満足度★★★★★
■約100分+カーテンコール■
大森ヒロシプロデュースのコント公演「更地」シリーズの、ベスト版第3集。毎度捨てネタが一つもない「更地」の傑作選ゆえに、ハイレベルなのは言わずもがな。
匠の技を駆使して作られた高級工芸品さながらの完成度を持つコント群はどれも最初近寄りがたさを放っているのに、最後には一つ一つが盛大な拍手を浴びて終わるほどにウケるのは、打ち出されているものが、恋・仕事・近所づきあいなど人間なら無縁ではいられないアレコレにまつまる“あるある”であり、その普遍性ゆえに共感を以て笑えるからに違いない。だから、山口良一が出ているから観に来たとおぼしき、特段お笑い好きでもなさそうなおばさま方までが楽しそうに笑っておられるのだろう。
もちろん、山口良一をはじめとする達者な役者陣が“伝わるように”演じていることも、笑いを呼び起こす大きな動因になっているのは言うまでもない。
“マフィア×母心”“料理×高校生男子”など異質なものを掛け合わせたネタに秀作が目立つが、そうしたものだけでなく、アクション押しのネタ、ボケ役の山口良一とツッコミ役の大森ヒロシがアドリブも交えながら絶妙なコンビネーションで演じるいぶし銀の二人コントなど、いろんなタイプのネタをバランスよく配列しているのもいい。