活かすような演出がされていました。コメディ系の作品では、会話のリズムや間の取り方がとても大切になってくるのですが、ハイリンドのメンバーや客演の皆さんはこの間の取り方が実に絶妙で、ちょっとしたしぐさや表情の変化で微妙なその場の雰囲気や人物感情をうまく表現されていたと思います。

ネタバレBOX

 下北沢 小劇場B1は初めていった劇場なのですが、今回の作品では会場全体を上から眺めるといわば直角二等辺三角形の斜辺方向に舞台が、等辺の二つの方向に客席が配置されていてなかなかユニークでおもしろい舞台設置だと思いました。

陽だまりの樹

陽だまりの樹

劇団俳協

TACCS1179(東京都)

2014/05/28 (水) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★

舞台版として見事に再構築された「陽だまりの樹」
 今観るといろいろあるような気もしたのですが、久々に拝見して、やはり、人々やその生き様が物語として生き生きと描かれ見事に舞台版として再構築された「陽だまりの樹」だということを改めて思い起こさせてくれる力のこもった作品だったと思います。

ネタバレBOX

 横内版では、現在と幕末をつなぐ役割として、手塚治虫、その心の拠り所となっているシャドウとしてのアトム、女性新人編集者で進行役でもある松本を新たに造形しているところが特徴的で、皆生き生きとした魅力的な登場人物たちですが(以前の私の観劇の記憶ではそれぞれの役を中井さん、円城寺さん、深津さんと宮沢さんが演じられていました)、今回の舞台でも霜田さん、岡さん、三角さんがそれぞれの配役をその魅力を余すことなく見事に演じられていたところがよかったと思います。
 ただ、劇場の構造的な制約が非常に大きかったことやセゾン劇場での記憶が残っていることから来ていることはわかってはいるのですが、あえていえば、演出面では、手塚と良庵の早替りや最後の桜の大老樹が朽ち果てる場面(あのクライマックスで最期の一花を咲かせ花びらを散らせる場面はよかったのですが)、手塚とアトムがタイムスリップに使う机の使い方などはあともう少しという感は残りました。
愛人刑事

愛人刑事

★☆北区AKT STAGE

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2013/12/12 (木) ~ 2013/12/15 (日)公演終了

満足度★★★★

ストーリー性とドラマ性が加味され魅力的な仕上がりの 作品に
 普通ではないデフォルメされた設定での登場人物の深い描写や強引とも言える展開などいつものつか作品の特色を残しながらも、今回は(謎解きも含めた)ストーリー性とドラマ性がうまく加味され(脚本の渡辺さんの力量によるところが大きいとおもいますが)次から次へとセリフが押し寄せるというよりどちらかというと穏やかにじっくりと魅せてくれる仕上がりになっており、つか作品はどうも苦手という方でも(あまりクセは強くないので)十分楽しめる作品になっていると思います。


ネタバレBOX

 強いて言えば、だいぶ前に観た穏やかというか静かな「蒲田行進曲」(錦織一清、草彅剛、小西真奈美他の出演)にその感触が似ているような気がしました。
 また、今回はいつもよりも広めに舞台と中央通路が設定されているので、ダイナミックな迫力ある演技が楽しめるようにもなっています。

落伍者。

落伍者。

ラチェットレンチ

小劇場てあとるらぽう(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★★

絶妙な距離感で紡ぎ出される孤高の男の生き様の物語
 筋立てにやや粗さと強引さはありましたが、物語というか現実の話と落語の世界が適度な距離感で重なり合いながら謎解きも含めて絶妙な展開でみせてくれた、変わり者の天才落語家の生き様の物語だったと思います。

ネタバレBOX

上演時間は約2時間です。
兄弟

兄弟

劇団東演

あうるすぽっと(東京都)

2016/03/30 (水) ~ 2016/04/03 (日)公演終了

満足度★★★★

見事に再構築された舞台作品
 上巻の文革篇、下巻の開放経済篇と原作はかなりの長編で(舞台化ということでやや個々の人物描写が浅くなったり説明的になったりすることはどうしても避けられませんが)、それでもそのよさを活かしながらうまくエピソードを紡ぎ見事に再構築されていた脚本演出家の手腕そして堅実な出演陣の熱演が光る舞台作品になっていたと思います。
 上演時間は約2時間45分(途中休憩15分を含む)。

ネタバレBOX

 いのうえ歌舞伎《黒》『乱鶯』に登場する黒部源四郎の
「時流に乗れぬ者が滅びるのは世の常よ」のせりふではありませんが、
それをあたかも地で行くような物語(特に後半に)が展開しますが、実によく
人間の本質を突いているというかあさましいまでの人間の姿が描かれています。
 また、後半特に性的な描写が結構ありますが、そこはやはり演劇集団
「西瓜糖」の演出家の面目躍如ということでなかなかうまく演出されていた
と思います。

君がいく先に 光がさすように

君がいく先に 光がさすように

演劇企画ハッピー圏外

TACCS1179(東京都)

2013/11/07 (木) ~ 2013/11/11 (月)公演終了

満足度★★★★

前向きに凛として生きた女性の姿
 人は自分で生まれる時代を決めることが出来ないからこそ生まれた時代でいかにして前向きに生きてゆけばよいかということを、数々の苦難にもめげず前向きに凛として生き抜いた主人公の女性の姿を通して、改めて考えてみる機会を与えてくれる素晴らしい作品だったと思います。


地を渡る舟 -1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-

地を渡る舟 -1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-

てがみ座

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/11/20 (水) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

チームワークのよさと鮮明なイメージを呼びおこす舞台演出が際立つ作品
 ドラマという性格上、民俗学に精通している方々からみれば専門的に物足りないところがあるかもしれませんが、あの時代の民俗学のありようの一端をそのドラマを通して垣間見せてくれたことと役者の方々が生き生きとその個性的な役を演じられていたことからすると、とてもよくできた人間ドラマの作品であったように思います。
 また、限られた舞台装置を活用した、例えば長机とイスをうまく組み合わせて山道をつくりそこを宮本常一が歩いてゆくといった、イメージが鮮明に浮かんでくる舞台演出の冴えや暗転時で皆がてきぱきと動いて次の舞台設定を行うまさにチームワークのよさといったものがこの舞台を支えていたようにも感じました。

ネタバレBOX

 今回の作品は、強いて言えば、井上さんやマキノさんの描く評伝劇のスタイルに近いものの、、長田さんの場合、つかみどころの場面と喜劇性を帯びた息の抜きどころの場面の調子の落差といったものが比較的小さいため(長田さんの生真面目さとも関わっているようにも思えるのですが)つかみどころがあまり間隔を置かずに目の前に現れる戯曲スタイルになっているような印象を受けました。

帝国のクッキング

帝国のクッキング

劇団東京晴々

上野ストアハウス(東京都)

2013/11/29 (金) ~ 2013/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★

料理のありかたを再考させてくれる舞台作品
 食料が配給制になる直前の、家庭では料理は女性が行うものという時代の料理をめぐるお話で、料理に対する姿勢や考え方がそれぞれ異なる登場人物たちがうまく描かれていたように思います。
 また、はっきりとした場面転換の時はきちっと暗転して音楽でつなぎ、ちょっと場面を変える時は軽く照明を落としすぐつけるといった演出も話の展開の流れをスムーズにしていて効果的だったと思います。

ネタバレBOX

いろいろワケありと噂を立てられていた行商の香川さんの役どころがなかなかよかったと思います。

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