ksdの観てきた!クチコミ一覧

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ブーツ・オン・ジ・アンダーグラウンド

ブーツ・オン・ジ・アンダーグラウンド

燐光群

梅ヶ丘BOX(東京都)

2014/05/23 (金) ~ 2014/06/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

緑紙から始まる近未来的物語
 とある一人の重度障害の青年のもとに手違いで特別平和支援隊召集の緑紙が届いたところから始まりはては海外派遣にまで及ぶ近未来の物語で、障害者と健常者をテーマにおき現実とフィクションのマージナルバランスぎりぎりのところで物語性豊かに集団的自衛権の問題もタイムリーにからめながらさまざまな問題をうまく描き上げたその手腕は見事であり渾身の舞台作品に仕上がっていたと思います。

ネタバレBOX

 主人公の青年、その仲間、互いに心を通わすヘルパーの女性、支援隊の仲間、彼らを指導する自衛官ら七人の登場人物たちの人物造形が型にはまらず個性豊かに生き生きとした設定になっていて実によかったです。
三人吉三

三人吉三

木ノ下歌舞伎

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2015/06/13 (土) ~ 2015/06/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

EDOとTOKYO
 百両の金をめぐる因果の糸で結ばれた登場人物たちを緻密な構成で描いた黙阿弥の世話物ですが、原作戯曲を十分リスペクトしながらも緩急をつけわかりやすく現代性も取り入れた切り口で俳優陣の熱演も含め総力をあげて見事に再構成していた舞台作品になっていたと思います。
 最期の場面や復活させた「地獄の場」の上演の仕方にはいろいろあるとは思いますが、廓話も含め、黙阿弥の原作のほぼ完全版に沿った形のものを通しで今回観ることができたのはたいへんよい機会でした。
 上演時間は途中15分、25分の2回の休憩を含め約5時間(本公演は多少の変更の可能性あり)。

ネタバレBOX

 所作やセリフの節回しなどいわゆる歌舞伎のそれとはやや違いますが、
「大川端庚申塚の場」での「月もおぼろに白魚の」から始まるお嬢吉三の七五調の名科白などももちろんあり、幅広い層の方に楽しめる作品になっていると思います。
 今回の「三人吉三」だけでも台本構成や演出の仕方次第で、つかこうへいさんの「熱海殺人事件」ではありませんが、数多くのヴァリエーション作品を生み出せるのではないかという可能性を強く感じさせてくれました。
 第ニ幕最初の「地獄の場」は観客にとってはほぼ息の抜き所になっていて(逆に俳優陣は大変ですが)どうなるのかとおもってみていましたがきちんと本筋に戻ります(武井壮似の小林の朝比奈、例えば山本か中屋敷を呼んでおけばよかったといった内輪ネタ、じゃん拳ならぬ地獄拳など笑いどころには事欠きません)。
 また、幕末である当時の退廃的な世相と今の世相を絡ませる演出、特に最後の場面のところなどは蜷川演出の影響が少なからずあるのかなという印象も受けました。

 いわゆる古典あるいはそれに近いものを今の視点から再構築してみせてくれる作品は、シアタートラム「草枕」が現在上演中でこれも素晴らしい作品だと思います。
 また、今週はシアターウエストでは「三人吉三」、シアターイーストでは「蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~」という魅力的で強力なラインアップがそろって上演中です。

鑪―たたら (残席僅か)

鑪―たたら (残席僅か)

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2015/03/20 (金) ~ 2015/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

K市の今昔物語
 鋳物で有名なK市を舞台にその今昔を扱った物語ですが、緩急が絶妙な構成のうまさとセリフのうまさを兼ね備えた戯曲、繊細な感性でその機微までくみとり見事に立体化した演出、俳優陣の意気込みががっちりとかみあい、キュポラからほとばしる溶湯のように、不器用にしか生きられない男たちの熱い思いがひしひしと伝わってくる作品になっていて、特に劇作家と演出家の相性というか組み合わせがとてもうまくあっている印象を受けました。
 テーマの一つでもあるものづくりは舞台作りにも通じており、劇団創立60周年記念公演の締めくくりとしてとてもふさわしい作品をもってこられたのではないでしょうか。
 上演時間は途中休憩無しの約2時間。

ネタバレBOX

 舞台空間の使い方が見事です。さらに、登場人物の設定や配役がよくできており(例えば、石母田さんの一人二役のキャスティングの効果など)、特に東京オリンピックの聖火台を作った鋳物職人の親子の逸話を新派風の劇中劇でみせた際の山路さんと山本さんの夫婦役のやりとりはめったにみることの出来ない必見の場面だと思います。




台所の女たちへ

台所の女たちへ

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

新しい試みで青年座のポテンシャルの高さを感じさせてくれたAct3D企画公演
 ONEOR8の田村さんの描く作品世界と青年座の持ち味がとてもよくマッチングしていて、今回の企画連続公演の中で最も青年座らしい約2時間の公演でした。この作品を観ながら、田村さんの作・演出で以前他で拝見したレディースクリニックが舞台の「おしるし」という作品につながるところもあるかなと思ったりもしました。
 また、今回の三者三様のおもしろいAct3D企画公演を通して観て、各作品の作・演出をセットで外部の同じ方が行っている新しい試みやAct.1からAct.2、Act.3へとよく考えられた演目順序、そのレパートリーの広さなども含め、新しい風を入れたいというこの企画の目的は大いに達せられたのではないでしょうか。

ネタバレBOX

 二代目の葬儀のときに起こった出来事の回想シーンでは、三代目の姉妹とその関係者等の娘たちがそれぞれの母親の役を演じており、娘役の俳優さん達の今と昔の演じ分けや取り囲んで配置された母親たちがあたかもその場面を見ながら昔話をしているような構図が実によくできていました。
 青年座さんのそのカラーを活かした作品はとてもすばらしいのだが新しいスタイルのものや翻訳ものはどうかなという思い込みというか偏見のようなものがあったのですが、このAct3D企画公演を拝見してかなりそれが払拭されたような気がしました。
 また、新しい風を入れようという試みとしては、他では、例えば、今年の俳優座の公演「七人の墓友」などはとてもうまくいっていたと思います。
かっぽれ!〜夏〜

かっぽれ!〜夏〜

green flowers

あうるすぽっと(東京都)

2013/09/06 (金) ~ 2013/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

新作公演と再演公演
 落語家一門のてんやわんやということですがテンポのよい会話を繰り出しながらもみせるところはきちんとみせてくれるうまく緩急の効いた台本、わざとらしさがない自然体の雰囲気を感じさせる演出が心憎くてよかったですし、また役者の方々もそれによく応えた見事な演技をなさっていたと思います。
 第一作と第三作を続けて観させて頂いたのですが、舞台セットとなる旅館の部屋もそれ自体は変わりようはありませんが、季節が冬と夏ということでその季節感に合わせて活けられる花もまた飾られる額もきちんと取り替えられていてそのさりげない心配りが旅館の和室といった雰囲気を感じさせていてよかったです。
 最後のかっぽれも、よろめいていたりふりがぎこちなかったりと素人感が漂っているのですが役者の皆さんが楽しく踊っているのを見ているとそれがかえって我々観客も一緒に一門会に参加しているようなというかその延長線上にいるような一体感のようなものが感じられてきますし、劇場が広くなることでさらにそれが増幅されて感じられるという不思議な魅力を放っていたように感じました。
 今回、新作公演と第一作の再演公演をともに観劇できてとても嬉しかったです。

出演者総勢27名!地の乳房

出演者総勢27名!地の乳房

劇団青年座

紀伊國屋ホール(東京都)

2014/10/24 (金) ~ 2014/11/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

青年座らしさが存分に出ていた重厚な作品
 若狭の一寒村で大正から昭和を生きた女主人公 愛をとりまく家族の物語。紀伊國屋ホールはこんなにも広かったのかと改めて気づかせてくれるほど空間全体をめいいっぱい使った演出が特徴的で、特に俳優陣の演技力の高さで青年座らしさが存分に出ていた舞台でした。ラインナップとしてもAct3D公演の新鮮さの後で青年座のtraditionalな面でのポテンシャルの高さをうかがわせてくれる見応えのある作品をもってきたと思います。上演時間は約2時間50分(15分休憩含)。

ネタバレBOX

 水上節炸裂の悲哀に満ちた波瀾万丈といっていい主人公やそのまわりの人々の人生をとても丁寧に描いており、最初はもたつき感のようなものも感じたのですが、丁寧に描くことで実は知らず知らずのうちに観る者の心にじわじわと、後半の見せ場となる原発論議の終盤で愛が発することばが大いに重みと説得力をもって届いてくる、細部も含め全体的な流れといったものが非常にうまく演出されていた舞台であったようにも感じました。


七人の墓友

七人の墓友

劇団俳優座

紀伊國屋ホール(東京都)

2014/05/09 (金) ~ 2014/05/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

伝統をベースに異色のコラボで生み出された 斬新な感性溢れるコメディー作品
 劇団俳優座×ラッパ屋鈴木さんの脚本×オフィスクレッシェンド佐藤さんの演出の組み合わせということで、俳優座の伝統を活かしながらも新鮮な感性の息吹に溢れた斬新な仕上がりの舞台作品になっていたと思います。鈴木さんが青年座に書き下ろされた「をんな善哉」に匹敵するようなその手腕が冴え渡る出来の脚本で、まさに鈴木節炸裂といったところでしょうか。

ネタバレBOX

 上演時間は休憩込みで約3時間と長かったのですが、その長さを忘れるくらい楽しく面白いコメディー作品でした。
 ちょうど同じ時期に青年座は本多劇場で「見よ、飛行機の高く飛べるを」を上演されていて、両作品とも確かに素晴らしかったのですが、私個人の印象では、面白さや新鮮さという点では、「七人の墓友」がやや勝っていたのではと思います。

初萩ノ花

初萩ノ花

演劇集団円

ステージ円(東京都)

2014/09/19 (金) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

作者の、人に対する鋭いながらも優しいまなざしと繊細な感性を感じさせてくれる作品
 衝突して傷ついたり、ごまかしたり、癒し癒されたりしながらどう生きてゆくのか、人の営みの根本的なところを鋭くとらえると同時にどこか心に痛みや傷を抱えながらも不器用で実直に生きている人へ向けるまなざしの優しさ、温かさがじわっと伝わってくる作品です。笑って、少しほろっとして、誰もが普段は恥ずかしくて人前ではさらけだせないような屈折した思いや心のもやもやしたものを登場人物がぶちまけてくれることで、観ている者の傷が癒されたり心の重荷が少し軽くなったりしてencourageしてくれているようにも感じました。
 また、普通の何気ない会話で交わされるせりふ、照明による一日の移ろいの表現や季節感のある作品作りなどから作者の繊細な感性をうかがい知ることができる作品という印象も受けました。

ネタバレBOX

 上演時間は、約1時間50分です。
 また、長女役の谷川さんとフルート(正確には長女の娘が吹いているのですが)の組み合わせを観ていて、谷川さんが下田和歌代(通称ばかよ)役で出演されていたナミギン作品「サニー・コースト・セレナーデ」をなんとなく思い出してしまいました。

夜と森のミュンヒハウゼン

夜と森のミュンヒハウゼン

サスペンデッズ

吉祥寺シアター(東京都)

2015/01/24 (土) ~ 2015/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

人の心の闇の深い広がり
 一筋縄ではいかないやっかいな代物である人の心の闇の深さや広がりといったものを実にうまく扱っていた作品だと思います。

ネタバレBOX

 女主人公が心の底に潜り夢と現実が交差しながら展開する凝った構成や登場人物の配置配役(アユミとサキ、クロ以外は対をなす一人二役など)が表層と深層を行き来する人の心の複雑さを表しているようにも感じられました。
 同様に人の心の奥底を扱った最近の作品としては、趣きは異なりますが、、例えば、モダンスイマーズの最新作「悲しみよ、消えないでくれ」は、雪深い山荘を舞台に死を巡って現実に追われ生きている人間の欺瞞や醜さが露呈してゆく様が実に緻密にうまく描かれていたのが深く印象に残っています。




SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

SQUARE AREA【ご来場ありがとうございました!】

壱劇屋

王子小劇場(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

しなやかさ
キューブの各面が完成されるごとに謎が明らかになってゆく(作品としての)流れは、しなやかで躍動感にあふれたムーブメントと相まって、点から線へそして線から面へと見事につながっていたと思います。
 また、ステージゲストの方の話は時として芝居の進行の本筋から大きく逸脱することもありますがそれにも臨機応変に対応し流れに合わせて本筋に回帰できる柔軟性も備わっている劇団のようにも感じました。

かぞくや

かぞくや

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2013/10/22 (火) ~ 2013/10/31 (木)公演終了

満足度★★★★

心和む作品
 少し前の作品の再演ということで言葉遊びというか駄洒落の鮮度はちょっと古いかなという気もしましたが、作品そのもののもつ感覚は今でも決して色あせることなくみずみずしいものであり、現代の家族のありようについて考えさせてくれながらも心を和ませてくれる温かい作品であったと思います。



深海大戦争

深海大戦争

パラドックス定数

上野ストアハウス(東京都)

2016/04/05 (火) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

神vs.知性
 大義としての神を手にした抹香鯨一族と武器としての知性を手にした大王烏賊一族との北極海での最終決戦の結末はいかに。進化を大きなテーマのひとつに展開される物語(異種間だけでなく有機物と無機物の間でも共通言語で意思疎通できることが当然暗黙の前提になっていますが)ですが、キャラクターがより魅力的になり緩急が効いた台本と照明効果が抜群で、シェイクスピアの史劇的な雰囲気も漂う、見事なリターンマッチの作品になっていたと思います。
 上演時間は約1時間45分。

ハイキングフォーヒューマンライフ2014

ハイキングフォーヒューマンライフ2014

劇団PATHOS PACK (パトス パック)

「劇」小劇場(東京都)

2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

バランスがよくとれている作品
 一方的に思いや考えを押し付けたりまた観客の想像力に完全に丸投げすることもなくそのぎりぎりのところで話が展開されていてバランス感にすぐれた作品になっていたと思います。

いつかの膿

いつかの膿

VAICE★

駅前劇場(東京都)

2016/03/01 (火) ~ 2016/03/06 (日)公演終了

満足度★★★★

人の心の奥底にあるもの
生きている人間の現在、その人間誰しもが心の奥底に抱えている欺瞞や傲慢さといったものが次第に露呈してゆく様が緻密に描かれ、緩急のバランスがうまくとれていた作品だったと思います。
上演時間約100分。

ネタバレBOX

 小劇場楽園や小劇場B1の規模をやや大きくしたような感じで舞台に対して
客席が設置されており、観る位置によって受ける印象は少し変わるかも
しれません。

 立派なソファーから小さな椅子まで小道具の椅子がいくつかあり役者さんがそれぞれ芝居の間座る椅子を次々に移動するとともに3つのドアを出入りしてめまぐるしく立ち位置を変えてゆきます。もちろん、客席の配置の関係から観客に公平に役者さんの表情をみせる意味もあるとはおもいますが、その動きをみているうちに自分の居場所それも自分の身の丈に合った居場所を求めてさまよう孤独な人間の姿がそこにあるようにも思えてきて、実にいすの使い方が効果的な演出(ある意味役者泣かせの演出だったかもしれませんが)だったと思います。
2番目の女たち。

2番目の女たち。

崖っぷちウォリアーズ

劇場HOPE(東京都)

2013/10/08 (火) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★

二面性
 最初ややぎこちなさというかもたつき感があるようにもみえましたが、全体としては人間の二面性というモチーフが首尾一貫していてとても見応えのある作品になっていたと思います。






某日快晴ワレ告白セリ

某日快晴ワレ告白セリ

タッタタ探検組合

ザ・ポケット(東京都)

2013/11/13 (水) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★★★

定番的な展開なれど笑いのツボを押さえた サービス精神溢れる舞台
 今から25年前にタイムカプセルに入れた手紙と共に、心に引っかかりのある男子中学生が淡い思いを抱いていた謎の美少女の転入から転校までの中学時代のある短い時期を回想するという物語で、物語の展開自体は定番的で安心してみられるものでしたが(手紙の朗読の後のあのシーンはちょっと微妙でしたが)、登場人物の中学生や先生たちがとてもよく設定されていて俳優の方々も実に生き生きとした演技をされ独特の味わいのようなものが滲み出ていてとてもよかったと思います。笑いのツボをきちんと押さえた演出が見事な、観客の方々に気持ちよく楽しんでもらいたいという劇団のサービス精神が溢れた実に楽しい舞台でした。

夕陽伝

夕陽伝

ワタナベエンターテインメント

サンシャイン劇場(東京都)

2015/10/22 (木) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

相性抜群のエンターテインメント活劇
 日本の神話特に古事記のエピソードをモチーフとしたエンターテインメント活劇ですが、末満さんの脚本と岡村さんの演出の相性が抜群で、疾走感にあふれストーリ性豊かでありながらもせりふの思いが観る側にきちっと伝わってくるしっかりした劇構成、映像、音楽、魅せる殺陣満載のアクションのバランスが実によくとれていた作品だったと思います。上演時間は途中休憩無しの約1時間50分。

ネタバレBOX

 前回の「GARANTIDO」の公演もそうでしたが、今回も出演陣の熱演が光っており、なかでも大王役の山本さんの存在感と安定感は抜群でした。
 懺悔の時間などどうかなと思うところはありますが、せりふと身体表現でできるだけ思いを引き出そうとするところやオープニングとエンディングのアクションとダンスにのせた役者紹介などは、多くのつか作品の演出を手がけ長らくその薫陶を受けてきたいかにも岡村さんらしい演出でした。



つかまえてごらんなさい、箸で

つかまえてごらんなさい、箸で

GORE GORE GIRLS

王子小劇場(東京都)

2013/11/01 (金) ~ 2013/11/04 (月)公演終了

満足度★★★★

笑えるような笑えないような絶妙感
 絶妙な間合いで繰り出され心にグサグサ刺さる笑えるような笑えないようなセリフのやり取りの連続が紡ぎ出す物語は巧妙に作られていながらもなんともいえぬ独特の雰囲気を放っていて実におもしろかった。
 ただ、最後の場面は、女性のたくましさのようなものは伝わってきましたが、微妙な感じの印象が残りました。


隣で浮気?

隣で浮気?

傑作を遊ぼう。rorian55?

王子小劇場(東京都)

2013/08/16 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★

観る側も頭を使う大人のコメディ
 同じ一つの舞台空間に2つの家のリビングが同時に存在するセットの中で役者さんがお互い別々の空間、時間にいる設定で繰り広げられる大人のコメディで、面白いと同時に非常に緻密な作品です。
 せりふと動作がスピーディに次々と切り替わっていくシーンの連続でこのようなノンストップ型の作品で鍵を握るのが種々のタイミングになってくるのですが、初日でありながらせりふや演技のタイミングもよく決まっていたと思います。今後さらに回数を重ねていくともっとリズミカルによりおもしろくなってゆくのではないでしょうか。

ネタバレBOX

 以下は観劇後に思ったことで、小劇場で仕方のないことだとは思うのですが、客席の段差が低く前の列と座席がずれていないため、椅子に座って演技する場面が(結構あるのですが)非常に観づらくまた作品にあわせてデザインされた舞台床面のチェス盤のイメージもあまり生かされていなかったのは少し残念でもったいなかった気がします。

兄弟

兄弟

劇団東演

あうるすぽっと(東京都)

2016/03/30 (水) ~ 2016/04/03 (日)公演終了

満足度★★★★

見事に再構築された舞台作品
 上巻の文革篇、下巻の開放経済篇と原作はかなりの長編で(舞台化ということでやや個々の人物描写が浅くなったり説明的になったりすることはどうしても避けられませんが)、それでもそのよさを活かしながらうまくエピソードを紡ぎ見事に再構築されていた脚本演出家の手腕そして堅実な出演陣の熱演が光る舞台作品になっていたと思います。
 上演時間は約2時間45分(途中休憩15分を含む)。

ネタバレBOX

 いのうえ歌舞伎《黒》『乱鶯』に登場する黒部源四郎の
「時流に乗れぬ者が滅びるのは世の常よ」のせりふではありませんが、
それをあたかも地で行くような物語(特に後半に)が展開しますが、実によく
人間の本質を突いているというかあさましいまでの人間の姿が描かれています。
 また、後半特に性的な描写が結構ありますが、そこはやはり演劇集団
「西瓜糖」の演出家の面目躍如ということでなかなかうまく演出されていた
と思います。

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