三人吉三 公演情報 木ノ下歌舞伎「三人吉三」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    EDOとTOKYO
     百両の金をめぐる因果の糸で結ばれた登場人物たちを緻密な構成で描いた黙阿弥の世話物ですが、原作戯曲を十分リスペクトしながらも緩急をつけわかりやすく現代性も取り入れた切り口で俳優陣の熱演も含め総力をあげて見事に再構成していた舞台作品になっていたと思います。
     最期の場面や復活させた「地獄の場」の上演の仕方にはいろいろあるとは思いますが、廓話も含め、黙阿弥の原作にほぼ沿った形のものを通しで今回観ることができたのはたいへんよい機会でした。
     上演時間は途中15分、25分の2回の休憩を含め約5時間(本公演は多少の変更の可能性あり)。

    ネタバレBOX

     所作やセリフの節回しなどいわゆる歌舞伎のそれとはやや違いますが、
    「大川端庚申塚の場」での「月もおぼろに白魚の」から始まるお嬢吉三の七五調の名科白などももちろんあり、幅広い層の方に楽しめる作品になっていると思います。
     今回の「三人吉三」だけでも台本構成や演出の仕方次第で、つかこうへいさんの「熱海殺人事件」ではありませんが、数多くのヴァリエーション作品を生み出せるのではないかという可能性を強く感じさせてくれました。
     第ニ幕最初の「地獄の場」は観客にとってはほぼ息の抜き所になっていて(逆に俳優陣は大変ですが)どうなるのかとおもってみていましたがきちんと本筋に戻ります(武井壮似の小林の朝比奈、例えば山本か中屋敷を呼んでおけばよかったといった内輪ネタ、じゃん拳ならぬ地獄拳など笑いどころには事欠きません)。
     また、幕末である当時の退廃的な世相と今の世相を絡ませる演出、特に最後の場面のところなどは蜷川演出の影響が少なからずあるのかなという印象も受けました。

     いわゆる古典あるいはそれに近いものを今の視点から再構築してみせてくれる作品は、シアタートラム「草枕」が現在上演中でこれも素晴らしい作品だと思います。
     また、今週はシアターウエストでは「三人吉三」、シアターイーストでは「蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~」という魅力的で強力なラインアップがそろって上演中です。

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    2015/06/14 00:19

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