バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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vol.22『野性の恋』/ vol.23『暴動のあと、さみしいポップニューワールド』

vol.22『野性の恋』/ vol.23『暴動のあと、さみしいポップニューワールド』

悪い芝居

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2019/05/24 (金) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

■『暴動のあと、さみしいポップニューワールド』鑑賞/120分強+カーテンコール■
ある女の子の年代記。結末が腑に落ちなかったけど、笑いあり着ぐるみありダンスありのバラエティショーみたいな公演で、無心で楽しみました♪

ネタバレBOX

煙子が歌手になるのをやめる理由は、もっとしっかり作り込むべきだったのでは?納得しづらい理由に最後の最後で拍子抜けさせられて、“これまでの2時間はなんだったんだ?”という、やる瀬ない気持ちにさせられた。
ポーカーフェイスに背中を丸めての地味なダンスという、奈良のシカ軍団登場時のパフォーマンスにはめっちゃ笑った。
「ボードゲームと種の起源・拡張版」

「ボードゲームと種の起源・拡張版」

The end of company ジエン社

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/05/29 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了

満足度

■85分弱■
話の足踏みが続いて、80分で大して位置が変わらない。進めろいっ!!

10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】

10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】

中野劇団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★

■約125分■
『サマータイムマシン・ブルース』とその続編を観ている身には、新鮮味がいまひとつ。あれを観てなきゃもっと笑ったかも。

…と書いてから一夜明け、大阪公演のアフタートークゲストが上田誠さんだったことを今知った(笑)。

ネタバレBOX

大学の映画サークルの同窓会の席で、同じ10分間の無限ループにはまり込んだ聖子。その10分の中での最初の願い事が叶えば脱けられると知り、部室でむかし撮った集合写真の中に見つけた文字「またこのメンバーで映画撮りたいな」を叶えようとするが、集合写真の面々が偶然も手伝って勢ぞろいしたなか、そのうちの一人がすることは、とある映画コンクールへの応募。
応募しただけじゃ、撮ったことにはならないのでは??
喉に刺さった魚の小骨のように、これがいまだに引っかかっている。
こうした詰めの甘い部分が他にも散見された。
殿はいつも殿(しんがりはいつもとの)

殿はいつも殿(しんがりはいつもとの)

ポップンマッシュルームチキン野郎

王子小劇場(東京都)

2019/05/16 (木) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★★

■95分強■
何作か前から感じていることだが、笑い所がハネきらないまま終わることが増えている印象。
笑いの連携プレイのさらなる練達、そして、怪物的コメディアンの加入が待たれる。
『黄金のコメディフェスティバル』で上演された約40分のショート版では、もっと笑った気がする。

ネタバレBOX

劇構成についても少しばかり。
ようやくの死を覚った不老不死の主人公は、なぜ妻のもとを離れ、独りで死ぬことを選んだのか?
その辺の心の軌跡が描かれていれば、話はより厚みを増したかもしれない。
「芸術家入門の件」

「芸術家入門の件」

ブルドッキングヘッドロック

吉祥寺シアター(東京都)

2019/05/18 (土) ~ 2019/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

■約155分■
カオスすぎる。混然としながら併走する3つのシチュエーションが互いにどう関連するのか、最後までよくわからず、もどかしい時間が続いた。
加えて、芸術をめぐる禅問答めいたやり取りはかつてどこかで聞いたような代物で新鮮味なく、私にはキツかった。
キャストの多さと、アクトエリアが広く取れて天井が高い、会場の特性とをともに生かしたダイナミックな表現には面白みあり。

ネタバレBOX

悩める老芸術家と女性指導者のシーン。学生たちが進路に迷いながらも青春を謳歌する美大のシーン。古代ギリシャでの銅像製作のシーン。3つのうち、今どのシーンなのかが一発でわかるよう工夫がなされていれば、混乱が避けられて、より観やすかったはず。
カオスにしたのは狙い通りなのだろうけど、カオスを極力わかりやすく見せる工夫は必要。
3つがどう関連するのかは既述の通りよくわからなかった。
宇宙人はクラゲが嫌い

宇宙人はクラゲが嫌い

劇団かもめんたる

赤坂RED/THEATER(東京都)

2019/05/11 (土) ~ 2019/05/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

■約115分+カーテンコール■
八嶋智人演じる陽気な店主が快活にギャグを飛ばすも誰にも響かずクールに自分で回収する様、ファンタジーのバカバカしい用い方、今あえての執拗な下ネタ押しなど、全部好きでした♪
八嶋さんは志願の出演とはいえあくまでゲストキャスト、劇団員ではないのにもかかわらずカーテンコールを率先して盛り上げたうえ物販のPRまでして、その点にも感心。いくらなのかは知りませんが、ギャラ以上に働こうとする姿勢にシビれました。サービス精神の塊、天性のエンターテイナーですね。芸能人とはそういう存在であってほしい。ますおかの岡田は“ファンあっての我々、ファンあっての芸能人”という意識が人一倍強いらしく、街で声をかけると「ワーオ!」から「パー!」、「閉店ガラガラ」まで持ちギャグをフルコース、フルスロットルでやってくれるそうだが、岡田にも通じるおもてなしの精神を八嶋さんには感じました。

ネタバレBOX

かつての所属団体を尋ねられて「巻きグソプロレス」とふざけ、ウケないことに腹を立てた自称元プロレスラー。四柳智惟演じるそのマッチョ男に「じゃあどんな団体名なら面白いんだよ!」と詰め寄られ、岩崎う大演じるダメダメyoutuberが苦し紛れに返す答え「常識プロレス」がケッ作。「常識にとらわれたプロレスラーが集まってたら面白いかなって…」とカブせてもマッチョはクスリともせず、劇中では“寒い冗談”という扱いになっていたけど、私は好きでした。
東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

東京ノ演劇ガ、アル。#2「BAR女の平和」

オフィス上の空

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2019/05/03 (金) ~ 2019/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

■D鑑賞/50分強■
●ひとりひとり異なっている、男に対するスタンス。その違いが上手く描き分けられていて、引き込まれた。喜怒哀楽をくっきり打ち出す演出も、見応えを助長。ラストは不鮮明で、よくわからなかったな〜。

ネタバレBOX

暗転後の後日譚で、翻訳の勉強のため海外へ渡ったことが明かされるまき。彼女が轢いたDV夫は、結局死んだの? 捕まりもせず渡欧したということは、一命はとりとめた? もしくは、死は免れたものの、植物人間に!? あるいは、後日譚でバーのママがハムを切ろうとナイフを構えつつ「ヒゲを剃り落として傷んじゃった」とか言っていたから、儀式としてヒゲを剃ったのち、女五人でトドメをさしてどこぞに埋めた? その辺が曖昧なのでモヤモヤしてしまった……。最後のが正解かしらん? 傷んだナイフの代わりにママが取り出す、まがまがしく光る特大出刃包丁は、殺害の暗示だろうし。
尾を咥えたり愚者の口

尾を咥えたり愚者の口

電動夏子安置システム

駅前劇場(東京都)

2019/05/07 (火) ~ 2019/05/12 (日)公演終了

満足度★★★★

■約120分■
検閲がまかり通っていた帝銀事件発生当時の日本と今の日本は似ているのでは?と問いかけてくる風刺的一作。社会色を打ち出す一方、アンジャッシュのコントのようなわかりやすい行き違いギャグも例によってふんだんで、今回も笑ったけれど、入れ子になっている二世界がどんな関係にあるのかをはじめ、今作はいつにも増して不明瞭な部分が多く、観ていて少しもどかしかった。

第7回公演 『飛鳥山』

第7回公演 『飛鳥山』

ほりぶん

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2019/05/02 (木) ~ 2019/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★

■80分弱■
今回はSF色強め。しかし、圧倒的なバカバカしさ、騒々しさ、低俗さ、そしてまさかの奇襲的趣向によりSF色はすっかり褪色。SFを観たという印象を抱えて劇場を去ったお客さんはたぶん一人もいないでしょう(笑)。雑すぎる外国考証もほりぶんらしくていい。
ほりぶん初の男性キャストの黒田さんは、新年工場見学会で培った演技体がほりぶんのそれとみごと調和し、まったく違和感ナシでした。

MIKAKO30~多部の素~

MIKAKO30~多部の素~

多部未華子

保谷こもれびホール 小ホール(東京都)

2019/05/01 (水) ~ 2019/05/02 (木)公演終了

満足度★★★★

■約110分■
二人芝居の脚本が松尾スズキ、総合演出ノゾエ征爾ということで観劇。
吹越満との二人芝居はあくまでワンコーナーという扱いで、女優のイベントとしては芝居コンテンツが少ない印象ながら、多部ちゃんの芸幅の広さが味わえる二連作である上、松尾スズキの手による最近では珍しい二人芝居は松尾スズキと温水洋一の往年のコントユニット「鼻と小箱」の作品を彷彿させて、楽しめた。今やすっかり俳優の吹越満がかつてのピン芸人の一面をわずかながら見せてくれたのも、嬉しいプレゼント。全体としては、歌を効果的にちりばめながら終盤へ向かって盛り上がってゆく構成で、自分が多部ちゃんのファンだったらもっと感動できたかも、と思った次第。でも、退館時にサプライズで待ち受けていた多部ちゃんは可愛かったなぁ~♪
松尾スズキにノゾエ征爾と、スタッフがスタッフなのに、あまりトガった感じがしなかったのは、地元の方も来やすい多部ちゃんの故郷の市民ホールでの公演ということで、幅広い層が楽しめるようお二人がトゲを控えめにしたからなのか、お客さんの温かさがトゲを溶かしたからのか、あるいはその両方なのか、会場じゅうがのどかな空気に包まれた、楽しい一夜でした。
機転の利いた司会ぶりで多部ちゃんを面白おかしくいじっていた佐藤貴史はもっともっと売れるべき人。同じく小劇場出身の高橋克実や八嶋智人に匹敵できる、あるいは二人を超えられる逸材。『すいているのに相席』のアフターイベントでキレッキレのトークを繰り広げる姿を見て以来、気になっていた人なので、見られてよかった♪

ネタバレBOX

二人芝居は、思わせぶりな態度を取って結婚したての年上上司を悩ませる小悪魔OL役がなんとも魅力的でした。
LET’S GO SIX MONKEYS

LET’S GO SIX MONKEYS

ジョビジョバ

クラブeX(東京都)

2019/04/27 (土) ~ 2019/05/06 (月)公演終了

満足度★★★

小粒なネタが目立つ。再起動ライブにおけるキャンプネタのような、野心的なコントも観たかったところ。平成さえ終わったのに、昭和なネタが多いのもいかがなものか? 何が面白いのか、ポイントのはっきりしないネタも多々。内輪ネタや楽屋オチを極力抑えた点は買える。

ネタバレBOX

石倉力演じる僧が輪廻を重ね、生まれ変わるたびに出世して名前が変わっていくネタは好き。転生した瞬間、面白いことを言わなきゃならない空気になり、オタオタする石倉が可笑し。笠地蔵のパロディも楽しく観た。
GE14 マレーシア選挙

GE14 マレーシア選挙

山下残

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/04/26 (金) ~ 2019/04/29 (月)公演終了

満足度★★★★

■約105分■
マレーシア国民がかつての長期政権にどんな不満を抱いていたのか、その説明が不充分な印象を受けたものの、ファジール氏の選挙活動がマレーシア独立後初の政権交代へ向けて日々過熱していく様子が生々しく伝わってきて、つかまれました。
ただ、せっかく成った政権交代を数年でまたひっくり返されるという苦杯を舐めた身として、観ながらどこか冷めた気持ちを拭えなかったのも事実。どうか、マレーシアが日本の轍を踏みませぬよう…。
生登場したファジール氏は、生き生きとして明るく、ユーモアも豊かな、じつに魅力的な人物でした。

更地SELECT〜SAKURAⅢ

更地SELECT〜SAKURAⅢ

大森カンパニー

小劇場B1(東京都)

2019/04/16 (火) ~ 2019/04/24 (水)公演終了

満足度★★★★★

■約100分+カーテンコール■
大森ヒロシプロデュースのコント公演「更地」シリーズの、ベスト版第3集。毎度捨てネタが一つもない「更地」の傑作選ゆえに、ハイレベルなのは言わずもがな。
匠の技を駆使して作られた高級工芸品さながらの完成度を持つコント群はどれも最初近寄りがたさを放っているのに、最後には一つ一つが盛大な拍手を浴びて終わるほどにウケるのは、打ち出されているものが、恋・仕事・近所づきあいなど人間なら無縁ではいられないアレコレにまつまる“あるある”であり、その普遍性ゆえに共感を以て笑えるからに違いない。だから、山口良一が出ているから観に来たとおぼしき、特段お笑い好きでもなさそうなおばさま方までが楽しそうに笑っておられるのだろう。
もちろん、山口良一をはじめとする達者な役者陣が“伝わるように”演じていることも、笑いを呼び起こす大きな動因になっているのは言うまでもない。
“マフィア×母心”“料理×高校生男子”など異質なものを掛け合わせたネタに秀作が目立つが、そうしたものだけでなく、アクション押しのネタ、ボケ役の山口良一とツッコミ役の大森ヒロシがアドリブも交えながら絶妙なコンビネーションで演じるいぶし銀の二人コントなど、いろんなタイプのネタをバランスよく配列しているのもいい。

ネタバレBOX

◆ネタバレ◆
会社の宴会での余興を頼まれ不満タラタラだったOL3人組が、色々あって最後には余興に前向きになるコントがマイベスト。“色々あって”の部分にひねりがあって、とても面白い。
オヤジギャル

オヤジギャル

順風男女

しもきた空間リバティ(東京都)

2019/04/17 (水) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★

■約105分■
コントで平成を回顧。テレビの平成プレイバック番組では取り上げないようなブラックな小ネタも満載で、楽しめました。
女子っぽさがやや薄いかな〜、とも思ったけど、終盤でガッツリ取り返しましたね。
ゴリカコ氏、相変わらずカワユス♪

喫茶ティファニー

喫茶ティファニー

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/04/11 (木) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★

■約100分■
あたりさわりのないタイトルと可愛いチラシは目くらまし。アフタートークの初回ゲストのプロフィールから、じつはそういう話なのだろうと察しはついたが…

ネタバレBOX

在日コリアン三世が経営する喫茶店を舞台に、日本で暮らすコリアンの生きづらさが描かれる。こう言ってはなんだが、そうした苦労話は昔からたびたび耳にしてきた類のもので、よっぽど表現をひねらなければ客は食いつかない。また、事情が変わった部分もあるだろうに、それらは反映されず、昔聞かされた通りの話が舞台上で繰り返されて、前のめりになれなかった。
さらに、かなり尺を取っているネットワーキングビジネスのくだり。ダラダラと長いばかりで劇の本筋ともあまりクロスせず、なぜああも時間を割くのか理解に苦しんだ。
かえるバード

かえるバード

玉田企画

小劇場B1(東京都)

2019/04/04 (木) ~ 2019/04/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

■約115分■
分かっちゃいるのにしくじってばかりの人間たちを、最大級の愛おしさを込めて描いた傑作。玉田企画らしからぬ、笑いのないガチ修羅場も描かれて、表現のステージをワンランクもツーランクも上げた印象。オハコの“旅の夜”を封印してのこの出来映えには恐れ入った。
これは掛け値なしの岸田戯曲賞モノ。ノミネートすらされなかったら、岸田賞なんてなくしちゃっていい。

ヒトハミナ、ヒトナミノ

ヒトハミナ、ヒトナミノ

企画集団マッチポイント

駅前劇場(東京都)

2019/04/10 (水) ~ 2019/04/21 (日)公演終了

満足度★★

■100分強■
障碍者の性を扱った本作、性介護をした側の自己弁護的な主張に満ち、性介護された側の声が一切聞こえてこない。そこが物足りなかった。
された側の声を代弁する女は出てくるが、彼女の勝手な憶測による「被害者感情」を語るばかりで、ただただ疎ましい。性介護をした側が語るように、それが本当に慰安を目的とした行為であるならば、「被害」と感じない人だって、いておかしくないのに。
あるいは性介護とは、慈善行為を装ったただのパワハラ、セクハラでしかありえないのか?
そうした問題により踏み込むためにも、能弁な被性介護者を登場人物に加えるべきだった。

それはそうと、ピンクの電話の竹内都子さん(ヘリウムボイスじゃないほう)が、キャスト表で「郁子」と誤記されている。出ておられたのは明らかに都子さんでしたよ。

ネタバレBOX

作中で「身体」と表現される障碍者ならば、性介護される気持ちを語ることもできたのではないか?
1つの部屋のいくつかの生活

1つの部屋のいくつかの生活

オフィス上の空

吉祥寺シアター(東京都)

2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了

満足度★★★

■「青」鑑賞/約130分(鵺的『修羅』約60分+途中休憩約10分+飯田さん『我がために夜は明けぬ』約60分)
両団体とも、60分という尺を上手く使い切れていない印象。タイトルから多くの人が思い浮かべる状況のもと話が進む『修羅』は、もうひとヤマ欲しいところで幕引きとなってしまうし、6団体共通の舞台美術を逆手に取って想定外のシチュエーションでのドタバタ騒ぎを描く『我がために~』は、本来90分は要しそうな物語を無理やり圧縮しているために忙しなく話が進んで、落ち着いて観劇するための視座をこちらがこしらえ上げる前にあわただしく終わってしまう。内容は、これまで観た池内風作品の中では最も純度の高いコメディ。しかし、人間の欲と懶惰を露悪的に描くブラックな作風に池内風味が少し出てはいるものの、人物描写がモリエールの喜劇さながらベタで浅く(あえてそうした感あり)、はっきり言って池内風でなくとも書けそうな内容だし、こういうものは職人的コメディ作家に任せ、池内さんには、池内さんにしか書けない世界を描いて欲しいもの。個人的には、世の理不尽にもがきながらも健気に頑張る人間たちを、突き放しているんだか、優しく寄り添っているんだかよく分からないアンビバレントなスタンスで描き出した短編集『どりょく』の路線を期待。あの中の、清掃夫の悲哀を描いた1編は、今思い返しても秀逸の一語。現代人なら誰もが味わう“人間疎外”を喜劇的に描き出した傑作でした。
あの短編は人間描写が深く、ために、かつて「負け組」と呼ばれた現代人の一類型を描きながらも、人物ひとりひとりがその類型をはみ出して、逆境にありながらも生き生きと喋り、動き、怒っていた。人間描写が深くなると、いきおい“ベタ”を踏み越える。これは物語の普遍の法則の一つ。

ハイライト

ハイライト

うさぎストライプ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2019/04/03 (水) ~ 2019/04/08 (月)公演終了

満足度

■70分強■
東京への鎮魂歌? だが、東京が終わるという見立てはあまりに安易で説得力を欠き、ただの希望的観測にしか思えなかった。東京一極集中は国策。一地域だけを異様に富ませ、他は枯らす。そのほうが効率的だし、富が一か所に偏ろうとも、全体としてGDPが上昇すれば、新自由主義に毒されたこの国はそれで良しとする。各地域を平等に富ませるなどという面倒な道を、効率主義にアテられたこの国はもはや選ばない。ある予測によれば、他府県がもれなく人口減に喘いでいる2050年、東京だけはなお人口を増やし続けるという。本作で描かれている“あれしきのこと”で、国はこの“異様に富める中心”をあきらめはするまい。青年団グループは本部機能の豊岡移転により、“脱東京”の尖兵になるつもりなのかもしれないが、事はそう甘くはないだろう。「東京の『終わり』」(当パンより)なんて軽々しく言葉にするのは、敵を見くびりすぎている。
本作で描かれるべきだったのは、むしろ“しぶとすぎて強大な東京”。外圧によるのでなく、栄えすぎて自重で潰れる不様な姿が冷笑的に描かれるべきだった。
いや、こういうことを述べる以前に、本作、構成がダラダラとして締まりがない上、解釈を観客に丸投げした意図不明なくだりが目立ち、“お話”というレベルでまずいただけない。
しかし、大した根拠も示さずに「東京の『終わり』」(当パンより)なんて臆面もなく言えてしまうアート寄り演劇界って、ほんとに甘いなあ。甘すぎる。こういう世界こそ、終わって良し。
自分が東京を去るってだけのことで、勝手に東京を終わらせるな!
かっこつけて「東京の『終わり』」(当パンより)なんて言う以上は、もう二度と“東京公演”はやらないんだろうな!?!?
いや、終わった場所でやるのは無理なので、当然やらないはず。「や、あの……東京公演をやらないと採算が取れないので…」なんて絶対言わせねえぞ!!
『ゴールデンバット』の再演地が東京以外のどの地になるのか、楽しみだ。

ネタバレBOX

“あれしきのこと”というのは、東京五輪を狙い撃ちしたテロ。9.11のテロで、ニューヨークは終わっただろうか?
クラッシャー女中

クラッシャー女中

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2019/03/22 (金) ~ 2019/04/14 (日)公演終了

満足度★★

■約145分■
破格の金持ちを描いたギャグ漫画、という趣で、リアリティが薄く、前のめりになれない一作。しかも後半はある人物が滔々としゃべり続けて掛け合いの面白さがなく、笑いもパラパラ。2時間25分もかけて見せるような代物ではない。『愛犬ポリー』、そして本作。これでは、何年も根本作品を観続けてきた太い客を失いかねない。
しばらくは商業演劇を離れ、無名でも気心の知れた役者たちと、小規模でも本当に作りたい劇を作るべきなのでは?

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