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2014年度 1-10位と総評
しのび足のカリン

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しのび足のカリン

ロリータ男爵

歴史ある老舗劇団の恩讐譚に、主人公カリンの属する窃盗団の物語が相俟って、バカバカしくもドラマティックな劇世界が現出!
ベテラン役者が若手に演技をつける“熱血稽古”のシーンでは、ベテラン役者を演じたおネエ系美男優・足立雲平さんの振り切れた力演がおかしすぎて笑い死にしそうに。。
でも、パワフルでおバカなだけじゃなく、その一方では世の裏街道を行く泥棒にちなんだ「裏と表の哲学」がさり気なく説かれていたりも。
このように、泥臭さと渋みとを併せ持つ作風がこの劇団の魅力!
堪能しました!!

へんしん(仮)

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へんしん(仮)

快快

「変身」を主題に展開される演劇的バラエティショー。
ある動物に「変身」し客をも巻き込んで暴れ回る山崎皓司のパフォーマンス、キャスト3人がクネクネと妖しく踊る余興的ダンス等どのメニューにも引き込まれたが、とりわけ心をつかまれたのは、不慮の事故で死者へと「変身」した若い女が“死にゆく感じ”を詩的に語る大道寺梨乃のパフォーマンス。
死を浄化に喩えるようなその独白に聞き入るうち、私は自分の心までが清められていくように思え、穢れを雪がれた裸の心で世界と、宇宙と、じかに触れ合っている感覚に襲われた。
こんな感覚さえ引き起こせる演劇という表現ジャンルにあらためて畏敬を感じた次第。
取っつくにくいテーマを持つこの劇を目に楽しく耳に快い娯楽作に仕上げた音響、照明、衣裳さんの頑張りにも感服!
それにしても、大道寺さんの小悪魔的魅力には参らされた。。。
あの囁くようなハスキーボイスは男を狂わせる。

かと万

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かと万

アンファンテリブル・ユニオン

下町の零細製菓会社を描いた群像劇。
社長の失踪をきっかけに明らかになる経営事情と、会社内の秘められし人間模様。。。
それらが時にユーモラスに、時にシリアスに描かれ、笑ったりハッとしたりで最後まで見飽きませんでした。

アリはフリスクを食べない

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アリはフリスクを食べない

青年団若手自主企画 伊藤企画

誰がどれだけ頑張っても避けられない悲劇を、昆虫の観察記でもつけるような冷静なタッチで、しかし生々しく描いた傑作。
悲劇をこうむるある人物の身になって観ていたら心がヒリついた。

社長吸血記

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社長吸血記

ナイロン100℃

ケラ流ちょいグロ・ナンセンスの精華!
舞台となる会社の呆れた業務内容には爆笑!!

ハエのように舞い 牛は笑う

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ハエのように舞い 牛は笑う

はえぎわ

ナンセンスな笑いを交えて描かれる、各人物の大きな不幸と小さな幸せ。
後者により強い光を当てるあたりがノゾエ流。
お陰で生きる意欲が湧いた。

少年期の脳みそ

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少年期の脳みそ

玉田企画

卓球部合宿の楽しい一夜を描いた日常劇。
間抜けなエピソードが相次いで、笑いが止まりませんでした。
ちょっぴり切ないラストも印象的。
幼なじみで腐れ縁のような関係にある卓球部の男女・津田と栗山が“仲良く喧嘩してる”様子には思わずほっこり♪

パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

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パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

おぼんろ

生きることに付きまとう根源的な悲しみ。。。
目を背けていたその悲しみに、ニワトリたちの物語が気づかせてくれた。
そして爽快なストーリーで、その悲しみを束の間吹き飛ばしてくれた。

東益平7丁目団地防衛隊

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東益平7丁目団地防衛隊

ENBUゼミナール

かつて同じ団地に住んでいた幼なじみの男子たちが、長じていろんな運命を辿るお話。
楽しかった少年時代とつらい現在の対比が胸に痛いが、しんどい中にも一抹の救いがあるのが登米流!
感動しました!!

たまには純情

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たまには純情

こゆび侍

『コロコロコミック』に載ってたような昭和の児童漫画を思わせる、ハチャメチャなれど心温まる家族のお話。
夫と娘二人を遺して早世し、あの世から家族を想う優しいお母さんに扮した笠島智の好演が光った。

総評

ロ字ック『荒川、神キラーチューン』は断腸の思いで選外に。
『少年期の脳みそ』と『パダラマ・ジュグラマ』は「観てきた!」では4つ星ですが、やはり傑作、と思い直してランクインさせました。

この1年に観た芝居を振り返って思うのは、会議劇をはじめ議論の劇が多かったということ。
でも、思弁の快楽は読書でも味わえる。
きたる2015年、各劇団には演劇ならではの表現を追求して欲しいもの。

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